1:2013/06/13(木) 17:36:21.30 ID:gqKCUfpk0

アルミン「……という相談?」

ミカサ「うん」

ミカサ「アルミンは、私よりずっと賢い。だから、助言が欲しくて」

アルミン「う〜〜ん……そうは言っても……」

アルミン(ミカサが頼ってくれるのは嬉しいけど……でも、恋愛沙汰に関しては僕も疎いし)

アルミン(大体、ミカサのエレンへの気持ちは単なる家族愛だと思ってたから、こんな相談自体が驚きだ。
      訓練兵になってから初めて気づくなんて、一体何があったんだろう?)


3:2013/06/13(木) 17:37:48.64 ID:gqKCUfpk0

アルミン「ねえ、ミカサ」

ミカサ「なに?」

アルミン「どうして、突然?」

ミカサ「突然じゃない。もう……ずっと前から……」

アルミン(幼馴染とはいえ、綺麗な顔立ちだから……恥ずかしがる姿はさすがにそそるなぁ。
      って違う違う)

アルミン「そ、そうなんだ。でも、僕に話そうと思ったきっかけとか、あるんじゃないのかな?」

ミカサ「きっかけ……とするなら、多分毎晩みんなと話すから」

アルミン「話す? なにを?」

ミカサ「恋愛話」

アルミン(年頃だから当然だけど、毎晩って)

アルミン「差し支えなければだけど、どんな感じの話なのか教えてもらってもいいかい?」

ミカサ「普通に、エレンのことを話す」

ミカサ「今日は右側に寝癖が立っていたとか、寝ぼけながらパンを齧ったら喉に詰まらせそうになったとか
     格闘術の訓練は最近アニとばっかりだとか、座学で巨人の話以外はいつも眠そうだとか
     立体機動訓練では昨日よりアンカー巻き取り地点を19cm遅めにして、スピードを出すように挑戦していたとか」


5:2013/06/13(木) 17:40:14.75 ID:gqKCUfpk0

アルミン「わかったわかった。ありがとうミカサ。君は教官になれるレベルの観察力をもっている」

ミカサ「別に、教官になりたいわけじゃない。私はエレンと一緒に調査兵団に入るつもり」

アルミン「うん、それも知ってるから。……で、その話をみんなにしたわけだね?」

ミカサ「そう」

ミカサ「そしたら、みんなが『それは絶対エレンのことが好きなんだよ』って」

アルミン「言われるだろうね」

ミカサ「でも、それぐらいは私も知ってるし、わかってる」

アルミン「……あぁ、なんとなくわかってきた」

アルミン「好きなら、じゃあこれからどうするの? ってことを、みんなに聞かれたんだ?」

ミカサ「そう」

アルミン「それで出た結論が、恋人になることってわけか」

ミカサ「うん」


9:2013/06/13(木) 17:43:07.74 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「……現状の話をすれば……きっとエレンは、私のことを家族としか思っていない。
    それを打開する案を、なんとかして授けてもらいたいのだけれど」

アルミン「なるほどね」

アルミン(……ミカサの頼みだから、安易に断るわけにはいかないけど。でも、僕だって知識には限界がある)

アルミン(ここは、アドバイスをしてくれる仲間を探すべきだね。下手なことは言えない)

アルミン「わかった。ちょっと考えてみるよ。何かいい案が出来たら、また教える。
      ……僕なんかの助言じゃ、心もとないかもしれないから」

ミカサ「大丈夫。私はアルミンを信頼してるから」

アルミン「ありがとう。それじゃ、またね」

ミカサ「うん。お願い」



――――。


アルミン(さて、じゃあ情報を集めよう)

アルミン(とはいえ、人の心なんて千差万別だ。
      誰かに聞いたりしたって、所詮はその人同士の成功例。
      簡単にいくとは思えないけど……だからって、何もしない理由にはならないよね)

アルミン(まずは、エレン本人だな。それが一番手っ取り早い)


11:2013/06/13(木) 17:46:12.23 ID:gqKCUfpk0

――――その夜。


アルミン「ねえ、エレン」

エレン「なんだ、アルミン」

アルミン「エレンって、どういう人が好み?」

エレン「は? なんだそりゃ」

アルミン「いや、なんかふと気になってさ。そんなこと、話したことなかったろ? 僕たち」

エレン「……言われてみりゃ、そうだな。けど、そんな突然言われてもなぁ」

アルミン「何か明確なのでなくても良いんだ。こんな感じ、とかあれば」

エレン「う〜〜〜〜ん」

エレン「悪いな。やっぱ考えたことないから、特に思い浮かばねーや」

アルミン「そっか。じゃあ気になっている人とかも居ない感じかい?」

エレン「そうだな。特に、って感じだ」

エレン「けど、多分好きになった奴が、好きなタイプなんじゃないか、俺の場合」

アルミン「はは、エレンらしいね」


12:2013/06/13(木) 17:48:29.82 ID:gqKCUfpk0

エレン「そうか? じゃあ、アルミンはどうなんだよ?」

アルミン「僕? 僕は……優しい人かな。単純だけど」

エレン「へー。まあ、確かにお前ならそんな感じするな」

アルミン「そう?」

エレン「ああ。さて、今日はもう遅いから寝ようぜ」

アルミン「うん、おやすみ」

エレン「おやすみ」


アルミン(今のところ、意中の相手は居ない……か。十分な収穫ではあったね)





――――次の日。

アルミン(さて、じゃあ次に聞くのは成功者の話だね。
      考えるより、もっと早く結論が導き出せるんじゃないかな)


アルミン「……あ、ちょうどいいところに」

アルミン「フランツ、ちょっといいかな」


13:2013/06/13(木) 17:50:23.75 ID:gqKCUfpk0

フランツ「ん、どうしたのアルミン?」

アルミン「少し聞きたいことがあるんだけど」

フランツ「なんだい? 僕に出来ることなら、力になるよ」

アルミン「ありがとう。単刀直入に聞くけど、ハンナとはどうやって恋人同士になったの?」

フランツ「えぇ!? な、なんでいきなりそんなこと聞くの!?」

アルミン「興味があるからだよ」

フランツ「…………とはいっても、普通に。としか」

アルミン「その普通が聞きたいんだ」

フランツ「ん〜……僕がハンナに告白した……ってだけだよ」

アルミン「なんて言って?」

フランツ「そ、そんなの言えるわけないよ! いくらアルミンでも!!」

アルミン「あはは、だよね。ゴメン。でも、普通に、好きとか伝えたわけなんでしょ?」

フランツ「ま、まぁ……そうだね」

アルミン「そこに至るまでの話が、ちょっと興味あるなぁ。
      やっぱり、前々からハンナに魅力を感じていたんだろう?」


14:2013/06/13(木) 17:52:34.24 ID:gqKCUfpk0

フランツ「そうだね。最初は、あぁこの子良いなぁって思ってて。
      少しずつ話していくうちに……って感じかな」

アルミン「なるほど。……なにか、ドキッとするようなこととかあった?」

フランツ「えー? んー……あ、汗に輝くハンナは素敵だったよ。
      一生懸命訓練やっている姿は、やっぱりとても良かったと思う。」

アルミン「……うん。わかった。どうもありがとう、フランツ。またね」

フランツ「力に成れたようなら嬉しいよ。またね」


――――。

アルミン(彼らは少しずつ惹かれていったタイプのようだ。
      けど、その場合だとミカサには、残念ながら全く持って当てはまらない。
      数年間も共にしていて、それをエレンが感じている素振りはないってことは……きっとダメだ)


アルミン(訓練後の汗が素敵……うーん、ミカサっていつも涼しげな顔して訓練終えるからな……)


アルミン(……ハッ!)



アルミン(逆に、そうだからこそミカサも魅力が増すんじゃ!?
      普段見慣れない、いつもと違うミカサを演出してみるのはどうだろう。
      うん、この手は使えそうだ。試してみる価値はあるぞ!)


16:2013/06/13(木) 17:55:34.35 ID:gqKCUfpk0

アルミン(逆に、そうだからこそミカサも魅力が増すんじゃ!?
      普段見慣れない、いつもと違うミカサを演出してみるのはどうだろう。
      うん、この手は使えそうだ。試してみる価値はあるぞ!)


アルミン(……とはいえ、これだけじゃ手薄すぎるかな。
      もう少し参考意見が欲しいところだけど……)



アルミン(誰なら……こういう話で最も可能性の高そうな人を考えるんだ)



アルミン(ミカサと同室の人とは既に相談済みと仮定して。
      なおかつ、恋愛経験豊富そうな……)



アルミン(待てよ。恋愛経験豊富、という概念がそもそもおかしいな。
      男性にとって魅力的な女性、というのを見てみれば、ヒントが掴めると変換してみるか。
      告白されたことが多そうだったり、言い寄られることが多そうな人だろうね。)


アルミン(そうなれば、一番適しているのは……)


――――夕食の時間。

アルミン「やぁ、クリスタ。ここ良いかな?」


18:2013/06/13(木) 17:58:25.65 ID:gqKCUfpk0

クリスタ「こんばんは、アルミン。どうしたの?」

アルミン「たまには一緒に夕食でもどうかな、と思って」(可愛い……)

クリスタ「珍しいね。あ、でも私……」

ユミル「おう、アルミン。なに勝手に私のクリスタかっさらおうとしてんだ?」 ガシィッ!

アルミン「うわっ!? ちょっ、頭掴まないでよユミル!! 痛い痛い!」

ユミル「クリスタと飯を食いたいなら、私を通してからにしてもらいたいね」

クリスタ「ちょっとユミル! 別に、一緒にご飯食べるぐらい良いじゃない!」 パシィッ!

ユミル「……だとさ。良かったな、アルミン」 ジンジン

アルミン「あはは、どうも……」

サシャ「あれ? 今日はアルミンが一緒なんです?」

アルミン「やあ、サシャ。たまには、っと思ってさ。いいかな?」

サシャ「ええ、もちろんですよ。みんなで食べればご飯もおいしいですから!」


20:2013/06/13(木) 18:01:37.84 ID:gqKCUfpk0

ユミル「おい、良いから早く私達の飯を運べよサシャ」

サシャ「あぁ、すみません。はい、どーぞ」

クリスタ「ごめんね、いつも。無理にユミルの言うこと聞かなくたっていいんだよ?」

サシャ「良いんですよ。あの時の恩、まだ返しきれてませんから!」

アルミン(律儀だなぁ……こういう気配りできる姿を、もっと見せればいいのに……。
      もったいないよ、サシャ)

クリスタ「ところでアルミン、どうして急に?
      いつもは、エレンやミカサと食べてるでしょ?」

アルミン「それは……その……」

アルミン(周知の事実とはいえ、悩みをそう簡単に他人に話してもよくないよね。
      でも、この状況で適当なこと言えば、まるで僕が女たらしみたいだし……)

サシャ「そういえば、その二人はどちらへ?」

ユミル「エレンならライナーたちと食ってるよ」

サシャ「ミカサは……ああ、そのエレンの傍で黙々と食べてますね」

クリスタ「アルミン、呼んできてあげたら? あれじゃ一人と変わらないよ」

アルミン「え? あ、あぁ……うん」


21:2013/06/13(木) 18:04:13.28 ID:gqKCUfpk0

アルミン(下手に話して怪しまれるよりは、そうした方が良いかもしれない。
      ミカサに一応確認を取ってから、改めて話を切り出してみよう)


――――。


アルミン「……ってわけなんだ」

クリスタ「へぇー、そうだったんだ」

ミカサ「そう。」

ユミル「私らにとっちゃ、今更感のある話題すぎて、特に驚きもしないがな」

クリスタ「ちょっと、ミカサは真剣に考えてるんだから、助けてあげようよ!」

ユミル「あー、はいはい」

アルミン「出来れば、小声で話してくれると助かるんだけど……。
     エレン以外にも聞こえたらまずい連中がいるし」

クリスタ「あ、ごめんね」

サシャ「しかし、男性を惹きつける方法ですか……
     クリスタ、そういう経験はありますか?」

クリスタ「え? そんなの、ないよ! ないない!」 ブンブン!

アルミン(天使……。じゃない、あてが外れたみたいだね。仕方ないか)


24:2013/06/13(木) 18:07:20.89 ID:gqKCUfpk0

ユミル(……)

クリスタ「あ、え、えっとサシャなら、例えばどうされたい?」

サシャ「私は、たくさん食べ物をくれれば……」 フヘヘ

ユミル「こいつに聞いても無駄だろ」

クリスタ「じゃあ、ユミルはどうなの?」

ユミル「私は別に、そういうの興味ねえからな。強いて言うなら……」

ユミル「クリスタが居れば、それでいいさ!」 ガバァッ!

クリスタ「きゃっ!? ちょ、ちょっとユミル!!」 ジタバタ

アルミン(……ここにキマシタワーを建設しよう)

ミカサ「あの」

サシャ「どうしました?」

ミカサ「女性が男性にしてほしいこと、ではなくて。
     男性が女性にしてほしいことはなんだろう、という話なのだけれど」

クリスタ「あ、ゴメンね。話がそれちゃった」

サシャ「では、アルミンならどうです?」


25:2013/06/13(木) 18:10:06.37 ID:gqKCUfpk0

アルミン「僕?」

サシャ「一応、男性じゃないですか」

アルミン「一応って……。そうだね、やっぱ純粋に、優しくされると嬉しいよ」

ミカサ「それはいつもやっている」

クリスタ(え、あれで……なの?)

ユミル(こいつにとって、子守のような行動は全部優しさのつもりなんだな)

サシャ(やはりミカサは優しい子ですね)

アルミン「……いや、でもそれだって重要なことだよ」

クリスタ「え?」

アルミン「僕もエレンの好みは知らないけど、ミカサが優しくしているのをいつもエレンは嫌がる。
      つまり、そういう女性は好みじゃないってことさ」

ミカサ「そう……」 ガーン

アルミン「ああ!! 待ってミカサ、落ち込まないで! まだ希望はあるから!」

アルミン「えと、だからこそ、いつもと違うミカサを見せればきっと良いんじゃないかな?」

ミカサ「いつもと違う……私?」


29:2013/06/13(木) 18:13:44.79 ID:gqKCUfpk0

クリスタ「……笑顔を振りまいてみるとか?」

ユミル「あっはっは! そんなミカサだったら、私は真っ先に笑っちまうけどね!!」

アルミン(もう笑ってるし……)

サシャ「前から思っていましたが、ミカサのお顔って私達と少し違いますよね。
     きっと、笑顔は素敵だと思いますよ。綺麗ですし!」

クリスタ「あ、私もそれは思う!」

ミカサ「そんな言われても……何も出ない」

アルミン(やっぱ赤面すると……うん)

ユミル「笑えばいいんだよ、そこは。ほれ、やってみろよ」

ミカサ「……」

クリスタ・サシャ・ユミル・アルミン「……」


ミカサ ニコッ



クリスタ・サシャ・ユミル・アルミン ビクゥッ!!


32:2013/06/13(木) 18:16:37.38 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「……どう?」

クリスタ「え、ええ……その……」

ユミル「なんつーか……笑ってるんだけど……なぁ?」

サシャ「熊が突然現れたようなプレッシャーを感じました……」

アルミン「笑顔は完璧なんだけど……うん。ちょっと……その」

ミカサ「……そう」 シュン

アルミン(曰く、身体の全てを制御できるらしいけど……感情だけは上手くいかないみたいだね。
      でも、そうじゃないとまるで機械だからいいんだけど……。
      心のこもっていない、貼り付けたような笑顔ってのはここまで不気味なのか。)

サシャ「……あの」

アルミン「なに?」

サシャ「ここまで考えておいてなんですが……。
     色々小難しく考えるのは、何か違う気がします。
     こういうことって、計算でやるものじゃないと私は思うんですよ」

ユミル「なんだ突然。サシャのくせに真面目なこと言いだしやがって」

サシャ「わ、私だってたまには普通のこと言いますよ!」

アルミン(自覚はあるんだ……)


34:2013/06/13(木) 18:19:41.90 ID:gqKCUfpk0

クリスタ「でも、サシャの言うとおりだと私も思う。
      変に取り繕う方が、逆にエレンも混乱しちゃうんじゃない?」

ミカサ「……」 チラッ

アルミン「……かもね。エレンも真っ直ぐな性格だから、細かいところは気にならないと思うし。
      気配りは出来るけど、変に天然だから……」

ミカサ「それじゃあ、私は一体どうすれば?」

アルミン「うん……。けど、サシャには悪いけど、やっぱりここは強行策を選ぼうと思うんだ。
     リスクを考えずに、突破できるタイプじゃないから、エレンは」

サシャ「……ええ、アルミンがそうすべきだと思うなら、その方が絶対良いでしょうね」

アルミン「そこまで買いかぶられても……ちょっと困るな。不安になるよ」

ミカサ「大丈夫。私はアルミンに従う」

アルミン「……わかった。さっき言ったように、エレンは細かい変化には気づきにくいと思うんだ。
      だから、あえて、大きく変える」

クリスタ「大きく?」


38:2013/06/13(木) 18:23:12.37 ID:gqKCUfpk0

アルミン「ミカサは自分の身体が100%コントロールできる。
      さっきの笑顔は確かにちょっと……うん。
      でも、エレンなら……通じるんじゃないかな。そうであっても」

ミカサ「エレンはそこまで鈍いわけじゃないと思うけど」

アルミン「と、仮定するしか方法がないんだ。
      僕らの知識じゃ限界がある。後は実践しかないよ」


<カンカンカンカンカン!



ユミル「おっと、楽しい夕食タイムもこれでお終いだな」

クリスタ「どうする? 作戦内容全然決まってないけど」

アルミン「やるなら早い方が良いから……うーん、どうしよう。明日の朝食前にでも」

ミカサ「今夜、一緒に話そう」

アルミン「今夜?」

ミカサ「人目につきにくい隠しルートを教えるから、私たちの部屋に来て」

アルミン「えぇ!? いや、それはマズいよ!」


40:2013/06/13(木) 18:26:19.22 ID:gqKCUfpk0

クリスタ「アルミン、声大きいよ」

アルミン「ご、ごめん……けど、それは流石に……」

ミカサ「大丈夫。アルミンだもの」

クリスタ「確かに、アルミンなら平気だね」

サシャ「変な気を起こしそうにはありませんし」

ユミル「大体、私達より弱いんだから、その心配ははなっからしてねーよ」

アルミン「あはは……そ、それは……どうも」

ミカサ「点呼の後、こっそり抜け出してきて。サポートはするから」

アルミン「わかった。じゃ、また後で」

ミカサ「うん」



――――また後。


アルミン(まさか女子寮に忍び込むことになるとは……)コソコソ

アルミン(昔から逢引用に使われてたルートらしいけど……。
      なんでミカサ達はそれを当たり前のように知っているのだろう) コソコソ


43:2013/06/13(木) 18:29:30.87 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「アルミン、こっち。捕まって」 ヒソヒソ

アルミン「あ、ミカサ。……っと!」 ガシッ グイッ

ミカサ「危ない目に遭わせてごめんなさい」

アルミン「大丈夫だよ。みんな寝静まった後だったからね」

アルミン(うわぁ……凄くいい匂いする……。
      若干、汗の匂いがあるのが、訓練兵らしいけど)

ミーナ「わっ、本当にアルミンだ。女子寮に居るのに、違和感ないね」

クリスタ「力になってくれそうな人たち、集めておいたよ」

ユミル「私はクリスタが変なこと吹き込まれないように、監視だぞ」

サシャ「やっぱり、ハンナがまずは一番必要かと思いまして」

ハンナ「そんな、照れちゃうよ」

アルミン「そこで寝ているのは?」

ミカサ「アニ。いつも話題には入って来ないから、睡眠の邪魔をしないように小声で話そう」


アニ(こんな大勢人が集まっていて、寝られるわけないでしょ……鬱陶しい)


44:2013/06/13(木) 18:32:34.58 ID:gqKCUfpk0

アルミン「わかった。じゃあ、まず今後のミカサの行動なんだけど……」

クリスタ「大きく変えるって、言ってたよね?」

アルミン「うん。でも、だからって真逆にする必要はないよ」

ミーナ「逆……というと、暑苦しいミカサ?」

サシャ「それはそれで見てみたい気もしますけど」


アルミン(……)



ミカサ『うぉおおお!!! エレン、私だ!! 結婚しよう!! これ、腹筋で作った指輪さ!!』



アルミン(ないな)


47:2013/06/13(木) 18:35:36.04 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「具体的に、どうすればいいの?」

アルミン「言ってしまえば、エレンが変化に気付くようなら、それでいいんだ」

アルミン「僕の考え……だけど。
      いつも一緒のミカサが、今日はどうも普段と様子が違う。
      と、なれば、だからこそ。エレンだって気に掛けるはずだよね」

クリスタ「そうだね。身近な人が急に変わったら、気になるもの」

アルミン「そうしていくうちに、エレンはミカサのことが気になって仕方がなくなる。
      ……成功例としては、そこで素直に恋慕として気持ちがか傾いてくれればいいんだけど……。
      エレンとミカサは、家族という関係性が強い。だから、そのままで終わる可能性も……なくはないんだ」

サシャ「大丈夫! そこは、私達でカバーしましょう!」

ユミル「無責任なことをよく臆面なく言えるな、お前」

サシャ「ど、どういうことですか?」

ユミル「さっきお前らが言ってただろーが。計算された行為は良くねーって。
     それがエレンに気付かれたらどうすんだよ。
     ただの鈍感天然朴念仁じゃねーって、二人とも言ってたろうが」

サシャ「あ……それは……そうですね」


アニ(いつの間にか、ユミルもノリノリだし……)


50:2013/06/13(木) 18:38:47.93 ID:gqKCUfpk0

ミーナ「そこは、アルミンがサポートすれば良いんじゃないかな?」

アルミン「え? 僕?」

クリスタ「そうだよ! エレンといつも近くにいるんだから、さり気なくアドバイスとか出来るんじゃない?」

ハンナ「恋愛相談してくれる友達って、いたら凄く心強いと思うわよ。
     私もミーナにはお世話になったもの。」

ミーナ「えへへ。それはどーも!」

ミカサ「アルミン、頼んでもいい?」

アルミン(……)


アルミン(二人の未来を、僕が左右するということになるだろう。
      そんなこと、しても良いのだろうか。

アルミン(僕が……二人を……?)


ミカサ「……」 ジッ

アルミン「……」


アルミン(考えても仕方ない。わかりきっていたことだ)


53:2013/06/13(木) 18:42:14.70 ID:gqKCUfpk0

アルミン(エレンにだって、決して悪い事にはならないんだから。そもそも断る理由がない。
      上手くやれる自信は……正直、ないけれど。けど、僕は力になりたい。
      誰の為でもなく、二人のために……!)


アルミン「わかった。やるよ」


ミカサ「ありがとう」

サシャ「流石はアルミンです!」

ミーナ「おっとこらしー♪」

クリスタ「これで一安心だね、ミカサ」

ユミル「……で、その具体的な案がまだ出てないんだが」

ハンナ「それなら任せて! 私もフランツの気を惹くために、色々やったんだから!
     ミカサも実践すれば、きっとうまくいくわよ!」

ミカサ「お願い、教えて」

ハンナ「まずはね……」


ワイワイガヤガヤ


アニ(うるさい……)


56:2013/06/13(木) 18:45:55.15 ID:gqKCUfpk0

――――次の日。



エレン「ふわぁ〜……あー、ねみぃ」

アルミン「昨日はぐっすり眠れていたじゃないか」

アルミン(眠いのは僕もだけどね。夜明けまで話し合っちゃったわけだし……)

エレン「早朝から飯食って、そこから訓練ってのは、いつまでたっても慣れないんだよなぁ」

アルミン「力をつけるんだから、仕方ないだろう?」

エレン「わかってるよ」

ミカサ「……」

エレン「よぉミカサ。おはよう」

アルミン「……」 チラッ

ミカサ「……」 コクッ


58:2013/06/13(木) 18:50:13.98 ID:gqKCUfpk0

エレン「ん? どうし」




ミカサ「おはよう、お兄ちゃん!!」




エレン「!?」

ジャン「はぁぁあん!?」 ガタタッ ブシュゥウウ!!  ゴンッ!!

ライナー「痛ぇ! なんだ、ジャン! いきなり倒れこんでくるな!!」

アルミン(ジャンが驚きながら鼻血出している……!!)


61:2013/06/13(木) 18:54:18.59 ID:gqKCUfpk0

エレン「お、お前……今……え?」

ミカサ「どうしたの、お兄ちゃん。早くご飯食べようよ!」



クリスタ「凄い、完璧に口調や仕草をコントロールしてる!」 ヒソヒソ

サシャ「エレンの前だから、笑顔に気持ちが入っているので怖くもないですね!」 ヒソヒソ

ユミル(あのミカサが首を傾げて満面の笑み……ククク、笑える)



アルミン「エレン、早く食べないと時間なくなっちゃうよ」

エレン「あ、ああ……」

エレン(な、なんで誰も反応しねーんだ? おかしいと思っているのは俺だけか?)

ミカサ「はい、お兄ちゃん。お口、あーん♪」 ズイッ

エレン「お、おい。パンぐらい一人で食え……むがっ!」 ズボッ

ミカサ「ゆっくり噛んで食べるんだよ〜?」 ズイイイ

エレン「ふぐ……ほが……」 グイグイッ
    (く、苦しい! つか、力強すぎて引きはがせねえ!)

アルミン(どうしよう。止めたいけど、止めると怪しまれそうだから割って入れない)


64:2013/06/13(木) 18:58:07.23 ID:gqKCUfpk0

ライナー「……ったく。しかし、なんだありゃあ? ミカサ、どうかしちまったのか?」

アニ「さぁ。ただの戯れでしょ」

ベルベルト(なんだか怖い)



ミカサ「おいしい? お兄ちゃん」

エレン「……ゴクン。おい、ミカサ。どーいうことだこれは!!」

ミカサ「どういうことって?」

エレン「俺はお前の兄貴じゃねーぞ。勘違いすんな」

アルミン(パンのことは怒らないんだね)

ミカサ「えぇー? そんなー、お兄ちゃんたら酷いよぉ」

エレン「その気色悪い口調はやめてくれ。なんか寒気がする」

ミカサ「そんなー。わたしはいつもこうだったでしょー?」

エレン「嘘つけ!!」

ミカサ(……これは失敗の予感がする) チラッ

アルミン(父性本能を刺激する作戦はダメか。……仕方ない。カバーは任せてミカサ) コクッ


66:2013/06/13(木) 19:01:28.77 ID:gqKCUfpk0

アルミン チラッ クイッ


サシャ「あ、アルミンが作戦失敗の合図送ってきましたよ」 ヒソヒソ

クリスタ「援護に行かなきゃ!」 ガタッ

ユミル「めんどくせーなぁ」 ガタッ

サシャ「いえ、二人とも。ここは私にお任せを!」 ガタッ





サシャ「エレン、おはようございます」

エレン「ん? ああ、サシャ。おはよう」

サシャ「あの、突然ですけどパンとかスープとか余っていませんか?」 スッ

アルミン(上手い。さり気なくミカサとの間に入って、意識を遮断させた!)


68:2013/06/13(木) 19:04:10.09 ID:gqKCUfpk0

エレン「ん……パンなら、少し余ってるぞ。いるか?」

サシャ「わー、ありがとうございます。とっても嬉しいです!」

エレン「ははは。お前、ホント飯のこととなると良い顔すんな!」

サシャ「褒められても、お返しはしませんよー?」

エレン「いらねーっての。いいから食えよ。今日も訓練頑張らねーとな!」

サシャ「はい! ではいただきます!」 モグモグ


アルミン(よし、じゃあ作戦は失敗したから、ここは一旦、離だ……)



ミカサ ゴゴゴゴゴゴ……



アルミン(お、怒ってる……!!
      作戦とはいえ、それでもエレンを奪われたことに激昂している!?)


70:2013/06/13(木) 19:07:08.05 ID:gqKCUfpk0

アルミン「ミカサ、今は落ち着いて。作戦、作戦だから!」 ヒソヒソ

ミカサ「……わかった」 ゴゴゴゴ……

アルミン(はぁ……。こういう感情の起伏だけは激しいんだね)



――――午前、格闘術訓練。


エレン「はっ!」 ガシッ

アニ「ふっ!」 ガッ ダンッ 

エレン「うぉっ!?」 グルン

ドシャアッ!

エレン「つつ……ちくしょー、今のは読めてたのに」

アニ「読めても対応できなきゃ一緒。身体を先に動かさないと意味ないよ」

エレン「ああ、わかった」

アニ「……」

エレン「? どうした、アニ」

アニ「いや。なんでも」


72:2013/06/13(木) 19:10:31.05 ID:gqKCUfpk0

アニ(いつも以上に視線を感じる……)


ミカサ・アルミン・サシャ・クリスタ・ユミル・ミーナ・ハンナ  ジーッ……




ミカサ「アルミン、ここで私はどうすればいいの?」

アルミン「今から教えるから、言うとおりにして」





アニ「甘い」 シュパァン!

エレン「ぐあっ!」 ドシャッ!

アニ「視線が上に向きすぎ」

エレン「投げ技を警戒すると、どうもな」


73:2013/06/13(木) 19:12:32.86 ID:gqKCUfpk0

アニ「ちなみに、ここからまた派生技とかあるんだけど」

エレン「うわっ、ちょっ! アニ!? もういいって!」




ミカサ「きゃあんっ!」 ドシーン!




エレン・アニ「!?」


75:2013/06/13(木) 19:15:29.90 ID:gqKCUfpk0

アルミン「あー、もうミカサ。受け身はしっかり取ってって言ったじゃないか!」

ミカサ「ごめんねー。ミカりん、こういうのよくわかんなくて……」 ポコッ☆




ジャン「はぷぁっ!?」 ブシュー!!

ライナー「おわっ!? なんだジャン、いきなり鼻血吹きかけるなよ!!」

ベルトルト(特に理由のない墳血がライナーを襲った)




ミーナ(いつも半開きのミカサの目が、そこらの乙女顔負けなくらい燦然と輝いてる!)

ハンナ(名づけて、ドジっ娘作戦! これで私もフランツの心を引っかけたんだけど……)


78:2013/06/13(木) 19:18:37.88 ID:gqKCUfpk0

エレン「……なんだ、ありゃ」

アニ「さぁね」

エレン「なあアニ、ミカサってあんな奴じゃなかったよな」


アニ「……」


アニ「どうだろうね。あんたの方が詳しいんじゃないの?」

エレン「そりゃ、そうだけどよ……」



ミカサ「いやーんっ☆」 ドシャァッ!

アルミン「どうして軽く投げただけで、でんぐり返しを失敗したような恰好になるのさ!」

ミカサ「やだー、ミンちゃんこーわーいー!」

アルミン「良いからほら、立って」

ミカサ「ありがとー! 優しいんだね、ミンちゃん!」


82:2013/06/13(木) 19:21:33.11 ID:gqKCUfpk0

エレン(いや……おかしい……絶対おかしい。
     ミンちゃんに……ミカりんって!) シュパァン! ドシャァッ!



キース(アッカーマンに一体何が……注意すべきか……いや、しかし……あれはあれで……) ゴクリ



ミカサ「ひゃあん!」 ドシャァ!


アルミン(なんか虚無感が凄い……)





――――昼食。


エレン「アルミン、ちょっといいか」

アルミン「ん、どうしたのエレン」

エレン「少し相談したいことがあるんだけどよ」


83:2013/06/13(木) 19:23:47.96 ID:gqKCUfpk0

アルミン(きたっ! 予定よりかなり早かったね! 一日足らずだなんて!)

アルミン「相談事? 珍しいね」

エレン「珍しい……あぁ、確かにそうかもな」


アルミン(ここで再度追いうちだ。さあ、ミカサ!) クイッ

ミカサ コクッ


ミカサ「エレン」 スッ

エレン「うわっ!? み、ミカサ!? いきなり後ろから現れるなよ!?
     水、零しちゃうだろうが!」

ミカサ「いいの、そうしたら私が飲んであげる」

エレン「は? なに言って」


85:2013/06/13(木) 19:26:27.84 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「あなたが流した汗も一粒ずつ、小瓶につめて毎晩一滴ずつ抽出したのを舐めまわしたい。
    エレンの出した唾で煮込んだスープを、30年後まで熟成させて啜るように飲み干したい。
    衣服を切り刻んで、ベッドシーツにして眠りたい。
    枕カバーをあなたの頭髪で埋め尽くしたい。
    下着で作ったマフラーを首に巻きつけたい。
    あなたの触ったパンについた手垢で作った特製の酵母で、開拓地で新種を開発したい。
    エレンが零した唾液交じりの水でプールを作って泳ぎたいとさえ思っている。」






エレン「」


88:2013/06/13(木) 19:29:15.04 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「だからエレン、私に頂戴。あなたの全てを……」 スッ

エレン「あ、アルミン!! 助けてくれ!!」 ビクゥッ!

アルミン「もー、ミカサ。ダメだよ、
      開拓地に行ったら、エレンが巨人を駆逐できないじゃないか」 ニコニコ


エレン「問題そこか!?」

ミカサ「確かに」

アルミン「まだ支給の水、取りに行ってないだろ? いってきなよ」

ミカサ「そうする」



ザッザッザッザ……


エレン「あ、アルミン」 ガタガタ

アルミン「?」


90:2013/06/13(木) 19:31:30.98 ID:gqKCUfpk0

エレン「俺が……おかしいだけなのか……?
     今朝から……ミカサの様子が変だと思うんだが」 ブルブル

アルミン「……」

エレン「どうしちまったんだ、一体……」


アルミン(この短時間で、ここまで効果があるとか思わなかった。
      やっぱり、それだけエレンにとって、ミカサという存在は大きいはずなんだ。)


アルミン(ここで、効果的なカードが切れれば……後は勝手に転がっていくはずだ……!!)


アルミン「……エレンも、気づいていたみたいだね」


エレン「!」 ガバッ


エレン「あ、アルミン! やっぱりか!? 俺だけじゃないんだな!?
     ミカサがいつもと違いすぎると感じたのは!?」

アルミン「そうだよ。ミカサの振る舞いがおかしいのは事実だ」


92:2013/06/13(木) 19:34:19.45 ID:gqKCUfpk0

エレン「だよな! なんでだ!? 突然……何があったんだ!?」

アルミン「エレン、原因は一つさ。それも、とてもシンプルな答えさ」

エレン「え……?」


アルミン「……」


アルミン「ミカサは、エレンに構って欲しいんだ」


エレン「は?」

アルミン「……」

エレン「……」

エレン「いや、意味わかんねぇよ。飯だって一緒に食ってたし、訓練だって結構同じ班でやってるぞ?
     十分構ってやってるだろうが! ガキみてーにくっついてくるんだからよ!」

アルミン「はー……違うんだよ、エレン。そうじゃない」


94:2013/06/13(木) 19:37:48.12 ID:gqKCUfpk0

エレン「そうじゃないって……じゃあ、どうなんだよ!?」

アルミン「エレン、キミにとってミカサは何だい?」

エレン「何って……家族に決まってんだろ」

アルミン「ミカサはそう思ってはいない」

エレン「えっ……」

アルミン「もちろん、嫌いになったわけじゃないよ。むしろ逆だ」

エレン「逆? ……嫌いじゃないけど……家族じゃなくて……。
     あー、もうよくわかんねぇ。つまり、なんなんだ!?」

アルミン「ミカサは、エレンと家族ではない関係を望んでいるってことさ」

エレン「は? なんだそりゃ」

アルミン「将来的に見れば家族だけど……それはまだ先として。
      何にせよ、ここまでのミカサの行動。そして今、僕が言った意味をよく考えて欲しい」

エレン「……」


アルミン(あくまで、背中押し程度にしないと……それは今後の二人の為にならないからね。
      核心めいた言葉は避けておこう)


96:2013/06/13(木) 19:40:33.34 ID:gqKCUfpk0

――――午後、立体機動訓練。




キース「では各員、合図と同時に出発せよ!
     今回は立体機動の速度を測る訓練だ!
     規定タイム以下、及び最下位の者には罰を与えるから心して取り組むように!」


訓練兵「ハッ!」 バッ!


エレン「……」

ミカサ「……」

エレン(ここまでのミカサの行動を考えろだって?
     家族とは違う関係? なんだよ、それ)

ミカサ「エレン」

エレン「な、なんだ?」

ミカサ「私があなたと同じスタート地点から開始するのは
     単に、順番通りに並んだ結果だから、勘違いしないで欲しい」

エレン「は?」


97:2013/06/13(木) 19:43:08.84 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「規定に従ったから、隣に居るだけ。これまでも、そう」


エレン(なんだ、急に冷たくなったような……)


ミカサ「ただ……」

エレン「ん?」


ミカサ「エレンがどうしてもと言うなら……」


ミカサ「今後もずっと、一緒に訓練してあげてもいい……よ?」 チラッ


エレン「ッ!」 ドキッ!




エレン(おいおい、大丈夫か俺!?
     なんでミカサ相手に、変な気持ちになりかけてんだ!?
     こいつは家族だぞ、家族!)


100:2013/06/13(木) 19:47:33.55 ID:gqKCUfpk0

キース「用意……はじめ!」 キィイイイイイン!(音響弾)


コニー「おっさきぃ!」 バシュー!

サシャ「負けませんよー!」 バシュー!


エレン「……くそっ!」 バシュー!

ミカサ「……」 バシュー!

アルミン(立体機動の点数は落とせないから、みんなの協力は難しいかな……) バシュー!


アルミン(でも、種はまき終わっている。後はエレンとミカサ次第だ) ギャルルル!


アルミン(既にエレンが異変に気付いたことは伝えてある。
      ミーナの考えた『ツンデレ』とかいう性格に、エレンが反応を示していればいいんだけど……) 




エレン「……」 バシュー!


ミカサ「……」 ギャルルル!


101:2013/06/13(木) 19:50:06.74 ID:gqKCUfpk0

エレン(ちっ! なんかごちゃごちゃ考えちまって、いまいち集中できねぇ) 

エレン(そうでなくても、ミカサより立体機動速度は遅いんだ。気を引き締めねーと!!) 


ミカサ(エレンがリリース地点を5cm遅らせた……私に対抗しようとしているのだろうか) 


ミカサ(でも、それがエレンの限界値。これ以上すると、過剰加速でエレンの反射速度が間に合わなくなる) 


ミカサ(私はまだいけるけど……エレンは対抗心が強いから、下手にすると危険) バシュー!


ミカサ(…………でも。だからって……手を抜くのは良い事ではない……はず) ギャルルルル!


ミカサ(成績を修めることは、エレンの目的である巨人を駆逐することに繋がる。
     可能性を私情で塞いで、エレンにまで影響が出るのはよくない)


ミカサ「……」 バシュー! ギャリィイッ! ギュン!

エレン(なっ、まだ加速できんのか!?)


104:2013/06/13(木) 19:53:04.12 ID:gqKCUfpk0

エレン「くそっ!」 バシュー!

エレン(ミカサのケツをおっかけるため、俺は訓練兵になったんじゃねーぞ!!) ギャン!!





サシャ「ほーら、コニー! こっちですよー!」 バシュー!

コニー「けっ! そんなよそ見してっとミスんぞ!!」 ギャルルル!!



ギューーン!!



サシャ「ふわっ!?」 

コニー「うおっ!?」


サシャ「な、なんですか今の!?」 

コニー「ミカサとエレンだ……。すげえ加速だな、おい」 

サシャ「ミカサはまだしも、エレンは大丈夫でしょうか」 バシュー!

コニー「ああ、無茶してなきゃいいけど……」 ギャルルル!!


106:2013/06/13(木) 19:55:51.05 ID:gqKCUfpk0

ミカサ(私の予想は杞憂だったみたい) バシュー!


エレン「くっ! ふっ!!」 バシュー!


ミカサ(エレンは私が考えているより、ずっと成長していた) ギャルルルル!!


ミカサ(これなら……)


ミカサ「!!」


エレン「うっ!?」 カァン!


ガクンッ!


ミカサ「エレンッ!!」 ギュンッ!


エレン(やべっ、速すぎて再射出が間に合わ……!!)


108:2013/06/13(木) 19:58:10.03 ID:gqKCUfpk0

――――。


エレン「……」

ミカサ「……」


109:2013/06/13(木) 20:00:18.43 ID:gqKCUfpk0

バシュー! ギャリイィイッ……トンッ! トットット……


エレン「……」

ミカサ「エレン、怪我は」

エレン「下ろせよ。もう空中じゃねえから、一人で歩ける。怪我もしてない」


ミカサ「……うん」 スッ


エレン「……」 ザッ

ミカサ「……」



エレン「……俺は、別に自分が優秀だって思ったことはねえけどさ」

ミカサ「え?」


111:2013/06/13(木) 20:03:48.86 ID:gqKCUfpk0

エレン「なんでもこなしちまうお前が身近にいるから……。変に意識して、対抗しようとしてた気がする」

ミカサ「……」

エレン「そんなの、ガキの考えだってのにな……」

ミカサ「……誰かに対抗して、自分を高めようとするのは悪いことではないと思う」

エレン「お前、話し方普通になったな」

ミカサ「あっ」

エレン「誰に吹きこまれたかは知らねーけどよ」

エレン「……その……」 ポリポリ

ミカサ「?」

エレン「俺は……普段通りの方が……」

ミカサ「うん」

エレン「……」

ミカサ「……」



エレン「良いと……思うぞ」


114:2013/06/13(木) 20:07:06.50 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「どうして?」

エレン「はぁ? そ、そんなの知るかよ!」


ミカサ「私は、知りたい」


エレン「え?」

ミカサ「だって、私は……」




ミカサ「私は、エレンのことが好きだから」




エレン「!!」


119:2013/06/13(木) 20:10:12.99 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「も、もちろん……家族として……ではなくて……その……お、男の人として……」



ミカサ「……好き」



エレン(ッ!!!!)




エレン「な、何ふざけてんだよ。はやく再開しねーと、懲罰だぞ!」 クルッ

ミカサ「ふざけてなんかない」 ギュッ

エレン「……離せよ、袖」

ミカサ「やだ。エレンが私をどう思っているか……私は知りたい」



エレン「……俺は……」


123:2013/06/13(木) 20:13:25.30 ID:gqKCUfpk0

エレン(どう思っているか、だって?)


エレン(んなこと急に言われたって、わかんねぇよ……クソッ!)


エレン(家族じゃなくて、男として好きだぁ? いつからそう思ってたんだよ)


エレン(俺は、お前を誘拐犯から助けてからずっと、家族としか見てなかったんだぞ?)



エレン(やけに変なことしてきやがる正体が、わかったのはいいけどよ……)



エレン(……)



エレン(……俺の……気を惹きたくて、やったん……だよな) チラッ


ミカサ「……」 ジィッ


124:2013/06/13(木) 20:16:24.17 ID:gqKCUfpk0

エレン(普段やりもしねー言葉づかいとか仕草とか、態度とか)


エレン(全部……俺のために……)


エレン「あーもー!」 ガシガシ

ミカサ「エレン?」


エレン「突然すぎて、なんて言えばいいかわっかんねーんだよ!!」

ミカサ「……ゴメン」


エレン「……でもよ」

ミカサ「?」



エレン「い、色んなミカサが見られて……楽しかったとは思った。今更だけど」


127:2013/06/13(木) 20:19:19.87 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「エレン……!」


エレン「けど、別にそうやって取り繕わなくたって」

エレン「ミカサは、普段のミカサのままで居てくれたほうが」



エレン「俺は…………」






エレン「……好きだぞ」


134:2013/06/13(木) 20:22:44.82 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「!!」



ミカサ「うん……うん!!」


エレン「ほら、このままじゃビリになっちまうぞ。罰を受けたいのか、お前?」

ミカサ「エレンとだったら、なんだって良い」

エレン「……ったく。いくぞ!」 バシュー!

ミカサ「うん!」 バシュー!


135:2013/06/13(木) 20:24:50.36 ID:gqKCUfpk0

――――その夜、女子寮にて。




ミカサ「と、いうことがあった」

ミーナ「きゃー! もうそれ完全に付き合ってるよね!?」

ハンナ「やったじゃない、ミカサ!」

サシャ「みなさん、大声出すとアニが起きてしまいますよ。
     ……でも、本当に私達みんなで頑張った甲斐がありましたね!」


アニ(起きてるけどね……)



ユミル「サシャは大したことしてねーだろう」

クリスタ「ユミルが言っていい台詞じゃないよ、それ!」

ミカサ「ここに居る、みんなのおかげ。本当にありがとう」


137:2013/06/13(木) 20:27:48.16 ID:gqKCUfpk0

ミーナ「顔紅くしちゃってー、かわいー♪」

ミカサ「特に、アルミンには感謝しきれない」

アルミン「いや。僕はちょっとアドバイスしたに過ぎないよ」


アニ(なんでナチュラルに居るんだろう、アルミン)


アルミン「実行したのは、みんなだし。考えて結果を出したのはエレンとミカサなんだから」

サシャ「そんな謙遜しなくたっていいんですよ、アルミン。発案はあなたなんですから!」

ミーナ「そうだよ! 頑張ったね、アルミン!」 ナデナデ

アルミン「わっ、ちょっと!?」

ミーナ「あら。そんな照れなくても」

クリスタ「顔真っ赤だよ?」

アルミン「ぼ、僕だって一応男なんだからね!」

サシャ「はい、アルミンは立派な男の子です!」

アルミン「なんか引っかかるなぁ……」


ミカサ「けど、少し問題が」


139:2013/06/13(木) 20:29:57.21 ID:gqKCUfpk0

ミカサ「それから、エレンがまともに私を見てくれない。すぐ顔を逸らすし、会話も交わしにくくなっている」

ハンナ「そんな二人を見て、ジャンが吐血してたわよね」

ミカサ「前より、距離が縮まったとは思った。でも、このままは……寂しい」 シュン

ミーナ「ふー、恋する乙女は大変だね!」

ハンナ「任せて、そこからの話なら私が力になれると思うわ!」

クリスタ「もうちょっとだけ、手助けしてあげよっか。ね、ユミル」

ユミル「ま、中途半端は面倒だからな」

アルミン「僕も、出来る限りの手伝いはするから。安心して、ミカサ」

ミカサ「ありがとう。みんな、本当に……」

ミカサ「今後も、努力するから。よろしくお願い……します」 ペコッ


ワイワイガヤガヤ



アニ(どーでもいいから、早く静かな夜を返してくれないかな……) イライラ



おしまい


141:2013/06/13(木) 20:32:26.98 ID:gqKCUfpk0

原作に近いキャラ設定で頑張ってみたかった。(ライナーとジャンを除く)
今後も、エレンとわたミカサのお話が増えることを期待している。
支援はとても助かった。感謝。


143:2013/06/13(木) 20:36:11.40 ID:x4/UD6vQ0

ミカサ乙

おもしろかった