1:2015/05/17(日) 15:59:54.49 ID:
あきつ丸(○月×日、晴れ)

あきつ丸(開戦から二年が過ぎ……)

あきつ丸(自分が横須賀鎮守府に来て、一年少しが過ぎた)

あきつ丸(新進気鋭の天才と謳われた提督の下、)

あきつ丸(我々は日々、深海棲艦どもとの戦いに明け暮れているのであります)

あきつ丸(戦いは概ね順調に推移しており、)

あきつ丸(内地では勝戦気分が漂っているそうだが……)

あきつ丸「はあ……」

あきつ丸(勝利を重ねる度に、提督殿や仲間たちと親交を深めるごとに、罪悪感が増していく……)

あきつ丸


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2:2015/05/17(日) 16:04:39.96 ID:
あきつ丸(そう、自分は陸軍の間諜)

あきつ丸(勢力を増していく海軍の内情を探るべく、)

あきつ丸(また、艦娘の製造技術を盗み出すべく、)

あきつ丸(横須賀鎮守府に派遣された内偵なのであります!)

あきつ丸(初めのうちは使命感に燃え、)

あきつ丸(海軍の増長にストップをかけ、国内のバランスを保つという意識の元、)

あきつ丸(精力的に任務に励んでおりましたが……)

あきつ丸(最近、自分の行いに疑問を持つようになったのであります)


3:2015/05/17(日) 16:10:27.75 ID:
提督「ああ、あきつ丸。大発動艇の整備か? ご苦労様」

あきつ丸「提督殿! 見回り、お疲れ様であります!」シャキッ!

提督「楽にしていい。大規模作戦にもひと段落ついたんだ」

提督「しばらくは艦娘たちに休養を取らせるつもりだ」

提督「もちろん、あきつ丸。貴様もだ」

あきつ丸「そんな……今回は自分、何もできませんでしたのに……」

提督「以前の作戦では人一倍頑張った」

提督「それに、次の作戦では何度も出撃を命じるかもしれない」

提督「今のうちに休んでおけ」

あきつ丸「提督殿……」


5:2015/05/17(日) 16:14:26.18 ID:
吹雪「あっ、提督! あきつ丸さんも」

吹雪「ちょうどいいところにいましたね!」

吹雪「これから間宮で初夏の甘味試食会があるんですよ!」

吹雪「お二人とも、いっしょに行きませんか?」

あきつ丸「いや、自分は……」

提督「ほら、遠慮するな。私はこれから会議があるので行けないが……」

提督「お前に私の分まで楽しんできてほしい」

提督「後で感想を聞かせてくれ」

あきつ丸「あっ、提督殿!」


6:2015/05/17(日) 16:16:32.05 ID:
吹雪「提督、行っちゃいましたね……」

吹雪「少し残念ですが、また今度誘いましょう!」

吹雪「さっ、あきつ丸さん、行きましょう」グイグイ

あきつ丸「あっ、あっ、自分は……」

あきつ丸「あ~~~……」ズルズル


7:2015/05/17(日) 16:20:07.35 ID:
~夜 私室~

あきつ丸「うぷっ、食べ過ぎたであります」

あきつ丸「甘いものは当分見たくもないでありますな……」ヨロヨロ

あきつ丸「皆、よくもあれほど食べられるものであります」ドサッ

あきつ丸「……」

あきつ丸(やはり、自分とは違うということか)

あきつ丸「………………」ゴロリ


9:2015/05/17(日) 16:26:10.37 ID:
あきつ丸(深海棲艦に対抗するための秘密兵器)

あきつ丸(海軍主導で製造された、人型の戦艦)

あきつ丸(深海棲艦とは似て非なる存在。強く、気高い、人類の守護者)

あきつ丸(彼女らの活躍はあまりに眩しく、華々しく……だからこそ陸軍は)

あきつ丸(艦娘もどきの自分を作り、何とか自分たちの発言権を守ろうとした)


10:2015/05/17(日) 16:32:40.63 ID:
あきつ丸(横須賀鎮守府に派遣される前、将校殿たちにこう言われた)

あきつ丸(『今や海軍は自らの野望を隠しもしなくなった』)

あきつ丸(『パワーバランスを自らに傾け、際限なく艦娘の増強を行う』)

あきつ丸(『その暴走を、誰かが制止しなければならない』)

あきつ丸(『このままでは、深海棲艦を殲滅したところで、待っているのは世界の海軍同士の戦いだ』)

あきつ丸(『白紙に戻った海図を塗りつぶすように、海軍は海を支配していくだろう』)

あきつ丸(『海は再び、血に染まる。それは現在の比ではない』)

あきつ丸(『それを止めるための力が、我々にも必要なのだ』、と)


11:2015/05/17(日) 16:36:25.75 ID:
あきつ丸(……)

あきつ丸(……それは本当のことなのだろうか?)

あきつ丸(本当は、海軍に嫉妬しているだけではないのだろうか?)

あきつ丸(自分が艦娘の製造技術を盗み出したところで……)

あきつ丸(それは果たして、平和のために使われるのだろうか?)

あきつ丸(……)


12:2015/05/17(日) 16:38:54.18 ID:
あきつ丸(提督殿はお優しい。理知的で、日本の将来を見据えて動いている)

あきつ丸(艦娘たちもそうだ。皆、お国のために働いている)

あきつ丸(それに比べて、陸軍のしていることは……自分のしていることは……)

あきつ丸(……)ウトウト

あきつ丸(正直に話せば、提督殿は力になってくれるだろうか)

あきつ丸(それとも、裏切り者として自分に処罰を与えるだろうか)

あきつ丸(分からない……分からないが……)ウトウト

あきつ丸(……提督殿……)zzz


13:2015/05/17(日) 16:42:23.73 ID:
~深夜~

あきつ丸「……はっ!」

あきつ丸「いつの間にか寝ていたようであります」

あきつ丸「服も着替えず、なんとだらしない……」

あきつ丸「寝汗がひどい……風呂に入らなければ」

あきつ丸(時間は……大丈夫でありますな)

あきつ丸「ならば、手早く汗を流すであります」スクッ


14:2015/05/17(日) 16:46:00.33 ID:
~艦娘用大浴場~

あきつ丸「……」キョロキョロ

あきつ丸「誰もいないでありますな」

あきつ丸「今日は出撃もない。急な入渠もないはず」

あきつ丸「今のうちに……」パサッ

あきつ丸「……」ポロン

あきつ丸「はあ」


17:2015/05/17(日) 16:51:34.34 ID:
あきつ丸(華奢な体。貧弱な肉つき)

あきつ丸(少女のような自分の体)

あきつ丸(そして、股間にぶら下がる男の象徴……)

あきつ丸(一体、いつまで隠せばいいのか)ハァ

あきつ丸(自分が男であることを。厳密な意味では艦娘ではないことを)

あきつ丸(この鎮守府にも人が増えた)

あきつ丸(こっそりと湯を浴びたところで、そのうちバレてしまう)

あきつ丸(その時、自分はどうすればいいのか……)


18:2015/05/17(日) 16:56:07.82 ID:
あきつ丸(見よう見まねで作られた自分は、)

あきつ丸(陸軍の技術力の拙さと、艦娘製造技術のなさで、)

あきつ丸(男型の艦娘として生まれ――そのくせ、駆逐艦にさえ及ばないほど非力だ)

あきつ丸(自分が盗み出した技術によって、女型のまるゆを作れるようになったようだが……)

あきつ丸(やはり非力だ。あれでは物資輸送しかできず、そのくせ難点が多いと聞く)


19:2015/05/17(日) 17:01:26.59 ID:
あきつ丸(陸軍は海軍に追いつけ追い越せと声高に叫んでいる)チャプン

あきつ丸(だが、どうやってパワーバランスとやらを取るつもりなのだろうか)

あきつ丸(これでは足を引っ張るのが関の山で……)

あきつ丸(そんなことをしている場合ではないのに……)ホゥー

あきつ丸(……)

あきつ丸(……垢を落として出よう)

あきつ丸(誰が来ないとも限らない……)


20:2015/05/17(日) 17:04:01.79 ID:
あきつ丸(……)カララ

あきつ丸「ふう」

あきつ丸(鬱々している時も、風呂は気持ちいいものでありましたな)シュル

あきつ丸「はあ……」フキフキ



提督「あきつ丸……?」



あきつ丸「っ!!!!!!」


21:2015/05/17(日) 17:06:04.77 ID:
提督「あきつ丸、貴様……」

提督「男、だったのか……?」

あきつ丸「ち、ちがっ!」バッ

提督「い、いや、しかし……」

提督「見慣れたものが……股間に……」

あきつ丸「こ、これは、そのっ!」


22:2015/05/17(日) 17:10:38.55 ID:
あきつ丸(しまった! 油断していた!)

あきつ丸(艦娘の使用しない時間帯に、提督殿が大浴場を利用されることもある!)

あきつ丸(失念していた……! 使用中の札もかけていなかった!)

あきつ丸(ど、どうする……!? この場をどう切り抜ける!?)

あきつ丸(考えろ……考えるであります、あきつ丸!)

あきつ丸「あの、その……!」

提督「……」

提督「何か事情が、あるのだな?」


23:2015/05/17(日) 17:14:03.97 ID:
あきつ丸「えっ……」

提督「なるほど、以前から他の艦娘とは何かが違うと思っていたが……」

提督「そうか、あきつ丸は男型の艦艇だったか」

あきつ丸(……もう、誤魔化せない)

あきつ丸(このことについては、認めるしかない)

あきつ丸「そ……そうであります」

提督「……そうか」

提督「深海棲艦を参考に建造されたのが艦娘だ」

提督「だから、男型がいるとは……その、思わなかったぞ」


25:2015/05/17(日) 17:18:03.64 ID:
あきつ丸「……」

提督「……聞いていいか?」

あきつ丸「……はい」

提督「どうして男であることを隠していたんだ?」

提督「どうして艦『娘』であると偽装して、この鎮守府に来たんだ?」

あきつ丸「それは……」

あきつ丸「自分の存在は異質そのものであります」

あきつ丸「それが不協和音を生むより、艦娘として振舞った方が……」

あきつ丸「艦隊に一体感が生まれる。将校殿は、そう考えておられたそうです」

提督「……なるほど」


26:2015/05/17(日) 17:19:30.32 ID:
あきつ丸「……」

提督「……」

あきつ丸「それで、その」

提督「なんだ?」

あきつ丸「自分の処遇は……どうなるのでありましょう?」

提督「処遇か……」


27:2015/05/17(日) 17:22:39.09 ID:
提督「……今まで通りで構わない」

あきつ丸「なっ!?」

あきつ丸「じ、自分は男であります!」

あきつ丸「それが艦娘の中にいるのは問題では……!?」

提督「なんだ、貴様は問題を起こすつもりなのか?」

あきつ丸「まさか!」

提督「なら、いいじゃないか」

提督「貴様が言った通りだ。男であると皆に明かしたところで、艦隊の協調性を損なうだけだ」

提督「それならば、終戦まで隠し通すべきだ。私はそう考えた」

あきつ丸「ですが……」


30:2015/05/17(日) 17:25:41.53 ID:
提督「少し驚いたが、何が変わるわけでもない」

提督「私は何も気にしない。協力を求めるのであれば応じよう」

提督「大浴場が利用できない日は、私の部屋の内風呂を使ってくれて構わない」

あきつ丸「い、いえ、そのような……」

提督「ともかくだ」

提督「今まで通りでいこう。いいな?」

あきつ丸「は、はい……」


31:2015/05/17(日) 17:29:27.07 ID:
あきつ丸(こうして、一つ目の秘密がバレた)

あきつ丸(意外なほどにあっさりと……そして、意外なほどにすんなりと受け入れられた)

あきつ丸(分かってはいたが、提督殿は度量の広いお方だ)

あきつ丸(自分が男であるか、女であるかは、あの方にとっては些細な事なのかもしれない)

あきつ丸(それどころか、協力するとまでおっしゃってくれて……)

あきつ丸(……)

あきつ丸(そんな提督殿に、自分は嘘をついた)


32:2015/05/17(日) 17:32:27.62 ID:
あきつ丸(自分が男であると隠していたのは……)

あきつ丸(男であると明かせば、艦娘の中に紛れ込めなかったからだ)

あきつ丸(近くにいて、各種データを取り、艦娘と同じ整備を受ける)

あきつ丸(そうすることが、間諜である自分の役目)

あきつ丸(それが提督殿に言えなかった、本当の理由)


33:2015/05/17(日) 17:36:23.93 ID:
あきつ丸(汚い。汚い。自分は汚い)

あきつ丸(一心にお国のために戦っている彼らに比べ、自分はあまりに汚れている)

あきつ丸(何をしているのだ、自分は……)

あきつ丸(自分がしていることは、本当に正しいことなのか……)

あきつ丸(……いっそのこと、自分が間諜であると提督殿に打ち明けようか?)

あきつ丸(………………いや、それは駄目だ!)

あきつ丸(もしも、提督殿や、艦娘たちに軽蔑の目で見られたら……)

あきつ丸(自分は……自分は……)


34:2015/05/17(日) 17:40:25.40 ID:
~一ヵ月後~

あきつ丸(相変わらず、自分は艦娘と間諜、二重の生活を送っている)

あきつ丸(提督殿は自分に良くしてくれている。以前に比べ、グッと生活しやすくなった)

あきつ丸(陸軍からは以前にも増して指令が送られてくる)

あきつ丸(戦艦の作り方。空母の作り方。艦娘の弱点。新型装備の設計図)

あきつ丸(提督殿との距離が縮まったと報告したら……)

あきつ丸(得られるはずもない重要機密を、盗み出すように命じてくるようになった)


35:2015/05/17(日) 17:43:35.65 ID:
あきつ丸(自分はどちらを信じるべきなのだろうか)

あきつ丸(全てを打ち明けて、提督殿の庇護下に入るべきなのだろうか)

あきつ丸(それとも陸軍の文言を信じ、間諜に徹するべきか――)

あきつ丸(……)

あきつ丸(…………)

あきつ丸(………………)カサッ

あきつ丸(新しい指令書が、届いた)

あきつ丸(そこには、『自分の体を使ってでも、提督を篭絡しろ』と書かれていた)


37:2015/05/17(日) 17:48:05.87 ID:
あきつ丸(陸軍は狂っている)

あきつ丸(そう思った)

あきつ丸(だからこそ、自分は――)


~夜 提督の私室~


あきつ丸「お風呂、助かったであります」

提督「いや、構わない」

提督「昨日、今日と入渠する艦娘が多かったからな」

提督「特に赤城や加賀が居座っていては、入ろうにも入れなかっただろう」ハハハ


39:2015/05/17(日) 17:50:38.19 ID:
提督「それで、どうする?」

提督「茶でも飲んでいくか? それとも、また一局、つきあってくれるか?」

あきつ丸「いえ、今日は素直に帰るであります」

あきつ丸「あまり入り浸っていては、不審に思われますゆえ」

提督「そうか。分かった」

提督「では、また明日。おやすみ」

あきつ丸「はい……」

あきつ丸「……」


40:2015/05/17(日) 17:52:09.89 ID:
あきつ丸「提督殿」

提督「ん? なんだ?」

あきつ丸「聞いてもらいたいことが……あるであります」

提督「……聞こう」スッ

あきつ丸「実は……」

あきつ丸「じ、実は、自分は……」


41:2015/05/17(日) 17:55:57.04 ID:
あきつ丸(それから、自分は提督殿に全てを打ち明けた)

あきつ丸(自分は陸軍の間諜であること)

あきつ丸(過去、何度も海軍の情報を盗み出したこと)

あきつ丸(自分の悪行から、陸軍の思惑まで――)

あきつ丸(堰を切ったように吐き出していった)


42:2015/05/17(日) 17:58:50.71 ID:
提督「……」

あきつ丸(提督殿は、自分を怒鳴ることもなく、戸惑うこともなく、)

あきつ丸(ただ、黙って、自分の話を聞いてくれた)

あきつ丸(彼は自分を打ち据えていい。憲兵を呼び、連行させてもいい)

あきつ丸(そうするだけの権利が彼にはあり――)

あきつ丸(そうされて然るべきことを、自分はした)

あきつ丸(だというのに、提督殿は――)

あきつ丸(ただただ、黙って、自分の話を――)


43:2015/05/17(日) 18:01:32.91 ID:
あきつ丸「……以上であります」

あきつ丸(話を終えた時、自分の心は不思議に穏やかとなっていた)

あきつ丸(これまで抱えていた荷物を降ろした。そのような気分だった)

あきつ丸(自暴自棄になったのではなく、後はもう、どうなってもいいと――)

あきつ丸(神妙な気持ちで、提督殿の返事を待った)


44:2015/05/17(日) 18:02:52.28 ID:
提督「……」

あきつ丸「……」

提督「……知っていた」

あきつ丸「え……」

提督「知っていたのだ。私は全て」

あきつ丸「な、なんと……?」


45:2015/05/17(日) 18:07:22.56 ID:
提督「我が鎮守府から陸軍へと情報が漏れていたこと」

提督「そして、それは貴様の手によって行われていたこと」

提督「全て承知の上だった」

あきつ丸「な、なぜ……!?」

あきつ丸「ならばなぜ、自分を捕縛しなかったのでありますか!?」

提督「それでいいと思ったからだ」

提督「仕事もなく、活躍する場もなく、腐っている陸軍が……」

提督「クーデターを起こすでもなく、『権謀術数ごっこ』に腐心するのなら」

提督「それでいいと思った」

あきつ丸「……!」


46:2015/05/17(日) 18:10:30.97 ID:
提督「押さえ込むばかりでは、いつか大きな爆発を起こす」

提督「人間とは……特に権力を持つ者なら、なおさらそうだ」

提督「だから私は、意図的にガス抜きをさせることにより、」

提督「間違えても内乱が起こらないよう、配慮した」

あきつ丸「そう、だったので……ありますか……」

あきつ丸「ならば、自分は……陸軍は……」

あきつ丸「なんと愚かであったことか……」ガクッ


47:2015/05/17(日) 18:14:04.63 ID:
提督「承知の上でのことだったのだ」

提督「私は陸軍を責めないし、海軍は陸軍を弾劾しない」

提督「今は人類同士で争っている場合ではないのだ」

提督「仲睦まじく、とまではいかないが、ある程度は配慮しないとな」

あきつ丸「はい……」





提督「――だが、貴様は別だ」

提督「あきつ丸。陸軍の間諜」

提督「貴様の行ったことは、赦されることではない」

あきつ丸「……え?」


48:2015/05/17(日) 18:17:12.94 ID:
提督「あきつ丸。愚かな陸軍の犬め」

提督「未練がましく陸軍にすがりつき――」

提督「今となってようやく、海軍に下った」

提督「名目上は一年も前から海軍の一員であるにも関わらず、だ」

あきつ丸「提督……殿……?」

提督「この裏切りは赦しがたい」

提督「処罰は免れないぞ――あきつ丸!」モミィ!

あきつ丸「提督殿っ! な、何をっ!」


50:2015/05/17(日) 18:20:04.43 ID:
提督「躾けてやるぞ、あきつ丸」グッ

提督「今日、この日から、貴様は身も心も――」

提督「海軍の船へと変わっていくのだ――!」グイッ

あきつ丸「ああっ!」ドサッ

あきつ丸「どうされたのでありますか!? 提督殿! 提督殿!」

あきつ丸「このようなこと……じ、自分は男であります!」

提督「――それが?」

あきつ丸「なっ――!?」


57:2015/05/17(日) 20:49:02.09 ID:
提督「海軍には男色を嗜む者が少なからずいてな」

提督「士官学校にいた頃は、私も経験を積んだものだ」

あきつ丸「そういう問題では……!」

提督「なに、気を楽にするといい」

提督「自慢ではないが、腕には少々自信がある」

提督「すぐに気持ちよくしてやろう」シュルシュル

あきつ丸「あっ、ふ、服がっ……!」


58:2015/05/17(日) 20:54:31.69 ID:
提督「案の定、胸は詰め物か」

提督「くだらない……その下に、もっと素晴らしいものを持っているというのに」スルリ

あきつ丸「ひっ……!」

平たく、色白な胸板を、提督の手が滑っていく。

男の官能を引き起こす、繊細なスライドタッチ。

だが、今のあきつ丸にとっては嫌悪感を催すものであり、彼は思わず身をすくめてしまった。

その間にも、提督は手際よくあきつ丸の衣装を脱がせ、陶磁器を磨くように、彼の肌をなぞりあげていく――。


60:2015/05/17(日) 21:01:15.46 ID:
提督「ふむ、いい形の尻だ」シュルッ

あきつ丸「っ!」ビクン

提督「感度も良さそうだ……だが、無理は禁物だな」

あきつ丸「そ、それは……?」

子兎のように縮こまったあきつ丸は、どろりと粘つくものを見上げた。

筒状の容器から垂らされ、提督の指にはめられたコンドームに絡みつくそれは――。

アナルセックス専用に開発されたローションである。

女性器には到底使えない、粘度の高すぎる液体は、しかし、硬く締まる菊門にはうってつけの潤滑剤だ。


61:2015/05/17(日) 21:07:26.20 ID:
あきつ丸「な、何を……!」

あきつ丸「止めてください……止めてください、提督殿!」

艤装を解除した艦娘は、見た目通りに非力だ。

ましてや『もどき』であるあきつ丸は、か弱いと言えるほど力がない。

日に焼け、引き締まった体を持つ提督に襲われれば、力ずくで手篭めにされる他ない。

――だが、提督はあくまで快楽によってあきつ丸の動きを封じ、

あきつ丸は、湧き上がる未知なる感覚に、力なくベッドに横たわるばかりだった。


62:2015/05/17(日) 21:14:20.93 ID:
あきつ丸「あ、あ、あ……?」

あきつ丸「やっ、あっ! て、提督殿!」

不意に、あきつ丸の中に、ぬるりと提督の指が入り込んできた。

ローションを伴い、肉をほぐすように蠢くそれに、あきつ丸は一瞬、体を震わせる。

あきつ丸「ぁっ!?ビクン

だが、恐怖は快楽に上書きされ――そのように感じた自分に、あきつ丸は驚いた。

それもすぐさま、甘く、むずがゆいような感覚に流されていき、あきつ丸はすぐにも抵抗の意思を失っていく――。


64:2015/05/17(日) 21:22:43.51 ID:
士官学校では、同級生に手を出し、下級生を貪り、上級生さえ蕩けさせ――。

教官さえ翻弄した提督にとって、あきつ丸の体を『開かせる』のは、造作もないことだった。

あきつ丸「ひ、ぃ……! あ……?」

同時に、この容易な相手は、提督にとってかけがえのない宝玉であった。

提督「ここが貴様の前立腺だ。分かるか?」

あきつ丸「ぜ、ぜん……?」ハァハァ

男を食い漁ったとはいえ、提督自身はバイセクシャルだ。

人並み以上の性欲を持ってはいたが――それは、男女平等に向けられるものだった。

そんな青年が士官学校を出て配属されたのは、艦娘ばかりの横須賀鎮守府。

間違いがあってはならない相手。決して孕ませてはならない戦乙女たち。

提督は、耐えなければならなかった。

出自の確かさから、娼婦を――ましてや男娼を買うことは、彼には許されなかった――。


65:2015/05/17(日) 21:30:30.48 ID:
提督「分かるだろう? ここが貴様の秘所だ」

提督「甘く疼くしこりが、貴様の中のメスの部分だ」

あきつ丸「そ、そんな……自分は男であり、ま、ああっ!」ビクン

提督「そのような嬌声を上げて……ククク、よく言えたものだ」

長きに渡る禁欲生活の中、あきつ丸はまさに舞い降りた天使だった。

手を出していい相手。それが問題にならない相手。その事実を、内々に揉み消せる相手――。

提督は、自身の獣欲が荒ぶるのを自覚していた。すぐにもひくつく菊門に突き入れて、乱暴に腰を動かしたかった。

――だが、あきつ丸は大事な大事な掌中の玉だ。

壊すわけにはいかない。丁寧に扱い、長く、長く、愛用するべきだ――。


67:2015/05/17(日) 21:35:44.49 ID:
あきつ丸「ひぃ! あ、ああっ!?」

あきつ丸「んはっ! ぁ、あぁ!!」ビクン!

提督「可愛がってやるぞ、あきつ丸」

提督「蕾から満開の桜となるように――」

提督「私が直々に調整してやろう」グリリッ

あきつ丸「あ、ああああっ!!」

執拗なまでに前立腺を刺激され、あきつ丸は少女のように喘いだ。

断続的にドライオーガズムの波が来る。その度に、とろり、とろりと鈴口からカウパーが垂れる。

それでも提督は指の動きを止めず――あきつ丸は汗だくになりながら、弓なりに腰を浮かせ、シーツを握って戦慄いていた。


68:2015/05/17(日) 21:40:47.00 ID:
~翌朝~

あきつ丸「……」

あきつ丸「……む、う」

あきつ丸「いつの間にか寝て……」

あきつ丸「っ!?」

跳ね起きたあきつ丸は、まず、自分の体を見下ろし、次いで、周囲をぐるりと見回した。

自分は寝巻きを着ていて――そして、ここは自分の部屋だ――。

そのことを何度も確認したあきつ丸は、ほっと体の力を抜き――。

下腹部の甘い疼きによって、現実へと引き戻された。


69:2015/05/17(日) 21:47:37.66 ID:
あきつ丸(玩ばれた……)

あきつ丸(男に……提督の手で、何度も何度も逝かされて……)

あきつ丸(最後は射精まで……)

尻穴を弄られて、女のような絶頂を味わわされたことよりも。

男であるあきつ丸にとって、『男に射精させられた』ことの方が、よほど屈辱であった。

――過敏になった男根をしごき上げられ、意識が飛ぶほどの射精をさせられた。

漫然と生きていては知り得ない快楽だった。今なお余韻が残るエクスタシーだった。

だが、そのようなもの――あきつ丸は知りたくなかった。


73:2015/05/17(日) 21:52:15.31 ID:
あきつ丸「……」

あきつ丸「出勤、しよう……」

あきつ丸「朝礼が……」

男としての尊厳が損なわれようと、そのことで深いショックを受けようと、それは周囲には窺い知ることさえできないことだ。

いや、察せられたらまずい。まさか、男色に浸ったなど――。

知られるわけにはいかなかった。

あきつ丸の立場は、それを許さなかった。


75:2015/05/17(日) 21:59:18.49 ID:
あきつ丸の予想通り――。

そして、提督の宣言通り。

あきつ丸は、密かに『開発』されるようになった。

あきつ丸「ん、ああっ!」

提督「まだ固いな……ククク」

提督は狡猾でしたたかだった。

執務を疎かにせず、艦娘たちとの交流を絶やさず、無理なくあきつ丸に手を出した。

彼が時と場所をわきまえない人物であったのならば、もしかすると、あきつ丸にも救いの道があったのかもしれない。

しかし、提督は優秀なオスだった。己の獣欲を手なずけつつも、獲物は容赦なく追い詰めていく。

全てを水面下で進め、そのことを周囲の者に悟らせなかった。


76:2015/05/17(日) 22:03:54.50 ID:
己の欲望を優先せず、提督は自らの男根をさらけ出すことさえしなかった。

あくまであきつ丸を愉しませ――細心の注意を持って、彼には悦楽しか与えなかった。

苦痛はない。痛みはない。あきつ丸の肢体には、メスの悦びだけが刷り込まれていく。

あきつ丸「ああっ! あ~!!」ビクンビクン

提督「指を二本に増やしただけで……ふふふ、そう嬉しがるな」

異常な状況に馴染んでいく心と身体。

あきつ丸は百戦錬磨の業師によって、彼のオンナとして開花しつつあった――。


78:2015/05/17(日) 22:10:49.53 ID:
~数週間後~

あきつ丸「……」

あきつ丸(もう、限界であります……)

あきつ丸(最近は、提督殿に抗えないどころか……)

あきつ丸(彼との逢瀬を、愉しんでいる自分を感じる……)

あきつ丸(彼は優しくしてくれる……最近では、簡易空母に改造してくれて……)

あきつ丸(『空母に改造する』技術情報を流させることで、陸軍での地位を向上させてくれた……)

あきつ丸(間諜としての仕事は順風満帆。艦隊決戦の際にも出番が増えた)

あきつ丸(提督殿に身を委ねれば、何もかもが上手くいく……)

あきつ丸(だが、自分は男であります)

あきつ丸(腐っても日本男児なのであります……!)ポロポロ


79:2015/05/17(日) 22:15:00.16 ID:
~その夜 提督の私室にて~

提督「……ほう?」

提督「私を告発する、と?」

あきつ丸「ええ」

あきつ丸「これまでの行い、そのいくつかを録画させていただきました」

あきつ丸「これを公開すれば……さしもの提督殿も、言い逃れできないであります」

提督「なるほど……ふふっ」

提督「だが、相手は誰だ? お前だろう?」

提督「それに、私は指と道具しか使っていない」

提督「客観的に見れば、同意の上の……少し変わったプレイにしか見えないと思わないか?」

あきつ丸「戯言を……!」


80:2015/05/17(日) 22:18:55.37 ID:
提督「それに、よく考えてもみろ」

提督「その映像を公開するということは、貴様が男であると明らかになるということ」

提督「そうなれば、艦娘からは軽蔑の視線で見られ、陸軍からはあっさりと切り捨てられるだろうな」

提督「告発などしても、貴様も破滅するだけだ。そうは思わんか?」

あきつ丸「……死なば諸共であります」

あきつ丸「これまで自分を散々玩んだ報い……」

あきつ丸「受けるがいいであります……!」ポロポロ


81:2015/05/17(日) 22:27:07.83 ID:
提督「……」

提督「…………」フゥー

あきつ丸「っ!」ビクッ!

提督「あきつ丸。私は貴様が好きだ」

提督「愛している、と言っても過言ではない」

提督「そのような相手が自暴自棄になっているのは、心苦しく思うぞ」

あきつ丸「事ここに至って、なお……!」

あきつ丸「獣め……野獣めぇ……!」ボロボロ

あきつ丸「自分は男であります! このような形(なり)でも、男なのであります!」

あきつ丸「それが男に寵愛され、何度も気をやることの惨めさが……!」

あきつ丸「貴様に分かるか……!」ボロボロ


82:2015/05/17(日) 22:32:35.62 ID:
提督「……」

提督「あきつ丸」

提督「認めるんだ。そうすればその苦しみはなくなる」

あきつ丸「な、何を……!?」

提督「私に愛でられる悦びを」

提督「陸軍の無能さと愚かさを」

提督「全て認めて、私のものになれば――」

提督「楽になる」

提督「そうは思わないか――あきつ丸」

あきつ丸「ち、ちが……」


84:2015/05/17(日) 22:39:03.51 ID:
提督「あきつ丸」グイッ

あきつ丸「あっ……」

提督「もう一度言うぞ」

提督「私のものになれ」

提督「――いいな?」

あきつ丸「提督……殿……」

提督のたくましい腕に抱かれ、あきつ丸の身体からはたちまち力が抜けていく。

提督の顔が近づくにつれ、抗議の声は掠れて消えていった。

あきつ丸の中で、多くのことが渦巻いていた。

有能な提督のこと。目先のことしか考えない陸軍のこと。胸の高鳴りと、じくじくと疼く下腹部のこと。

返事はない。言葉にならない。

代わりに、あきつ丸はこれまで許さなかった唇を提督に差し出して――。

その夜、自身の全てを、提督に捧げた。


87:2015/05/17(日) 22:43:57.49 ID:
~数日後~

将校『素晴らしい……素晴らしいぞ、あきつ丸! よくやった!』

あきつ丸「はっ」

将校『これで艦娘研究は飛躍的に進む。このデータさえあれば、海軍を上回るがさえできる!』

将校『ふ、ははっ! 忌々しい海猿め。いつまでも大きな顔をさせるものか……!』

将校『人が住まうは土の地面。陸がなければ人は生きていけない』

将校『そのことを、思い知らせてやるのだ……なあ、あきつ丸よ!』

あきつ丸「んんっ……あっ、はっ」

将校『……あきつ丸?』


88:2015/05/17(日) 22:47:30.55 ID:
あきつ丸「いえ。誰かがそばを通ったと思いましたが、気のせいでした」

あきつ丸「ですが、これ以上は危険と判断し、これで通信を終わります」

将校『そうか。そうだな。これからはより一層、気をつけなければな』

将校『それではあきつ丸。次回の報告も楽しみにしているぞ』

あきつ丸「はっ」

プツン

あきつ丸「……」

あきつ丸「ああっ!」ビクッ

あきつ丸「ふ、ふふ。危なかったでありますな」

あきつ丸「提督殿」


89:2015/05/17(日) 22:52:11.36 ID:
提督「ふふふ、興奮していたくせに何を言う」

提督「うねるように締まっていたぞ。思わず射精するところだった」

あきつ丸「あ、んっ♪ 出していただいて結構でしたのに……」

提督「いや、夜は長い。もっと愉しまないとな」

あきつ丸「そうでありましたな……あっ、んはっ!」グリグリ

提督「おっ、いいぞ……貴様も慣れた動きをするようになった」

あきつ丸「提督殿の教育のおかげであります」フフッ


90:2015/05/17(日) 22:57:09.07 ID:
あきつ丸「あっ、あっ、はっ、んはっ……」グイグイ

提督「ふ、ふふふ……それにしても」

あきつ丸「?」

提督「将校殿とやらは随分とのん気なお方だな」

提督「取らぬ狸の皮算用というか……その計算の元になるものさえ、私がわざと流したというのに」

提督「あのようにもろ手を挙げて喜んで……」クックッ

あきつ丸「ふふっ、仕方がないでありますよ」

あきつ丸「陸軍のお偉方は、海軍憎しで凝り固まっておりますゆえ……」

あきつ丸「本当の脅威である深海棲艦でさえ、目に入ってはいないのでしょう」フフッ

提督「貴様も言うようになったな」ククク


92:2015/05/17(日) 23:08:44.60 ID:
提督「まあ、これで貴様も改めて納得できただろう」

提督「やつらは害虫だ。自浄作用を無くし、陸軍内でさえ争いあう権力の豚だ」

提督「深海棲艦との戦いに勝利した暁には――」

提督「駆除しなければならない対象だ」

あきつ丸「その通りであります」

提督「内輪揉めをしている場合ではないので、生かしておかねばならないが……」

提督「あきつ丸。その時が来たら、貴様にも存分に働いてもらうぞ」

あきつ丸「当然であります」

あきつ丸「自分は提督殿のもの。提督殿のオンナでありますゆえ」

あきつ丸「望まれれば、いかようにも――」


93:2015/05/17(日) 23:16:28.75 ID:
そう言うや否や、あきつ丸は提督にしなだれかかり――。

彼と濃厚な口付けを交わしながら、腰の動きを再開させた。

提督の上に跨り、彼の雄々しい男根を呑み込んだ菊門は――。

媚びるように腸壁を絡みつかせ、射精を促すように蠢いた。

あきつ丸「あっ、胸をっ……!」

あきつ丸の身体も随分と女らしくなった。

華奢ではあったが色気のなかった肢体は、肉付きがよくなり、艶やかさを増し――。

簡易空母へ改造したためか、はたまた、提督の『指導』の賜物か。

胸はふくらみ、提督の愛撫を歓喜をもって受け止めていた。


94:2015/05/17(日) 23:21:59.79 ID:
――天窓から月明かりが差し込む、提督の寝室。

簡素なベッドの上で、あきつ丸は――提督のオンナは、一心に腰を振る。

玉のような汗が飛び散り、シーツに落ちては染みを作る。

二人の身体からは熱気が立ち昇り、部屋の湿度を上げていく。

それでも構わず、あきつ丸は腰を動かし――。

自分の中で提督の分身が震え、精を吐き出したのを感じた瞬間。

彼もまた、提督の腹の上へと吐精し、絶頂の余韻を味わった後、白濁に汚れるのも構わず倒れこんだ。


95:2015/05/17(日) 23:26:47.46 ID:
あきつ丸「はぁ……はぁ……」

提督「ふう……」

荒い息を吐く二人。

ぼぅ、と天窓の向こう、星空を見上げる提督と、彼の胸板に頬を寄せ、うっとりと目を細めるあきつ丸。

情事を終えた、オトコとオンナ。

次の一戦に備え、息を整える提督と艦『娘』。

天窓から注ぐ月明かりは、火照った彼らの身体を照らし――。

その薬指にある指輪を、キラリと光らせていた。

~完~


98:2015/05/17(日) 23:29:23.50 ID:
おしまい

……次はレーベかマックスが餌食だな!

大穴でもがみん。ダークホースに島風くん。

ああ~、夢が広がるんじゃあ~^^


99:2015/05/17(日) 23:31:02.02 ID:
マックスくん突き上げたい…突き上げたくない?


100:2015/05/18(月) 00:00:07.58 ID:
なんだ、ただの純愛か


男の娘ならなんも問題は無い 乙でした


103:2015/05/18(月) 23:39:19.46 ID:
ホモは名作家




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