1: :2019/04/25(木) 10:08:14.28 ID:nt7g/uqcO
ボコのテーマを聞いてたら考えついてしまった、ガルパンとアベンジャーズのクロスオーバーです。
エンドゲームのオフィシャルトレイラーレベルのネタバレはあります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1556154494
エンドゲームのオフィシャルトレイラーレベルのネタバレはあります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1556154494
2: :2019/04/25(木) 10:11:32.50 ID:6h9tszzI0
愛里寿(私がその人を知ったのは、とあるニュースがきっかけだった)
愛里寿(6年前……人々が初めて地球外生命体と邂逅したあの日)
愛里寿(空にあいた穴から次々に攻め込んでくる宇宙人の軍隊……)
愛里寿(そして、それを撃退したヒーローチーム)
愛里寿(子供心に、彼等の姿は焼き付いている)
愛里寿(空を駆ける鋼鉄の男、雄叫びと共に宇宙人を叩き潰す緑色の怪物、雷を操るハンマーの巨漢)
愛里寿(宇宙人の兵隊を次から次に倒していく彼等は、まさに心の中で思い描く【ヒーロー】を体現した存在だった)
愛里寿(……そんな中、私は見た)
愛里寿(宇宙人の一兵士にすら時には苦戦をして、先の三人とは比べ物にならないくらいに疲弊し、ボロボロになり、)
愛里寿(それでも、彼等の戦いに食らいつく一人の【ヒーロー】の姿)
愛里寿(他のメンバーと比べてしまえば、派手でもないし、強くもない)
愛里寿(なのに、だというのに、何故か)
愛里寿(満身創痍な彼の姿が―――一番、印象に残った)
愛里寿(後からゆっくり考えて、分かった)
愛里寿(彼の姿が、当時から大好きだった『ボコ』に似ていたのだ)
愛里寿(ボコボコにされて、それでも立ち上がり、立ち向かう)
愛里寿(そう、姿形は違えど、彼は『ボコ』だった)
愛里寿(6年前……人々が初めて地球外生命体と邂逅したあの日)
愛里寿(空にあいた穴から次々に攻め込んでくる宇宙人の軍隊……)
愛里寿(そして、それを撃退したヒーローチーム)
愛里寿(子供心に、彼等の姿は焼き付いている)
愛里寿(空を駆ける鋼鉄の男、雄叫びと共に宇宙人を叩き潰す緑色の怪物、雷を操るハンマーの巨漢)
愛里寿(宇宙人の兵隊を次から次に倒していく彼等は、まさに心の中で思い描く【ヒーロー】を体現した存在だった)
愛里寿(……そんな中、私は見た)
愛里寿(宇宙人の一兵士にすら時には苦戦をして、先の三人とは比べ物にならないくらいに疲弊し、ボロボロになり、)
愛里寿(それでも、彼等の戦いに食らいつく一人の【ヒーロー】の姿)
愛里寿(他のメンバーと比べてしまえば、派手でもないし、強くもない)
愛里寿(なのに、だというのに、何故か)
愛里寿(満身創痍な彼の姿が―――一番、印象に残った)
愛里寿(後からゆっくり考えて、分かった)
愛里寿(彼の姿が、当時から大好きだった『ボコ』に似ていたのだ)
愛里寿(ボコボコにされて、それでも立ち上がり、立ち向かう)
愛里寿(そう、姿形は違えど、彼は『ボコ』だった)
3: :2019/04/25(木) 10:14:05.39 ID:6h9tszzI0
愛里寿(彼―――キャプテン・アメリカの経歴を調べていくと、その印象は更に深まっていった)
愛里寿(兵士となる前は、貧弱な虚弱体質だった彼)
愛里寿(それでも、元々の正義感は変わらなくて、)
愛里寿(街のチンピラに喧嘩を売っては、ボコボコにされていたという)
愛里寿(彼は第二次世界大戦中にあった『超人計画』に参加して、今の身体を得たらしい)
愛里寿(人間の限界点とも言える力を得た彼は、その力でもって戦争を戦い抜き、終戦の間際で南極にて行方不明となった)
愛里寿(そして、氷河の中で眠っていた彼は―――現代で目を覚ました)
愛里寿(七十年後の世界に、周りの人も死んでしまった世界に、彼は復活した)
愛里寿(その直後にあったのは、ニューヨークでの決戦)
愛里寿(既に彼以上の超人が何人も現れた世界で、それでも彼は立ち向かった)
愛里寿(SNSに出回った情報によると、ロキという神を名乗る男にも立ち向かったそうだ)
愛里寿(手も足も出ない相手に彼は少しも退かなかったという)
愛里寿(人々の前に立ち、ボコボコにされながらも、その度に食らいついて―――)
愛里寿(彼―――キャプテン・アメリカの経歴を調べていくと、その印象は更に深まっていった)
愛里寿(兵士となる前は、貧弱な虚弱体質だった彼)
愛里寿(それでも、元々の正義感は変わらなくて、)
愛里寿(街のチンピラに喧嘩を売っては、ボコボコにされていたという)
愛里寿(彼は第二次世界大戦中にあった『超人計画』に参加して、今の身体を得たらしい)
愛里寿(人間の限界点とも言える力を得た彼は、その力でもって戦争を戦い抜き、終戦の間際で南極にて行方不明となった)
愛里寿(そして、氷河の中で眠っていた彼は―――現代で目を覚ました)
愛里寿(七十年後の世界に、周りの人も死んでしまった世界に、彼は復活した)
愛里寿(その直後にあったのは、ニューヨークでの決戦)
愛里寿(既に彼以上の超人が何人も現れた世界で、それでも彼は立ち向かった)
愛里寿(SNSに出回った情報によると、ロキという神を名乗る男にも立ち向かったそうだ)
愛里寿(手も足も出ない相手に彼は少しも退かなかったという)
愛里寿(人々の前に立ち、ボコボコにされながらも、その度に食らいついて―――)
4: :2019/04/25(木) 10:15:33.24 ID:6h9tszzI0
愛里寿(……彼の人となりを知る程に、その姿が『ボコ』と重ねっていった)
愛里寿(こんな『ボコ』みたいな人が、本当にいるなんて思わなかった)
愛里寿(気付けば、私は彼のファンとなっていた)
愛里寿(彼の活躍をニュースやインターネットで見ては、目を輝かせる)
愛里寿(ワシントンDCでのヒドラ事件……ソコヴィアでのウルトロン事件……)
愛里寿(そのどれもで、彼はボコボコにされながら敵に立ち向かっていく)
愛里寿(そんな中で……ある事件が起きた)
愛里寿(キャプテン・アメリカ率いるアベンジャーズが戦闘の最中で多くの市民を巻き込み、犠牲を生んだのだという)
愛里寿(ニュースでは、彼に対する批判的な内容がずっと流れていた)
愛里寿(凄まじい力を有した超人たちが、誰に管理される事もなく、国境を越え争乱を巻き起こす)
愛里寿(その果てに市民が犠牲となり、血が流れる)
愛里寿(彼等は管理されるべきだ、と)
愛里寿(ネット上でも同じ様な意見が飛び交うようになっていた)
愛里寿(……違う、と思った)
愛里寿(彼等が市民を巻き込んだのは事実だけど、彼等がいなければもっと多くの人々が犠牲になっていたのだ)
愛里寿(いつだってそうだ)
愛里寿(ニューヨークでも、ワシントンでも、ソコヴィアでも……彼等がいなければ、もっと多くの人々が犠牲になっていた)
愛里寿(それでも人々の意見の大半は、彼等に批判的なもので、)
愛里寿(……そのボコられ方は、普段のそれとはまるで違っていた)
愛里寿(見ている私も胸を締め付けられるような、苦くなるような……)
愛里寿(余りに、悲しいボコられ方だった)
愛里寿(……彼の人となりを知る程に、その姿が『ボコ』と重ねっていった)
愛里寿(こんな『ボコ』みたいな人が、本当にいるなんて思わなかった)
愛里寿(気付けば、私は彼のファンとなっていた)
愛里寿(彼の活躍をニュースやインターネットで見ては、目を輝かせる)
愛里寿(ワシントンDCでのヒドラ事件……ソコヴィアでのウルトロン事件……)
愛里寿(そのどれもで、彼はボコボコにされながら敵に立ち向かっていく)
愛里寿(そんな中で……ある事件が起きた)
愛里寿(キャプテン・アメリカ率いるアベンジャーズが戦闘の最中で多くの市民を巻き込み、犠牲を生んだのだという)
愛里寿(ニュースでは、彼に対する批判的な内容がずっと流れていた)
愛里寿(凄まじい力を有した超人たちが、誰に管理される事もなく、国境を越え争乱を巻き起こす)
愛里寿(その果てに市民が犠牲となり、血が流れる)
愛里寿(彼等は管理されるべきだ、と)
愛里寿(ネット上でも同じ様な意見が飛び交うようになっていた)
愛里寿(……違う、と思った)
愛里寿(彼等が市民を巻き込んだのは事実だけど、彼等がいなければもっと多くの人々が犠牲になっていたのだ)
愛里寿(いつだってそうだ)
愛里寿(ニューヨークでも、ワシントンでも、ソコヴィアでも……彼等がいなければ、もっと多くの人々が犠牲になっていた)
愛里寿(それでも人々の意見の大半は、彼等に批判的なもので、)
愛里寿(……そのボコられ方は、普段のそれとはまるで違っていた)
愛里寿(見ている私も胸を締め付けられるような、苦くなるような……)
愛里寿(余りに、悲しいボコられ方だった)
5: :2019/04/25(木) 10:18:59.64 ID:6h9tszzI0
愛里寿(更に、もう一つ)
愛里寿(追い打ちをかけるようなニュースが、ネット上で流れた)
愛里寿(……唯一現代まで生存していた、戦時中の彼の仲間が亡くなったのだという)
愛里寿(その人は女性で、かつて彼と恋仲にあったらしい)
愛里寿(だけど、あの南極での戦いで二人は引き裂かれてしまい……七十年後の現代で再会した)
愛里寿(もちろん七十年という時は大きく、彼女には家庭があって、子どもも孫もいて、女性はもう年老いていて……)
愛里寿(だけど―――彼女は、彼にとって唯一無二の存在であった筈だ)
愛里寿(この激動の情勢の中で、そんな女性すらも失って……)
愛里寿(……私は、居ても立っても居られなかった)
愛里寿(いくら『ボコ』だって、今の状況は余りに……余りに救われない)
愛里寿(気付けば、私は母さんに頼み込んでいた)
愛里寿(アメリカに……彼の元に行きたい、と)
愛里寿(何をできる訳でもないけど、彼と会って話をしたい、と)
愛里寿(頭を下げて、頼み込む)
愛里寿(突拍子もない事を言っているのは分かっている)
愛里寿(いきなりアメリカへ行くのも、今話題の中心にいる彼に会いにいくのも、無茶でしかない)
愛里寿(でも、それでも、今の彼を放っておくのは嫌だった)
愛里寿(出会った事のない彼だけど、彼は私の―――【ヒーロー】なのだから)
愛里寿(更に、もう一つ)
愛里寿(追い打ちをかけるようなニュースが、ネット上で流れた)
愛里寿(……唯一現代まで生存していた、戦時中の彼の仲間が亡くなったのだという)
愛里寿(その人は女性で、かつて彼と恋仲にあったらしい)
愛里寿(だけど、あの南極での戦いで二人は引き裂かれてしまい……七十年後の現代で再会した)
愛里寿(もちろん七十年という時は大きく、彼女には家庭があって、子どもも孫もいて、女性はもう年老いていて……)
愛里寿(だけど―――彼女は、彼にとって唯一無二の存在であった筈だ)
愛里寿(この激動の情勢の中で、そんな女性すらも失って……)
愛里寿(……私は、居ても立っても居られなかった)
愛里寿(いくら『ボコ』だって、今の状況は余りに……余りに救われない)
愛里寿(気付けば、私は母さんに頼み込んでいた)
愛里寿(アメリカに……彼の元に行きたい、と)
愛里寿(何をできる訳でもないけど、彼と会って話をしたい、と)
愛里寿(頭を下げて、頼み込む)
愛里寿(突拍子もない事を言っているのは分かっている)
愛里寿(いきなりアメリカへ行くのも、今話題の中心にいる彼に会いにいくのも、無茶でしかない)
愛里寿(でも、それでも、今の彼を放っておくのは嫌だった)
愛里寿(出会った事のない彼だけど、彼は私の―――【ヒーロー】なのだから)
6: :2019/04/25(木) 10:19:42.60 ID:6h9tszzI0
愛里寿(……母上は戦車道を語る時のそれと同じ、冷たい瞳で私を見詰めた)
愛里寿(何度も反対し、何度も私の無茶を説き伏せ―――それでも、私は折れなかった)
愛里寿(どうしても彼に会いたいと、何度も頭を下げる)
愛里寿(結局折れたのは、母上の方だった)
愛里寿(アメリカの戦車道は、実際の軍隊と密接に関係している)
愛里寿(戦車道の伝手を通して、彼と確実に出会える日程を調べてくれるとの事だった)
愛里寿(結局彼の予定で確定しているのは、彼女の葬儀の時だけだった)
愛里寿(それもそうだろう。【ヒーロー】に確定的な予定などないのだから)
愛里寿(そして、私は母上とアメリカに立ち、)
愛里寿(その葬儀の最中に、彼の元に辿り着いた)
愛里寿(……母上は戦車道を語る時のそれと同じ、冷たい瞳で私を見詰めた)
愛里寿(何度も反対し、何度も私の無茶を説き伏せ―――それでも、私は折れなかった)
愛里寿(どうしても彼に会いたいと、何度も頭を下げる)
愛里寿(結局折れたのは、母上の方だった)
愛里寿(アメリカの戦車道は、実際の軍隊と密接に関係している)
愛里寿(戦車道の伝手を通して、彼と確実に出会える日程を調べてくれるとの事だった)
愛里寿(結局彼の予定で確定しているのは、彼女の葬儀の時だけだった)
愛里寿(それもそうだろう。【ヒーロー】に確定的な予定などないのだから)
愛里寿(そして、私は母上とアメリカに立ち、)
愛里寿(その葬儀の最中に、彼の元に辿り着いた)
7: :2019/04/25(木) 10:20:24.81 ID:6h9tszzI0
愛里寿(葬儀の終えた教会にて、一人佇む彼)
愛里寿(その大きな背中は、普段よりも小さく見えて、)
愛里寿「あの……」
愛里寿(その背中に、私は声を掛けた)
愛里寿(腕の中のボコを強く抱き締め、平静を保つように言い聞かせる)
キャップ「君は……?」
愛里寿(彼は頬に伝う涙の痕を拭き取りながら、赤い瞳で振り返った)
愛里寿(それは、いつもの凛々しい彼と比べて余りに痛ましくて……何でか、私も泣き出したくなってしまった)
愛里寿(葬儀の終えた教会にて、一人佇む彼)
愛里寿(その大きな背中は、普段よりも小さく見えて、)
愛里寿「あの……」
愛里寿(その背中に、私は声を掛けた)
愛里寿(腕の中のボコを強く抱き締め、平静を保つように言い聞かせる)
キャップ「君は……?」
愛里寿(彼は頬に伝う涙の痕を拭き取りながら、赤い瞳で振り返った)
愛里寿(それは、いつもの凛々しい彼と比べて余りに痛ましくて……何でか、私も泣き出したくなってしまった)
8: :2019/04/25(木) 10:20:58.81 ID:6h9tszzI0
愛里寿「あの、私、貴方のファンで……」
愛里寿(言葉が上手く出てこない)
愛里寿(彼の力になりたいと、彼を励ましたいと思って、海を渡って来たのに、)
愛里寿(余りに痛ましい彼の姿を目の当たりにしたら、胸が詰まって、言葉が出てこない)
愛里寿「あの、その……」
愛里寿(彼も、私の様子に何かを察した様子だった)
愛里寿(膝を折り、目線を合わせて、優しく微笑む)
キャップ「可愛い人形だね。その子は何て名前なんだい?」
愛里寿「こ、この子は『ボコ』……」
キャップ「ボコ、か。可愛い名前だ」
愛里寿「うん。『ボコ』は可愛いくて……とっても弱いの」
キャップ「そうなのか? そうか、それはまるで―――」
愛里寿(そこで、一瞬言葉を区切って、彼は続けた)
愛里寿(―――まるで、僕みたいだな、と)
愛里寿(自嘲的な微笑みと共に、彼は零した)
愛里寿(それは現状に打ちひしがれた彼が思わず零してしまった、本音のようなものなのだろう)
愛里寿(人々を巻き込み非難され、ヒーローとしての活動を管理されそうになり、かつての愛する人を失い……)
愛里寿(……彼は、傷付いていた)
愛里寿「あの、私、貴方のファンで……」
愛里寿(言葉が上手く出てこない)
愛里寿(彼の力になりたいと、彼を励ましたいと思って、海を渡って来たのに、)
愛里寿(余りに痛ましい彼の姿を目の当たりにしたら、胸が詰まって、言葉が出てこない)
愛里寿「あの、その……」
愛里寿(彼も、私の様子に何かを察した様子だった)
愛里寿(膝を折り、目線を合わせて、優しく微笑む)
キャップ「可愛い人形だね。その子は何て名前なんだい?」
愛里寿「こ、この子は『ボコ』……」
キャップ「ボコ、か。可愛い名前だ」
愛里寿「うん。『ボコ』は可愛いくて……とっても弱いの」
キャップ「そうなのか? そうか、それはまるで―――」
愛里寿(そこで、一瞬言葉を区切って、彼は続けた)
愛里寿(―――まるで、僕みたいだな、と)
愛里寿(自嘲的な微笑みと共に、彼は零した)
愛里寿(それは現状に打ちひしがれた彼が思わず零してしまった、本音のようなものなのだろう)
愛里寿(人々を巻き込み非難され、ヒーローとしての活動を管理されそうになり、かつての愛する人を失い……)
愛里寿(……彼は、傷付いていた)
9: :2019/04/25(木) 10:21:49.56 ID:6h9tszzI0
愛里寿「違う……違うの!」
愛里寿(その余りに寂しげな表情に、思わず声を張り上げていた)
愛里寿(伝えたかったのだ)
愛里寿(『ボコ』の、そして彼の―――本当の強さを)
愛里寿「『ボコ』は弱くて、弱くて……いつも喧嘩を売ってはボコボコにされてるけど……」
愛里寿「ボコボコにされて……いつも傷だらけだけど……」
愛里寿「それでも、立ち上がるの」
愛里寿「立ち上がって、何度だって立ち向かうの」
愛里寿「どんなに強い相手にだって、勝ち目のない相手にだって、『ボコ』は立ち向かう」
愛里寿「それでも敵わなくて、もっともっとボコボコにされても―――」
愛里寿「―――『ボコ』は、何度だって立ち上がるから」
愛里寿(私の言葉に、彼は何かを気付かされたように固まり、)
キャップ「そうか……ああ、そうだな」
愛里寿(そして、強く強く頷いた)
愛里寿「違う……違うの!」
愛里寿(その余りに寂しげな表情に、思わず声を張り上げていた)
愛里寿(伝えたかったのだ)
愛里寿(『ボコ』の、そして彼の―――本当の強さを)
愛里寿「『ボコ』は弱くて、弱くて……いつも喧嘩を売ってはボコボコにされてるけど……」
愛里寿「ボコボコにされて……いつも傷だらけだけど……」
愛里寿「それでも、立ち上がるの」
愛里寿「立ち上がって、何度だって立ち向かうの」
愛里寿「どんなに強い相手にだって、勝ち目のない相手にだって、『ボコ』は立ち向かう」
愛里寿「それでも敵わなくて、もっともっとボコボコにされても―――」
愛里寿「―――『ボコ』は、何度だって立ち上がるから」
愛里寿(私の言葉に、彼は何かを気付かされたように固まり、)
キャップ「そうか……ああ、そうだな」
愛里寿(そして、強く強く頷いた)
10: :2019/04/25(木) 10:22:30.43 ID:6h9tszzI0
キャップ「……『ボコ』は、ガッツがあるな」
愛里寿「うん、それが『ボコ』だから」
キャップ「そうか。気に入ったよ」
愛里寿「あの、これ良ければ……」
愛里寿(彼に差し出したそれは、私が用意したものだった)
愛里寿(星印の描かれたシールドを装備した『ボコ』と、私が英語で歌った『ボコのテーマ』のCD)
愛里寿(何か出来る事がないかと考えたけど、私にはこんな事しか思い浮かばなくて、)
愛里寿(こんなもので彼を励ますなんて出来る筈がないのに……)
キャップ「くれるのかい?」
愛里寿「う、うん、こんな物しか用意できなかったけど……」
キャップ「いや、嬉しいよ」
キャップ「この『ボコ』は君のお手製だろ? 最高のプレゼントだ」
キャップ「僕も『ボコ』を見習おうと思う」
キャップ「ボコボコにされても、それでも立ち上がり、戦う」
キャップ「……ああ、そうさ」
キャップ「それこそが―――【ヒーロー】のあるべき姿だ」
愛里寿(そう言った彼は、吹っ切れたように力強く笑った)
愛里寿(その姿は、何度だって立ち上がるその姿は、やっぱり―――)
愛里寿(―――『ボコ』のようだった)
キャップ「……『ボコ』は、ガッツがあるな」
愛里寿「うん、それが『ボコ』だから」
キャップ「そうか。気に入ったよ」
愛里寿「あの、これ良ければ……」
愛里寿(彼に差し出したそれは、私が用意したものだった)
愛里寿(星印の描かれたシールドを装備した『ボコ』と、私が英語で歌った『ボコのテーマ』のCD)
愛里寿(何か出来る事がないかと考えたけど、私にはこんな事しか思い浮かばなくて、)
愛里寿(こんなもので彼を励ますなんて出来る筈がないのに……)
キャップ「くれるのかい?」
愛里寿「う、うん、こんな物しか用意できなかったけど……」
キャップ「いや、嬉しいよ」
キャップ「この『ボコ』は君のお手製だろ? 最高のプレゼントだ」
キャップ「僕も『ボコ』を見習おうと思う」
キャップ「ボコボコにされても、それでも立ち上がり、戦う」
キャップ「……ああ、そうさ」
キャップ「それこそが―――【ヒーロー】のあるべき姿だ」
愛里寿(そう言った彼は、吹っ切れたように力強く笑った)
愛里寿(その姿は、何度だって立ち上がるその姿は、やっぱり―――)
愛里寿(―――『ボコ』のようだった)
11: :2019/04/25(木) 10:23:00.66 ID:6h9tszzI0
携帯『ピー、ピー!!』
キャップ「……呼び出しか」
キャップ「すまないな、もう行かなくちゃいけないみたいだ」
愛里寿「……そう」
キャップ「と、最後に一つ聞き忘れていたな」
キャップ「お嬢さん、お名前は?」
愛里寿「愛里寿……島田愛里寿です」
キャップ「アリスか。僕はスティーブ・ロジャース」
キャップ「励ましてくれてありがとう、アリス。力が出て来たよ」
愛里寿「そう。それなら……嬉しい」
キャップ「僕も頑張るよ、『ボコ』のように」
愛里寿「うん……!」
愛里寿(微笑み、小さく敬礼を飛ばして、去っていく彼)
愛里寿(それが……私が最後に見た、彼の姿だった)
携帯『ピー、ピー!!』
キャップ「……呼び出しか」
キャップ「すまないな、もう行かなくちゃいけないみたいだ」
愛里寿「……そう」
キャップ「と、最後に一つ聞き忘れていたな」
キャップ「お嬢さん、お名前は?」
愛里寿「愛里寿……島田愛里寿です」
キャップ「アリスか。僕はスティーブ・ロジャース」
キャップ「励ましてくれてありがとう、アリス。力が出て来たよ」
愛里寿「そう。それなら……嬉しい」
キャップ「僕も頑張るよ、『ボコ』のように」
愛里寿「うん……!」
愛里寿(微笑み、小さく敬礼を飛ばして、去っていく彼)
愛里寿(それが……私が最後に見た、彼の姿だった)
12: :2019/04/25(木) 10:23:32.78 ID:6h9tszzI0
愛里寿(それから少しして、彼が国際的な指名手配犯となったのを知った)
愛里寿(ソコヴィア協定に反発し、何人かの仲間と共に消息を絶ったのだという)
愛里寿(……私は、信じている)
愛里寿(世界中からボコボコにされている彼だけど、それでもきっと立ち向かい続けると)
愛里寿(どれだけボコボコにされても、彼なら立ち上がるのだと)
愛里寿(信じている―――だから)
愛里寿(だから―――最後の時が来たとしても、私も諦めない)
愛里寿(それから少しして、彼が国際的な指名手配犯となったのを知った)
愛里寿(ソコヴィア協定に反発し、何人かの仲間と共に消息を絶ったのだという)
愛里寿(……私は、信じている)
愛里寿(世界中からボコボコにされている彼だけど、それでもきっと立ち向かい続けると)
愛里寿(どれだけボコボコにされても、彼なら立ち上がるのだと)
愛里寿(信じている―――だから)
愛里寿(だから―――最後の時が来たとしても、私も諦めない)
13: :2019/04/25(木) 10:24:22.08 ID:6h9tszzI0
愛里寿(それは、突然の事だった)
愛里寿(戦車道の演習中、突然動かなくなる味方部隊)
愛里寿(いや、味方だけでなく、敵部隊も同様だった)
愛里寿(中にはコントロールを失い、障害物に激突する戦車もあった)
愛里寿(通信を飛ばすも、返答はないか、あってもパニック状態のそれだった)
愛里寿(曰く仲間が塵となって消えてしまった、との事だ)
愛里寿(……いくら何でも理解しきれるものではない)
愛里寿(ともかく動いている部隊に停車命令を出し、戦車から外に出た―――)
愛里寿(その時、私の身体にも変化があった)
愛里寿(右手が茶色い塵となって、消えていく)
愛里寿(それは瞬く間に身体の方へと近付いていって、全てが塵になっていく)
愛里寿(声をあげる事も出来ない中、何となく察した)
愛里寿(数年前からあった数々の超常現象。アベンジャーズが阻止し、破滅を防いできたそれら)
愛里寿(その最終段階が、これなのだ)
愛里寿(……私は、数秒に迫った終わりの間際で、思い浮かべる)
愛里寿(数年前にであったキャプテン・アメリカの姿)
愛里寿(分かっている。彼なら、こんな中でも立ち上がるという事を)
愛里寿(だからだろうか? 不思議と恐怖は感じない)
愛里寿(どんなにボコボコにされても、彼が立ち上がってくれるから)
愛里寿(だから―――)
愛里寿「……頑張ってね、ボコ」
愛里寿(そして、塵は私の目の前まで迫って――――………)
愛里寿(それは、突然の事だった)
愛里寿(戦車道の演習中、突然動かなくなる味方部隊)
愛里寿(いや、味方だけでなく、敵部隊も同様だった)
愛里寿(中にはコントロールを失い、障害物に激突する戦車もあった)
愛里寿(通信を飛ばすも、返答はないか、あってもパニック状態のそれだった)
愛里寿(曰く仲間が塵となって消えてしまった、との事だ)
愛里寿(……いくら何でも理解しきれるものではない)
愛里寿(ともかく動いている部隊に停車命令を出し、戦車から外に出た―――)
愛里寿(その時、私の身体にも変化があった)
愛里寿(右手が茶色い塵となって、消えていく)
愛里寿(それは瞬く間に身体の方へと近付いていって、全てが塵になっていく)
愛里寿(声をあげる事も出来ない中、何となく察した)
愛里寿(数年前からあった数々の超常現象。アベンジャーズが阻止し、破滅を防いできたそれら)
愛里寿(その最終段階が、これなのだ)
愛里寿(……私は、数秒に迫った終わりの間際で、思い浮かべる)
愛里寿(数年前にであったキャプテン・アメリカの姿)
愛里寿(分かっている。彼なら、こんな中でも立ち上がるという事を)
愛里寿(だからだろうか? 不思議と恐怖は感じない)
愛里寿(どんなにボコボコにされても、彼が立ち上がってくれるから)
愛里寿(だから―――)
愛里寿「……頑張ってね、ボコ」
愛里寿(そして、塵は私の目の前まで迫って――――………)
14: :2019/04/25(木) 10:26:12.23 ID:6h9tszzI0
~~~数週間後~~~
クィルの?宇宙船にて
スティーブ「遂に宇宙まで行くとはな」
ブラック・ウィドウ「あら、緊張してるの?」
スティーブ「当然だろう。宇宙空間での訓練なんて積んでいないんだ」
ブラック・ウィドウ「それは私も同じ」
ホークアイ「俺もだ」
スティーブ「……そうだ。今の僕達の状況に、ピッタリな曲があるんだが」
ホークアイ「げ、」
ブラックウィドウ「またあの曲……?」
ローディ「何だい、それは」
スティーブ「そうだな。ある女の子に貰った曲なんだが、とても気に入っていてね」
スティーブ「聞いてるだけで、ガッツをもらえるんだ」
ソー「良いな。戦いの前にこそ、そういうものが必要だ」
ロケット「曲ねぇ。クィルもそうだったが、良く分かんねーな」
キャロル「流してみたら? 今の地球で流行ってる曲も聞いてみたいし」
ブラックウィドウ「……興味本位なら辞めた方が良いと思うけど」
ホークアイ「……同感」
スティーブ「それじゃあ流すか」
テーテレレッテテテーテーテテー
ヤーッテヤル、ヤーッテヤル、ヤーッテヤルゾ♪
イーヤナアイツヲ、ボーコボコニー♪
ソー「………ふむ」
ローディ「あー……」
キャロル「これが今の地球の流行り……?」
ロケット「やっぱ分かんねーなぁ」
ブラックウィドウ(……そりゃそうなるわよね)
ホークアイ(……俺もシビルウォーの時、いきなり聞かされて困惑したぜ)
ブラックウィドウ(私達なんて逃亡生活中、何度聞かされたか……)
スティーブ「ああ、良いな。やっぱり力が湧いてくる」
スティーブ(そうさ、僕達は何度だって立ち上がる)
スティーブ(世界の人口を半分にされ、多くの仲間を失っても、)
スティーブ(例え、インフィニティ・ストーン全てを集めたサノスが相手だとしても、)
スティーブ(何度ボコボコにされたって―――彼女が教えてくれた『ボコ』のように、僕達は立ち上がる)
スティーブ(そう、アベンジャーズは、決して諦めない)
スティーブ(全てを取り戻すまで―――)
スティーブ(―――僕達は、立ち向かう)
クィルの?宇宙船にて
スティーブ「遂に宇宙まで行くとはな」
ブラック・ウィドウ「あら、緊張してるの?」
スティーブ「当然だろう。宇宙空間での訓練なんて積んでいないんだ」
ブラック・ウィドウ「それは私も同じ」
ホークアイ「俺もだ」
スティーブ「……そうだ。今の僕達の状況に、ピッタリな曲があるんだが」
ホークアイ「げ、」
ブラックウィドウ「またあの曲……?」
ローディ「何だい、それは」
スティーブ「そうだな。ある女の子に貰った曲なんだが、とても気に入っていてね」
スティーブ「聞いてるだけで、ガッツをもらえるんだ」
ソー「良いな。戦いの前にこそ、そういうものが必要だ」
ロケット「曲ねぇ。クィルもそうだったが、良く分かんねーな」
キャロル「流してみたら? 今の地球で流行ってる曲も聞いてみたいし」
ブラックウィドウ「……興味本位なら辞めた方が良いと思うけど」
ホークアイ「……同感」
スティーブ「それじゃあ流すか」
テーテレレッテテテーテーテテー
ヤーッテヤル、ヤーッテヤル、ヤーッテヤルゾ♪
イーヤナアイツヲ、ボーコボコニー♪
ソー「………ふむ」
ローディ「あー……」
キャロル「これが今の地球の流行り……?」
ロケット「やっぱ分かんねーなぁ」
ブラックウィドウ(……そりゃそうなるわよね)
ホークアイ(……俺もシビルウォーの時、いきなり聞かされて困惑したぜ)
ブラックウィドウ(私達なんて逃亡生活中、何度聞かされたか……)
スティーブ「ああ、良いな。やっぱり力が湧いてくる」
スティーブ(そうさ、僕達は何度だって立ち上がる)
スティーブ(世界の人口を半分にされ、多くの仲間を失っても、)
スティーブ(例え、インフィニティ・ストーン全てを集めたサノスが相手だとしても、)
スティーブ(何度ボコボコにされたって―――彼女が教えてくれた『ボコ』のように、僕達は立ち上がる)
スティーブ(そう、アベンジャーズは、決して諦めない)
スティーブ(全てを取り戻すまで―――)
スティーブ(―――僕達は、立ち向かう)
15: :2019/04/25(木) 10:28:02.06 ID:6h9tszzI0
以上で終了です。
若干キャラ死にネタっぽくなんてしまいましたね、申し訳ないです…。
最後のシーンはPVから適当に妄想したものなので、本編に同様のシーンがあるかは不明です。
では、HTML化依頼だしてきます
若干キャラ死にネタっぽくなんてしまいましたね、申し訳ないです…。
最後のシーンはPVから適当に妄想したものなので、本編に同様のシーンがあるかは不明です。
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元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1556154494/
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