1:2017/05/11(木) 18:38:48.49ID:YfG/nJPi.net

~煉獄~

ズドッ ズガァッ ズシャッ ズバッ ズドォォォォン

智天使ABC「「「ぐあああっ!!!」」」ドシャアアアアッ

堕天使ヨハネ「毎度毎度天使どもも懲りないわねぇ……」バサァァッ

ヨハネ(私は天界にも魔界にも属さず、この煉獄の中の片隅で静かに時を過ごそうとしてるってのに……)

ヨハネ(堕天使を煉獄の不純物扱いしてくれちゃって……。堕天使狩りだかなんだか知らないけど、鬱陶しいったらありゃしない)


2:2017/05/11(木) 18:42:45.32ID:YfG/nJPi.net

ヨハネ「《第五領域》止まりの智天使ごときが何人来ようとも、《第六領域》の力の座にあるこのヨハネの相手にはならないわよ」

智天使A「ぐっ……!」

ヨハネ「私を倒したかったら、熾天使をここに連れてこいと、何度言ったら分かるのかしら?」

智天使B「し、熾天使様はお忙しいんです!」

智天使C「貴様なんぞに構ってる暇などあらせられんのだ!」

ヨハネ「雑魚が何度も出向いて私の相手をしてる方が時間の無駄だと思うけどね」


3:2017/05/11(木) 18:46:24.20ID:YfG/nJPi.net

――――――――――――――――――――――――――――

智天使D「――熾天ノ聖剣・堕天葬ッ!!!」ドシュウウウッ

ギュオオオオオオオオッ

――――――――――――――――――――――――――――


智天使A「……! 今だ! 眩視の閃光!」カッ

ヨハネ「ふん、目眩ましなどヨハネには効かないわ!」ギランッ

智天使BC「「光天の大聖砲!!」」バシュウウウッ

ヨハネ「どこに撃ってるの? 私の左右に撃ったところで……」ピタリ

ギュオオオオオオオオオオオオオオオッ

ヨハネ「!!?」ハッ


4:2017/05/11(木) 18:51:03.96ID:YfG/nJPi.net

ヨハネ(まさか、今のは……私の注意を逸らし、動きを封じるためにわざと外して……)

ヨハネ「結界っ!!」ヴゥゥン

智天使A「無駄だ。ソレは堕天使の結界をすり抜ける。防御は不可能だ」

――ドスッッッ

ヨハネ「かはっ……!」

ヨハネ(背後から……これは……光の剣……!?)バチバチバチィッ

ヨハネ「本命は……これ……か……」ゴフッ

智天使A「まんまとかかったな……!」

智天使B「今回、我ら3人はただの囮……」


6:2017/05/11(木) 18:53:52.68ID:YfG/nJPi.net

智天使C「天界にて新たに製造されし対堕天使用の新兵器、《熾天ノ聖剣・堕天葬》……」

智天使C「それを4人目に遠距離から狙撃させる……これが今回の作戦だ」

智天使A「さて……念のためとどめを……」ジリ…

ヨハネ「っ!!」バサァァァッ ズオオオオオッ

智天使A「チッ!」バッ

智天使B「万物を切断する12枚の黒翼……厄介ですね」

智天使C「さすがは《第六領域》の力を持つ元熾天使……バケモノめ」

ヨハネ「はぁ……はぁ……」ギリッ


7:2017/05/11(木) 18:57:53.54ID:YfG/nJPi.net

智天使A「……まあいい、作戦は成功した。此奴はじきに力尽きるだろう……我らは撤退しよう」

智天使B「堕天使ヨハネ。あなたの胸を貫いているその聖剣……あなた自身がそれを引き抜けばどうなると思いますか?」

ヨハネ「即死でしょ……分かるわよ……、なかなかの兵器じゃない……」
 
智天使C「その通りだ。そして、引き抜かずとも、貴様の命はその剣の聖なる力によって削り取られていく」

智天使A「どの道お前はもう終わりだ、ヨハネ。さらばだ」バサアッ ヒュンッ

智天使B「今回初めて使用された《熾天ノ聖剣・堕天葬》……今後の堕天使狩りに大いに役立ちそうですね……!」バサアッ ヒュンッ

智天使C「じわじわと朽ち果てるがいい、熾天使の座を剥奪された堕天使め……!」バサアッ ヒュンッ


8:2017/05/11(木) 19:00:20.26ID:YfG/nJPi.net

ヨハネ「……。ふっ……私に恐れをなして逃げたか……」

ヨハネ「……ぐっ……うぐっ……!」ドサッ

ヨハネ(忌々しい聖剣め……! なんたる力……私ではどうにもならない……)

ヨハネ(ここまで、か……っ)


――――――――――――
――――――――
――――

~昼休み、部室前~

花丸「善子ちゃん、寝不足だから誰にも邪魔されない部室でひと眠りしてくるって言ってたけど……」

花丸「ちゃんと安眠してるか、ちょっと様子見……」ソーッ


9:2017/05/11(木) 19:02:43.09ID:YfG/nJPi.net

善子「ぅぅ……うーん……うーん……」


花丸「! うなされてる……! 悪い夢でも見てるのかな……?」タタッ

善子「うう……うぅっ、ううん……」

花丸(どうするずら……? 起こした方がいい? それとも、悪夢でも寝かせてあげた方がいいの……?)

善子「うう~っ、ぅぅぅ……っ」

花丸(……起こそう!)

花丸「善子ちゃん! 起きて! 大丈夫だよ! それは悪い夢だよ!」ユサユサ

善子「うぐ……うう……うううっ」ユサユサ


10:2017/05/11(木) 19:04:55.82ID:YfG/nJPi.net

花丸「善子ちゃん! しっかりして! 善子ちゃんっ!」ユサユサ ユサユサ

善子「うう……うーん、うぐぐ……」ユサユサ ユサユサ

花丸「どうしよう、全然起きない……っ」

花丸(まだ昼休みが終わるまで時間がある……。最終手段は応援を呼ぶとして、今は……)

花丸「…………」ス… ギュッ

善子「ぅ……んっ……」

花丸(こうして……善子ちゃんの手を握って、善子ちゃんのそばに居よう……)


11:2017/05/11(木) 19:07:21.39ID:YfG/nJPi.net

――――
――――――――
――――――――――――

ヨハネ「ぅぐぐ……ううっ……」

ヒュン バサァァッ

ヨハネ「! 誰!?」バッ

ヨハネ(チッ……! 視力が衰えて、視界がぼやける……!)

????「ヨハエルちゃん、久しぶりだね」

ヨハネ「12枚の白翼か……! 熾天使……っ!!」ギュオンッ

ガキィィィィィンン

????「マルはヨハエルちゃんを助けに来たんだ。だから、攻撃するのはやめてほしいな」ググッ


12:2017/05/11(木) 19:12:44.19ID:YfG/nJPi.net

ヨハネ「熾天使ヨハエルはもういない! ここにいるのは堕天使ヨハネよ!」グググッ

????「その聖剣は天使のみが扱える剣。熾天使であるマルが引き抜けば、ヨハエルちゃんは死なずに済むずら」ググググッ

ヨハネ「堕天使を助ける天使なんて聞いたことないわよ! どうせ罠なん……」ググググッ

ヨハネ「……え? マル……? ずら……? ってぇぇ!? あ、アンタ……っ!」ピタッ

????「話はあと。痛いと思うけど、我慢してね……! 抜くよ……!」ヒュッ ズシュッ

ヨハネ「ぐああああっ……!」ジタバタ ジタバタ

????「ごめんね……! すぐに治癒するから……!」ポウ…


13:2017/05/11(木) 19:16:53.73ID:YfG/nJPi.net

パァァァァァッ…

ヨハネ(! 温かい……痛みが消えて……傷口が塞がっていく……)

ヨハネ(視界が開ける……! ああ……懐かしい顔が……!)

ヨハネ(ってぇ!?)

ヨハネ「ちょっと待って!? 熾天使なんかに治癒されたら私、浄化されて消え……!」

????「……大丈夫だよ」バサバサァッ

ヨハネ「12枚の……黒、翼……!? あれ? さっきまでは白だったのに……! わ、私と同じ……12枚の……黒翼……どうして……」

????「堕天使を助けた天使は天使でいられなくなる。マルは、ヨハエルちゃんから聖剣を引き抜いた時点で堕天使になっちゃったんだ」

????「もう後戻りはできないけど……これからはずっと一緒に居られるよ……ヨハエルちゃん」

ヨハネ「なんで……なんでよ……!」


14:2017/05/11(木) 19:20:25.73ID:YfG/nJPi.net

ヨハネ「熾天使の座を放棄して……堕天使に身を堕とすと知ってて……私を助けたって言うの……!?」

ヨハネ「マルエル……!!」

マルエル「ヨハエルちゃんはマルの大切なお友達だからね」

ヨハネ「もう私はヨハエルじゃないわ、ヨハネよ! ……ずらまる」

マルエル「ふふっ、そのあだ名、懐かしいずら♪」

マルエル「……ごめんね。ヨハエルちゃんが天界を追放された時、何もしてあげられなくて……」

ヨハネ「……いいのよ。私の自業自得だから……ずらまるには関係ないわ……」


15:2017/05/11(木) 19:24:49.63ID:YfG/nJPi.net

――――――――――――
――――――――
――――

善子「……すぅ……すぅ……」

花丸(よかった……善子ちゃんの顔つきが穏やかになった……寝息も安らかだね)

善子「……すぅ……すぅ……ん……っ」ギュッ

花丸「!」

花丸「善子ちゃん……」ギュウ

花丸(……一体、どんな夢を見てるんだろう……)


16:2017/05/11(木) 19:28:33.55ID:YfG/nJPi.net

――――
――――――――
――――――――――――

マルエル「……この星に生まれた全ての人間を殲滅するための兵器の1つ、《天の槍》……。ひとたび放たれれば、瞬時に人の数と同じ数だけ分裂し、全人類の心臓を同時に貫く」

ヨハネ「地中だろうが海中だろうが宇宙空間だろうがどこにも逃げ場はない。万物を貫いて突き進み、全ての人間を必ず即死させる対人類兵器……」

マルエル「こんな兵器が、天界にごろごろあるなんてね」

ヨハネ「そうね……。《天の槍》は私が破壊したとはいえ、他にも対人類兵器はいくつも存在する……。《天の槍》自体も結局、また製造されるかもしれないわ……」

マルエル「天界はいつでも人類を滅ぼせてしまう……正直、ゾッとするよ」


17:2017/05/11(木) 19:38:55.67ID:YfG/nJPi.net

ヨハネ「今の天界は人類守護派、人類不干渉派、人類根絶派の3大派閥で揺れ動いてる。人類をこの星にとって有害であるとみなす人類根絶派の勢力が強まれば、人間たちはおしまいだわ」

マルエル「ヨハエルちゃんが《天の槍》破壊の罪で天界を追放された後、マルもヨハエルちゃんみたいな熾天使になれるよう頑張ったずら」

ヨハネ「私が天界を去る前のアンタ、座天使だったわよね。ほんと、熾天使になっててビックリよ」

マルエル「ふふっ。……そして晴れて熾天使となり、人類守護派の勢力拡大と人類根絶派の弱体化戦略、今後の対人類兵器製造への取り締まり等に尽力したずら」

ヨハネ「へえ。やるじゃない」

マルエル「……煉獄内の堕天使狩りの妨害……出撃する天使の数に制限を設けたり、熾天使の介入をなるべく制約したり、とかも……」

ヨハネ「……ずらまる……」


18:2017/05/11(木) 19:41:56.39ID:YfG/nJPi.net

マルエル「結局、対堕天使用の聖剣の製造を食い止めることはできなかったけど……」

ヨハネ「あ……」

ヨハネ「……いいのよ、別に。いろいろありがとね……マルエル……」

マルエル「……ううん、マルは何も……」

ヨハネ「…………」

ヨハネ「そうだ。堕天使となってしまった今、アンタの天使だったころの名前はもう使えないわ」

マルエル「うん、そうだね」


19:2017/05/11(木) 19:44:00.33ID:YfG/nJPi.net

ヨハネ「このヨハネがかっこいい名前付けてあげる!」

マルエル「ええっ……。不安だなぁ……」

ヨハネ「遠慮しないで! 思いつくまでは『ずらまる』を仮の名前として使いなさい!」

マルエル「あははは……うん。いいよ」

ヨハネ「それで、アンタは私のことをヨハネって呼ぶの!」

ずらまる「う~ん……」ウデグミ

ヨハネ「なんでそこ悩むの!?」


20:2017/05/11(木) 19:48:42.90ID:YfG/nJPi.net

ずらまる「それで、今後のことだけど……」

ヨハネ「堕天使狩りかぁ……。次にあの聖剣を突きつけられたら、私たちお互いに助けることなんてできないし……」

ずらまる「天使以外が引き抜いたら即死だからね……。マルももう堕天使になっちゃったし……」

ずらまる「……《力の神域》とされる《第七領域》に、マルが至れていれば……。そしたら聖剣の力を無力化することも……」

ヨハネ「無理よ……。《第七領域》に到達した熾天使は、14枚の白翼と共に女神に迫る力を得る。……でも」

ヨハネ「それを成し遂げられるのは熾天使の中の熾天使だけ。《第七領域》に到達できた熾天使なんて、片手で数えられるくらいしかいないわ」


21:2017/05/11(木) 19:55:40.71ID:YfG/nJPi.net

ずらまる「はぁ……とりあえず、煉獄にはもういられないずら。……魔界にでも行ってみる?」

ヨハネ「堕天使が魔界に足を踏み入れると、いずれ悪魔と化すわ。そして、大抵の悪魔は人間に災いをもたらす」

ずらまる「人間に友好的な悪魔も少数派だけどいるにはいるよ?」

ヨハネ「私たちが人間に寄り添える悪魔になることを目指すのもアリっちゃアリだけど……」

ヨハネ「魔界は混沌の世界。秩序ある天界とは比較にならないほどに弱肉強食の世界よ。正直、安らかに過ごすことはできそうにないわね」

ずらまる「じゃあ人間界に降りて、人間として過ごす?」

ヨハネ「……できるの? そんなこと……!」


22:2017/05/11(木) 20:00:05.01ID:YfG/nJPi.net

ずらまる「人間界の情報をいろいろと書き換えないといけないけど。前例はいくつかあるよ」

ずらまる「過去のどのケースでも、人間界で人間として大人しく過ごす分には、天界は監視はすれども干渉はして来ないみたい」

ヨハネ「それよ! 人間として暮らしましょう! 大変なこともたくさんあるだろうけど、いつかきっと幸せに……」

ずらまる「危ないっ!」

ドンッ

ヨハネ「なっ!?」ヨロッ


23:2017/05/11(木) 20:01:06.83ID:YfG/nJPi.net

ザクザクザクッ

ずらまる「ぅあ……っ」グラリ

ずらまる「…………」ドサッ

ヨハネ「ずらまる……っ!? ずらまるぅぅっ!!!」

ヨハネ「3本の聖剣……! 一体、どこから……」

ずらまる「マルの……ことは……いい……から……」

ヨハネ「そ、そんな……嫌……嫌……!」


24:2017/05/11(木) 20:08:08.87ID:YfG/nJPi.net

ずらまる「逃げ…………て…………」

ヨハネ「花丸!! 花丸!! 花丸ぅぅぅぅ!!!」

ずらまる「………………………………」


善子「い、嫌あああああああああああああっっっ!!!」


ピシッ ビキビキッ ピシッ

「……ちゃん! ……ちゃん!」


27:2017/05/11(木) 20:55:09.00ID:YfG/nJPi.net

善子「花丸がぁ……!!」

ピシッ ピシッ

「善子ちゃんっ!」


善子「花丸……!! 花丸ぅぅぅ……!!」 


ピシピシッ ビキッ パリーーンッ

花丸「善子ちゃん!! 善子ちゃん!! それは夢だよ!! 目を覚ましてっ!!」


30:2017/05/11(木) 20:58:17.83ID:YfG/nJPi.net

花丸「善子ちゃん! マルはここにいるよ!」ギュッ

善子「花丸があああ……っ!!!」

花丸「マルは……ここにいるよ……善子ちゃん」ギュウッ

善子「…………っ!!?」ハッ


――――――――――――
――――――――
――――

「……ちゃん! 善子ちゃん!」

善子「はっ!!?」ガバッ


31:2017/05/11(木) 21:01:03.56ID:YfG/nJPi.net

花丸「善子ちゃん!!」

善子「は……花、丸……っ」

花丸「よかった……! 目を覚ました……!」ホッ

花丸「一時的に良くなったと思ったら、またうなされ始めたから心ぱ……」

善子「花丸っっ!!」ガバッ

花丸「うわっ!?」ギュウッ

善子「よかった……! 居た……! 無事で……よかった……っ!」ギュウウウ

花丸「あはは……苦しいよ善子ちゃん……」ギュウウウ


32:2017/05/11(木) 21:03:19.76ID:YfG/nJPi.net

花丸「……ごめんね」

善子「……何よ、いきなり」

花丸「マルがそばに居たせいで、余計に怖い思いさせちゃったかも……」

善子「そんなことない」

花丸「……え?」

善子「アンタが居てくれてよかった」


33:2017/05/11(木) 21:05:57.83ID:YfG/nJPi.net

善子「手、ずっと握っててくれたでしょ。ありがとね」

花丸「…………」

花丸「ど、どういたしまして……っ! ///」カァァ

善子「な、何照れてんのっ!? わ、私だって恥ずかしいんだけど! ///」カァァ

善子「だいたい、このヨハネが悪夢なんて見るわけないでしょ!? この私に怖いものなんてないんだからっ! ///」

花丸「はいはい♪ ///」クスッ

善子「なっ!? わ、笑うなぁ! ///」


34:2017/05/11(木) 21:10:18.43ID:YfG/nJPi.net

善子「……忘れなさい」

花丸「え?」

善子「さっきまでのことは全部、忘れなさい」

花丸「嫌ずらっ♪」ニコッ

善子「なぁ!? こ、このっ……!」

花丸「善子ちゃん、マルのこと、無事でよかったって言って……抱きしめてくれたずら」

善子「…………っ/////」カァァァッ


35:2017/05/11(木) 21:11:54.90ID:YfG/nJPi.net

花丸「マルが居てくれてよかったって言ってくれたずら。……嬉しかった……」

善子「や、やめてぇぇ!! /////」カオマッカ

花丸「忘れようと思ってももう脳裏に焼き付いちゃった。手遅れずら♪」ニコニコ

善子「ぐぅぅ……! もうアンタのことなんて知らない! ヨハネって呼んでくれなきゃ許してやんない!」プルプル

花丸「ヨハネちゃん」

善子「あっさり呼ぶなぁ!!」


36:2017/05/11(木) 21:14:03.09ID:YfG/nJPi.net

花丸「ねえヨハネちゃん。ヨハネちゃんはどうして堕天使なのに、地上にいるの?」

善子「! ……私が地上に降りてきた理由?」

花丸「うん」

善子「くっくっくっく……。よくぞ聞いてくれたわね。それはね……」

善子(生まれ変わったあなたに会いに……)

善子(なんてね)


37:2017/05/11(木) 21:16:25.97ID:YfG/nJPi.net

善子「……翼を失ったからよ。な、何よ、堕天使が人間界にいちゃ悪いっての?」

花丸「ううん。ただ、なんとなく理由を聞いてみたかっただけだよ」

善子「……そう」

善子「……たまにはずらまると、こういう話をしてみたかったり……」

花丸「えー、どうしよっかなー」

善子「ちょっとぉ!」


38:2017/05/11(木) 21:18:39.36ID:YfG/nJPi.net

花丸「……ヨハ……ううん、善子ちゃん」

善子「ヨハネよ! なんで途中で言い換えるの!」

花丸「人間っていいよね」

善子「…………」

善子「堕天使に向かってそれ言う? ……愚かで下等な存在よ? 人間って」

善子「でもまあ、いいんじゃないの」

善子「……人間は人間で大変だけどね」


39:2017/05/11(木) 21:20:50.22ID:YfG/nJPi.net

善子(この地上の世界……人間界も、いつか天界や魔界によって滅ぼされる日が来るかもしれない)

善子(いや、むしろ人間同士の争いで滅びる方が早いかもね)

花丸「また会えて嬉しかったよ……善子ちゃん」

善子(なんで人間の話からいきなり再会の話に……。いや、まさかね)

善子「そうね。この地でまた巡り合えてよかったわ……花丸」

善子(あれは悪夢でも、ましてや夢でもなくて……ほんとは……ほんとは……)

善子(ヨハネはもう、人間たちを護る力はないけれど……せめて、ずっと……)

花丸(マルはもう、自分のことで善子ちゃんを悲しませたくない……だから、ずっと……)

善子・花丸((……ずっと、あなたのそばにいよう))



おわり