1:2018/04/19(木) 00:34:17.93 ID:fXyxsV/i0

ほたるちゃんの誕生日記念&総選挙応援SSとして書きました。
前作、白菊ほたる「諦め切れないはずの夢」の続きになりますが、読まなくても問題はありません。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1524065657



2:2018/04/19(木) 00:34:42.79 ID:fXyxsV/i0


いつからでしょう。
私の心に確かな光が差したのは。

いつからでしょう。
その光を手放したくないと願ったのは。


3:2018/04/19(木) 00:35:18.80 ID:fXyxsV/i0

私は、アイドルとしてデビューするまでに、たくさんの遠回りをしてきました。
時には躓くこともありました。

それでも、私はアイドルという夢を諦めることはできませんでした。

諦めなかったから、「今」があるんです。


4:2018/04/19(木) 00:35:52.51 ID:fXyxsV/i0

キーンコーンという鐘の音を後ろに、私は学校の校門を出ます。

最近ではありがたいことにアイドルのお仕事も増えてきて、こんな風に学校を早退してお仕事に行くことも少なくありません。

私は、この時に聞く鐘の音が、少し寂しくもありました。

それでも、アイドルのお仕事があるのはいいことです。

「よしっ」

私は気合いを入れ直すと、お仕事に向かうための一歩を強く踏み出しました。


「はーい、オッケー!」

「ありがとうございました」

今日は雑誌の写真撮影とインタビューのお仕事でした。

今ちょうど写真撮影が終わり、これからこのままインタビューです。

「ひとまずお疲れ、ほたる」

「プロデューサーさん」

どうやら他のお仕事が終わって駆けつけてくれたようです。

「ごめんな、迎えに行ってやれなくて」

「いいえ、大丈夫でしたよ」

「帰りは送るからさ」

「あの、はい。ありがとうございます」

と私が言うと、プロデューサーさんはクスっと笑いました。

「あの、なんでしょう?」

「いや、ほたるも変わったなって。前だったら『すみません』とか言ってただろうに。今ではすんなりお礼が言えるようになってさ」

そういえば、そうです。
以前の私ならきっと謝っていたことでしょう。
でも私はなんだか変われたような気もします。
ただひたすらに同じ毎日を繰り返していたあの時からは。


5:2018/04/19(木) 00:36:31.73 ID:fXyxsV/i0

「─で、ほたるちゃん、今やりたいお仕事とかあるの?」

少し休憩を挟んだあと、雑誌のインタビューが始まりました。

「そうですね。今は色んなお仕事をやらせてもらえるようになって、それでもやりたいお仕事もまだまだたくさんあります」

「ふむふむ」

「でも、私は今が楽しいんです。目指している夢があって、そのために『明日』を楽しみにしている『今』が」

「その、目指している『夢』って?」

はい、と返事をした私は、一呼吸置いてこう答えました。

「ソロCDデビューです」


今まで、私は色々なお仕事をしてきました。
その中には歌を歌うお仕事もいくつかありました。
けれども、その全てがカバー曲。

私の、私個人の曲はまだ、ありません。

以前、プロデューサーさんが取ってきてくれた音楽番組のお仕事。

あのお仕事をした日から、私の世界は開かれました。

こんなにも幸せな日々は、たとえ仮初(ゆめ)であっても構わない、と思う時もありました。

でも、それじゃあダメなんだと気付きました。

どんなに迷ったとしても、あの日、プロデューサーさんと誓い合った言葉は、今でも私の胸の中で響いています。


6:2018/04/19(木) 00:37:04.44 ID:fXyxsV/i0


「そういえば、ほたるちゃんってどうしてその髪型なんだい?」

先日の雑誌のインタビュー中、雑談混じりにこのようなことを聞かれました。

「昔は、他の女の子みたいに長かったんです。でも、長い髪の毛をどこかに引っ掛けちゃったりしてしまうこともあって…。リボンで纏めていたこともあったんですけど、今度はリボンをよく切ってしまったりしていて…」

「そんなことがあったんだ」

「だから今度は髪を短くすることにしたんです。私が憧れていたアイドルの方も、短めだったので」

「『幸福を届けるアイドル』。それが今の私の理想です」


私は、今まで他の人を傷つけることを恐れていました。
でもそれは間違いでした。
本当は、他の人を傷つけることで自分が傷つくのを恐れていただけで、どこかに飛び立ててしまいそうな翼を求めていただけなんです。

今では、その翼は私の夢を守るための翼です。

あの日、今のプロデューサーさんに見つけてもらったあの時から、私の世界は少しずつ鮮やかになっていきました。

プロデューサーさんと笑顔の練習をしたこと、あの音楽番組に巡り会えたこと。

私は確かに変われたんです。


7:2018/04/19(木) 00:37:36.99 ID:fXyxsV/i0


アイドルとしての答えを見つけられず、それでもアイドルを目指して諦めなくて。

そんな私はこのアイドルの世界には相応しくないんじゃないか、と思うこともありました。

ある時プロデューサーさんが言ったんです。

「そんなほたるにこそ、この世界は相応しい」


「アイドルを諦めないというのは、この世界では一番大切なことさ。アイドルを目指して、もがく姿は綺麗じゃなくたっていい。その先、アイドルになったあとに目一杯輝けばいいんだから」


8:2018/04/19(木) 00:38:11.90 ID:fXyxsV/i0

あの雑誌のインタビューのお仕事から数日後。
私はプロデューサーさんに、事務所まで来るように言われました。

今日はお仕事もレッスンも入っていなかったはず…。

まさか、とうとう事務所をクビに…?

なんて今では冗談で言えます。

「おはようございます」

事務所に入ってまずは挨拶。

「ああ、おはよう、ほたる。ごめんな、いきなり呼び出して」

「いえ。今日はなんのお話ですか?」

「実はな」

と前置きをしてからプロデューサーさんは言いました。

「ほたる、ソロCDデビュー決まったぞ!」

……え?
CDデビュー?
誰の?

もしかして

「私の、ですか?」

「ああ、そうだ!ほたるの、ほたるのためだけの曲を作ってもらえることになったんだ!」

「あ、ああ…」

それを聞いた私は、溢れる涙を止められませんでした。
なんででしょう?
こんなにも嬉しいのに。

「ほ、ほたる!?どうした?もしかして不安か!?」

「い、いえ。嬉しいんです。こんなにも、嬉しくて…」

怖くはありません。

それは私がずっと願っていたことだから。

今までずっと痛みに耐え、探していた景色。
それはこの先にあるんです。

限りなく開かれたこの世界。
今度は、仮初(ゆめ)でもいいだなんて思いません。

いつからかこの心に宿ったヒカリは、この胸の中で確かに光り続けています。

それはホタルのようにそっとしたヒカリ。
例えそうだとしても、そのヒカリはずっとずっと光り続け、ファンの皆さんと、そしてプロデューサーさんの心までも、照らし続けることでしょう。


9:2018/04/19(木) 00:42:01.34 ID:fXyxsV/i0

短いですが以上です。

このSSの内容が現実になることを願っています。

ほたるの誕生日が終わったらHTML化依頼出してきます。


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