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 シュールレアリスムの系譜(1) シュールレアリスムの歴史と手法 ダダからシュールレアリスムへ

 
シュールレアリスムの系譜(2) シュールレアリスムの主要画家リストと詳細記事へのリンク・リスト



 ここ一週間ほどは、女性シュールリアリストに焦点を当てています。今回はトワイヤン(Toyen 1902ー1980)です。
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 知らない?まあ、あんまり有名じゃないかもしれません。でも、チェコでは近代絵画を牽引した大変有名なシュールリアリストです。

 では、トワイヤンの前にちょっと女性シュールリアリストのまとめです。



ドロテア・タニング(Dorothea Tanning 1910−2012)

 タニングはアメリカ・イリノイ州の生まれです。シュールリアリスムを見て感銘を受け、パリにお金を貯めてパリに渡ったものの、サマーヴァケーションのため画家たちと会うことができす、失意のうちにアメリカに帰国しました。

 その直後の第2次世界大戦が勃発、ヨーロッパから芸術家たちがアメリカに大挙して亡命してきました。タニングはニューヨークでシュールリアリストらと友達になり、マックス・エルンストと結婚しました。

 シュールリアリストと言われる女流画家のなかでは、もっとも性格が明るく、性格を反映したためか作品の色彩も美しいものが多くなっています。バロと並んで、私の好きな好きなシュールレアルストの一人です。

 3分でわかるドロテア・タニング マックス・エルンストのパートナーにしてシュールレアリスムの画家、タニングの生涯と作品



レオノーラ・キャリントン(Leonora Carrington 1917−2011)

 アイルランドの血を引くイギリス人ですが、第2次世界大戦のときにメキシコに亡命、その後生涯をメキシコで過ごしました。

 アイルランドの民話やケルト神話を聞いて育ったため、オカルトが大好きになります。もう一人のオカルト好きの画家、バロとは親友で、魔術の実験などをして遊んでいました(大人になってからですよ)。

 反骨精神が旺盛で2つの学校を放校処分となっています。この反骨精神はメキシコでの女性解放運動へとつながっていきます。

 キャリントンは絵画のみならず、小説などでもその並々ならぬ才能を発揮しています。ちなみに、キャリントンもマックス・エルンストと交際してました。

 3分でわかるレオノーラ・キャリントン オカルト好きのメキシコ人女性シュールレアリスト、キャリントンの生涯と作品



レメディオス・バロ(Remedios Varo1908−1963)

 バロはスペイン生まれでパリに住み、その後、第2次世界大戦の影響でメキシコに亡命しました。バロは、レオノーラ・キャリントンの親友で、錬金術などオカルトが大好きです。

 バロの作品の最大の魅力はその物語性にあります。とても個性豊かなキャラクターたちが、なんだかわからない機械を操作したり、変な乗り物に乗ったりしています。バロの絵を見ながら、自分なりの解釈をしていると心が癒されますよ。え?そんなに病んでない?・・・そうですか。

 3分でわかるレメディオス・バロ メキシコの女性シュールレアリスト、バロの不思議な作品たち

 3分でわかるレメディオス・バロ(2) メキシコの女性シュールレアリスト、バロの生涯と作品集



レオノール・フィニ(Leonor Fini 1907−1996)

 フィニはアルゼンチン生まれです。その後、ミラノを経て、パリへ引っ越し、パリで生涯を終えました。
 フィニも独立心と反骨精神に富んだ性格です。キャリントンの上を行き、3つの学校で放校処分となっています。

 フィニは独自の道を歩み、既存の芸術グループとは距離を保っていました。猫と仮面をこよなく愛したフィニは、二人の男性と20匹の猫に囲まれ、生涯を過ごしました。

 フィニもタニングやキャリントンと同じく、一時マックス・エルンストと付き合っていました。エルンストは詩人エリュアールの妻であり、後にダリの妻となるガラとも付き合っていたんです。どれだけモテるんだ、この男は?って感じですね。

 3分でわかるレオノール・フィニ 仮面と猫を愛する女性シュールリアリスト、フィニの生涯と作品
 


 女性シュールリアリストは多いのですが、皆さん反骨的で個性的です。そのためか、ほとんどの人は正規の絵画教育を受けていません。

 ぜひ、一世代前の印象派の女性画家たち(メアリー・カサット、マリー・ブラックモン、ベルト・モリゾ、エヴァ・ゴンザレス)と比較してみてください。

 3分でわかるメアリー・カサット 印象派の中のアメリカ人女性画家、カサットの作品と生涯

 3分でわかるメアリー・カサット(2) 印象派の女流画家、カサットの「母と子」作品

 3分でわかるマリー・ブラックモン 夫フェリックスの無理解で画家を諦めた女流印象派、ブラックモンの生涯と作品

 3分でわかるベルト・モリゾ 運命を切り開く印象派の紅一点、モリゾの作品と生涯

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 3分でわかるエヴァ・ゴンザレス マネの弟子にして4人目の女流印象派、エヴァ・ゴンザレスの生涯と作品



 さて、今回は女性シュールリアリストの第5弾、トワイヤン(Toyen 1902ー1980)です。トワイヤンはチェコ生まれです。プラハで活動していましたが、人生の後半はパリに移り、パリで生涯を閉じました。
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 トワイヤンは、本名をマリエ・チェルミーノヴァと言います。チェコでは、伝統的に女性の名前の下に・・・ノヴァをつけます。彼女は、この女性的な名前を嫌い、中性的な名前に改名してしまいました。

 トワイヤンは社会の女性に対する扱いが嫌だったのでしょう。彼女は間違いなく「女性シュールリアリスト」などと言うと怒るタイプです。

 トワイヤンは、他の女流画家のように確固たる自分を持ち、独自性を追求していくのではなく、周囲に流されやすい性格です。
 シュールリアリズム運動に流され、プラハでシュールリアリスト・グループを結成します。さらに、パートナーである詩人のインドリッヒ・シュティルスキーの趣味に合わせ、エロティックなイメージにはまっていきます。

 まあ、アーティストというよりは普通の人に近いでしょう。そのため、作品もあまり個性的ではありません。しかし、強烈な個性がない分、洗練されています。



 トワイヤン(Toyen 1902ー1980)は1902年にプラハで生まれました。1919年から1920年までプラハの装飾芸術学校で短期間学んでいます。

 1922年、ユーゴスラビアで詩人のインドリッヒ・シュティルスキーと出会い、翌年シュティルスキーと一緒に前衛芸術グループ「デヴィエトスィル」に加わります。ちなみに、このグループにはカフカも所属していたそうです。

 1925年、23歳のトワイヤンはシュティルスキーと一緒にパリへと向かいました。トワイヤンは最初キュビズム的な絵を描いていましたが、アートフィシャリズム(人工主義)に共感し、標榜するようになります。

 人工主義とは、もともと心理学者のピアジェが作った言葉で、神をはじめ、この世に存在するすべてのものは人間の意識が作ったとする主張です。

 トワイヤンは「キュビズムは、イマジネーションの翼をもぎ取ってしまうけど、アートフィシャリズムはキュビズムとは違い、最高のイマジネーションを与えてくれる」と書いています。

 トワイヤンは、1926年から人工主義を標榜したコンポジションなどを制作していましたが、パリからプラハへと戻ります。

 1930年代初頭から、トワイヤンは夢や無意識のヴィジョンなどシュールな絵を描くようになりました。 
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 また、ネズヴァル・シュティルスキーと文芸雑誌「ズヴェロクルフ」を創刊しました。シュティルスキーは、マルキド・サドにはまり、「エロチカ・レヴュー」を出版、トワイヤンはその挿絵を描きました。

 1932年、シュティルスキーはトワイヤンの挿絵の入ったサドの「ジュスティーヌ」を出版します。トワイヤンはこの頃からエロティックなイメージを数多く制作するようになります。

 トワイヤンによれば、過激な性描写は社会に対する反抗なのだそうですが、考え方が幼いですね。単に変態のシュテルスキーに気に入られたいだけじゃないの?
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 1934年、32歳のトワイヤンはプラハでシュールリアリスト・グループを結成、翌年にはアンドレ・ブルトン ポール・エリュアールらを招いて「第1回チェコスロバキア・シュールリアリスム展」を開催しました。

 1939年、プラハにナチスが侵攻してきます。トワイヤンとシュテルスキーは、ユダヤ人著作家のインドジフ・ハイスレーを4年に渡って自宅のバスルームに匿っていました。

 1942年、シュテルスキーが死んでしまいました。1947年、チェコスロバキアが共産化される前にトワイヤンとハイスレーはパリに逃れましす。

 トワイヤンはそのままパリで過ごし、1980年、78歳でパリで亡くなりました。

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