2:2011/12/04(日) 10:32:33.85 ID:9kMGiZg5o

「補習がこんなに長引くとは……不幸だ……。おっと、早くしないと特売が終わっちまう!」
ツンツン頭の少年、上条当麻は例によってスーパーへの道を急いでいた。
「公園を通ったほうが近道だが……」こう考える上条の脳裏に、常盤台中学校の制服に身を包んだ少女の姿がよぎった。
「迷っている場合じゃないか」
そして上条は公園の中に足を踏み入れたが、その瞬間に彼は何かにぶつかった。
反動で数歩後ろに下がった上条の目の前には、先ほどまではなかったはずの球体の機械があった。
上条は身を固くして叫ぶようにいった。「……これは? ……まさか魔術師の!?」


3:2011/12/04(日) 10:34:22.76 ID:9kMGiZg5o

後ろ足にその球体から距離を取った上条だったが、それは一向に動くことはなく、彼が恐る恐るそれに近づくと中から人の声が聞こえた。
「ちょっと!今動いたんじゃないのこれ!?」
「ああ、そのようだな」
「岡部、あんた何落ち着いてるのよ!早く戻らないと!まったく、あんたといるとロクなことないわね」
「非常時こそ落ち着くものだぞ、助手よ。だいたいおまえが……その、密着してくるから……だな、おかしなスイッチを……」
「べ、別に密着なんてしてないわよ/// 狭いんだからしょうがないでしょ!ていうかこれが動くだなんて聞いてないわよ!あと助手っていうな!」
「さすが我が頼れる右腕ダル!まさかもう未来ガジェット0号機!FG0!ネコ型ロボット移動機 Ver 0.01!を完成していたとはな」
「感心している場合じゃないだろうが!どうやって戻るのよ!?」
「それがどうも動力が落ちているようだ。見ろ、先ほどついていたパネルの電気が消えている」
「はあ!? 動力が落ちているって……それならこれは動かないってこと?」
「そういうことになるな」
「ちょっとなんとかしなさいよ!戻れないじゃないの!」
「非常時こそ落ち着けと言ったはずだぞ、クリスティーナよ。修理すればいいではないか。そもそもおまえのほうがこいつの構造をよく知っているはずだ」
「ま、まあそうだけど……ってティーナじゃない!」


8:2011/12/04(日) 10:56:16.82 ID:9kMGiZg5o

>>6
すみません!早速ミスりました (ゝω・)

>>5 の前が以下です。
===============


「中に人がいるみたいだな……。不幸の予感が……」

上条はその男女の声に少し警戒を解いたが、いつものように不幸に襲われることを恐れてその場を離れようとした時、球体の機械の扉が開いた。
中から出てきたあごに無精髭のある男は、すぐに上条に気づいて問いかけた。「そこの少年、少し聞きたいことがある」

ーー 白衣を着ているってことはどこかの研究者か? でもふたりとも大学生くらい……いや、女のほうは高校生くらいか? 魔術師のやつらとは違うみたいだけど…… ーー
上条はふたりを見てそう判断した。

「わたしは狂気のマァァッドサイエンティストゥ!鳳凰院凶真だ!そしてこれは我が助手クリスティーナ!」
「助手でもティーナでもないわ!」
「は、はあ……」

「少年よ、ここはどこで今は何年だ」
「……はい?」

また面倒なことに巻き込まれたことを感じて上条は小さく呟いた。「ふ、不幸だ……」



5:2011/12/04(日) 10:45:30.01 ID:9kMGiZg5o

「学園都市だと!?」
「……はい」
「ふむ、聞いたこともないな。時代は変わらないようだが……。まったく別の世界線に移動してしまったというのか」
「じゃ、じゃあおれはこれで……」
スーパーの特売に間に合わなくなってしまうと考えた上条がその場を離れようとした時、機械のそばにいた女、牧瀬紅莉栖が大きな声を出した。「岡部、ダメだわ……。反応がない。そもそも本当に完成していたのかしら、これ。動いたのが不思議なくらいよ」
ーー 岡部? 鳳凰院凶真さんでは……? とにかく早く特売に行かないと ーー
立ち去ろうとした上条の肩に岡部が手を置いた。「待つのだ少年よ」
「は、はい、なんでせう?」
「もう少し詳しく教えてくれ」


7:2011/12/04(日) 10:53:17.30 ID:9kMGiZg5o

>>4
ご指摘ありがとうございます。やはりそういうものなのですね。
とりあえずここから自分なりにあけていきます。
============


「なるほど、超能力の研究都市か……」
「へえ、ずいぶんおもしろそうなことをやっているのね。パラレルワールドってところかしら。わたしたちの世界とはずいぶん違うみたい」

上条がふたりに学園都市の説明を終えたころには、もう特売の時間は過ぎてしまっていた。

「それで、あの、おふたりはどこかの研究者か何かでは……」
「よくぞ聞いてくれたなウニ少年よ!わたしは鳳凰院凶真!未来ガジェット研究所のラボメンナンバー001だ!」

ーー 岡部さんじゃないのでせうか……。ていうかウニ少年って…… ーー

「あらためて自己紹介するわね。わたしは牧瀬紅莉栖。一応、ラボメンナンバー004よ」
「そして我が助手である!」
「助手じゃないわ!」

ーー 未来ガジェット研究所? ってどこにあるんだ? 学園都市じゃないのか? ーー


11:2011/12/04(日) 11:27:28.83 ID:9kMGiZg5o

今週もEDヒソカさんの股間が輝きましたね。
もうAGEまで何もないのでサクサクいきます。

>>7 の続きからです
=============


「あ、おれは上条、上条当麻です」
「上条くんね。当麻って呼んでもいいかしら。わたしのことは紅莉栖って呼んでいいから」

「わたしは狂気のマァッ「はいはい、もういいから。こっちは岡部ね。よろしく、当麻」岡部の言葉を遮っていい、紅莉栖は上条の目を見つめて微笑んだ。

ーーこのお姉さんかわいいな。けど……ーー

上条の視線は紅莉栖の胸の辺りに向かっていた。
それに気づいた岡部が上条に顔を近づける。「ウニ少年よ、君は貧乳マニアなのかなあ?」

「なっ……/// だれが貧乳か!」
「おやあ? 誰もおまえのことだとはいってないぞ、クリスティーナよ」
「うるさい!だまれバカ!ティーナじゃない!」

「あ、す、すみません!」
「いいのだ少年、こんなものでよければ存分に見るがいい」


12:2011/12/04(日) 11:30:43.61 ID:9kMGiZg5o

「こんなものっていうな!……さあ、バカやっていないで話を進めるわよ。とりあえず当麻、この辺りにタイムマシンを作っているところはあるかしら」
「え? タ、タイムマシン? いや、上条さんはそういったところは知りませんが……。ていうか、いくら学園都市でもそんなものは作っていないかと……」

「……ちょっとそんな予感はしていたわ。それじゃ、誰か知り合いの科学者でもいない?」

ーー こんな時に頼れるのは小萌先生くらいか。それか知り合いの知り合いなら……。それにしてもタイムマシンって何をいっているのでせうかこの人たちは ーー

「学校の先生くらいなら紹介できますけど……。タイムマシンっておふたりは、その……」


その上条の言葉の途中で、三人の耳に小さく鈍い音とそれに続いて少女の声が聞こえた。

「ちょっとなんなのよこれ!誰がこんなところに置いたのよ!」



13:2011/12/04(日) 11:32:58.54 ID:9kMGiZg5o

「ちょっとなんなのよこれ!誰がこんなところに置いたのよ!」

その声は上条たちから見て球体の機械、未来ガジェット0号機を挟んだ向かい側から聞こえてきた。
上条に聞き覚えのあるその声の主は、それを足の裏で軽く蹴っているようだった。

「あれ? この声は……」

上条がつぶやくと同時にその声の主、御坂美琴が未来ガジェット0号機の影から姿を表した。

「あ、あんた!こんなところで何やっているのよ!ちょっとこれあんたの? さっさとどかしなさいよ!」

「ビ、ビリビリ!」
「ビリビリっていうな!」

そのやりとりを聞いた岡部と紅莉栖はなんとなくいつもの自分たちを思い起こし、目を合わせて微笑み合った。




14:2011/12/04(日) 11:37:51.13 ID:9kMGiZg5o

「すまん!み、御坂!」

「わかればいいのよ……。で? これはなんなの?」
「さあ? その丸っこいのはおれのじゃなくて、この人たちのだ」

美琴は岡部と紅莉栖を不審気に見てから上条にいった。「……だれよ? あんたの知り合い?」

「いや、さっき会ったばかりなんだけど……」

上条がいいよどむと、紅莉栖は一歩前に出て美琴に笑顔を向けた。
「はじめまして。当麻の知り合いかしら? わたしは牧瀬紅莉栖。「我が名はほ」で、こっちが岡部」

ーー と、当麻ですって!? 名前で呼んだ! わたしだって直接呼んだことないのに! ーー

「はあ、御坂美琴です」美琴はあからさまに機嫌を悪くしてぶっきらぼうにいった。

「当麻のともだち? 彼女かしら?」

「か、かかか、かの、彼女!? ち、違います/// 知り合い!ただの知り合いです!」
「あら、ずいぶん仲が良さそうだったのに……。そうなの、当麻?」
「はい、御坂とはただの知り合いでして」



15:2011/12/04(日) 11:41:43.63 ID:9kMGiZg5o

ーーただの知り合いですって!? せめてともだちっていいなさいよ!ーーー

上条の言葉を聞いた美琴の周囲に電気の筋が走った。

「……ん? ……み、御坂……さん?」

「……ったく、なんなのよあんたはああぁぁぁ!!」

美琴が叫び、その手から稲妻のようなものが飛び出して上条に向かった。
しかし上条が素早く右手を前方に出し腰を落として構えると、その右手に当たった稲妻のようなものは、とたんに霧散するように消えてしまった。

「なんでいきなりこうなるのでせうか。不幸だ……」

それを見た岡部と紅莉栖は驚き、声を合わせていった。「なんだ今のは?」「い、今の何?」



16:2011/12/04(日) 11:51:21.93 ID:9kMGiZg5o

……。

「なるほどね、美琴がこの都市に7人しかいないレベル5の超能力者のひとり、それも第3位だなんてすごいわね。あ、美琴って呼んでいいわよね? わたしのことも紅莉栖って呼んでくれて構わないから」

上条と美琴は、岡部と紅莉栖に学園都市の能力者と美琴の能力についてを簡単に説明したところだった。

「ウニ少年よ、その第3位の電撃を消してしまったということは、君もレベル5なのか?」岡部が上条に向かっていう。

「いや、上条さんはレベル0。無能力者でして……」

「無能力者って能力がないってこと? さっきのは……?」

紅莉栖が尋ねると上条に代わって美琴が答えた。「こいつの場合は特別よ。右手がどんな能力も消しちゃうそうです」

「それもすごい能力じゃないの!それなのに無能力者なの?」

「これは能力とは違って生まれつきの体質でして……。幻想殺し<イマジンブレイカー>といって、おれもよく知らないんですけど……」

「超電磁砲<レールガン>に幻想殺し<イマジンブレイカー>か……。なんだかあれね、すごいのね」



17:2011/12/04(日) 12:00:53.31 ID:9kMGiZg5o

「超電磁砲<レールガン>……。よし、助手よ、彼女をツンデレールガンと呼ぼうではないか」

「いきなり何をいう!? だいたいどうしてツンデレだとわかる!薄い本のタイトルみたいになっておるだろうが!それと助手っていうな!」

ーー ……ツンデ? ーー
美琴は首をかしげた。

「おまえはあのツンデレオーラが見てわからないのか、助手よ。間違いなく彼女はツンデレールガンだ」岡部はこういって、少し考える素振りをしてから上条を見た。「それとウニ少年、おまえは幻想殺し<イマジンブレイカー>だったな……。おまえは……おまえは、ウニ少年でいいだろう」

「思いついてないならいうな!助手ともいうな!」



18:2011/12/04(日) 12:02:35.06 ID:9kMGiZg5o

「ご、ごめんね、ふたりとも。あいつのいうことは無視していいから」

「あ、いえ……」と美琴が会釈をした。
そして美琴は、目の前の岡部と紅莉栖ではなく、上条に目をやって言葉を続けた。「それで? ふたりは何者で、何の目的があって、あんたは何をしているわけ?」

「それは……。あ!そうだ、御坂!おまえレベル5だから偉い研究者とか知っているだろ!?」

「え? 偉いかどうかはわからないけど何人かは……」

「この人たちに紹介してやってくれよ!」上条はこういって美琴の両肩を掴み顔を近づけた。

「ちょ、え、し、紹介はできると思うけど/// 目的は……。ていうか、ち、近い……///」

「あ、ああ、すまん」上条は美琴の肩を離した。
「それで、この人たちの目的は……、えっと……目的は、なんでせう?」と上条は岡部と紅莉栖の顔を交互に見た。

「ごめんね美琴。当麻にもまだ詳しく話していないのよ」



19:2011/12/04(日) 12:08:06.80 ID:9kMGiZg5o

……。

「つまり紅莉栖さんたちはこの時代、というかこの世界の人間じゃないってこと……ですか?」紅莉栖から話を聞いた美琴が確認した。

ーー おれはまたおかしな人に捕まってしまったってことか。魔術師やら超能力者じゃないだけまし……なのか? ーー
上条は胸中で不幸を嘆いた。

「ええ、それでこれを直したいから、誰か頼りになる科学者でも紹介してもらえないかと思って」

「紹介……できないこともないですけど……」美琴はこういうと、上条のほうを向いていった。「あんた、風紀委員か警備員には連絡したの? この人たちのいっていることが本当なら、故意ではないにしても学園都市に不法侵入していることになるわよ」

「い、いや、そんな暇は……。でもそうか、白井にいって引き取ってもらえば……、いや、黄泉川先生のほうがいいか」

「ねえ、それって警察みたいなものかしら? できれば面倒なことになるのは避けたいんだけど……」美琴と上条の話を聞いた紅莉栖が口を挟んだ。

「じゃあ、とりあえずわたしに見せてもらってもいいですか?」美琴が紅莉栖にいった。



20:2011/12/04(日) 12:10:20.69 ID:9kMGiZg5o

「ほう、レベル5というのは機械の修理までやっているのか、ツンデレールガンよ」

ーー だからツンデってなんなのよ ーー

「おお!さすがだな御坂!」

「え? ま、まあね……/// って違うわよ!わたしだってそんなことまでできないわ。でもこれは電気で動くものなんでしょう? だったらわたしの能力でどこが故障しているかくらいはわかるかも」

「どういうこと? 美琴の能力ってさっきの電撃よね?」紅莉栖が美琴に尋ねた。

「ええ、それもそうなんですけど、電気や磁力の操作全般なんです。たとえば能力を使って電気抵抗を調べたり……」

「なるほど、そういうことね」

「ほう、便利な能力じゃないか、ツンデレールガン」

「えっと……どういうことでせうか」

「あんた、こんなこともわからないの?」

「……上条さんは万年補習の無能力者なんですよ」



21:2011/12/04(日) 12:16:03.38 ID:9kMGiZg5o

「簡単にいうとこうよ」美琴に代わって紅莉栖が上条にいった。「電気で動くものっていうことは、動作する時には電気が流れるわよね。で、何かの故障があったりすれば、その箇所で流れるべき電気が流れなかったり、極度に弱くなったりする。つまり極端な電気抵抗があるはずなのよ」

「は、はあ……」

「説明しても無駄ですよ、紅莉栖さん。で、いいですか?」

「もちろんよ。ぜひお願いするわ。中から見るの? 外から?」

「外からでいいです。その開いているところで」

「それなら入口の扉は閉めておくわね」

紅莉栖は未来ガジェット0号機の扉を閉め、先ほど故障の確認のために自分が開けた箇所を手で示して「さあ、お願い」と美琴にいった。



22:2011/12/04(日) 12:17:37.99 ID:9kMGiZg5o

美琴はそこに手を突っ込むと、目を閉じて手から微量の電気を送り始めた。

岡部たち三人はその様子をじっと見守る。

数十秒ほどで美琴はそこから手を離し、小さく息を吐いた。

「……あの、これって本当に動いたんですか? どこもかしこもバラバラでとても動きそうには……。それに何か変な感触が……」美琴は紅莉栖を見ていった。

「やっぱり……。そうなのよね。わたしも動いたのが信じられないのよ……」

「だが、我々がここに来たことは事実だ!その証拠はツンデレールガンよ、おまえの目の前にあるではないか」

ーー あなたたちがいたりこの機械があるからって証拠にはならないと思うけど……。でも、嘘ではなさそうよね ーー



23:2011/12/04(日) 12:19:42.41 ID:9kMGiZg5o

「とにかく、もう少しやってみます」

再び同じことをしようと美琴が手を伸ばした時、その機械、未来ガジェット0号機がわずかに揺れた。

ーー え? わたしまだ何もやってない…… ーー

美琴は手を伸ばしたまま動作を止めた。

岡部と紅莉栖、上条もその揺れに気づいて注視する……。

そして次の瞬間、突如にして未来ガジェット0号機は姿を消してしまった。



24:2011/12/04(日) 12:26:03.43 ID:9kMGiZg5o

「えっと……、これは、どういうことでせうか」しばらく呆然としていた4人の中で、最初に口を開いたのは上条だった。

「これはつまり……、どういうことだクリスティーナよ」

「ちょっとわたしにふらないでよ。それとティーナでもない」

「……とにかくわかることは、何らかの原因で未来ガジェット0号機が動作して消えてしまった、ということだな」岡部は自分自身で確認するようにいった。

「ご、ごご、ごめんなさい!」美琴が岡部と紅莉栖のほうを向いて頭を下げた。「わ、わたしが中途半端なことをしたから……。あの、本当に、その、何て言ったら……こ、こめんなさい!」



25:2011/12/04(日) 12:27:00.41 ID:9kMGiZg5o

「……フハ……フゥハハハー!ツンデレールガンよ、嘘をつくのではない!おれは確かに見ていたぞ!あれが動いた時、おまえは手も触れておらず、まだ何もしていなかったはずだ!それを己の力のようにいうとは!レベル5とはいってもやはり中学生だな!厨二か!リアル厨二か!ツンデレ厨二とはなあ!フゥハハハー!」

「やめんか!」紅莉栖が岡部の頭を叩いた。「厨二はどっちだバカ!」

「ごめんね、美琴。でもこいつのいう通りよ。わたしも見ていた。あなたが何もしていないことはわかっているわ」

「で、でも……」

「ほら、偶然動いてここに来ちゃったようなものだから、また偶然動いちゃったんじゃないかしら」

「でも、あれがなかったら……ふたりはどうやって……」

「そ、それは……」



26:2011/12/04(日) 12:28:50.06 ID:9kMGiZg5o

「案ずるなツンデレ厨二!そして我が助手クリスティーナよ!」

「助手でもティーナでもないわ!それとツンデレ厨二もいうな!」

「このおれを誰だと思っているのだ。狂気のマァァァッドサイエンティストゥゥ!鳳凰院凶真だぞ!簡単なことではないか。なくなったのなら作ればいい」

「作るってあんたそんな簡単に……。でも、まあ、それしかないか」

「あの、わたしたちにも協力させてください。やっぱりわたしたちにも責任があると思うし、このままじゃすっきりしない……」

「御坂さん? “わたしたち”っていうのはふたり以上の時に使う言葉じゃ……」しばらく黙っていた上条が美琴の言葉を聞いて問いかけた。

「なによ? あんたまさか放って置くつもりじゃないでしょうね!? 困っている人たちを放って置けないんじゃないの? あんたのたったひとつの取り柄じゃないの」

「た、たったひとつって……。ま、まあ、もちろん放って置くつもりはなかったけど、上条さんの意思ってものもありまして……」

「なに?」語気を強めて美琴は上条を睨みつけた。

「い、いえ、何でもありませんのことよ」



27:2011/12/04(日) 12:30:50.64 ID:9kMGiZg5o

「よくぞいってくれたウニ少年にツンデレールガンよ!特別におまえたちをラボメンとして認めよう!ラボメンナンバーは 010 と 011 だ!」

「009 って誰かいたかしら?」

「正式にはまだだが、阿万音由季のために空席にしてある」

「ああ、なるほど」

「喜べ少年たちよ!今日から未来ガジェット研究所の仲間だ!」

ーー こ、こいつと仲間って……/// ーー



28:2011/12/04(日) 12:34:00.57 ID:9kMGiZg5o

「なんだかわからないけど喜べない……。って御坂はずいぶんうれしそうだな」

「は? べ、別にそんなことないわよ!あんたと仲間だなんて、そんなこと別に何とも思ってないわ!わ、わたしはこの人たちと仲間だっていうのがうれしいだけで、あんたと仲間なんて、そんなことはどうでもいいのよ!」

「はいはい、おれなんて眼中にないのはわかっていますよ」上条はうんざりしたような様子でいった。「……御坂ともだち少なそうだもんな」

上条は最後の言葉を小声で呟いたが、美琴の耳にもそれははっきりと聞こえていた。

「……あ、あんたってやつはぁぁぁぁ!!」

美琴が電撃を放ち、上条がそれを打ち消して逃げる。そこにまた美琴が電撃を放つ追いかけっこが始まった。


「……ツンデレールガン、ね」紅莉栖はそのふたりの姿を見て小さく笑った。

その時、紅莉栖の背後で突然人の声がした。


「なんの騒ぎですの?」



29:2011/12/04(日) 13:03:27.49 ID:9kMGiZg5o

突然の声に驚き、紅莉栖が身を固くして振り返ると、岡部も同様にそちらを見た。

「風紀委員ですの。不審者とはあなた方のことですの? ……ってお姉さまぁ!」

腕章をつけた小柄な少女、白井黒子はその腕章を見せつけて岡部と紅莉栖を鋭い目付きで品定めするように見たかと思うと、すぐに甘い声を出して姿を消した。

そして消えたはずのその姿は、上条に電撃を放っていた美琴の横に突如現れて、彼女に抱きついた。

「え? 消えた? あれ? なんであっちにいるの?」

「瞬間移動……か!?」

「瞬間移動って……それも能力なの?」

「そうとしか考えられんだろう」

その間に黒子は、美琴の放った電撃を受けながら恍惚の表情を浮かべていた。

「初春に不審者がいるといわれて現場に来てみればお姉さまに会えるだなんて、黒子は幸せものですの!やはりお姉さまと黒子は赤い糸で結ばれていますの!」

「なんか……すごいわね、あの子」



30:2011/12/04(日) 13:04:56.13 ID:9kMGiZg5o

……。

「……というわけなの」紅莉栖と美琴はそれぞれに黒子に事情を説明した。

「とても信じられない話ですが、お姉さまがいうのであれば……」

「こっちからしたら、こんな小さくてかわいらしい子が、警察みたいなことをしているっていうのが信じられない話だけどね」

「かわいいだなんて、牧瀬さん、そんな本当のことをいわれたら困ってしまいますの」

「紅莉栖でいいわよ、黒子」

ーー いきなり呼び捨て!? 外国の方ですの? お姉さまのことも呼び捨てにしていましたし…… ーー

「それにしても……、どうしてこの殿方までいらっしゃいますの? ねえ、上条当麻さん?」と黒子は上条を睨みつけた。

「いや、その、成り行きというやつで……」



31:2011/12/04(日) 13:06:18.51 ID:9kMGiZg5o

「まったくどんな成り行きですのやら……。とにかくそういうことであれば、身柄を拘束して上に報告しなればなりませんの」

「拘束って……、わたしたち何も悪いことはしていないんだけど」黒子の言葉を聞いて紅莉栖が反論した。

「どのような理由があれ、無断で学園都市に侵入することは許されませんの」

「そんな……。ねえ岡部、どうするのよ」

「しかたがないだろう。いずれにせよ誰かの協力がなければ、未来ガジェットを作ることもできんからな」

「まあそうだけど……。なるべく面倒なことは避けたいのよね」と紅莉栖は少し顔をしかめた。

「黒子、わたしからもお願いするわ。なんとかならないの? わたしも迷惑かけちゃったし……。お願い!ねっ?」と美琴は黒子に両手を合わせて頭を下げた。

「お姉さまがそういうのであれば……」

「黒子ぉ!」と美琴が喜びの表情を見せる。

「と、いうわけにはまいりませんの。たとえお姉さまの頼みであっても、これは風紀委員としての職務。公私混同はできませんの」



32:2011/12/04(日) 13:09:05.81 ID:9kMGiZg5o

「なによ黒子!まったくあんたは融通が利かないわね!」

「……ですが、風紀委員もいろいろと忙しく、上に報告するまでには時間がかかりますの。その間は、風紀委員の監視付きで行動していただくことになりますの」

「それって……」紅莉栖が呟いた。

「つまりツインテールよ、おまえがともに行動すれば、しばらくの間我々の行動は自由、ということだな」

「はっきりとは申しませんの。察してくださいな」

「黒子!ありがとう!」美琴が黒子に抱きついた。

「お、おね、お姉さま/// 公衆の面前でやめてくださいまし。ああ、お姉さまの慎ましやかな胸が……黒子は、黒子はもう……お、お姉さまあぁぁぁぁ!」

叫ぶようにいって美琴の顔に口を近づけた黒子に電流が走った。

「やめなさい!慎ましやかってどういうことよ!?」と美琴は両手で自分の胸を隠すようにした。

その動作につられて、上条は不意に美琴の胸に目をやった。

「あ、あんたも何見てんのよおぉぉぉぉ///」と電撃が飛ぶ。

「ふ、不幸だあぁぁぁぁぁ!!」

そしてさらにつられて美琴と同じように胸を隠す動作をした紅莉栖に、にやついた顔で岡部がいった。「中学生と変わらんなあ、クリスティーナよ」

「なっ……/// だ、だまれバカ!それとティーナじゃない!」



33:2011/12/04(日) 13:11:00.86 ID:9kMGiZg5o

「とりあえず、おふたりには風紀委員の支部に来ていただきますの。おふたりに必要な情報を探すにもそのほうがよろしいかと」

「ええ、わかったわ」

「よしツインテールよ、おまえは今からラボメンナンバー 012 だ!」

「ラボメン……って何のことですの?」

「ちなみにウニ少年とツンデレールガンは、010 と 011 だ」

「お姉さまと同じ!なんのことかわかりませんが、黒子は喜んでラボメンになりますの!」

「いい心がけだぞ、ツインテールよ」

「じゃあ、早速行きますの。お姉さまも参考人としていっしょに来てくださいまし」

「ええ、もちろんよ!置いていくなんていったら承知しないわ」

「ではみなさん、わたしの体、両腕にでも掴まってくださいまし」といって黒子は両腕を左右に突き出すようにした。

そして美琴は右腕を、岡部と紅莉栖は戸惑いながら左腕を掴んだ。

「黒子、あんた3人もいっしょで大丈夫なの?」

「お姉さま、黒子も日々進化しておりますの。岡部さんと紅莉栖さんも細身ですし、ギリギリですけど大丈夫だと思いますの」



34:2011/12/04(日) 13:14:37.18 ID:9kMGiZg5o

「当麻? 何をしているの?」紅莉栖は少し離れて様子を見ていた上条に声をかけた。

「いや、おれは……」

「紅莉栖さん、あいつはダメなんです」美琴がいった。

「ダメって……?」

「あの方がいると飛べませんの」

「え? 飛ぶって? まさかさっきの……」

紅莉栖の言葉が終わる前に、4人の体が上条の前から消えた。

「はあ、置いてけぼりだなんて……不幸だ」


===========
とりあえず第1幕が終了ってところです。
レスがなくても進めるっていったけど、遠慮なくレスしていただいてもいいのよ?
あるいは日曜の昼間ともなれば、みなさんはデートやらけいおん!やら家族団欒やらでお忙しいのでしょうか……。
それでも負けずに続けます。



37:2011/12/04(日) 13:24:34.31 ID:9kMGiZg5o

「さすがにこの人数での空間移動は疲れますの」黒子は荒い息を努めて抑えながらいった。

4人は何度かの空間移動を繰り返して、風紀委員第177支部に到着していた。

「これが空間移動……。すごいわね」と紅莉栖が呟いた横で岡部は吐き気をもよおしていた。「た、確かにすごいが……うっ、も、もう二度とごめんだな」

「あれ? 白井さんと……御坂さん? えっと、こちらの方々は……?」4人の前にいる、頭にいくつもの花を載せたような少女、初春飾利が黒子にいった。

「例の不審者さんたちですの。これから説明……の前にお茶でいれてくださいまし」

黒子にそういわれた初春が奥に入っていくと、替わってこちらも頭に花、といってもこちらは一輪だけの白い花をあしらった髪飾りをつけた少女が登場した。

「白井さん、お邪魔してます!あ、御坂さんも!どうも!」

「やっほー、佐天さん」と美琴が手を振った。

「佐天さん、またいらしてたんですの? ここは遊び場ではありませんの」

「まあまあ、固いことはいわずに。お客さんですか? どうもこんにちは!」その少女、佐天涙子は明るい笑顔を見せながら岡部と紅莉栖に挨拶をした。

「とりあえず、詳しい話をしますので、みなさん座ってくださいな」



39:2011/12/04(日) 13:26:49.18 ID:9kMGiZg5o

……。

時折美琴や黒子が補足をしながらも紅莉栖は今日何度目かになる事情の説明をし、初春と佐天も含めて互いに自己紹介をし合った。

「へえ、タイムマシンですかあ。すごいですねえ」初春がそれほど驚いてはいないようなのんびりとした声でいった。

「本当にすごいですよ!見てみたかったなあ!完成したらわたしにも見せてくださいよ!あ、わたしが乗るっていうのはありですか!?」対照的に佐天は心底感心したように元気な声でいい、岡部と紅莉栖の顔を見比べるようにした。

「そ、それはちょっと……」紅莉栖がいいかけると、岡部がそこに声をかぶせた。「構わんぞ、ルイ子よ。フラワーファームも特別に乗せてやろう」

ーー フラワーファーム? ってわたしのことかな? ーー
ーー わわわ!なんでかわたしだけ呼び捨て!? ーー
ーー 涙子ですって!? わたしだってほとんど名前で呼ばれないのに! ーー

「ちょっと岡部、何勝手なこといってるのよ!それと涙子をいきなり呼び捨てにするんじゃない!」

「おまえだって呼び捨てにしているではないか、クリスティーナ。どうもルカ子のようで呼びやすいのだ。構わんだろう、ルイ子よ」

「あ、はい……///」

「勝手にしろバカ!それとティーナじゃない!」



40:2011/12/04(日) 13:28:37.40 ID:9kMGiZg5o

「では紅莉栖、早速情報収集といこうではないか」

「え? 今? 名前で……? ……あ、そ、そうね/// 情報収集……情報収集よね///」

そのふたりの様子を見た佐天にはすぐに何かがひらめいた。「あの、もしかして、おふたりは恋人なんですかあ?」

「こ、ここ、恋人? ち、ちが/// 違うわよ/// そんなんじゃなくてただの仲間よ仲間/// ね、ねえ、岡部///」

「……ああ、勘違いをするなルイ子よ。これは我が助手にして大切な仲間だ!その、恋人だとか、そういったものでは……ない」

「助手っていうな!」
ーー 勘違い、か……。で、でも大切っていわれた/// ーー

その答えを聞いた佐天は、得たりといった表情をして頷いた。

「とりあえずわたしは無精髭の生えている人って好みじゃありませんから。ね、紅莉栖さん」と佐天はウインクをしてみせた。



41:2011/12/04(日) 13:29:50.04 ID:9kMGiZg5o

「ですって。ざ、残念だったわね、岡部」

「ふむ、ではこの髭を剃ろうか……」

「な、何いってんのよあんた!このロリコンが!」

「フゥハハハ!冗談に決まっているだろうが。そもそもロリコンというのはだな、小学生以下の女児に性的な……」

「ええい、やめんか!」


……。

「へァッくしョーい!!」

「あら? 風邪? ってミサカはミサカは珍しくくしゃみをしたあなたを心配してみる!」

「あァ? おれが風邪なンざァひくわけがねェだろォが」

「なら誰かがあなたの噂をしているのかしら? ってミサカはミサカは迷信を信じてみたり!」

「……ロクな噂じゃねェだろォがなァ」



42:2011/12/04(日) 13:31:19.46 ID:9kMGiZg5o

その頃、上条は風紀委員第177支部に向かって歩いていた。

「まあ、御坂と白井がいれば大丈夫だろうけど……」そう呟きながら携帯電話を取り出した。「一応、こっちはこっちのつてを当たってみますか」

上条は歩きながら携帯電話を操作して電話をかけた。

「あの、上条と申しますが……って五和か? 久しぶりだな。ああ、うん。そうだな。いや、そうじゃないんだ。ちょっと聞きたいことがあってな。インデックスはいるか?」

上条が電話をかけたのはイギリス清教の女子寮だった。

彼がインデックスと呼ぶ少女は上条家の居候だが、イギリス清教の用事で先日よりイギリスに渡っていた。

「どうしたのかな、とうま。わたしがいなくて寂しくなっちゃったのかな」まだ幼さすら感じさせるインデックスの声が電話口から聞こえた。

「ちげえよ。ちょっと助けてもらいたいことがあるんだ」

「やっぱりとうまはわたしが助けてあげないとダメなんだよ。何があったのかな? また危ないことだったら許さないかも……」

ーー おまえがいないおかげでこの1週間、我が家の家計は助かっているんですけどね ーー



44:2011/12/04(日) 13:32:28.49 ID:9kMGiZg5o

「いや、危ないことじゃないんだ。インデックス、おまえ時間移動の魔術とか知らないか?」

「時間移動?」

「ああ、世界移動かもしれないが、とにかくそういったものだ」

「……そういう術式はないかも。どうしてそんなことを聞くのかな?」

「そうか……。実はな……」

上条は簡単に先ほどのできごと、岡部と紅莉栖のことを説明した。

「タイムマシンなんてすごいんだよ!わたしもそれに乗ってみたいかも!」

「いや、だからそれがなくなっちゃって困っているんですが……」

「……残念だけど魔術ではそんなことできないんだよ」

「そうみたいだな……。悪かったなインデックス。おまえはそっちでゆっくりしてきてくれ。神裂や五和、他のみんなにもよろしくな」

「あ、とうま。わたしの出番はこれだけなのかな」

「何いってるんだおまえ。じゃあな。切るぞ」



45:2011/12/04(日) 13:38:52.48 ID:9kMGiZg5o

>>43
ありがとございます!
============


……。

「ということで初春、あなたには時間移動やタイムマシン、パラレルワールド、そういった事柄を研究している施設や人物がいないか調べて欲しいんですの」

「はい」

「そうそう、初春。その前にもうひとつ頼み事がありますの」黒子はそういって初春に小声で何かを耳打ちした。

「おふたりとも心配は要りませんの。初春はこう見えてもコンピューターのスペシャリスト。この学園都市で初春に検索できない情報なんてありませんの」紅莉栖が少し不安げな目を見せたことを目ざとく感じて黒子がいった。

「ほう、スーパーハカーか」

「ハッカーでしょ。それにしても、なんだかすごいわね。あなたたちみんな中学生なんでしょう? それがレベル5に風紀委員だなんて……」紅莉栖はそういって4人の女子中学生の顔を見回した。

「……あ、あの、わ、わたしは違うかなーって。ハハハ!みんなすごいですよねー!でもわたしは風紀委員でもないし、レベル0の無能力者なんですよ!」佐天は努めて明るくいった。

が、その場を離れて画面と向き合っている初春以外の誰もが、彼女の一瞬見せた沈んだ表情に気がついた。



46:2011/12/04(日) 13:40:38.27 ID:9kMGiZg5o

ーー しまった!よく知りもしないくせに!何いってるのよわたし! ーー

「そ、そうなんだ」

ーー ああ!フォローの言葉も出てこない!わたしのバカ! ーー


「あ、でも佐天さ……」と美琴がいいかけた時、一際大きな声が部屋に響いた。

「なんだと!?」岡部の声だ。「ルイ子よ、ではおまえのそれは能力ではないのか!?」

「へ? それ? なんのことですか?」と佐天は曖昧な笑顔を浮かべる。

「その笑顔だ!ルイ子の笑顔は、知らない世界に来て不安がいっぱいの紅莉栖をすぐに安心させてしまったではないか!そしてさらにこの鳳凰院凶真の髭を剃らせようとまで決心させた!その笑顔が何の能力でもないだなんて信じられん!」

ーー 紅莉栖っていった/// ……それと、ありがとう ーー



47:2011/12/04(日) 13:41:55.85 ID:9kMGiZg5o

岡部の言葉を聞いた全員が黙り込んだ。

しばらくして、その静寂を壊したのは佐天の笑い声だった。

「ぷっ、あはっ!ハハハ!なにを真面目な顔していってるんですか」

「そ、そうよあんた!何くさいこといってるのよ!だいたい髭のこと本気だったんかい!だがgj!」

「まったく、聞いているこっちが恥ずかしくなるお言葉でしたけど、岡部さんのおっしゃることはごもっともですの」

「そうよね!そういわれてみれば佐天さんのそれは不思議な能力なのかも……」本気なのか冗談なのか、美琴は考える仕草をした。

「ちょ、ちょっとやめてくださいよー!」といいながらも佐天は大きな笑顔を見せた。

「フゥハハハ!学園都市というのも大したことはないなあ!これほどの能力者を放っておくとは!この狂気のマァッドサイエンティストゥ!鳳凰院凶真の目はふしあなではない!ルイ子よ、自信を持つのだ!」

「だ、だからやめてくださいってば///」



48:2011/12/04(日) 13:45:23.67 ID:9kMGiZg5o

「ずいぶん楽しそうですね」コンピューターを離れた初春がそばにやってきた。

「ちょっと聞いてよ初春!」佐天がその初春に抱きつく。

「いえ、お話は聞こえていましたよ。鳳凰院さんのいう通りです」

「ま、まさかあなたまで恥ずかしいことをいい出すんじゃないでしょうね」

初春はくすりと笑った。「いいえ、それはもうやめておきましょう」

「あ、白井さん、情報の検索は今自動のプログラムを走らせている途中ですが、もうひとつのほうは終わりましたよ」初春は黒子のほうに向き直っていった。

「さすが初春。仕事が早いですの」

「へへ……。ちゃんと不審者さんたち、鳳凰院さんと紅莉栖さんの発見時のデータも映像も、全部消しておきましたから。警備員にも情報は渡っていませんよ」

「!? 初春!余計なことはいわなくてもいいんですの!」黒子は少し頬を赤らめて語気を強めた。

「黒子、あんた……」美琴が黒子に笑顔を向ける。



49:2011/12/04(日) 13:47:35.98 ID:9kMGiZg5o

「べ、別にお姉さまに頼まれたからでも、おふたりを想ってのことでもありませんの。勘違いしないでくださいまし。上に報告するまでもない問題だと思っただけですの。このくらいのことは現場で判断できますの」

そっぽを向いて早口でいった黒子に紅莉栖が抱きついた。「ありがとう黒子!助かるわ!」

「こ、これは……、お姉さまのように慎ましやかな……」紅莉栖の胸を顔に感じて黒子が呟く。

「どこが慎ましやかか!」「誰のようにだって!?」紅莉栖と美琴が声を合わせた。

「……い、いえ、その、お、おふたりは、どこか似ていますの」怯えた様子を見せながら黒子がいった。

「あー、わかります!」佐天が黒子の言葉に頷いた。「あれですよね。体格もそうですけど、ツンデレキャラとかツッコミキャラとか、同じタイプですよね!」

「いわれてみればそうですねえ」初春も調子を合わせた。

「ふむ、確かにその通りだな……。だがツインテールよ!おまえの先ほどのツンデレっぷりもなかなかのものだったぞ」岡部が黒子に向かってにやりと笑った。

「な、なんのことですの」

「お姉さまに頼まれたからでも、おふたりを想ってのことでもありませんの。勘違いしないでくださいまし」岡部は黒子の真似をするように声を高くしていった。「フゥハハハ!これほどツンデレのテンプレにハマるセリフはなかなか聞けるものではない!」

「おや? 今度は白井さんイジリですか?」

「やめてくださいな」

6人は声を合わせて笑った。



50:2011/12/04(日) 13:55:04.67 ID:9kMGiZg5o

「あのー、もしもーし。聞こえていますかー?」

不意に岡部の背後で声が聞こえたような気がした。

「おおう、ウニ少年よ!いつの間にここに!? まさかおまえも実は空間移動の能力者か?」

振り返った岡部の背後、扉の前にいたのは上条当麻だった。

「いやいや、上条さんはわざわざ歩いて来たんですよ。さっきからずっとここにいましたから」

「あらあんた、何しに来たよの」美琴が上条を見て声をかけた。

「そりゃないだろ。おれも乗りかかった船だと思って、ここまで歩いてきたっていうのに……」

「冗談よ。とりあえず今は情報を検索している途中だから。あんたも座ったら?」といいながら美琴は空いている椅子を自分の隣に移動させた。

「上条さん!お久しぶりです!」「上条さん、覚えていますか。初春です」佐天と初春が同時に上条に声をかけた。

「ええ、覚えていますとも。佐天さんも初春さんも覚えていますよ」

「わざわざいらしていただかなくても、そのままお帰りいただいて結構でしたの」

「おい、そりゃないだろ白井。上条さんはあのまま帰ってしまうような無責任なことはしませんよ」

「冗談ですの」

「おまえの冗談は冗談に聞こえなかったぞ」


============
※佐天や初春も上条と美琴を通じての知人設定です



51:2011/12/04(日) 13:56:25.94 ID:9kMGiZg5o

「白井さん、検索が終わりましたよ」

上条の紅茶を用意しに向かった初春が、途中でコンピューターの画面を確認していった。

「どうですの?」

「学園都市内では該当するような施設や人物はありませんねえ。学園都市外にはありますが、どれも民間の怪しいものばかりです」

「やはりそうですの……」

「まあ、しかたがないわよね。どこか設備を借りられる研究施設はあるかしら?」と紅莉栖は初春に声をかけた。

「どこも頼んでみないとわかりませんが、あまり目立つ行動はできませんよねえ」

「それなら工場みたいなところはどうかしら? それがないのなら部品さえあれば民家でもいいわ」

「部品を集めるくらいならできるかもしれませんが……」と初春は語尾を濁した。

「それでタイムマシンは作れるんですか?」初春が言葉を濁したものを代弁するように佐天がいった。

「……正直五分五分、いいえ、嘘をいってもしかたないわね。1割も可能性はないと思うわ」

「そんな……。それじゃ、ここに来る時に乗ったタイムマシンは誰が作ったんですか?」

「岡部とわたしと……橋田っていう仲間がいてね、主にこの3人で作っていたのよ」

「じゃあ、その橋田さんがいればタイムマシンを作ることができるんですか?」佐天は質問を重ねた。

「それも難しいと思うけど……」と紅莉栖は少し目を伏せた。

「そこです!」佐天は大きな声を出した。



52:2011/12/04(日) 13:57:51.94 ID:9kMGiZg5o

全員が佐天に注目した。

「製作者のひとりの紅莉栖さんが見た時も、電撃使い<エレクトロマスター>である御坂さんが見た時も、動いたのが不思議だって思うような状態だったんですよね? そして紅莉栖さんたちは、その、橋田さんがいてもタイムマシンを作れるかわからない。それなら、そもそもタイムマシンはできていなかったんじゃないでしょうか?」

「え?」紅莉栖は佐天に聞き直した。

「そもそもタイムマシンはできていなかったんです」今度は断言するように佐天がいった。

「ちょ、ちょっと待って佐天さん、それならこのふたりはどうやってここに来たっていうの?」美琴が口を挟む。

「このふたりが乗ってきたタイムマシンは、おれの目の前に突然現れたんだ。そこからふたりが降りてくるのも見ましたよ上条さんは」上条も佐天にいった。

「いや、その、すみません。たぶん……いえ、気のせいというか勘違いというか……。もしかしたらなんですけど……」美琴と上条に詰め寄られているようで佐天はいいよどんだ。

「ルイ子よ、聞かせてくれ。素人の意外なひらめきというものは、これまでも科学の発展に貢献してきたのだ。自信を持って自分の意見をいうのだ」岡部が佐天を見つめて静かにいった。

「……はい!それじゃ、簡単にいいますね。岡部さんか紅莉栖さん、どちらかが能力者なんじゃないでしょうか?」



53:2011/12/04(日) 14:00:02.32 ID:9kMGiZg5o

驚きのための一瞬の静寂のあと、黒子が口を開いた。「佐天さん、どういうことですの?」

「えっと、白井さんは空間移動する時に、服は着たままですし、かばんや人間だっていっしょに移動できますよね? 乗り物はどうですか?」

「重いものは無理ですけど、あまり大きくないオートバイくらいの重さならいっしょに移動しようと思えばできますの。……つまり、いいたいことはそういうことですの?」

「……確かに。考えられないことではないですね」初春が呟くようにいった。

「でもそんな能力聞いたことがないわよ」

「いいえ、お姉さま、珍しい能力なんていくらでもありますの。まだ見つかっていない能力だってあると思いますの」

「あの……、みなさんわかっていらっしゃるようですけど、万年補習の無能力者にもわかるように教えていただけませんこと?」上条がおずおずと手を上げながらいった。

黒子が小さくため息を吐き、美琴がやれやれといった具合に首を振る。

「つまりこういうことよね」紅莉栖が口を挟んだ。「わたしか岡部が、もしかしたらふたりともが、時間移動の能力を持っていて、その能力が何らかの形で発動して未来ガジェット0号機といっしょにこの世界に来てしまった」



54:2011/12/04(日) 14:09:12.43 ID:9kMGiZg5o

……。

「木山先生、ありがとうございます」と美琴は頭を下げた。

「なに……。君たちには世話になったからな。この程度でよければいつでもいってくれ」

佐天の推論に可能性を感じた岡部、紅莉栖、美琴、黒子、そして上条の5人は、美琴たちの知り合いである研究者、木山春生の研究所に来ていた。

木山ならば事を大きくすることはないだろうと期待して、岡部と紅莉栖の身体検査を依頼しに来たのだった。


「まさかあんたが木山先生と知り合いだったなんてね」

「ああ、前にちょっとな。こんな偉い先生だとは思わなかったけど……」

「お姉さま、この殿方といっしょに来る必要はありましたの?」

「え? だ、だってこいつだって気になるでしょうし、ほ、ほら、無責任なことはしないっていってたじゃないの!」

ーー こいつを初春さんと佐天さんといっしょに残して行きたくなかった、なんていえるわけないじゃない ーー



55:2011/12/04(日) 14:09:51.33 ID:9kMGiZg5o

「この方がいなければ空間移動ですぐに来られましたのに……」

「あ、それは岡部がダメだったかも……」

「あんなもの二度と経験するつもりはない!」

「……まあ構いませんの。それで? おふたりはもう結果を聞きましたの?」

「いいえ、ここで少し待っているようにいわれたわ」黒子の問いに紅莉栖が答えた。

5人は木山の研究所内にある会議室のような無機質な部屋にいた。

「まったくあの女、急に暑いからと脱ぎ出しおって……」

「え?」

「ああ、あの人突然脱ぎ出しますからね。健全な青少年の上条さんには目の毒でしたよ」

「は?」

「あんたそれどういうことよ!?」紅莉栖と美琴が声を合わせた。



56:2011/12/04(日) 14:10:41.23 ID:9kMGiZg5o

「む、何やら焦げ臭いな」部屋の扉を開けた木山がいった。

「き、気のせいではないでせうか」

「……まあいいだろう。結果が出たぞ」

「どうでしたの?」

「ああ、結論からいう。ふたりとも能力者だ」

「やっぱり!」美琴が叫ぶようにいった。

「フゥハハハ!神はこのおれに天才的な頭脳だけでなく、時間移動能力までも与えたというのか!」

「岡部だけじゃなくてわたしも……?」

「それで、おふたりの能力はやはり時間移動ですの?」

「それはわからん」木山は即答した。「未知の能力の可能性が高い、といっておこう」

「ヒントのようなものは何もありませんの?」

「AIM拡散力場の確認はできたが、見たことのない形なのだ。ただ、君のような空間移動能力に近いように思える」

「それってどういうことですか?」美琴が尋ねた。

「物体を移動させる能力である可能性が高いということになる」

「じゃあ、時間移動能力の可能性も……?」

「十分にある」

その言葉に全員が安心したような表情を見せた。



57:2011/12/04(日) 14:11:36.62 ID:9kMGiZg5o

木山の研究所から風紀委員第177支部に戻るために歩き出すと、美琴は少し大きな声で全員にいった。「これでなんとかなりそうね!」

「お姉さま、そう簡単にはいきませんの。時間移動、いいえ、それよりも世界を移動する能力など、どう考えてもレベル5クラスの能力ですの。ところが岡部さんも紅莉栖さんもご自分の意思では能力を使えないご様子……」

「そりゃそうだけど、問題解決には一歩近づいたんじゃない? そう悲観するものじゃないわよ、黒子」

「そうだぞ白井。信じていれば願いは叶うってな」上条が美琴のあとに言葉を続けた。

「あなたにいわれると何やら癪に障りますの」

「なに!簡単なことではないか!要するに我々がレベル5クラスの能力者になればいいのだろう、ツインテール」

「それはそうですが……」

「と、とにかくやるしかないわよね!」紅莉栖が話をまとめるかのように大きな声でいい、胸の前で握った両手の拳に力を入れた。

「ほう、いつになくやる気だな、クリスティーナよ。だがそれでこそ我が助手だ!」

「助手でもティーナでもない!」



58:2011/12/04(日) 14:12:55.21 ID:9kMGiZg5o

「それではツンデレールガンよ、レベル5になるにはどうすればいいのだ」

「どうすればってそんな簡単にはいきませんよ。それにアドバイスなら、黒子のほうがいいんじゃないですか。近い能力みたいだし」

「黒子、そうなの?」美琴の言葉を聞いて紅莉栖が黒子に尋ねた。

「はっきりとはわかりませんが、時間、いいえ、世界を越えて移動する能力でしたら、物体移動という面では同じですの。わたしの空間移動も時間に関する演算が必要ですし……、おそらく近いと思いますの」

「おお!ならばツインテール!早速その方法を教えてくれ!」

「……なかなかこれを教えるというのは難しいですの。お姉さま、おふたりに自分だけの現実<パーソナルリアリティ>のお話はされまして?」

美琴が首を振って否定すると、「では説明いたしますの」と黒子は言葉を続けた。



59:2011/12/04(日) 14:14:14.51 ID:9kMGiZg5o

……。

「つまり、思い込みっていうことよね?」説明を聞いた紅莉栖は黒子に尋ねた。

「まあ、そのようなものですの」

「なるほど、それなら岡部が能力者だっていうのも頷けるわ。自己中で思い込みが強いもの」

「クリスティーナよ、それは自分自身のことでもあるのだぞ」

「ティーナじゃない!」

そのふたりを見て上条は少し呆然としたような様子だった。「え、さっきの説明でおふたりは理解されたのでせうか……」

「あんたこんなこともわからないの?」美琴が冷たく言い放つ。

「上条さんは伊達に万年補習じゃありませんのことよ」

「自慢になってないわよ、バカ」


「……いうのは簡単ですが、わかっていてもできない方も多いですの」

「問題はない。おれたちが元の世界に移動できると思い込めばいいのだろう? その可能性を信じればいいのだろう? ならばおれはずっとそれを信じている!」そういうと岡部は紅莉栖に目をやって言葉を続けた。「まあ、もし戻ることができなかったら、この学園都市の住人になるのもいいだろう!なあ、クリスティーナよ」

ーー 住人? そ、それって岡部といっしょに……す、住むってこと!? む、無理よ無理/// ……でもやっぱりいいかもしれない/// ーー

「そ、そそ、そうね/// どうしてもダメだったらしかたがないわよね/// わ、わたしはどっちでもいいけど、あんたがどうしてもっていうんなら……///」紅莉栖は赤面して答えた。「ってティーナじゃない!忘れるとこだったわ」



60:2011/12/04(日) 14:15:39.33 ID:9kMGiZg5o

「ダメですよふたりとも、そんなことを考えたら。ちゃんと信じていないと」岡部と紅莉栖に上条がいった。

「あ、あんたは何も理解していなかったくせに!」上条の言葉に間髪を入れず美琴がいう。


「理解なんて関係ねえ!
レベルだって関係ねえよ!……信じていれば願いは叶う!
岡部さん、あんたずっと信じてきたんだろう?
過去や未来を自由に行き来できる世界を!世界を飛び越えて駆け回る自分を!
この学園都市から他のラボメン、仲間たちが待つ街に帰ることを!!
だったらそれはまだ終わっちゃいねえ!始まってすらいねえ!
ちょっとくらい長いSSで絶望してんじゃねえよ!!こんなのたった半日を描いたSS<ショートストーリー>じゃねえか!
いい加減に始めようぜ岡部さん!
もしこのSSが長すぎて飽きたっていうんなら……おれがその幻想をぶち[ピーーー]!!」


「……何をいっているのだウニ少年よ」

「はいはい、厨二乙」

「わけがわかりませんの」

ーー かっこいい/// ーー



61:2011/12/04(日) 14:23:14.53 ID:9kMGiZg5o

……。

黒子は風紀委員第177支部に戻ると、待っていた初春と佐天に身体検査の結果を話した。

「へえ、やっぱり能力者なんですかあ」

「いいなあ」

「まあ、そう簡単にはいかないでしょうけどね」美琴が初春と佐天にいった。

「現在のレベルもわかりませんの。ですが、自由に使うことができないのであれば、レベル0か1といったところでしょうか。まずはそのレベルを上げなければなりませんし……。ああ、その前に能力が本当に時間移動かどうかもわかりませんの」

「その点は心配要らないかもしれないわ」黒子の言葉を聞いた紅莉栖がいった。

「その点、といいますと?」

「能力が時間移動かどうかってところ。みんなには話していなかったけど……」



62:2011/12/04(日) 14:24:52.55 ID:9kMGiZg5o

「運命探知の魔眼<リーディングシュタイナー>……?」

「ええ、この岡部は、時間、というか世界線を移動しても元の世界線の記憶を持っているのよ。もっと簡単にいうと、何らかの理由で過去が変わっても、変わる前の過去の記憶を持っているってわけ」

「それは、なんとも……不思議な能力ですの。といいますか、おふたりがその世界線? ですの? そういった移動のご経験があるということも驚きですの」

「ちなみに、わたしも少しだけ別の世界線の記憶みたいなものがあったりするわ。岡部はわたしと違ってはっきりとした記憶があるみたいだけど……。あまり詳しくは教えてくれないのよ」

「今はその話はいいだろう」

「とすると、岡部さんと紅莉栖さんの能力のレベルが違う可能性が考えられるわね」美琴が腕を組みながらいった。

「ええ、わたしもそうじゃないかと思ったの」

「低いレベルだと曖昧な記憶保持能力、少しレベルが上だと完全な記憶保持能力……。それに加えて自己制御のできない時間、世界の移動能力もあると考えられますの。そして高レベルになれば、時間や世界を記憶を持ったまま自由に行き来できるようになる……といったところですの?」

「都合のいい推論かもしれないけどね」

「無理矢理でも理屈は通っていますの。そうするとやはり能力は時間、いえ、世界移動といったところでしょうか」

「ややこしいから時間移動でいいんじゃないの?」

「お姉さまがそういうのであれば……。とりあえず能力は時間移動と考えてもよさそうですの」



63:2011/12/04(日) 14:26:23.02 ID:9kMGiZg5o

「まあ、もしそうだとしても、そう簡単にレベルが上がるものでもないけどね。結局は未知の能力だから、レベルを上げる方法も見当がつかないし……」

美琴の言葉に全員が考え込むような様子を見せると、上条が口を開いた。「なあ、幻想御手<レベルアッパー>ってあっただろ? あれを使うわけにはいかないか?」

上条のいった言葉に佐天の表情が暗く沈む。

黒子と初春も同様にして顔を伏せた。

「あ、あんたはぁぁぁぁ……」美琴の体が震え周囲に電気が走った。「ちょっとは空気読みなさいよおぉぉぉぉぉ!!」

「な、なんだよいきなり!? どんな仕組みか知らないけど被害者だって少しの間意識がなかっただけだって聞いたぜ? その少しの間意識がなくなってしまう岡部さんたちには悪いけど、帰る時だけ使っても……」電撃を打ち消して上条は言葉を続けた。

「黙りなさい!!たとえあんたでも許さないわよ……」そういって美琴はさらに電撃を打とうとする。その表情は普段上条に電撃を放つ時のそれとは違っていた。



64:2011/12/04(日) 14:28:08.50 ID:9kMGiZg5o

「い、いいんですよ、御坂さん!」慌ててその美琴に抱きつくようにして佐天が彼女を止めた。

「すみません上条さん、詳しい理由は話せませんけど、その話は止めてください。あれはもう使うことができませんし、絶対に使ってはいけないものですから……」初春が顔を伏せたまま上条にいった。

さすがの上条もただごとではない空気を感じ、頭を下げた。

「すまん!なんだかわからねえけど、言っちゃいけないことだったんだな……。本当にすまん!」

「わ、わかればいいのよ」美琴が息を荒げながらいった。

「上条さんが謝ることじゃないですよー!みんな敏感に反応しすぎなんだから!まったくもう!ほら、初春、はよう皆の分の茶を持てい!ああ!御坂さんいい匂いするー!」佐天が明るくいい、美琴に抱きついたまま、そのうなじの辺りの匂いを嗅いだ。

「ちょ、さ、佐天さん……///」

「……佐天さん? そこまでにしておいたほうがいいですの」

その場の全員の目に、黒子の周りに黒い煙のようなものが漂っているのが見えた。

「……は、はい」



65:2011/12/04(日) 14:30:00.41 ID:9kMGiZg5o

「よくやったぞルイ子よ!その調子だ!やはりおまえには特別な力があるな!よし、ルイ子、ついでにフラワーファームも我がラボメンとして迎え入れようではないか!喜ぶがいい!」

「あんたも空気を読まんか!」と紅莉栖が岡部の肩を叩いた。

「へへー!ほめられちゃいましたー!ていうか、そのラボメンってなんですか?」

「ならば教えてやろ「わたしたちのサークル仲間みたいなものよ」岡部の言葉を遮って紅莉栖が答えた。

「ちなみにお姉さまもわたくしもラボメン。仲間ですの」

「……おれもな」

「みなさんももうラボメンだったんですか!? ずるい!はい!わたしと初春もラボメンにしてください!」佐天は右手を上げて岡部にいった。

「フゥハハハ!先ほどもうラボメンとして迎え入れたではないか!ルイ子、おまえはラボメンナンバー 013、フラワーファームは 014 だ!」

「13って不吉っぽいですね……。13日の金曜日っていいますし」

「そんなことはないぞルイ子、そもそも13日の金曜日というのは何の信憑性もない話だ。それにキリストが磔刑にされた、すなわち人々に代わって罪を背負ってくれた日として、その日を尊ぶものもいるくらいだ。キリスト教が十字架をシンボルにするのだって同じような理由だろう?」

「キリスト教……って十字教のことですよね? へー、そうなんですかあ。岡部さん物知りなんですね」

「フゥハハハ!この鳳凰院凶真に知らぬことなどない!」

「じゃあ、どうやって学園都市に来たんですか?」

「へ?」



66:2011/12/04(日) 14:31:57.72 ID:9kMGiZg5o

「で、どうなんですか?」

「ルイ子よ、助手たちの話を聞いていなかったのか」

「助手っていうな!」

「佐天さん、それはもう聞いたじゃありませんか!」

「いえ、あの、そうではなくて……」佐天は少しいいよどんだが、すぐに自分に何かを言い聞かせるように小さく頷いて続けた。「もっと詳しくお聞きしたいんです」

「どういうことかしら、涙子」紅莉栖が佐天に尋ねた。

「おふたりの能力が時間移動だとして、その能力で学園都市に来たとするじゃないですか」

「今はその可能性が高いとわたしも思っているわ」紅莉栖は続きを促すようにいった。

「でも、おふたりは自由に能力を使えないということですよね」

「……不本意だがその通りだ」

「ということは、何かきっかけがあって能力が発動したんじゃないのかと……」



67:2011/12/04(日) 14:33:50.11 ID:9kMGiZg5o

「なるほど!つまりその時の詳しい状況を思い起こせば、能力発動のヒントがあるかもしれないってことですね!」初春が感心したようにいった。

「まあ、それもそうなんだけど、同じ状況を再現しちゃえばいいじゃないですか」

「そうか!やるわね佐天さん!」

「今日の佐天さんのひらめきは冴えていますの」

「あらー、今日だけですかあ」

「い、今のはおれにもわかったぞ!よし、岡部さん、早速やってみよう!」

上条がそういうと、全員が岡部と紅莉栖のほうを見たが、当のふたりはなぜか赤面して互いに別の方向の中空を見ているようだった。

「……岡部さん?」

「紅莉栖さん、どうなさいましたの?」

「い、いや、再現だなんて/// ダメよそんなの///」



68:2011/12/04(日) 14:37:44.58 ID:9kMGiZg5o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……ダメだ。どうにも眠くていかん。ダル、すまんが仮眠をとるぞ」

「それは構わないけど、どこで寝るつもり? ソファーにはまゆ氏が寝ているお」

「なに? い、いつの間に……。しかたない。未来ガジェット0号機の中を使わせてもらうぞ」

「個室になってるからってナニかして汚さないで欲しいお」

「ナニかとはなんだ!誰が汚すか!」

その時、未来ガジェット研究所の扉が開いた。

「ハロー!やってる?」

「遅いぞクリスティーナよ」

「遅いってなによ。時間なんて決めてないじゃないの。それとティーナじゃない!」

「ふん、まあいい。……ん? それはどうした? 目の下……くまか?」

「やだ!わかるの!? 隠してきたつもりだったのに……。最近どうも眠れないのよねえ」

「体が資本だ。眠れる時に眠っておけ。まゆりを見ろ」と岡部はソファーのほうをあごでさした。

「まゆり、こんなところでよく眠っているわね」

「すまんがおれも今から寝る。寝不足ならおまえもいっしょに寝ておけ」

ーー え? い、今なんていった? いっしょに寝ろって? いった! 確かにいった! ーー



69:2011/12/04(日) 14:38:56.19 ID:9kMGiZg5o

「そ、そそ、そんなこと、で、できるわけないでしょうが///」

「そうか? おまえなら細いし大丈夫だと思うが……。まあいい。おれは寝る」

「ちょ、ちょっと待ちなさい!あんたはどこで寝るのよ?」

「未来ガジェット0号機の中を使わせてもらう」

「そ、そう……。べ、別に参考までに聞いただけよ/// いっしょに、ね、寝たい、とか、そういうのじゃないから///」

「何をいっているのだクリスティーナよ。寝不足でおかしくなっているのではないか。やはりおまえも寝ておいたほうがいい」

ーー どういうこと? わたし誘われてるの? ど、どど、どうしよう/// ーー

「じゃあ、おれは寝るからな。ダル、あとを頼むぞ」

「了解しますた。おやすみー」

岡部が去っていくのを待って、橋田はくるりと後ろを向きながらいった。「牧瀬氏、まゆ氏といっしょに寝るんだったら、だ、抱き合って寝て欲しいお。それで写真を……あれ?」

先ほどまでそこで岡部と会話をしていたはずの紅莉栖の姿はすでに消えていた。



70:2011/12/04(日) 14:40:15.56 ID:9kMGiZg5o

「ふむ、少し狭いが眠れないことはないな」岡部は未来ガジェット0号機の中に入るとこう呟いた。

そして岡部が扉を閉めようと手を伸ばした時、「お、お邪魔します///」紅莉栖がやってきた。

「く、紅莉栖!? なんだ? 何をしに来たのだ?」

「あ、名前で……/// ね、寝るために来たのよ!あんたが寝ろっていったんでしょ? あ、勘違いしないでよね!わたしは眠りたいだけで、あんたと一緒がいいとか、そんなんじゃないんだから///」紅莉栖はこういいながら岡部の横に体を滑り込ませた。「ちょっと、もっと向こうに行ってよ///」

「あ、ああ……」

ーー どうしてこうなった ーー

「おい、そんなに密着するな」

「み、密着……/// あ、あんたがくっついてきてるんでしょうが///」

ーー 確かに寝ろとはいったが、ここに来いとはいっていない。おれはまゆりといっしょに寝ろと……、まさかあれを勘違いしているのではないだろうな!? ーー

「バカをいうな。おれの体はもうシートの外に出てしまったぞ」

「なによ!そ、そんなにこっちに来たいっていうんなら、少しくらい……いいけど/// あ、でも、いやらしいことをしようとか思わないでよね///」

ーー いい匂いがする……。この紅莉栖という生き物は……/// ーー



71:2011/12/04(日) 14:41:20.75 ID:9kMGiZg5o

「いやらしいこと、とはどういうことだ? ん? HENTAI処女よ」

「誰がHENTAIか!」

ーー しかしこれではとても眠れん…… ーー

「まあいい。おれは寝るぞ」

「え? ね、寝るの?」

「おまえもそのためにここに来たんだろうが」

「そ、そうだけど……///」

ーー あまり密着しているとまずい。とにかく紅莉栖から離れなければ ーー

「ちょ、ちょっとどこ触ってるのよ///」

「なに? どこも触ってなど……/// おれはただあちらに体を向けようと……」

「こっち向きなさいよ!」

「首をひねるな!おい、どこかおかしなところを触ってしまったぞ」

「やっぱり触ったんじゃない!」

「そうではない!どこかのスイッチのようなものを……」

次の瞬間、岡部と紅莉栖は未来ガジェット0号機とともに学園都市に移動した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



72:2011/12/04(日) 14:47:08.33 ID:9kMGiZg5o

ーー もう一度あれをやれってこと? そんなこと……/// ーー

ーー あ、あの状況にもう一度なったらまずい……/// ーー

「あのー、岡部さん?」岡部の顔を覗き込むようにして上条が声をかけた。

「な、なんだ!?」

「いや、その、学園都市に来た時の状況を再現しようという話でして……」

「そうか。うん、やればいいではないか。なあ、クリスティーナよ」

「そ、そうよ。やってみればいいんじゃない? ティーナじゃないけど」

「やってみればって……、その時の状況はおふたりにしかわかりませんの」

「た、確かにそうだけど……///」

「ははーん」赤面したふたりを見た佐天が声に出し、にやりと笑っていった。「もしかして、何かいやらしいことでもしていたんじゃないですかあ?」

「い、いやらしいことって……/// そ、そんな、違うわよ!ね、ねえ岡部?」

「そ、そうだ。おれはそんなことはしていない!このHENTAI処女のほうがだな……///」

「誰がHENTAIか!」

美琴は顔を赤くしてふたりを見つめ、初春は小さく口の端を上げ、佐天と黒子は薄笑いを浮かべた。



73:2011/12/04(日) 14:48:11.48 ID:9kMGiZg5o

「そ、それなら……そうだ!ふたりきりだったんだから、ふたりきりにしてやればいいんじゃないか」その場の空気を何とかして変えようと上条がいった。

「……あなたにしては名案ですの」

「そうですねえ。そのほうがいいですよねえ」

「ちょ、ちょっとあなたたち、何を……」紅莉栖が焦ったようにいった。

「わたくしたちは、あなた方のためを思っていっていますの」

「そうですよ。ふたりきりの状況を再現しなければなりませんしねえ」

黒子と佐天はますます口元を歪めるようにして下卑た笑みを浮かべる。

「さあ、お姉さま、初春、何をしていますの。外に行きますの」と黒子はまだ赤面して微動だにしない美琴と、小さく笑ったような表情の初春を促した。

「ほらほら、上条さんも」佐天は上条の背中を押して扉に向かう。



74:2011/12/04(日) 14:49:10.66 ID:9kMGiZg5o

「お、おい、待ってくれ!」岡部が大きな声を上げ、全員が動きを止めた。

「なんですの岡部さん? 今さらできないとでもいいますの?」

「いや、もう覚悟を決めた。おまえたちのいう通りにやってみようじゃないか」

「ちょ、ちょっと岡部!?」

「紅莉栖、これは仲間の好意だ。素直に受け取るべきなんじゃないのか」

「あ……/// うん、それは、そうだけど……」

「そうそう、好意は素直に受け取ってください。じゃあ、わたしたちは外に出ていますから」と佐天は再び足を動かし始めた。

「待つのだルイ子よ。他の皆もだ」

「岡部さん?」ようやく顔の赤みが引いてきた美琴が問いかけた。

「もし、もしもだ。この思いつきがうまくいったのならば、おれたちはすぐにこの場から消えてしまうかもしれない」

「あ……」佐天が短く声を出した。

「だからせめて……、礼をいわせてくれ」



75:2011/12/04(日) 14:49:44.46 ID:9kMGiZg5o

「……そうね」岡部の言葉に冷静になった紅莉栖がいった。「それなら岡部、あなたと当麻は外に出て」

「なに?」

「わたしがこの子たちにお礼をいうわ。あんたは当麻にいってちょうだい」

「この場で全員に伝えればいいだろう」

「いいから!ほら!出ていく!」

「……う、うむ。行くぞウニ少年!」

「あ、はい」



76:2011/12/04(日) 15:04:49.27 ID:9kMGiZg5o

岡部と上条が出ていったあと、紅莉栖は4人の少女を前にして深く頭を下げた。

「紅莉栖さん? そんなにあらたまらなくても……」少し慌てたように美琴がいった。

「いいえ、本当にありがとう……。突然現れたわたしたちを信じてくれてありがとう。こんな無礼なわたしたちに親切にしてくれてありがとう。わたしたちを助けてくれてありがとう。……わたしたちを仲間にしてくれてありがとう」

紅莉栖の目から、自分でも気づかないうちに涙がこぼれ落ちていった。


「そんな……仲間にしてくれたのは……、紅莉栖さんたちのほうじゃ……。だって、ラボメン……」佐天の頬にも涙の筋ができた。

その言葉を聞いて紅莉栖は涙を流したままに笑うと、美琴と目を合わせた。



77:2011/12/04(日) 15:05:28.16 ID:9kMGiZg5o

「美琴、あなたは最初からわたしたちを信じてくれた。わたしたちのために力を貸してくれて、黒子や木山さんに頭を下げてくれた。あなたは人のために動くことのできる本当に優しい子。だけど当麻にはもう少し優しくしなきゃダメよ」

「紅莉栖さん……」すでにまぶたを腫らすほどの涙を流していた美琴が、無理に笑おうとしながら声にならない声を出した。「紅莉栖さんこそ……岡部さんに……」

「そうね」と笑って紅莉栖は黒子のほうを向いた。



78:2011/12/04(日) 15:06:40.89 ID:9kMGiZg5o

「黒子、顔を上げて。あなたはそんなに小さな体で立派な風紀委員なのね。すごい能力も持っているし冷静で頭もいい。わたしたちを思いやってくれたことも絶対に忘れないわ。でも、もう少し素直になったほうがいいかもね。あなたならきっと素敵なレディになれるわ。わたしなんかがいっても信じられないかもしれないけど」

「紅莉栖さんは、素敵なレディですの……」涙を見せまいと顔を伏していた黒子は、紅莉栖にいわれてその顔を上げ微笑もうとした。「紅莉栖さんこそ、素直じゃない、ですの……」

「わかっているわ」と紅莉栖は頷き次に初春に顔を向けた。



79:2011/12/04(日) 15:07:47.86 ID:9kMGiZg5o

「飾利、あなたも立派な風紀委員ね。そしてスーパーハカー。のんびりとしているようだけど、この中じゃ一番しっかりしているのかもしれないわ。その場にいる全員に気を配れる温かい心も持っている。そして何より、ともだち想い……。その温かさでみんなを守る縁の下の力持ち。ゴールキーパーみたいなものね」

「わたし、そんな、しっかりなんて……」ハンカチを目に当てて、泣くことを止めようともせずに初春はいった。「わたしなんて、守られてばかりで……」

「みんなあなたを頼りにしているわよ」紅莉栖は微笑んで最後に佐天のほうを向いた。



80:2011/12/04(日) 15:09:21.41 ID:9kMGiZg5o

「涙子、ありがとう。違うのよ。わたしたちが仲間にしたんじゃないの。あなたたちが、あなたの笑顔が、わたしたちをあなたたちの仲間にしてくれたのよ。まったく、本当にすごい能力よね。そしてあなたはとても強い心を持っている。でも、もっとともだちを、仲間を頼ってもいいのよ。いつも元気な声で笑っていなくてもいいの。この子たちはみんなあなたを抱きしめてくれるし、あなたの涙を拭いてくれる。これからもっと頼れる、頼りたい人も出てくるかもね」

「わたし……、でも……今は、笑いたい、のに……」そういって笑おうとする佐天の涙を紅莉栖が指ですくった。「それと……無精髭の生えている人……本当は、結構好み……です」

「あいつはあげられないわよ」と紅莉栖は少し眉を寄せて笑った。



81:2011/12/04(日) 15:10:22.04 ID:9kMGiZg5o

そして紅莉栖は半歩ほど後ろに下がって4人の少女の顔を見渡すと、また深く頭を下げた。

「みんな、本当にありがとう。どんなにお礼をいっても伝えきれないわ」

「大丈夫。伝わっていますから……。ラボメン……、仲間ですから」佐天が笑顔を作って見せた。

「……ええ。ありがとう。こんなに素敵な仲間たちができて本当にうれしいわ。これで戻れなかったら笑っちゃうわね」

5人は身を寄せて泣きながら笑いあった。



82:2011/12/04(日) 15:11:34.98 ID:9kMGiZg5o

一方、岡部も上条に頭を下げていた。

しかし、こちらは一言も話さず、岡部はただ頭を下げ続けた。

「あのう……、岡部……さん?」しばらくその状態が続き、どうすればいいのかわからなくなった上条は、腰をかがめて岡部の顔を下から覗き込もうとした。

「見るな少年よ!」岡部の声は涙に濡れていた。

「は、はい?」

「……すまない。何といったらいいのかわからないのだ。おまえたちには本当に感謝している。だが、そんな言葉ではないのだ!そんなありふれた言葉でいうべきことではないのだ!笑ってくれ少年!この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真が……たったひとつの言葉もいうことができないのだから……」

「……笑いませんよ。……ていうか笑えません。今はね」上条が声を落ち着けていった。「そんな時の言葉は……、おれだって、知りませんから」

岡部の目から落ちたものが廊下の床を濡らした。



83:2011/12/04(日) 15:14:07.21 ID:9kMGiZg5o

「でも、言葉がなくたって伝わりますよ。何もいわなくても……、そんな風に頭を下げなくても……、伝わります」上条も目に涙を溜めていた。「とにかく頭を上げてください」

「それはできん!」

「岡部さん……。じゃあ、そのままで聞いてください。おれ、不幸なんですよ。この右手のせいらしいんですけどね。御坂にはいつも追いかけ回されるし、大食いのシスターは転がり込んでくる。レベル5の第1位と喧嘩したことだってあるんです。それに魔術師なんてわけのわからないやつらが襲ってきたり……。それでいつも病院送り。他にもいろいろあるんですよ。それで今日も、突然変な機械にぶち当たって、中から白衣の人たちが出てきて……、ああ、これは不幸だって思ったんです。でも違いました。岡部さんと紅莉栖さんは、まったく知らない場所だっていうのに明るくて強くて、御坂や佐天さん、他のやつらにだって優しかった。それですぐにあいつらと仲良くなってしまって、いつの間にかおれもその仲間みたいになってて……。なんだか楽しかったんです。おれを仲間にしてくれてうれしかったです。それで思い返してみたら、おれの人生って結構楽しいんですよ。確かにいろいろあるし、貧乏だし、入院代はかさむし、小さな不幸を挙げたらキリがないけど……。どれもこれも思い返してみたら結構楽しいんです。いろんなやつの顔が浮かんでくるんですよ。助けることができた仲間。助けてくれた仲間。浮かんできたあいつらの顔は、みんな笑っているんです。その、なんていったらいいのか、おれもわかりませんけど、最後に笑っていれば、それは不幸じゃないのかなって……、楽しいことなんじゃないかって思うんです。だから岡部さん、最後は……笑いませんか?」



84:2011/12/04(日) 15:16:41.11 ID:9kMGiZg5o

上条の言葉を聞いた岡部はまだ頭を下げたまま、かすれた声で小さく呟いた。「……ありがとう」

そしておもむろに顔を上げると、そのままあごを上げて天井を見つめ、涙声で叫んだ。「フ、フゥハハハ!何を語っているのだ少年よ!男子とは多くを語るものではない!フゥハハハ!仲間にしてくれただと!? 勘違いをするな少年!おまえは最初から皆と仲間だったではないか!そんなこともわからんのか無能力者というやつは!まったく愚かしいものだ!フゥハハハ!もう一度だけいうぞ!男子とは多くを語るものではないのだ!ならばこそおれは一言だけいってやろう!いいか、よく聞け!この狂気のマァァァッドサイエンティストゥゥゥ!にして!能力者であるこの鳳凰院凶真の言葉をな!!おれは!……おれは……おれは幸運だっ!」

声を枯らしてつまるようにしながら叫び終えた岡部はそのまま目を閉じた。

「さあ、もう行くのだ少年」

「行くのは岡部さんのほうですよ……」笑おうと努めながらも上条は流れてくる涙を止めることができなかった。「おれも……、おれも幸運です」

「……それでいい」



85:2011/12/04(日) 15:20:33.72 ID:9kMGiZg5o

岡部と上条が室内に戻ると、紅莉栖たち5人は、まだ全員で抱きあうようにして泣いていた。

「……何をしているのだ百合少女たちよ。ダルに写真でも撮っていってやろうか」こういって岡部は携帯電話を取り出した。

「やめんかバカ者!……なんか叫んでいたみたいだけど、あんたちゃんと当麻にお礼いったの?」

「当然だ。そのくらいのことができずしてどうする。助手よ、おまえこそ大丈夫なのか? 泣いてばかりでロクに礼もいえなかったのではないか?」

「助手っていうな!ちゃ、ちゃんと伝えたわよ。あんたこそ、まぶたが腫れているわよ」

「こ、これは……、先ほど蜂の集団に襲われて……。な、なあ、ウニ少年よ!」

「そ、そうですよ!もう蜂が何万匹も!」

「……殿方というのはどうしてこうもわかりやすい嘘をつくんですの」



86:2011/12/04(日) 15:21:07.87 ID:9kMGiZg5o

「あんたも目が赤いわよ」自身も目を真っ赤にした美琴が上条を見て笑った。

「……御坂、それは違うぜ。
おまえのその赤い目が!すべてを赤く見せちまっているんだよ!
いいぜ御坂!おまえのその赤く染まった世界をおれが変えてやる!
おまえがそんな目でおれを見るっていうんなら!世の中を見るっていうんなら!
おれがその幻想をぶち[ピーーー]!」

ーー やっぱりかっこいい/// おまえをおれが変えてやるだなんて……/// ーー
「なんですの、あれ……」
「さあ……」



87:2011/12/04(日) 15:21:44.05 ID:9kMGiZg5o

「……あんたは? あんたは……その、わ、わたしを変えてくれる?」紅莉栖が目ではなく頬を赤くしていうと、岡部は突如まだ手に持ったままの携帯電話を耳に当てた。

「おれだ!機関の妨害を受けている……。ああ、大丈夫だ。変えてみせる。問題はない。……ああ、すべては運命石の扉<シュタインズゲート>の選択のままに。……エル・プサイ・コングルゥ」

ーー 変えてみせるって、わたしにいったのよね/// ーー
「こっちもわけがわかりません」
「放っておけばいいんですの」



88:2011/12/04(日) 15:26:16.47 ID:9kMGiZg5o

風紀委員第177支部にふたりきりとなった岡部と紅莉栖は、隣り合った椅子に身を寄せて座っていた。

「……どうすればいいのかしら///」

「再現すればいいのだから、おまえがお邪魔します、というところからだろう」

「そ、そこからやるの!?」

「やるしかないだろう」

「じ、じゃあ、椅子はひとつでいいわよね///」

「あ、ああ……、当然だ///」

紅莉栖は立ち上がり、自分が座っていた椅子を片付けると、岡部に近づいていった。「お、お邪魔します///」

「クリスティーナ? 何をしに来た?」

「違う!ティーナじゃない!そこは名前でいった!紅莉栖っていった!」

「そ、そうだったか?」

「そうよ。忘れるわけが……ない、じゃない///」

「では紅莉栖よ、何をしに来た?」

「……へへ///」



89:2011/12/04(日) 15:27:08.11 ID:9kMGiZg5o

一方、その外の廊下では上条たち5人が、初春の持つノートパソコンの画面を食い入るように見ていた。

「さすが初春ですの」

「へへ、当然です。ぬかりはありません」

「わあ!ちょっと!なんかひとつの椅子にいっしょに座り始めましたよ!」

「ちょ、ちょっとこんなの盗撮じゃないの。やめなさいよ」

「そんなこといいながら、お姉さまもしっかり見ていますの」

「そ、それは……。ってあんた、そんなに顔を近づけないでよ///」

「しかたないだろ、ここからじゃないと見えないんだよ」

「あ、鳳凰院さんが椅子からはみ出そうです」

「もうひとつ椅子を使えばいいのに」

「あんたは黙ってなさい!」

「お姉さま、大きな声を出さないでくださいまし」

「ああ!紅莉栖さんが岡部さんの顔を掴んだ!」

「それを自分のほうに向けましたよ!」

「え? これって……キ、キキキ、キス、しようとしてるんじゃ……」

「……これは見ものですの」

全員が唾を同時に飲み込んだ瞬間、岡部と紅莉栖の姿が消えた。



90:2011/12/04(日) 15:37:41.89 ID:9kMGiZg5o

……。

「……ここは?」

「どうやら未来ガジェット0号機の中のようだな」

「じゃあ、戻って来られたのね!ってあんたいつまでくっついているのよ!」

「お、おまえが先に出ないと動けんのだ!」

「まったく……。とにかく外に出ましょう。橋田に見られないようにしないと……」

紅莉栖が扉に手をかけた時、突如として未来ガジェット0号機内部のパネルに光がついた。

「待て紅莉栖、少しおかしいぞ」

「え? なによ? まだわたしとこの中にいたいの? あ、あんたがどうしてもっていうなら///」

「少し静かにしてくれ!」



91:2011/12/04(日) 15:42:24.45 ID:9kMGiZg5o

「あの、これって本当に動いたんですか?」未来ガジェット0号機の外から声が聞こえた。


「え? これって……美琴?」紅莉栖が声を潜めた。

「ああ、そのようだな。おれたちはまだ学園都市にいるようだ。が、時間と場所は移動したようだな」

「……外にもわたしたちがいるってことよね?」

「そういうことになるな」

「ちょっと、まずいんじゃないの!?」

「落ち着け紅莉栖、このあと、この未来ガジェット0号機がどうなったのかを思い出すのだ」

ーー また名前で呼んだ/// ーー

「おい、聞いているのか? このあと、おれたちは未来ガジェット0号機に乗ったまま世界線を移動するはずだ。おそらくはおれたちの能力によってだが……その方法まではわからん。またあの芝居をするには時間が足りないだろう」

「方法はこうよ」紅莉栖はそういって岡部の両頬を手で押さえ、自分の顔に向けた。

その行為に岡部は驚き、また、首に痛みを感じて体をひねった。
その際、内部に突出した機器に肘をぶつけてしまい、未来ガジェット0号機の機体が小さく揺れた。

「おい紅莉栖、何を……?」

紅莉栖は答えずに目を閉じ、岡部の顔に自分の顔を、岡部の唇に自分の唇を近づけた。



92:2011/12/04(日) 15:44:28.41 ID:9kMGiZg5o

「ダルよ!今帰ったぞ!」

「オカリン、今帰ったって、まださっきから5分も経ってないお。あ、牧瀬氏もそっちにいたのかあ」

「え? ええ、ちょっと岡部に用事があったから///」

「……ふたりとも顔が赤いお」

「な、何をいっているのだダル!」

「あやしい」

「あ、あやしくなんかないわよ!ね、ねえ岡部?」

「ああ、これは、その……おまえの目が赤く染まっているから? 幻想ではないのか?」

「……なにをいってるんだお。男ってものはどうしてこうもわかりやすい嘘をつくのかと」

「くっ、どこかで聞いたセリフを!まさか機関の差し金か!?」

「別に照れることないだろオカリィン。ふたりはこの前からラボメン全員公認の恋人同士だお」



93:2011/12/04(日) 15:45:22.45 ID:9kMGiZg5o

「そ、そういわれると、照れるわね/// ……あ、そういえば岡部!あんた涙子にどうして恋人じゃないっていったのよ!?」

「あ、あれはおまえが先にいったのだろう? おれは調子を合わせたほうがいいと思って……」

「あー、そうですか。はいはい、わたしが悪いんでしょ」

「おい、紅莉栖、そういういいかたは……」

「……へへ/// 紅莉栖っていった///」

「……ルイコって誰のことだお? とりあえずリア充爆発してくださいお願いします」



94:2011/12/04(日) 15:46:03.60 ID:9kMGiZg5o

「そ、そんなことよりダル!急いで未来ガジェット0号機を完成させるぞ!」

「はあ? そんな急にできるわけないっしょ? まだガワを作っただけだお」

「まあ、あれがなくてもあっちに行けるかもしれないが……。その、そうすると刺激が強すぎる///」

「なぜそこで赤くなる。それにあっちってどっちだお」

「詳しいことはあとで話してやる!とにかく急ぐぞ!」

「ちょっと岡部!詳しいことってどこまで話すつもりよ///」

「だからなぜそこで赤くなるのかと!」



95:2011/12/04(日) 15:47:23.10 ID:9kMGiZg5o

「ええい、詳しいことを簡単にあとで話してやるから!」

「……きみたちリア充はいつもそうだね。わけがわからないお」

「……ひとりぼっちは、さみしいもんな」

「白いのと魔法少女の赤いのみたいなことはやめんか!ほら、急ぐんでしょ?」

「そんなに急いでどうするん?」

「……新しい仲間、ラボメンたちにラボメンバッジを渡しに行くのだ」

「新しいラボメン?」

「ああ、これも運命石の扉<シュタインズゲート>の選択だ。まったく、おれは幸運な男だ!さあ、紅莉栖!ダル!笑え!最後は笑うものだ!」

「フゥハハハハハハハハハハハハ!」



==========
おしまい



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元スレ:
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322962134/