1:2015/12/06(日) 23:14:49.10 ID:

ここに穴があります。

俺の目の前に。

間違いなく穴です、俺の目にはそう見えます。

巨人が入ってくるのに、ほどよい高さと幅に開けられています。


俺が覚えている限りでは、……5年前からあります、

そしていまも、俺の目の前にあります。

間違いなく、あります。

巨人が入ってくるのに、ほどよい高さと幅に開けられています。



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2:2015/12/06(日) 23:16:06.87 ID:


いまから俺は、この穴を塞ぎます。

塞いだ瞬間から、これは「穴」ではなくなります。

そうなれば、

俺はもう、「ここに穴があります」とは言えなくなる。


ここに穴が「あった」とでも、俺は言うしかないでしょう。



みなさんは、どう言うのですか。


「ここに穴があった」

「ここに穴はない」

「これは穴ではない」

「ここに穴はなかった」

「これは壁である」


・・・・・・



3:2015/12/06(日) 23:17:49.61 ID:



重ねて言います。



いまから俺は、この穴を塞ぎます。

塞いだ瞬間から、これは「穴」ではなくなります。

そうなれば、

誰ももう、「ここに穴があります」とは言えなくなる。


そして、


ここに穴が「あった」と、みなさんは言うのですか?



いまから俺は、この穴を塞ぎます。


俺が覚えている限りでは、確か、

5年前からここにある……この穴を。


みなさんの記憶ではどうでしょう?


ちょっと俺を助けてください、本当にこの穴は、5年前からあったのですか?

その前には「なかった」のですか?


それは間違いないことなんですか?


俺にいま、間違いなく言えるのは、

俺の目の前にこの穴が確かに「ある」、ということだけです。

だから塞ぐんです。


4:2015/12/06(日) 23:19:53.16 ID:




正直に言いましょう。

俺はバカなので不安です。

塞いだ瞬間、「穴」は世界から消え失せる。

消え失せたら、

ここに「穴」が「あった」と、きっぱり言えるんでしょうか、俺は。



いや、ちょっと待ってください。


俺が覚えている通り、

5年前以前にこの穴がなかったなら、どうしてこの穴はできたんでしょう?

誰かが、何かの意図で開けたんでしょうか?

とぼけるんじゃない、お前は知ってるだろうって?

いいえ。俺は知りません。

本当に知らないんです。

俺が知ってると思うのは、みなさんの早合点です。


よく考えてみてください。

「なぜこの穴はできたのか?」

そんなこと、俺に分かるわけないじゃないですか!




5:2015/12/06(日) 23:22:20.87 ID:


「俺が開けたんじゃない」ってことさえ、バカな俺が覚えてる限りのことです。

みなさんはどうです?

「自分が開けたんじゃない」っておっしゃるなら、

それもみなさんが覚えてる限りのことですよね?



そもそも「穴」って何なんですか?


「なくてもいいもの」

「あってはならないもの」

「忌まわしいもの」

「おぞましいもの」

「呪わしいもの」

「呪われたもの」


だから塞がないといけないんですね!


だから俺はここに立ってるんですね!


ええ、それは間違いないことのようです。

間違いないことの。



6:2015/12/06(日) 23:26:12.87 ID:


この穴が世界にあらわれてから、

血が流れました、

涙が流れました、

間違いなく。

ええ、多分、間違いなく。


俺の涙も流れました。

みなさんの涙も流れたでしょう?

みなさんと同じように、俺が流した涙は血の色をしていました。

ガキが調子づくな、とのお叱りはごもっともです。

みなさんが流した涙の血の色は、俺の何倍も赤かったでしょう。



でも涙は流れていきました。川の水と同じように。

血の色をしていようがしていまいが、流れ去ってここにはありません。

もう、影も形も。

確かなのは、俺とみなさんが覚えていること、そして


現在も「穴」が実在する、ということです。



だから俺はいま、ここにこうして立っているんです!


7:2015/12/06(日) 23:29:05.23 ID:



ですが、

俺はバカなので不安です。



涙が血の色をしていたことを、

俺は覚えていられるんでしょうか?

いま、俺の目の前にある穴が無くなったあとでも。


みなさんはどうです?


バカな俺が忘れてしまわないように、

しっかりと言い聞かせてくれますか?

「お前の流した涙は確かに血の色をしていた!」と。

俺の目から目を逸らさずに、言いきってくれますか?


俺が、流した涙の色を忘れそうになったら、

横っ面をひっぱたいて、肩をつかんで揺さぶって思い起こさせてくれますか?


そう約束してくれますか?


「涙は赤くない。血の色などしていない」

えらそうにほざく奴があらわれたら、俺の目の前で張り倒してくれますか?



8:2015/12/06(日) 23:33:16.78 ID:


でも、みんな未来のことです。

まだ何も、何一つ、起きていないことです。


いまは、俺の目の前に穴があります。

実在しています。

「しっかりと」「ゆるぎなく」実在しています。

巨人が入ってくるのに、ほどよい高さと幅に開けられた穴が。

いま、ここに立っている俺の目に映っています、間違いなく。


そして俺が記憶してる限りでは、5年前からここにあります。


いまから俺は、この穴を塞ぎます。

俺が塞げば、ここから「穴」はなくなります。


いろいろな言いかたがあります、多分。


「ここに穴があった」

「ここに穴はない」

「これは穴ではない」

「ここに穴はなかった」

「これは壁である」


どんな言いかたでもいいと思います。



9:2015/12/06(日) 23:36:49.00 ID:


ただ、それ以外にひとつだけ、確かなことがあります。


いまから俺は、この穴を塞ぎますが、



「ここに穴があった」

「ここに穴はない」

「これは穴ではない」

「これは壁である」


……未来永劫、みなさんがそう言えることまでは保証できません。

そんなこと俺は約束できません。

そんなこと俺に求めるのは筋違いです。




重ねて言います。



いまから俺は、この穴を塞ぎます。



よろしいんですね?




10:2015/12/06(日) 23:37:24.81 ID:

終わり


11:2015/12/07(月) 00:08:05.01 ID:
ここに乙があります


12:2015/12/07(月) 10:50:35.99 ID:
反戦の意思を感じ取った。


13:2015/12/07(月) 22:05:00.66 ID:

いいからはよ塞げwww



14:2015/12/08(火) 00:44:19.79 ID:
こういうの好きよ


15:2015/12/08(火) 14:16:05.53 ID:
いい




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