1:2013/01/21(月) 22:59:35.12 ID:pKHaalVD0

アスカ「全く、どっか目のつかない所に居てくれない?」

『ご、ごめん』

アスカ「はぁ〜」


こいつが現れるようになったのは、あの時から。そう、あれは・・・




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2:2013/01/21(月) 23:00:11.12 ID:pKHaalVD0

アスカ「明日から新学期だからね。お弁当忘れないでよ。ママ」

キョウコ「あら、明日からだっけ?すっかり忘れてたわ」

アスカ「もう〜しかっりしてよ」


ママの式波キョウコ。世間で言う天然と呼ばれる人だ


キョウコ「そうだ!!」

アスカ「な・・何?」


おっとりした性格で、もの静かなママが珍しく大きな声を出した
どうやらただごとではないらしい



3:2013/01/21(月) 23:00:55.29 ID:pKHaalVD0

キョウコ「幼馴染のシンジ君覚えてる?」


ドクンと心臓が跳ね上がる
心拍数がどんどん上がり、ドクッドクッっと血液を送る音が自分でも聞こえる


キョウコ「お父さんの都合で、え〜とあれは小学校2年生の時だったから…」

アスカ「6年前」

キョウコ「そう、6年前。大阪に引っ越したでしょ?」

アスカ「それで?」

キョウコ「第三新東京市に、ついこの前帰って来たらしいわよ」

アスカ「へっ?」

キョウコ「アスカちゃんと同じ第一中学校に通うんだって」

キョウコ「よかったわね。『シンジのお嫁さんになる』って張り切ってた位大好きだった、シンジが戻ってきて」

アスカ「もう!!ママったら!」

キョウコ「うふふふ」


自分でも分かる位顔が熱い。どれ程真っ赤になっているんだろう



4:2013/01/21(月) 23:01:28.50 ID:pKHaalVD0

ベッドで横になって早くも2時間が経つ
普段気にならない時計の音が、いつもより大きく聞こえる
忘れもしないシンジの顔。何故か泣いてる顔と笑っている顔しか思い出せない


アスカ(同じクラスになれたらいいな)


クラス分けというビッグイベントに、ドキドキが止まらなかった。



5:2013/01/21(月) 23:02:00.58 ID:pKHaalVD0

キョウコ「珍しいわね、こんなに早く起きるなんて」

アスカ「うん・・・」


普段別に起きる時間は遅くはない。むしろ早い位だ
しかし今日はそれよりさらに早い
朝食をかきこみ、テキパキと身支度を済ませる


アスカ「行ってきまーす」

キョウコ「行ってらっしゃい」



6:2013/01/21(月) 23:02:47.95 ID:pKHaalVD0

ヒカリ「おはよーアスカ!」

アスカ「おはよう!ヒカリ」

トウジ「おはようさん」

ケンスケ「おはよう」

アスカ「出たわね、バカコンビ・・・」

トウジ「なんやて〜」

ケンスケ「酷い呼ばれ方だ・・」


洞木ヒカリ。中学に入ってからの付き合いで大親友
で、鈴原トウジ、相田ケンスケはおまけ



7:2013/01/21(月) 23:03:28.89 ID:pKHaalVD0

ヒカリ「クラス分けドキドキするね」

アスカ「うん・・・」

トウジ「下駄箱を過ぎてすぐ・・・・あった。あれや!!」

ケンスケ「A組から順に・・・」

ケンスケ「いきなり俺の名前発見!」

アスカ(『碇シンジ』あっ!!)


ついにこの時がきた。サ行に『式波』の名前があることを願う


アスカ(お願い。お願いします・・・・・)

アスカ「・・・・・・あった!!!」


思わずガッツポーズをしそうになるのを必死に堪える
しかしニヤケ顔が止まらない


トウジ「あっ、ワシもあった」

ヒカリ「あ、あたしも」


鈴原とヒカリがお互いをみて、顔を朱に染めている
でも今そんなことはどうでもいい。シンジと同じ教室で一年過ごす
ただそれだけで頭がいっぱいだった



8:2013/01/21(月) 23:03:56.96 ID:pKHaalVD0

ヒカリ「まってよ〜アスカ」タッタッタッ

トウジ「どなんしたんや、式波のやつ。急に走り出して」

ケンスケ「さあ?」

アスカ(シンジに会える。シンジに会える。シンジに会える)


ガラッ

一番乗りだ。誰もいない。それもそうね。始業式までまだ40分もあるもの
指定された席で座って待つ



9:2013/01/21(月) 23:04:43.75 ID:pKHaalVD0

アスカ「・・・」ソワソワ

ヒカリ「どうしたの?」

アスカ「なにが?」

ヒカリ「落ち着きがないっていうか・・・」

アスカ「そ、そんなことないわ」

ヒカリ「あやしい」


流石は我が大親友ね。一瞬で見抜かれるとは・・・




10:2013/01/21(月) 23:05:11.08 ID:pKHaalVD0

始業式が始まってもシンジは現れない


アスカ(そっか、シンジは転校生だからこの後のホームルームで来るのね)


終わるのが待ち遠しかった



11:2013/01/21(月) 23:05:44.64 ID:pKHaalVD0

ガラッ

先生が入ってきた。去年と同じおじいちゃん先生だ


先生「碇。入ってきなさい」

先生「じゃあ、みんなに自己紹介して」

シンジ「はじめまして碇シンジです」

シンジ「小学校2年生までこっちいて、大阪から戻ってきました」

アスカ(・・あれがシンジ・・・?)


私は目を疑った。背は私より少し高く、顔だちはそのままだった
でも、目が違う。目に輝きはなく、まるで死んだ魚と同じだった
魂をぬかれてしまったように。人形のようにも見えた



12:2013/01/21(月) 23:06:14.05 ID:pKHaalVD0

シンジ「一年間よろしくお願いします」

シンジ「・・・あっ」


私と目が合った。どうやら気づいていなかったようだ。
するとシンジは目を逸らした


アスカ(えっ?どうして?)


先生「どうかしたか?碇」

シンジ「いえ、何も」

先生「では碇はあそこの席に座りなさい」

シンジ「はい・・・」



13:2013/01/21(月) 23:06:59.88 ID:pKHaalVD0

初日は連絡事項で終わった。終業のチャイムが鳴り響く。

ヒカリ「アスカー、一緒に帰ろう」

アスカ「ごめん、ヒカリ今日用事があって直ぐ帰らなきゃいけないの」

ヒカリ「そっか。また明日ね」

アスカ「うん。またね」

アスカ(・・しまった・・・)


すでにシンジの姿は教室になかった
ヒカリと話している内に教室から出ていったみたい
シンジがどこへ引っ越してきたのかは知らない
ひとまず校門まで急いだ



14:2013/01/21(月) 23:07:37.16 ID:pKHaalVD0

アスカ「・・・はぁ・・・はぁ・・」

アスカ(・・いた・・・)


気づかれないよう、後ろからこっそり近づいた


アスカ「捕まえた!!」

シンジ「」ビクッ

アスカ「久しぶりねシンジ♪6年振りかしら?」

シンジ「・・・・・・ごめん」


シンジは私の手を優しくほどき、走って去って行った
私は何が起きたのか理解できず、その場に立ち尽くした




17:2013/01/22(火) 01:01:18.82 ID:Bt397kPQ0

キョウコ「アスカちゃ〜ん、晩御飯よ」

シーン

キョウコ「アスカちゃ〜ん?」


ショックだった
それと同時に不安に襲われた
6年振りに再開したシンジは私の知るシンジではなかったから


ガチャ
キョウコ「何かあったの?アスカちゃん?」

アスカ「・・・バカシンジなんて知らない・・」

キョウコ「ふぅん、シンジ君と何かあったのね。ママに話して欲しいな」


ママが私のベッドに座った


キョウコ「そんな顔してたら、せっかくの美人が台無しよ」

キョウコ「全部話して楽になっちゃいなさい」


ママの顔を見る。それまで我慢していた涙が溢れ出した
悲しみによるものなのか、恐怖によるものなのか
分らなかった


キョウコ「あの、心優しいシンジ君が・・・・」

キョウコ「わかった。ママに任せなさい。なにがあったか調べるわ」

アスカ「・・・・うん・・・」グスッ

キョウコ「さっ、晩御飯食べましょ♪」




25:2013/01/22(火) 21:30:10.46 ID:Bt397kPQ0

翌日学校にシンジの姿はなかった


ヒカリ「あれっ?転校生の碇君はお休みかな?」

ケンスケ「ホントだ・・・」

トウジ「なんや、大阪トークでもしようと思っててんけどな・・」

アスカ「・・・」


キーンコーンカーンコーン
始業のチャイムが鳴った


先生「なんだ、碇は転校そうそうもう休みか。まぁいい・・・」

先生「それでは、一人ずつ自己紹介を・・・・」


クラスが変わって間もないころの授業は、どの教科も自己紹介で終わる
クラスは繰り返される自己紹介にうんざりした空気で満ちている



26:2013/01/22(火) 21:30:46.33 ID:Bt397kPQ0

先生「ではA組の委員長は洞木で決まりだな」


ヒカリはまた学級委員長になったみたい
正義感が人一倍強いヒカリにぴったりだ

私は一日中上の空だった



「カ・・・・アスカ!!」

アスカ「な・・何?」

ヒカリ「授業終わったよ。帰ろうよ」

アスカ「うん」

ヒカリ「どうしちゃったの?今日ずっとボーっとしてたよ」

アスカ「そうかな・・・」

ヒカリ「悩み事があるんだったら、相談してね」

アスカ「ありがと、ヒカリ・・・・」





27:2013/01/22(火) 21:31:18.98 ID:Bt397kPQ0

アスカ「ただいま」


ママは家にはいなかった

つらい
学校へ行くのがつらい
ベッドに横たわり、枕に顔をうずめる・・・





28:2013/01/22(火) 21:32:09.41 ID:Bt397kPQ0




アスカ「シンジなんかだいっきらい!」

シンジ「ごめんね。ごめんねアスカ」

アスカ「シンジなんかどっかいっちゃえ!」

シンジ「おねがい。ゆるしてアスカ!!」






29:2013/01/22(火) 21:32:44.70 ID:Bt397kPQ0



アスカ「・・・はっ」

アスカ「・・・・夢か・・・」


あの時の夢だ
シンジは私に引っ越すことを隠していた
引っ越す直前にシンジがお別れを言いに来た
でも私は自分の部屋にこもって会わなかった
つまらない意地を張って、ずっと後悔していた


アスカ(シンジに一言謝りたい・・・)


許してもらえなくてもいい。ただ謝りたい。そう思った





30:2013/01/22(火) 21:34:35.52 ID:Bt397kPQ0



ガチャ

玄関のドアが開く音がする
ママが帰ってきたみたい


アスカ「おかえりなさい。ママ」


自分の部屋から出て、リビングでママを迎える


キョウコ「ただいま・・アスカちゃん」


一瞬にして不安に襲われた
こんなにも深刻な顔をするママは見たことがなかった


キョウコ「大事な話があるの・・そこへ座って」

アスカ「・・・うん・・」


キョウコ「シンジ君の家の場所はわかったわ」

アスカ「どこ?」

キョウコ「引っ越す前と同じ家だそうよ。いつか戻ってきた時のために手放さなかったみたい・・・」

キョウコ「本題はここからなんだけど・・・・」

キョウコ「・・・・」





31:2013/01/22(火) 21:56:04.96 ID:Bt397kPQ0




キョウコ「ユイさんとゲンドウさんが亡くなったんだって・・・」

アスカ「・・・えっ?」


全身から嫌な汗が吹き上げて、鳥肌が立つ
ナクナッタ? 何ナクナッタって?
死んじゃったってこと?
いつも優しい笑顔で迎え入れてくれたシンジのお母さん
見た目は怖いけど、いつも私のことを気遣ってくれたシンジのお父さん
私にとって家族同然だった二人が・・
シンジャッタ? なんで?


キョウコ「・・・交通事故ですって。シンジ君だけ奇跡的に助かったらしいわ・・・」

アスカ「・・・」

キョウコ「事故直後はシンジ君、精神的にかなりやられちゃったみたいで・・・」

キョウコ「ようやく、日常生活が送れるまで回復して・・・」

キョウコ「少しでも養生できるようにって、ここへ戻って来たそうよ・・」

アスカ「・・・・」

アスカ「・・ママ・・・」

キョウコ「なに?」

アスカ「・・・少し出かけてくる。ちょっと遅くなるかも」

キョウコ「わかった。あまりにも遅くなるようだったら、連絡してね。迎えに行くから」

アスカ「うん・・・・行ってきます」



32:2013/01/22(火) 22:10:13.75 ID:Bt397kPQ0


携帯電話を持って家を飛び出す
私の家からシンジの家は歩いて五分もかからない
何百回も通った道。目を瞑ってでも行ける


アスカ(着いた・・・)





33:2013/01/22(火) 22:11:00.47 ID:Bt397kPQ0



ピンポーン

インターホンを鳴らす


シーン

返事がない
嫌な予感がする。女の直感がそう訴える
また後で来るという選択肢はなかった

ドアノブに手をかける
開いた・・・




34:2013/01/22(火) 22:19:28.50 ID:Bt397kPQ0

アスカ「!!!!」


ドアを開ける


アスカ「シンジーいるー?」

アスカ「私よ!アスカよ!!入るねー」


よその家のにおい
シンジの家の匂い。気にならない。懐かしい匂い


アスカ「シンジーどこー?」


リビングへ行く


いない


リビングは引っ越しの段ボールがそのままになっていた



アスカ「いるんでしょ?返事しなさいよー」


シンジの部屋


一瞬躊躇する
思い切って開ける


アスカ(・・・居た!!)





35:2013/01/22(火) 22:30:35.62 ID:Bt397kPQ0



なんだか変な臭いがする
鉄のにおい?
シンジはベッドの上でうずくまっていた


アスカ「勝手に上がらせてもらったわよ・・・」

アスカ「ねぇ・・シン・・・・」

アスカ「・・ジ・・・?」


真っ白なシーツに赤い水玉模様
あら、シーツ買い換えたのね・・・・・違う
その赤の塗料はシンジから供給されたものと知った


アスカ「・・・い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


手が震える
目の焦点が合わない
ひざがガクガク震える

110番だっけ?119番だっけ?思い出せない
かろうじで押せたリダイヤルボタン
私を呼ぶママの声が聞こえる


声が出ない
立っていられない

床に座り込む


『アスカちゃん?アスカちゃん?』

アスカ「あっ・・・・あっ・・・・」


言葉にならない
怖い 恐い こわい コワイ!!!







38:2013/01/22(火) 22:40:06.50 ID:Bt397kPQ0



気が付くと知らないベッドで私は寝ていた
ママがのぞき込む


キョウコ「気が付いた?」

アスカ「どこ?・・・ここ」

キョウコ「病院よ」


ママが駆け付けた時、私は既に気を失っていたみたい


アスカ「・・・シンジは?」

キョウコ「そこよ」


隣のベッドで眠っているシンジ。赤い液体が管を伝ってシンジの体に送り込まれている

事の全てをママから聞いた
だからか、リストバンドなんか着けていたのは・・・


キョウコ「どうする?先に家に帰ってる?」

キョウコ「ママはシンジ君が終わるまで、ここに居るけど・・・」

アスカ「・・・ここに居る」

キョウコ「そう・・・」





39:2013/01/22(火) 23:22:18.64 ID:Bt397kPQ0

シンジのベッドの横に、パイプイスを二つ並べ座った

あれから何時間経ったのだろう
輸血はとうに終わったが、シンジは寝ている




シンジ「・・・・知らない天井・・」

アスカ「シンジ!!」


相変わらず、目に生気がない


シンジ「・・・アスカ!」


シンジに飛びついた


シンジ「・・ぐっ」

キョウコ「こらこら、ふふっ」




40:2013/01/22(火) 23:22:52.22 ID:Bt397kPQ0



温かい
シンジの体温。生きている
とても安心した
それと同時に涙が止まらなかった


アスカ「・・ごめん・・・・ごめんね・・」

アスカ「うっ・・ひっく・・・うっうぅ・・」

シンジ「・・どうして謝るの?・・・・なんで泣いているの?」

アスカ「あんたのことが心配だからに決まってるでしょ。バカ!!」グスッ

シンジ「泣かないでよアスカ・・・」



涙は出尽くした。目がじんじんする
きっと真っ赤になっているんだろう




41:2013/01/22(火) 23:23:54.25 ID:Bt397kPQ0



アスカ「ママ」

キョウコ「なに?」

アスカ「シンジ、家で暮らしちゃダメ?」

シンジ「えっ?」

キョウコ「いいわよ」

シンジ「えっ?えっ?」


即答だった。ママとのシンクロ率は400%だ


アスカ「決まりね。今日からシンジはうちで暮らすのよ♪」

シンジ「ちょっと待ってよ!」

アスカ「何?嫌なの?」


上目使いでからかってみる
シンジは顔を赤く染めた
成功のようね ふふっ


シンジ「そ、そうじゃなくて、迷惑かけて悪いよ・・・」

キョウコ「迷惑だなんてとんでもない。大歓迎よ!」

キョウコ「アスカちゃんだって喜ぶし♪」

アスカ「ほら、ママだっていいって言ってるでしょ」

アスカ「シンジはどうしたいの?」

シンジ「・・僕は・・・・」



42:2013/01/22(火) 23:32:18.79 ID:Bt397kPQ0



沈黙が支配する


キョウコ「たとえ血が繋がらなくても、私たちも家族になれるんじゃない?」

シンジ「・・・家族・・・・・」


シンジの顔を抱き寄せる


シンジ「・・・・うっ・・・」

シンジ「ぐっうう・・・・ひっく・・ひっく・・・・」

シンジ「・・・父さん・・母さん・・・・・・」グスッ


とても長い時間が流れた気がした

ようやく、シンジは泣き止んだ
顔を覗き込んでみた
シンジは恥ずかしそうに、真っ赤にしている
なぜ?
状況を冷静に分析する



43:2013/01/22(火) 23:33:05.83 ID:Bt397kPQ0



キョウコ「アスカちゃんったら、大胆ね。人前でそんなことしちゃだめよ」


ああ、そういうことか
シンジの顔が私の胸に密着している
胸・・・?



アスカ「きゃああああああ、エッチ、バカ、変態、信じらんない!!!」


たたく
シンジの頭をたたく

気絶しない程度に・・・


シンジ「痛てててて、たっ、たたかないでよ」

アスカ「忘れろ!!今すぐ忘れろ!」

シンジ「・・うん」ニヘラ

アスカ「にやつくなああああああ!!!」


あっ、強くたたき過ぎた


シンジ「・・・」


家に帰る時間が三十分遅くなった



49:2013/01/23(水) 21:36:58.79 ID:HT45eZ6g0



アスカ「ただいま」

キョウコ「ただいま」

シンジ「えっと・・おじゃまします・・・・」

キョウコ「違うわよ、シンジ君。『ただいま』でいいのよ」

シンジ「・・・・ただいま・・・」


とても小さな声
でもママはとても満足そうだ


キョウコ「とりあえず、今日は和室で寝てもらうけど、いいかしら?」

シンジ「大丈夫です」

キョウコ「それとも、昔みたいにアスカちゃんのベッドで寝る?」


ママがにやにやしている
昔はよくお互いの家にお泊りに行ってたっけ
同じベッドで寝たり
一緒にお風呂に入ったり・・・・


シンジ「な・・・・大丈夫です!!」






50:2013/01/23(水) 21:46:20.08 ID:HT45eZ6g0




アスカ「はぁ・・・・」


また眠れない
あのバカシンジのせいだ
今日は衝撃的なことがありすぎた

あの時のことを思い出す
ぞっと寒気がした


自分の部屋を出て、和室の襖をゆっくり開ける
自分だけ気持ちよさそうに寝ているのをみて、少し腹が立った

布団にもぐり込む
シンジの温もり
懐かしい
安心する

不思議と簡単に眠りに落ちた




51:2013/01/23(水) 22:02:33.41 ID:HT45eZ6g0




アスカ「いつまで寝てんの!?」


シンジの布団を抜け出し
呼びに来た風に装う


シンジ「・・・う〜ん」

アスカ「もう九時よ!!!」

シンジ「・・今日は土曜日だよ・・・・」

アスカ「バカ!だからと言っていつまでも寝るな!!」


掛け布団を強引に剥ぐ
ズボンに目線が行く
こんなの前からあったっけ?


アスカ「きゃあああああ、このエロシンジ!!!」


手を振り下ろす時、昨日のことを思い出した
止めようとしたけどもう遅かった

バシーンっといい音を発し、赤のカエデマークを作った





52:2013/01/23(水) 22:10:21.29 ID:HT45eZ6g0


キョウコ「大丈夫?シンジ君?」


遅い朝食を食べながらママがシンジに尋ねる


シンジ「なんとか・・失神せずに済みました」

アスカ「手加減してやったのよ。感謝しなさい」

シンジ「はい・・」


キョウコ「今日はシンジ君の家から、洋服とかの必需品を取ってきてもらおうと思うんだけど・・・」

シンジ「わかりました」

キョウコ「ごめんなさいね、本当は私も手伝いたかったんだけど、仕事が入っちゃって」

アスカ「私が手伝う」

キョウコ「よろしくね」




53:2013/01/23(水) 22:10:58.67 ID:HT45eZ6g0


シンジの家に歩いて向かう


アスカ「何を取りに行くの?」

シンジ「とりあえず、洋服と学校の勉強道具と貴重品位かな?」

アスカ「あっそ。ならそんなに時間はかからなそうね」


シンジの部屋の前に着いた
足がすくむ

シンジが部屋に入り、私もそれに続く


シンジ「・・・・」


忘れてた。部屋はそのままだったことを・・・
一瞬にしてあの光景がフラッシュバックする

震えるが止まらない


シンジ「・・アスカ・・・・」


シンジが私を抱きしめた


シンジ「ごめん。怖い思いさせちゃったね」

シンジ「ごめん。ごめんね」


シンジは私をリビングまで連れて行った


シンジ「必要なものを整理してくるから、ここで待ってて」


そう言い残しシンジは部屋に戻った
震えは収まった
そう、シンジは自分で自分を傷つけたんだ
あの日
何がシンジをそうさせたのだろうか?



考えているうちに一時間も経っていた


シンジ「お待たせ」

アスカ「そんじゃ、帰るわよ」

シンジ「・・・・ちょっと、手伝ってくれるんじゃなかったの?」

アスカ「あんたバカぁ?このか弱い乙女にそんな重そうな荷物を持たせるつもり?」

シンジ「か弱いねぇ・・・・・」

アスカ「何?文句ある?」

シンジ「いえ、ございません」

アスカ「よろしい」



翌日、業者を手配して、シンジの引っ越しは完全に終了した





54:2013/01/23(水) 22:25:13.43 ID:HT45eZ6g0



「キョウコさん起きて下さい。仕事に遅れちゃいますよ」

「あらシンジ君。おはよう・・・」

「もう七時半ですよ、いいんですか?」

「えっ、きゃあああ。大変大変!!!朝ごはんもお弁当も作ってない!!!」


ママがリビングへ飛んできた


アスカ「おはよう。ママ」

キョウコ「おはよう・・・・あれ?朝ごはんもお弁当もある・・・」

シンジ「すいません。勝手に使わせてもらいました」


ママも私も、この土日慣れないことをして疲れたみたい
私もさっきシンジに起こされたばかりだ


キョウコ「いいのよ。ありがとシンジ君。じゃ、行ってきます!!」


シンジは家へ来るたび、ママの料理の手伝いをしていた
どこに何があるのか覚えていたようね




55:2013/01/23(水) 22:39:04.28 ID:HT45eZ6g0



シンジと学校へ向かう
・・・しまった。ヒカリ達にシンジのこと話してなかった


ヒカリ「おはよう、アスカ・・・?」

トウジ「転校生?」

ケンスケ「二人はどういう?」

シンジ「あの・・・はじめまして。碇シンジです。よろしく」

ヒカリ「私は洞木ヒカリ。よろしくね」

トウジ「ワシは鈴原トウジや」

ケンスケ「俺は相田ケンスケ。よろしくな」

ヒカリ「あの・・・二人は?」

アスカ「私とシンジは幼馴染なの」

ヒカリ「へぇ、そうだったんだ」



これが初対面となった
とても、一緒に暮らしているとは言えなかった




57:2013/01/23(水) 22:57:58.71 ID:HT45eZ6g0


早くも一か月が過ぎた
シンジはトウジ、ケンスケ、委員長
鈴原はシンジ
相田は碇
ヒカリは碇君と呼び合う仲になった


そんなある日事件は起こった


トウジ「なぁシンジ、テストも近いし数学教えてくれへんか?」

シンジ「いいよ、いつにする?」

ケンスケ「明日、碇の家に行っていいか?」

シンジ「僕の家に・・・・?」

ヒカリ「碇君、私も行っていい?」

シンジ「えっと・・・・その・・・・」

トウジ「だめか?」


アスカ「ちょっと三人とも、いい?」


三人を学校の屋上へ連れていく
あのことは伏せたが、今に至るまでのことを話した

トウジ「そうやったんか・・・・」

ケンスケ「悪いことしちゃったな・・・」

ヒカリ「どうしようアスカ・・・」

アスカ「変な気は遣わないであげて」

ヒカリ「そうね・・・」

ケンスケ「よし!!じゃあ俺の家でやろう!」



この勉強会で仲が一層深まったと思った
バカコンビは見事に赤点だった





58:2013/01/23(水) 23:10:09.94 ID:HT45eZ6g0


テストが終わり、次の日曜日にみんなで映画を観に行くことになった


シンジ「アスカ〜朝だよ〜」


シンジが家に来てから、私とママを起こすのはシンジの仕事になった
食事もシンジが殆ど作るようになっていた


シンジ「今日は映画を観に行く日だよ!起きないと」

アスカ「・・・うん・・・・・」

シンジ「・・どうしたの?顔赤いよ?」

アスカ「なんか・・・」


シンジが私の額に手を乗せた


シンジ「熱いよ、アスカ。風邪ひいちゃったのかな?」

シンジ「とにかく今日は止めといた方がいいね」

アスカ「・・でも・・・・」

シンジ「トウジ達には連絡しとくから」

アスカ「・・・うん・・・・」



59:2013/01/23(水) 23:16:34.29 ID:HT45eZ6g0


テストが終わり、次の日曜日にみんなで映画を観に行くことになった


シンジ「アスカ〜朝だよ〜」


シンジが家に来てから、私とママを起こすのはシンジの仕事になった
食事もシンジが殆ど作るようになっていた


シンジ「今日は映画を観に行く日だよ!起きないと」

アスカ「・・・うん・・・・・」

シンジ「・・どうしたの?顔赤いよ?」

アスカ「なんか・・・」


シンジが私の額に手を乗せた


シンジ「熱いよ、アスカ。風邪ひいちゃったのかな?」

シンジ「とにかく今日は止めといた方がいいね」

アスカ「・・でも・・・・」

シンジ「トウジ達には連絡しとくから」

アスカ「・・・うん・・・・」



60:2013/01/23(水) 23:30:01.08 ID:HT45eZ6g0

シンジが私の部屋から出る
確かに頭がボーっとする
シンジが鈴原に連絡しているみたい



「キョウコさんおはようございます」

「めずらしいですね、自分で起きるなんて」

「今日は大事な仕事があってね。帰りは遅くなるかも」

「そうなんですか・・・あの、アスカが風邪ひいちゃったみたいで・・・」

「あら、今日はお友達と映画に行くって・・?」

「はい、さっき断りました」

「アスカのこと放っておけるわけないですよ」

「ごめんなさいね、シンジ君。じゃ、お願いするわ」

「いってらっしゃい」



シンジが戻ってきた


シンジ「お待たせ」

アスカ「ごめん。私のせいでシンジまで・・・」

シンジ「いいんだよ、気にしないで。それより、アスカ食欲ある?」

アスカ「・・・あんまりない」

シンジ「そっか、お腹空いたら言ってね」

アスカ「・・うん」


シンジが冷たいタオルを額に乗せてくれた
冷たくて気持ちいい



61:2013/01/23(水) 23:50:20.75 ID:HT45eZ6g0



『気持ち悪い』


頬に生ぬるい水滴が落ちて来る


『うぅっ・・・・くっ・・・・うぅうっ・・・・・』


泣いているシンジ
学校の制服のズボンにワイシャツ
何かに怯えたような目をしている

赤い海
砂浜
他には何もない

何もない


何もない



何も




ない






62:2013/01/24(木) 00:12:44.61 ID:xWJMD78X0



シンジ「大丈夫アスカ!?」

シンジ「酷くうなされていたよ」

アスカ「・・変な夢見ちゃって・・・」

シンジ「とりあえず体温測って」

シンジ「37.8度か」

シンジ「薬飲むために少しでもいいから食べて」


お粥と水、薬を差し出してきた


アスカ「ありがと・・・」


味はよくわからない
食べられるだけ食べて、薬を飲んだ




63:2013/01/24(木) 00:17:48.60 ID:xWJMD78X0



シンジ「よかった。熱下がったね」


夜になって平熱にまで下がった
頭もなんだか軽い


シンジ「あのさ」

シンジ「来週二人で今日観れなかった映画行かない?」


二人で?
なにそれ、デートの申し込み?


シンジ「嫌ならいいんだけど・・・・」

アスカ「いいわよ、いきましょ。こうなったのも私の責任だし」

シンジ「うん!」




64:2013/01/24(木) 00:20:55.34 ID:xWJMD78X0


待ちに待ったこの日がついに来た


アスカ「早くしなさいよ。置いてくわよ!!」

シンジ「待ってよ〜」

キョウコ「気を付けるのよ、二人とも」

シンジ・アスカ「行ってきまーす」



65:2013/01/24(木) 00:25:51.21 ID:xWJMD78X0





『僕、君のことが好きだ!!』

『ありがとう!!私うれしい!!!』

映画はクライマックスを迎えていた
青春ラブストーリーでありがちなシーンだ



アスカ「!!」


左手に手が重なった
思わず左に座るシンジを見た
恥ずかしそうにこっちを見ていた

そっと、手を握り返した




家の近くの公園に来た
手を繋いだままお互い何も話さない

シンジ「・・・・」

アスカ「・・・・」

シンジ「・・・・」

アスカ「・・・・」


アスカ「あ〜もう、何か話しなさいよ!!」


恥ずかしすぎて耐えられなかった


シンジ「アスカ、好きだよ」

アスカ「へっ?」

シンジ「一緒にずっといたい。僕じゃだめかな?」


えっ今なんて言った?
スキダヨ?
何それ知らないんだけど

ああ、好きだよ・・か
誰が?誰を?

シンジが私を?
私も好きだけど何か?
え〜となんていえばいいのかしら?


アスカ「・・・」

シンジ「アスカ・・・?」

アスカ「・・・」

シンジ「ねぇ、アスカ!!」

アスカ「な、な・・・なにいきなり告白してんのよ!!」

アスカ「心の準備だってできてないのに!」

シンジ「僕はできてたよ」

アスカ「私の準備よ!!」

シンジ「ごめん・・・」




66:2013/01/24(木) 00:28:58.57 ID:xWJMD78X0




アスカ「ずっとって、死ぬまでよ」

シンジ「うん」

アスカ「墓まで一緒よ」

シンジ「うん」

アスカ「他の女に惚れたら[ピーーー]わよ」

シンジ「うん」

アスカ「私の我がままに文句言わない?」

シンジ「そ、それはわからない・・・」

アスカ「そこは『うん』でしょ!」

シンジ「うん・・・」

アスカ「私もシンジのことが好き」

アスカ「私のこと幸せにできる自信あるの?」

シンジ「してみせるよ!!」

アスカ「断言しなさいよ!まっ、その方がシンジらしいか」

アスカ「じゃあ帰るわよ!!バカシンジ♪」





その日の夜、こいつは現れた



73:2013/01/24(木) 21:29:02.33 ID:xWJMD78X0



空気が重い
表現しがたい何かを感じる

目が覚めた
時計の針は深夜二時を指していた
二時はなんとなく不気味な感じがする


口の中がカラカラだ

台所へ行って水を飲み、部屋に戻る


アスカ(!!)


誰かがいる
いや、何かがそこにいる






74:2013/01/24(木) 21:43:13.72 ID:xWJMD78X0




『また、逢えたね』



ああ、あんたか





締め出していた記憶がよみがえる





アスカ「今さら何の用?」



私が嫌いだったやつ
私を傷つけたやつ
私を裏切ったやつ


そして







私が一番好きだったやつ・・・・・





75:2013/01/24(木) 21:49:49.82 ID:xWJMD78X0




シンジ『アスカは今幸せ?』

アスカ「ええ、とっても幸せよ」

アスカ「使徒もエヴァもなくて戦う必要のない世界」

アスカ「やさしいママもいる世界。これ以上にない位にね」


シンジ『・・・嘘だね』

アスカ「嘘じゃないわよ!!」


強い口調で言った
だって、それは本当のことだと思っていたから




76:2013/01/24(木) 22:01:53.53 ID:xWJMD78X0




シンジ『これがアスカの望んだ世界?』

アスカ「ええ」

シンジ『僕より悲惨な僕だね。ここは』

アスカ「・・・・」

シンジ『父さんと母さんが目の前で死んじゃって・・・』

シンジ『リストカットまでしちゃって・・・』

シンジ『・・ははっ、その僕を助けたつもり?』

シンジ『笑わせないでよ!!』

アスカ「そんなこと・・・」


言い返そうとするが、遮られる





77:2013/01/24(木) 22:16:53.22 ID:xWJMD78X0



シンジ『可哀そうな僕を慰めることを楽しんでいるだけだ!!』

シンジ『ボランティアと同じさ考えさ』

シンジ『結局は、誰かのためにいいことをしたっていう自己満足。自分は偉いと勘違いしているだけだ!!』

シンジ『弱者を守る母性みたいな感情を、好きになる感情だと錯覚しているに過ぎないよ!!』

シンジ『あの時全部知ったよ、僕に向ける憎悪の感情を』

シンジ『あの僕だって、絶望の中の自分に手を差し伸べてくれたアスカに、感謝の感情を好きだと錯覚しているに過ぎないさ』

シンジ『こんなのは恋愛感情でもなんでもない!!』

シンジ『あの僕といることは、アスカの本当の幸せではない』


アスカ「うるさい!!」

アスカ「うるさい!!うるさい!!!」

シンジ『僕はアスカに、真の幸せを手にしてほしいんだ』

シンジ『だから、追い出すんだ、あの僕を』

アスカ「うるさい!!」

アスカ「うるさい、うるさい、うるさああああああああい!!!!」



78:2013/01/24(木) 22:24:54.70 ID:xWJMD78X0


バタン
勢いよくドアが開けられる


シンジ「どうしたのアスカ!!」


近寄ってくるシンジ


アスカ「来ないで!!」


シンジのことを突き飛ばした


シンジ「・・・・アスカ?」

シンジ『そう、それでいいんだよアスカ』


不気味な笑みを浮かべる『シンジ』



アスカ「わからない!いや!!来ないで!!」

アスカ「きゃあああああああああああ!!!」



シンジ「アスカ!!!」

キョウコ「どうしたの!?」


ママも駆け付けた


アスカ「あ・・・・・あぁ・・・・」





記憶は途切れた







79:2013/01/24(木) 22:37:53.75 ID:xWJMD78X0




気が付くと私はベッドで寝ていた


アスカ「夢・・・・・?」



シンジ「アスカ!!」

キョウコ「アスカちゃん!」


夢だったと思いたかった
けれども二人の心配そうな顔が、その願望を打ち砕いた


キョウコ「なにがあったの?」

アスカ「・・・変な夢見ちゃって・・・・」

キョウコ「あの取り乱し方は尋常じゃなかったわよ・・・」

キョウコ「病院行っておく?」

アスカ「大丈夫・・・」

シンジ「本当に大丈夫?無理してない?」

アスカ「うん・・・」

キョウコ「・・疲れが溜まってたのね。ゆっくり休みなさい」

アスカ「ありがとママ・・・・」


夜の十一時になっていた
時間が逆戻りしたの?

違う 一周したんだ

ってことは私、学校休んだのね


キョウコ「シンジ君は明日学校でしょ?もう寝なさい」

キョウコ「アスカちゃんは明日も休ませるわ」

シンジ「・・わかりました。お休みアスカ」


シンジが部屋から出ていこうとする


アスカ「待って。もう少しここにいて・・・」

アスカ「お願い・・・」


目の前の『シンジ』の表情が曇った
二人には見えていないんだ・・・


キョウコ「・・・一時間だけよ。悪いわね、シンジ君。お願いしていい?」

シンジ「はい」


ママはそう言って私の部屋から出た



81:2013/01/24(木) 22:50:54.49 ID:xWJMD78X0




アスカ「ねぇ、シンジ?」

シンジ「なに?」

アスカ「私のどこが好きなの?」

シンジ「どうしたの?突然?」

アスカ「いいから、答えて」


シンジ「んー、アスカさ、僕が引っ越した時のこと覚えてる?」


忘れるはずがない
ずっと後悔していたのだから


シンジ「今なら言えるけど、あの日アスカに好きって言おうと思ってたんだ・・・・」

アスカ「えっ?」


この言葉を聞いてさらに後悔した
シンジは続ける


シンジ「アスカって昔から、僕にしか見せてくれない笑顔があるんだよね・・」

シンジ「その笑顔を他の人に見せたくないし、取られたくないんだよ」

シンジ「アスカが悲しんでると、僕も悲しい」

シンジ「アスカの笑顔をずっと見てたいし、守りたいんだ」

シンジ「ダメかな・・・?」



アスカ「・・・・つっ・・」


涙が止まらない
うれしい

ただうれしかった




82:2013/01/24(木) 22:51:35.13 ID:xWJMD78X0





シンジ『嘘だ!!!』

シンジ『そんなの嘘に決まってる』


『シンジ』が叫ぶ



アスカ「えへへ・・・・シンジ、ありがと」


満面の笑みでお礼を言った



シンジ『止めろ!!!!!!!!』

シンジ『なんでだよ・・・・』

シンジ『どうしてなんだよ・・・・』

シンジ『お願いだよ・・』

シンジ『止めてよ・・・・・・』

シンジ『なんで僕には見せなかった、そんな笑顔をするのさ!!』

シンジ『なんでだよ・・・・』

シンジ『やめろおおおお!!!』

シンジ『うああああああああああ!!!!』







83:2013/01/24(木) 23:01:44.07 ID:xWJMD78X0





キョウコ「本当に平気?」

アスカ「心配し過ぎよママ♪」

シンジ「アスカ、今日は念のために休んだ方がいいよ」

アスカ「シンジと一緒だから大丈夫よ!!」

シンジ「えっ?」

キョウコ「えっ?」


沈黙が支配する


キョウコ「まさか・・・・いつの間にそこまで・・・」


ママは言うほど驚いてはいなかった
むしろシンジの方が驚いていた


アスカ「私とシンジはラブラブなのよ!!」

シンジ「あ、アスカ・・・・!」

シンジ「あっ・・・・えーと、お付き合いさせていただいています。碇シンジです」

キョウコ「えっと・・・・こんな娘ですがよろしくお願いします」


なぜかお辞儀し合う二人


アスカ「朝から何してんの二人とも!!」

アスカ「ほら、早くしないと置いてくわよ!!!」

シンジ「ちょっと、待ってよ〜」


キョウコ「この日をずっと待ってたわ♪」

アスカ「なんか言った?ママ」

キョウコ「いいえ。いってらっしゃい、二人とも」






84:2013/01/24(木) 23:11:39.76 ID:xWJMD78X0





夜、二人が寝静まったのを確認する


アスカ「どうだった?今日一日私をストーキングして」


『シンジ』に聞く


シンジ『・・・楽しそうだった・・・・・』

アスカ「幸せじゃないように見えた?」

シンジ『とても幸せそうだった・・・・』

アスカ「あたり前でしょ!私が幸せだって言ったんですもの!!」

シンジ『うん、そうだね』


微かながらに『シンジ』は笑った


シンジ『僕はさ、ここの僕に嫉妬していたんだ・・・』

シンジ『昨日のアスカの顔を見て、そう確信したよ』

シンジ『どうすれば、あの笑顔を僕も見られたのかな・・・・?』





『もう一度会いたかったんだ。自分以外の人に』

『それが私だったってこと?』

『うん・・』

『・・・・・ありがとう、アスカ。また会えてうれしいよ』

『そう・・・・よかったわね』





85:2013/01/24(木) 23:12:07.22 ID:xWJMD78X0







『僕に手を当てて』

『新しい世界を構成するよ』

『望む世界を思い浮かべて・・・・』

『わかった・・・・』

『じゃあ、始めるよ・・・』

『・・・・』

『・・・アスカ・・』

『なに?』

『幸せになってね』

『うん・・・』

『僕、アスカのこと・・・』

『えっ?』




アスカ「過去を悔やんでも、変えることはできないわ・・・・」

アスカ「・・・・あの時の返事よ・・」


アスカ「私もよ、バカシンジ・・・・」

シンジ『!!!!』


シンジ『ありがとう、アスカ・・・・・』

アスカ「あら、泣いて喜ぶと思ったのに?泣かないのね」

シンジ「うれしい時は笑うんだよ」








満面の笑みだった





94:2013/01/25(金) 21:56:27.15 ID:Qm7woJba0







アスカ「早くしないと遅れるわよ!!バカシンジ」

シンジ「わかってるよ・・・マリ、レイ!!準備できてる?」

マリ「にゃははは、まだ〜」

レイ「わたしはできてる」



あれから14年経った



双子の姉妹のマリとレイ
マリは姉で私似。シンジ曰く性格もそっくり
レイは妹でシンジ似。ユイおばさまにそっくり
レイって名前はファーストからもらったもの・・・

今日は小学校の入学式
大切な日


シンジ「アスカ、悪いけどマリを手伝って」

アスカ「私も無理〜。レイ、お姉ちゃんを手伝ってあげて」

レイ「・・はい」

レイ「おねえちゃん。これにきがえて。そしたらこのぼうしをかぶって」

マリ「おっ、これね〜。それにピッカピカのランドセル・・・・うふふ、わくわくしてきたにゃ」

シンジ「マリ、その『にゃ』ってのは止めなさい!」

マリ「なんで〜?」

シンジ「いいから、今のうちに止めなさい」

マリ「やだ〜、にゃははは」

シンジ「まったく・・・」

アスカ「あー、もうこんな時間!!」

アスカ「三人とも、準備できたなら行くわよ!!」

シンジ・レイ・マリ「はーい」






95:2013/01/25(金) 22:03:11.86 ID:Qm7woJba0






『鈴原サクラちゃん』

『はい!』


小学校の入学式が始まった
一人一人名前を呼ばれて返事をし、席を立って校長先生にあいさつをする


シンジ「ねぇ鈴原って・・・」

アスカ「多分、そうね」


今呼ばれたのはヒカリと鈴原の子どもだろう・・・
そういえば、年賀状にこっちに帰ってくるって書いてあったっけ


シンジ「帰って来たんだ・・第三新東京市に・・」





『式波マリちゃん』

『は〜〜い!!!』


今までで一番大きな声


キョウコ「マリちゃんは本当に元気ね〜」

キョウコ「昔のアスカにそっくりね。ふふっ」


遠い目で見ている
昔を思い返しているのだろう


『式波レイちゃん』

『はい・・・』


レイは昔のシンジにそ〜っくり
小さな声で話す所とか、控えめなところとか・・・
あっ、控えめなところは今もか


二卵性とはいえここまで正反対な姉妹がいるだろうか?


シンジ「マリは声がでか過ぎだし、レイは小さ過ぎだよ・・・」


シンジは苦笑している


無事入学式は終わった






96:2013/01/25(金) 22:14:49.59 ID:Qm7woJba0



小学校からの帰り道


シンジ「いい?二人とも、この道をしっかり覚えて、事故に遭わないように気を付けるんだよ」

レイ「はい」

マリ「は〜い」

アスカ「マリ、わかってるの?お姉ちゃんでしょ、しっかりしなさい!」

マリ「はい・・」


あっ、マリが落ち込んだ
珍しい


キョウコ「ここで、問題です。横断歩道を渡る時は?」

レイ・マリ「あおしんごうのときに、みぎみて、ひだりみて、またみぎみてわたる(!!)」

キョウコ「二人とも大正解!!」

キョウコ「あと、これからはどっちかが迷子にならないように、しっかり手を繋いでこれからは歩くのよ」

キョウコ「ちゃんとできる人は手を挙げてー」

マリ「はーい!」

レイ「はい」


元気よく手を挙げる


キョウコ「アスカ、子どもの教育はこうするのよ♪」


ヒソヒソ声で言ってきた


アスカ「はい・・・」


やっぱり、ママには敵わない
子育ては本当に難しい・・・






97:2013/01/25(金) 22:29:40.95 ID:Qm7woJba0




レイ「・・・おねえちゃん、いたい・・」


マリがレイと繋いでる手を振り回している


マリ「わんつーわんつー!」



シンジ「あっ、二人とも。横断歩道だ。どうやって渡るんだっけ?パパにお手本見せてほしいな〜」


大通りに出た
それなりに交通量がある


マリ「いいよ〜」

レイ「・・あおしんごう」

マリ「みぎよし!」

レイ「ひだりよし」

マリ「みぎよし!」

レイ「そして、わたる」

シンジ「二人とも、ちゃんとできてお利口さんだね〜」

マリ「えへへへ」

レイ「うん・・・」


褒められて嬉しそうに渡り出した
私とママもそれに続こうとする




98:2013/01/25(金) 22:30:32.20 ID:Qm7woJba0


ゴー
地響きに近い音が聞こえる


アスカ「何?」


周囲を見渡す


アスカ(あれだ!!)


トラックがとてつもないスピードで迫っている


アスカ「危ない!!」

シンジ「えっ?」


シンジがこちらに振り返る


アスカ「バカ!!こっちじゃない!!」


シンジも気付いたようだ
咄嗟にシンジはマリとレイをトラックの軌道外に押し出す
ひとまず、二人は危険から回避できた

ダメだ、シンジは間に合わない


よく、事故に遭う瞬間、スローモーションに見えると聞く

本当にそう見えた


アスカ「シンジ!!」

キョウコ「シンジ君!!」


ああ、もうダメだ
冷静にそう思った





99:2013/01/25(金) 22:37:09.48 ID:Qm7woJba0


ドガン
音が聞こえた
轢かれたんだ・・

目を開ける


アスカ「!!」


シンジは倒れている
トラックはフロントガラスが割れて、停止している


私は無意識にマリとレイの元に走っていた


アスカ「マリ・レイ怪我はない!?」

マリ「うわああぁぁぁん、ママ〜〜〜」

レイ「ママ・・・・」


二人を抱きしめる
二人の震えが伝わってくる


アスカ「大丈夫!?怖かったね」


二人の背中をさすってやる


マリ・レイ「えぇぇぇーん」


ママもやってきて、二人を抱きしめる


キョウコ「もう大丈夫だよ。よしよし」


ママが来て余裕が生まれたんだろう
ここでやっとシンジの方へ駆け寄った


アスカ「シンジ!!!」


出血はない


シンジ「・・うっ・・ん?」


目を覚ました
どうやら気絶していたみたい





100:2013/01/25(金) 22:39:30.58 ID:Qm7woJba0

シンジに抱きつく


そしてふと、なぜシンジは無事で、トラックが止まっているのか考えた
トラックをよく見る


答えはそこにあった


オレンジ色の正八角形の半透明の壁

間違いない


アスカ(ATフィールド・・・・)


『久しぶりだね・・・』


見覚えのある制服を着た少年がこちらに振り返る


アスカ「シンジ・・・・」


あの日以来一度も見なかったから、とうに消えたものだと思っていた


シンジ「えっ?なに?」


抱きついている方のシンジが反応する


シンジ『危ないところだったね』

アスカ「・・・・」


会話はできない
変に思われてしまうから・・


シンジ『こっちの僕が死ぬのは構わなかったんだけどね・・・』

シンジ『でも、それだとアスカやあの子どもたちが悲しんでしまう・・』

シンジ『それは、アスカにとって幸せではないからね。手伝ってあげたよ』

シンジ『世界に介入するのはよくないんだけど。まぁ僕は神様みたいなもんだからいいかな?』




あの笑顔がそこにあった








101:2013/01/25(金) 22:40:26.38 ID:Qm7woJba0





シンジ「結局なんだったんだろうね?」


病院で精密検査を受けたものの、異常なしということで無事帰宅できた


アスカ「ほんとうね、なんだったのかしら?」


とぼけておく


シンジ「マリとレイに怖い思いさせちゃったね」

アスカ「そうね・・・」


二人は録画したアニメを観て盛り上がっている


シンジ「あのはしゃぎようなら、大丈夫かな?」


レイがこっちをみた
テレビを観るのをやめてこちらに来る


レイ「ねぇ、ママ」

アスカ「どうしたのレイ?」


廊下に続くドアを指さす


レイ「あのおにいちゃん・・・・だれ?」

シンジ・アスカ・『シンジ』「えっ?」


ドアの方を見る
『シンジ』がいた
嫌な汗が出る



102:2013/01/25(金) 22:41:24.05 ID:Qm7woJba0



シンジ「な・・な・・・・なに言っているんだい?レイ?」

シンジ「誰もいないよ・・・」

レイ「ちゃんとみて。パパ。しらないおにいちゃんがいるわ」

アスカ「も〜、変なこと言わないで。誰もいないわよ・・・」


レイに『シンジ』が見えるの?
その疑問はマリによって決定付られた


マリ「ど〜したのレイちゃん?」

レイ「みて。おねえちゃん。あそこにしらないおにいちゃんがいるの」

マリ「ほんとだ。もしかして・・・どろぼうさんかにゃ?」


心臓が飛び上がる


シンジ「二人とも、誰もいないってば・・・・」


『シンジ』はあたふたしている


レイ「・・・おばけ?」

マリ「いやあああああぁぁぁぁ。おばけ、いやぁぁぁぁぁ」


マリが走って逃げてきた


アスカ「大丈夫。パパがなんとかしてくれるわよ!」

レイ「がんばって、パパ・・・」


シンジは南無阿弥陀仏と唱えている
『シンジ』に隣の部屋に行くように合図する


レイ「いなくなった・・・」

マリ「すごーい!!」


シンジ「風呂に行って頭冷やしてくる・・・」


顔を真っ青にして、そういって風呂へ行った





103:2013/01/25(金) 22:42:03.92 ID:Qm7woJba0



アスカ「二人ともちょっときて」


寄ってくる二人


アスカ「今からママが言うことをパパに秘密にできる人は手を挙げて」

マリ「はーい」

レイ「はい」

アスカ「ん、いい子ね。  ちょっと来て!」


『シンジ』が現れる


レイ「さっきの・・・」

マリ「おばけ!?」

アスカ「いい?このお兄ちゃんはママの知り合いなの」

マリ「そうなの?」

シンジ『うん・・・・』

アスカ「これから、二人が危ない目に遭わないかいつも見守ってくれるわ」


シンジ(そ、そんなの聞いてないよ!!)

アスカ(うるさいわね〜、この子達はあんたの子ども同然なのよ。親は子を見守る。あたり前じゃない!!)

アスカ(例えN2爆雷が来ても、あんたのATフィールドで守れるでしょ!)





104:2013/01/25(金) 22:42:56.32 ID:Qm7woJba0



アスカ「でもね、このお兄ちゃんはマリとレイ以外の人には見えないの」

アスカ「だから、お話していいのはお家の中だけ」

アスカ「わかった?」

マリ・レイ「うん!」


マリ「わたしは、しきなみ・マリ!」

レイ「わたしは、しきなみ・レイ・・・」

シンジ『僕は碇シンジ。よろしくね』


シンジ(あっ・・・)

アスカ(・・・バカ)


レイ「いかりシンジ?」

マリ「パパとおなじなまえだにゃ・・・」

アスカ「偶然よ!偶然!!」

シンジ『へ、へぇ〜そうなんだ・・・あははは・・・・』



バタン


シンジが風呂から上がってきた

シンジ「ふぅ〜、あれ?三人ともなにしてるの?」

マリ「ん〜とねぇ、いまパパとおはなししてるの!!」

レイ「そこにいるでしょ?」

アスカ「マリ!レイ!」

シンジ「えっ・・・・?」


終劇




105:2013/01/25(金) 22:44:18.76 ID:Qm7woJba0

空白の14年


107:2013/01/25(金) 23:03:37.81 ID:Qm7woJba0

アスカ「今なんて?」

シンジ「だから、僕がアスカの名字を名乗るよ」

アスカ「なんでよ!?」

アスカ「妻が夫の姓を名乗るのが普通でしょ?」

シンジ「・・・・・父さんと同じだよ」

シンジ「母さんは父さんに生きる希望を与えた。闇から助け出した。父さんを愛した」

シンジ「今なら分かるんだ、その父さんの気持ちが・・・」

シンジ「ダメかな?」

アスカ「べ、別にいいわよ。その方が、私もいろいろと楽だし」

シンジ「じゃ、決まりだね」


妻の氏にチェックが入った婚姻届

無事受理された


シンジ「今日から式波シンジか・・・」

シンジ「これからよろしくね」

アスカ「うん」




二人は手を取り歩み出した




本当の終劇



SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介です。
元スレ:
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358776774/

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