1:2018/04/02(月)00:38:53 ID:x7s

ラフィエル「ガヴちゃん、おはようございます」

ガヴリール「おぅ、ラフィか…!?」

女の執事「………」

ガヴリール「おい、ラフィ?」

ラフィエル「なんですか?」

ガヴリール「あの執事はいったんなんなんだ!? いつものマルティエルはどうした?!」

ラフィエル「あぁ。この方は新しい執事さんです。ちなみにマルティエルは解雇しました♪」


2:2018/04/02(月)00:47:17 ID:x7s

ガヴリール「解雇って、なぜ急に?」

ラフィエル「今まで、私に見せた行動が災いしたからですよ」

ガヴリール「確かにお前から聞いた話で変態だって思ったけど、流石に急にクビじゃかわいそうじゃないのか?」

ラフィエル「ガヴちゃんまで何を言っているのですか!? 私が今までマルティエルの行動にどれだけ辟易したか、ご存じなんですか!!」

ガヴリール「悪かった…。気に障ったのなら謝る」

ラフィエル「いいえ。私もつい、感情的になってしまいました……。許してください、ガヴちゃん」

執事「お嬢様、そろそろ…」

ラフィエル「そうですね。では、ガヴちゃんまた」

ガヴリール「あぁ…。」


3:2018/04/02(月)00:52:15 ID:x7s

~下界~

ヴィーネ「へぇー、ラフィの執事さんがクビねぇ…」

ガヴリール「マルティエルっていう名前の執事でな。クールで、常に冷静、しっかりとしたタイプだが、一方ではラフィに対して変態的な行為をしようとしたり、逆にそれで罵られると興奮する、ドМなんだよ」

ヴィーネ「そ、それは大変ね、ラフィも……」

ガヴリール「でも、いくら辟易してとはいえ簡単にクビにしていいものかと私は思うんだ」

ヴィーネ「あら、ガヴにしてはまともなことを言うわね?」

ガヴリール「あぁ。実は私も昔、マルティエルに世話になった事があるから…一応恩ってやつさ!」

ヴィーネ「ふぅ~ん」


4:2018/04/02(月)00:57:09 ID:x7s

ヴィーネ「そういえば、ラフィは今日も天界?」

ガヴリール「あぁ。何でも今の執事、かなり厳しいらしいんだよ! しかもマルティエルみたいな変態な一面は一切無く、本当に真面目の塊なんだと!」

ガヴリール「それもあって下界よりも天界で勉強した方が良いと厳しく言われてて、天界で勉強や習い事三昧をさせられているんだって!」

ヴィーネ「うわぁ……。私でもそれはさすがに…」

ガヴリール「だろ? おかげで、下界にいるサターニャを導けないって泣いてたよ…。」

ヴィーネ「ラフィのその悲しみ、目に浮かぶわ」


5:2018/04/02(月)01:04:19 ID:x7s

ヴィーネ「そもそも新しい執事さんってどういう人物なのよ?」

ガヴリール「なんでも天界でも一番優秀なボディーガードとして長年活躍し、引退後は執事の養成所に通って、執事になったみたいなんだよ」

ガヴリール「そんで、その優秀さをラフィの父親に見込まれて、マルティエルの後任として白羽家の執事になったって話、かな」

ヴィーネ「そんな良い執事を雇えるなんて、流石はラフィの家ね。」

ガヴリール「でも、肝心のマルティエルは消息が分からないらしい。ラフィによれば近くにいる気配も感じられないし、天界にいない可能性も高いって…」

ヴィーネ「も、もしかして…ここに!?」

ガヴリール「あぁ、多分な…。」


6:2018/04/02(月)01:44:30 ID:IMv

~翌日~

ガヴリール「課金用のウェブマネー、買いに行かないとな」トボトボ

サターニャ「ガヴリーーーーーール!!」タッタッタ

ガヴリール「パス…」

サターニャ「ちょっと、今日は勝負じゃないわよ!!?」

ガヴリール「んじゃあ、なんだよ?」

サターニャ「ちょっと付き合いなさい!」


7:2018/04/02(月)01:47:30 ID:IMv

ガヴリール「なんだよ、ここ?」

サターニャ「最近、オープンした喫茶店よ。」

ガヴリール「へぇー、私がアルバイトしてる喫茶店とは、別の場所にこんなもんが建つとはなぁ…」

サターニャ「なんと、二人か、それ以上で来ると割引になるのよ。」

ガヴリール「どうせそんな事だろうと思った、私を連れてきたのは!」


8:2018/04/02(月)01:57:53 ID:IMv

サターニャ「特別に奢ってあげるわ。感謝しなさい」

ガヴリール「へいへい。奢りなら、ありがたく…」

ガチャン

?「いらっしゃいませ」スッ

サターニャ「来てあげたわよ、二人で。文字通り、割引にしなさい」

マルティエル「もちろんです。では、こちらのお席に…」

ガヴリール「っ!!?」ビクッ

マルティエル「おやっ、ガヴリール様ではありませんか?」


9:2018/04/02(月)02:28:04 ID:IMv

~サターニャだけが帰った後~

マルティエル「そうですか。私に代わる、新しい執事がもう…」

ガヴリール「あぁ。ラフィは、マルティエルさんの行動が災いしてクビになったと言っていたが、本当の所はどうなんだ?」

マルティエル「実は、いつものようにお嬢様の体付きをチェックする為に、入浴中のお嬢様の様子をビデオカメラに収めようとお風呂の窓にハシゴを掛けて登っていたところ…」

マルティエル「そこを偶然にもお忘れ物で戻っていらっしゃった旦那様(ラフィエルの父親)に見られてしまいまして…」

マルティエル「当然、その後旦那様からお叱りを受け、私は白羽家の執事に似つかわしくないと解雇された、訳でして。また、旦那さまからお嬢様に近付く事も白羽家の敷居を踏む事も禁止にされました!」

ガヴリール「成る程な…。で、どうして下界に? なんで喫茶店なんか?」

マルティエル「お嬢様に近付く事を禁じられた私は悲しみで天界に居た堪れなくなり、こうして下界に降りた訳です。」

マルティエル「喫茶店を始めたのは、下界でのひとまずの生活の為です。本当は人間のお嬢様の執事になろうとも考えましたが、天界でのお嬢様を思い出してしまうので止めにし、結果お嬢様にお茶を振る舞っていた経験を活かして、この店を…という訳です」

ガヴリール「そうか。聞ければ聞くほど、つらいねぇ…。」


10:2018/04/02(月)02:38:08 ID:IMv

ガヴリール「それで、マルティエルさんはどう考えてるのさ? 天界に戻る気持ちとかはある?」

マルティエル「そうですね…。正直、またお嬢様のお傍についていたいとは思ってます」

マルティエル「お嬢様に近付く事、白羽家の敷居を踏む事を禁じられた私ですが、どこに居てもお嬢様を忘れる事なんて出来ませんでした…」

ガヴリール「………」

マルティエル「せめて、もう一度チャンスがあるのなら…もう一度お嬢様の執事に戻りたい。またお嬢様の執事として、お嬢様に尽くしたという気持ちでいっぱいです」

ガヴリール「……そうか。それがマルティエルさんの本音、なんだね」



11:2018/04/02(月)12:03:52 ID:IMv

マルティエル「あぁ…そして、またお嬢様にあんな事やこんな事を…そしていつものように叱られ、罵られたい…/////」ビクビク

ガヴリール「………さっきの台詞が、台無しになったな。」

ガヴリール「でも、ラフィに近付く事を禁止された悲しみで天界に居た堪れなくなって下界に来たって言うけど、そのラフィも今、勉強で下界に降りて暮らしているんじゃ…」

マルティエル「あっ……」

ガヴリール「でも、心配はしなくていいと思う。なぜなら、ラフィはずっと天界に行ってて今、留守だからな!」ポンポン


12:2018/04/02(月)12:14:27 ID:IMv

マルティエル「えっ?」

ガヴリール「そういえば、それをまだ話してなかったな。実は、今の執事が厳しいらしくて、学校が長期休みの今は天界に戻って勉強や習い事やらをみっちりさせられているみたいで!」

マルティエル「…そう、でしたか。」

ガヴリール「それに泣いてたな。私と一緒にいられなくて寂しいとか、遊べなくて残念だとかで…。」

マルティエル「…………ガヴリール様」

ガヴリール「んっ?」

マルティエル「お嬢様の今の執事……ガヴリール様から見てどう思われましたか?」

ガヴリール「う~ん、そうだな。ちょっと怖いというか、近寄り難くて、優しさが全く無くて厳しさばかりって感じかな。」

マルティエル「………」

ガヴリール「あっ、それと」

マルティエル「はい?」

ガヴリール「なんか、殺し屋みたいな雰囲気が出てたな…。特にサングラスで、目は見えなかったけど、威圧感も凄かったし。」

マルティエル「っ!!?」


13:2018/04/02(月)12:19:21 ID:IMv

ガヴリール「良く考えたら、ラフィの執事がアレならまだ、マルティエルさんの方がマシだって思えたな」

マルティエル「そうですか。」

マルティエル「それよりも、ガヴリール様…」

ガヴリール「んっ?」

マルティエル「お嬢様の今の執事の風貌が、殺し屋みたいだと仰りましたよね?」

ガヴリール「あ、あぁ…確かに言ったけど」

マルティエル「だとしたら……ハッ、お嬢様危ない!?」

ガヴリール「へっ?」


14:2018/04/02(月)12:34:16 ID:IMv

~天界~

ラフィエル「これは、どういう事ですか!? いきなり私を縛り付けて!!?」ギシギシ

執事「ふっふっふ。苦労しましたよ…元優秀なボディーガードで、執事の養成所に通って執事になったという詐称を用意し、貴方や貴方のお父さんから信頼を得る為に地道に厳しい執事を演じ続ける事が」ニヤリ

ラフィエル「詐称!? 貴方は一体!?」

執事「まだ気が付きませんか? 私は依頼を受けて貴方を抹殺しに来た、殺し屋ですよ!」

ラフィエル「っ!!?」

殺し屋「いやはや簡単に騙されてくれてありがとうございます、白羽=ラフィエル=エインズワースさん♪」ニコリ

ラフィエル「くっ………」


15:2018/04/02(月)12:38:42 ID:IMv

ラフィエル「神足通」

シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

ラフィエル「あれ?」

殺し屋「フッフッフ、無駄ですよ! 今、貴方を縛り付けてるそのロープは天使力を封じる特殊な素材で出て来ますので、天使が使える能力は一切使えなくなります!」

ラフィエル「な、なんと、そのような事が!!?」

殺し屋「可能ですよ。では、そろそろお終いにしましょうか…」スッ

ラフィエル「うぅ…」グッ


16:2018/04/02(月)12:56:26 ID:IMv

殺し屋「死ねぇーーーーーーーー!!!!!」

ラフィエル「っ……」グッ

シュン

マルティエル「お嬢様ーーーーーっ!!!」

ガヴリール「うおおおおおぉぉぉぉーーーーーっ!!!?」

ラフィエル「………!」

殺し屋「………っ、なんだ!!?」ビクッ

スタッ

マルティエル「大丈夫でしたか、お嬢様?」キリッ

ラフィエル「マルティエル!!? それと……」

ズデン

ガヴリール「いっづっ……」

ラフィエル「ガヴちゃんも!?」


17:2018/04/02(月)13:08:10 ID:IMv

殺し屋「な、なんだ、お前は!!?」

マルティエル「白羽家執事のマルティエルです」

殺し屋「はぁっ、執事だと!?」

ガヴリール「イタタッ。マルティエルさん、今は元執事だろ?」

マルティエル「いいえ、ガヴリール様。解雇されても、元でも、私は常に白羽家に、ラフィエルお嬢様に仕える為に存在している執事です」ニコッ

ガヴリール「……そう。(ってか、今笑った? なんか久しぶりに見たような……)」


18:2018/04/02(月)13:16:36 ID:IMv

ラフィエル「マルティエル、なぜ今更!? もう貴方は執事を解雇n」

マルティエル「例え、解雇されても私は常にお嬢様を想っております。ですから、今だけはお嬢様の陰の執事としてお嬢様をお守りする為、戻って参りました!」

ラフィエル「マルティエル……」

マルティエル「旦那さまからお嬢様に近付くな、白羽家の敷居は踏まぬように命じられましたが、お嬢様を守る為、今だけお許しを願いましてよろしいでしょうか?」

ラフィエル「………分かりました。お好きになさって下さい、マルティエル!」

マルティエル「ハッ!! ありがたきお言葉、頂戴致しました!」


19:2018/04/02(月)13:20:55 ID:IMv

ガヴリール「はぁはぁ。悪い、後は自分の力で頑張ってくれ…」

マルティエル「ガヴリール様もお力添え、ありがとうございます!」

マルティエル「さて…お嬢様に害を生す者よ……私がお相手をしてさしあげましょう」スッ

殺し屋「チッ。たかだか執事をクビになるような奴に負けてたまるかあぁぁーーー!!!」ダッ


20:2018/04/02(月)13:30:18 ID:IMv

マルティエル「はあぁぁーー!!」シュンッ

殺し屋「神足通を使えるのは私も同じだ!」シュンッ

殺し屋「しかも私は相手の気配すら敏感に感じ取れる! 貴様の気配…ここだ、くらえぇーー!!」シュバ

スカッ

殺し屋「って、あれぇっ!?」

マルティエル「こちらですよ」シュンッ

殺し屋「なにぃっ、私の背後だとぉっ!!?」


21:2018/04/02(月)13:35:32 ID:IMv

殺し屋「ふんっ!」ブンッ

シュンッ

殺し屋「チッ。また消えやがったか! 次こそは!!」シュンッ

殺し屋「よぉし、今度こそ、ここだああぁぁーーー!!」シュバ

スカッ

殺し屋「なにぃっ、また外しただと!?」

マルティエル「詰めが甘いようですね」シュン

殺し屋「また背後を取られたっ!? 一体、どうなって!?」


22:2018/04/02(月)13:52:46 ID:IMv

ガヴリール「ほぇーー、マルティエルさんが戦うとこ初めて見たなぁ…」

ガヴリール「ってか、見たとしても、私でも今、何が起きたか分からない」

ラフィエル「あれは、神足通で消える同時にわざと自分の気配を一定の位置に残し、気配を敏感に感じ取れる相手を誘き出して、姿を現した所でマルティエルもその相手の背後に移動する、というものです!」

ガヴリール「なんだとっ!?」

ラフィエル「それがマルティエルが使う戦法の一つ。まず無暗に相手を攻撃しないで翻弄する、です!」

ガヴリール「へ、へぇ……。」


23:2018/04/02(月)13:59:46 ID:IMv

殺し屋「チッ、自分に似た偽の気配を生み出し、一定の場所に残せるのか……。油断したわ。」

マルティエル「………」

ガヴリール「でも、どうやってあの殺し屋が相手の気配を感じ取れる奴だって見抜いたんだ?」

ラフィエル「補足ですが、マルティエルは未来予知を使えるんです。」

ガヴリール「じゃあ、まさか…そいつとの戦いの前に未来予知で先の未来を先読みし、相手がどんな能力を使うかを既に把握していたっていうのかよ!?」

ガヴリール「凄いねぇ…マルティエルさんは……。」



24:2018/04/02(月)15:31:06 ID:IMv

殺し屋「だが、これならどうよ!! 能力封じ!」

マルティエル「……これは」

殺し屋「能力封じ…この結界を張ってる中では天使は能力を全く使えなくなる。だけど、私は別だ。どうだ、これならお前の偽の気配や神足通、まだ有ろう他の能力すら出来まい!」

ガヴリール「おいおい、そんなの有りかよ!?」

殺し屋「さぁ、今度こそお終いだ、神足通からの気配察知でお前を仕留めてやる!!」シュンッ


25:2018/04/02(月)15:36:10 ID:IMv

ガヴリール「おいっ、マルティエルさん!?」

殺し屋「お終いだ。死ねええぇぇーーー!!」ブンッ

マルティエル「………これぐらい何ともありません」シュバッ

ガヴリール「っ!?」

スカッ

殺し屋「なにぃっ、神足通だとぉーーっ!!?」

殺し屋「ハッ!?」チラッ

マルティエル「遅い…」シュバ

殺し屋「うわぁっ!?」ステン


26:2018/04/02(月)15:45:48 ID:IMv

ガヴリール「いきなり、現れての足払い!? 一体、どうなってるんだよ…能力封じなのに普通に能力を使ってるって!?」

ラフィエル「いいえ、あれは神足通ではありません…」

ガヴリール「えっ?」

ラフィエル「あれは目で捉える事が出来ない程の速さで駆け抜けての移動なんです!」

ガヴリール「はぁっ!?」

ラフィエル「マルティエルは身体能力もずば抜けています。なので、見えない速さによる動きが可能となるのです」

ガヴリール「なんだよそりゃあ!? 体力測定の反復横跳びで、何人かに見えるような速度で横跳びしてたサターニャ、みたいじゃねぇか!!?」

ラフィエル「これもマルティエルが使う戦法の一つ。能力を無駄使いせず、自分の身体能力のみを活用して、天使力の消費を抑える、です!」

ガヴリール「色々考えて動くタイプだったな、マルティエルさんって…」


27:2018/04/02(月)16:06:04 ID:IMv

殺し屋「はぁはぁ…。 せっかくの能力封じも無駄に終わるだ、なんて…」

マルティエル「さて、そろそろ決着付けましょうか。貴方も、もう天使力を使い過ぎてお疲れでしょうし」

殺し屋「はぁはぁ……舐めるな!! 腕の良い殺し屋の私が、そこのお嬢さん一人の世話も満足に出来ずに白羽家を追い出された駄目執事に負ける訳がないのだあぁぁーーーっ!!!」ブンッ

マルティエル「天使力を十分にお使いしても、このような武器を見舞おうとする体力を発揮するとは…。その、プロ意識だけは認めましょう……ですが」スッ

マルティエル「はぁっ!!」ピタッ

ガヴリール「大きな金棒を指先の力のみで止めたっ!?」

マルティエル「はああぁぁーーっ!!!」グッグッグッ

ピキッ・・・バッカーーーン!!

殺し屋「なんだとぉぉぉっ!!?」

マルティエル「私も執事としてのプロ意識を持ち、お嬢様をお守りする為に日々精進し、更に磨きが掛かっている事もお忘れなく!」

ガヴリール「しかも今度は、破壊したぞ!?」


28:2018/04/02(月)16:20:40 ID:IMv

殺し屋「あ……あぁ……」

マルティエル「貴方、先ほど私を駄目執事だと仰りましたね?」

殺し屋「そ、それが……何よ……」

マルティエル「確かに貴方の言う通り私はお嬢様に迷惑ばかり掛けた末に執事を解雇された身です。それで、今は駄目執事と言われる事は仕方がない事です。」

マルティエル「ですが、今後は先ほどの精進と磨きが掛かったという事を胸に更なる成長を続け、お傍で支える事は無理でも陰からサポートに徹する執事として…お嬢様に最もふさわしい存在になろうと思います!」

ラフィエル「マルティエル……」


29:2018/04/02(月)16:32:12 ID:IMv

殺し屋「く、下らない! 陰からサポートだ、なんてそんな目立たない事をしt」

マルティエル「太陽ある所に日陰もあります。太陽は常に目立ち、場合によっては活躍する存在で、日陰は逆に目立たない存在ですが、日陰にだって小さき事とはお思いながらも活躍は出来るのです」キッ

殺し屋「ぐっ!!? あ、あぁ……」フラッ

バタンッ

殺し屋「」


30:2018/04/02(月)16:43:13 ID:IMv

ガヴリール「えっ? なんだ、一体なにが起きた!?」

ラフィエル「マルティエルが使う戦法の一つ。天使力の消費でフラフラの相手に敢えて恐怖を与え、相手の精神にも十分に揺さ振りを掛けた後…」

ラフィエル「精神的にも体力にもボロボロの相手を、一気に目力による睨みで相手を失神させる、です!」

ガヴリール「聞くが、マルティエルさんって一体いくつ、戦法があるんだよ?」

ラフィエル「それは私にも分かりません。ですが、マルティエルの中では数えきれない程の戦法を隠し持っているという噂が白羽家にのみ広がっています!」

ガヴリール「ははは…。そりゃあ、凄いなぁ……」


31:2018/04/02(月)16:51:10 ID:IMv

その後、殺し屋の身柄は天界の警察に売り渡された。

~そして~

ガヴリール「まぁ、ひとまず一件落着だな」

マルティエル「お嬢様のお命、確かにお守り致しました。」

ラフィエル「マルティエル……」

マルティエル「なんでしょう?」

ラフィエル「今までどこに居たかは敢えて聞きませんが、別の疑問としてなぜ、私の危機がお分かりになったのですか?」

マルティエル「それはガヴリール様のおかげでございます!」

ガヴリール「えっ、私?」

ラフィエル「ガヴちゃんの?」


32:2018/04/02(月)17:57:01 ID:IMv

マルティエル「左様でございます。実は、ガヴリール様と再会した際、お嬢様の現在の執事のお話を伺いました所、何やら殺し屋のような怪しい風貌だとかで…」

ガヴリール「あぁ。印象を聞かれて、そう答えたなぁ…」

マルティエル「天界で少しは人相の悪い方はおりますが、ガヴリール様がはっきりと「殺し屋のような」と表現した事が気になりまして…もしや、その方は本当に殺し屋ではないかと察した訳でして」

ラフィエル「そうでしたか。では、もう一つ、私の窮地に駆け付けた時、ガヴちゃんが疲れていたのはなぜですか?」


33:2018/04/02(月)18:05:22 ID:IMv

ガヴリール「あぁ、それは…」

マルティエル「お待ちください、それも私が説明致します。」

マルティエル「実は、少々遠い所におりまして、白羽家まで神足通で移動しようにもそこまでの天使力を使えば後が大変になると考え…」

マルティエル「そこで、ガヴリール様の天使力をお借りしました。ですが、そのせいでガヴリール様の天使力は、大分消費してしまいまして」

ラフィエル「つまり、ガヴちゃんがこうなったのはマルティエルにお力をお貸ししたせいという事ですね。」

マルティエル「はい。その通りでございます」


34:2018/04/02(月)18:07:08 ID:IMv

ラフィエル「ガヴちゃん、ごめんなさい。マルティエルに代わりまして、お詫びします」

ガヴリール「いいよ、いいよ。結果的にラフィを助ける事が出来たし、別に気にしてないよ!」

ラフィエル「ガヴちゃん……」ジーン


35:2018/04/02(月)18:17:28 ID:IMv

マルティエル「お嬢様…」

ラフィエル「はい?」

マルティエル「執事を解雇になった以上、私はもうお嬢様のお傍に仕える事は出来ません。ですが、これだけは忘れないで下さい…」

マルティエル「この私、マルティエルは、お傍を離れようとも一生白羽家の、お嬢様の陰の執事として、お嬢様のご健康とこれからのご活躍をお祈りいたします!!」ホロリ

ガヴリール「っ!?(マルティエルさん、涙を…)」

ラフィエル「………」

マルティエル「そしてお嬢様…今まで白羽家の、お嬢様の執事としてお仕え出来た事、光栄に思います。では……。」スタスタ

ラフィエル「……………」プルプル

ガヴリール「ラフィ…。」


36:2018/04/02(月)21:02:38 ID:IMv

ラフィエル「…………っ」グッ

ラフィエル「お待ちなさい、マルティエル!!」

ガヴリール「んっ?」

マルティエル「お嬢様…?」クルッ

ラフィエル「……私は貴方の行動が鬱陶しいと思い、辟易もしていて、お父様が貴方を解雇した時点で私は心の底で鬱陶しさが無くなったと有頂天になっていました。」

ラフィエル「ですが、そのせいで新しく来た執事が、私を狙う殺し屋だとは見抜けず、結局お父様と共に騙されてしまいました!! 今となっては悔しい程です……。」

ガヴリール「ラフィ…」

マルティエル「お嬢様…」


37:2018/04/02(月)21:43:52 ID:IMv

ラフィエル「ですが、マルティエル…貴方はガヴちゃんの言葉から私の危機を咄嗟に察知し、迅速な対応で殺し屋を倒して私を救ってくれました。」

ラフィエル「更に白羽家の執事を解雇になっても尚、陰の執事だと言って私や白羽家に忠誠を誓い、特に私の事を心配して想ってもくれました。」

ラフィエル「私やお父様に冷たくされたのにも関わらず、それでも私や白羽家に執事として尽くせて良かったと感謝を示してくれましたね……。正直に申しましょう!!」

ラフィエル「マルティエル……私を救おうと懸命になった事、解雇にされても忠誠心を忘れずに私と白羽家を想い、心配してくれた事、冷たくされてもしっかりと感謝を示してくれた事……この全ての貴方の行動は我が白羽家の長女として評価に値します!!」ニコリ

マルティエル「えっ?」

ラフィエル「よって、マルティエル……貴方を再び私の執事として白羽家に迎え入れましょう!!」ニコ

マルティエル「っ………!?」

マルティエル「お嬢様……!本当ですか…本当に私なんかを再び?」パァァ


38:2018/04/02(月)21:58:39 ID:IMv

ラフィエル「貴方の立派な行動を評価して決めたまでです。もちろん、お父様には、後で頼んでおきますが…」

ラフィエル「まぁ、解雇したお父様は驚くかもしれませんが、私の方から「マルティエルに今後の(変態的)行動は控えるよう」に言い聞かす、と説明すれば何とか許してはくれるでしょう…」

マルティエル「お嬢様……///」

ラフィエル「もちろん、一度解雇したので、再雇用という形にはなりますが。」

マルティエル「もちろん、それでも構いません。それよりお嬢様…」

ラフィエル「んっ?」

マルティエル「執事として再び迎え入れて頂きありがとうございます! 私、マルティエルは白羽家執事として誠心誠意、死ぬまでラフィエルお嬢様に尽くします!! もちろん、白羽家にも」ペコリ


39:2018/04/03(火)00:49:20 ID:FIY

マルティエル「あっ、それとガヴリール様!」

ガヴリール「んっ?」

マルティエル「本当にありがとうございました。おかげで、魔の手の者からお嬢様をお守りする事が出来ましたし。」クルッ

ガヴリール「いや、別にいいって!? ちょうどネトゲがサーバーメンテに入ってもんだから、暇で暇で……そんで協力しただけだよ……///」プイッ

ラフィエル「うふふっ///」クスクス


40:2018/04/03(火)00:57:32 ID:FIY

マルティエル「あっ、お嬢様が可愛いお顔にっ!?///」スッ、ハァハァ

ガヴリール「」

ラフィエル「マルティエル……いつの間にビデオカメラを?」

マルティエル「神足通を改良し、欲しい物だけを私の手元に瞬間移動できるようにしました」キリッ

ラフィエル「マルティエル……」

マルティエル「はい、お嬢様?」

ラフィエル「あまりふざけた事をしていると…先ほどの再雇用の件、無かった事にしますよ?」キッ

マルティエル「あ……あぁ……あああぁぁ?? お嬢様のキツい視線、たまりません///」ゾクゾクッ

ガヴリール(殺し屋を退けたマルティエルさんとここにいる変態のマルティエルさんって、別人? 二重人格??)


41:2018/04/03(火)01:11:01 ID:FIY

ガヴリール「んじゃあ、私は下界に戻るわ。サーバーメンテと言ってもそんなに時間は掛からないし、夜はイベントもあるしな」

ラフィエル「はい♪ では、また明日、下界で!」ニコリ

ガヴリール「ラフィ、下界に来れるのか?!」

ラフィエル「もちろん。だって、先ほどの事件であの地獄の日々から解放されましたので、もう問題はありませんしね」

ラフィエル「ですよね、マルティエル?」

マルティエル「左様でございます。このマルティエル、お嬢様を無理な勉強や習い事で制限するなど、致しません」

ラフィエル「だ、そうですので。明日、ちゃんと下界に行きます。そして、数日ぶりにサターニャさんを導って………うふふっ??////」ニヤニヤ

ガヴリール「あぁ、そうか…。(あいつ、明日はかなり大変になるぞ……先に言うが、ご愁傷様。)」


42:2018/04/03(火)01:14:10 ID:FIY

ラフィエル「………っ/////」ニヤニヤ

マルティエル「………」ジィィィィィーーー

マルティエル「……………ふふっ♪」クスッ

ガヴリール(あっ、また笑ったぞ…。きっとラフィを見て……)

ガヴリール「ははは…やっぱ、ラフィの執事はマルティエルさんが一番って事だな!」



おしまい


43:2018/04/03(火)01:18:34 ID:FIY

※おまけ

~翌日~

ラフィエル「ふぅ~、大満足です/////」テカテカ

ガヴリール「お前、午前中から今の今までサターニャにちょっかいばかり掛けてたよな…?」

ラフィエル「うふふ、やはりサターニャさんは元気なおもちゃにふさわしいです!」ニコリ

ガヴリール「ってか、さっきまで居たサターニャは嫌になって出てくし、ヴィーネもサターニャの後を追って出て行ったから……。私とラフィの二人だけか、ここにいるのは」

ラフィエル「そうですね♪」ニコニコ


44:2018/04/03(火)01:25:14 ID:FIY

ガヴリール「またサーバーメンテだから、地獄だよ! 退屈過ぎて…」

ラフィエル「では、私と遊びませんか? 今度はガヴちゃんが私のおもちゃになるか、それともわざとトラブルを起こしてガヴちゃんの面白い反応を見るとか、色々とありますが??」

ガヴリール「却下!!! それより、暇だったらあの後の話を聞かせろよ?」

ラフィエル「あの後のお話し、ですか?」

ガヴリール「そう。どうしてラフィが狙われたとか、マルティエルさんの再雇用が認められたのか、とか……後はマルティエルさんの様子にとかさ?」

ラフィエル「そうですねぇ……いいでしょう♪ お話ししましょう」

ガヴリール「あぁ、頼む!」


45:2018/04/03(火)01:46:03 ID:FIY

ラフィエル「私が狙われた理由は、ただの逆恨みと八つ当たりみたいで…」

ガヴリール「なにぃっ!?」

ラフィエル「ガヴちゃんが下界に戻った後、すぐに天界警察の方から連絡がありまして。あの殺し屋が全てを話したそうで、その殺し屋に私の抹殺を依頼した人物も捕まったそうです!」

ラフィエル「こちらも全てを話したようで……なんでも、依頼主の正体はかつて我が白羽家で働いていた使用人なのですが、かなりおっちょこちょいらしく、いつも失敗ばかりを繰り返していたそうです」

ラフィエル「そして、とうとうお父様から解雇を言い渡されたそうで。その後も必死に働き口を探したようなのですが、中々良い所が決まらず、そのイライラからこういう事になったのは自分を辞めさせた我が白羽家が悪いと逆恨みしたそうです!」

ガヴリール「なんだよ、それ……ひでぇなぁ!」

ラフィエル「また使用人の時にお見掛けした私を見て、何も不自由なく暮らしていると私に嫉妬していたらしく、そこから白羽家の長女、つまりは私を抹殺しようと考えたそうですよ」

ラフィエル「最後は殺し屋に私の抹殺を依頼し、無事に成し遂げることでイライラを解消させようとした、というのが今回の動機という訳です」

ガヴリール「酷い話だな…。逆恨みに八つ当たり……どっちも良くないぞ!!」

ラフィエル(あらあら、前にサターニャさんから無理矢理お弁当のおかずを取った挙句、落とした時にはサターニャさんが抵抗したせいだと言った(逆恨み)のは一体、誰でしょう?)

ラフィエル(そして、随分前にイライラからサターニャさんをドアごと吹き飛ばして、怒りを散らそうとした(八つ当たり)のは一体、誰なのでしょうか??)

ガヴリール「?」ポカーーン


46:2018/04/03(火)15:56:35 ID:5iy

ラフィエル「マルティエルさんの再雇用に関してはお父様も予想通り驚いて心配はしていましたが、何とか言い聞かせてマルティエルの再雇用は認めて頂けましたよ!」

ガヴリール「そうか。じゃあ、マルティエルさんは再びラフィの執事になった訳だな」

ラフィエル「はい♪」

ラフィエル「ただ、その後のマルティエルの様子は相変わらずでした…。私が着替えてる所や入浴を覗こうとしたり、トイレに入っている所をカメラで収めようとしたり、私が使ってる物や着替えを盗もうとしたり、と酷いものです!」

ガヴリール「なんだか、普段からサターニャに同じことをしてるラフィを見てる、ようだな…」

ラフィエル「失礼ですね!? 私をマルティエルと一緒だと思わないで下さい!! 大体、私がサターニャさんにやっている事はただ、導っているだけです」

ガヴリール「その「導って」が、なぜか「弄って」に聞こえるんだが…」


47:2018/04/03(火)16:04:04 ID:5iy

ラフィエル「私が「控えて下さいね」と言っても、きつく言われる事に興奮して全く話を聞かなかったりもしていますし。」

ガヴリール「でも、執事としては優秀、プロ意識も本物なんだろ? だったら、多少は大目に見ろ…ぜんぜん駄目って訳じゃないしさ」

ラフィエル「まぁ、そうですね…。私も改めてマルティエルをお傍に置いたら、マルティエルはマルティエルなりに良くやっていて、私も頼りにしていましたので、やはり白羽家の執事はマルティエルが適任だと考えさせられましたよ!」

シュンッ

マルティエル「お褒めのお言葉、ありがとうございます…お嬢様」


48:2018/04/03(火)16:09:03 ID:5iy

ガヴリール「!?」

ラフィエル「マルティエル!!? なぜ、貴方がここに!?」

マルティエル「お嬢様の下界でのご様子を見に来ました!」

ラフィエル「留守はどうしました!?」

マルティエル「珍しく旦那様が戻られまして、それで旦那様が少しだけ下界に行くことを許して下さいました」

ラフィエル「お父様……」ズーン

マルティエル「さっそくですが、お嬢様……住んでいる家に入ってもよろしいでしょうか?」

ラフィエル「それは何のためですか?」

マルティエル「それはもちろん、掃除と整理整頓の為でございます///」

ラフィエル「なんだか怪しいので、許可できません。大体、掃除も整理整頓も最近、行ってますので必要はありません」


49:2018/04/03(火)16:16:03 ID:5iy

マルティエル「では、お買い物をしておきますので、食材を冷蔵庫に入れる為、お部屋n」

ラフィエル「まだ3、4日分の食材は残ってますので、大丈夫です」

マルティエル「ではでは、普段からどういう生活を送っていらっしゃるかのチェックの為、お部屋n」

ラフィエル「それで、どうしてお部屋に入る必要がおありなんですか?」ゴゴゴゴゴゴ

マルティエル「お部屋の中を見れば大体、お嬢様がどのような生活を送っているかが一目瞭然で分かるからです!」

マルティエル「ちなみに、この観察眼は白羽家のお嬢様のお部屋を毎日、チェックして身に付けました」キリッ

ラフィエル「そのような事で、言い切った顔をしないで下さい!!?」


50:2018/04/03(火)16:21:36 ID:5iy

マルティエル「では、せめて天界に戻る前に、私に下界でのお土産を持たせてはもらえないでしょうか?」

ラフィエル「それならよろしいです! で、何がいいのですか……下界ならメロンパンやシュークリームなどが一番ですけど?」

マルティエル「もちろん、お嬢様の脱ぎたての下g」

ラフィエル「ダメです♪」ニコ

マルティエル「では、私服を?」

ラフィエル「だから、ダメです♪」ニコニコ

マルティエル「では、せめてお嬢様が使った物d」

ラフィエル「いい加減にして下さい♪」ニコリ


51:2018/04/03(火)16:29:04 ID:5iy

マルティエル「はぁはぁ(*´Д`) お嬢様に笑顔で否定されるのもまた、たまらないですねぇ/////」ゾクゾクッ

ラフィエル「もう、天界に帰ってください?」ニコリ

ガヴリール「なんだ、コントでもやってんのか?」

ガヴリール(まぁ、なんだ……よく見れば、マルティエルさんもだが、ラフィも楽しそうに見えるな。もしかしたらラフィは、マルティエルさんと一緒にいてこそ一番の笑顔になれるのかもしれないな…。)

ガヴリール(やっぱ、白羽家の、ラフィの執事はマルティエルさんが適任だな…)フッ

マルティエル「お嬢様ーーー♪♪」パアァァ

ラフィエル「ですから、いい加減にして、天界に帰って下さいませんか?」ニコニコ、イライラ



今度こそ、おしまい


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