1:2018/05/31(木) 21:37:19.20 ID:Um47hAeb0

Pが女性です
ほのかに香る百合要素があります
苦手な方はご注意ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1527770238



2:2018/05/31(木) 21:38:13.84 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

奏「ふうっ、戻ったわ」

女性P「レッスンおつかれさまー。今からコーヒー入れるんだけどいるー?」

奏「貰うわ、ありがとう」

女性P「おっけー」コポコポ

奏(私のプロデューサーは女の子。この業界でプロデューサーが女性というのはかなり珍しいみたい)

奏(パンツスタイルのスーツが高身長によく似合っている)

奏(それでも私のプロデューサーさんはよく働いてくれている)

女性P「出来たよ。はいっ」

奏「ありがと」


3:2018/05/31(木) 21:38:52.43 ID:Um47hAeb0

女性P「えっと……最近どう?」ズズッ-

奏「最近どうって……。なんだかおじさんみたいね」ズズッ-

女性P「おじさんとはなんだー!せめておばさんにしなさい」

奏「わかったわ。お ね え さ ん ?」

女性P「うっ……。やっぱお世辞にもかわいい女の子にお姉さんって呼ばれるのはいいな~」

奏「……プロデューサーさんも十分かわいいと思うけど」

女性P「やだやだー!また口が上手いんだから。職業上多少は身なりを気にしてるけど貴方達アイドルに比べたら全然よ」

奏「……本当にかわいいと思ってるんだけど」ボソッ

女性P「ん?何か言った?」

奏「ううん、なんでもないわ」ズズ-



4:2018/05/31(木) 21:39:30.46 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

夜色の花嫁

奏「どう?似合うかしら」

女性P「わぁ……」キラキラ

女性P「すっごい似合ってる!綺麗っていうか……美しいっていうか」

女性P「黒のドレスが本当によく似合ってる」

奏「ふふっ、ありがとう」

女性P「……ごめんね。仕事とはいえ、婚前にウエディングドレスを着ると婚期が遅れるっていうでしょ」

奏「別に。気にしてないわ。だったらそうねぇ……プロデューサーさんに責任取ってもらおうかしら」

女性P「はいはい。そろそろ時間だし行くよ」

奏「真夜中の2人っきりの結婚式……。綺麗な満月に見守られながらの誓いのキス……。そんなのも素敵だと思わない?」

女性P「なーにバカなこと言ってんの」ペシ-ン

奏「あいたっ」

女性P「ほらっ!さっさと行くよ!」

奏「むぅ……」



5:2018/05/31(木) 21:40:05.27 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー


水着


女性P「……」カタカタ

奏「……」

女性P「あーダメダメ!」

奏「!?」ビクッ

奏「プロデューサーさん?急にどうしたの?」

女性P「ああ、奏に水着の仕事のオファーが来てね……」

奏「あら。私は別に構わないわよ?それが望まれてるってことでしょう?」

女性P「ダメダメ!そんな女の理想みたいな体しておいて、水着なんて着たら男女問わず死者続出よ」

奏「そんなことはないと思うけど……」

女性P「よく言うわ……全く羨ましい……」

奏「……そういえばこの前美波と温泉ロケしたじゃない?あれはよかったの?」

女性P「ああ、あれね……。あれも苦渋の決断だったのよね」

女性P「美波Pさんからの押しが強くて断りきれなくてね。温泉やバスタオルで体のラインも隠れるからまだいいかな……と思って」

奏「ふぅん……」

女性P「……隣に美波ちゃんがいたらそっちに目がいくだろうしね」ボソッ

奏「呆れた……。そんなこと思ってたのね……」

女性P「え?あっちゃー……聞こえちゃってたかぁ」

女性P「あの子って何しててもどこか色気あるじゃない?」

奏「まあそれを否定はしないけれど……」

奏「よし。私、その水着の仕事やるわ」

女性P「え?」

奏「私も美波みたいな魅力を出してみせるわ」

女性P「いやでも……」



6:2018/05/31(木) 21:40:48.92 ID:Um47hAeb0

奏「……プロデューサーさんは私の水着姿、見たくないの?」

女性P「超見たい。絶対似合うじゃん」

奏「だったらいいじゃない」

女性P「あっ、つい本音が……。うん、じゃあ正直に言うね」

女性P「さっきまでの理由は全部建前。本当は奏の水着姿を誰にも見せたくなかったから」

奏「っ……」

女性P「ごめん、気持ち悪いこといったね。どうしてもやりたいって言うんだったら奏の石を尊重するよ」

奏「……いいわ、折れてあげる。水着の仕事は無しでいいわ」

奏「あと、少し用事を思い出したから今日は帰るわね。おつかれさまでした」ガチャバタン

女性P「あっ、おつかれ……」

女性P「行っちゃった……」

女性P「耳……」ボソッ



7:2018/05/31(木) 21:41:17.65 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

ドラマの……

スタッフ「撮影は以上でーす!おつかれさまでしたー!」

監督「やあやあ」

女性P「あっ、監督おつかれさまです」

監督「いや~奏ちゃんよかったよ!」

女性P「ありがとうございます」

監督「僕の次の作品でも奏ちゃん使いたいと思ってるんだよね」

監督「だからさ、打ち合わせも兼ねて今夜……どう?」

奏「…………」ジ-

女性P「それって2人きりですよね?」

監督「ああ、もちろん」

女性P「それは……」

奏(私が……プロデューサーは立場上断りづらいんだから私がなんとかしないと……)

監督「大丈夫、悪いようにはしないよ」

奏「プロデュ……」

女性P「申し訳ありませんがお断りします。私はそんな安い女ではないので」

女性P「あっ奏、おつかれさま。とってもよかったよ」

奏「そうかしら。上手くできてたなら嬉しいわ」

女性P「次の打ち合わせがあるから行きましょ」スタスタ

奏「え、ええ……」スタスタ



8:2018/05/31(木) 21:41:58.51 ID:Um47hAeb0

控え室


女性P「ごめんね、めんどくさいことに巻き込んじゃって。あんなの見たくなかったよね」

奏「ううん、それはいいの。芸能界でああ言うのはつきものだって知ってるし」

奏「でも、被害者がプロデューサーさんとなると話は別」

女性P「…………」

奏「私はプロデューサーさんが嫌な思いをして取ってきた仕事なんてしたくない。私がなんとかしないとと思っても何にも出来なかった……。ダメな女よね」

女性P「ううん、そんなことないよ。私は奏が私のことを心配してくれただけですっごい嬉しい」

奏「……本当のことを言うとね、プロデューサーさんがキッパリ断ってくれたとき凄く嬉しかったのプロデューサーさんは1人で立場やこれからのことを考えながら行動したのに私はただ見てただけ」

奏「ほんと……嫌になっちゃう」

女性P「あ~!もう!うじうじしない!いつまでも下向いてるんじゃないよ!」

女性P「もう終わったことなんだしいいの。私は何もされてないし奏も無事。それでいいじゃない?」

奏「でも……」

女性P「でももだってもない!さっさと帰り支度を済ませてご飯でも食べに行くよ!」

奏「……もちろんプロデューサーさんの奢りよね?」

女性P「もちろん!だんだん調子が戻ってきたじゃない」

奏「ええ。アイドル速水奏はこうじゃないとね」

女性P「…………」

奏「どうしたの?急に黙りこんじゃって」

女性P「ううん、なんでもない!ほらっ!さっさと帰る準備!」

奏「ふふっ、はーい♪」



9:2018/05/31(木) 21:43:02.42 ID:Um47hAeb0

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お弁当

奏「あれ、プロデューサーさん今日はお弁当?」

女性P「ええ、普段はどこか食べに行ったり弁当買ってきたりするんだけど今日は珍しく朝に余裕あったから作ってきたんだ」

奏「へえ……」ジッ-

女性P「食べる?」

奏「じゃあせっかく出し貰おうかしら」

女性P「ん、あ~ん」

奏「あ~んって子供じゃないんだから……」

女性P「だって他に食べさせ方ないんだからしょうがないじゃん。ほら、早く!」

奏「……もう」パクッ

女性P「どう?料理にはそれなりに自信あるんだけど」

奏「うん、おいしいわよ」モグモグ

女性P「そう?それは良かった」

奏「……また今度私もプロデューサーさんに作ってくるわ」

女性P「別にいいって。忙しいでしょ?」

奏「別に。少し早く起きるくらい問題ないわ」

女性P「じゃあ……頼もうかな」

奏「うん、楽しみに待っててね」



10:2018/05/31(木) 21:43:35.67 ID:Um47hAeb0

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モノクロームリリィ

奏「今日はモノクロームリリィでの撮影ね」

女性P「うん、そろそろ2人も来ると思うけど……」

ガチャ

加蓮P「ちわーっす!今日はお願いしまーす!」

加蓮「今日はよろしくー」

奏「よろしく」

女性P「ちょっと加蓮P!もっと礼儀正しくしなさい!今は私達しかいないからいいけど、これから向こうの方達もいるのよ!」

加蓮P「おっけーおっけー」

女性P「……もう」



11:2018/05/31(木) 21:44:02.84 ID:Um47hAeb0

加蓮「今日は冷えるね~。最近あったかかったからついつい薄着で来ちゃったよ」

奏「もう……大丈夫なの?」

加蓮「大丈夫だって……クシュン」

加蓮P「うおおおおお!!加蓮!!!大丈夫か!?」

加蓮「もう、大げさだって!」

加蓮P「とりあえず俺の上着で悪いけど羽織ってろ!とりあえず毛布持ってくる!」

ガチャバタン

女性P「はぁ……」

奏「……相変わらずすごい人ね」

女性P「加蓮ちゃん大丈夫?嫌だったりしない?」

加蓮「ううん、嫌なんかじゃないよ。ちょっと過保護かなって思うときもあるけど大事にされてるなぁって思うし」

奏「ふぅん……そういう関係性もあるのね」



12:2018/05/31(木) 21:44:45.36 ID:Um47hAeb0

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側から見ると

食堂

ありす「…………」ジ-

女性P「じゃあこの後だけど……」

奏「わかったわ。そのあとは……」

ありす(やっぱり2人が並んでると絵になりますね)

ありす(奏さんのプロデューサーさんはザ・キャリアウーマンといった感じでカッコいいし、奏さんは言わずもがなクールで綺麗です)

ありす(私もあの2人みたいになりたいなぁ……」

奏「何になりたいって?」

ありす「うわぁ!」

女性P「おはよう、ありすちゃん」

ありす「お、おはようございます」

奏「で、1人で何いってたの?」

ありす「声に出てたなんて……不覚です」

奏「もしかして悩み事?」

ありす「うーん、まあそんなところでしょうか」



13:2018/05/31(木) 21:45:23.30 ID:Um47hAeb0

女性P「もし悩んでるなら私たちに話してみない?絶対バカにはしないし他言はしないと約束するよ」

奏「……言葉にすることで楽になることもあるものね」

ありす「じゃあ……私、2人みたいな素敵な女性になりたいんです!」

奏「目標とされるのは嬉しいわね。でも、私なんか目指せものじゃないわ」

ありす「そんなことないです!奏さんはわたしの理想の女性です!」

女性P「うーん……。それじゃ、ありすちゃんに少しアドバイスをあげる」

ありす「な、何でしょうか!?どんなことでもやってみせます!」

女性P「今できることを精一杯やること。したことに対して反省はしても後悔はしないこと」

ありす「……?それだけですか?」

女性P「 ええ、これをするだけでありすちゃんは私よりももっとステキな女性になるよ。断言できる」

ありす「わぁ……ありがとうございます!早速実践してみます!」

女性P「うん、頑張ってね」

ありす「それじゃあ失礼します。ありがとうございます」タタタッ

奏「あらあら、走って行っちゃって。相当嬉しかったみたいね」

女性P「……奏はさっき言ったことやってる?」

奏「……いいえ、後悔だらけの人生よ」

女性P「そっか……それはそれでいいのかもね」

奏「……ええ」



14:2018/05/31(木) 21:46:39.20 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

プリン

奏「ただいま戻りましたー」

奏「誰もいない……」

奏「何か飲み物でも飲もうかな……」ガチャ

奏「!!」

奏(冷蔵庫には美味しそうなプリン。食べたい……)

奏「…………」

奏「…………」ヒョイ

奏(私は悪くない、プリンが悪いのよ。こんなに美味しそうだから……じゃあいただきます)

奏「……」モッキュモッキュ

奏「……」モッキュモッキュ

奏「おいしい……」

奏「……」モッキュモッキュ


ーーーーーー

奏「ふう。美味しかったわ」

奏「!!」

奏(プリンの蓋にプロデューサーさんの名前が!?)

奏(なんで側面に……普通蓋でしょ……)

奏「……」ジ-

奏(ああ、ネームペンで書けるところが底しかなかったのね。蓋だと弾かれるみたい)

奏(いや、そんなことを考えている場合じゃないわ。なんとか状況を打開する方法を考えないと)

奏「…………」

奏「急いで新しいの買ってこよ……」

なんとか間に合いました


15:2018/05/31(木) 21:47:23.30 ID:Um47hAeb0

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悩み

女性P「ということで奏は次の土日休みになっあから。このところ仕事にレッスンに忙しくてごめんね」

奏「了解。これくらい問題ないわ。忙しいのはいいことだし」

女性P「じゃあ今日は終わり。解散ね」

奏「じゃあ私は帰ろうかしら。おつかれさま」

女性P「おつかれさま。はぁ……」

奏「ため息なんてついてどうしたの?」

女性P「いやぁちょっと親からもういい年なんだしいい相手はいないのかって電話かかってきてね……」

奏「ああ……」

女性P「私はまだプロデューサー続けたいし結婚は考えてないって言ってもなかなか納得してくれなくてね……」

奏「……大変ね」

女性P「それでだんだんヒートアップしてきちゃって……まだ結婚はしてないけどいい相手はいる!って啖呵切っちゃって……」

奏「まぁ……」

女性P「そのまま勢いで次の日曜に家に連れていく!って言っちゃって……」

奏「…………」

女性P「…………」

奏「……どうするの?」

女性P「……さあ?」


16:2018/05/31(木) 21:47:52.23 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

どうする?


女性P「どうしよう……」マッサオ

奏「どうしようも何も、素直に言うしかないんじゃないの?」

女性P「それは嫌だ……負けを認めたくない」グヌヌ...

奏「もう……だったら誰かに代役してもらうとか?」

女性P「それだ!奏、ナイスアイデア!」

女性P「でも相手役がなぁ……知り合いに男が少ないってのもあってなかなか……」

奏「加蓮Pさんとかは?」

女性P「あの人は引き受けてくれるかもしれないけどものすごい要求してきそうだからやだ。無駄にチャラいし。根はいい人なんだろうってのは見ててわかるんだけど」

奏「だったら……美波のプロデューサーさんとか?」

女性P「ああ……いい人だよね。でも美波ちゃんに似て真面目だからこういうの引き受けてくれなさそう」


17:2018/05/31(木) 21:48:38.89 ID:Um47hAeb0

奏「だったら……もうだれもダメなんじゃない?」

女性P「まだなんとかなるはず……」

女性P「相手を先に決めるからダメなんだよ。条件から先に決めよう」

奏「いいんじゃない?まあいい男の人なんて見つかりそうにないけど」

女性P「まずは私のことを知ってる人」

奏「まあ、当たり前よね」

女性P「それでこういう親を騙すようなことを許してくれる人」

奏「ここでだいぶ候補が減りそうね」

女性P「それでこのことを他言無用に出来る人」

奏「……果たしてそんな男の人、プロデューサーさんの知り合いにいるのかしら」

女性P「いない……」ズ-ン

奏「諦めて親にごめんなさいするしかないんじゃない?」

女性P「うーん……」


18:2018/05/31(木) 21:49:22.35 ID:Um47hAeb0

女性P「そうだ!奏がやればいいんじゃない!?」

奏「……え?」

女性P「そうだ、そうだよ!奏ならいける!私のこともよく知ってるし他言無用にもできる!」

奏「ええ……でも私、女よ。同性愛者ですとでもいうつもり……」

女性P「うっ……。それは奏に男装してもらうとか……。できる?」

奏「まあ出来ないことはないだろうけど……」

女性P「奏、お願い!」

奏「うーん……どうしようかな」

女性P「お願い!お礼はたっぷりするから!」

奏「ふふっ、いいわよ。なんだか悪い気はしないし」

女性P「ありがとう!それじゃあ早速準備しないと……」

奏「そうね……やっぱりいろいろ聞かれるだろうし話を合わせておかないと」

女性P「あっ、ごめんね……。せっかくの休みなのに……」

奏「いいのよ。元々仕事のつもりだったし」

女性P「ほんとごめんね。また埋め合わせの休みは取っておくから」



19:2018/05/31(木) 21:49:48.72 ID:Um47hAeb0

奏「それで、どうするの?」

女性P「うーん、まず奏の男装は大丈夫?」

奏「そうねぇ……なんとか胸を潰して体のラインが出ないような服を着れば大丈夫かしら」

女性P「じゃあそれようの服も買わないと。あとは声だけど……この前の撮影の彼氏役を見てた限り大丈夫かな」

奏「ああ……美嘉の彼氏役をしたときね」

女性P「最後に口裏合わせだけど……デートの話とか聞かれそうだなぁ……」

奏「うーん……それじゃあいっそのこと、土曜日にデートするなんてどう?」

女性P「え?」

奏「そうすればデートの話もできるし、服とか必要なものも用意することもできるわ」

女性P「確かに……でも奏はそれでいいの?日曜だけじゃなくて土曜日もなんて」

奏「問題ないわ。プロデューサーさんには普段お世話になってるしね。恩返しの気持ちもあるのよ」

女性P「奏……ありがとね」

女性P「土曜日は私も書類仕事さえ土曜までに済ませて仕舞えば休んじゃっていいし、それでいこっか」

奏「うん、じゃあ土曜日ね」

女性P「年下の女の子、それにアイドルなんて申し訳ないけどよろしく頼むね」

奏「まったく……贅沢な人ね。任せてちょうだい。精一杯演じてみせるわ」



20:2018/05/31(木) 21:50:30.49 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

待ち合わせ


ショッピングモール

奏「ごめんなさい、待ったかしら」

女性P「ううん、今来たところ」

奏「……なんだか恋人同士みたい」

女性P「これから恋人同士になるんだってば」

奏「……え?」

女性P「あ、あああ!フリね!フリ!」

奏「大丈夫、わかってるわよ。かわいい彼女さん♪」

女性P「あーもう!まずは買い物から!行くよ!」

奏「はーい♪」



21:2018/05/31(木) 21:51:06.78 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

作戦会議


喫茶店

女性P「さて、さらしとか男装用の服を買ったわけだけど……」

奏「明らかに関係ないものもあるみたいだけど」

女性P「だって奏ってなんでも似合うからついつい買いたくなっちゃうんだもん。まあまあ感謝を込めたプレゼントだと思って」

奏「まあ、そういうことなら……」

女性P「さて作戦会議始めるよ!」

奏「ええ」

女性P「まずは奏!」

奏「何?」

女性P「さっき買った服に着替えて来てくれない?それで口調も男っぽくしてデモンストレーションっぽくしてみよう」

奏「りょーかい。トイレで着替えてくるわ」

女性P「うん、お願い。手伝おっか?」

奏「大丈夫。1人でできるはずよ」

女性P「そっか。じゃあよろしくね」

奏「ええ、言ってくるわ」



22:2018/05/31(木) 21:52:04.82 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

似合う?


奏「どうかしら?」

女性P「うっわあ……すっごい似合ってる……」

奏「ふふ、それなら嬉しいわ」

女性P「胸とか苦しくない?無理してるんだったらやめてもらっても全然いいから」

奏「まったく苦しくないと言うと嘘になるけど……全然大丈夫よ」

女性P「そっか。ごめんね」

女性P「あと申し訳ないけど前髪は下ろしとこっか。いつもの真ん中わけだとバレちゃいそうだし」

奏「了解。どう?」

女性P「うんうん、バッチリ!」

女性P「あとは声とか口調だけど……」

奏「そうね……んんっ!」

奏「オレの女になれよ……P」イケボォ 

女性P「きゃー!!惚れちゃう!惚れちゃう!」

奏「そこまで嬉しく思ってくれるとなんか嬉しくなるわね……」


23:2018/05/31(木) 21:52:34.09 ID:Um47hAeb0

女性P「奏、口調注意ね」

奏「あっ、嬉しくなる……な?」

女性P「うんうん、おっけーおっけー」

女性P「慣れるためにも今日はその口調でいこっか」

奏「うん、わかったよ」

女性P「後は……名前とかも変えたほうがいいかも。万が一にでも混ぜたらやばいし」

奏「じゃあわた……んんっ!」

奏「オレはあの時にも使ったカナタで」

女性P「おっけい。じゃあそれで」

女性P「あとは親に話すデートの話だけど……」

奏→カナタ(以降男装時はカナタ)「デートならこれからするだろ?いこうぜ」

女性P「…………」ポカ-ン

カナタ「どうした?早くいこうぜ」

女性P「う、うん」

女性P(奏、思った以上にノリノリじゃん!)

2人で打ち合わせをしながらデートをしました。



24:2018/05/31(木) 21:53:09.09 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

日曜日

女性P (そう遠くないから今日は車で実家に帰るから奏を迎えに来たけど……。本当にこれでよかったのかな……。)

女性P「まあ考えてもしょうがないか」

カナタ「おまたせ。待たせてごめん」

女性P「いや、いいんだって。準備も大変だろうし。ささ、乗って」

カナタ「ん、了解」

女性P「じゃ、行きましょうか」

女性P (奏がノリノリすぎる……!声にも気合入ってるし完全に演じ切ってる)

女性P (実はこういう仕事したかったのかな……。ちょっと考えてみよう)



25:2018/05/31(木) 21:53:57.11 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

車内

女性P「どう?緊張とかしてる?」

カナタ「してないというと嘘になるかな。大切な彼女の親に会いに行くなんて緊張するに決まってるでしょ?」

女性P「それはそうかもしれないけど……。演じ切ってるね」

カナタ「演技って何?オレはカナタ。それ以外の何者でもないよ」

女性P「……今更だけどもし嫌ならやめてもいいんだよ?」

カナタ「嫌なわけないでしょ。プロデューサーさ……Pのためだからね」

女性P (なりきってるなぁ……)




26:2018/05/31(木) 21:54:30.02 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

到着


女性P「着いたよー」

カナタ「運転お疲れ様」

女性P「ん、仕事で慣れてるし問題ないよ」

カナタ「立派な家だね」

女性P「そうでもないよ。ローンで家計ギリギリだし」ピンポ-ン

ハ-イ!

カナタ「ちょ、心の準備が……」

女性P「あっ、ごめん」



27:2018/05/31(木) 21:55:21.56 ID:Um47hAeb0

ガチャ

P母「おかえ……ってえぇぇ!!!」

P母「Pが彼氏連れてくるなんて……」

女性P「電話で連れて来るっていったじゃん」

P母「どうせ見栄はって言ってると思ってたのよ……まさか本当に連れて来るとは……」

カナタ「えっと……。Pさんとお付き合いさせて頂いております、カナタと申します。」

P母「まぁ、カナタ君ね。ささっ、こんなところでお話するのもアレだしとりあえず中へどうぞ」

カナタ「お邪魔します」



28:2018/05/31(木) 21:55:51.43 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

ご挨拶

P母「ささっ、適当に座ってくださいな。私はお茶でも用意して来るわね」

カナタ「あっ、手伝いますよ」

P母「え!?いいのよいいのよ。それよりもP!ちょっと来なさい!」

女性P「えー?何?」

P母「いいからちょっと!」

P母「どこであんな子見つけたの!」

女性P「どこって職場だけど……」

P母「職場!?あんたアイドル連れて来たの!?」

女性P「違うって!カナタは……えっと……事務員さんだから!」

P母「事務員さん!?あんなカッコいい事務員さんなんかいるわけないでしょ!?」

女性P「……実際いたんだってば。もうお茶できたでしょ?いくよ!」

カナタ(声が大きくて私まで筒抜け……2人とも仲良いわね……)



29:2018/05/31(木) 21:56:45.59 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

改めてご挨拶

P母「お茶です。大したものでありませんが……」

カナタ「いえいえ、ありがとうございます」

P母「えっと……カナタ君でしたよね?」

カナタ「はい、改めましてPさんとお付き合いさせていただいてますカナタです。あとこれ、心ばかりのものですが……」スッ

P母「まあまあ!ご丁寧にどうも」

女性P(なんか手荷物持ってるなと思ったら手土産なんか持って来たんたんだ……。相変わらず奏のガチ度がやばい)



30:2018/05/31(木) 21:57:24.29 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

ついに


女性P(あれから結構時間が経った。お母さんは晩御飯の用意を始めてこの部屋から出ていった)

女性P (私たちも手伝おうとしたけど、あとはお二人でどうぞと言われた……。お見合いじゃないんだから……)

ガチャ タダイマ-

女性P「あっ、お父さん帰ってきたみたい」

オトウサ-ン!Pガカレシツレテキタヨ- ナニィ!

カナタ「ふうっ……」

女性P「疲れた?」

カナタ「まあそこそこ。でもここからが本当の勝負だし頑張らないと」

P父「君がPの彼氏か」

カナタ「はい、Pさんとお付き合いさせて頂いております、カナタです」

P父「カナタか……。まあいい。晩飯でも食べながら話を聞こうじゃないか」ハハハ

カナタ「はい、お願いします」

P母「私はさっそくご飯もってくるわね」

女性P(お父さん、顔は笑ってるけど目が笑ってない!)



31:2018/05/31(木) 21:57:56.30 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

戦闘開始!

P父「えっと……カナタ君だったかな」

カナタ「はい」

P父「年齢は?」

カナタ「じゅ……27歳です」

女性P(あっぶな!)

P父「若く見えるけど結構言ってるんだな……」

女性P「はは……よく言われます」

P父「仕事は何を?」

カナタ「Pさんと同じ事務所で事務員をさせていただいております」

女性P「カナタは仕事もよくやってくれてるよ」

P父「ほう……Pがそこまで言うとはなかなかだな」

P母「はーい、ご飯ですよー」

女性P「ん、ありがとう」

P父「お、きたか」

P母「カナタ君も遠慮せず食べてね」

カナタ「はい、ありがとうございます。いただきます」

P父「じゃあ食べながらいろいろ聞かせてもらおうか」



32:2018/05/31(木) 21:58:22.43 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

本当の勝負


P父「……Pのことをどう思ってる?」

女性P(きた!奏頑張って!)

カナタ「Pさんは……」

カナタ「Pさんは私にはもったいないほどの素晴らしい人です。笑顔が本当に素敵で、本当に私のことを細かいところまで気遣ってくれます。ここまで好きになったのはPさんしかいません」

女性P (え、めちゃくちゃ褒めるじゃん!?打ち合わせと全然違うし……なんか恥ずかしい……)

P父「そうか……」

P母「…………」

P父「……君もPもいい歳だ。もちろん結婚も考えているんだろう?」

女性P (えっ!?結婚!?)

カナタ「はい。今はまだ仕事が忙しくなかなか難しいですが、近いうちに必ず」

女性P (奏も答えちゃってるし!どうするのこれ……)

P父「そうか……母さん」

P母「ええ」

P父「カナタ君、君が出来る人だと言うことはよくわかった。Pのことを幸せにしてやってくれ」

カナタ「はい、約束します」

女性P (え?え?結婚の約束しちゃった?女同士だよ?どうするのこれ……)

女性P (今更どうにもできないし……もうなるようになーれ)



33:2018/05/31(木) 21:58:59.42 ID:Um47hAeb0

ーーーーーーーーーーーー

終戦

女性P「んじゃあ明日は仕事あるし私たちは帰るよ」

P母「まあ。泊まっていけばいいのに」

女性P「そうすると朝に間に合わないんだってば」

カナタ「本日はありがとうございました」

P父「構わん……。結婚式にはかならず呼ぶように」

カナタ「……勿論です」



34:2018/05/31(木) 21:59:36.64 ID:Um47hAeb0

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帰りの車

カナタ→奏「ふぅ……もういいかしら」

女性P「お疲れ様。大丈夫だった?」

奏「ええ。いい演技の練習にでもなったんじゃないかしら」

女性P「はぁ……どうするのこれ。結婚の約束までしちゃったんだけど」

奏「だって仕方ないでしょ?あの状況で結婚しないなんてとても言えないし」

女性P「それはそうなんだけどさぁ……また新たな悩みのタネが……」

奏「……なんなら結婚しちゃう?」

女性P「え……?」

奏「2人きりの夜の教会。月に見守られながらの結婚式なんか素敵じゃない?」

女性P「な、何言って……」

奏「……なんて、冗談よ」

女性P「もう!奏ってば……」


35:2018/05/31(木) 22:00:08.20 ID:Um47hAeb0

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それから

女性P「おーい!奏ー!仕事行くよー!」

奏「今行くわ」

女性P (あれから半年が過ぎた。どうなることかと思ったけどなんだかんだ上手くやっている)

女性P「さっ、車乗って」ガチャ

奏「ええ」バタン

女性P (両親は未だにカナタの存在を信じている。うちの両親は鈍いところもあるしこちらがボロを出すまで気づかなそうだ)

女性P「…………」

奏「どうしたの?急に黙って」

女性P「いやさぁ……。奏が彼氏役?をしてもう半年たったわけじゃん。これでいいのかなってて……」

奏「そんなこと言っても今更でしょう?それに、私はこの関係、嫌いじゃないわ」

女性P「奏の迷惑になってないならいいんだけど……」

女性P (実は私も両親には悪いと思いつつも悪い気はしてない。相変わらず男との接点なんてないので多分このままになるんだろう)

女性P (やっぱり私は奏のことが……)


おわり



36:2018/05/31(木) 22:01:57.56 ID:Um47hAeb0

以上で完結です
ご覧いただきありがとうございました
また気が向けばデートの詳しい内容や後日談書きます


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