1:2018/05/05(土) 00:28:44.74 ID:aKmjSQTp.net

梨子「…」

梨子「何で私はあんなことをしたのかな…」

梨子「ピアノが弾けないからって引っ越してきた先で海に飛び込んで、溺れそうになったところを助けてもらって!」

梨子「助けてくれた人が死んじゃったなんて…」

梨子「バカみたいじゃない……」

梨子「うぅっ…」

梨子「『海に還るもの』…」

梨子「海に還るもの…こんな冗談にもならないようなもの……!」

『うみにかえるもの?』


2:2018/05/05(土) 00:29:40.81 ID:aKmjSQTp.net

『へぇ~』

『それ、貴女が書いたの~?』

梨子「そう でも」

梨子「見ず知らずの人に迷惑をかけたから」

梨子「こんな曲は…もう、見たくない」

『う~ん それほど迷惑ってほどでもないような~』

梨子「貴女に何が分かるの!?私のせいで…!」

梨子「って…」

梨子「えっ……?」

『あはは』

梨子「き…」

梨子「きゃああああああああ!!」


3:2018/05/05(土) 00:30:36.87 ID:aKmjSQTp.net

梨子「い、生きてたの!?」

梨子(って、そんなわけ無いじゃない!)

梨子(お葬式にも出たし、きっと幻覚)

梨子(ずっと寝てなかったし、疲れてるのかな……)

『ううん、生きてはいないんだけど~』

梨子「…っ!」

『ほら、ちょっとだけなら浮いたりもできるんだよ~』

『いわゆる幽霊ってやつかも~?』

梨子「えっと」

千歌『あっ、知ってるかもしれないけど、私は高海千歌だよ、よろしくね!』

千歌『握手、しよっ!』ギュッ


4:2018/05/05(土) 00:31:13.92 ID:aKmjSQTp.net

梨子「えっと、そうじゃなくって…高海、さん?」

千歌『な~に~?』

梨子「貴女は私を助けてくれた…?」

千歌『うん!』

千歌『千歌って呼んでほしいな~』

梨子「えっと…えーっと……」

梨子(えーっと?訳が分からないんだけど、どういうこと?)

梨子(私を助けてくれた女の子が、私の目の前に立ってる)

梨子(っていうか、浮いてる……)

梨子(心も体も疲れてて、その上幽霊?に憑かれてるなんて…)

梨子(って、いやいやいや!私、何考えてるんだろ……もう寝なきゃ…)

千歌『あははっ、貴女って面白いね~』

千歌『今のは疲れたと憑かれた~っていうのをかけたんだよね?あははっ!』

梨子「!?」

梨子(なんで考えてることまで…!?)


6:2018/05/05(土) 00:31:59.06 ID:aKmjSQTp.net

千歌『うーん?よくわかんないけど貴女に触ってる間は貴女の考えていることが分かるみたいなんだ~』ギュー

梨子「そ、そんなこと!」

梨子(嘘に決まってるじゃない)

梨子(音ノ木坂からこっちに引っ越してきて、まだ友達も知り合いも居ないから私のことなんて分かるはずがないのに)

梨子(って、さっき考えてたことは私のことを知っていようが他の人が知り得ないことだし、まさか……本当に?)

千歌『え~~~~~~!?』

梨子「きゃあっ!」

千歌『音ノ木坂って、もしかしてもしかして…』

千歌『あのμ'sが居た、あの音ノ木坂!?』

千歌『あそこから来たの~~~!?』


7:2018/05/05(土) 00:32:43.90 ID:aKmjSQTp.net

梨子(私の考えてること言い当てた!?)

梨子(本物…?)

梨子(本当に……本物の…幽霊、なの…?)

千歌『ねえねえ!μ'sのみんなには会ったことある?今はどんなグループがスクールアイドルしてるの!?』

千歌『μ'sのライブ見たことある!?すっごい可愛いくって、輝いているんだよ~』

梨子(聞いてないし……)

千歌『私ね、μ'sのダンスや歌が大好きなんだ!』

千歌『だから私もμ'sみたいになれたらいいなーなんて思って、スクールアイドルやろうって思ってたんだ』

梨子(…)

梨子(胸が痛い……)

梨子(この人の夢を)

梨子(ううん、夢だけじゃなく全てを私が奪ったんだよね……)


8:2018/05/05(土) 00:33:43.92 ID:aKmjSQTp.net

千歌『だからぁ~、そんなに落ち込まないでって!』

千歌『で、スクールアイドルって知ってる?』

梨子「ううん、知らないけど…」

梨子「って、落ち込まないわけ無いじゃない!」

千歌『えーっと、えーっと……』

千歌『なまえ、何だっけ?』

梨子「私の、なまえ?」

梨子「私は桜内梨子……」

梨子「そうじゃなくって!高海さん…ううん、千歌ちゃんはもう……」

千歌『うん』

千歌『私はあの時、梨子ちゃんを助けて死んじゃったんだ』


10:2018/05/05(土) 00:34:29.68 ID:aKmjSQTp.net

千歌『私が死んで、美渡姉や志満姉やお母さん達がすっごく悲しんで』

千歌『果南ちゃんや曜ちゃんも悲しんでくれてたんだ』

千歌『私ね、みんなに私の事で悲しんでくれてありがとうって、今まで一緒にいてくれてありがとうって』

千歌『私は、高海千歌はお母さんや美渡姉達の家族に生まれて、果南ちゃんと一緒に遊べて』

千歌『ずっとずーっと幸せだったって、言いたかったけど』

千歌『言いたいのに、言えなかったんだ』

梨子(……)

千歌『私の気持ちを伝えられるかな~って思って』

千歌『ほら、よくある枕元に立つって感じのことをしてみてもダメだった』

千歌『私の気持ちはこんなにはっきりあるのに、誰にも伝えられないんだって』

千歌『私のお仏壇に皆が手を合わせてくれてるのを見てね』

千歌『その時分かったんだ。 だめだって』

千歌『だから、ちょっと寂しかった』


11:2018/05/05(土) 00:35:28.99 ID:aKmjSQTp.net

千歌『そもそも死んじゃったらみんなの様子も見られないのが普通なんだよね、たぶん』

千歌『うん、それがふつうなんだ!私はもう死んじゃったんだ!』

千歌『そんなことを考えながら私が助けた人』

千歌『梨子ちゃんの家に来たら……』

千歌『こうやってお話をするどころか、触れ合ったりすることにも成功したのです!』

千歌『奇跡だよ~~~!』

梨子「さみしく、ないの?」

梨子「もう、家族や友達とはお話し出来ないんだよ…?」

千歌『さっき言ったじゃん』

千歌『死んじゃったらそれが普通なんだって!』


12:2018/05/05(土) 00:36:14.33 ID:aKmjSQTp.net

千歌『でも、こんな姿になっても梨子ちゃんだけは私のこと見えてくれてるから』

千歌『私とお話ししてくれるから』

千歌『今は……』

千歌『今はさみしくないから、大丈夫』

梨子(どうして?)

梨子(どうして、こんなに強いんだろう…)

梨子(私がもし、千歌ちゃんと同じ立場になったら……)

梨子(どんな事を感じるのかな)

梨子(きっと悲しいし、辛いと思う…)

梨子(私が死んじゃったら……お母さん……)

梨子(うぅっ……ごめん…なさい……)


13:2018/05/05(土) 00:36:59.36 ID:aKmjSQTp.net

千歌『だからね』

千歌『今の私はこんな感じだけど…』

千歌『私と、友達になってくださいっ!』


梨子「…ゔんっ!」

千歌『泣かないでよ~』

梨子「ごめん…ね……」

千歌『いいってば~』

梨子「うぅっ…」

千歌『…梨子ちゃん!』

梨子「千歌ちゃぁんっ…!」

\ドン/


14:2018/05/05(土) 00:37:44.48 ID:aKmjSQTp.net

梨子「……朝?」

梨子(さっきのは…??)

梨子「夢……?」

梨子(夢、だよね…? 私を助けてくれた子、千歌ちゃんが目の前に現れるなんて)

千歌『ううん、夢じゃないよ』

梨子「だよね。千歌ちゃん」

梨子「……って、きゃあ!」

千歌『え~、驚くのはひどいよ~』

梨子「千歌ちゃん……?」

千歌『頭、大丈夫?』ナデナデ

梨子「ちょっ…それ、どういう意味?」

千歌『だって梨子ちゃん』

千歌『昨日の夜、壁にぶつかってそのまま寝ちゃったから』


15:2018/05/05(土) 00:38:28.81 ID:aKmjSQTp.net

梨子(壁?)

梨子(昨日の夜は千歌ちゃんがいきなり目の前に現れて……)

梨子(友達になろうって言われて、えーっと…?)

梨子(気持ちを抑えきれなくて千歌ちゃんに抱きつこうとしたら……そのまま)

梨子(……あっ、頭にたんこぶ出来てる)

梨子「もしかして」スカッ

梨子「私の方からは千歌ちゃんに触れないのかな?」

千歌『そうみたいだね~ あはは』

千歌『でも私は梨子ちゃんに触れるんだね』ピト

梨子「ほんと、不思議」

千歌『美渡姉にイタズラしようと思っても出来なかったのにー!』

千歌『梨子ちゃんにはこうやって~』プニッ

梨子「もぅっ!」

千歌『あははっ!』


16:2018/05/05(土) 00:38:59.45 ID:aKmjSQTp.net

千歌『っていうわけで~』

千歌『スクールアイドル、やってみない?』

梨子「えっと……?」

千歌『昨日言ったじゃん!スクールアイドルっていうのがあって、キラキラ輝いてる感じが好きなんだぁ』

千歌『梨子ちゃんだったらさ、きっと素敵なスクールアイドルになれると思うんだ!』

千歌『どう?どうかな~?』

梨子「私には… 出来ないよ…」


17:2018/05/05(土) 00:39:32.21 ID:aKmjSQTp.net

千歌『ど~して~?梨子ちゃん、こんなに可愛いのに~』

梨子「何言ってるのっ//」

千歌『照れてる~?』

梨子「もうっ!」

梨子「私は人前で歌ったり踊ったりするのは自信ないかな……」

千歌『そっかぁ』

千歌『じゃあじゃあ、曲を作ってもらうっていうのはどうかな?』

梨子「私の曲なんかじゃ…」

梨子「だめだよ」


18:2018/05/05(土) 00:40:07.48 ID:aKmjSQTp.net

千歌『うーん…』

千歌『だったら弾いてみて!『海に還るもの』!』

梨子「…」

千歌『ね~~え~~~?』

梨子「はぁ…断れなさそうね」

梨子「あんまり良い曲じゃないよ…?」

千歌『えへへ』


19:2018/05/05(土) 00:41:06.70 ID:aKmjSQTp.net

梨子「……」

梨子(やっぱり弾けない)

梨子(全然イメージが湧かない)

千歌『だったら、梨子ちゃんが作った曲じゃないものでどうかな~?』

梨子「うーん、クラシックとか?」

千歌『お~!』

梨子「えっと、それなら最近弾けるようになった『マゼッパ』を弾こうかな?」

千歌『混ぜっぱ?しゃかしゃかで生クリームでも作るの?』

梨子「しゃかしゃか?ふふっ、それってホイッパーのこと?」


20:2018/05/05(土) 00:41:43.87 ID:aKmjSQTp.net

梨子「『マゼッパ』はリストっていう作曲家さんの作品で、コンクールや演奏会でよく弾かれている曲なの」

梨子「よく弾かれてるって言っても、レベルの高い演奏会での話だけど」

梨子「だからリストの中で一番弾かれてるのは『ラ・カンパネラ』かな? 『愛の夢』とかも多いかも?」

梨子「有名って意味ではその二つかな?」

千歌『へ~』

千歌『よくわからないけど、『愛の夢』っていうの聴いてみたいな!』

千歌『何か幸せになれそうな名前だもん!』

梨子「ふふっ♪それじゃあ弾くね」

梨子「もしかしたらどこかで聞いたことがあるかも?」

千歌『へ~、でもたぶん分からないから楽しみ~!』

梨子「あ、あんまり上手じゃないよ?」


ポーン♪ ターン タラララ..♪


21:2018/05/05(土) 00:42:36.78 ID:aKmjSQTp.net

千歌『すっごい!綺麗な曲~~』

千歌『ぐすっ…感動して、泣けてきちゃったよ』

千歌『梨子ちゃんの気持ちがこもってた、素敵な曲だったよ!』

梨子「ふふっ、喜んでもらえて良かった♪」

千歌『すっごく心に響いたんだけど、ちょっと暗かったかも?』

千歌『この素敵な曲にはどんな気持ちがこもってたの?』

梨子「この曲はフライリヒラートって人の詩に倣って作曲されたの」

梨子「その詩を想いながら、気持ちを込めてみたんだけど…」

千歌『どんな詩なの?』

梨子「内容は要約すると…

"愛する人が死んでしまうまで、ずっと愛してあげてね。

死んでしまったらもう……何も答えてはくれないのだから──

きっと、いつか、その時が来るから…それまでずっとずっと愛してあげてね……"」


22:2018/05/05(土) 00:43:13.94 ID:aKmjSQTp.net

千歌『…そっか』

梨子「あっ…」

梨子「………」

梨子「ごめんなさい、無神経だったね……」

梨子「……本当に、ごめん」

千歌『も~!またそうやって落ち込むんだから!』

千歌『私はね、梨子ちゃんとこうしてお話ができるだけですっごく楽しいんだよ!?』

千歌『だからもうそんなこと言ったらだめだから!!』

梨子「ごめんね」

千歌『ごめんじゃなくって!』

梨子「…うん」


23:2018/05/05(土) 00:44:00.37 ID:aKmjSQTp.net

千歌『と!いうわけで~』

梨子「えーっと…?」

千歌『スクールアイドル、どう?』

千歌『梨子ちゃんだったら素敵な音楽を作れると思うんだ』

梨子「うん」

梨子「それなら作曲だけ…それでもいいならやってみようかな」

千歌『ホント~~!?』

千歌『やったー!』


24:2018/05/05(土) 00:44:43.11 ID:aKmjSQTp.net

………

梨子(学校の図書室にアイドルの雑誌なんか置いてあるのかな?)

千歌『あるある、きっとあるよ!』

千歌『だって図書室なんだよ?アイドル雑誌だって立派な図書だよ~』

千歌『図書カードでも購入できます!』

梨子(ふふっ、なにそれ)

梨子(っていうか、授業も一緒に受ければよかったのに)

千歌『えー、だって私はお化けだもん!』

千歌『だからもう勉強しなくていいもん!』

千歌『お化けには試験も何にもないのだ♪』

梨子(いいのかなぁ)


25:2018/05/05(土) 00:45:58.55 ID:aKmjSQTp.net

花丸「今日も図書室はガラガラだなあ」

花丸「こーんなに素敵な本がたーくさんあるのに…」

花丸「はぁ、可愛そうな蔵書達……マルがぜーんぶ読んであげるからね!」

梨子「あのー、すみません」

花丸「は、はいっ!」

梨子「この図書室には雑誌なんて置いてないよね?」

花丸「雑誌なら11番の棚の奥の方においてあります」

花丸「あっ、学校の図書室なので漫画とかは置いてないですけど」

梨子「ありがとうございます」

花丸「図書室に人が……」

花丸「事件ずら~!」


26:2018/05/05(土) 00:46:53.71 ID:aKmjSQTp.net

梨子(えーっと、雑誌雑誌っと……この辺りかな)

千歌『梨子ちゃん、梨子ちゃん』

梨子(えっ、どうしたの?)

千歌『この子が読んでる雑誌!今月発売のスクールアイドルの月刊誌だよ!』

ルビィ「~♪」

千歌『今月は第一回ラブライブ!優勝のA-RISEの3人みたいだよ~~!』

梨子「らぶらいぶ… あらいず……」

ルビィ「……えっ?」

梨子(あっ…)


27:2018/05/05(土) 00:47:27.67 ID:aKmjSQTp.net

千歌『早くページめくってくれないかなぁ~』

ルビィ「………!」

梨子「ご、ごめんなさい 邪魔しちゃったかな?」

ルビィ「い、いいえ!」

ルビィ「…」

梨子「……」

ルビィ「あのぅ…」

ルビィ「さっき、A-RISEって」


28:2018/05/05(土) 00:48:00.00 ID:aKmjSQTp.net

梨子「う、うん…えー…っと」

梨子「あらいずの3人の特集をやっているんだなぁって」

ルビィ「はいっ!今月号は第一回ラブライブ!を優勝したA-RISEの三人の軌跡について特集されているんです!」

ルビィ「そして来月は第二回ラブライブ!優勝したμ'sの特集です!」

梨子(えーっと…)

千歌『え~~~~!?今月号も来月号も、読みた~い!』

ルビィ「あ、あのっ…」

ルビィ「も、もしかして…スクールアイドルに興味があります…か?」

梨子(えぇーーっと…)


29:2018/05/05(土) 00:48:38.71 ID:aKmjSQTp.net

千歌『梨子ちゃん!チャンスだよ!』

千歌『この子はスクールアイドルが好きみたいだから、スクールアイドルに誘っちゃおう!』

梨子(ど、どうやって?)

千歌『まずはスクールアイドルを二人で熱く語って、その後芽生えた友情でお互いスクールアイドルに!!』

梨子(そんな無茶言わないでよ)

梨子(そもそも私はスクールアイドルを良く知らないのに……)

千歌『でも私は知ってるよ!』

梨子(それは知ってるけど)

千歌『だからぁ~~…』

梨子(も、もしかして…)


30:2018/05/05(土) 00:49:14.29 ID:aKmjSQTp.net

梨子「ふふっ、わ…私…ス、スクールアイドルに興味があるんだぁ」

梨子(本当に大丈夫なのかな…)

千歌『だいじょうぶだいじょうぶ♪』

ルビィ「ぇぇっ!?ほ、本当ですかっ!?」

梨子「ええ」

梨子「あ…A-RISEだったらやっぱり……えーっと…英玲奈さん、が好きかな?」

梨子「あの凛とした態度、それでいてステージの上ではキュートな笑顔と迫力のあるダンス」

梨子「見ていたらいつの間にか惹き込まれちゃうって感じ…」

ルビィ「わぁぁっ!わかりますっ!」

ルビィ「英玲奈さんはインタビューでも淡々としていてクールなイメージがあります!」

ルビィ「でも、いざライブが始まるとアイドルになっちゃうんですよね!」

梨子「そうそう♪」


31:2018/05/05(土) 00:50:05.96 ID:aKmjSQTp.net

梨子「えっとね、、私はクールな英玲奈さんも好きだけど…」

梨子「ライブ中にたまーに出てくる素の笑顔の英玲奈さんも好きなんだぁ」

梨子「なんか、こう…えーっと、スクールアイドルを心から楽しんでるって感じ」

梨子「ライブ中の英玲奈さんを観た後だとクールなのはキャラ作りじゃないの?って思っちゃうくらいだし」

ルビィ「わぁぁ♪英玲奈さんの魅力をここまで表現できる人…ルビィ、初めて会いました!」

ルビィ「あっ、あの!ル、ルビィはA-RISEのすごいところはやっぱりツバサさんの──」

梨子(千歌ちゃん、本当にこれでいいの?)

梨子(騙しているみたいで気が引けるんだけど…)

千歌『うん!ダイジョウブ、ダイジョウブ!』

梨子(まさか千歌ちゃんの代弁なんて、この子も思わないよね…)


32:2018/05/05(土) 00:50:58.71 ID:aKmjSQTp.net

花丸「あれ…?ルビィちゃんがさっきの人とお話してる」

花丸「しかもあんな笑顔で♪」

花丸「もしかしてスクールアイドルの話で盛り上がっているのかな? マルもあとで教えてもらおっと♪」

善子「ずら丸ー?今日も禁断の魔道書 -グリモワール- を探しに行くわよー?」

善子「あんたも良く分からない分厚い本を探しに行くんでしょ?」

花丸「あっ、善子ちゃん!ちょっとだけ待ってほしいんだけど」

善子「どうしたのよ?」

花丸「ほら!あれ、見て!」

善子「ルビィじゃない?あとは……?」


33:2018/05/05(土) 00:51:31.59 ID:aKmjSQTp.net

花丸「ね?すごいでしょ?」

花丸「ルビィちゃんがあ~んなに楽しそうにお話ししてるの、マル初めて見たよ~♪」

善子「……」

善子「そうじゃないわよ!!」

善子「あの先輩の背後に…」

善子「あ、悪霊が……!」

花丸「まーた善子ちゃんの良く分からない設定が始まったずら…」

善子「設定言うな!」


34:2018/05/05(土) 00:52:13.05 ID:aKmjSQTp.net

花丸「そもそも悪霊って何?」

善子「そうよ!早く除霊をしないと先輩どころかルビィまで呪われちゃうわよ!?」

花丸「はいはい、それは大変ずらー あと少しで図書室閉めるから待っててほしいずらー」

善子「何よその棒読み!信じてないでしょ!?」

花丸「うん 本屋さんに早く行きたいのは分かったけどもうちょっとだけ待っててね」

花丸「心配しなくても本屋さんは逃げたりしないよ」

善子「ぬぐっ…… だから本当なんだってばぁ~~!!」

花丸「ふ~~ん?本当だとしても堕天使の善子ちゃんがどうやって除霊するの?」

善子「ふっ、私の堕天力を悪霊に見せつければちょちょいのちょい♪に決まってるんだから!」

花丸「…本気?」

善子「見てなさい!」

花丸「よ、善子ちゃ~ん!!」


35:2018/05/05(土) 00:53:02.35 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「やっぱりあんじゅさんの衣装センスはA-RISEの…」

梨子「うんうん」

善子「ルビィ!こっちに来なさい!」

ルビィ「よ、善子ちゃん!?」

ルビィ「ど、どうしたの…?」

善子「この先輩から離れなさい!」

梨子「えっ?」

ルビィ「な、何かあったの?」

善子「その先輩の背後に恐ろしい悪霊が見えるのよ!」

ルビィ「えぇぇぇぇ!?」

善子「だから早く帰るわよ!」

梨子「えぇ!?」

千歌『もしかして、悪霊って私のこと~~?』


36:2018/05/05(土) 00:53:35.35 ID:aKmjSQTp.net

梨子「あの…」

善子「先輩も離れて!取り返しがつかなくなる前にこのヨハネが全てを終わらせてみせるわ!」

千歌『私、ど~なっちゃうの~!?』

梨子「えーっと、ヨハネちゃん?でいいのかな?えっとね」

善子「動かないで!」

善子「天界より追放されしこの堕天使ヨハネ、封印されし闇の力を以て今ここに悪霊を薙ぎ払わん!」

千歌『うぅ…私はどうやらここまでのようです……』

梨子(えぇっ!?このヨハネちゃんって子、本物の霊能力者なの!?)

善子「沼津の塩ッ!!」バッ

梨子「ぶっ!」


37:2018/05/05(土) 00:54:10.34 ID:aKmjSQTp.net

梨子「しょっぱい…」

千歌『…』

梨子(塩は大丈夫なの?)

千歌『うん、全然平気みたい』

善子「ふっ」

善子「ルビィ、ずら丸、そして先輩!除霊は完了したわ!」

善子「ほら、早く帰るわよ」

千歌『…』

梨子「はぁ…」

千歌『じーっ』

善子「ひぃっ!?」

善子「ま、まさか!この気配は?」

千歌『じーっ…』

善子「悪霊は消滅していなかったの!?」


38:2018/05/05(土) 00:54:44.60 ID:aKmjSQTp.net

善子「こうなったら魔法陣を使って堕天流究極奥義…」

梨子「えっと、ヨハネちゃん?」

善子「は、はい!」

梨子「えっと、まだ悪霊の気配はする?」

善子「ええ、邪悪の根源、陰鬱たる気配はまだ消え失せていないわ」

梨子「その子は私のどのあたりにいるか分かる?」

善子「今はまだ先輩の周辺にいる感じね!」

梨子「どんな姿をしてる?」

善子「悪霊が闇の衣を纏っているせいで詳しくは分からないけど」

善子「10代~20代、もしくは30代~40代、または50代以上の…男性もしくは女性ね、おそらくきっとたぶん!!」

ルビィ「ええ……」

花丸「善子ちゃん……」

千歌『当たってるよ~~!?』

梨子(当たってるの!?ど、どうしよう……)


39:2018/05/05(土) 00:55:25.73 ID:aKmjSQTp.net

梨子「ヨハネちゃん?」

善子「はい…」

梨子「ヨハネちゃんは本当に霊能力があるのかもしれないね」

梨子「でもヨハネちゃんに見えてるのは、私のことを護ってくれてる…うーん、守護霊?みたいなものだとおもうの」

梨子「その人は私にとって、とっても大事な人だと思うんだ」

千歌『梨子ちゃん…』

梨子「私が死にそうになった時もその子が助けてくれた気がしたし」

梨子「だから、"悪霊"っていうのはやめてほしいかな…」


善子「──っ!」

善子「……すみません」

梨子「ううん、ヨハネちゃんが私のことを助けてくれようとしたのは本当だもんね」

善子「先輩…」

梨子「今度は私が本当に困ってたら助けてくれると嬉しいな」

善子「はいっ!」

善子「私の力が必要になった時はこのヨハネを頼ってください!!」


40:2018/05/05(土) 00:55:59.18 ID:aKmjSQTp.net

花丸「また善子ちゃんが迷惑の種をまいちゃったずら」

ルビィ「うちの善子ちゃんが本当にすみませんでした…」

善子「"また"って何よー!?」

善子「っていうか"うちの善子"って何なのよーー!?」

ルビィ「せっかく先輩とスクールアイドルについてお話してたのに!」

善子「すくーるあいどるぅ?あぁ、アンタが好きなやつね」

花丸「マルもルビィちゃんのおかげで少しはわかるもん」

花丸「分からないのは善子ちゃんだけだよ♪」

善子「ふん!な、何よ!す、すくーるあいどるくらいこの私が知らないわけないでしょ!!」


41:2018/05/05(土) 00:56:39.73 ID:aKmjSQTp.net

花丸「っていうか本当に霊なんか見えてたの?」

善子「あ、あったり前じゃない!」

善子「この堕天使ヨハネに見えないモノは存在しないんだからっ!」

花丸「……」

ルビィ「……」

善子「えーっと……その……」

ルビィ「善子ちゃん……花丸ちゃんと遊びたかったら今度はもう少し迷惑にならない嘘をつこうね」

花丸「全くずら」

善子「……」


42:2018/05/05(土) 00:57:22.13 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「先輩っ!も、もしよかったらこれからもルビィとスクールアイドルについてお話をしませんか…?」

梨子「うん、ありがとう」

ルビィ「私は黒澤ルビィといいます…よろしくお願いします」

花丸「オr…えーっと、私は国木田花丸と言います、よろしくお願いします」

善子「…」

花丸「…」ジトー

ルビィ「…」ジトー

善子「ん?」


43:2018/05/05(土) 00:57:59.28 ID:aKmjSQTp.net

善子「えっ、次は私の番!?」

花丸「当り前ずら」

善子「私は天界から追放されし堕天使ヨハネよ!今はワケあって地上で暮らしているの♪」

梨子「ふふっ、ルビィちゃん、花丸ちゃん」

梨子「そしてヨハネちゃん、よろしくね」

梨子「私は桜内梨子」

梨子「スクールアイドルに少しだけ興味がある高校二年生です♪」

千歌『少しだけ……でも、嬉しいな えへへ♪』


57:2018/05/05(土) 11:53:40.47 ID:aKmjSQTp.net

千歌『梨子ちゃ~ん』プニ

梨子「う~ん」

千歌『梨子ちゃ~~ん』プニプニ

梨子「千歌ちゃん…?」

千歌『おっはよー♪』

千歌『そして、じゃーん!』

梨子「朝からどうしたの?もう…」

梨子「って、みかん!?」

千歌『そう、みかんだよ~』

梨子「どこから持ってきたの!?」

千歌『うちの台所に置いてあって、食べたいなーって思って触ったら持てたんだよ~』

梨子「えっと…そういえば、物とか持てるの?」

千歌『なんかよくわかんないんだけど、みかんは持てるみたい』

千歌『お葬式の時にボールペンで書き置きとかできるかなって思ったんだけど持てなかったんだ』


58:2018/05/05(土) 11:54:14.17 ID:aKmjSQTp.net

梨子「みかんは食べられるの?」

千歌『うーん、剥いたりは出来ないみたいなんだ』

梨子「不思議ね」

梨子「食べてみる?」

千歌『うん!』

千歌『』ポロッ

梨子「やっぱだめみたい」

千歌『うーん、残念だなぁ~』

千歌『みかんが大好きだから神様がみかんだけは触れる様にしてくれたのかなって思ったんだけど』

千歌『食べられないんだったら意味無いよ~~』


59:2018/05/05(土) 11:54:50.63 ID:aKmjSQTp.net

梨子「他に好きなものは?」

千歌『えっと、ソフトボールとかカラオケ?』

梨子「ボールを持てたりした?」

千歌『うん、だめだった!』

千歌『マイクからも声でなかった!』

梨子「うーん…」

梨子(そういえば、この間はヨハネちゃんが除霊しようとしていたけど)

梨子(千歌ちゃんもいつか"成仏"したりするのかな)

梨子(千歌ちゃんの願いが叶ったら…)

梨子(私がスクールアイドルとして輝けたら、千歌ちゃんは…)

千歌『ううん』

千歌『大丈夫だよ』


60:2018/05/05(土) 11:55:43.73 ID:aKmjSQTp.net

千歌『梨子ちゃんが飛び込んだときは焦ったけど、溺れてた梨子ちゃんを助けることができて良かった』

千歌『前にも言ったけど、死んじゃって幽霊になって誰にも気づいてもらえなくて』

千歌『美渡姉達の様子を見ることはできても、私は何にも出来ないんだって…』

千歌『他にも幽霊さんが居るかなー?って長浜城の跡地に行ったけど、だーれも居なかったもん!』

千歌『落武者さんの一人でもいたら大昔の話とか聞けたのになーって』

千歌『あの時の戦いで、拙者は殿を助けて討ち死にしたのでござる~~~とか!』

千歌『もしかして幽霊やお化けって実は存在していなくて私一人だけなのかな?って思ってた』

千歌『だから、これからずっと、ずーーーっと一人で幽霊してなきゃいけないのかな、って思ってたんだ』

千歌『すっごく寂しかったんだよ』

千歌『ずーっと一人って、すっごく辛いんだなあって思った』

千歌『誰にも見てもらえなくて…まるで空気みたいで…』

千歌『私はここに居るのにさ……』


61:2018/05/05(土) 11:56:18.73 ID:aKmjSQTp.net

千歌『だからね』

千歌『これも前にも言ったけど』

千歌『梨子ちゃんとお話ができて本当に良かった』

千歌『梨子ちゃんが、私を高海千歌だって分かってくれて、理解してくれて…本当に、本当に良かった嬉しかったんだ』

梨子(…)

千歌『だから…』

千歌『梨子ちゃんがスクールアイドルとしてキラキラ輝いてくれたら、私が見たかったものを見せてくれたら』

千歌『成仏したく無くてもしちゃうんじゃないかな~?なんて、あはは……』


62:2018/05/05(土) 11:57:04.68 ID:aKmjSQTp.net

梨子「ぢがぢゃん…」

千歌『あれ?また泣いてる…』

千歌『今日は私の方から抱きついちゃうよ~』ギューッ

梨子「千歌ちゃん…ごめんね……」

千歌『もー、ごめんは無しだってば~~~』

梨子「うん……ごめん」

千歌『もー!人の話聞いてた~~?』


63:2018/05/05(土) 11:57:44.15 ID:aKmjSQTp.net

梨子「えっと、それじゃあ」

梨子「三人ともスクールアイドルをやってくれるってことでいいのかな?」

ルビィ「はいっ!」

花丸「はい!」

善子「えっ? 何で私まで!?」

花丸「あれ?先輩が困ってたら助けるって言ってたのはどこの善子ちゃんかな~?」

ルビィ「この善子ちゃんだよ♪」

善子「あんた達ーー!」

梨子「ふふっ、みんな仲がいいんだね」

善子「これは仲とかじゃなくって!」

花丸「はいはい、善子ちゃんが騒ぐと話が進まなくなるずら」

善子「騒ぐって何よーーー!」


64:2018/05/05(土) 11:58:52.17 ID:aKmjSQTp.net

千歌『ねぇねぇ!グループ名は何にするの?』

梨子(グループ名?)

千歌『うん、大体のスクールアイドルはグループ名を決めてるんだ』

千歌『例えば、μ'sとかA-RISEとか!』

千歌『一応、○○高校スクールアイドル部って名前でも登録できるみたいだけど』

千歌『何か名前があった方がいいよね~?』

千歌『うーん』

梨子(ルビィちゃん達に聞いてみるね)

梨子「グループ名はどうしよう?」

花丸「グループ名?」

善子「アイドルって大体名前があるじゃない」

ルビィ「そうだよ!アイドル活動するんだからグループ名が無いとだめだよ!」


66:2018/05/05(土) 11:59:34.20 ID:aKmjSQTp.net

梨子(千歌ちゃん、何かいいのあるかな?)

千歌『えぇっ!?急に言われても~』

梨子(こればっかりは考えるしかないのかな)

梨子「ねえ、三人ともこの内浦の人なの?」

花丸「はい、マルとルビィちゃんが内浦で…」

善子「このヨハネは沼津駅界隈の摩天楼を人間界の仮の住処としているわ!」

梨子「そっか、じゃあみんな沼津市が地元なんだね」

ルビィ「は、はい」


67:2018/05/05(土) 12:00:22.62 ID:aKmjSQTp.net

梨子「内浦も沼津市街の方も港があるし、3人とも海つながりってことで」

梨子「『スリーマーメイド』っていうのはどう、かな?」

千歌『ええ…』

善子「スリー…」

花丸「マーメイド?」

ルビィ「わぁぁ~♪すっごくいいです~!」

梨子「ほんと?よかったぁ♪」

善子「歌声を聴いた者を魅了し、陥れるなんてセイレーンみたいで素敵じゃない♪」

ルビィ「べ、別に陥れる必要はないんじゃないかなぁ……」


68:2018/05/05(土) 12:01:18.42 ID:aKmjSQTp.net

千歌『え~…』

梨子(えっ!?だめだったかな?)

千歌『スリーマーメイド…』

千歌『具体的に何が駄目かは言い表せないんだけど』

千歌『すり~まぁめいどぉ~?って感じ…』

梨子(うーん、ひとまずグループ名は仮ってことにしておいて、スクールアイドルって何をすればいいのかな?)

千歌『まずはやっぱり知名度を上げるところからかな~?』

千歌『ラブライブ!に出場するためにはまずは地方の大会で勝たなきゃいけないみたいなんだよね~』

梨子「ラブライブ!に出場…」


69:2018/05/05(土) 12:02:14.59 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「ラブライブ!……ル、ルビィがラブライブ!に!?…ルビィが……!?」

花丸「まだ出られると決まったわけじゃないよ、ルビィちゃん」

ルビィ「えへ、そうだった♪」

善子「ラブライブ!ねぇ」

善子「じゃあ、そのラブライブ!に出ればいいの?」

ルビィ「そんなに簡単に出られるようものじゃないよ!」

善子「でも人気があれば出られるのよね?」

善子「つまり、ヨハネ率いるこのアイドルグループを全世界に見せつけてリトルデーモンにすればいいわけね?」

梨子「うーん、簡単に言うとそんな感じかな?」


70:2018/05/05(土) 12:03:03.69 ID:aKmjSQTp.net

梨子「ヨハネちゃんは人気が出るようないいアイデアあったりするかな?」

善子「えっ 急に言われても出てこないわよ!」

花丸(先輩の中では善子ちゃんがヨハネちゃんになってるような…)ヒソヒソ

ルビィ(でもヨハネちゃんって言われてとっても嬉しそうだからそっとしておこうね)ヒソヒソ

善子「っていうか、そういう大会みたいなものってちゃんとした部活じゃないと出場できないんじゃないの?」

ルビィ「そ、そうだよ!ラブライブ!に出場できるのは学校の許可を得たグループだけなんだよ!」

花丸「えーっと、それじゃあマル達はどうするの?」

梨子「うん まずは知名度を上げる前に部活動として認めてもらわないと、だね」

千歌『う~、高海千歌 ワクワクしてまいりました!』


71:2018/05/05(土) 12:04:13.60 ID:aKmjSQTp.net

梨子(生徒会長室でいいのかな?)

千歌『うん!実は私もスクールアイドル部を作ろうって思って申請しに行ったんだけど…』

千歌『生徒会長に断られちゃっんだ~』

梨子(そうなんだ)

梨子(でもどうして?)

千歌『人数が足りないから…』

千歌『3人じゃだめだって、5人以上必要なんだって』

梨子(そっか)

千歌『でも今は5人いるから大丈夫だね!』

梨子(うん♪)

梨子(5人……?)

ルビィ「ここが生徒会長室です…」

善子「失礼しまーす」


72:2018/05/05(土) 12:04:45.21 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「何か?」

善子「えっと……ほら、2年生でしょ!」

梨子「あっ…!」

梨子「失礼します。 新規部活の申請先は生徒会でよろしかったでしょうか?」

ダイヤ「ええ、しかしもうすぐ席をはずすので後にしていただけ…」

ダイヤ「貴女は…!」

ルビィ「おねぇちゃぁ……」

ダイヤ「ルビィ!? ルビィもこの方と一緒なのですか?」

ルビィ「う、うん……」

ダイヤ「ルビィと、お友達かしら?皆さんで部活を作るのですね」


73:2018/05/05(土) 12:05:40.59 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「しかし学校の決まりで、新規設立の場合は5人以上居ないと認められないのですよ?」

ルビィ「……うん」

千歌『そうだったぁ~~』

千歌『私を人数に数えちゃだめだった~~~!』

梨子(だよね……)

花丸「そうだったんだぁ…ルビィちゃん、もう一人集めてまた来ようね」

善子「ふっ、このヨハネの堕天アイドル力を持ってすれば1人どころか666人のリトルデーモンなんてすぐに集まるわよ!」

花丸「全校生徒合わせてもそんなにいないずら」


74:2018/05/05(土) 12:06:23.91 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「あいどる……?」

善子「ふっ、生徒会長ともあろう者がスクールアイドルも知らないとは…愚かね」

ダイヤ「わ、私が知らないわけ無いでしょう?」

善子「ぐぬっ…… さ、さすがは生徒会長ね!」

梨子「仕方ないかな……」

梨子「こちらの3人と私でスクールアイドル部を設立したいと思っていたのですが、また改めて伺います」

ダイヤ「……」

ダイヤ「設立を認めましょう」

善子「はぁ?」


75:2018/05/05(土) 12:06:59.02 ID:aKmjSQTp.net

善子「さっきはだめだって言ったじゃない!!」

ダイヤ「ええ、却下した理由は人数が足りないからです」

ダイヤ「しかし私も加入することになれば部員は5人となり、設立の基準を満たすことになります」

善子「それはそうだけど、本気?」

ルビィ「え、えっとぉ…お姉ちゃんが!?」

ダイヤ「そうですよ、ルビィ」

ルビィ「!!」

ルビィ「ほんとう!?」

ダイヤ「ええ」

ルビィ「やったぁ!お姉ちゃんとスクールアイドルが出来るんだ!」

花丸「良かったね、ルビィちゃん!」

ルビィ「うんっ!」


76:2018/05/05(土) 12:07:47.03 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「設立の責任者、つまり部長は貴女ということでよろしいですか?」

梨子「は、はい」

梨子(どういうことかな?)

千歌『うーん、会長もスクールアイドルをやりたかったとか~?』

梨子(うーん、とてもそうは見えないけど)

ダイヤ「それでは後日正式に部として認定いたしますので、責任者の方以外は本日はお帰りになってください」

善子「帰っていいの?」

ルビィ「それじゃあ梨子さん、後はよろしくお願いします」

梨子「うん」

花丸「マル達、これからどうなるの?」

善子「スクールアイドルをやるにきまってるでしょ?」

花丸「そういうことじゃなくって…」


77:2018/05/05(土) 12:08:29.00 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「貴女は、桜内梨子さんではありませんか?」

梨子「はい そうですが?」

ダイヤ「申し遅れました。 私は浦の星女学院高校3年生、生徒会長の黒澤ダイヤと申します」

梨子「黒澤……ダイヤ、さん」

ダイヤ「はい お察しの通り黒澤ルビィの実の姉です」

ダイヤ「我が家は代々網元で…とは言っても、今は網元とは言わず漁業協同組合──いわゆる漁協を束ねております」

ダイヤ「それはともかく……漁協のツテで、海で起こった大方の出来事は黒澤家の耳に入るのですが」

ダイヤ「……」

ダイヤ「失礼致します──」

\パシッ/

梨子「…っ」

千歌『ビンタ!?痛そう…』


ダイヤ「貴女の行為が……どれほどの人に、どれだけの迷惑をかけたのか、お分かりでしょうか!?」


78:2018/05/05(土) 12:09:28.77 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「今月の頭に、海に飛び込み自殺をしようとしたところを助けられたのが貴女と聞きました」

ダイヤ「そして地元の少女が助けに飛び込んだところを漁協の方が目撃しております」

ダイヤ「貴女もご存じのように助けに向かった少女は……」

梨子「………」

ダイヤ「……貴女の行為は決して許されるものではありません」

ダイヤ「貴女が立ち上げようとしているスクールアイドル部に私が入るというのも、貴女の行動を監視するためです」

ダイヤ「大体、投身自殺というものは──」

千歌『梨子ちゃんって自殺しようとしたんじゃないよね…』

梨子(……うん)

梨子(でも、見た人には私が飛び込んで自殺をしてたように見えたってことだと思う……)

千歌『そっかぁ…』

千歌『でも、本当にあの時はびっくりしたなぁ……』

ダイヤ「神聖なる海に飛び込みをするということはすなわち──」


79:2018/05/05(土) 12:10:03.41 ID:aKmjSQTp.net

─……

梨子「海の音、海の事が少しでも感じ取ることができるなら」

梨子「何だって──」

梨子「やる!」

\ザッパーン/

千歌「大きな水の音がしたけどイルカかな?おーい、イルカさーん!」

梨子「っぷはっ! すっごく冷たい……でも、気持ちいい!」

千歌「って、ええええ~~~~!?人が飛び込んだ音なの~~~!?」

梨子「…ふふっ、これが内浦の海♪」

梨子「うんっ!もしかしたら海のことが何か分かるかも!」

梨子「もっと沖の方へ行ってみたら、何が待ってるのかな?」

千歌「えーっと、泳い…でる……?」

千歌「嘘嘘~!?今、4月の頭だよ~!?」

千歌「ちょ、ちょっと~~そこの人~~~~」


80:2018/05/05(土) 12:10:50.17 ID:aKmjSQTp.net

チャプ.. チャプ..

梨子(わぁっ 富士山も見えるんだ♪)

梨子(ふふっ、海の中から富士山を眺めるっていうのは新鮮かも)

梨子(すぐ近くに島があるんだ…)

梨子(島から見えるのはロープウェーかな?)

梨子(……今は使われてないみたい)


梨子(すごい── 海に入っていると、地上に居た時には気にならなかったものが眼に入ってくる)

梨子(しかも、こんなに……)

梨子「綺麗…♪」

梨子(普段とは違った視点で物事を見る様な感じ?ふふっ、素敵……)

梨子(この海の先には……何があるのかな…?)

\ソコノヒトー!!/

梨子(誰だろう…?誰かが私を呼んでるみたい…)

梨子(うーん…まだこっちに引っ越して……来たばっかりだし……)

梨子(他の…誰かと………見間違えて…るのかな…?)


81:2018/05/05(土) 12:11:33.72 ID:aKmjSQTp.net

………

梨子「あそこは…?うー…ん…水族館……かな?」

梨子「ふふっ……海の中から水族館を見る……なんて、滅多に出来ない…よね……」

梨子(…なんだか曲のイメ…ージができてきた……かも)

梨子(……私は…いま、どの…あたりに居るんだろう………)

梨子(そろ…そ…ろ……戻った方がいいの……か……な……)

梨子(どっ…ち…から…来たんだ…っけ……)

梨子(…あ…れ……?頭が、回らない……)

梨子(何…だか……寒い………)

梨子(も、しか………して……これって……)

梨子(力が…抜けていく…海が、こんなに、近くに……)

梨子(……だ…め…)

梨子(………海に……還る…─)


82:2018/05/05(土) 12:12:20.53 ID:aKmjSQTp.net

………

\バシャッ/

千歌「こんなところまで泳いじゃったの!?」

千歌「っていうかこんな時期に泳ぐなんておかしいよ~~~!」

梨子「……」

千歌「しっかりして!」

千歌「私が絶対に陸まで連れて帰るから!」

千歌「──っ!すごく冷たい…」

千歌「私が少しでも温めてあげなきゃ…」ギュ..


83:2018/05/05(土) 12:13:07.23 ID:aKmjSQTp.net

千歌「絶対に助けるから!」

梨子「…」


………

梨子「……う…」

千歌「良かった…」

千歌「声は出さなくって良いから、動かなくっていいから、ぐったりしてて!」

千歌「だけど、死んじゃだめ…!」

千歌「もうすぐ…陸だよ─」

梨子「ん……」

千歌「生きてる……よかっ、た──」


……─


84:2018/05/05(土) 12:13:58.72 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「──わかりましたか?」

ダイヤ「今後一切、内浦の海であのような迷惑行為をさせるわけにはいきません」

ダイヤ「私の監督の下で部活動を行うと言うのであれば」

ダイヤ「今までの行為を不問…には到底出来ませんが活動のお手伝いはしましょう」

梨子「…はい……」

千歌『梨子ちゃん…』

ダイヤ「ところで…」

ダイヤ「すくーるあいどるとは一体何なのでしょうか?」

ちかりこ「『は……?』」

ダイヤ「ルビィが好きなことは知っているのですが、どうせアイドルの真似事をして遊ぶのでしょう?」

ダイヤ「私は桜内さんの監視が出来れば良いので、傍観するだけでも構いませんか?」

梨子「えっと…?」

梨子(さっき知ってるって言った気がするんだけど…)

千歌『ヨハネちゃんに言われて勢いで知ってるって答えちゃったんじゃ…』

ちかりこ「『……』」


85:2018/05/05(土) 12:14:38.85 ID:aKmjSQTp.net

千歌『とりあえずμ'sのライブを見てもらおうよ!』

梨子(そうだね!)

梨子「えっと、こちらが代表的なスクールアイドルのライブです」

\♪デアイノイーミーヲー ミツケータイートネガーッテル♪/

ダイヤ「はっ……!」

梨子「えっと、あの……」

梨子「うぅぅっ…す、すみません…分かりづらいですよね」

ダイヤ「破廉恥ですわ!」

ダイヤ「こんな両肩と胸元が露わになった丈の短い衣装を身にまとって、飛んだり跳ねたり……!」

ダイヤ「こんなもの、認められません!!」

千歌『えーーー!すっごく可愛いのにー!』

梨子「……」


86:2018/05/05(土) 12:15:14.89 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「もしかしてルビィもこのような格好に…!?」

ダイヤ「まさか?ルビィにそのようなことをさせるわけには」

梨子「あ…あの……?」

ダイヤ「しかしあのルビィが自分から決めたこと……」

ダイヤ「そして、私がすくーるあいどるをやると決めた時のあの喜び様、あの笑顔は今まで見たことも無いくらいの輝き……!」

梨子「えーっと……」

ダイヤ「しかしルビィにあのような破廉恥な格好をさせるのだけは阻止しなくては……!!」

ダイヤ「わかりました」

ダイヤ「黒澤家として、やるからには、全力で!やらせていただきますわ!」

梨子「は…はぁ…」

千歌『……』


87:2018/05/05(土) 12:16:18.53 ID:aKmjSQTp.net

梨子「…」

千歌『う~~~ん……』

梨子「……」

千歌『梨子ちゃん…』

梨子「どうしたの?」

千歌『何も言わなくっても、梨子ちゃんのこと分かるよ』

梨子「あれ…?今、私に触って無いのに?」

千歌『うん』

梨子「…そっか そうだよね……」

千歌『うん』

梨子「あのね、千歌ちゃん……ごm

千歌『それは言わないでっていったじゃん』

梨子「…うん。 ごめん」

千歌『だ~か~ら~!』

梨子「えっ…と、今のごめんはそっちの意味じゃなくって……」


88:2018/05/05(土) 12:16:59.35 ID:aKmjSQTp.net

千歌『今日はピアノの練習はするの?』

梨子「ううん…」

千歌『そっかぁ 残念』

梨子「どうして?」

千歌『だって、前にも言ったじゃん』

千歌『梨子ちゃんに触れてると考えてることは分かるけど、感情とかその辺はあんまり分からないみたい』

千歌『だから梨子ちゃんのピアノは好き。 梨子ちゃんの気持ちが全部伝わってくるから好き』

梨子「千歌ちゃん…」

梨子「じゃあ、今日もクラシックでいいかな?」

千歌『うん!』

梨子「うーん、今日は明るい曲にするね」

千歌『やったー♪』


89:2018/05/05(土) 12:17:59.21 ID:aKmjSQTp.net

♪ポーン.. ♪ポー…ン

千歌『……』

梨子「で、長調と短調っていうのがあって」

千歌『うん』

梨子「さっき引いた曲は長調だから、なんとなく明るい感じがしたりしなかった?」

千歌『…』

梨子「…千歌ちゃん?」

千歌『私さっき言ったよね』

千歌『ピアノを通して梨子ちゃんの気持ちが全部伝わってくるんだって』

千歌『今の梨子ちゃんはすっごくさみしい音がする』

千歌『光が届かなくって…何もなくって誰もいないところ…海の底深く?』

千歌『…そんなイメージ』

千歌『ダイヤさんに言われて、あの時の事また後悔し始めてる…』

梨子「うん……」

梨子「やっぱり…私がいなかったら─

\パシッ/


90:2018/05/05(土) 12:18:53.58 ID:aKmjSQTp.net

千歌『梨子ちゃんの…ばか!』

梨子「…」

千歌『もう二度とそんなこと言わないでって言ったじゃん!』

千歌『梨子ちゃんがいなかったら何なの?今更どうなるの?』

千歌『あの時私が梨子ちゃんを助けない方が良かったって言いたいわけじゃないよね?』

梨子「……」

千歌『私は梨子ちゃんを助けて良かったって思ってるし、こんな形でも出会えて友達になれて嬉しかったって!』

千歌『そう…いったじゃん………うぅ…』

梨子「千歌ちゃん…」

梨子「…でも……私のせいで……」

千歌『…っ!!』

千歌『…梨子ちゃんなんか知らないっ!』ダッ

梨子「…千歌……ちゃん」


91:2018/05/05(土) 12:19:59.17 ID:aKmjSQTp.net

梨子(今日は千歌ちゃん来なかったな…)

梨子(もう時間だし、部室にいかなきゃ……)

梨子(千歌ちゃん……)


花丸「マルは…えーっと」

ダイヤ「私は断然エリーチカ!」

善子「うぇぇ!?」

善子(ルビィ!あんたの姉さん早速ドルオタになってるんだけどどういうことなの!?)ヒソヒソ..

花丸(あの時は あいどる? って感じだったのにどうしちゃったんだろう)ヒソ...

ルビィ(ルビィに聞いたり一晩中ネットで調べたりしてこうなっちゃたんだ……)ヒソ..

善子「あっ、そう…」


92:2018/05/05(土) 12:20:39.72 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「ルビィは花陽ちゃんが大好きなんだぁ♪」

ダイヤ「善子さんは誰推しなのでしょうか?」

善子「私は特に推しとかは無いけど」

ルビィ「っていうか、メンバーのこと知ってるの?善子ちゃん」

善子「し、知ってるに決まっているじゃない!」

花丸「ふーん?じゃあ善子ちゃんは誰が好きなのかな~?」

ルビィ「誰なの!?」

ダイヤ「誰を推しているのですか!?」


93:2018/05/05(土) 12:21:21.29 ID:aKmjSQTp.net

善子「あー 私はあれね、う…占いが好きなあの子が好きかな!」

ルビィ「そっかぁ、善子ちゃんは希ちゃん推しかぁ」

善子「そ、そう!その希ちゃん?に決まってるじゃない!」

花丸「マルはやっぱり凛ちゃんかなぁ」


梨子「こんにちは……あっ、もうみんな揃ってたんだ」

ルビィ「こんにちは、梨子さん!」

ダイヤ「全く、活動初日だと言うのに開始間際に来るとは」

梨子「すみません…」


94:2018/05/05(土) 12:22:04.18 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「梨子さんはμ'sだと誰が好きですか?」

善子「やっぱ作曲の人じゃないの?作曲メインでやるみたいだし」

梨子「う、うん…」

ルビィ「そっかぁ、やっぱり真姫ちゃん推しなんですね!」

花丸「これでμ'sの一年生3人の推しが早くも揃ったね♪」

ルビィ「ほんとだ!」

ダイヤ「まぁ妥当なところでしょうか」

ダイヤ「それでは、まずはどういった楽曲を作成するかある程度形を決めて、その次に衣装やPVの撮影場所を決めましょう」

ダイヤ「逆に題材などが決まっていた方が作曲しやすいとなれば、まずは歌詞や衣装から始めますが」

ダイヤ「いかがでしょうか?梨子さん」

梨子「うん…」

梨子(…そっか)

梨子(千歌ちゃんがいないと、私──)

梨子(スクールアイドルの事、何も出来ないんだ)

梨子(何にもわからないんだ)


95:2018/05/05(土) 12:22:57.98 ID:aKmjSQTp.net

善子「ちょっと!その前にグループ名はどうすんのよ!」

善子「スリーマーメイドって名前だったら3人でしょ?今は4人じゃない!」

善子「あと……梨子を入れると5人だから出来れば5にまつわる名前がいいんじゃない?」

ルビィ「それもそうだね」

花丸「それじゃあファイブマーメイドは?」

善子「安直すぎるわよ!」

ルビィ「あはは…」

花丸「うーん、グループ名を決めるのは難しそうだね」

ダイヤ「そうですね」

ルビィ「梨子さんはどうしたらいいと思いますか?」

梨子「…」

ダイヤ「梨子さん?」

梨子「はっ…はい……」


96:2018/05/05(土) 12:23:43.90 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「結局『浦の星女学院スクールアイドル部』に落ち着きましたが」

ルビィ「でもでも、ルビィ達が有名になったらファンの人たちにグループ名を決めてもらえるかも!」

善子「ファン?つまりこの私のリトルデーモンということね」

花丸「そんな偏ったファンはお断りずら」

ダイヤ「後はメンバーですが、梨子さんは作曲専門ということで5人のグループですが4人で踊ることになります」

ルビィ「μ'sみたいに9人集められるかなあ?」

ダイヤ「浦の星でそんなに集められるとは思えませんし」

ダイヤ「余所は余所、うちはうちですよ、ルビィ」

善子「でも人数が多い方がダンスの見栄えは良いわよね」

花丸「梨子さんはどうですか?」

梨子「えっと、もう一人くらい入部してくれる人がいればいいとは思いますけど…」

梨子「私は歌ったり踊ったりは苦手なので…」

ダイヤ「そうですか」

善子「歌ったり踊ったりが苦手なのにスクールアイドル部を設立しようなんて変な先輩ね」

花丸「変な善子ちゃんの言って良いセリフじゃないずら」

善子「うるさーーい!誰が変なのよー!」


97:2018/05/05(土) 12:24:28.37 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「ふむ、それでは私のクラスの方に当たってみるとしましょう」

ダイヤ「μ'sが7人から9人になって爆発的な人気を得たのはご存知かと思います」

ルビィ「もちろんだよ!7人の時に絵里ちゃんと希ちゃんが加入して9人!」

ルビィ「9人でμ'sだよ!」

ダイヤ「その時に一気に人気をあげる要因となったのは、何と言ってもエリーチカの存在……!」

ダイヤ「エリーチカのスタイルはまさに女性の憧れ!」

ダイヤ「ちょうど私のクラスにもナイスバディなクラスメイトがいるので、明日にでも勧誘してみるつもりです」

ダイヤ「今日はグループ名は据え置きで、練習場所などの確保に向かいましょう」

花丸「本格的になってきたね、ルビィちゃん」

ルビィ「うん!ワクワクしてきたよ!」


98:2018/05/05(土) 12:25:29.07 ID:aKmjSQTp.net

梨子「…」

梨子「千歌…ちゃん……」

♪ポー…ン

♪タター……ン

梨子「私、どうしたらいいんだろう……」

梨子(千歌ちゃんに出会ったあの日から、毎日千歌ちゃんがいてくれたから…?)

梨子(幽霊の千歌ちゃんに謝ることができたから…?)

梨子(千歌ちゃんが大丈夫って言ってくれたから?)

梨子(……あの事で苦しむことは少なくなった)

梨子(今は、一人でも寝られる……でも……)


梨子(自分と、スクールアイドルと…)

梨子(…千歌ちゃんの事と向き合わなきゃだめなのかな)


99:2018/05/05(土) 12:26:28.66 ID:aKmjSQTp.net

果南「正直、迷っているんだけど…」

ダイヤ「そうですか…やはり─」

果南「いや、あのことはもう…」

果南「そうじゃなくって、千歌がいないのに私だけがやってもいいのかなって」

果南「私も千歌に誘われたからやろうとしたんだけど」

果南「今更私だけ楽しんでもいいのかなって」

果南「転校生の子やダイヤが困ってるって、そりゃ助けてあげたいんだけどさ…」

ダイヤ「果南さんはやさしいのですね」

果南「別にそんなんじゃないよ」

ダイヤ「もしよろしければ力を貸していただきたいのですが」

果南「うん …考えてみるよ」

果南「私には皆を笑顔にする…スクールアイドルをする資格は無いよ」ボソッ...

ダイヤ「…? 何か?」

果南「ううん、なんでもない」


100:2018/05/05(土) 12:27:48.70 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「とりあえず昨日言った方 果南さんには打診しておきました」

善子「ふーん?脈は有りそうな感じなの?」

ダイヤ「ええ、考えてみるとおっしゃって下さったので一応は」

ダイヤ「他にも鞠莉さんと言う方がいらっしゃるのですが」

ダイヤ「ハードでロックな曲で激しいダンスをするなら教えてほしいとの回答をいただきました」

花丸「はーどでろっく…??そんなスクールアイドルいるの?ルビィちゃん」

ルビィ「うん!最近北海道で二人組のメタルダンスユニットが人気を集めてるみたい」

ルビィ「だからそう言ったジャンルも注目はされているみたいなんだ」

花丸「めたるだんすゆにっと……?」

ダイヤ「あとは『日本のスクールアイドルはあまり知らないから私達のライブやPVを観てみたい』とも」

ルビィ「確かにどんな事をやるのか分からないとやりづらいよね…」

善子「ちょっと待って、"日本の"ってどういう意味?」

ダイヤ「失礼しました、鞠莉さんは日本と外国の方のハーフで、海外暮らしが長かったのです」

善子「ふーん」


101:2018/05/05(土) 12:28:46.04 ID:aKmjSQTp.net

善子「その鞠莉さんって人が入ってくれるとインパクトは大きそうだし人気も出るんじゃない?」

善子「まあこのヨハネの力でリトルデーモンを増やしちゃうから無意味なんだけどね♪」

ダイヤ「ちなみに果南さんの実家はダイビングショップで、ダイビングはもちろん水泳なども上手な方です」

ダイヤ「お二人が入ればビジュアル的にも良くなりそうですわ」

善子「ビジュアルねえ」

ダイヤ「梨子さんは何かご意見ありますか?」

梨子「ううん、大丈夫です……」


102:2018/05/05(土) 12:29:30.45 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「まずは他のスクールアイドルのダンスを勉強します」

ダイヤ「いきなり実戦ではなく、まずは座学から行ってみましょうか」

ルビィ「うん!」

ルビィ「4人のスクールアイドルだったら、第2回ラブライブ!東京地区最終予選に残れなかったミュータントガールズとかどうかな…?」

善子「地区予選で残れなかったアイドルなんて研究してどうすんのよ!」

善子「っていうかなによこれ!へんなコスプレしてるイロモノじゃない!!」

花丸「浦の星女学院スクールアイドル部イロモノ代表の善子ちゃんのセリフじゃないずら」

善子「うっさいわね!イロモノいうな!!」

ダイヤ「はぁ……座学はやめて基礎体力をつけましょうか」

ルビィ「そうだね…」


103:2018/05/05(土) 12:31:55.61 ID:aKmjSQTp.net

……

梨子「おじゃまします」

志満「今日もお参りに来てくれたの?ありがとう」

梨子「はい…」

志満「どうぞ上がって」

梨子「ありがとうございます」


梨子(千歌ちゃんがいなくなったあの日からもう半月……)

美渡「あっ、今日も来てくれたんだね、はい、みかん」

梨子「ありがとうございます」


梨子「千歌ちゃん─」

梨子(もう一度会いたい──)


104:2018/05/05(土) 12:32:33.65 ID:aKmjSQTp.net

美渡「梨子ちゃん、元気が出てきたみたいで良かったな」

志満「ええ、ちょっと前までは 死にそうな顔をしていたけど今はちゃんと生きてるって感じね」

美渡「もうバカなこと考えるって感じじゃないかな」

美渡「それに…」

志満「最近毎日千歌ちゃんのお参りに来てくれて嬉しい?」

美渡「まあね」


105:2018/05/05(土) 12:34:59.89 ID:aKmjSQTp.net

美渡「あっ、お参りは終わり?」

梨子「はい…毎日すみません」

美渡「だからいつも言ってるじゃん」

美渡「梨子ちゃんの元気な顔見て千歌も絶対よろこんでくれてるって!」

美渡「今日も千歌の部屋見ていく?」

梨子「美渡さん達さえよければ…」

美渡「毎日断りを入れなくたっていいのに」

梨子「ありがとうございます……」


梨子(千歌ちゃんの思い出……)


106:2018/05/05(土) 12:36:13.50 ID:aKmjSQTp.net

……

ダイヤ「ふふっ、いかがですか?」

梨子(すごい──)

梨子(私の作ったメロディに息が吹き込まれて、躍動が生まれて、可愛く飾ってくれた──)

梨子「これが、スクールアイドル……!」

ダイヤ「驚きましたか?衣装はほとんどルビィが作ってくれたのですよ」

梨子「ルビィちゃん!可愛くて素敵な衣装、ありがとう♪」

ルビィ「えへへ…こんな素敵な曲を作ってくれたから衣装を作れたんだと思いますっ!」

ダイヤ「そしてフォーメーションは私と善子さんで作りました」

善子「このヨハネの堕天フォーメーションはどう?下界の理を一新する斬新な動きも取り入れたのよ!」

梨子「ヨハネちゃんありがとう!ここの動き、とっても素敵だよ!」

善子「素敵!? あったり前じゃない♪」


107:2018/05/05(土) 12:36:59.12 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「そして歌詞は花丸さんが作ってくださいました」

花丸「マルの作詞で良かったのかな?」

花丸「梨子ちゃんの曲と合ってなかったら直してほしいです」

梨子「ううん…歌詞を読んでいたら花丸ちゃんの……」

梨子「皆の温かさが伝わってくる素敵な歌詞だと思うよ」

花丸「えへへ♪ そう言われると嬉しいずら~」

ルビィ「お姉ちゃん!早く早く!もう一回練習しよう!」


108:2018/05/05(土) 12:37:59.34 ID:aKmjSQTp.net

善子「うーん……」

花丸「どうしたの善子ちゃん?お腹痛いの?おトイレに行ってくる?」

善子「んなわけないでしょ!」

善子「なーんか最近誰かに見られてる気がするのよね」

梨子(誰かに…? もしかして…!)

梨子「そ、それって私の守護霊のこと!?」

善子「何よ急に!」

善子「残念だけど梨子の悪…じゃなかった、守護霊の気配はスクールアイドルを始めてからあまり感じないのよね」

梨子「そう…」

善子「その代わりに、この屋上で練習をしている時だけ視線を感じるのよね」

善子「しかも一つじゃなく、複数!」

善子「これは天界からの使者がこのヨハネを監視するために……!」

梨子「あはは……」


109:2018/05/05(土) 12:38:43.80 ID:aKmjSQTp.net

……

ダイヤ「三週間でここまでできるようになるとは、皆さん素晴らしいですわ!」

善子「当然じゃ…ない……♪」

花丸「はぁ……はぁ…」

ルビィ「大丈夫?花丸ちゃん…」

花丸「うん、マルは大丈夫だよ」

ダイヤ「ルビィは昔からμ'sの振り付けを練習していたおかげか、ダンスの上達も早かったですね」

ルビィ「えへへ♪」

ダイヤ「花丸さんは動きやスピードはまだまだですが、体力をつければ身体が自然と動くようになりますよ」

花丸「ありがとうございます」

ダイヤ「善子さんは……すぐ逃げ出すかと思いましたが、素晴らしい上達ぶりです」

善子「なんで私のことは素直に褒めてくれないのよーー!」


110:2018/05/05(土) 12:39:43.50 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「そして梨子さんも私達4人のイメージに合わせた曲を作成してくださっています」

ルビィ「ダンスや衣装に合わせてアレンジできるなんてすごいですっ!」

梨子「ふふっ、ありがとう」

善子「うーん、もう少し地獄をイメージした曲が良かったんだけど、まあまあね♪」

花丸「善子ちゃんの無茶を聞いてたらスクールアイドルじゃなくて別の何かが出来てしまうずら」

ダイヤ「そういえば、来週あたりに鞠莉さんと果南さんが練習を見学したいとおっしゃっていました」

梨子「もしかして、お二人ともスクールアイドルに興味が出てきたということですか?」

ダイヤ「鞠莉さんは見ていてハートが熱くなるくらい素敵なものだったら嫌でもスクールアイドルに入りたくなるかも、と」

花丸「ハートが…?」

ルビィ「じゃ、じゃあもっともっと頑張らなきゃ…!」

果南「頑張らなくていいよ」

ダイヤ「果南さん!?」

果南「さっきまでずっと見てたけどさ──」


111:2018/05/05(土) 12:40:33.71 ID:aKmjSQTp.net

──作曲してるからってダンスをしないなんて本当にスクールアイドルって言えるのかな?

梨子「そう…だよね……」

梨子(作曲しながらダンスもしているっていう人がほとんどみたいだし……)

梨子(ヨハネちゃんが言ってた視線って、果南さんのことだったんだ……)

梨子(……)

梨子(私もダンスを……?)

梨子(でも…)

梨子(そういえば!)


112:2018/05/05(土) 12:42:23.40 ID:aKmjSQTp.net

梨子「おじゃまします」

美渡「あっ、梨子ちゃん今日もありがとう」

美渡「はい、みかん」

梨子「ありがとうございます!」

美渡「ふふっ」

美渡「ここのところ毎日千歌の部屋にも来てくれるね」

梨子「はい…千歌ちゃんのこと、もっともっと知りたくて……」

美渡「嬉しいね。 また今度色々お話ししよっか」

梨子「はいっ!」


113:2018/05/05(土) 12:43:08.86 ID:aKmjSQTp.net

梨子(千歌ちゃん…)

梨子(千歌ちゃんが生きてた頃の動画…)

梨子(前は見るのさえ辛かったけど…)


千歌「じゃーん!」

千歌「どう?スクールアイドルっぽかった?」

梨子(ダンスは…う~んヨハネちゃんや花丸ちゃんよりも上手じゃないかも…?)

千歌「あははっ!」

千歌「うーん…」

梨子(でも、なんでだろ)

千歌「もうちょっとこうした方がいいかな~??」

千歌「アレンジしちゃったり~…ってわぁぁ~~!!」ドサッ

梨子(千歌ちゃんの練習、スクールアイドルが大好きなんだって気持ちが伝わってくる)

梨子(何か、見ていて楽しい気持ちになる)

梨子(私にも、出来るかな──)


114:2018/05/05(土) 12:43:43.79 ID:aKmjSQTp.net

千歌「明日部活の申請書出してくるね!」

梨子(……)

千歌「実はほかにも誘いたい人もいるんだよ♪」

千歌「えっとね~、ほら、同じクラスの──」ザザッ..

梨子(同じクラスの子と申請したのかな……?)

千歌「ちょっとは手伝ってよ~」

千歌「ほらぁ、かな──…」

──プツッ


梨子(スクールアイドルの練習はここまで……)

梨子(あれ…?この動画を撮ってるのって…)


115:2018/05/05(土) 12:45:13.57 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「ほんとう!?」

梨子「うん…」

ダイヤ「しかし今から三週間分の遅れを取り戻すのは大変なのでは?」

梨子「がんばります!」

善子「このヨハネに追いつけるように努力するのよ!」

梨子「うん、ヨハネちゃんに追いついて見せるよ」

善子「ヨハネちゃん…♪」

善子「仕方ないから今から5人のフォーメーションに変更するわよ!」

花丸「歌詞の内容とパートもちょっと考えてみようかな」

ダイヤ「今からですか!?」

ダイヤ「……まあ、5人の方が色々とやりやすいですし、私も賛成です♪」

ルビィ「スクールアイドル、桜内梨子ちゃんの誕生ですね!」


梨子(スクールアイドル、桜内梨子ちゃん……かぁ)

梨子(ふふっ、ちょっと不思議な感じがするね♪)

梨子(ね、千歌ちゃん)


120:2018/05/05(土) 21:00:30.80 ID:aKmjSQTp.net

……

梨子「どう、かな……?」

ルビィ「うん!すっごくいいと思う!」

花丸「歌もすごく上手だったよ」

ダイヤ「一週間足らずで見事な上達ぶりですわ」

善子「でもこのヨハネに追いつくにはまだまだ練習が足りないわね」

果南「ダイヤ」

ダイヤ「果南さん!?今日も見学されるのですか?」

果南「うーん、見学って言うよりはさ……」

果南「スクールアイドルへの想いが本物かどうかみせてほしいかな」

ダイヤ「?」


121:2018/05/05(土) 21:01:15.57 ID:aKmjSQTp.net

果南「やるからには中途半端な気持ちで挑みたくないしね」

ダイヤ「やるからには…ということは、もしかして加入してくださるのですか!?」

果南「うーん」

果南「はい、これ」

ダイヤ「これは…?」

善子「何よこのノート?フォーメーションみたいなのが書かれてるけど」

ルビィ「みたいなの、じゃなくってフォーメーションだよ善子ちゃん!!」

花丸「本当だ…でもどうして?」

果南「私は部外者だけど、フォーメーションだけでも考えてみたんだ」


122:2018/05/05(土) 21:02:16.46 ID:aKmjSQTp.net

果南「そのフォーメーションで今踊ってくれたら入りたいかな」

花丸「今!?」

善子「今から覚えて合わせたりするから出来るわけないじゃない!」

善子「そもそもこのヨハネが作った堕天フォーメーションがあるからこんなもの無くったって──」

ルビィ「……善子ちゃん」

善子「何よ!」

ルビィ「このフォーメーション、ルビィ達5人の場所が振られてるんだ」

ルビィ「ルビィ達の動きは善子ちゃんの作ってくれたフォーメーションとあまり変わらなくって」

ルビィ「ほとんど今までの練習通りの動きでいいんだけど」

ルビィ「梨子ちゃんはほとんど新しい動きになってるんだ……」

梨子「ほんとだ…」

ダイヤ「でも今のフォーメーションよりは曲と歌詞を表現できている気がします」


123:2018/05/05(土) 21:03:04.06 ID:aKmjSQTp.net

花丸「どうしてフォーメーションを…?」

果南「皆のスクールアイドルへの想いがどれだけ強いのか見たいってこと」

果南「例えば欠員とかで急にフォーメーションを変えるようなことが必要だったりした場合」

果南「どんなことがあっても皆の力があれば乗り越えられる…それがスクールアイドルじゃないかなって思うんだ」

果南「最初はたった一人でもめげずに頑張って、周りを惹きつけられるようじゃないとラブライブ!優勝なんてありえない」

果南「千歌みたいに…」ボソ..

梨子「…っ!」

梨子(やっぱり千歌ちゃんと練習していたのは…)

善子「いいわよ!このヨハネ率いる浦の星女学院スクールアイドル部がとびっきりの感動を与えてやるんだから♪」

ダイヤ「善子さん!今からでは……」

梨子「やります!」

ルビィ「梨子さん!?」


124:2018/05/05(土) 21:03:52.59 ID:aKmjSQTp.net

梨子「果南さんのフォーメーションで踊って認めてもらえれば加入していただけるってことですよね!」

果南「うん もちろんそうだよ」

梨子「だったらやるべきだと思います!」

ダイヤ「しかし、梨子さんのフォーメーションは新規の物で、そもそもダンスを始めて一週間足らずの梨子さんでは…」

梨子「確かに…私の体力も動きも皆に全然及ばないかもしれないです」

梨子「でも!だけどせっかく新しいフォーメーションを作ってもらえましたし…」

ルビィ「ルビィもそう思うけど、新しいフォーメーションは動きが大きめになっているところとかもあるので…すぐには……」

梨子「うん 私も出来ないと思うけど、何かを始めないと何も始まらないと思うから…!」

花丸「梨子ちゃん…!」

善子「いいこと言うじゃない!それじゃあミュージックスタートよ!」


125:2018/05/05(土) 21:04:29.30 ID:aKmjSQTp.net

梨子&花丸「きゃっ…」ドン

花丸「ご、ごめんなさい」

梨子「私がいけなかったの…花丸ちゃんは今までどおりの動きでいいから…」

梨子(やっぱり……私には出来ないのかな)


梨子「─っ!」スカッ

善子「あれっ!?」スカッ

善子「ちょっと、ここは手を合わせるように変わったんじゃなかったの!?」

梨子「あっ……」

梨子(千歌ちゃんみたいに一生懸命で…)


126:2018/05/05(土) 21:05:29.26 ID:aKmjSQTp.net

梨子「──」

ダイヤ「梨子さん、ステップが逆になっています!」

梨子「あっ、ごめんなさい…」

梨子(皆を惹きつけるダンス…)


梨子「──~~♪」

ルビィ「梨子ちゃん…歌詞間違えてる……」

梨子「…っ、ご、ごめんなさい…」

梨子(それどころか、皆にも迷惑かけちゃってる…)


127:2018/05/05(土) 21:06:15.14 ID:aKmjSQTp.net

花丸「はぁ……はぁ…」

果南「一年生の子の体力も限界みたいだしもうやめとこうか?」

花丸「ううん、まだ、大丈夫…」

善子「ずら丸…」

梨子「花丸ちゃん…ごめんね、もう一回出来る?」

花丸「…うん!マルは大丈夫だからっ…!」

梨子「ごめんなさい…私のせいで……」

ダイヤ「……」

梨子「皆に迷惑かけてごめんなさい…」


128:2018/05/05(土) 21:07:13.31 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「梨子さん?」

ダイヤ「梨子さんのせいで迷惑だ、などと思っている者は浦の星女学院スクールアイドル部にはいないはずですが?」

ルビィ「そ、そうだよ!梨子ちゃんのおかげでオリジナルの曲でダンスが出来てるもん!」

ルビィ「そもそも衣装があっても曲がないとラブライブ!に出場できないもん!」

花丸「マルも梨子ちゃんのおかげでスクールアイドルに興味が出てきたし」

花丸「音楽に合わせて歌詞を書くっていうのがすっごく楽しかったよ」

善子「リトルデーモンごときがこのヨハネ様に迷惑をかけるですって?そんなの10年早いわよ♪」

善子「そ、それに… ルビィやずら丸と同じように私のこともスクールアイドルに誘ってもらってすごく嬉しかったっていうか……」

ダイヤ「困ってるときにお互いに助け合う、それがスクールアイドルですから」

梨子「ルビィちゃん…花丸ちゃん…ヨハネちゃん…ダイヤさん……」

梨子「ありがとう…ございます……」ポロポロ


129:2018/05/05(土) 21:07:59.70 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「梨子さん、その涙はラブライブ!優勝まで残しておいてください」

ダイヤ「今は観客のために全力でダンスを披露しなくてはいけませんから」

梨子「観客……」

果南「ダイヤ…」

善子「そうね!ダイヤの言う通りよ!」

善子「ほらさっさと準備するわよずら丸!」

花丸「よ、善子ちゃ~ん!引っ張らないでよ~」

ルビィ「あはは♪」

ルビィ「観客が一人でもいてくれるとルビィももっともっと頑張れるよ!」

ダイヤ「ええ!」

ダイヤ「それもスクールアイドルだから、ですよ ルビィ」


130:2018/05/05(土) 21:08:59.17 ID:aKmjSQTp.net

梨子「─♪ ……あっ…ごめんなさい」

ダイヤ「新しいフォーメーションでは元と左右逆の個所がいくつかあります」

ダイヤ「私かルビィが一緒の時は右足、善子さんか花丸さんの時は左足から動くように」

ダイヤ「動きが大きくなっているところはスペースを有効に使うように!」

梨子「はいっ!」


梨子「─~♪ …あっ」

ルビィ「梨子ちゃん!そのまま歌って!」

ルビィ「間違ってもルビィがもっと大きな声で歌うから、梨子さんには……もっともっと楽しんでほしいです」

梨子「うんっ!」


131:2018/05/05(土) 21:09:51.05 ID:aKmjSQTp.net

梨子「───♪」

善子「もう腕が上がってないじゃない!」

善子「全く……今日だけ特別にリトルデーモンのためにヨハネが合わせてあげるんだからね」

梨子「ふふっ、ありがとうっ!」


梨子「────♪」

花丸「上手くいったね!」

梨子「花丸ちゃんのおかげだよ!」

梨子「私が動きやすい様にリードしてくれたよね?」

花丸「はい、でもここをもっとこうした方が…」

梨子「うん、すごくやりやすくなったかも!」

ルビィ「ほんとだ!こっちの方が動きと歌詞がマッチしてるかも!」

善子「でもそれだとあのノートの通りにならないわよ」


132:2018/05/05(土) 21:11:00.54 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「いえ、もう良いかと」

ダイヤ「皆のスクールアイドルへの想いは伝わったかと思います」

ダイヤ「それに皆の絆もこれまで以上に深まった気がしますし」

ダイヤ「ですから、もういいでしょう果南さん」

果南「……」


ダイヤ「下校時刻を大幅に過ぎていますので今日のところは引き上げましょう!」

ダイヤ「今日のダンスの復習は明日行いますので各自覚えておくように」

ダイヤ「今日も一日お疲れさまでした」

4人「お疲れさまでした!」

ダイヤ「梨子さん すみませんが善子さん、花丸さん、ルビィと少し話がありますのでお先に失礼します」

梨子「はい!片づけをしたら部室に戻ります」


ダイヤ「果南さん、思うところもあるでしょうからあとはお二人で─」ボソッ

果南「…わかった」


133:2018/05/05(土) 21:11:56.06 ID:aKmjSQTp.net

梨子「……」

果南「……」

梨子「………」

果南「………」

梨子「あの…」

果南「……」

梨子「フォーメーション…ありがとうございました」

果南「……」


果南「覚えてる?私と初めて会った時のこと」

梨子「はい…」

梨子(千歌ちゃんのお葬式の時、誰より一番泣いてたのが果南さんだった──)


134:2018/05/05(土) 21:13:24.87 ID:aKmjSQTp.net

─……

果南「千歌ぁ~……うぅっ……」

梨子「……」

志満「果南ちゃん、ちょっと外に行こう……?」

果南「うぅっ…… うぅっ……」

果南「なんでっ…… どうしてっ……千歌がっ…」

志満「果南ちゃん……」

梨子「………」ポロポロ

果南「……っ」


135:2018/05/05(土) 21:14:58.94 ID:aKmjSQTp.net

梨子「……」ポロポロ

志満「泣かないで」

美渡「そうそう 千歌は褒められることはしてても泣かれるようなことは何一つしてないからさ」

美渡「普通の人だったら、たぶん見て見ぬふりか118で終わりだろうし…」

美渡「人の命を救った!」

美渡「千歌は私達の誇りだよ、うん」

志満「美渡…」

美渡「むしろ助けに行かなかったらバカチカ!って叱ってるところだよ、あはは」

美渡「ね?」

志満「…」

美渡「ねえ…貴女も千歌にみかんあげてもらえるかな?千歌の大好物だったから」

美渡「みかん、とってくるね……」ガラッ


136:2018/05/05(土) 21:16:01.52 ID:aKmjSQTp.net

志満「梨子ちゃん…だったよね」

志満「もしよかったらでいいんだけど」

志満「どうして海に飛び込んだか、教えてくれる?」

梨子「……」

志満「また繰り返さないって約束してくれるなら「聞かないけど……」

志満「…」

志満「千歌のこと」

志満「千歌のしてくれたことが無駄になるようなことはしてほしくない、かな…」

梨子「……」

志満「元気だしてね…」


137:2018/05/05(土) 21:16:43.36 ID:aKmjSQTp.net

果南「私は松浦果南、千歌の幼馴染だったんだ」

梨子「…」

果南「美渡さんや志満さんも言ってたけど、千歌は……」

果南「ううん、何でもない」

果南「せっかくだから千歌の部屋、見てあげてほしいんだ」

梨子「はい…」

果南「あの子の事、少しでも知ってほしいから…」

果南「日記とかもあるからいろいろ見てあげて」

果南「あっ、そうそう ホームビデオもあるから一緒にみない?」


138:2018/05/05(土) 21:17:40.38 ID:aKmjSQTp.net

梨子「…」

梨子「日記…」

梨子(輝きたい…スクールアイドルをやってみたい……)

梨子「こっちはアイドルの雑誌…スクールアイドル……」

梨子(μ's、A-RISE…)

梨子「ライブのDVD…」

梨子(紙が挟まってる…)

梨子(A-RISEが第一回ラブライブ!優勝したのはここがすごいから)

梨子(μ'sのいいところ…私もいつかスクールアイドルに──)

梨子(スクールアイドルのダンス……"この動きが可愛い!"リスト……)

梨子(……)

梨子(──輝きたい)

梨子(高海、千歌ちゃん…)

梨子(この人の夢を、私が奪ったんだ……)


139:2018/05/05(土) 21:18:26.06 ID:aKmjSQTp.net

果南「千歌はね、μ'sのライブ動画を見て、すごいすごい!って子供みたいにはしゃいでて」

果南「挙句の果てにはスクールアイドルに恋をしたのかも──なんていいだしてさ、面白い子だったんだ」

果南「見てるだけならいいんだけど『私もスクールアイドルをやってみたい』っていつの間にか始めてた」

果南「気付いたら私も巻き込まれててね」

果南「これからどうなるんだろうって思ってた」

果南「どうなるのか、もう分からないけど…」

梨子「…」ポロポロ

果南「また来てくれた時に思い出話聞いてほしいかな」

果南「小さい頃の千歌の事とかいっぱい知ってほしいから──」

……─


140:2018/05/05(土) 21:19:18.34 ID:aKmjSQTp.net

梨子「千歌ちゃんのお話をたくさんしていただきました」

果南「うん」

果南「私は最低だよ──」

梨子「?」

梨子「どうしてですか…?」

果南「梨子ちゃんに初めて会った時、千歌の部屋に案内して思い出話をしたのも」

果南「たった一日で梨子ちゃんが絶対にできないようなフォーメーションを作って変更させたのも──」



果南「──私の復讐」

梨子「…っ!」


141:2018/05/05(土) 21:20:00.88 ID:aKmjSQTp.net

果南「千歌が梨子ちゃんを助けて死んだって聞いた時、何で千歌が死ななくちゃいけないの…?って思った…」

果南「だから思い出話で追いこんで立ち直れないようにしようとした」

果南「梨子ちゃんがスクールアイドルを始めたってダイヤから聞いた時、先に始めたのは私たちなのに何それ…?って思った」

果南「だから新しいフォーメーションで皆をばらばらにしようとした」

梨子「………」

果南「分かってたよ、そんなことしても全く意味が無いって」

果南「千歌も望んでないって……」

果南「大事な幼馴染が急に居なくなって、私だけが取り残されたみたいで」

果南「怒りや悲しみをどこにぶつければいいのか分からなかった」ポロポロ..


142:2018/05/05(土) 21:21:11.81 ID:aKmjSQTp.net

梨子「…」

果南「もう、邪魔はしないよ」

果南「それじゃ─」

ダイヤ「でしたら次は償いをしなくてはいけないのでは?」

果南「ダイヤ……?」

ダイヤ「浦の星女学院スクールアイドル部の一員として」

果南「無茶言わないでよ…」

果南「今更私みたいなやつが入ったところでどうなるの?」

果南「それに誰も私なんか──」


143:2018/05/05(土) 21:21:49.04 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「新しい衣装作らなくっちゃ…!」

果南「ルビィちゃん…?」

ルビィ「だから、こ……今度…採寸させてくださいっ……」

花丸「歌詞も6人のイメージに合わせたいからまたダイヤさんと相談しようかな」

果南「花丸ちゃん…」

花丸「果南さんのことたくさん知りたいから、今度図書室でお話したいです♪」

善子「このヨハネに匹敵するフォーメーション作成スキルを持つリトルデーモンを従えるのもいいと思うけど?」

果南「善子ちゃん…」

善子「ヨハネよ!」

果南「皆…何で…?」

梨子「たぶん、皆スクールアイドルが好きだからだと思います……」

果南「梨子……ちゃん…」


144:2018/05/05(土) 21:22:34.49 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「ええ、きっかけは何であれ、ここに居る6人はスクールアイドルが好きな6人です」

ルビィ「そうじゃないとあんなに素敵なフォーメーションなんて作れないと思うし…」

ダイヤ「先ほど4人で話してきました」

ダイヤ「果南さんの加入に賛成か反対か?」

ダイヤ「結果は言うまでもありませんが」

果南「……」

ダイヤ「早く6人のフォーメーションがみたいところですが、また明日にしましょう♪」

善子「えっ、明日までに作らなきゃいけないの!?」

花丸「マルも手伝うよ!」

ルビィ「えへへ、ルビィもっ!」


145:2018/05/05(土) 21:23:10.31 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「……一つ、忘れ物があるんじゃないですか?果南さん」

果南「……うん」

ダイヤ「さあ、今度は本当に失礼しますわ」

ルビィ「はい!お家に帰ってレッスンの復習しなくちゃ!」

ルビィ「ああっ、その前に善子ちゃんとフォーメーションを……!」

善子「フッ、リトルデーモンが今日も一人このヨハネに従う…」

善子「クックック……スクールアイドル界を手中に収めるのも、もはや時間の問題!」

花丸「マル達の卒業の方が早そうずら…」

ダイヤ「ほら、行きますよ皆さん」


146:2018/05/05(土) 21:24:00.57 ID:aKmjSQTp.net

果南「…」

梨子「……」

果南「……」

果南&梨子「「あ……」」

梨子「……」

果南「ごめん─」

梨子「謝らないでください…」

梨子「私は千歌ちゃんの生きていた頃のことは、果南さんや美渡さん、志満さん達から聞いたのと…」

梨子「…練習の動画やホームビデオでしか知らないので……」

梨子「果南さんからもっともっと千歌ちゃんのこと、聞きたいです」

果南「うん…」

梨子「私にできること 私にできる償いの一つは千歌ちゃんのことを一つでも多く知ることだと思います……」

梨子「だから……これからもよろしくお願いします」

果南「ありがとう──」


147:2018/05/05(土) 21:27:34.95 ID:aKmjSQTp.net

ルビィ「果南さんが加入して6人に!」

花丸「マル達6人の初ぴーぶいをいんたーねっとにあっぷろーど!」

善子「再生数は1日最大666件を超え、今や急成長スクールアイドルの筆頭!」

よしまるびぃ「えへへ♪」

善子「やっぱりこのヨハネ率いるリトルデーモン軍団で人気大爆発しちゃったわね!」

花丸「善子ちゃんのここのダンスすごくかっこいいよ!」

ルビィ「花丸ちゃんのスマイルも素敵だよ!」

善子「ルビィの歌声もこの私とは違った良さがあるわね」

ダイヤ「でも一番は何と言っても果南さんのアクティブな動き!」

ダイヤ「動画のコメントもみてください」


 果南ちゃんのスタイル羨ましい~

     ダンスのキレがすごい!本当に高校生?

ルビィちゃん超可愛いいいいい

   ダイヤ様~~素敵!

花丸ちゃんスマイル癒される!!

    果南お姉さま~~

 ヨハネちゃん河合井


148:2018/05/05(土) 21:28:13.72 ID:aKmjSQTp.net

ダイヤ「コメントの半分近くは果南さん関連ですから」

果南「あはは、やめてよダイヤ」

花丸「こんなにコメントもらえるなんて嬉しいね♪」

ルビィ「うん!」

ルビィ「あっ、善子ちゃん宛てのコメントがタイプミスしてる」

善子「河合井って……なによこれー!ちゃんと書き直しなさいよーー!」

梨子「ふふっ」

ルビィ「あっ、梨子ちゃん宛てのコメントも有ります!」


 梨子ちゃん、すっごく輝いてるよ~


梨子「あっ……」

ダイヤ「様々な方から応援される、これがスクールアイドルですから」

梨子「はい…」

梨子「……嬉しい♪」

ダイヤ「さあ、皆さん 今日も張り切って練習をしましょう!」

5人「おー♪」


161:2018/05/06(日) 12:58:27.87 ID:jCsBZ5C3.net

ダイヤ「どうです、鞠莉さん!?」

鞠莉「ええ、そうね……」

善子「ゴクッ…」

ルビィ「……」

花丸「……」

果南「どう?」

鞠莉「まあ、ふーんって感じね」

ダイヤ「そんな…」

鞠莉「悪くないんじゃないかしら?」

果南「そう…」

鞠莉「それじゃあ、チャオ~」


162:2018/05/06(日) 13:00:11.64 ID:jCsBZ5C3.net

果南「何が駄目だったのかな?」

ダイヤ「前にもおっしゃっていたのですが、見ていてハートが熱くなるくらい素敵なものだったら…と」

善子「じゃあ何!?私達のダンスや歌はハートが熱くならないって言いたいわけ!?」

花丸「善子ちゃん落ち着いて」

ルビィ「そう言うことじゃないと思うけど…」

梨子「千歌ちゃん……」

果南「えっ?」

梨子「あっ……」

梨子「千歌ちゃんの練習している動画を見たことがあるんですけど」

梨子「あまり上手とは言えないダンスだけど」

梨子「──見ていて楽しい気持ちになるんです」

果南「うん、千歌のダンスは熱くなるとはちょっと違うかもだけど、見ていてワクワクするって感じかな?」

果南「私もそうだったし」

ダイヤ「果南さん…梨子さん……」

善子「千歌さんって確か…」

花丸「うん、果南さんが見学に来た日にダイヤちゃんに聞いた人だよ」

ルビィ「うん……」


163:2018/05/06(日) 13:00:52.96 ID:jCsBZ5C3.net

善子「うーーー!」

ルビィ「善子ちゃん…」

善子「何よ、うっさいわね!!」

花丸「そんなに怒らなくっても」

善子「あのことはもう別にいいわよ!むしろ見返してやるんだから!って思ってるくらいだし」

ダイヤ「それでは一体何なのです?その暑苦しいマントでイライラしているのでしたら脱げばよろしいのでは?」

善子「そうじゃなくって!」

善子「前にも言ったけど、まだ誰かに見られている気がしてるのよ!」

善子「さっきのこととそれが重なってイライラするのよ!」

果南「あー、それって私のことかな?」

果南「皆が屋上で練習するようになって、二日に1度くらい見に来てたんだ…」

ダイヤ「そうだったのですね」

果南「うん、その…フォーメーションを確認しに……」

梨子「そうだったんですね…」


164:2018/05/06(日) 13:01:38.13 ID:jCsBZ5C3.net

果南「すごくいい曲と衣装…フォーメーションももちろん曲のイメージに近かったけど私のフォーメーションならもっと良くなるのにってね」

果南「でもそのフォーメーションを作っていた本当の理由は……」

梨子「果南ちゃん……」

ダイヤ「それはもういいのですよ」

果南「…ごめん」

果南「っていうわけで、私が見てたんだごめんね善子ちゃん」

善子「そうじゃないのよ」

梨子「えっ?」

善子「果南が入ってから… つまり今も見られてる気がするのよ」

梨子「そ、それって!」

善子「いいえ、梨子の守護霊じゃないと思うわ」

梨子「そう……」


165:2018/05/06(日) 13:02:51.88 ID:jCsBZ5C3.net

花丸「ちなみにその視線はどの辺からするの?」

善子「前は複数の視線があったんだけど」

善子「一つは屋上へ上ってくるあの階段の壁のところからあったはず」

善子「なのに今はしないってことは…」

果南「そう、私はそこから見てたんだ 良く気付いたね」

善子「ふっ、このヨハネの心眼にかかればまるっとお見通しよ!」

ダイヤ「それでは果南さんが加入してからも続いている視線と言うのは?」

善子「あのあたりからするんだけど……」

梨子「あのあたりって…」

果南「エアコンの排気口?」

花丸「そういえばあのあたりに変な機械がくっついていたけど…」


166:2018/05/06(日) 13:04:14.39 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「こ、これは…」

果南「か、監視カメラ…!?」

ルビィ「えぇっ!?ルビィ達、ずーっと誰かに見られていたの!?」

花丸「監視カメラ?」

善子「このカメラで私達の練習が全て何者かに監視されていたのよ!」

梨子「でも一体誰が…」

善子「まさかこの浦の星女学院スクールアイドルの躍進を阻止する何者かが……!」

ダイヤ「そういえば先生方に練習を屋上で行うと連絡した時の話ですが」

ダイヤ「そもそも先生方の数が足りないのと、私が生徒会長という立場もあるからか」

ダイヤ「『屋上で練習しても構いませんが危険がない様にさせてもらう』と言われましたが、まさか…」

果南「それが、これ?」


梨子(顧問の先生が付いてないからって生徒会長に任せて監視カメラだけってどうなんだろう……)


167:2018/05/06(日) 13:04:48.06 ID:jCsBZ5C3.net

善子「クックック… これで完成ね」

ダイヤ「まさか監視カメラの映像を先生方から借りて、私達のドキュメンタリーを作成するとは……」

果南「すごい発想だね」

善子「これで鞠莉も『オ~、カンドーデース!』なんて言うに決まってるわ!」

ルビィ「あはは…でもすっごく良いと思う!」

花丸「これがマル達6人のどきゅめんたりー…」

梨子「早く見てもらいたいね♪」


168:2018/05/06(日) 13:05:38.66 ID:jCsBZ5C3.net

鞠莉「また?」

善子「いいから!」

─ワンツースリーフォー……

果南「……」

─ヨシコサンッ!! ハナマルサンッ!! サイゴノスマイルヲワスレテイマスッ!!

ルビィ「どう、ですか……?」

鞠莉「うん、悪いけど……」

善子「…」

善子「あっそ、行くわよ!」

ルビィ「善子ちゃん!」

ダイヤ「すみません、お時間をいただいたのに…」

鞠莉「ううん 別にいいわよ」

鞠莉「何度も見たけど……やっぱり──」

ダイヤ「……」


鞠莉「スクールアイドル…か」


170:2018/05/06(日) 13:06:23.09 ID:jCsBZ5C3.net

花丸「善子ちゃん、ちょっと変だよ」

ルビィ「うん、鞠莉さんにルビィ達の想いをが伝わらなかったのは残念だけど…」

善子「…」

善子「悔しいじゃない」

花丸「うん、マルもそうだけど」

ダイヤ「私達がもっと練習すればきっと鞠莉さんの心を響かせることができますよ」

果南「だからまずは基礎練習からやってさ」

善子「そうじゃない!」

梨子「ヨハネちゃん…」


171:2018/05/06(日) 13:07:00.69 ID:jCsBZ5C3.net

善子「ずら丸とルビィ、そして梨子に誘われて仕方なく始めたスクールアイドルだったけど」

善子「今はすごく楽しいのよ…」

善子「ずら丸、ルビィ、ダイヤ、梨子…それに果南 みんなはこのヨハネと同等、それ以上に素敵なのに!」

善子「私のことは別にいいけど、皆のことも否定された気がしてちょっと腹が立ったのよ!」

善子「だから意地でも認めさせてやるんだから!」

ルビィ「善子ちゃんっ!」

花丸「そしてこのヨハネのリトルデーモンにしてやる~ ずら♪」

ダイヤ「ふふっ」

果南「今のすっごく似てたよ~、花丸ちゃん」

花丸「えへへ♪」


172:2018/05/06(日) 13:07:33.52 ID:jCsBZ5C3.net

──♪

花丸「マル達のぴーぶい観てるの?」

ルビィ「うん、もっともっと上手くなればもっと魅力的にはなると思うんだけど」

ルビィ「鞠莉さんはそういうのじゃないと思うなぁ…」

───♪

花丸「でも前よりもコメントが増えてるし」

花丸「マルはこの6人のダンス、すっごくいいと思うけど」

ルビィ「ルビィもそうだけど……」


\ピロン/

ルビィ「ダイレクトメッセージ……?」


173:2018/05/06(日) 13:08:26.10 ID:jCsBZ5C3.net

花丸「だいれくと… なにそれ?」

ルビィ「動画をアップしたアカウント…つまりお姉ちゃんに誰かが連絡をくれたみたいなんだ」

ルビィ「えーっと……浦の星女学院スクールアイドル 様」

ルビィ「こちらは東京スクールアイドルワールド運営委員会です…??」

ルビィ「……」

花丸「どんな内容だったの?」

ルビィ「すごいすごい!!ルビィ達にライブのオファーが来てるよ!!!」

花丸「おふぁー!?」

ルビィ「うん!!東京のイベントに浦の星女学院スクールアイドル部も参加しませんか?だって!」

花丸「うわぁ~♪」

善子「何よ騒がしいわね」

ダイヤ「どうしたのですか一体?」


174:2018/05/06(日) 13:09:13.25 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「ええっ!?私達が!?」

ルビィ「うん! このPVの再生数や『浦の星女学院スクールアイドル部』のお気に入り登録がものすごく増えてて」

花丸「今後に期待って意味も含めてイベントに参加してほしいって!」

果南「本当!? だとしたらすごいよ!」

ダイヤ「ええ、東京のイベントで有名になれれば今年度で廃校になるこの学校に恩返しができるかもしれませんね」

ルビィ「うん!」

ルビィ「たくさんの人にうちのこと知ってもらえたら嬉しいなぁ…♪」

善子「東京? クックック……堕天使ヨハネが魔都東京に降臨?」

善子「最高じゃないっ♪」


175:2018/05/06(日) 13:10:02.95 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「うん、だからこのイベントを鞠莉さんに見てもらうのはどうかなって思って……」

善子「いいわね、それ!」

果南「確かに!会場が盛り上がってたら鞠莉にも届くんじゃないかな?」

果南「私達の気持ち!」

ダイヤ「ええ!」

花丸「うん!マル達のライブ楽しんでもらお♪」

梨子(鞠莉さんにライブを会場で観てもらう)

梨子(本当にそれだけで鞠莉さんの心が熱くなるのかな……?)

梨子(千歌ちゃんなら…何て言うかな?)

梨子(……)

梨子「あの……」


176:2018/05/06(日) 13:11:27.79 ID:jCsBZ5C3.net

……

善子「クックック…ついに来たわね 日本中のリトルデーモンを従える運命の日が!」

善子「ディスティニー…♪」

鞠莉「驚いたわ~ まさかライブのイベントに呼んでもらえるなんて」

鞠莉「しかも、舞台袖から見せてもらえるんだもの♪」

ダイヤ「運営の人には他のグループに迷惑をかけないように、と一言言われましたが鞠莉さんなら大丈夫でしょう」

果南「しっかり見ててよ、鞠莉?」

鞠莉「ええ!とっても楽しみよ!」


177:2018/05/06(日) 13:12:39.87 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「うぅぅ……ルビィ、ちゃんとできるかなぁ…」

花丸「大丈夫だよ、いつもどおりにやれば大丈夫だってマルは知ってるよ?」

花丸「むしろマルが大丈夫じゃないかもしれないからルビィちゃんに助けてほしいな」

ルビィ「そんなことないよ!花丸ちゃんがずっと頑張ってきてたのはルビィが一番知ってるもん!」

善子「そうね ルビィもずら丸もリトルデーモンとして成長しているもの」

善子「二人ならきっとうまくいくわ……」

果南「善子ちゃんだって二人に負けないくらいちゃんとやってたよ?」

善子「…あっ、ありがと……//」

ダイヤ「皆さん、そろそろ1グループ目のライブが始まりますよ」

アキバレポーター「ではー! トップバッターはこのグループ!『Saint Snow』!」


178:2018/05/06(日) 13:14:06.84 ID:jCsBZ5C3.net

鞠莉「結構ノれる曲で良いダンスだったわね~」

鞠莉「トップバッターなのに観客も一気にアツくなってるもの!これは今後が楽しみね」

ダイヤ「ふふっ 次は私たちですからもっと楽しみにしていてくださいね」

鞠莉「うっふふ♪ ええ、とっても楽しみよ!」

アキバレポーター「続いてー!人気急上昇中!のフレッシュなスクールアイドル、『浦の星女学院スクールアイドル部』の皆さんでーす♪」

梨子「それでは鞠莉さん、そこで、観ていてくださいね♪」

鞠莉「ええ!」


179:2018/05/06(日) 13:15:01.55 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「こんにちは 私達は浦の星女学院スクールアイドル部です」

梨子「私達はまだグループ名が無いくらい出来て間もないグループですが、皆さんよろしくお願いします」

\ ワー!! /

梨子「ここで皆さんにお話があります♪」

\ざわっ… ざわっ…/

梨子「先ほど言ったように私達のグループ名がありません」

ダイヤ「なので皆様にグループ名のアイデアを頂ければ、と思っています♪」

\ オー!? /

果南「皆さんの募集、お待ちしています♪」

\ ワーー!!! /


180:2018/05/06(日) 13:16:28.01 ID:jCsBZ5C3.net

花丸「続いて、二つ目のお話です」

\ざわっ…/

ルビィ「新メンバーの紹介ですっ♪」

\ オオオオー!? /

梨子「新メンバーの名前は──


小原鞠莉ちゃんです♪


181:2018/05/06(日) 13:17:03.69 ID:jCsBZ5C3.net

\ ワー!! /

鞠莉「え……」

ダイヤ「鞠莉さん、出番ですよ?」

鞠莉「私──?」

花丸「鞠莉ちゃん!」

果南「鞠莉!」

ルビィ「鞠莉ちゃん!」

善子「何やってるの?ほら、もしかして怖気づいたの!? マリー?」

鞠莉「そんなの……」

鞠莉「出て行くに決まってるじゃないッ♪」



ルビィ「ミュージックー……」

花丸「スタートォ♪」

\キャーーーーーーー!!! /


182:2018/05/06(日) 13:18:48.51 ID:jCsBZ5C3.net

ダイヤ「イベント、いかがでしたか?」

鞠莉「言うまでもないって言葉が日本にもあるでしょ?」

果南「あっはは、それは良かったよ」

梨子「……結局、私達の成績は参考扱いになっちゃいましたけどね ふふっ♪」

鞠莉「Oh.. それは悪いことをしたわね」

善子「運営に事前に報告してないパフォーマンス、明らかな持ち時間オーバー…… そりゃこうなるわよ」

ルビィ「でもでも!鞠莉ちゃんが出てきてくれてよかったです」

花丸「出てこなかったらどうしようかと思ってたずら~」

鞠莉「あそこで出て行かないなんてロックじゃないわよ!」

ダイヤ「ふふっ、それでこそ鞠莉さんですわ」

善子「それで?」

鞠莉「それでって… 善子は人が悪いのね」

鞠莉「これからは私も入れてくれるのよね?」

善子「ふふっ♪」

梨子「これからよろしくお願いします♪」


183:2018/05/06(日) 13:19:46.00 ID:jCsBZ5C3.net

鞠莉「それにしてもびっくりしたわ~」

鞠莉「マリーにとびっきりの景色を見せてあげるからついてきなさいって言われて」

鞠莉「舞台袖で見られるなんて素敵♪って思ってたところに、あの呼び出しだもの」

鞠莉「結果的にとびっきりで最高の景色を見せてもらえたけどね♪」

ダイヤ「ふふっ」

鞠莉「やっぱりダイヤの差し金かしら?」

ダイヤ「いいえ、私ではありませんわ」

鞠莉「じゃあ果南?」

果南「私でもないよ?」

鞠莉「ワッツ? それだとしたら一体誰が……??」

善子「クックック…聞いて驚きなさい! 黒幕の正体はこの──

アキバレポーター「おーい!!」

ルビィ「あっ、司会のお姉さん!」


184:2018/05/06(日) 13:20:36.03 ID:jCsBZ5C3.net

アキバレポーター「まだ会場付近に居てくれて良かった良かった~」

アキバレポーター「皆さんお疲れ様~」

アキバレポーター「あっはっは、いやー……浦の星女学院スクールアイドル部、はっちゃけ過ぎィ!!」

アキバレポーター「あんなにはっちゃけられちゃったら私の立場が無くなっちゃうよ~」

アキバレポーター「じゃなくって、皆のパフォーマンスがあまりにも突然過ぎてフォローできなくてごめんね~~」

梨子「いえ、こちらこそすみません」

アキバレポーター「投票の結果なんだけど」

アキバレポーター「時間オーバーってことでランキングには反映させない、つまり参考って形にさせてもらうって上に言われちゃったもんで」

アキバレポーター「事前にああいったパフォーマンスをするって話があったらまた別の結果になってたと思うけどね~」

アキバレポーター「はい、これが結果!」

アキバレポーター「皆の今後の活躍を期待してるよ~ それじゃバイバ~イ♪」


185:2018/05/06(日) 13:21:29.46 ID:jCsBZ5C3.net

ダイヤ「参考記録、ですか 仕方ありません…」

果南「うん、あそこまで自由にしたらさすがにね」

ルビィ「観客が2000人居たとして…20票入っていたら得票率が1%だけど……」

花丸「参加グループが30組だから、70票以上入ってたらすごいのかな?」

善子「均等に割れてたらそうだけど、中にはラブライブ!の決勝に出たグループもいたんでしょ?」

善子「そっちに票が流れてたら20票でも十分じゃないの?」

鞠莉「それで、票はどれくらい入ってたの?」

梨子「ちょっとまってね」


186:2018/05/06(日) 13:22:58.14 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「えーっと、浦の星、浦の星は…」

梨子「えぇ!?」

ルビィ「ひゃ…ひゃくさんじゅうろく!?」

ダイヤ「そんなに多くの方々に支持していただいたのですか!?」

果南「これは鞠莉加入のインパクトが相当だったと思うね~」

鞠莉「そう?私はほとんど踊れなかったから純粋に皆のことを評価してくれてるんじゃないの?」

果南「踊れなくってもちゃんと歌えてたじゃん」

鞠莉「あれは……」

鞠莉「善子がしつこくPVを見せるからいつの間にか覚えちゃったのよ……//」

善子「ふっ、堕天しちゃってのね♪ 私って罪な堕天使……」

梨子「良かった……」


梨子(鞠莉さんが電撃加入してくれてこれで7人だよ)

梨子(観客の皆もものすごく盛り上がってて、こんなにいっぱい投票してもらえたんだよ♪)

梨子(千歌ちゃんも……きっとどこかで観てくれたよね?)

梨子(私達、これからもっともっと頑張って千歌ちゃんが目指していた景色を見てくるね!)


187:2018/05/06(日) 13:24:01.21 ID:jCsBZ5C3.net

──……

ルビィ「うん、だからこのイベントを鞠莉さんに見てもらうのはどうかなって思って……」

善子「いいわね、それ!」

果南「確かに!会場が盛り上がってたら鞠莉にも届くんじゃないかな?私達の気持ち!」

ダイヤ「ええ!」

花丸「うん!」

梨子「あの……」

ダイヤ「どうかしましたか?」

梨子「鞠莉さんにただ観てもらうだけではあんまり効果がないと思います」

果南「うーん、確かに観客が盛り上がってたらいいけどあんまり盛り上がらなかったら……」

ダイヤ「では一体どうするのです?」

花丸「観客席が駄目なら、マル達に見えている景色を観てもらうのがいいと思うな」

善子「どういうこと?」

花丸「角度はちょっと違うけど舞台袖からならマルたちがやってるライブ目線に近い光景で観てもらえるんじゃないかなって」

ルビィ「うん!ルビィ達のダンスでお客さんが盛り上がってたら心は熱くなると思う!」

梨子「それも考えたんだけど──」


188:2018/05/06(日) 13:24:49.89 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「ええ!?」

ダイヤ「イベント当日に舞台袖から鞠莉さんを舞台に上げる!?」

果南「あっはは それは確かにすごいと思うけど、東京のイベントでそんなことして許されるのかな?」

善子「それに舞台袖ってそもそも関係者以外立入禁止なんじゃないの?」

梨子「鞠莉さんがマネージャーってことにするとか、関係者だっていうことにすれば入れてもらえるんじゃないかな?」

梨子「運営にこういったパフォーマンスをしたいという話を事前にすれば大丈夫だと思うけど」

梨子「その場合はおそらく鞠莉さんにも伝わってしまうので、それだとインパクトは無くなるかな……」

梨子「アポ無しでやって途中で運営からストップが入ったら私達の評価は地に落ちるかと思いますけど……」

ダイヤ「一か八かというわけですか」

梨子「はい 最悪のケースはラブライブ!関連のイベントにも参加できなくなる可能性もありますが…」

ルビィ「……」

果南「まあ、やるしかないんじゃない?」

ダイヤ「果南さん!?」

ルビィ「うん!」

ダイヤ「ルビィまで……」


189:2018/05/06(日) 13:25:33.02 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「たぶん、鞠莉さんに加入してもらえる最後のチャンスなんじゃないかなって思うんだ……」

花丸「ライブ当日の、しかも本番中に突然加入してくださいって言われて、心が動かない人なんていないと思う」

ルビィ「ルビィだったら怖くて出られないかもしれないけど……」

善子「あの鞠莉だったら出てくるでしょうね」

果南「あっはは♪ 確かにそうだよ!」

ルビィ「それに……」

ルビィ「ルビィ達の見てる景色を見てもらうなら、舞台に立ってもらうのが一番だと思うんだ」

ルビィ「それで駄目だったら… もう……」

ダイヤ「…わかりました」

ダイヤ「もしかしたらこれが公の場で行う最後のライブになるかもしれないので心残りの無い様にしっかりと練習しましょう」

5人「はいっ!」


…──


190:2018/05/06(日) 13:27:51.65 ID:jCsBZ5C3.net

……

梨子「おじゃまします」

美渡「今日も来てくれたんだ」

美渡「こんな時間まで部活?スクールアイドル?やったあとなのに」

梨子「いえ、私が来たくて来ているので…」

梨子「逆に迷惑だったら言ってください」

美渡「そんなことないって!」

美渡「はい、みかん」

梨子「ありがとうございます♪」


191:2018/05/06(日) 13:28:33.46 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「千歌ちゃん、先週は東京のスクールアイドルイベントに行ってきたの」

梨子「舞台で鞠莉ちゃんを呼んで無理やり7人目のメンバーにしちゃいました♪」

梨子「これからもっともっと頑張るから、見ててね」

梨子「周りのグループは歌もパフォーマンスもすごかった」

梨子「私達も負けないくらい頑張ったよ」

梨子「でも、私はどんなグループのダンスより、千歌ちゃんが練習してる姿が、一番好きだなぁ……」

梨子(もしも私が───)

梨子(もしかしたら一緒に千歌ちゃんと──?)

梨子「……」

梨子(どこにいったの千歌ちゃん……)

梨子「また会いたいよ…」

梨子「千歌ちゃん……」ポロポロ...


192:2018/05/06(日) 13:29:35.00 ID:jCsBZ5C3.net

美渡「ん?あれ?」

美渡「どうしたの梨子ちゃん?」

梨子「いえ……なんでもありません……」

美渡「どーせ、千歌が生きてたら一緒にスクールアイドルできたのになぁ~ とか思ってたんじゃない?」

梨子「……」ポロポロ...

美渡「ええ!?当たり!?」

志満「美渡? ちょっとこっちへおいで?」ニコッ

美渡「うげっ…!」

美渡「あっはは… ま、またね梨子ちゃん……」

志満「美~渡~?」

美渡「……もう会えないかもしれないけど」


193:2018/05/06(日) 18:32:30.38 ID:jCsBZ5C3.net

……

善子「暑いわね」

花丸「もう溶けそうずら~」

ルビィ「たすけてぇ~~」

花丸「地球さん、もう少し地軸を傾けてほしいな……」

善子「ならば! このヨハネの魔力でポールシフトを起こして見せましょう!!」

善子「んむむむ~~…」

ルビィ「…」

花丸「……」

善子「むむむ………」

善子「って、あんた達何か言いなさいよ……」

善子「……」

善子「そうだわ!」

花丸「どうしたの善子ちゃん」


194:2018/05/06(日) 18:33:01.39 ID:jCsBZ5C3.net

善子「このヨハネの前にエニグマは存在しない……っと♪」カチャ..

ルビィ「よ、善子ちゃん!これって不法侵入なんじゃ…!?」

花丸「これはさすがにだめだよ……」

善子「なによ!暑いから何とかしなさいって言ったのはアンタ達でしょ!」

善子「ほら、誰もいないプールよっ!」

善子「ついこの間プール掃除したばっかりのピッカピカのプール! しかもプール開き前に侵入」

善子「この背徳感 ス・テ・キ♪」

ルビィ「……うぅ……誰かに見つかっちゃったらどうしよう……?」


195:2018/05/06(日) 18:33:33.10 ID:jCsBZ5C3.net

善子「ん~~、足を浸けるだけでも全然違うわね」

花丸「うん、足湯の逆みたいだね」

ルビィ「それじゃあ足冷?」

善子「なによそれ、冷え性みたいじゃない」

花丸「別に何だっていいずら~~♪」

ルビィ「えへへ~♪」

善子「ちょうど曇ってきたし、こんな時期なのに涼しいわね♪」

ルビィ「うん、部活の時間までこうしていたいなぁ」


 \コラー!/


よしまるびぃ「!?」


196:2018/05/06(日) 18:34:19.24 ID:jCsBZ5C3.net

曜「コラー!部活は来週からだよー??」

曜「せっかくプール掃除したのに汚されたら困っちゃうよ!」

ルビィ「ご、ごめんなさいっ!」

曜「あれ?三人とも一年生??」

花丸「は、はい……」

曜「でも水泳部員じゃないよね? あっ、もしかして水泳部に入部したいとか?」

善子「いえ……」

曜「そっか~ 残念!」

曜「もしかしてこの曜ちゃんの泳ぎを見に来てくれたとか!?」

花丸「泳ぎ?」

善子「そういうわけでも無く……」

曜「う~~ん、残念!」


197:2018/05/06(日) 18:35:10.30 ID:jCsBZ5C3.net

曜「あっ、そうそう、3人には『コレなら誰にも負けない!』っていうものある?」

善子「ふっ、このヨハネはダンスなら誰にも負けないわ」

ルビィ「ちょっと、善子ちゃん!」

曜「へ~!ダンスかぁ……」

曜「私もやったことあるんだけど、結構楽しいよね!」

曜「でね、私ね、こう見えても水泳と飛び込みだけは誰にも負けないって自信があるんだ♪」

花丸「水泳と高飛び込み?」

曜「特に高飛び込みはインターハイに出られるくらいだし、曜ちゃん自信の競技であります!」

ルビィ「い…インターハイ……!」

曜「えっへへ♪ すごいでしょ?」


198:2018/05/06(日) 18:36:01.23 ID:jCsBZ5C3.net

曜「高飛び込みはさすがに学校のプールでできないから沼津の方のスイミングスクールでやってるんだ」

曜「良かったら見に来てね!」

曜「明日! 土曜日! 朝10時から! やってるからね~」

曜「来てくれないとプールに忍び込んだこと先生に言っちゃおうかな~♪」

善子「え、ええ!?気が向いたら行きます…おそらくきっとたぶん……」

曜「きっとだよ~」

曜「…!!」

曜「くんくん……」

曜「あっそうそう、涼むのもいいけどもうすぐ雨が降るから早く帰るんだよ~?」

花丸「はい、ごめんなさい……」

曜「曜ちゃん天気予報に外れは無いってね♪」

曜「それじゃーねー」

ルビィ「……行っちゃった」


199:2018/05/06(日) 18:36:34.79 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「台風みたいな人だったね…」

花丸「うん、マル達も他の人に見つからないうちに部室に戻ろうね」

善子「別にもう少しいてもいいんじゃない?部活まであと20分はあるし」

ルビィ「で、でももうすぐ雨が降るって言ってたから…」

善子「あんなのデタラメに決まってるじゃない」

ルビィ「そうかなあ……」


200:2018/05/06(日) 18:37:08.19 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「ああっ!」

花丸「どうしたの?ルビィちゃん」

ルビィ「思い出した!さっきの人、2年生の有名な人だよ!渡辺曜さんだよ!」

善子「有名人?」

ルビィ「うん!テストはいつも赤点だけど、スポーツ万能で他校との交流運動会では出場個人種目で全部1位だったって!」

善子「へ~、それならダンスとかも上手そうね」

ルビィ「うーん…そういえばさっき、ダンスもやったことあるって言ってたような……」

花丸「でも、ダンスなら誰にも負けない善子ちゃんには敵わないんじゃないかな?」

善子「うぐっ……」


201:2018/05/06(日) 18:37:51.18 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「それにしても、インターハイに出られるってすごいね」

善子「ふっ、このヨハネ率いるスクールアイドル部もラブライブ!の予選が来月に控えているのよ?」

花丸「正確には地方予選の予備予選だけどね」

善子「それにラブライブ!は私達にとってインハイみたいなものじゃない」

ルビィ「うん!頑張らなくっちゃ」

花丸「ダンスは誰にも負けない善子ちゃんにダンスのいろはを教えてほしいずら~」

善子「クックック……下界の者がこのヨハネについて来られるかしら?」



ポツ.. ポツ...

善子「本当に降ってきたわ!?」

花丸「ど、どうしよう!?」

ルビィ「と、とりあえず校舎に戻ろう…!」


202:2018/05/06(日) 18:38:28.35 ID:jCsBZ5C3.net

~──~~─♪

ルビィ「……ピアノ?」

花丸「梨子ちゃんじゃないかな?」

善子「でも結構へたくそよね」

ルビィ「う、うん……梨子ちゃんのピアノには遠いと思う」

善子「吹奏楽部じゃないの?」

花丸「でも今日は沼津の方に演奏会の予行演習をしに行くって言ってたけど…」


~──~─~♪

梨子(うーん、イメージと違うかなぁ……)

梨子(今の気持ちをメロディに乗せても躍動感も何も出てこない)

梨子(千歌ちゃんが居てくれた時が一番いい感じだったかも……)

梨子(千歌ちゃん──


203:2018/05/06(日) 18:39:01.33 ID:jCsBZ5C3.net

──……

千歌『りーこーちゃん!』

梨子「どうしたの?」

千歌『ピ・ア・ノ♪ ピ・ア・ノ♪』

梨子「またぁ?」

千歌『だって~、ピアノがこーんなに素敵だなんて思えたの、梨子ちゃんのおかげなんだよ?』

梨子「またそうやって……おだてても弾きません♪」

千歌『けち~~』


204:2018/05/06(日) 18:39:38.45 ID:jCsBZ5C3.net

千歌『また『愛の夢』聴きたいな~ あの日から1回も弾いてないよね?』

梨子「うん…でもその曲は……」

千歌『ううん』

千歌『梨子ちゃんの全部が詰まった素敵な曲だと思う』

梨子「私の全部?」

千歌『うん、ぜーんぶ!』

千歌『あの時は梨子ちゃんものすごく落ち込んでたのに、そんな気持ちが曲に入って無かったんだ』

千歌『悲しい気持ちとかそういうのが色々あったと思うのに』

千歌『愛の夢に込められてた気持ちは、梨子ちゃんが言ってた元にしたっていう詩の気持ちだけだったんだ』

梨子「うーん??」

千歌『だから聴きたい!』

梨子「今弾いても前みたいに弾けないかもしれないけど…」

千歌『良いの良いの!』

梨子「はぁ……結局弾くことになるのね」

千歌『やった!!』


205:2018/05/06(日) 18:40:10.11 ID:jCsBZ5C3.net

千歌『グスッ……』

梨子「ち、千歌ちゃん!?」

千歌『本当に綺麗──』

千歌『絶対、梨子ちゃんには才能があると思うなあ……』

梨子「そんなこと……」

千歌『愛の夢がコンクールでも弾けたらたぶん梨子ちゃんが優勝だよ!』

梨子「それはさすがに言いすぎじゃないかな」

千歌『そんなことないよ~』


206:2018/05/06(日) 18:41:13.98 ID:jCsBZ5C3.net

千歌『というわけでもう一回!』

梨子「もうっ!」

梨子「別の曲でもいい?」

千歌『うん!』

千歌『できれば何かを元にして作曲された曲とかだったら嬉しいな~』

梨子「じゃ、じゃあ…あんまり上手じゃないけど『マゼッパ』を弾いてみようかな」

梨子「ドラマとかでも使われたこともあるし、聴いたことあるかも?」

千歌『この前言ってたやつ? その曲はどんな内容を元に作られたの?』

梨子「ユーゴーって人の東方詩集っていう作品に載ってる『マゼッパ』を元にしたらしいんだけど」

梨子「ポーランドに居たマゼッパが不貞を働いて追放されたんだけど、ウクライナで兵士として雇われて英雄になる」

梨子「……って先生に聞いたから私はあんまり詳しくはないんだ」

千歌『おぉ~!波乱万丈な人生だったんだね!』

梨子「ふふっ♪」


──♪


207:2018/05/06(日) 18:41:57.63 ID:jCsBZ5C3.net

千歌『なんとなく分かった気がしたかも!』

千歌『最後の方は、英雄!って感じだったかも?』

梨子「交響曲もあるからそっちの方がストーリーが分かりやすいと思うけど……」

千歌『ピアノがいい~』

千歌『次はカンパ……ラ? アルパカ…? なんだっけ?』

梨子「教えません♪」

千歌『も~~』ギュッ

梨子「!」

千歌『あ、『ラ・カンパネラ』だ!』

梨子「千歌ちゃんずるい」


……──


208:2018/05/06(日) 18:43:11.37 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(『海に還るもの』……)

梨子(元は生きとし生けるもの全ては海に還る……そんな自然の偉大さをイメージしたんだけど)

梨子(でも、海に対する今のイメージは……)

梨子(千歌、ちゃん……)


─────♪


209:2018/05/06(日) 18:43:48.18 ID:jCsBZ5C3.net

花丸「あっ、やっぱり梨子ちゃんじゃないかな?」

善子「急に上手になるわけないじゃない」

善子「梨子と誰かが交代で弾いてるんじゃないの?」

ルビィ「それじゃあ誰と……?」

花丸「音楽室に行ってみない?部活までまだ時間があるし」



曜「ありゃ?あれはさっきの一年生ズ?」

曜「またどこかに涼みに行くのかな??」


210:2018/05/06(日) 18:44:23.39 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(生きてる頃の千歌ちゃんとお話ししたことは一度もないんだけど……)

梨子(幽霊の千歌ちゃんが来てくれて、私の気持ちを変えてくれた)

──♪

梨子(スクールアイドル、音楽に対する気持ちを変えてくれたのに……)

梨子(でも、今は千歌ちゃんがいない……)

───~♪

梨子(やっぱりだめ……)


曜「音楽室……?」

曜「なるほど!エアコン使い放題ってことかな?」


211:2018/05/06(日) 18:44:59.12 ID:jCsBZ5C3.net

花丸「ほら、やっぱり梨子ちゃんだよ」

善子「ホントだわ」

ルビィ「じゃあさっきのも全部梨子ちゃんなのかな??」

善子「そんなの本人に直接聞けば──」

花丸「善子ちゃん……今はだめだよ」

善子「どうしてよ?」

善子「……あっ」


212:2018/05/06(日) 18:45:38.71 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(千歌ちゃん……どうして戻ってきてくれないの)

梨子(もう絶対あのことで後悔なんかしないから……)

梨子(お願いっ……)

梨子「もう一度、会いたいよ……」ポロポロ


善子「……」

花丸「今はそっとしておこう?」

ルビィ「うん……」


曜「おーーーい♪」



善子「きゃあ!」


213:2018/05/06(日) 18:46:17.97 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「……!?」

梨子(ヨハネちゃん達……)

善子「ヤバッ!気付かれたわ!」

花丸「ど、どうしよう……」

ルビィ「覗いてたこと、謝った方がいいよね…」

花丸「うん……」

善子「有名人はどうすんのよ?何かこっち来てるわよ?」


梨子(そういえばヨハネちゃん達は私のことをどこまで知ってるんだろう…)

梨子(果南ちゃんが入ってくれた日にダイヤちゃんはどこまでお話ししたんだろう……)

梨子(泣いてるの見られちゃったと思うし、みんなにきちんとお話ししようかな…)

梨子(私が海に飛び込んだ理由──)

ルビィ「善子ちゃん!梨子ちゃんもこっちに来てるよ!?」

花丸「善子ちゃんどうするの!?」

善子「なんで私に聞くのよーーー!!」


215:2018/05/06(日) 18:46:58.29 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「みんな、もしかしてピアノ聴きに来てくれたの──」

曜「今度は音楽室で涼むの?私もバスの時間まで一緒に──」

梨子「!」

曜「……あっ、桜内さん!なんで音楽室にいるの?」

梨子「えっと…… 音楽室を借りてピアノの練習をしてたんだけど……」

梨子「ほら、今日は吹奏楽部が沼津の方に行ってるから…」

曜「なるほどー そういえば来月のピアノコンクールに出るんだっけ?」

梨子「うん…… 一応エントリーはしたんだけど、さっきみたいに上手に弾けなくって…」

善子「そんなので大丈夫なの?」

梨子「……だからやっぱりコンクールの方は断ろうと思って……」


217:2018/05/06(日) 18:47:34.27 ID:jCsBZ5C3.net

曜「あれ?桜内さんはダンスが上手なヨハネちゃんと知り合いなの?」

善子「ふっ、当然じゃない」

善子「梨子はこのヨハネ様率いる悪の眷属の一員……」

善子「浦の星スクールアイドル部の作曲担当なんだから!」

曜「……へ~、桜内さんもスクールアイドルやってたんだ!」

梨子「う、うん……」

善子「何よ、同じクラスなのに知らないの?」

曜「うん、あんまり話さないし、おとなしい感じだったからちょっと意外だな~って思って」

善子「思ったことズケズケと言うのね……」


218:2018/05/06(日) 18:48:27.16 ID:jCsBZ5C3.net

曜「あっ、もうバスの時間だ!」

曜「って言うわけで、ごめんねっ!」

ルビィ「は、はい……」

曜「あっ!ダンスが上手いヨハネちゃん、ちゃんと高飛び込み見に来てね!」

善子「ええ!? だから気が向いたら行くわよ!」

曜「じゃーねー♪」

善子「相変わらず何考えてるのか分からない人だったわね……」

花丸「うん…バスの時間までまだあるし…」

梨子「……」

梨子(渡辺さんは……)


219:2018/05/06(日) 18:49:00.25 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「ところで三人はどうして音楽室に?」

ルビィ「そ、それは…」

花丸「えーっと……」

善子「クックック……無慈悲に命を刻む鐘の声を聞きなさい──」

梨子「えーっと……?」

\キーン コーン カーン コーン../

梨子「あっ… もう部活の時間!?」


220:2018/05/06(日) 18:49:44.43 ID:jCsBZ5C3.net

鞠莉「ん~… マリー達をこんなに待たせるなんて!」

鞠莉「ダイヤの堪忍袋の緒は引きちぎれてズタズタよ♪」

果南「あははっ」

ダイヤ「べ、別に怒ってなどいません」

ダイヤ「ただ、私達より早く授業が終わったみなさんがどこで何をしていたのかは気になりますが?」

梨子「すみません… 音楽室でピアノを弾いていたら花丸ちゃん達が迎えに来てくれて……」

果南「そうなの?花丸ちゃん」

花丸「えっと……」

梨子「ね?」

善子「ええ、そうよ」

ルビィ「善子ちゃん…」


221:2018/05/06(日) 18:50:27.69 ID:jCsBZ5C3.net

善子「梨子が来月のピアノのコンクールに出るって言ってたじゃない?」

善子「で、今日は3年の授業が多いからその分空いた時間でぎりぎりまで練習させてあげたかったのよ」

ダイヤ「そういうことでしたか……」

ダイヤ「何事にも全力で取り組むその姿勢は素晴らしいですが、時間配分はきちんとするように」

梨子「はい」

ルビィ「善子ちゃんの嘘が……」

花丸「上手になってるずら~~」


222:2018/05/06(日) 18:50:59.22 ID:jCsBZ5C3.net

ダイヤ「ラブライブ!予備予選が来月20日に行われます」

ダイヤ「予備予選を見事通過出来れば名古屋で行われる地区大会に出場することができます!」

ダイヤ「あと1カ月と少ししか無いので、個別練習より全体練習の時間を少しずつ増やしていきたいと思います」

ダイヤ「そのため、明日は土曜日ですが午後1時からだけでなく、午前からも練習を行っていきましょう」

ダイヤ「休日のため購買は閉まっています。 各自お昼ご飯を用意するように!」

善子「ちょ、ちょっと待って!明日の午前は忙しいのよ…」

ダイヤ「そうですか…しかしあまり時間は……」


223:2018/05/06(日) 18:51:38.35 ID:jCsBZ5C3.net

鞠莉「ダイヤ、善子はこう言ってるのよ? 『梨子のために午前はピアノの練習の時間をとってあげないと』ってね」

ダイヤ「……そういうことですか」

善子「えっ え、ええ…も、もちろんそうよ!」

ルビィ(善子ちゃん、梨子ちゃんのこともあると思うけど先輩のところに行きたかったんでしょ?)ヒソヒソ

善子(ええ… プールに忍び込んだお詫びも含めてね)ヒソ..

花丸(マルも一緒に行こうかな)ヒソヒソ..

ルビィ(ルビィも…!)ヒソ..

ダイヤ「それでは明日はいつもどおり午後1時からの……」


梨子(結局、千歌ちゃんのこと言えなかったな)

梨子(ヨハネちゃんにも助けてもらったし……)

梨子(しっかりしなくっちゃ…!)


224:2018/05/06(日) 18:52:32.48 ID:jCsBZ5C3.net

……

梨子「こんばんは」

志満「あら、梨子ちゃん 今日も遅かったのね」

梨子「はい 予選まであと1カ月もないので下校時間ぎりぎりまで練習を…」

志満「大変ね~ ゆっくりしていってね♪」

梨子「はい、ありがとうございます!」

梨子「…あの、今日は美渡さんは?」

志満「あ、あの子ね~ 今日は残業なんだって」

梨子「そうですか…」

志満「お参りしてくれた後は千歌の部屋に行くの?」

梨子「はい」

志満「夕飯もうちで食べていく?」

梨子「いえ、そんな……」

志満「遠慮しなくていいのよ♪」


225:2018/05/06(日) 18:53:00.83 ID:jCsBZ5C3.net

千歌『もうちょっとこうした方がいいかな~??』

千歌『アレンジしちゃったり~…ってわぁぁ~~!!』ドサッ

梨子(前に観た千歌ちゃんの練習動画……)

千歌『明日部活の申請書出してくるね!』

千歌『実はほかにも誘いたい人もいるんだよ♪』

千歌『えっとね~、ほら、同じクラスの──』

千歌『ちょっとは手伝ってよ~』

千歌『ほら、かな──…』

梨子(果南ちゃん…)


226:2018/05/06(日) 18:53:40.64 ID:jCsBZ5C3.net

……

果南「千歌と一緒に練習してた動画?」

果南「うん、私が撮った動画もいくつかあると思うからそのうちの一つかな」

梨子「そうなんですね…」

梨子「あの、千歌ちゃんが言ってた『同じクラスの人』って…」

果南「あー、それは曜だよ」

梨子(渡辺さん……?)

果南「千歌が曜は絶対にスクールアイドルになった方がいいって説得してさ」

果南「そしたら曜もその気になって水泳部やめてスクールアイドルやるぞーとか言いだして」

果南「千歌は曜と私の三人の名前を書いてスクールアイドル部を設立するって生徒会室にいったんだ」

果南「人数が足りないってダイヤに怒られたみたいだけどね、あはは」

梨子「そうだったんですね…」


227:2018/05/06(日) 18:54:35.69 ID:jCsBZ5C3.net

果南「曜が千歌の練習姿を撮ってたり、カメラを三脚に建てて3人で練習してる動画もあるかもしれないけど」

果南「ダンスの動画を撮ったのはほんの数日」

果南「千歌の家にある動画のほとんどは高1までのものだと思うよ」

梨子「ありがとうございます…」

果南「私にできることがあったら何でも協力するから」

梨子「渡辺さんは……」

果南「うーん、梨子ちゃんのことは特になんとも思ってないって言ってたよ」

果南「でも、スクールアイドルは千歌がいないとやらないって言うと思う」

果南「私が聞いてもいいんだけど、聞かなくても分かるでしょって言われちゃうかな」

梨子「いえ、そこまでは……」

果南「あはは」

果南「まあ、千歌のことなら美渡さんや私に何でも聞いてよ」

梨子「はい! ありがとうございます」

果南「……」

……


228:2018/05/06(日) 18:55:31.33 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(……)

梨子(渡辺さんと千歌ちゃんが練習していた時はどんな感じだったんだろう……)

梨子(動画に映って無い千歌ちゃんは…?)

梨子(私達のダンスと比べてどうなのかな?)

梨子(来週、聞いてみようかな……)


229:2018/05/06(日) 18:56:24.52 ID:jCsBZ5C3.net

……

ルビィ「おはよう♪」

花丸「ルビィちゃん、おはよう♪」

善子「来たわね二人とも」

善子「とっとと高飛び込みを見にいくわよ」

花丸「ねえ、高飛び込みってどんなスポーツなの?」

善子「良く分からないけど高いところからジャンプしてくるくるって回るやつでしょ?」

ルビィ「うん、昨日調べたんだけど…」

ルビィ「飛び込み台からの飛び方とか、プールに入るまでの技、入水の仕方とかで点数を決めてるみたいなんだ」

ルビィ「3メートルと10メートルの飛び込みがあって、先輩は『高飛び込み』って言ってたから10メートルの方かな…」

ルビィ「先輩のことも調べたら国際大会レベルっていううわさもあるみたいだし…」

善子「そ、そんなにすごい人だったのね……」


230:2018/05/06(日) 18:56:58.39 ID:jCsBZ5C3.net

曜「あーーー!一年生ズ!」

善子「きゃあ!」

曜「本当に来てくれたんだ、ありがとう♪」

ルビィ「えへへ…昨日、先輩のこと色々調べてすごい人だって分かったし…」

花丸「昨日のお詫びも兼ねてきました」

善子「ま、まあ、他のスポーツもスクールアイドルの参考になるだろうし?」

曜「うんうん♪ じゃあ、二階席はどこでも見学できるから好きな場所で観ててよ!」

ルビィ「はいっ」

曜「席に着くまで適当に泳いでるから!」

花丸「ありがとうございます」


231:2018/05/06(日) 18:57:46.25 ID:jCsBZ5C3.net

曜「おーーーい、一年生ズ~~!」

善子「あ、飛び込み台から手を振ってるわ……」

ルビィ「あはは…元気の塊みたいな人だね」

花丸「あんなところから飛び込むの!?」

ルビィ「10メートルだからそうみたいだね……」

曜「いっきまーす」

曜「前逆さ宙返り──」

善子「お~…」

花丸「綺麗~…」

ルビィ「わぁぁ~♪」

\チャプン/


232:2018/05/06(日) 18:58:31.79 ID:jCsBZ5C3.net

善子「ええっ!?あんな高さから飛び込んだのに水しぶきが全然立たないの?」

花丸「すごく綺麗だったずら~…」

ルビィ「おさかなさんみたいだったなぁ…♪」

ルビィ「泳いでいたのも綺麗だったし…」

花丸「うん、すごかったね」

ルビィ「もし、先輩がスクールアイドルやってくれたら……」

ルビィ「もっともっとみんなキラキラ輝けそう…」

花丸「ルビィちゃん…?」

ルビィ「そしたらお姉ちゃんや果南ちゃん達と一緒に~…♪」プワプワー

花丸「…あはは……すっかり先輩の虜になってるずら」

善子「あっ、もう一回やるみたいね」

ルビィ「ええっ!? る、ルビィ、飲み物買ってくる!」

花丸「今から!?もうすぐ始まっちゃうよ!?」

ルビィ「すぐ戻るから…!! ね、花丸ちゃん!」

花丸「ルビィちゃん…?」

善子「まあ来週も来ればいいし、そんなに気にすることないんじゃない?」


曜「いっくよー!」


233:2018/05/06(日) 18:59:20.56 ID:jCsBZ5C3.net

曜「ふぅ♪」

ルビィ「あっ…あの……」

曜「あっ、一年生ズの…えーっと、あはは」

ルビィ「くっ……黒澤ルビィといいます…」

曜「くろさわ ルビィちゃん!」

曜「宝石みたいで綺麗な名前だね~」

ルビィ「はい…お姉ちゃんはダイヤって言います……」

曜「へ~、お姉さんもいるんだ」

曜「ルビィちゃん?わざわざ下に降りてきてくれたのは?」

ルビィ「先輩の飛び込みを間近で見たかったのと…」

ルビィ「お話をしたくて──」


花丸「あれ?下で先輩とお話ししてるのって…」

善子「ルビィ!?」


234:2018/05/06(日) 18:59:59.67 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「あのっ…!!」

ルビィ「先輩の泳いでる姿、飛び込みをやってる姿…」

ルビィ「とっても綺麗でした…! まるで人魚みたいで……」

曜「えへへ、そんなに褒められると照れちゃうなぁ…♪」

ルビィ「ルビィ、そんな先輩と……」

ルビィ「──スクールアイドル、やってみたい…です……」

曜「えっ……」

ルビィ「あっ……」

ルビィ「ご、ごめんなさい!」

ルビィ「失礼します!!」


235:2018/05/06(日) 19:00:38.81 ID:jCsBZ5C3.net

曜「待って!」


曜「ルビィちゃん…」

曜「私はスクールアイドルは出来ないんだ」

ルビィ「ど、どうしてですか……」

曜「ちょっと、ね……」

ルビィ「うぅ……ご、ごめんなさい……」

ルビィ「突然すみませんでした……」

曜「ルビィちゃん……」

曜「ルビィちゃんが謝る必要は…ないよ」

曜「……だって」


曜「私、もうスクールアイドルなんだ」


236:2018/05/06(日) 19:01:36.69 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「そ、そうなんですか!?」

ルビィ「で、でもスクールアイドルは原則として1つの学校に1つのはずです……」

ルビィ「同じ学校に複数の部活がある場合はその限りじゃないって規則はありますけど……」

ルビィ「でも、浦の星にはルビィ達の『浦の星女学院スクールアイドル部』しかないと思ったんですけど…」

曜「……」

曜「…私のスクールアイドルは……」

ルビィ「…?」

曜「……あっ、あはは♪」

曜「あー、えーっと……」

曜「実はさ、スイミングスクールでスクールアイドルをやってるんだ」

曜「名付けて、スイミングスクールアイドル!」

ルビィ「スイミング……スクールアイドル?」

曜「って言うわけで、ごめんねっ!」

曜「じゃーねー♪」


237:2018/05/06(日) 19:02:35.15 ID:jCsBZ5C3.net

善子「こらー、ルビィ!」

ルビィ「あっ、善子ちゃんと花丸ちゃん…」

花丸「先輩とお話ししてたの?」

ルビィ「うん……」

花丸「ねえルビィちゃん、さっき、スイミングスクールアイドルって言ってたけど」

善子「なによそれ!そんなのあるの?」

ルビィ「ルビィは聞いたことないけど……」

善子「っていうか、先輩をスクールアイドルに誘ったの?」

善子「インハイレベルのスキルを持ってる人がそう簡単にやるわけないじゃない」

ルビィ「うん、そうだね…」

ルビィ「ご、ごめんね……」

花丸「ルビィちゃん…」

ルビィ「あっ、そういえば、本番っぽくやりたいから後2,3回飛ぶって言ってたよ!」

ルビィ「早く二階に行こう、花丸ちゃん♪ 善子ちゃん♪」

善子「全く、しょうがないわね…」

善子「せんぱーーーい!私達が二階に行くまで飛ぶの待っててくださーーい!!」


曜「!」

曜「オッケーー♪」


238:2018/05/06(日) 19:03:24.81 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「でね、飛び込みを5回やってその合計点で優劣を決めるんだって」

花丸「そうなんだ」

ルビィ「今のは逆立ちからの後ろ飛び込みの…」

善子「何回転してたの?」

ルビィ「うう…宙返りに加えて捻り…とにかくすごすぎてわからないよぉ……」

花丸「マルも全然わからなかったよ」

善子「これで最後なんだから本人に直接聞けばいいんじゃない?」

花丸「それもそっか」


239:2018/05/06(日) 19:04:15.66 ID:jCsBZ5C3.net

曜「最後までみてくれてありがとう!一年生ズ!」

善子「ちょっと!その一年生ズってやめなさいよ!」

曜「うーん、それじゃあダンスが上手なヨハネちゃんと、くろさわルビィちゃんと…」

花丸「国木田花丸です、よろしくお願いしますずら」

曜「花丸ちゃん! よろしくね♪」

善子「最後の飛び込みは何ていうワザなの?」

曜「うーんと、『逆立ち後ろ飛び込み宙返り2回捻り1回転半自由型』だよ!」

善子「何の呪文よ!? うう、頭痛くなってきた」

花丸「未来ずら~~」

ルビィ「本当にすごかったです…!」

曜「ルビィちゃん、褒めすぎだって♪」

善子「まんざらでもない顔してるじゃない」

曜「えへへ♪」

曜「あっ、コーチに駄目だったところとか教えてもらうから、公開練習はこれでおしまい!」

曜「来週もやってるから来てね~~」

よしまるびぃ「「「ありがとうございました♪」」」


240:2018/05/06(日) 19:04:57.87 ID:jCsBZ5C3.net

……

梨子「おはよう、渡辺さん」

曜「あっ、桜内さんおはよー」

梨子(何から話そうかな……)

梨子(いきなり動画や千歌ちゃんの話をしても困るだろうし……)

梨子「今日はいつもより早いね」

曜「うん、何かよくわかんないけど今日は6時に起きたんだよね~♪」

梨子「昨日は早く寝たとか?」

曜「いやー、色々やってて寝たのは12時過ぎてからなんだけどね」

梨子「色々? あっ、それってもしかして2限の数学の宿題とか3限の世界史の小テストの予習とか?」

曜「シュクダイ? テスト……??」

梨子「えっ、何でカタコトなの」

梨子「ほら、先週の金曜日に先生が言ってたと思うけど……」

曜「わああ~~!? そういえばぁ~~!? どうしよう……」

梨子「あ、あはは……」


241:2018/05/06(日) 19:06:05.30 ID:jCsBZ5C3.net

\キーン コーン カーン コーン../

曜「あーあ、今日は散々だったな~」

曜「数学の先生には廊下に立たされるし…」

梨子「あはは……」

梨子(宿題を忘れた言い訳が、毎回『家に忘れました』だとそうなるよね……)

曜「小テストは選択問題ほとんどなかったし!」

梨子(どんな回答をしたのか気になる……)

曜「でも今日から水泳部活動開始だし、部活がんばるぞ~」

梨子「がんばってね」

梨子(そう、渡辺さんは水泳部だからスクールアイドル部には誘えないと思うんだけど…)

梨子(果南ちゃんは千歌ちゃんが説得したって言ってたけど、どうやって誘ったのかな…?)


242:2018/05/06(日) 19:06:42.91 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(千歌ちゃんと渡辺さんはどんな感じで練習していたのかな……)

曜「あっ、桜内さん」

梨子「どうしたの?」

梨子(渡辺さんが観ていたスクールアイドルの千歌ちゃんと、今の私達……)

曜「もしよかったらなんだけどさ」

梨子(どっちが輝いてるのかな……)

曜「水泳部の見学に来ない?」

梨子(私達のダンスを見学してほしい)

梨子「見学……」

曜「うん!」

梨子「……してほしい」

曜「えっ?」

梨子「あっ……」


243:2018/05/06(日) 19:07:35.21 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「……あの、ごめん」

曜「うーん、別に桜内さんやダンスが上手いヨハネちゃんのダンスも見てみたかったし」

曜「ルビィちゃんと花丸ちゃんも見学に来てくれたし、そのお礼かな♪」

曜「それに、さっき気がついたけど水着忘れてたし……」

梨子「あはは…」

曜「スクールアイドルだよね?楽しみだな~」

梨子「練習しているところは地味かもしれないけど、それでも一人一人に素敵なところがあって…」

梨子「───みんなと一緒で良かったな、って思うんだ」

曜「そっか」


244:2018/05/06(日) 19:08:44.35 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「みんな、遅れてごめん!」

鞠莉「梨子ったら今日も遅刻?」

鞠莉「ダイヤの血圧を上げるのが得意なのね♪」

ダイヤ「鞠莉さん! 私はそんなに怒っていませんが?」

鞠莉「イッツジョーク♪」

果南「まあまあ、あれ?後ろに居るのは……」

曜「果南ちゃん……」

果南「曜…?」

花丸「あっ!先輩!今日はどうされたんですか?」

ルビィ「も、もしかして…!」

曜「あっ、ううん 今日は桜内さんのスクールアイドル姿を見学しに来たんだ♪」

曜「あと、ダンスが上手なヨハネちゃんもね えへへ♪」

善子「クックック… このヨハネの華麗な舞で先輩もリトルデーモンにしてあげるわ!」

曜「リトル…?うーん、よくわかんないけど、楽しみ!」 


245:2018/05/06(日) 19:09:23.75 ID:jCsBZ5C3.net

果南「それじゃ、いつものようにまずはストレッチからいくよ」

果南「曜はどうする?」

曜「うーん、ストレッチだけしてもね~」

果南「じゃあ練習開始するまで待っててくれる?」

曜「うん!」

果南「梨子ちゃん、一緒にやろっか」

梨子「はい」


246:2018/05/06(日) 19:10:33.11 ID:jCsBZ5C3.net

果南「曜を見学に誘ったの?」

梨子「…はい」

果南「そっか」

果南「曜には水泳部があると思ったんだけど」

果南「部活も今日からだったと思うけどなぁ」

梨子「えっと… 水着を忘れたみたいで…」

果南「あはは 相変わらずだなあ」

果南「曜は何か言ってた?」

梨子「いえ、特に何も…?」

果南「実はさ」

果南「あの日……私が入れてもらった次の日に曜に声をかけてたんだ、ごめん」

梨子「…!」


247:2018/05/06(日) 19:11:11.73 ID:jCsBZ5C3.net

果南「私も千歌が目指していたものを見てみたい」

果南「私がスクールアイドルやってたら千歌も喜んでくれると思うし……」

果南「もしよかったら曜も一緒にどう? ってね」

梨子「そうだったんですね……」

果南「『私のスクールアイドルは果南ちゃんと千歌ちゃんだけだから』って言われちゃったけどね」

梨子「……」

果南「あっ… ごめん…」

梨子「いえ、いいんです……」


248:2018/05/06(日) 19:11:58.78 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「あの…」

果南「うん?」

梨子(私が海に飛び込んだ理由──)

梨子(果南ちゃんに伝えたい……)

梨子(けど、怖くて言えない)

梨子(ピアノが弾けないから、海のことを知りたかったから……)

梨子(ただ自分が何も出来なかっただけで、千歌ちゃんが──なんて)

梨子(言え、ない……)

梨子「いえ、なんでもないです……」

果南「そっか」

果南「梨子ちゃん ちょっと硬いね~」

梨子「えっ…」

果南「少し強くいくよ~」

梨子「ちょ、ちょっと待って!」

果南「ふふっ だーめ♪ 待たないよ~♪」

梨子「ええっ!? あっ んんっ……!」


249:2018/05/06(日) 19:12:57.69 ID:jCsBZ5C3.net

ダイヤ「それではラブライブ!地区大会予備予選に向けてライブ曲の練習を行いたいと思います」

ダイヤ「本日は梨子さんのクラスメイトの渡辺さんが見学に来られています」

ダイヤ「本番だと思ってしっかりと練習するように!」

6人「はいっ!」

ダイヤ「それでは、渡辺さんもいらっしゃることですし、早速通しでやってみましょう!」

鞠莉「いいわね♪ 曜にも楽しんでもらえると嬉しいんだけど」

曜「こんなに近くでライブが見られるなんて、それだけでも嬉しいよ~」

鞠莉「うっふふ♪ もーっともーっと嬉しくしちゃうわよ~」

果南「悪いね、動画撮ってもらって」

曜「ううん、お安い御用だよ!」

ルビィ「それでは、ミュージックスタート!」


250:2018/05/06(日) 19:13:59.54 ID:jCsBZ5C3.net

─……


────♪


ダイヤ「──♪」

曜「ルビィちゃんのお姉さんってあの生徒会長だったんだ」

曜「でも生徒会長は流石、家柄って感じだね~」

曜「動画を何度観ても止まるところはブレずにピタッと止まってるし、指先まで張りつめられた意識は私にまで伝わってくる…」

曜「才能って言うのかな、踊ってるだけで絵になるってすごい……」

ルビィ「──♪」

曜「ルビィちゃんは、お姉さんと比べたらまだまだって感じだけど」

曜「アイドルが好きなのかな? 可愛く魅せようとする力は一番かも!」

曜「それに私の方…っていうかカメラの方を何度も向いてくれてるし♪」

花丸「──♪」

曜「花丸ちゃんはちょっと危なっかしい感じだけど…」

曜「歌声はすごく綺麗だし意外と周りを見てて自分より他の人を優先してる」

曜「ルビィちゃんが前に出やすいようにしてたり… 笑顔も可愛いかな♪」


251:2018/05/06(日) 19:14:41.35 ID:jCsBZ5C3.net

善子「───♪」

曜「ダンスが上手なヨハネちゃんは、っと……」

曜「やっぱり生徒会長や果南ちゃんのダンスには適わない感じかな~」

曜「でもたまに見えるクールなドヤ顔からの無邪気なスマイルはクセになるかも……?」

曜「こ、これがリトルデーモン…??」

鞠莉「───♪」

曜「鞠莉さんは…淡島のホテルの人だっけ」

曜「表情の豊かさは7人の中で一番♪」

曜「フォーメーションを間違えても修正…っていうか勝手にアレンジしてる感じがする」

曜「本番とかでも全く緊張しなさそう 私と似てるかも?」


252:2018/05/06(日) 19:15:28.30 ID:jCsBZ5C3.net

果南「────♪」

曜「果南…ちゃん……」

曜「千歌ちゃんと三人で練習してた時よりずっと上手になってる」

曜「『千歌ちゃんが目指してたものを見てみたい──』か……」

曜「千歌ちゃんが死んじゃったのは……」

梨子「────♪」

曜「桜内さんを助けたからって聞いたけど…」

曜「桜内さんはどうして自殺しようとしたの?」

曜「どうして、助けられた後に千歌ちゃんがやろうとしてたスクールアイドルをやり始めたの?」

曜「……」

曜「私は続けられなかったのに。」


253:2018/05/06(日) 19:15:58.90 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「─────♪」

曜「桜内さんは歌は上手だけどダンスは……」

曜「でも、がんばろうって気持ちは伝わってくる」

曜「他の六人の誰よりも必死で、前を向いて」

曜「まるで…千歌ちゃんみたいに──」

曜「───」

曜「どうして……」


254:2018/05/06(日) 19:16:33.06 ID:jCsBZ5C3.net

……

梨子「はぁっ… はぁっ……」

梨子「私達のダンス、どうだった?」

曜「おつかれさま~ すごく可愛かったよ!」

梨子「渡辺さん… ありがとう♪」

ダイヤ「すみません、見てもらうつもりが動画を撮ってもらってしまって…」

曜「いいえ! カメラ越しで見るとより真剣さが伝わってきたし」

曜「ルビィちゃんなんか何回もカメラ目線で応えてくれたし♪」

ルビィ「うぅぅ……//」

花丸「さすがルビィちゃん♪」

果南「その動画のコピーあげるから家でもみてほしいな」

曜「果南ちゃん…」

曜「いいの!?ありがとう♪」

曜「果南ちゃんの動きを何度も見て駄目だったところを指摘しちゃうからね!」

果南「あっはは♪ 曜のチェックは厳しいからな~」


255:2018/05/06(日) 19:17:31.06 ID:jCsBZ5C3.net

善子「ヨハネは!? 私のダンスはどうだったのよ!?」

曜「ドヤ顔からのスマイルはなかなか可愛かったよ!」

善子「ええっ! ま、まあ当然っちゃ当然よね…//」

曜「花丸ちゃんの可愛いスマイルとは違った味があったし」

花丸「えへへ、照れるずら~」

鞠莉「私はどうだった?」

曜「鞠莉さんは自由気ままって感じで、パートナーがいる時は相手が振り回されてる感じかなぁ」

鞠莉「oh... まあ、でも悪いことじゃないわよね」

曜「桜内さんは……」

曜「一生懸命さが伝わってきたよ!」

曜「まるで…」

曜「………」

曜「応援したくなるような… そんな、感じ」

梨子「そっか……」

梨子「嬉しいな…♪」


256:2018/05/06(日) 19:18:08.71 ID:jCsBZ5C3.net

……

花丸「ピアノの調子はどうですか?」

梨子「ありがとう まあまあかな…」

ルビィ「そういえばコンクールのエントリーは……」

梨子「ううん、まだ断ってはないけど…」

梨子「今のままだと…参加しても到底入賞も出来ないと思う……」

花丸「…マルもそう思います」

ルビィ「花丸ちゃん!?」

花丸「曜さんと音楽室で会った日、梨子ちゃんのピアノはいつもの感じじゃ無かったから……」

梨子「そっか……」

花丸「正確にいえば、途中上手に聞こえるところもあったんだけど…」

梨子「……」

梨子「ルビィちゃんも…?」

ルビィ「……はい」


257:2018/05/06(日) 19:18:53.16 ID:jCsBZ5C3.net

花丸「ライブの曲を弾いたりアレンジしてる時の梨子ちゃんはとっても輝いて見えるんだけど」

花丸「だけどコンクールの曲を弾いてた時は……」

花丸「…ごめんなさい」

花丸「でも、マルでよかったらいつでも相談に乗ります…!」

花丸「だから、コンクールの方も諦めないでほしいです……」

ルビィ「花丸ちゃん……」

花丸「梨子ちゃんが居てくれたおかげで、声をかけてくれたおかげで今のマル達があるから」

花丸「マルにできることがあれば何でも言ってください!」

梨子「私のおかげ…… ううん、逆だよ 花丸ちゃん」

梨子「皆が居てくれるから、今の私があると思うんだ…」

梨子「ありがとう、花丸ちゃん、ルビィちゃん」

梨子「おかげで元気が出てきた気がするな♪」

梨子「今日も練習頑張らなくっちゃ♪」


258:2018/05/06(日) 19:19:58.38 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(私のせいで皆に迷惑をかけてる気がする…)

 ダイヤ「梨子さん?」

 ダイヤ「梨子さんのせいで迷惑だ、などと思っている不届き者は浦の星女学院スクールアイドル部にはいないはずですが?」

梨子(……!)

梨子(そう、だよね……)

梨子(私がこんな気持ちだとみんな心配するだろうし)

梨子(この前も果南ちゃんに心配されちゃったし…)

梨子(みんなは私のこと信じてくれてるのに、私だけ逃げてる……)


梨子(私と千歌ちゃんのこと……)

梨子(知ってもらって…)

梨子(もし、みんな居なくなったら……)


梨子(でも、一番最初に話さないといけないのは……)


259:2018/05/06(日) 19:20:38.67 ID:jCsBZ5C3.net

─……

志満「毎日ありがとう、はいみかん」

梨子「ありがとうございます」

志満「今日も夜遅くまで部活?」

梨子「はい」

梨子「そういえば、美渡さんは今日も残業ですか?」

志満「うーん、もう少しで帰ってくると思うんだけど…」

梨子「それなら待たせていただいてもいいですか?」

志満「いいけれど、美渡に何か用事?」

梨子「いえ…志満さんと美渡さんに話を聞いていただきたくて……」

志満「?」

梨子「……私が海に飛び込んだ理由──」

志満「…!」

志満「ちょっと待っててね」


260:2018/05/06(日) 19:21:28.09 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「私は小さいころからピアノが好きで、家でずっとピアノを弾いていました」

梨子「ひとつひとつ、簡単な曲から弾いていって…」

梨子「難しいと思った曲が弾けるようになった時も嬉しかったんですけど」

梨子「お母さんに聞いてもらって、『良くできたね』って褒められるのが一番嬉しかったかな……」

美渡「……」

梨子「だから、もっともっと聞いてほしくて色んな曲を弾けるようになりました」

梨子「そのうち自分でも作曲をするようになって」

梨子「ピアノを通じて世界が広がって行くのが分かりました」

志満「……」


261:2018/05/06(日) 19:22:00.76 ID:jCsBZ5C3.net

……


曜「こんばんはー♪ 千歌ちゃんのお参りに来ました~」

曜「……」

曜「美渡さーん! 志満さーん!」

曜「今日お参りに行くっていったのにな~」

曜「失礼しま~す……」ガチャ

曜「ありゃ?開いてる」

曜「うーん、旅館の方が忙しいのかな?」

曜「あれ? この靴……うちの学校のだ」

曜「果南ちゃんかな?」

曜「美渡さん達と話ししてるのかな~?」

曜「おじゃましまーす!」


262:2018/05/06(日) 19:22:57.96 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「小学校の頃は課題曲のコンクールで入賞もしました」

梨子「いつしか先生も見てくれるようになって」

梨子「中学校では創作コンクールで入賞して、音楽で有名だった音ノ木坂学院高校に推薦で入学しました」

梨子「でも…高校に入学してからは周りからの期待に応えられなくて……」

梨子「1年の冬のコンクールに出場した時は、舞台で弾くことができませんでした…」

梨子「それからは自分で作曲した曲は弾くことすらできなくなって…」

梨子「……どうしようって思っていました」

梨子「そんな中、お父さんの仕事の都合で海が見られる静かな町──内浦に引っ越すことになりました」


263:2018/05/06(日) 19:23:39.01 ID:jCsBZ5C3.net

曜「あれ?部屋に居るのは美渡さんと志満さんと……」

曜「桜内、さん……?」


梨子「お母さんはコンクールのことを知っていたので、友達と離れるのは嫌かもしれないけど気分転換になっていいんじゃない?」

梨子「──って言ってくれたんですけど……」

梨子「やっぱり、気を遣わせていたんだなあって……」

梨子「そのせいかな… どうしよう、なんとかしなきゃって思いました……」

梨子「そう思って何日かピアノに向き合っていても、やっぱり弾けなくて……」

梨子「せっかく海の町に来たんだから外に出てみるのもいいかなって思いました」

梨子「……」


264:2018/05/06(日) 19:24:29.26 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「外に出てみたら、すごく綺麗で……」

梨子「海に映る太陽、海の香りを運んでくれる風、素敵なリズムで奏でられる波の音──」

梨子「私が出会ったことがない音楽が、この町にあったんです」

梨子「ずっと、海を眺めていました」

梨子「夕方になって少しずつ深い色になって行く海が綺麗で…」

梨子「……」

梨子「私、海のこと全然知らなかったんだなって……」

梨子「私が作曲した曲のタイトルは『海に還るもの』……」

梨子「この海のことが分かった時、曲が完成するんだろうなあって思って…」

梨子「だから、海の音、海の事が少しでも分かるなら何だってやりたいって…」

梨子「海に……」

志満「……」

梨子「それで、千歌ちゃんに助けられました……」


265:2018/05/06(日) 19:25:03.89 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「……なので…私は死にたかったわけではなく……」

梨子「ただ……」

梨子「自分が……弱くて、何も出来なかっただけ……」

梨子「……そのせいで……」

梨子「………ごめん、なさい……」

梨子「……本当に………ごめんなさい……」ポロポロ..

美渡「……」

志満「……」


曜「そんな……」


266:2018/05/06(日) 19:26:02.44 ID:jCsBZ5C3.net

志満「そっか」

志満「一つだけ、教えてほしいな」

梨子「……」

志満「梨子ちゃんはもう、死にたいって思ってないのよね?」

梨子「……」

梨子「はい……」

志満「それならよかった」

志満「お葬式の時は本当に暗い顔をしていたから……」

志満「お葬式の後も何回か来てくれたけど、途中から顔色が良くなった気がして…」

梨子(たぶん、千歌ちゃんが私の家に来てくれた時からのことかな……)

志満「梨子ちゃんがみかんを持って帰った時かな?」

志満「あの頃からもう大丈夫だって思ってたんだけど、やっぱり、梨子ちゃんの口から聞きたくって…」

志満「自分で死のうと思ったのではないにしても、あの時の梨子ちゃんの顔を思い浮かべたら…」

志満「ううん、ごめんなさい」

梨子(みかんを持って帰った日……)

梨子(そっか……)


267:2018/05/06(日) 19:26:57.60 ID:jCsBZ5C3.net

美渡「私も一つだけ」

梨子「……」

美渡「どうして『スクールアイドル』をやろうと思ったの?」

美渡「梨子ちゃんが自分から千歌の部屋に来てくれるようになったのはスクールアイドルを始めてからだと思ったんだけど」

美渡「それまでは果南ちゃんに連れられて行ってたくらいだし」

美渡「それだけで興味を持つのかな?だとしたらどこで興味を持ったのかな?って、単純な疑問なんだけどね」

梨子「それは…」

梨子(幽霊の千歌ちゃんが私のところに来てくれて…スクールアイドルに誘ってくれたから……)

梨子(でも……)

梨子(私とずっと一緒に居てくれた幽霊の千歌ちゃんは──)


梨子(多分、私が作り出した幻──)


268:2018/05/06(日) 19:27:44.97 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(千歌ちゃんが死んで、私は一生罪を背負ったまま生き続けようと思ってた)

梨子(でも──謝りたいって気持ちももちろんあった)

梨子(私がしたことは謝っても許されるものじゃないから……)

梨子(謝りに行ってちゃんと理由を説明して、もしも否定されて、蔑まされたら──)


梨子(──私が私じゃなくなる気がした)


梨子(だから私が一番最初に謝らないといけない人達に謝る前に…)

梨子(千歌ちゃんに謝って、許してもらおうって思った)

梨子(そうしたら私の目の前に千歌ちゃんが現れてくれた)

梨子(幻だったとしても……本当に千歌ちゃんの幽霊だったとしても!)

梨子(それで謝った気になってた……)

梨子(そんなこと、許されないよね……)


269:2018/05/06(日) 19:28:18.82 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(その代償として私はスクールアイドルを選んだのだけれど……)

梨子「一つは罪滅ぼしの様なものかと思います……」

美渡「……っ!」

梨子「もう一つは…」

梨子「千歌ちゃんがやろうとした、見ようとしたスクールアイドルの景色を見て……」

梨子「報告? したかったのかな…」

梨子「輝いてたよ、って」


梨子「千歌ちゃんがやろうとしていたこと、最初は私にはわからなかったけど」

梨子「スクールアイドルを始めて、もっと知りたいって思うようになりました」

梨子「だから千歌ちゃんの部屋に通ってスクールアイドルのことを…」

梨子「ううん、千歌ちゃんが好きだったスクールアイドルについてもっともっと知りたくなりました」

梨子「だから、千歌ちゃんが見たかった景色を、私も見たいと思いました」


曜「……」


270:2018/05/06(日) 19:28:52.78 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「………」

梨子「もしかしたら、私がもっと強くって、ちゃんとしていたら」

梨子「こんなことにはならなかったって思います」

梨子「もしかしたら、千歌ちゃんと一緒にスクールアイドルをやってたかもしれないって思うと…」

梨子「なんであんなことしちゃったんだろう……」

梨子「……」

梨子「うぅっ…… ごめん、なさい……」

志満「梨子ちゃん……」

志満「ありがとう」


271:2018/05/06(日) 19:29:28.36 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「…えっ……」

志満「今まで辛かったのよね」

志満「海に飛び込む前も、飛び込んでからも……」

志満「でも、いまはちゃんと前を向いてくれてる」

志満「だから…」

美渡「うん」

美渡「千歌がやったことは意味がなかったわけじゃなかった」

美渡「一人の少女を救った!」

美渡「命も、心もね」

美渡「これからも、気が向いたらうちに来てほしいな」

梨子「……ありがとう…ございます………」


曜「桜内さん……」

曜「桜内さんはあんなことがあっても前を向いていたんだ……」


272:2018/05/06(日) 19:30:14.51 ID:jCsBZ5C3.net

……

花丸「えぇっ!?スクールアイドル部に入ってくれるんですか!?」

ルビィ「ほ、ほんとうですか!?」

曜「うん!」

善子「ふっ、このヨハネのリトルデーモンがまた一人増えるのね! クックック…」

果南「っていうか、水泳部は? 高飛び込みは…??」

曜「あー、水泳部は、まあね♪」

果南「まあねって……」

鞠莉「また仲間が一人増えて面白くなっちゃうわね♪」

ダイヤ「ですが、本当によろしかったのでしょうか…?」

曜「水泳部の先生にめちゃくちゃ怒られたけど、逃げてきちゃった♪ てへっ」

梨子(……)


273:2018/05/06(日) 19:30:48.64 ID:jCsBZ5C3.net

曜「飛び込みは沼津のスイミングスクールで練習できるし」

曜「お盆にインハイがあって、14日と15日はいないけど」

曜「それ以外は全力でスクールアイドルの練習をするであります!」

梨子(渡辺さん……)

曜「桜内さん…じゃなかった!梨子ちゃん!」

梨子「!?」

曜「これからよろしくね♪」

梨子「うん♪ よろしくね、曜ちゃん」


274:2018/05/06(日) 19:31:30.77 ID:jCsBZ5C3.net

ルビィ「で、でも……」

ダイヤ「どうしたのです?」

ルビィ「ラブライブ!の予選に登録するのは1か月前が締め切りで」

ルビィ「登録する時に人数も申請すると思ったんだけど…」

曜「そっか……」

果南「あっそういえば…」

鞠莉「マリーを入れて7人で登録していたら曜はアウト……」

梨子「ごめんなさい……」

梨子「実は、浦の星女学院スクールアイドル部として登録した人数は8人なんです……」

ダイヤ「……」

果南「……!」

曜「そうなの!?」

梨子「うん……」


275:2018/05/06(日) 19:32:46.06 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「鞠莉ちゃんが加入して少し経ってラブライブ!の予選に登録したんだけど」

梨子「その時はその時の7人と……」

梨子「私にスクールアイドルを教えてくれた、千歌ちゃんの8人で……って思ってたから…」

梨子「ごめんなさい……」

梨子「実際にライブする時に事前登録した人数より少なくってもそれほど問題にはならないと思ったから……」

梨子「みんなに相談せずにこんなことをしたのは許されることじゃないと思ってます…」

ダイヤ「いえ…」

ダイヤ「少なくとも、私は解っていましたよ?」

梨子「えっ……?」

ダイヤ「私は生徒会長ですから。 生徒から出てくる校外向けの書類は全てチェックしていますので♪」

梨子「あっ…」

ダイヤ「ですから、梨子さんの意図を汲んだ上でそのまま先生方へ提出いたしました」

ダイヤ「ライブ前に皆さんに説明してほしかったのですが、していただけて良かったです」


276:2018/05/06(日) 19:33:17.87 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「ありがとうございます…」

ダイヤ「梨子さん、そろそろ皆さんに言わなければならないのではないでしょうか?」

梨子「はい……」

梨子「みんなに聞いてほしいことがあります──」


277:2018/05/06(日) 19:33:53.50 ID:jCsBZ5C3.net

──……

曜「おーい、梨子ちゃーん!」

梨子「はーい」

梨子「って、まだ移動しなくて大丈夫?」

曜「うん、一応今日の夜に移動すればいいから」

梨子「そっか、明日から頑張ってね!」

曜「梨子ちゃんこそピアノの練習は大丈夫?」

曜「ここのところずっとライブの練習ばっかりしてたからさ~」

梨子「うん、ありがとう」

果南「ほーら、口より体動かす」

ようりこ「「は、はい!」」


278:2018/05/06(日) 19:34:28.35 ID:jCsBZ5C3.net

美渡「三人とも手伝ってもらってありがとう」

志満「この時期だから結構忙しくって、準備が遅れそうだったから助かるわ」

梨子「いえ…」

曜「全然問題ないであります!」

果南「うん、千歌のためだからむしろ手伝わせてほしいって思ってたし」

美渡「ふふっ、みんなにこんなにやってもらってるんだから千歌にはお土産持ってきてもらわないといけないな~」

志満「あの子が何か持ってくると思う?」

美渡「あー、絶対手ぶらだわ」

志満「ふふっ」


279:2018/05/06(日) 19:35:23.79 ID:jCsBZ5C3.net

果南「梨子ちゃんはお盆の準備は初めてなんだ」

梨子「はい、いつもは母がほとんどやってくれていたので…」

曜「私のところはお墓参りくらいしかしないからな~」

曜「だから迎え火っていうのは初めてかも」

梨子「そっか…」

果南「千歌が遅れてきたら、インハイのホテルに間に合わないかもね~」

曜「だ、大丈夫だよきっと!」

梨子「あはは♪」

梨子「でも、お盆って御先祖様の霊を迎えるためにするものだって思ったけど」

美渡「地域によって客人とか神霊とか色々迎えるところもあるみたいだし」

志満「だからきっと千歌も来てくれると思うわ」

曜「そだね…」

果南「さあ準備準備♪」


280:2018/05/06(日) 19:35:57.93 ID:jCsBZ5C3.net

志満「それじゃあ曜ちゃんを送ってくるから」

曜「よろしくお願いします」

美渡「うん、こっちはまかせて!」

果南「がんばってね って言わなくても大丈夫かな、あはは」

曜「もちろん!」

梨子「ネットで見られるみたいだから応援するね!」

梨子「本当は現地で応援したいんだけど……」

曜「ううん、梨子ちゃんにはピアノもあるし、仕方ないよ♪」

梨子「うん、ありがとう♪」

梨子「美渡さんもありがとうございました」

美渡「こちらこそありがとうね」

美渡「16日に送り火もするけどライブの準備で忙しいかな?」

梨子「いえ、手伝わせてもらいます」

果南「あっ 私も~」


281:2018/05/06(日) 19:36:31.59 ID:jCsBZ5C3.net

……

梨子(ライブまであと一週間……)

梨子(ピアノのコンクールはエントリーしてるけどライブの次の日の日曜日……)

梨子(今のままだとラブライブ!の予選はともかくピアノは……)

梨子(千歌ちゃん……)

────♪

梨子(……)


282:2018/05/06(日) 19:37:13.07 ID:jCsBZ5C3.net

──────♪

梨子(幻でも何でもいいから──)

梨子(もう一度だけ……会いたいな)

梨子(今度は『ごめん』じゃなくって、『ありがとう』って伝えたい)

梨子(私が作り出した幻かもしれないけど、千歌ちゃんとの思い出……)

梨子(出会ったときはびっくりしたけど毎日が楽しかったなぁ)

梨子(スクールアイドルを始めて、皆と知り合って……)

梨子(たまにピアノを弾いてってせがまれたりもしたけど)

梨子(海に還るもの以外はちゃんと弾けて、良かったって言ってもらえたっけ……)


283:2018/05/06(日) 19:38:13.28 ID:jCsBZ5C3.net

梨子(そういえば……)

梨子(『愛の夢』、千歌ちゃんのお気に入り……)


ポーン♪ ターン タラララ..♪


梨子「愛する人が死んでしまうまで、ずっと愛してあげてね」

梨子「死んでしまったらもう、何も答えてはくれないのだから」

梨子「きっと、いつか、その時が来るから…それまでずっとずっと愛してあげてね」

梨子「──か」

梨子「ううん。 千歌ちゃんは答えてくれたよ」

梨子(例え幻でも、私に生きる道を教えてくれたから)

梨子「だから、私は千歌ちゃんが死んでしまってもずっとずーっと……」

『ずーっと?』

梨子「うーん……ずーっと愛するっていうのはおかしいけど、千歌ちゃんのことは忘れずに心の中に留めておきたいな」

梨子「って…」

梨子「えっ……?」

『あはは』


284:2018/05/06(日) 19:39:01.78 ID:jCsBZ5C3.net

梨子「えっ……と……」

千歌『うーん、こういう時ってどんな顔していいのか分かんないよね~』

梨子「ち、ちか……ちゃん……???」

梨子「どうして……??」

千歌『えへへ、話せば長くなるんだけど……』

梨子「………」

梨子「千歌ちゃん」

千歌『うん? どーしたの?』

梨子「私のところに来てくれて……」


梨子「ありがとう」


286:2018/05/06(日) 19:39:58.12 ID:jCsBZ5C3.net

おしまい


287:2018/05/06(日) 19:40:53.08 ID:jCsBZ5C3.net

長文になりましたが読んでくださってありがとうございました

また、保守などもしていただいて感謝です!


298:2018/05/06(日) 22:03:31.10 ID:9IAiky8t.net

乙、面白かったです
うまく言えないけどすごく優しい話だと思った


302:2018/05/07(月) 02:57:54.58 ID:jSpqN7z9.net

まず話自体が丁寧に描かれてたし、
全員に満遍なく役割りが与えられててすごくバランス良かった。