1:2012/09/08(土) 23:37:36.49 ID:5lHgwMRP0

モモ「先輩先輩!」

ユミ「どうした? モモ」

モモ「一緒に帰りましょうっす!」

ユミ「あ、ああ……えっと、すまない。今日は……」

「加治木さーん、帰りましょう」

モモ「……え?」

ユミ「その……朝にな、モブAさんと帰る約束をしていて……」

モモ「……んで、っすか……」

ユミ「もも……?」

モモ「……そっすか! それじゃあ仕方ないっすね!」

ユミ「そ、そうか! すまない……明日は、一緒に帰ろう」

モモ「はいっす!」

モブA「加治木さん、何してるの? 帰りましょう」

ユミ「ああ。それじゃあな、モモ」

モモ「はいっす!」



モブA「? 加治木さん、誰と話してたの?」

ユミ「いや、何でも無いんだ。気にしないでくれ」

モブA「そう? でも、珍しいね。加治木さんが一緒に帰ろうだなんて」

ユミ「私だって、たまにはそんな日もある」

モブA「ふふっ。そっか」

ユミ「……すまんな」

モブA「え、何か言った?」

ユミ「いや。何も」


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2:2012/09/08(土) 23:38:53.84 ID:5lHgwMRP0

モブB「ねえねえ、聞いた? モブAさんのこと」

モブC「聞いたよ。歩道橋の階段から落ちたんでしょ?」

モブD「幸い命に別状はないけど、三ヵ月の入院だっけ? かわいそうだね」

モブB「噂だと、誰かに突き落とされたって言ってるらしいよ? 目撃者はいないって話だけど」

モブC「きっと、恐怖のあまり錯乱してるんだよ。大丈夫かなぁ」


ユミ「……」

モモ「先輩?」

ユミ「ああ、モモか……」

モモ「どうしたんっすか? 元気、ないっすよ」

ユミ「モブAさんが、大怪我をしたと聞いてな……」

モモ「ああ、昨日、先輩が一緒に帰ってた人っすよね」

ユミ「途中までは一緒だったんだ。私が本屋に寄りたくて別れた後で、まさかあんな……」

モモ「先輩は何も悪くないっす! あれは、ただの事故だったんっすよ」

ユミ「モモ……」

モモ「だから、先輩があの人のことで悩む必要はないっすよ」

ユミ「……ありがとう、モモ」

モモ「えへへ」



4:2012/09/08(土) 23:43:54.09 ID:5lHgwMRP0

蒲原「ワハハ。リーチ」
ユミ「すまんな、蒲原。ロンだ」
蒲原「げっ」
モモ「先輩、さすがっす!」
睦月「うむ」
蒲原「ユミちんは流石だなー」
ユミ「なに、調子が良かっただけさ」
妹尾「あの、お茶淹れたので、一度休憩にしませんか?」
蒲原「お、佳織は気が利くなぁ」
睦月「お茶菓子出してきます」
ユミ「では、一度休むとするか」

蒲原「そういえば、また怪我人が出たらしいなー」
妹尾「え、また?」
睦月「これで今月だけで五人ですか……」
ユミ「たしか、二年生だと聞いたが」
蒲原「そうそう。何でも、夜中にコンビニに行った帰りに襲われたとか」
妹尾「襲われたの!?」
睦月「今度のは事故じゃないんですか?」
蒲原「らしいぞー。裏道を歩いてたところを襲われたみたいで、目撃者も何も無し。本人も何も見えなかったんだとさ」
ユミ「何も見えなかった、か。奇妙な話だな」
蒲原「だよなー」
ユミ「皆、暗くなってから出歩くのは避けるように。人通りの少ない道もな」
睦月「はい」
妹尾「分かりました」
ユミ「……モモも、いいな?」
モモ「はいっす」
蒲原「うわっ。なんだモモ、いたのかー」
モモ「さっきからいたっすよ」
睦月「何も話してくれないと、すぐに気づかなくなるな」
モモ「ひどいっすよ、むっきー先輩」
睦月「う、うむ……すまん」
モモ「にしても、やっぱり恐いっすね。先輩、今日も一緒に帰りましょう?」
ユミ「ああ、そうだな」
モモ「やったっす!」
蒲原「二人とも仲がいいなー」
ユミ「まあ、な」
モモ「私と先輩ですから、当然っす!」




5:2012/09/08(土) 23:50:14.30 ID:5lHgwMRP0

ユミ「さて、今日の晩御飯はどうするかな」
ユミ「両親と離れて一人暮らしを選んだはいいが、毎回毎回考えるのが面倒だな……」

ピンポーン

ユミ「……誰だ? こんな時間に……」ガチャ
モモ「先輩、こんばんわ!」
ユミ「モモ!? なんだ、どうしたんだ?」
モモ「先輩がそろそろ晩御飯の準備を始める頃かと思って、お手伝いに来たっす!」
ユミ「た、たしかにちょうど考えていた頃だったが……よくわかったな」
モモ「先輩のことっすから」
ユミ「……ちなみに、それは?」
モモ「あ、これっすか? お邪魔するんだし、よければ使ってもらおうと思って」
ユミ「人参ジャガイモ玉ねぎカレールー……お前、献立まで決めてきただろ」
モモ「駄目だったっすか?」
ユミ「……いや。そうだな、今日はカレーにしよう」
モモ「了解っす!」

センパイセンパイ、アジミシテクダサイ ン、ウマイナ ヤッタッス!

ユミ「ごちそうさま」
モモ「お粗末様っす」
ユミ「殆どモモに作ってもらったな、片付けくらいは私がしよう」
モモ「いいっすよ! 先輩は座っててください」
ユミ「そういうわけにもいかん。お前こそ座ってろ」
モモ「じゃあじゃあ、二人で一緒にやりましょう! その方が速く済みますし」
ユミ「……そうだな、そうするか」



6:2012/09/09(日) 00:02:22.22 ID:H5TE/kDj0


ユミ「することもなくなったし、テレビでも見るか」
モモ「はい」
テレビ「では、次のニュースです。本日午後六時頃、買い物帰りの高校生が何者かに襲われ、病院に運ばれました」
ユミ「……これ、うちの学校の生徒じゃないか」
モモ「そうみたいっすね」
ユミ「場所も近いし……」
テレビ「被害者は○○スーパーからの帰り道に襲われたとされ……」
ユミ「……ん?(○○スーパー? たしか、モモの持って来た袋は……)」
モモ「先輩? どうしました?」
ユミ「……モモ、お前が家に来たのは何時くらいだったかな」
モモ「えっと……たしか、七時くらいっすね。もうちょっと早かった気もするっすけど」
ユミ「そうか(時間的にはちょうどいいな……)」
モモ「どうかしたんっすか?」
ユミ「……いや、このスーパーって、お前が寄って来た場所じゃないかと思ってな」
モモ「え?」
ユミ「袋、ここのだろ? ちょっと気になってな」
モモ「……まさか先輩、私のこと疑ってるっすか?」
ユミ「いいや。ただ、時間や場所が被ってるからな、何か見ていないかと思っただけだ」
モモ「見てないっすよ。だってこの人が襲われたの、先輩の家とは逆方向じゃないっすか」
ユミ「……」
モモ「先輩?」
ユミ「……ああ、そうだな。それなら何も見てる筈ないか」
モモ「当たり前じゃないですか」
ユミ「ふふっ……でも、襲われたのがお前じゃなくてよかったよ、モモ」
モモ「せ、先輩……」
ユミ「心配だから、今度来るときは事前に教えてくれ。私が迎えに行こう」
モモ「は、はい!」
ユミ「(爪が甘いな、モモ……)」




7:2012/09/09(日) 00:16:20.10 ID:H5TE/kDj0

モブB「ねえ、聞いた? あの噂」
モブC「噂?」
モブB「ここ最近増えてる、怪我人の話だよ。あれ、共通点があったんだって」
モブD「なになに? どういうこと?」
モブB「怪我した人たちって、皆……」

「加治木先輩と一緒にいたんだって」




8:2012/09/09(日) 00:25:42.89 ID:H5TE/kDj0

ユミ「……はあ」
蒲原「ユミちん、参ってるなぁ」
睦月「そりゃそうですよ」
妹尾「先輩と一緒にいたら襲われるなんて、ひどい言いがかりです」
蒲原「確かになー」
ユミ「……だが、実際のところそうなってるのは事実だ」
モモ「先輩……」
ユミ「一緒に帰ったり、休み時間に何か作業をしたり……それだけで、数日中に怪我をしているんだ。全員が全員、な」
妹尾「で、でもでも! 襲われたりした人たちとは、関わりなかったんですよね? それじゃあ、やっぱり言いがかり……」
ユミ「……あるんだよ、実は」
睦月「どういうことですか?」
ユミ「…………告白されたんだ。襲われた人たちから、その数日前に」
妹尾「!?」
蒲原「ユミちんはモテるからなー……でも、告白した人たちは襲われた、かぁ」
ユミ「……すまない。今日は先に帰らせてもらう」
睦月「は、はい。お疲れ様です」
モモ「待ってください先輩! 私も!」

妹尾「加治木先輩、大丈夫かな……」
睦月「うむ……」
蒲原「なーに、ユミちんなら大丈夫さ。にしても……」
妹尾「智美ちゃん?」
睦月「どうかしたんですか?」
蒲原「いやな、これだけ襲われたり事故ったりしてるのに、目撃者が誰もいないっていうのはな」
妹尾「人通りの無いところでの事故だったんでしょ? それなら仕方ないよ」
蒲原「いやー、そうなんだけどな。その被害にあった人も、自分を襲った人の姿を見てないっていうのがなー」
睦月「先輩?」
蒲原「……まるで、そこにいるのに見えない誰かみたいだなーって、思っただけだよ」



10:2012/09/09(日) 00:42:37.16 ID:H5TE/kDj0

モモ「先輩、そんなに落ち込まないでください」
ユミ「ああ……わかってるんだがな」
モモ「大丈夫っすよ。全部ただの偶然ですから」
ユミ「……なあ、モモ」
モモ「はい?」
ユミ「お前だけは、私の傍にいてくれるよな……?」
モモ「あ、当たり前っす! 当然っす! 先輩がいやだって言っても、私はずっと先輩の傍にいるっすよ!」
ユミ「ふふっ……そうか。それなら、安心だな」
モモ「先輩……」
ユミ「なあ、よかったら今日は泊まっていかないか? いつも晩御飯を食べたら帰ってしまうだろ?」
モモ「嬉しいっす! あ、でも……」
ユミ「やはり、駄目か?」
モモ「すみません、先輩。でも」
ユミ「?」
モモ「すぐにでも泊まりに行けるようになるっすよ。だから、もう少し待っててください」
ユミ「……ああ、わかった」
モモ「さて、それじゃあ今日の晩御飯を買いに行きましょう! 先輩は何が食べたいっすか?」
ユミ「お前に任せるよ、モモ」
モモ「了解っす!」




11:2012/09/09(日) 01:04:59.39 ID:H5TE/kDj0

モモ「まさか先輩から誘われるとは思わなかったっすね……」
モモ「先輩のことっすから、進展はまだ先だと思ってたんだけど……ま、いいことっすね」
モモ「ふふっ……待っててください、先輩」
モモ「すぐにぜーんぶ終わらせて、そうしたらいっぱいいーっぱい、一緒にいましょうっす……」


12:2012/09/09(日) 01:05:41.26 ID:H5TE/kDj0

ユミ「また、か……」
モブE「モブFさんが、階段から落ちたんだって!」
モブG「私は自転車とぶつかったって聞いたけど……」
モブH「それはモブOさん!」
ユミ「(被害者は減るどころか増える一方だな、それも頻度があがっている。一日に二人三人は当たり前、か)」
ユミ「少し飛ばし過ぎだな……まあ、そろそろ頃合いか」
蒲原「ワハハー、どうしたユミちん。そんなところで突っ立って」
ユミ「……ああ、蒲原。いや、少し考え事をな」
蒲原「そうかそうか。それじゃま、今日も部活がんばろうかー」
ユミ「……すまない。今日は用事があって早く帰らなければならないんだ。皆にもそう伝えてくれるか?」
蒲原「ん、そうなのかー? 用事なら仕方ないな。任されたー」
ユミ「頼んだ……それと、蒲原」
蒲原「なんだー?」
ユミ「こういうことを言うのは好きでは無いが、あまり私の傍に来ない方がいいとは思わないのか? 怪我をしたら困るだろう?」
蒲原「んー? 噂のことか? おかしなことを言うなーユミちんは」
ユミ「真剣に言っているんだぞ?」
蒲原「ワハハー。まあ、大丈夫だって……なんかさ、麻雀部の皆は大丈夫な気がするんだー」
ユミ「……何を根拠に」
蒲原「ワハハ。ユミちんがそんなに心配することはないってことさー」
ユミ「……そうか。まあ、大丈夫なら私も安心だ。それじゃ、後は頼んだぞ」
蒲原「おー。気をつけてなー」
蒲原「……あまりやりすぎるなよ、ユミちん……」




17:2012/09/09(日) 01:14:27.02 ID:H5TE/kDj0

モモ「ええっ、先輩お休みっすか!?」

蒲原「そうだぞー。なんでも用事があるらしいからな、後は私にお任せだそうだ」

モモ「そうっすか……」

妹尾「でも、先輩大丈夫かな?」

睦月「うむ。噂のことはともかく、襲われた人が増えているのは事実だし……先輩が襲われないとも限らない」

モモ「なっ! ありないっす!」

蒲原「そうでもないだろ、モモ。実際、相手が鶴賀の生徒を狙ってるんだとしたら、その可能性は十分にある」

モモ「そ、それはそうっすけど……」

モモ「(先輩が襲われるなんて、有り得ないっすよ!)」

蒲原「一人で行動するのは危ないって言われてたしなー」

モモ「っ……私、先輩を追いかけます!」

睦月「あ、おい!」

モモ「失礼しますっすー!!」

妹尾「行っちゃった……」

蒲原「ワハハー。相変わらずモモはユミちんのことになると一直線だなー」




18:2012/09/09(日) 01:19:14.28 ID:H5TE/kDj0

モモ「先輩、どこまで行ったんですか……」

モモ「(家に帰るならこの道を通る筈、もしかして用事で別方向っすかね)」

モモ「そうなると、どこを探したら……ん……?」

モモ「(今、何か音……声が聞こえたような……)」


「っ、ぅう……」


モモ「……誰かいますかー?」

モモ「(こんな路地裏に人がいるわけないと、思うんすけど……)」


「……も、も……?」


モモ「……え?」

ユミ「モモ……」

モモ「せ、せんぱ……」

ユミ「モモ……」

モモ「(どういうことっすかこれ!? なんで、なんで先輩がっ)」

モモ「その怪我、どうしたっすか!?」

ユミ「わ、わからないんだ……突然、後ろから襲われて、抵抗したんだが……」

モモ「(手や腕に切り傷、足にもっすか。制服もボロボロ……)」

ユミ「モモ……恐い。恐いんだ……」

モモ「……大丈夫ですよ、先輩。私がいるっす」

ユミ「私に関わると、酷い目に合う。しまいには私まで、こんな……」

モモ「先輩……」

ユミ「駄目だって分かってるんだ。それでも、一緒にいたいと思ってしまう。傷ついてほしくないのに……モモ、君だけは……」

モモ「それ、って……」

ユミ「お願いだモモ、一緒にいてくれ。一人にしないでくれ……君だけでいい、君さえいてくれれば、私は……」

モモ「っ―――!!」ゾクゾクゾクッ

モモ「一緒にいます! 先輩、私だけはずっとずっと先輩の傍にいるっすよ! 私は先輩のものっす!」

ユミ「っモモ!」

モモ「先輩!」

モモ「(ああ、最高っす! 最後の最後でこんなイレギュラー、でもこれで、これで先輩は!)」




モモ「私だけのモノっすね」




22:2012/09/09(日) 10:24:11.12 ID:H5TE/kDj0

蒲原「よーっす」

ユミ「やあ、蒲原」

蒲原「おおっ、ユミちんじゃないか! 怪我はもういいのか?」

ユミ「おかげさまでな。もうすっかりよくなったよ」

蒲原「そうかそうか。いやー、よかった」

ユミ「他の皆はまだ来ていない。HRが遅れているんだろうな」

蒲原「それじゃあ、のんびり皆を待つとしますかー」

ユミ「ああ」

蒲原「……ところでなあ、ユミちん」

ユミ「なんだ?」

蒲原「数日前のニュースで、ビルの屋上から男性が飛び降りて自殺したってのがあっただろー」

ユミ「あったな。ひどいものだ」

蒲原「なー。それで、偶然かもしれないけど、その事件の少し前くらいから、あんなにあった怪我人がぱったりといなくなったんだよ」

ユミ「そうなのか? さすがにそれは知らなかったな」

蒲原「それでな、これまた噂なんだけど」

ユミ「?」

蒲原「襲われたり怪我をしたりした人たちがな、直前にみんな不思議な声を聞いてたんだってさー」

ユミ「声?」

蒲原「先輩に手を出すのは許さない、ってさ。怪我人もいなくなって、落ち着いたから誰かが話し出したんだろうけど、どうなんだろうなー」

ユミ「……もしかしたら、その声もあって私の噂が広まったのかもな」

蒲原「そうだなー。でもさ、今にして思えば噂が広まるのも随分と早かったよな」

ユミ「というと?」

蒲原「まるで誰かが、意図的に広げてたみたいだなーって思ったんだよ。推測だけどな、ワハハ」

ユミ「……だとすると参るな。おかげで私は、今もほとんどの生徒から避けられてしまっている」

蒲原「ワハハ。それも承知の上だったんじゃないのか?」

ユミ「……なに?」

蒲原「あの噂、ユミちんが広げたんじゃないのか?」

ユミ「何を馬鹿な……どうして私が、わざわざ自分を追い詰める噂を流す?」

蒲原「んーとなー、そんなはっきりとした根拠は無いんだよ。ただ、被害者の共通点がユミちんってのは、早急すぎるんじゃないかと思ってな
ー」

ユミ「そうか? 学年もバラバラ、クラスもバラバラなら、共通点をそういったことに見出したとしてもおかしくは……」

蒲原「そうなんだけどな、その特定が随分と早すぎたと思うんだよ。だって、数日前にその人が誰と一緒にいたかなんて、普通は覚えてないだ
ろー?」

ユミ「……まあ、たしかにな」

蒲原「覚えてるとしたら、一緒にいた張本人だけだと思ったんだ。もちろん、適当な人の噂を流したって、調べればすぐにわかるだろうけど……」

ユミ「調べれば裏が取れるだけ。だから私が噂を広めた、と?」

蒲原「言っただろー、推測だって。私はユミちんみたいに頭がよくないからなー、ワハハ」

ユミ「そうか」


23:2012/09/09(日) 10:25:12.35 ID:H5TE/kDj0

蒲原「……なあ、ユミちん。ユミちんの目的は、果たせたのか?」

ユミ「……どうした蒲原。今日は随分と真面目な顔をするな」

蒲原「ひっどいなー。私はいつだって大真面目だぞ」

ユミ「ふふっ、そうだな。たしかにそうだ」

ユミ「……果たせたよ。望んだとおりの結果になった」

蒲原「何を望んでたんだー?」

ユミ「……モモだよ」

蒲原「やっぱりかー」

ユミ「その反応だと、気づいてたんだな?」

蒲原「何となくなー。でも、いったいどうやったんだ?」

ユミ「種を蒔いただけさ。少しずつ、水をやりながら育てた」

ユミ「会話の中に少しだけ名前を出す、それを徐々に増やしていって、目の前で最後の肥料をやる。それを繰り返したんだ」

蒲原「それはまた、面倒そうだなー」

ユミ「そうでもないさ。モモは素直だからな」

蒲原「ユミちん限定でなー」

ユミ「……だから、欲しかったのかもしれないな」

ユミ「噂を広めれば、私の周りから誰もいなくなる。モモだけになれば……あいつが願った通りになる」

蒲原「最後の怪我はどうしたんだ? モモも驚いたんじゃないか?」

ユミ「驚いてたよ、凄くな。ちなみに、あれも嘘だ」

蒲原「嘘?」

ユミ「襲われてなんかいない。ナイフで適当に手や足を切っただけだ」

蒲原「ワハハ……それは、痛そうだなー」

ユミ「その痛みでモモが喜んでくれるなら、構わないさ」

蒲原「恐いなー、ユミちんは。そんなユミちんに愛されるなんて、モモも大変だ」

ユミ「ああ、その心配は無い」

蒲原「んん?」

ユミ「目的を果たした今、わざわざ今回のような事を画策する必要は無いからな。モモは気づかないままだよ」

蒲原「そうなのかー?」

ユミ「ああ。私がモモのモノになったということは、モモが私のモノになったということだからな」

ユミ「それなら、何も心配する必要は無いだろう?」

蒲原「ワハハー、確かにな」

ユミ「……私はな、蒲原」

蒲原「ん?」

ユミ「欲しいと思ったものは、絶対に手に入れたいんだよ」


カン


24:2012/09/09(日) 10:26:04.35 ID:H5TE/kDj0

短いですがこれで。
お付き合いありがとうございました。


25:2012/09/09(日) 11:02:18.16 ID:JsSsvkwlo

すばらでした乙乙
凄く面白かった!
また書いてね!


27:2012/09/10(月) 00:19:43.98 ID:QUqyY8Al0

続きというか番外というかその後を考えたら楽しかったので、また少し続きます。
書き溜め少ないので遅筆になりますが、お付き合いいただければ。


29:2012/09/10(月) 00:21:26.76 ID:QUqyY8Al0


モモ「全国大会も終わって、清澄の部長さんから二回目の四校合同合宿に誘われたっす」

モモ「今回は前回と違って麻雀の実力向上以上に、互いの親睦を深めるのが目的らしいっすけど」

モモ「……私の先輩に手を出すような輩がいないことを祈るっすよ」



衣「咲、ののか! いっしょにあそぼう!」

咲「衣ちゃん! うん、何しよっか」

衣「麻雀!」

透華「……前にも見たやり取りですわね」

一「まあまあ、いいじゃない。衣も楽しそうだ」

透華「ふふっ。ですわね」


華菜「キャプテン、まずはどうしますか?」

福治「そうね……温泉に行きましょうか」

華菜「はいだし!」


蒲原「んー、さてと。私は外に行って来るかな」

ユミ「ジョギングか?」

蒲原「ああ。風呂の前に一汗かきたいしなー」ワハハ

妹尾「睦月ちゃんはどうするの?」

睦月「うむ、文堂さんとカードコレクションを見せ合う約束をしてある」


ユミ「モモ」

モモ「なんすか、先輩」

ユミ「お前はどうするんだ? 私は一度、部屋に戻るが」

モモ「私も行くっす。一緒に行きましょう、先輩」

ユミ「ああ」




30:2012/09/10(月) 00:22:08.84 ID:QUqyY8Al0


久「あ、ユミ! ちょうどよかった」

ユミ「久? どうしたんだ」

久「貴女に話があったのよ。といっても、今じゃなくていいんだけど」

ユミ「ふむ……わかった。いつ話す?」

久「そうね、それじゃあ九時頃に清澄の部屋まで来てくれるかしら」

ユミ「わかった」

久「それじゃ、また後で」

ユミ「……モモ」

モモ「なんすか?」

ユミ「そんなにきつく掴まれると、手首に跡が残ってしまうんだが」

モモ「あ、すみませんっす」

ユミ「まったく……ほら、部屋に行くぞ」

モモ「了解っす!」

モモ「(清澄の部長さん、先輩を呼び出して何の話しっすかね……まさか!?)」

モモ「(私の先輩に、口では言えないようなことをするつもりか!?)」

モモ「許せないっす……」

ユミ「モモ? どうした?」

モモ「っな、なんでもないっすよ!」

ユミ「そうか?」

モモ「はいっす!」

ユミ「(……何だか暴走しているようだな、まあこれは……)」

ユミ「利用させてもらうとしようか」ボソッ

モモ「先輩、どうしたっすか? 早く行きましょう」

ユミ「ああ」



31:2012/09/10(月) 00:47:13.99 ID:QUqyY8Al0


モモ「はあっ、はあっ……やっと抜けられたっす」

モモ「(温泉からあがって、脱衣所で何故か龍門渕さんに捕まってしまうとは……予選の私への振り込み云々は前回の合宿でチャラになったはずなのに)」

モモ「気づいたら先輩がいなくなってるし……ああもう!」

モモ「……まさか、もう清澄の部長のところに行ったっすか? 聞いてた時間にはまだはや……ああ!?」

モモ「(もう九時半!? 思ったよりも龍門渕さんに捕まってたみたいっすね)」

モモ「せ、先輩!!」ダダッ



モモ「(清澄の部屋はここっすね……)」

「っん、ふあ……」

モモ「!! この声は……」

「ふふっ、どう? 気持ちいいかしら?」

「っああ! だ、めだ、久ぁ……」


モモ「(先輩と、清澄の部長さん!?)」

モモ「本当に手を出したっすか……」

モモ「……許さないっすよ、清澄の」ステルスモード

モモ「そーっと……?」


32:2012/09/10(月) 00:48:37.41 ID:QUqyY8Al0


ユミ「ぃあ、久、そこは……」

久「ふふっ。どう? テレビではこことここを刺激するといいって言ってたんだけど」

ユミ「っん、ん……たしか、に、気持ちはいい、が……っあう」

久「よかったー。これ試したかったんだけど、誰も相手してくれなくて。ユミがいてくれてよかったわ」

モモ「って、マッサージっすか!!」

ユミ「わっ!?」

久「っとと、あれ東横さん。いつの間に入って来たの?」

モモ「ついさっきっす。それよりも、なんて紛らわしいことをしてるっすか!?」

久「紛らわしいって……ふーん」ニヤニヤ

モモ「な、なんっすか……?」

久「いや〜、可愛いなって思ってね」

モモ「なっ」

ユミ「久、あまり苛めないでくれよ」

久「はいはい。ユミは過保護ね、まったく」




33:2012/09/10(月) 00:49:14.19 ID:QUqyY8Al0


ユミ「それで、用事はもう済んだということでいいのか?」

久「んー、そうね。終わったには終わったけど……せっかくだしもう少し話していかない? 同じ三年生、意外と話が合うかもよ?」

ユミ「……そうだな。モモ」

モモ「っは!? な、なんすか?」

ユミ「私はもう少しここに残る。お前は先に、部屋に戻っててくれ」

モモ「嫌っす!!」

ユミ「モモ……」

モモ「先輩が清澄の部長と二人きりなんて、絶対断固反対っす!」

久「あら、それなら鶴賀の部長さんも呼べばいいわ。それにせっかくだし、美穂子も呼びましょうか」

ユミ「三年生はそれで全員になるな」

久「ええ。というわけで、東横さん」

モモ「……部長を呼んで来いってことっすか」

久「お願いできる? 早く呼んで来れば、ユミが私と二人きりでいる時間も短くなるわよ」

ユミ「モモ、大丈夫だから……蒲原を呼んできてくれないか?」

モモ「……わかりましたっす。すぐに戻るっすよ」

ユミ「待ってるぞ」

モモ「はい!」ダダッ

久「……で、あれでよかったのかしら?」

ユミ「ああ。ありがとう」

久「いいわよ別に。ユミの可愛い声も聞けたし」

ユミ「ははっ。そうか」

久「それで、この後はどうするつもりなの?」

ユミ「どうだろうな。モモがどれだけ暴走してくれるかだが……」

久「頼むから、こっちにまで被害広げないでよ?」

ユミ「問題ない。その辺りは、ちゃんと言い聞かせてるからな」

久「っていうと?」

ユミ「さすがに付き合いの深い皆を傷つけるのは、後味が悪い」

久「……それで他をあっさり切り捨てちゃうんだから、ユミも相当よね」

ユミ「蒲原にも言われたよ」

久「ま、幸せそうなら何よりだわ。それよりも」

ユミ「わかってる。お前が望むときは、今度は私が協力するよ」

久「頼んだわよ」

ユミ「ああ」




37:2012/09/10(月) 17:59:47.80 ID:QUqyY8Al0


ユミ「思いの他盛り上がってしまったな。随分と遅くなった」

ユミ「蒲原と福治はあのまま清澄の部屋に泊まると言っていたし」

ユミ「本来の部屋の住人達は、他の学校に混ぜてもらったそうだから、気にしなくてもいいだろうな」

ユミ「さて、と……さすがに、モモももう寝てるか」

モモ「……先輩」

ユミ「!!」

モモ「遅かったっすね、先輩」

ユミ「モモ……部屋にも入らず、何をしてるんだ?」

モモ「もちろん、先輩を待ってたんすよ」

ユミ「そうか、それはすまなかったな。遅くなってしまった」

モモ「……何をしてたんですか?」

ユミ「モモ?」

モモ「 な に を し て た ん で す か 」

ユミ「……」ゾクッ

ユミ「何って、言ったじゃないか。引退した者同士、積もる話もあったんだよ」

モモ「それだけでこんなに遅くなったんですか?」

ユミ「それだけって……」

モモ「本当に、何もされてないんすか?」

ユミ「っされるわけないだろ!」

モモ「焦ったっすね? それ、怪しいっす」腕掴み

ユミ「ちょ、おいモモ!?」

モモ「こっちに来るっすよ」グイグイ



38:2012/09/10(月) 18:00:32.81 ID:QUqyY8Al0


ユミ「うわっ」ドサッ

モモ「ふふ……」

ユミ「っモモ、どういうつもりだ!?」

モモ「確認っす」

ユミ「確認……?」

モモ「先輩が本当に、清澄の部長に何もされてないのか……ちゃんと確かめるんですよ」

ユミ「だから、何もされてないと」

モモ「自分のものの管理は、自分でしないといけないじゃないですか」

モモ「先輩は私のものなんだから……私が全部、確かめなきゃいけないっすよね?」

ユミ「っん、んん……」

モモ「はぁ……先輩……」

ユミ「(モモの舌が、口の中に入って来て)」

ユミ「ちゅ、んぅ、んんん」

モモ「……ん。ふふふ……」

ユミ「ぷぁっ……はぁ、はあ……」

モモ「さ、先輩。服も脱いで、ぜーんぶ確かめようっす」

ユミ「あっ」

モモ「恐がることはないですよ。何も心配することはないっす」

ユミ「も、も……」

モモ「先輩……大好きっすよ」

ユミ「(……本当に、かわいいなモモ)」

ユミ「(久たちが寝た後も、寝たふりして部屋に留まった意味があったというものだ)」

ユミ「(たったそれだけで、こんなにも……)」

モモ「っは、先輩、先輩」

ユミ「(必死になってくれるんだからな)」




39:2012/09/10(月) 18:01:30.03 ID:QUqyY8Al0


久「おっはよー。あら……?」

ユミ「おはよう、久」

久「おはよ。東横さんも……ふふっ、朝からラブラブね〜」

モモ「……おはようございます」ヒシッ

ユミ「昨日、仲間外れにしたのが不満だったみたいでな。今日はモモの一日独占だそうだ」

久「あらあら、それは大変ね」

ユミ「久は朝ご飯どうするんだ? 私たちはこれから行くところだったが」

久「私はもう少ししてから行くわ」

ユミ「そうか。それじゃあ……」

久「あ、それと一つ」耳よせ

ユミ「?」

久「手首、跡が見えるわよ」ボソッ

ユミ「……ああ、それは大変だな。ありがとう、気をつけるよ」

久「じゃね〜」

モモ「先輩、清澄の部長はなんて?」

ユミ「蒲原の寝相が酷かったそうだ。一緒に寝る時は気をつけろってさ」

モモ「そっすか」

久「(あの跡、紐か何かで縛ったんでしょうけど)」

久「(自分から煽るようなことして、東横さんの嫉妬を促すなんてね〜。なかなかやるわ)」

久「本当、大変ね……東横さん」

久「(本人は気づいてないとはいえ、ユミの思うが儘って感じだし)」

久「(まあ、ユミはただ、東横さんを自分のものにしておくためにしてるだけみたいだから)」

久「(何も心配はいらないんでしょうけど)」

久「(でも、まあ……)」

久「(敵に回したら東横さんよりも恐いかも、ね)」



40:2012/09/10(月) 18:01:59.39 ID:QUqyY8Al0


ユミ「モモ……」

モモ「すぅ……すぅ……」

ユミ「まったく、散々やりたい放題、やってくれたな」グチャグチャ

ユミ「……でも、それでいいんだ」

ユミ「もっと私を、君のものにしてくれ。そして……」

ユミ「もっと君を、私のものにさせてくれ」




41:2012/09/10(月) 18:02:38.18 ID:QUqyY8Al0

以上で終わりです。
初のスレたてで至らぬ点もあったとは思いますが、お付き合いありがとうございました。


42:2012/09/10(月) 18:37:26.19 ID:UXI+CO1AO

乙!
かじゅモモは運命、はっきりわかんだね



43:2012/09/11(火) 00:16:38.46 ID:GuLWfafoo

すばらでした乙乙
病んでるのにハッピーエンドは最高!
また書いてね!


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