1:2012/08/30(木) 00:28:35.19 ID:TcMFR9TAO







近くて遠い……





手が届かない




ごめんな……お前は泣いている?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1346254115



2:2012/08/30(木) 00:32:30.87 ID:TcMFR9TAO




かつんかつんと靴の音。



現れたのは二人の男女。



御坂美琴とステイルだ。


花束を置く。


上条さんのためにわざわざそんな花を備えてくれて嬉しい。



あはは、、御坂にステイル。


泣くなよ。


俺はもう死んでいる。


死人のために涙を流さないでくれ。


4:2012/08/30(木) 00:38:44.00 ID:TcMFR9TAO

御坂が口を開く。



御坂「ごめんなさい……ごめんなさい……」

あはは、そんな泣くなよ。

綺麗な顔が台無しだ。

ステイル「すまない、上条当麻……僕達が至らないばかりに……」

おいおい、お前が泣くなよ。


お前はこれから俺の変わりにあいつを守らなきゃいけないんだぞ?


御坂「ごめんなさい……これから定期的にくるから……ごめんなさい……」


ステイル「上条当麻……まだ僕は君に借りを返していない……」



二人は頭を下げて出て行く。





ああ、後は任せた。


5:2012/08/30(木) 00:39:29.45 ID:TcMFR9TAO



かつんこんかつんこん



靴の音と杖の音。


これはあいつだ。







6:2012/08/30(木) 00:41:56.15 ID:TcMFR9TAO







一方通行「よォ、三下」




学園都市第一位、一方通行。


ん?

何だよ一方通行。


お前の目に涙は似合わない。





7:2012/08/30(木) 00:44:53.50 ID:TcMFR9TAO

一方通行「はァ……ヤッパリいやになるなァ……」


一方通行は溜め息を吐く。


一方通行「テメェがそうなってンのみると、自分の無力が嫌になる」


何を戯れ言を、お前は学園都市第一位だろう?


一方通行「ま、またきてやンよ三下」


一方通行は去る。


8:2012/08/30(木) 00:45:53.35 ID:TcMFR9TAO

こつこつ


軽やかな革靴の音。


これは……ああ、わかった。





土御門元春「よ、かみやん」




土御門元春だ。


9:2012/08/30(木) 00:49:04.58 ID:TcMFR9TAO




土御門元春「かみやん……報告だけはしておくぜい」



土御門は一人虚空に話しかける。


死人に話さなくてもいい、俺はそう思った。


だけど死人の意見は土御門に届かない。





10:2012/08/30(木) 00:50:30.30 ID:TcMFR9TAO





土御門元春「インデックスはかみやんのおかげで助かった。かみやん、かみやんはそれが一番聞きたかっただろう?」




ああ……ほっとした。


ありがとう、土御門。


16:2012/08/30(木) 08:09:13.96 ID:TcMFR9TAO




土御門「お前がフィアンマを止めたから、世界は救われた」


ぽつりぽつりと土御門は言葉を発する。


土御門「だけど……誰も笑わない」

その眼からは涙。






土御門「かみやん……みんなお前のことが……」


土御門はそれだけ言って去った。

気にしなくてもいいのに……俺はもう死んだんだから。


19:2012/08/30(木) 10:11:21.05 ID:TcMFR9TAO



年月は過ぎる。


俺が死んで1年が経過する。


あいつは来ない……。




大丈夫なのか?


21:2012/08/30(木) 10:18:45.59 ID:TcMFR9TAO





ひょん






風を切る音。


ああ、白井だ。


白井「……」


白井は無言で花を置いて、背中を向けた。







白井「ありがとう、ですの」





白井……泣いてるのか?



白井は去った。


24:2012/08/30(木) 14:20:24.60 ID:TcMFR9TAO



そういえば、ここに来る人は少ないな……。


なんて思ってみる。


父さん母さん御坂ステイル神裂土御門一方通行打ち止め浜面白井五和くらいか。


やっぱり……みんな怒ってるか……。

当たり前だな……あの時御坂の手を取れば俺は助かった。




そうだ、この死は俺の愚かさが原因。


わかっている。


25:2012/08/30(木) 14:27:03.60 ID:TcMFR9TAO




神裂「上条当麻……」


うおっ! 神裂か。気配無かったなぁ……。

ん? なんか凄い顔色悪いな……どうしたんだ?

神裂「あなたに少しの報告を……」


神裂は神妙な顔で言う。




神裂「インデックスはおそらくずっと此処には来れません……」




え?

戸惑う。





26:2012/08/30(木) 14:30:45.51 ID:TcMFR9TAO

神裂「上条当麻……彼女はあなたの事を想っている……だから現実を受け入れられない」


神裂は拳を握りながら言う。

神裂「今頃、彼女は御坂美琴の介抱を受けている」


言っている意味がわからない。


神裂「彼女は現実を拒否しすぎる余り……」

神裂は言い放つ。








神裂「ここに来ようとすると過呼吸により倒れます」









ああ、ごめんな……。

俺のせいだ。


27:2012/08/30(木) 15:51:50.23 ID:TcMFR9TAO




深々と降る雪。


まだ誰も前に進んでいない。


なぁ、みんな。



進んでくれ。


俺を引きずらないでくれ。


31:2012/08/30(木) 17:41:09.40 ID:TcMFR9TAO



静かな時間。


誰も来ない時は一人考える。








ガチャ



扉が開く音。


32:2012/08/30(木) 17:44:00.10 ID:TcMFR9TAO




木原数多「コレが一方通行が言ってたもんか」


顔面刺青男が上条さんの墓荒らし!?


木原数多「……」

顔面刺青男は俺の墓を見る。







木原数多「0・001%、か」




墓荒らし顔面刺青男は一言わけのわからない事を言って去った。





33:2012/08/30(木) 17:47:54.06 ID:TcMFR9TAO



浜面「大将……」


墓荒らし顔面刺青男が去った一週間後、浜面が来た。


浜面「なんでこうなったんだよ……」

浜面の顔は涙と鼻水と目脂でぐちゃぐちゃだった。




浜面「なんで俺じゃなくて大将がこんな目に!」



浜面は涙に濡れる。


泣くなよ、浜面。

お前に涙は似合わない。

お前は滝壷を守らなきゃいけないんだろう?



浜面「またくる……」


浜面は涙に塗れながら去る。




34:2012/08/30(木) 17:48:23.97 ID:TcMFR9TAO










ありがとう、浜面。


俺のために泣いてくれて。







35:2012/08/30(木) 18:20:30.42 ID:TcMFR9TAO



溶けない雪は無い。


終わり無い坂は無い。


明けない夜は無い。


今は未だみんな引きずっている。


いつかみんな俺を忘れてくれたら嬉しい。





36:2012/08/30(木) 18:22:32.14 ID:TcMFR9TAO




アレイスター「」


ふっと気がつくと、学園都市のえらいさんが立っていた。


アレイスター「」ペコリ


一礼して去った!?

一体何がしたかったんだ……


37:2012/08/30(木) 18:32:17.62 ID:TcMFR9TAO













「君に願わくばハッピーエンドを」






奇妙な声が響く。

おそらくは学園都市のえらいさんの声。


ハッピーエンド?


何だ?


41:2012/08/31(金) 08:40:42.18 ID:W/uivEwAO

静かに人は時を刻む。

静かに雪は溶け出す。


たらりたらり水は滴る。


誰もが前に進むのはいつだろう?


42:2012/08/31(金) 08:45:18.88 ID:W/uivEwAO



チュンチュン


小鳥の歌声。

春が来た。

暖かい日差し。





かつんかつん




靴音が響く。


43:2012/08/31(金) 15:00:38.35 ID:W/uivEwAO





アガガガガ


キャー! ヤッパリインデックスガカコキュウ!

ムギノン、イシャノタマゴトシテタダチニショリヲトミサカハ

ダレガムギノンジャ! ハマヅラー、イソイデニサンカタンソヲ


ハイヨ

ダイジョウブ、ジョイムギノンニコキツカワレルハマヅラヲオウエンスル






なんか騒がしいな……


44:2012/08/31(金) 15:03:43.00 ID:W/uivEwAO




ステイル「全く、騒がしい連中だ」


ステイルはそんな騒ぎを俺が聞いてる中入ってきた。

ステイル「すまないな……上条当麻……。彼女は未だ此処には来れないみたいだ」

ステイルは目を瞑り言う。

ステイル「いつかきっと連れてくる」


ステイルはそれだけ言って去った。

全く、涙流しながら言うなよ。

俺が心配するだろう?


45:2012/09/01(土) 13:38:36.61 ID:lGKxVk4AO





風が吹く。

肌をなぞるような優しい風。

人はなぜ風に憧れるのか?

死んでから考える。




ああ……停滞しないからだ。


46:2012/09/01(土) 13:51:32.62 ID:lGKxVk4AO



佐天「あなたが御坂さんの友達……」


この子は……ああ、御坂の友達か。

佐天「あなたの話は御坂さんから聞きました」

礼儀正しい子だ……。








佐天「世界を救ってくれて、ありがとうございます」





お礼を言って御坂の友達は去る。

そうか、俺の行動は、あいつのためとはいえ誰かを幸せにしたんだ……。


48:2012/09/03(月) 12:26:32.26 ID:k2/DY0GAO

世界を救った。

そっか、俺がしたのはかなり大事だったのか。


御坂ステイル神裂青ピ土御門アックア一方通行打ち止め五和浜面父さん母さん……そしてインデックス。

俺はみんなを守った。


ならそれで良いか。



御坂の友達、有り難う。

俺の死に意味を与えてくれて。


49:2012/09/05(水) 23:01:43.23 ID:RYVtEGTAO

久し振りに思いだす。


彼女の笑顔、泣き顔、困り顔、普通の顔、拗ねた顔、みんなみんな……俺にとっては日常だった。


大好きだった。




ああ……ごめんなさい


50:2012/09/05(水) 23:14:41.32 ID:RYVtEGTAO


かつかつかんかんと靴と杖の音



一方通行「よォ、ヒーロー」

一方通行か。

一方通行「顔見せくらいしてやる」


花束と果物を置いて一方通行は去る。


全く……相変わらず不器用だな。


51:2012/09/09(日) 06:35:52.93 ID:81Rb+FjAO


さらさらと雪は溶けた。

雪解け水は川となる。

ああ……それはなんと素晴らしい……


52:2012/09/09(日) 06:39:57.37 ID:81Rb+FjAO




かつんかつんかつんギィ


靴音扉を開く音。

入ってきたのは……御坂か。



御坂「相変わらず、ね」



御坂は果物籠をカタリと置く。

目は真っ赤。

泣いていた?

何があった?



御坂「何かなぁ……あんたに愚痴るのは筋違いだけど、愚痴って良いかなぁ」

御坂は応えのない骸に問う。

俺は応えられないけど、いいと思った。


53:2012/09/09(日) 06:40:40.58 ID:81Rb+FjAO















御坂「私、ステイルと付き合う事になったんだ」












54:2012/09/09(日) 06:43:13.55 ID:81Rb+FjAO


へぇ、意外だ。てっきりステイルはインデックスが好きだと思っていた。

御坂とステイルか。おめでとう。



御坂「なんかね、あんたは鈍感だから全く気がついてないんだろうけど、ステイルはインデックスが好きで、私はあんたが好きだった」



はい?


ミサカサンイマナンテ?





56:2012/09/09(日) 06:46:17.00 ID:81Rb+FjAO



御坂「私はずっと、ずっとあんたが好きだった。あのクローン虐殺の時も、第三次世界大戦の時も、私はあんたの背中を見ていた。その背中が好きだった」


御坂が……俺の事が好きだった?


信じられない……ってかマジで?


うわぁ、俺生きてたら黒子に殺されてる気がする。


57:2012/09/09(日) 06:59:33.69 ID:81Rb+FjAO



御坂「一方、ステイルはインデックスの事が好きだった。ずっと彼女を助けるために頑張っていた」


御坂は一呼吸置く。






御坂「それで、私とステイルは失恋した」






御坂「あんたはインデックスのために命を懸けて、インデックスはあんたが居なくなった後めっきり暗くなった」


御坂「私も、ステイルも気がついたんだ」



半分涙が浮かんでいた。






御坂「ああ、私達は立ち入れないんだな、って」


目には涙。

御坂は思いを断ち切るように俺に愚痴る。



御坂「ありがとう……私の愛した人」



御坂は立ち去る。

俺は……




58:2012/09/09(日) 07:08:01.95 ID:81Rb+FjAO



一度氷河が溶けたらまだ動かぬ氷河も溶けて動く。


ああ……こうして氷河は凍土を置いてゆく。






59:2012/09/09(日) 07:09:03.56 ID:81Rb+FjAO











浜面「大将、俺……結婚する事にしたよ」










60:2012/09/09(日) 07:13:51.21 ID:81Rb+FjAO




こいつは来ていきなり何を言ってるんだ?


あとおめでとう。


浜面「大将が命を懸けて戦ったから今がある。ありがとう」


浜面……お前だって戦った。

だから泣くなよ。

この平和はみんなで勝ち取ったものだ。




決して俺一人の手柄じゃない。


61:2012/09/09(日) 09:05:51.42 ID:81Rb+FjAO




浜面「大将、また顔見せにくるぜ」






浜面は去る。


幸せに成れよ、浜面。


62:2012/09/09(日) 09:09:47.64 ID:81Rb+FjAO


浜面が来た次の日




駒場「……フレメアに告白された」





駒場が来た次の日



エツァリ「ショチトルに告白されました」



エツァリが来た次の日



神裂「騎士団長に告白されましたがどうすれば……」




神裂が来た次の日



ヴェント「フィアンマに告白された」




ヴェントが来た次の日


垣根「心理定規に告白された」


垣根が来た次の日


アウレオレス「憮然……姫神に告白する」







63:2012/09/09(日) 09:11:34.17 ID:81Rb+FjAO





あはははは、なんだ。



やっとみんな動き出した。



今までみんな謝罪しかしていなかった。




だけど、やっとだ。



氷は溶けた。


水は動く。




ああ……それは待ち望んだ未来……


69:2012/09/09(日) 11:34:38.97 ID:81Rb+FjAO



かつんかつんと靴音が響く。








フレンダ「結局これが浜面の言っていた場所ってことよ」





訪れたのは綺麗な金髪の少女。

フレンダ「結局皮肉よね。さんざん悪事を起こした悪党である私や木原があのカエルに治療されて、世界を救った英雄はこの有り様……」


金髪の少女は手を合わせる。


フレンダ「だけど結局私はあなたに感謝してるってことよ。あなたが居なかったら私も、フレメアも生きてなかった」


フレンダ「浜面が一度は感謝しておけって言っていた意味が分かった」


金髪の少女はそう言って去る。










そうか、最近みょーに見知らぬ奴らが来ると思ったら浜面か……。

リア充め、人を都市伝説みたいに語るな……。


70:2012/09/09(日) 11:37:50.26 ID:81Rb+FjAO

コツコツ響く靴音。


カエル医者「やぁ」


カエル医者、学園都市屈指の名医だ。


カエル医者「顔見せにきたよ」








カエル医者「ごめんね……僕じゃ君を救うことが出来なかった」






カエル医者は涙を流して謝る。


良いんだ。

俺はあの時死ぬ覚悟は出来ていた。

あんたが謝る必要はない。


71:2012/09/09(日) 12:20:21.70 ID:81Rb+FjAO

カエル医者が去った後、俺は安堵する。



世界は前に進んでいた。




俺の周りもやっと前に進む。








ああ




素晴らしい。


72:2012/09/09(日) 12:21:23.43 ID:81Rb+FjAO



雪は溶けた。


水は乾いた大地を潤し満たす。








溶けない氷は後二つ。


74:2012/09/09(日) 13:24:28.05 ID:81Rb+FjAO

春の香り


小鳥の歌


チロチロと流れるせせらぎ




さぁ、遂に世界は動き出す







俺の望んだ世界


75:2012/09/09(日) 13:44:37.91 ID:81Rb+FjAO




御坂妹「失礼します、とミサカは断りを入れて入室します」



おお、御坂妹か。


懐かしい。

ますます御坂に似てきている気が……。



御坂妹「今日は報告に来ました、とミサカはお辞儀します」


報告?

なにか有ったのか?





御坂妹「ミサカはこの度東京医科歯科大学医学部に一浪の末受かりました、とミサカは誰よりも先に命の恩人に報告します」




おお、おめでとう!


東京医科歯科……あれ?

って事は?



御坂妹「ミサカはこれから、初めて本格的に学園都市の外で暮らします。だから……別れの挨拶をミサカはします」



そうか、学園都市の外か。


頑張れよ。御坂妹。



御坂妹「五年前、お姉様とあなたに命を救われたの事は……ミサカにとって感謝してもしきれませんとミサカは胸の内を吐露します」


そっか、もう五年か。


御坂妹「だから、これからミサカは麦のんと同じように人を救いたい、とミサカは大願を口に出します」



御坂妹はぺこりと頭を下げる。




御坂妹「これから定期的に会いに来ます、とミサカは予定します」


御坂妹は去る。

頑張れよ。


76:2012/09/09(日) 13:53:35.19 ID:81Rb+FjAO



かつかつこんこん


此の音は……ああ、あいつだ。


一方通行「よォ、見舞いに来たぞ」


一方通行だ。

ん? 珍しい。お前がきっちりした服を着てるなんて。


77:2012/09/09(日) 13:58:26.82 ID:81Rb+FjAO




一方通行「今日は報告だァ」


あはは、お前もか。


一方通行「オレは研究者になることになった」


研究者……頭が良いお前らしいな。

一方通行「まァ、これから気の合わねェ育ての親の部下だァ」


悪態をつきながら、一方通行は楽しそうだった。


一方通行「三下ァ、テメェが守った世界は動いてる。ありがとうなァ……」


一方通行……お前だって戦った。

別に俺一人の戦功じゃない。


一方通行「また来る」


一方通行は去る。



お前も動き出したか……


78:2012/09/09(日) 14:04:15.59 ID:81Rb+FjAO



かつかつと靴の音。





青ピ「かみやん……」




青ピか!


うわ、更にでかくなってる!?


青ピ「かみやん、今ボクは元気やで」


青ピは椅子に座って言う。


青ピ「学園都市でパン屋の経営軌道に乗せとる」


青ピの目には涙。








青ピ「かみやんにボクのパン食べて貰いたかったねん……」




青ピは泣き崩れる。


ありがとう……青ピ。






83:2012/09/09(日) 14:21:00.33 ID:81Rb+FjAO




ステイル「やぁ、上条当麻」


うわ、リア充来た。



ステイル「よっと」


ステイルは座る。


ステイル「今日は君に少し報告を」

どうした?

御坂と入籍か?








ステイル「インデックスの過呼吸は徐々に、本当に徐々にだが良くなってる。いつか彼女をここに連れてこれそうだ」


そうか、ありがとう。



ステイル「それじゃあ」



ステイルは去る。





87:2012/09/09(日) 17:19:23.02 ID:81Rb+FjAO



暗い暗い闇の中……



思い浮かぶのは一人の少女との思い出








とうまとうま! お腹が減ったんだよ!

はいはい。今日はもやしと豚肉の焼きそばだから待っとけ。


わかったんだよ!




……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……





遠い昔の御伽噺のように思える恋しかった日常。


90:2012/09/09(日) 18:57:31.57 ID:81Rb+FjAO




かつかつ

誰かが来る

誰だろう?





土御門「よっ、かみやん」


土御門か。

律儀に毎季節墓前に来てくれてるのは土御門とステイルと一方通行。

ん?

何でこいつアロハじゃないの?


土御門「ま、今日は報告だにゃー」


土御門は改まって言う。


何だ?

身構えていたら……


91:2012/09/09(日) 18:58:29.76 ID:81Rb+FjAO











土御門「この度土御門元春は土御門舞夏と結婚する事になった」










92:2012/09/09(日) 19:00:28.22 ID:81Rb+FjAO




遂に義妹に手を出したか、シスコン。


というのは置いといておめでとう。


土御門「ま、今日はそれだけだにゃー」



土御門は立ち上がり、一礼して去る。



おめでとう、土御門。


大事にしろよ?








俺は出来なかった。


101:2012/09/09(日) 20:22:55.64 ID:81Rb+FjAO



静かな空間。

誰かが来ないと寂しい。







「なMTだ。ま;Фだ£」











空耳?






103:2012/09/09(日) 23:45:55.56 ID:81Rb+FjAO





溶けない氷は無い




幸せな芽吹きまでもう少し


104:2012/09/09(日) 23:54:54.28 ID:81Rb+FjAO




何だろう?


この違和感は……



気にしないでいた方が良いか……












105:2012/09/09(日) 23:57:58.38 ID:81Rb+FjAO





ステイル「なんか入籍する事になった」


開口一番惚気か。

とりあえず、おめでとう。


ステイル「なんか御坂家に婿入りさせられて御坂ステイルに名前が変わった」


ああ……多分御坂の母さんに押されたか……

ステイル「まぁ、僕の報告はこれだけだな」


ステイルはかつかつと去る。


106:2012/09/10(月) 00:29:57.87 ID:8tslO5HAO




たまには耳を澄ましてみる。

色々な音が聞こえる。






コンジョウダー

ソギイタセンセイアツクルシイ!




ムギノクン カルテヲ

ハイ



アナタアナタオイシソウナアイスクリームガアルヨッテミサカハミサカハ

キノウキハラクンニドヤサレテツカレテルンデスゥ



ステイル シキジョウハドコニスルノ?

ナンカクロコサンガテイキョウシテクレルラシイ



メジャーハートメシクイニイコウ

イイワヨカキネ









ああ、平穏な世界……


109:2012/09/10(月) 14:42:31.94 ID:8tslO5HAO





『よっ』



声がする。



お前は誰だ?


『うわ、お前は誰だって……上条さんは悲しくなるのですよ』


俺の名前は上条当麻だ。

お前は俺と同姓なのか?

『いやいや、今お前以外誰も居ないだろう?』


たしかに。


じゃあ……お前は誰だ?


『俺はお前だよ、上条当麻。いや、わりぃ。言葉足らずだったな』


奇妙……なんだ、これは?

声は俺の戸惑いを無視する。





110:2012/09/10(月) 14:43:18.09 ID:8tslO5HAO












『俺はインデックスを助けるために《死んだ》上条当麻だ』










111:2012/09/10(月) 14:46:25.86 ID:8tslO5HAO



なんだ、オカルトか。


『何か妙に物分かりいいな』


そりゃぁね……インデックスと出会ってからはオカルトの連続だったから。


『苦労してるんだな、俺』


ああ、どこかのお人好しのせいでな。








『後悔してるか?』







何だ、えらいチープな問いかけだな。


そんなの即答だ。


112:2012/09/10(月) 14:46:59.48 ID:8tslO5HAO
















不幸だ、だけどそれ以上に素晴らしかった。












113:2012/09/10(月) 14:55:34.19 ID:8tslO5HAO




『本当に即答だな』



当たり前だろ?


確かに後悔も多かった。


だけど、俺は多くの宝物を得た。


様々な絆。

誰かの笑顔。


それはおそらく……ただ不幸なだけじゃ手に入れる事が出来なかった宝物。


土御門青ピ吹寄小萌先生黄泉川先生御坂黒子浜面一方通行打ち止め御坂妹ステイル神裂五和建宮アックア数え切れない俺と関わった人達……そしてインデックス。


みんな俺を変えてくれた。

『全く、それだけのものが有りながら俺はまた命を懸けたのか』

お前もだろう、上条当麻?

『ああ、馬鹿は死んでも治らなかったな』

だな

『何だ、まだ俺は俺のままだった』


声は口走る


114:2012/09/10(月) 15:21:36.96 ID:8tslO5HAO










『大丈夫、お前は《そのふざけた幻想》をぶち殺せる』








声は去った。


115:2012/09/11(火) 10:07:02.05 ID:wxe/DjCAO

感じる


声去った後感じる








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116:2012/09/11(火) 10:20:19.06 ID:wxe/DjCAO





ゴーン ゴーン ゴーン




除夜の鐘。



今年は終わる。


インデックス……








117:2012/09/11(火) 10:22:37.02 ID:wxe/DjCAO




ふざけた幻想は砕け散る。



溶けた雪の後には新芽が芽吹く。


正義は高らかに。


人はしなやかに。


さぁ、最後の不幸な物語。






どうしようもない程絶望的な物語が、案外簡単に砕け散る。


119:2012/09/11(火) 15:13:10.55 ID:wxe/DjCAO



最近めっきり人が来なくなった。


蝉が鳴く。








こつこつこつこつ








靴音が響く。


誰か来る?


120:2012/09/11(火) 15:14:31.94 ID:wxe/DjCAO











「やっと来れたんだよ、とうま」












121:2012/09/11(火) 15:34:52.99 ID:wxe/DjCAO



銀色の髪。

緑色の瞳。



ああ……やっと来てくれたか……







インデックス


125:2012/09/11(火) 19:18:40.77 ID:wxe/DjCAO



背丈は高くなってる。


だけど、面影は変わらない。


彼女は墓前に座る。








インデックス「とうま……まだ起きないんだね……」








え?


126:2012/09/11(火) 19:20:51.81 ID:wxe/DjCAO




インデックス「ごめんなさい……」


俺が戸惑っている間にも、インデックスは泣きながら喋る。



インデックス「私のせいで……私のせいで……」





インデックスの涙が落ちる。






『暖か』い?






127:2012/09/11(火) 19:21:38.66 ID:wxe/DjCAO



違和感が一気に吹き出る。


待てよ?



俺は


本当に


死んだのか?








128:2012/09/11(火) 19:23:38.59 ID:wxe/DjCAO




思い出す。


そうだ。


誰も『墓参り』と言っていない。


みんな『報告』や『見舞い』と言っていた。



何だ何だ何だ?


違和感が吹き出て胸を焼く。



そうだ。


そうだったのか。




やっと解った。






129:2012/09/11(火) 19:27:38.31 ID:wxe/DjCAO






いいぜ

上条当麻

てめえがこれが不幸な物語だと決めつけるってなら


まずはその


ふざけた幻想を


ぶち殺す






130:2012/09/11(火) 19:29:35.66 ID:wxe/DjCAO




途端にどっと感覚が戻る。



そう、これは只の思い込み。自己暗示だ。



激戦でおそらく俺は自分が死んだと思っていたんだ。




さぁ、ふざけた幻想をぶち殺そう






131:2012/09/11(火) 19:30:54.55 ID:wxe/DjCAO












「ィンデッくズ」









死人のような弱々しい声が出る。


132:2012/09/11(火) 21:14:05.96 ID:wxe/DjCAO







インデックス「……へ?」




インデックスは暫く戸惑い、叫ぶ。







インデックス「とうまが生き返ったんだよぉぉぉぉぉぉぉっ!」







133:2012/09/11(火) 21:21:26.39 ID:wxe/DjCAO

直後




ナンダトォ! サンシタガイキカエッタダァ?

コンジョウダァァァァァァアアアア

ソレハホントデスノ?

ノキナサイチンピラ!


ハマヅラガチョウカベニササリマシタ!

ダイジョウブ。ソンナハマヅラヲワタシハオウエンスル

ゲンダイイガクノショウリダァァァァァ

ダレカーヘブンキャンセラーガコウフンノアマリタオレマシタァァァァァ

カミジョウトウマガイキカエリマシタカ!

ブゼン。ナンタルセイメイリョク

ミンナ、ハヤクカミジョウニアオウデアル

マツンダニャー。ココハシバラクインデックスユウセンニシタホウガイインダニャー

タシカニアノコハズットマッテイマシタガ・・・

カミジョウトウマガイキカエッタノネ?


タイヘンダー! ハマヅラノシンパクスウガァァァァァ!


メルトダウナーシンゾウマッサージ!


トリアエズカミヤンニアウデ


ア。ヌケガケズルイ





ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


騒音がする


134:2012/09/11(火) 21:25:56.34 ID:wxe/DjCAO

青ピ「かみぁぁぁぁぁやん!」

一方通行「三下くゥゥゥゥゥゥン!?」


浜面「大将……ごふっ」

土御門「かみやん!」

カエル医者「まさか治るとは!」

ステイル「本当に復活している……」

御坂「良かった……本当に良かった……」





なんかお祭り騒ぎになってる……


135:2012/09/11(火) 21:33:48.88 ID:wxe/DjCAO

その後、浜面がテンション上がった一方通行に愉快なオブジェにされかけたり、浜面が御坂の電撃喰らったり、浜面がステイルのタバコに当たって根性焼きされたり、ひゃっはーと騒ぐ顔面刺青に殴られたり、ハイになった麦野とか云う人にレーザー当てられたりと瑣事が在ったが、そんな中俺はカエル医者に俺に起きた事態についての説明を受けた。


136:2012/09/11(火) 21:45:06.12 ID:wxe/DjCAO




体には異常なく、何故か意識を取り戻していなかった。


対処が難しいそんな状態だったみたいだ。








全く……ただの諦めだったのか。



俺は、首の筋肉を辛うじて動かしてインデックスを見る。



大丈夫。

何とか口角筋は動く。







137:2012/09/11(火) 21:47:04.92 ID:wxe/DjCAO











上条「ただいま……インデックス」



インデックスは涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔のまま、笑顔で言う。





インデックス「おかえりなさいなんだよ……とうま」





インデックスは俺の右手を握りながらそう言った。


151:2012/09/11(火) 22:53:34.26 ID:wxe/DjCAO




爽やかな風

俺の頬を撫でる



インデックス「とうま、速度はこれくらいで良いかな?」


上条「ああ、ありがとうな、インデックス」


今俺はインデックスに助けてもらいながらリハビリしている。

七年もの間動かしていない筋肉は弱りに弱っていた。

幸い、関節は定期的に御坂妹が動かしていたようで、問題なかった。

どうやら調整のたびにしてくれていたらしい。





152:2012/09/11(火) 22:56:26.48 ID:wxe/DjCAO

インデックス「ねぇ……とうま」


車椅子を押してくれているインデックスが俺に話しかける。


上条「ん? どうした?」

インデックス「ううん、なんでもないんだよ」

上条「何でもないのに何で呼んだんだ?」


インデックス「とうまの名前が呼べるのが嬉しいんだよ」

上条「そうか」


ついついくすっと笑う。


153:2012/09/11(火) 22:59:46.12 ID:wxe/DjCAO


インデックス「とうま、リハビリ終わったら一緒に晩御飯を食べるんだよ」

上条「ああ、そうだな」


こうやってインデックスと一緒に話せるのが嬉しい。


ああ……なんて幸福だ。


154:2012/09/11(火) 23:00:13.76 ID:wxe/DjCAO




更に半年たった。






155:2012/09/11(火) 23:05:23.03 ID:wxe/DjCAO



上条「ただいま、インデックス」

インデックス「おかえりなさいなんだよ、とうま」


リハビリを乗り越え、俺はインデックスと同棲することになった。

今は一方通行のアドバイスで教員免許をとるカリキュラムの最中だ。

上条「おっ、今日はなかなか豪勢な料理だな」

インデックス「うん、とうまに喜んでもらうためにがんばったんだよ」

上条「そうか、ありがとうな、インデックス」


平穏な日常。


156:2012/09/11(火) 23:06:28.89 ID:wxe/DjCAO



月日は更に巡る


更に一年たった


157:2012/09/11(火) 23:07:33.51 ID:wxe/DjCAO




上条「え」

インデックス「うそ……」


俺とインデックスは顔を真っ赤にして喜ぶ。



何故なら……


158:2012/09/11(火) 23:12:35.36 ID:wxe/DjCAO











麦野「妊娠三ヶ月ね」











159:2012/09/11(火) 23:15:11.35 ID:wxe/DjCAO

インデックスが妊娠していた。


麦野「はぁ、あんた達、喜ぶのは良いけどちゃっちゃと互いの両親に挨拶、そして入籍&結婚式やっときなよ。浜面のばかのようにバタバタして滝壺怒らせる、の二の舞踏まないように」



上条「はい」

インデックス「はい、なんだよ」


さて、これから忙しくなる。


160:2012/09/11(火) 23:22:18.52 ID:wxe/DjCAO



リンゴーン

カンコーン


鐘の音が鳴る。


ローラ「新郎、上条当麻。汝命在る限り如何なる時もインデックスを愛する事をちかいけるか?」

上条「誓います」

ローラ「新婦、インデックス。汝命在る限り如何なる時も上条当麻を愛する事をちかいけるか?」

インデックス「誓うんだよ」


互いに向き合って口づけをする。


一方通行、土御門、青ピ、姫神、小萌先生、御坂、ステイル、御坂妹、浜面、麦野先生、いろんな人が俺たちを祝ってくれた。






161:2012/09/11(火) 23:25:43.90 ID:wxe/DjCAO


時は流れて進む


更に一年たった




162:2012/09/11(火) 23:33:13.30 ID:wxe/DjCAO



上条「インデックス、録麻は?」

インデックス「もうぐっすりなんだよ」


結局俺たちの息子は『上条録麻』という名前になった。

禁書目録の『録』と上条当麻の『麻』を合わせた名前だ。


インデックス「とうまは仕事きまったのかな?」


上条「ああ、教員免許カリキュラムの成績から、長点上機に勤める事になった」

インデックス「科目が気になるんだよ……」

上条「削板と同じく体育だ」

インデックス「なんとなく想像し難いんだよ」



談笑。


どこまでも平穏な日々。


163:2012/09/11(火) 23:36:17.25 ID:wxe/DjCAO

さらさらと時は進む


更に十年後






164:2012/09/11(火) 23:39:28.75 ID:wxe/DjCAO



上条録麻「父さん、父さんは母さんの事好き?」

上条当麻「ああ、大好きだよ」

上条録麻「母さん、母さんは父さんの事好き?」

上条インデックス「うん、大好きなんだよ」

上条録麻「わーい! 僕の父さんと母さんは仲良しだ!」


録麻は嬉しそうに飛び跳ねる。

上条当麻「なんか、こうやると照れるよな、インデックス」


インデックス「そうなんだよ」



かなり幸せな日々。





165:2012/09/11(火) 23:41:18.90 ID:wxe/DjCAO



大河のうねり


時は進む


四十年後





166:2012/09/11(火) 23:45:44.89 ID:wxe/DjCAO



上条当麻「おっ、御坂とステイル!」

上条インデックス「短髪、ステイル、こっちなんだよ」

御坂美琴「久しぶり」

御坂ステイル「やぁ、上条当麻」

上条当麻「なぁなぁ、録麻と美春の仲は良好か?」

御坂美琴「ええ、良好よ」


上条インデックス「安心するんだよ」



こうやって俺達はたまに会う。


なにせ録麻が連れてきた女の子が御坂とステイルの娘だとは……。



楽しい老後である。


167:2012/09/11(火) 23:47:11.27 ID:wxe/DjCAO



人には終わりが来る



斯くて幕は閉じたもえ



更に二十年後


168:2012/09/11(火) 23:51:47.62 ID:wxe/DjCAO





上条録麻「……父さん、母さん……」


銀色の髪をした初老の男性。


名は上条録麻。


上条当麻とインデックスの子供である。


上条録麻「墓は遺言通り、隣に造ったから……安らかに眠ってくれ」


上条録麻は目を瞑り、祈る。

上条録麻「父さん、母さん……また盆に成ったら目麻を連れてくる。だから……楽しみにしてくれ」



上条録麻はゆっくりと去った。


彼が参っていた墓にはこう書いてあった。


169:2012/09/11(火) 23:55:08.08 ID:wxe/DjCAO




上条当麻
享年94



上条インデックス
享年92









170:2012/09/11(火) 23:57:42.81 ID:wxe/DjCAO





上条当麻と上条インデックスは、奇しくも同じ日時に同時に病死した。



そして、彼ら二人の命日は更に奇しくも、上条当麻がインデックスによって仮死から目覚めた日だったという。





171:2012/09/11(火) 23:58:10.28 ID:wxe/DjCAO








FIN












172:2012/09/11(火) 23:58:48.54 ID:wxe/DjCAO



これで全部おしまいです。


それではまたいつか!





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