1:2018/06/18(月) 18:41:37.46 ID:rm8ofsn2.net

果南「もちろんこんな田舎の大学じゃなくて、もっと都会の……ほら、東京とか!」

ダイヤ「まあ気持ちはわからなくもないですわ」

果南「でしょ? 卒業したら就職でいいかなって思ってたけど進学もそう悪くないよね」

ダイヤ「……」

果南「ダイヤは進学するんだっけ?」

ダイヤ「当然ですわ!」

果南「へー、じゃあ私も同じところにしようかな。ちなみに東京?」

ダイヤ「……ええ、そうですわ」

果南「てことは一人暮らしとか? だったら一緒に住むっていうのどう?」

ダイヤ「どうと言われましても…」

果南「ダイヤがいてくれたらさびしくないし、家賃だって半分だし! ダイヤだって初めての一人暮らしで心細いんじゃないのー?」

ダイヤ「……そうかもしれませんわね」

果南「じゃあちょっと早いけど今度の連休にでも物件探しにいってみる? 良さそうなところはすぐ埋まっちゃうだろうし、誰よりも先手を」

ダイヤ「果南さん」

果南「んー? あ、もうべつの予定入ってた?」

ダイヤ「そうではありませんが…」

果南「だったらなんなのー?」

ダイヤ「果南さん……あなた、さっきから何を言っているんですの?」


2:2018/06/18(月) 18:42:00.58 ID:rm8ofsn2.net

果南「なにって、ダイヤと一緒に住む家探し?」

ダイヤ「いえ、そういう話ではなく……どうしてわたくしが果南さんと一緒に住むことになっているのかという…」

果南「私と一緒じゃ嫌とか?」

ダイヤ「い、いえ、べつに嫌とかではなく……そういうことではなくてっ」

果南「じゃあなに? あー、家でも大学でも一緒だとさすがにうざい的な?」

ダイヤ「それですわっ!」

果南「え……私、ダイヤにうざがられてたんだ……」

ダイヤ「い、いやっ、ウザいとかではなく…」

果南「もーだったらなんなのー?」

ダイヤ「だったら教えてさしあげますわ!」

果南「??」

ダイヤ「大学に行くと言いました!? 果南さんの口から大学!? それもわたくしと同じ大学に!?」

果南「それがなにか駄目だった?」

ダイヤ「ぶっっっっっぶーーーーっ!!!!ですわっ!!!!」

果南「意味がわかんないんだけど」

ダイヤ「果南さんは大学をナメていますわっ!!」

果南「べつにナメてなんか」

ダイヤ「いいえっ、絶対にナメまくっていますわっ!!!!」

果南「もー! そんな言いがかり、私も怒るよ?」

ダイヤ「ならお聞きしますが、果南さん……偏差値はおいくつですか?」

果南「へんさち?」


3:2018/06/18(月) 18:42:22.22 ID:rm8ofsn2.net

果南「へんさちってなに?」

ダイヤ「偏差値も知らずに進学したいなど言語道断っ!」

果南「いやいや待ってよ。知らないだけなら教えてくれればいいじゃん」

ダイヤ「教えたところで既に手遅れですわっ!!」

果南「そんなのわかんないじゃん」

ダイヤ「なら教えてさしあげますわ。絶望にうちひしがれる果南さんを見るのは心苦しいですが…」

ダイヤ「それでも生徒会長として、友人として、真実を告げてあげるのもわたくしの役目ならば」

果南「そういうのいいから、はやく教えてよ」

ダイヤ「果南さん、落ち着いて聞いてください」

果南「わかった、わかったから」

ダイヤ「果南さんの偏差値は……ずはり20」

果南「20? それってすごいの?」

ダイヤ「全然っ、すごくありませんわ! これーっぽっちもすごくありませんわ!」

ダイヤ「わたくしの偏差値が45ですので、果南さんは半分以下ということになります」

果南「え、ダイヤすご!」

ダイヤ「日頃から真面目に勉強に励んでいればこれくらい当然ですわ」

果南「へぇ、ダイヤって頭良いとは思ってたけど私の倍以上も良かったなんて」

ダイヤ「ふふんっ」


4:2018/06/18(月) 18:42:37.68 ID:rm8ofsn2.net

果南「そのへんさちっていうのはどうやったら増えるの?」

ダイヤ「話の流れでわかりませんこと?」

果南「役職とか? 私も生徒会になれば貰えたりする?」

ダイヤ「バカに付ける薬がないとはこのことですわね!」

果南「むぅ……ちょっと頭が良いからって」

ダイヤ「そういうわけですからハッキリ言いますと、果南さんに大学なんて不可能ですわ」

果南「そんなことやってみないとわかんないんじゃん」

ダイヤ「いいえ、わかりますわ! そもそも果南さんはこれまでの人生の中で勉強したことがありますの?」

果南「勉強? うーん、言われてみれば無いかも。そういう機会に恵まれなかったし」

ダイヤ「学校に通っているんですから機会だらけですわ!」

果南「あー、授業とかのこと? あんまり興味なかったからなぁ」


ルビィ「おねぃちゃ、なにしてりゅの?」
トコトコ


ダイヤ「ルビィ、すみません。この果南さんに現実を教えてさしあげていたところで」

ルビィ「げんじつ?」

ダイヤ「果南さんが大学に行きたいなどとほざいていたので」

果南「行きたいんだから行ってもいいじゃん!」


5:2018/06/18(月) 18:42:51.76 ID:rm8ofsn2.net

ダイヤ「ですから無理なものは無理なのですわ!」

ルビィ「るびぃもおねぃちゃといっしょにだいがくいく!」

ダイヤ「ええ、二年後待っていますわよ。ルビィ」

ルビィ「うん!」

果南「ねぇルビィちゃんはへんさちって持ってるの?」

ルビィ「もってるよ!」

果南「いくつ?」

ルビィ「ご!」

果南「5?」

ルビィ「うん!」

果南「低くない? それなら私の方がいっぱい持ってるじゃん」

ルビィ「うゆ?」

果南「それも私の3分の1くらいじゃん!」

ルビィ「うゅ…」

ダイヤ「果南さん! ルビィはまだ1年生ですのよ?」

ダイヤ「3年生の果南さんが1年生のルビィと比べて恥ずかしくないですの!?」

果南「あ、そっか。2年もあればさすがにもっと増えるよね」

ルビィ「ふえるもん!」


6:2018/06/18(月) 18:43:14.69 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「でもね……ちょっとだけふあんなんだ」

果南「なにが?」

ルビィ「おんなじいちねんせいのひなまろちゃんはいっぱいもってるのに、るびぃのはすくないの」

果南「私だって同じだよ。そこにいるダイヤとか私とは比べ物にならないくらいすごいもん」

ルビィ「おねぃちゃはすごいもん!」

果南「でもダイヤってイジワルだからへんさちの増やし方教えてくれないんだよね」

ルビィ「るびぃもしらない」

ダイヤ「努力ですわ! 血の滲むような努力を重ねてやっと手に入るものなのですわ、偏差値というのは!」

ルビィ「どりょく!」

果南「めんどくさいなぁ。もっと手っ取り早く手に入る方法もありそうだけど」

ルビィ「え? ありゅの!?」

果南「きっとあるよ」

ルビィ「かんたんにふえるの?」

果南「私に任せてよ」


ダイヤ「ルビィ、何をしていますの? 早く帰りますわよ」

ダイヤ「バカの果南さんと仲良くしていてはルビィまでバカになってしまいますわ」


ルビィ「かなんちゃとあそんでくりゅっ!」
シュイン


7:2018/06/18(月) 18:43:31.36 ID:rm8ofsn2.net

曜「偏差値? 知ってるよ」


果南「ほら。曜はこう見えて博識なんだよね」

ルビィ「ヨーサンしゅごい!」

曜「えへへ、それほどでもないって」

果南「で、そのへんさちっていうのはなんなの?」

ルビィ「ずばり!」

曜「あれだよあれ。テストの点数」

果南「あー」

ルビィ「なりゅほど!」

果南「ちなみに曜のへんさちは?」

曜「知らないのであります!まったく興味ないのであります! 」

曜「海の上で偏差値など邪魔なだけなのでありますっ!」

果南「たしかにねぇ」

ルビィ「で、でもっ……へんさちはだいじだっておねぃちゃが」

曜「あはは、そんなことないってー」

果南「いっぱい持ってるからこそ言えるセリフだよね」

ルビィ「そうなのかなぁ?」

曜「偏差値より船の方が大事じゃない?」

果南「海で遭難したときとか船があった方がいいもんね」

ルビィ「ふね!」

曜「乗る?」

ルビィ「のりたい!」
シュイン


8:2018/06/18(月) 18:43:45.38 ID:rm8ofsn2.net

曜「東京に向かって、全速前進ヨーソロー!」

果南「ヨーソロー!」

ルビィ「おしゃかなしゃんいっぱい!」

果南「水が澄んでるからよく見えるよね」

曜「もっと近くで見てみれば?」

ルビィ「うゅ……おちないかなぁ?」

果南「落ちない落ちない」

ルビィ「じゃあちょっとだけ…」
シュイン


ルビィ「うわぁ! おしゃかなしゃんおっきい!」

曜「ほら、もっと向こうとかすごいよ」

ルビィ「むこー?」

曜「あっちあっち」

ルビィ「どこかわかんないよぉ!」

曜「しょーがないなー……とぉ!」
ポンッ

ルビィ「ひぇ!? わわわわわっ!」
ボチャン

曜「あはははははっ!」

果南「どうしたの? 曜」

曜「ルビィちゃんを海に落としたら、ルビィちゃんが海に落ちちゃって! あはははははっ!」

果南「よくあるよね」


9:2018/06/18(月) 18:44:08.54 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「うえぇぇぇぇんっ! ぴぎぇぇぇぇんっ!」

果南「よしよし、もう泣かないの」

曜「だから危ないって言ったのに」

ルビィ「うゅ……いってたぁ?」

曜「ルビィちゃん、海をナメてたら……死ぬよ?」

ルビィ「ぴぎぃっ!?」

果南「まああながち間違いじゃないよね。この内浦だって年に数百程度だけど水難事故は発生してるから」

ルビィ「のろわれてるの?」

曜「だから気を付けること! わかった?」

ルビィ「うんっ!」

果南「そういえば海の中にあったの?」

ルビィ「なにが?」

果南「へんさちだよ、へんさち」

ルビィ「あ! さがすのわすれちゃってた! それどころじゃなかったから!」

曜「じゃあもう一回探してくる?」
ポンッ

ルビィ「ぴぎゃぁっ!?」
ボチャン

果南「あ、また落ちちゃった」


10:2018/06/18(月) 18:44:26.26 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ!」

果南「海をナメたらダメって曜に注意されたばかりなのに」

ルビィ「ちゃんとちゅういしてたもんっ!」

果南「まだ足りてないってことだね」

曜「そもそも海の中には偏差値無いよ? だってテストの点数だもん」

ルビィ「そっかぁ!」

曜「ていうかルビィちゃん、偏差値5ってヤバすぎない?」

ルビィ「うゆ?」

果南「ルビィちゃんはまだ1年生だからしょうがないよ。そういう曜こそあまりいっぱい持ってそうには見えないけど?」

曜「偏差値などいらないのであります!」

果南「でも大学に行くにはへんさちがたくさん必要なんだって。ダイヤが言ってた」

ルビィ「おうちでもいつもいってるよ!」

曜「ふーん。ま、たぶんルビィちゃんよりはいっぱいあるかな」

ルビィ「そんなことないもんっ! ヨーサンにはまけてないもんっ!」

曜「いやいや、いくらなんでも5以上はあるよ」

ルビィ「るびぃだっていまかぞえればもっともってるかもしれないよ!」

曜「逆に減ってそうだけど」

ルビィ「なにおうっ!」

果南(偏差値20)「まあまあ、ケンカしないで」

ルビィ(偏差値5)「だってヨーサンがぁ!」

曜(偏差値不明)「ここ海の上だから」


11:2018/06/18(月) 18:44:45.85 ID:rm8ofsn2.net

果南「ていうか見渡すかぎり海しかないよね」

ルビィ「ここどこぉ!?」

果南「かなり沖の方まで来たいみたいだけど、だいじょうぶなの? 曜」

曜「うぅーっ、テンションあがってきたー!」

曜「やっぱこうでなくちゃね! 陸が見えるとかそんなの海じゃないよ!」

果南「まあうっすら見えないこともないけどね」

ルビィ「うっすらしかみえないの!? おうちは!?」

曜「おうちもいいけど海はもっといいよ? ルビィちゃん」

ルビィ「よくないよっ!」

曜「だってこーーんなにひろい! ルビィちゃんの家はここまで広くないでしょ?」

ルビィ「うん! うみのほうがひろい!」

曜「だから海はすばらしいんだよ!」

ルビィ「うんっ!」

曜「よーし、叫ぶぞー!」

ルビィ「おー!」

曜「さらに沖へ向かって全速前進ヨーソロー!!」

ルビィ「よーしょりょー!」

果南「仲直りしたみたいでよかった」

ルビィ「ほら! かなんちゃんも!」

果南「はいはい、ヨーソロー!」

ルビィ「よーしょりょー!」


12:2018/06/18(月) 18:45:14.86 ID:rm8ofsn2.net

曜「こうして海を眺めてるだけで幸せ」

果南「わかる。悩んでたのとかバカらしく思えてくるよね」

ルビィ「ふたりにはさいしょからなやみなんてないでしょ!」

果南「失礼だなぁ。私はちゃんと真剣に進路のこと悩んでるよ」

曜「私は悩みなんてないよー」

果南「いいなぁ、曜は」

ルビィ「うにゅ…」

ルビィ「ねぇ……おなかすいたよぉ……もうかえろうよぉ!」

ルビィ「おそらもまっくらだよぉ……ぐすっ」

曜「夜の海も好きだなぁ」

果南「昼間とは違った顔も見せてくれるしね」

ルビィ「そんなことはどうでもいいよぉっ!」

曜「むっ、どうでもいいってなにそれ!」

ルビィ「どうでもいいからどうでもいいもんっ! はやくおうちかえりたい!」

曜「ならルビィちゃんはひとりで泳いで帰ればいいよ」
ポンッ

ルビィ「ぴぎゃっ!?」
ボチャン

果南「もー、またー?」

ルビィ「うわぁぁんっ! こわいよぉっ!」
チャパチャパ


13:2018/06/18(月) 18:45:31.49 ID:rm8ofsn2.net

曜「帰港したであります!」

果南「遊びすぎちゃったかな。もう深夜じゃん」

ルビィ「おねぃちゃしんぱいしてるかなぁ……はやくかえらなきゃぁ!」

曜「え? なんで?」

ルビィ「うゆ?」

果南「ここまできたらオールじゃない?」

曜「そうそう! 朝まで全速前進であります! ヨーソロー!」

ルビィ「で、でもぉ…」

果南「べつにいいじゃん。ダイヤには私から連絡しといてあげる」

曜「花火しよーよ、花火!」

果南「いいね! したいしたい!」

ルビィ「うゅ……電話は?」

果南「電話するより花火する方が楽しいじゃん」

曜「ルビィちゃんは花火したくないの?」

ルビィ「したい!」

果南「よし、じゃあ決まりー!」


14:2018/06/18(月) 18:45:48.22 ID:rm8ofsn2.net

曜「それそれーっ! ロケット花火一斉放射ヨーソロー!」
ズダダダダダダダダダダッ

ルビィ「ぴぎぃっ!? あわわわ! こっちにとんでくりゅ!」

果南「ルビィちゃん、逃げないと全身ツチノコになっちゃうよ」

ルビィ「ぴぃぃぃぃっ!?」
シュイン

曜「それをいうなら蜂の子じゃない?」

果南「おーさすが偏差値謎の女はちがうねー」

曜「計ればきっとそれなりに秘めているであります!」

果南「もしかしたらダイヤくらいあるんじゃない?」

曜「どうかなー? でも私には必要ないものだからあげられるものなら果南ちゃんにあげたいよ」

果南「いいの?」

曜「いいよ」

ルビィ「よくないよっ!」

果南「あ、ルビィちゃん」

曜「砂まみれになってる」

ルビィ「しんじゃうかとおもったんだからねっ!」

曜「え? 私のせい?」

ルビィ「あたりまえだよっ!」


15:2018/06/18(月) 18:46:09.99 ID:rm8ofsn2.net

曜「ルビィちゃんってさ、卑怯だよね」

ルビィ「ひわい?」

果南「ひきょうって読むと思うけど」

ルビィ「ひきょー?」

曜「頭が悪いうえに運動もできないだめだめルビィちゃん」

ルビィ「なにおう!」

曜「今のだって私なら余裕でシャットアウトできるから」

ルビィ「るびぃだってっ、あ……るびぃはできないけど、おねぃちゃなら……おねぃちゃならしゃっとあうとできりゅもんっ!」

曜「ウソだねー」

ルビィ「うそじゃないもんっ! いつもしゃっとあうとしてるもんっ!」

果南「ていうか今はルビィちゃんの話してるから」

ルビィ「ぅゆ…」

曜「頭良くなりたいの?」

ルビィ「なりたい! おねぃちゃみたいにかしこいひとになりたい!」

曜「じゃあとっておきの方法を教えてあげよう」

ルビィ「ヨーサンべんきょうできゆの?」」


16:2018/06/18(月) 18:46:37.39 ID:rm8ofsn2.net

曜「あはは、勉強とかしたことないであります! まったく興味はないのであります!」

果南「あんまりやる意味もないよね」

ルビィ「べんきょうしないであたまよくなるわけないよっ!」

曜「ちっちっち、それがなるんだなぁ」

ルビィ「そうなの!?」

果南「私も知りたいかも」

曜「ルビィちゃんの大好物ってなに?」

ルビィ「うぇ? だいこうぶつ?」

ルビィ「うーん、うーん……あいすかなぁ? おかしとかちょこもすきだし、きめられないよぉ!」

曜「はい全然だめ。そんなんじゃ死ぬまで偏差値一桁だよ?」

ルビィ「なにおう!」

曜「アイスばっかり食べてるから馬鹿なんじゃない?」

ルビィ「ちがうもんっ! あいすしゃんのわるぐちいわないで!」

曜「魚も食べなきゃ」

ルビィ「うゆ?」

曜「聞いたことない? 魚食べると頭良くなるって」

ルビィ「ある!」

曜「ルビィちゃんって魚あんまり食べないでしょ?」

ルビィ「うん! ほねとかあってくえたもんじゃないから!」

曜「そこは調理の仕方次第! おいしい魚料理いっぱいあるんだよ」

ルビィ「おしゃかなしゃんりょうり!」

曜「それをいっぱい食べたら偏差値なんか勝手に増えていくって」

ルビィ「ヨーサンしゅごい!」

果南(え? 私毎日食べてるんだけど…)


17:2018/06/18(月) 18:46:56.23 ID:rm8ofsn2.net

曜「できたよー!」

ルビィ「わぁーい!」

果南「なんでまた船の上?」

曜「こっちの方が雰囲気でるし、なによりおいしい!」

ルビィ「なりゅほど! いいにおいする!」

曜「えへへ、がんばっちゃったんだー!」

ルビィ「いっただっきまぁす!」

果南「ぱくぱくっ、うん! おいしい!」

ルビィ「あれ? これかれーだよ!」

果南「あ! ホントだ!」

曜「海軍カレーだよー!」

ルビィ「おしゃかなしゃんいりゅのかなぁ?」

曜「カレーにはお肉でしょ」

ルビィ「おしゃかなしゃんりょうりじゃないよっ!」

曜「なに? 私が作ってあげたカレーに文句あるの?」

ルビィ「だってるびぃはあたまよくなるためにおしゃかなしゃんりょうりたべたくて!」

曜「好き嫌い言ってんじゃないよ」

ルビィ「ヨーサンのうそつき!」

曜「なら自分で潜って捕ってくればいいじゃん」
ポンッ

ルビィ「ぴぎゃぁ!?」
ボチャン

果南「今のはルビィちゃんが悪いね」


18:2018/06/18(月) 18:47:14.08 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「うぇぇんっ! うぇぇんっ!」

曜「そんなびしゃびしゃなままで近づいてこないでよ」

果南「乾くまでルビィちゃんはあっち行ってて」

ルビィ「もうかえりゅ!」

曜「まだ朝じゃないよー?」

ルビィ「あ! まっくらだ!」

果南「まだまだ遊べるね!」

ルビィ「やったぁ!」


ザッ…


ルビィ「うゆ?」


善子「フフ、闇の刻……魔力が満ちていくのを感じるわ!」


ルビィ「よしこちゃぁだ!」

善子「ヨハネよ!」

ルビィ「よしこちゃぁ!」

善子「曜と果南もいるのね。こんなところで何してるの?」

果南「それはこっちのセリフだし!」

曜「善子ちゃん、今何時だと思ってるの?」

ルビィ「こどもはもうねるじかんだよ!」

善子「べ、べつにたまたまよ! 3人が遊んでるの見て羨ましくなったわけじゃないんだからねっ!」


19:2018/06/18(月) 18:47:30.07 ID:rm8ofsn2.net

曜「なら一緒に遊ぶ?」

善子「いいの!? あ……そ、そんなにヨハネと遊びたいなら一緒に遊んであげないこともないけど!」

ルビィ「あそぼぉ! よしこちゃぁとあそびたい!」

善子「し、しかたないわねっ!」

果南「いっぱいの方が楽しいしね」

善子「ていうかルビィはなんでそんなずぶ濡れなのよ…」

ルビィ「うゅ……ヨーサンがぁ…」

曜「え? また私のせいするー」

ルビィ「ほんとのことだもんっ!」

曜「ルビィちゃんが無能なのが悪いんだよ」

ルビィ「るびぃはむのうじゃないもん!」

善子「なに、ケンカしてるの?」

果南「そんな感じ。そういえば善子ちゃんって偏差値どのくらいもってるの?」

善子「へ?」

ルビィ「るびぃもきになりゅ! ゆめまろちゃんのはしってゆけどよしこちゃぁのしらないから!」

曜「そもそも偏差値ってなにか知ってる?」

善子「そのくらい高校生にもなれば誰でも知ってるわよ!」

曜「ま、そうだよね」

果南「で、いくつもってるの?」

善子「なんでそんな知りたがるのかわかんないんだけど…」

果南「いいから教えて」

善子「普通に15だけど。それがなに?」


20:2018/06/18(月) 18:47:58.74 ID:rm8ofsn2.net

果南(偏差値20)「15って……まあ1年生だしね。平均くらいなのかな」

ルビィ(偏差値5)「よしこちゃぁのくせにしゅごいなぁ…」

善子(偏差値15)「私のくせにってなによ! ていうかヨハネ!」

曜(偏差値不明)「善子ちゃんも頭良くなりたいの?」

善子「いやべつに。頭良くなったからってなんだっていうの? 意味あるの?」

果南「大学に行ける」

ルビィ「おねぃちゃみたいにかっこよくなれる!」

曜「無いよ」

善子「まあこのヨハネには必要無さそうね。偏差値なんて現代社会が作り出したくだらない興じだわ」

曜「そうそう」

果南「でも私には必要なんだよ」

善子「必要?」

果南「うん。ダイヤと同じ東京の大学に行きたいからね」

善子「それで偏差値が必要なの? ていうか偏差値をいっぱい持ってたら大学に行けるの? 逆に偏差値の所持数が少ないと行けないの?」

果南「そうだよ。ダイヤが言ってた」

善子「そんなの差別じゃないっ!!」


21:2018/06/18(月) 18:48:15.43 ID:rm8ofsn2.net

善子「偏差値を所持してないってだけで入学を断られるなんておかしくない!?」

曜「言われてみればたしかにそうかも。私には関係ないけど」

果南「一応私だって持ってるんだけどね。少ないと不安じゃない?」

ルビィ「るびぃなんてごこしかないよっ!」

善子「私は15個もってるから最大15回は挑戦できるわけね。まあ15回も連続で落とされるわけないから十分っちゃ十分だけど」

曜「偏差値ってそんな勝負魂みたいな使い方だったっけ?」

ルビィ「ぜろになっちゃったらどうなるの?」

善子「そんなの決まってるじゃない。死よ」

ルビィ「ぴぎぃっ!?」

果南「大学に行こうと思えば命懸けってわけだね」

ルビィ「うゅぅ…」

曜「だから私みたいに自由気ままに生きればいいのに」

曜「食べたい時に食べ、寝たい時に寝て、泳ぎたい時に泳ぎ、全速前進の時にヨーソローする」

果南「曜はそういうところ上手だね」

善子「楽そうでちょっとだけ羨ましく思えてきたわ」

ルビィ「だめにんげんなだけなんじゃ…」

曜「え? なにか言った?」

ルビィ「お、おねぃちゃが!」

曜「ダイヤさんがなに?」

ルビィ「い、いちばんばかなのはかなんさんだけど……いちばんくずなのはヨーサンだからあんまりかかわっちゃだめだって…」

曜「は?」


22:2018/06/18(月) 18:48:37.17 ID:rm8ofsn2.net

曜「そんなこと言われてたの?」

ルビィ「うんっ!」

曜「でもルビィちゃん、今日ずっと私と一緒にいるけど」

ルビィ「しまったぁ!」

善子「曜が地球一のクズっていうのはあながち間違ってはないわよね」

曜「えー、善子ちゃんまでー」

善子「だってクズオーラ全快じゃないっ!」

曜「そういう善子ちゃんもそのオーラ出てる気がするけど」

善子「ククク……どうやら気付いてしまったようね。このヨハネから滲み出る隠しきれないほど強大で凶悪な邪のオーラが!」

果南「あ、認めちゃうんだ」

善子「まあヨハネは魔界一のクズと恐れられているから曜なんかとは規模が全然違うんだけどねっ!」

ルビィ「くずがいっぱい!」

善子「わかったわ! そこまで言うなら仕方無いわね!」

果南「ん?」

善子「曜、あんたを私のリトルクズデーモンにしてあげるわ!」

曜「いや、ならないけど」

善子「なんでよっ!」

曜「私は誰の下にもつかないから。だから社会に出たくないわけだし」

善子「で、でもっ……だったら」

曜「一緒に遊ぶ?」

善子「へ?」

曜「私と毎日一緒に遊ぶ? ほら、一応先輩になるわけだから善子ちゃんが私みたいになりたいっていうなら面倒みてあげてもいいけど」

善子「……」


23:2018/06/18(月) 18:49:06.57 ID:rm8ofsn2.net

曜「どうするの?」

善子「が、学校はどうするのよ!?」

曜「行きたい時に行けばいいんじゃない?」

善子「ご飯は!?」

曜「好きな時に好きなものを好きなだけ食べるようには心がけてるけど」

善子「お風呂は!?」

曜「船の中に簡易シャワーは付いてるけど普通に自分の家で入ればいいんじゃない?」

善子「娯楽は!?」

曜「それも勝手にすればいいよ。ゲームとかパソコンとか船に持ち込んでもいいし」

善子「こ、恋人とかは!? べ、べつに欲しいわけじゃないけど…」

曜「ここ海だよ? 夏になれば勝手にうじゃうざゃ寄ってくるからそこでしっかりキープしておけば一年を通して不自由はしないと思うよ?」

善子「そ、そう……まあまあの好待遇ね……」


果南「私もそっちに惹かれてきたかも…」

ルビィ「だめだよっ! あのふたりはくずなんだから!」

曜「は?」

善子「なに言っちゃってくれてるのよルビィのくせにっ!」

ルビィ「で、でもっ……るびぃはまともなにんげんだからっ……」

善子「うるしゃーいっ!」
ポンッ

ルビィ「ぴぎゃっ!?」
ボチャン

果南「あー、乾きかけてたのにー」


24:2018/06/18(月) 18:49:24.43 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ!」

善子「うるさいわね! 偏差値5はこれだからっ!」

果南「善子ちゃん、あんまりひけらかすのはよくないって」

善子「べつにひけらかしてるわけじゃないけど、こうして数値化してるんだから上下関係はしっかりさせておかなきゃ!」

善子「これは上に立つ者としての務めなのよ!」

果南(偏差値15で上に立つ者とか言われても…)

ルビィ「うぇぇぇんっ、うぇぇぇんっ……!」

善子「ルビィ!」

ルビィ「うゆ?」

善子(偏差値15)「いい? このヨハネはあんたなんかよりも三倍価値のある人間なんだから!」

ルビィ(偏差値5)「うゅ…」

善子「私や曜のことをクズ呼ばわりしてるけど、あんたはそのクズ以下の存在だって自分で言ってるようなものよっ!」

ルビィ「るびぃはくじゅじゃないもんっ!」

善子「フフ……自らが足を付けている場所も理解できないなど、ルビィとはまこと愚かな種族よ」

善子「わかったなら私を敬いなさいっ!」

ルビィ「うゆ?」

果南「うわぁ、善子ちゃんのクズっぷりすごいなぁ」

曜「さすが魔界一だね」


25:2018/06/18(月) 18:49:41.11 ID:rm8ofsn2.net

次の日


果南「あ! ダイヤ。おはよー」

ダイヤ「『あ!ダイヤ。おはよー』ではありませんわっ!!」

果南「えー、まあたしかに寝過ごして遅刻しちゃったからもう昼近くではあるけど」

果南「じゃあ、こんにちわ?」

ダイヤ「そういうことを言っているんじゃありませんわっ!!」

果南「ならなんなの?」

ダイヤ「ルビィが朝帰りしてきました」

果南「うん、知ってるよ。一緒に遊んでたからね」

ダイヤ「しかも全身ずぶ濡れ……そのせいで風邪をひいて今日は寝込んでいますわ」

果南「あちゃー、かわいそうに」

ダイヤ「なにをそんな他人事のように」

果南「だって他人事だし。私ってダイヤの妹じゃないじゃん?」

ダイヤ「あなたも当事者でしょう!! 責任を感じたりはしませんの!?」

果南「だって海に突き落としまくったのは私じゃなくて曜だし」

ダイヤ「見てみぬふりをしていたと?」

果南「いやちゃんと見てたよ」

ダイヤ「だったら上級生なら止めるのが当然でしょう!?」

果南「それはそうだったかもね。わかったよ。次から曜がルビィちゃんを海に突き落とそうとした時はささやかながら止めるようにはするね」

ダイヤ「次なんてありませんわ」

果南「え?」

ダイヤ「あのクズの曜さんには今後一切ルビィを近付けさせませんわっ!!」

果南「昨日からもう一人増えてるけど」


26:2018/06/18(月) 18:50:02.10 ID:rm8ofsn2.net

ダイヤ「もう一人増えてる? どうせ善子さんでしょう」

果南「よくわかったね」

ダイヤ「他に誰がいますの?」

果南「あはは。たしかにね」

ダイヤ「……それで少しは自分の状況というものを理解できましたか? 果南さん」

果南「状況?」

ダイヤ「昨日の話ですわ。わたくしの前だけならともかく、学校内で果南さんの口から大学へ行きたいなどという戯言を発されては」

果南「発されては?」

ダイヤ「受験に向けて必死に取り組んでいる他の生徒がどう思うことか…」

果南「応援してくれるんじゃないの?」

ダイヤ「激昂して果南さんに攻撃が飛んできますわよ!? 集中砲火ですわ!!」

果南「いや負けないし」

ダイヤ「そこに対抗してどうするんですの!?」

果南「だめ?」

ダイヤ「当たり前ですわっ!!」

果南「ちぇー」

ダイヤ「果南さんはバカでありながらも最低限は心得ていると、わたくし信用していますわ」

ダイヤ「ですからっ! 曜さんのようなクズの仲間入りすることのないように!」

果南「はーい」

ダイヤ「まったく……」

果南「よーし! 今日も勉強がんばるぞー!」

ダイヤ「なっ!? きょ、今日も? 勉強?」

果南「ん?」

ダイヤ「どこからツッコんだらいいのかわからなくなってしまいそうですわ…」


27:2018/06/18(月) 18:50:25.81 ID:rm8ofsn2.net




善子「海……広大な海」

善子「曜はこの呪われた深淵海を統べる覇者というわけね」

曜「覇者っていうか同志? ていうか呪われてないから」

善子「ということは曜を下部と化したこのヨハネの領土!!」

曜「なんでこんな善子ちゃんを誘っちゃったんだろ、私…」

善子「ヨハネ! 海の上ではリヴァイアサンと呼びなさい!」

曜「今日は何して遊ぶ? 善子ちゃん」

善子「だからリヴァイアサンだってばっ!!」

曜「なっが」


花丸「あー! こんなところにいたずら!」


曜「あ、花丸ちゃんだ。おーい! ヨーソロー!」

善子「ずら丸!?」

花丸「学校にも来ないで何してるずら?」

曜「学校よりも海でしょ。海の常識的に考えて」

花丸「曜さんには聞いてないずら」

善子「登校なんて不毛だわ! というかずら丸、あんたこそなにしてるのよ!? 今は絶賛授業中のはずでしょ!?」

花丸「あんなレベルの低い授業なんか聞いててもまるの偏差値が低下するだけずら。坊主の説法の方がまだマシずら」

善子「わかるわ」

曜「わかるんだ?」


29:2018/06/18(月) 18:53:38.04 ID:rm8ofsn2.net

善子「で、なんの用よ? ヨハネ、もといリヴァイアサンは忙しいんだからねっ!」

花丸「そうなの?」

曜「うん! 今からなにして遊ぼうかって話してて」

善子「そうよ! これから曜とこの海の譲渡契約を結ぶところなのよ」

曜「結ばないけど。そもそも私のじゃないし」

花丸「契約はたしかに重要なことだけど」

善子「でしょ?」

花丸「友達も大切ずら」

善子「フフ、このヨハネは孤高に生きる超堕天使……友達なんかいないわ」

曜「まあ友達は大事だよね。海の上ではチームワークが大切だから」

花丸「曜さんがまともなこと言ってるのには驚きを隠しきれないけど、まあそういうことずら」

善子「どういうことよっ!?」

花丸「行くずら」

善子「魔界に?」

花丸「お見舞いずら」

善子「え? 誰のよ?」

花丸「ルビィちゃんずら。どうやら風邪をひいて今日は学校を欠席してるみたいだから。まるたちが元気づけてあげるずら」

善子「ルビィ……あれだけ私たちのことをくず呼ばわりしといて自分も学校をサボるとはとんでもないクズね」

花丸「え? まるの話聞いてた? ルビィちゃんは風邪をひいて…」

善子「同じことよっ!」


30:2018/06/18(月) 18:53:54.90 ID:rm8ofsn2.net

善子「だってバカは風邪ひかないっていうじゃないっ!」

花丸「そんなの迷信ずら。ルビィちゃんみたいなバカでも風邪をひく時はあるずら」

善子「信用ならないわねっ! 行って確かめてやるわ!」

花丸「素直にお見舞いに行くって言えばいいのに」

曜「よーし! ルビィちゃんの家に向かって全速前進ヨーソロー!」

花丸「え? 曜さんは呼んでないずら」

曜「昨日のカレーが残ってるからクーラーボックスに詰めて持っていってあげよっと!」

善子「なら私はこの砂にするわ」

花丸「甲子園の砂みたいに言われても…」

善子「ずら丸は何を持っていくのよ? まさか手ぶらでお見舞いに行くわけじゃないわよね?」

曜「あはは! なわけないじゃん。お見舞いに手ぶらとか、そんなの人間として疑うよ」

花丸「曜さんだけには言われたくないずら…」

花丸「ちゃんとまるもお見舞いの品くらい用意してるから」

善子「どうせ大したものじゃないんでしょうけど」

花丸「大したものずら!」
ドーンッ

曜「こ、これは!? 本!? しかもこんな大量にっ!!」

善子「見るだけでも脳が震えてくるわ……!」

花丸「ずっと家にいるのも退屈だろうと思って」

善子「まあなんでもいいわ」


31:2018/06/18(月) 18:54:10.37 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「ふぇっ……ふえっ……ふぇぇぇっ…………へっくち!!」

ルビィ「うぅ、かぜひいちゃったよぉ……なんでだろぉ」

曜「体調管理が甘いせいだね」

善子「これだから脆弱な人間は」

ルビィ「ぴぎっ!? なんでここにいりゅのぉ!?」

善子「ずる休みしてないか確かめにきてあげたのよ」

ルビィ「ずるやすみなんかしないよぉ! へっくち!」
シュイン

曜「その様子だと本当に風邪みたいだね。うつさないでよ」

ルビィ「だったらこなきゃいいのに…」

曜「そんなこと言っていいのかなぁ?」

ルビィ「うゆ?」

花丸「じゃーん!」

ルビィ「あ! ゆめまろちゃぁもいたんだ!」

花丸「ルビィちゃんの大好物のアイス買ってきたずら」

ルビィ「わぁーい!」

善子「待ちなさい!」

ルビィ「うゅ?」

善子「これは私の分なんだからねっ!」

曜「こっちは私の分」

花丸「えーと、これはまるの分だから」

ルビィ「うぇ? るびぃのは?」

曜「いるの?」

善子「風邪ひきさんにアイスなんて不相応だわ」

ルビィ「るびぃだってたべたいもんっ!」

花丸「しょうがないずらねぇ。じゃあまるのを半分あげるずら」

ルビィ「やったぁ!」


32:2018/06/18(月) 18:54:35.98 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「ぅしっ……ぅしっ……ぅしっ……あいすしゃんおいしぃ!」

曜「カレーも持ってきたよー!」

ルビィ「わぁ! ありがとぉ!」

善子「砂もベッドに撒いておいたからトイレはここでしなさい」

ルビィ「るびぃねこしゃんじゃないよぉ!」

善子「うるさいわね! ひとがせっかく持ってきてあげたのに!」

曜「はいルビィちゃん、おいしいカレーだよ? あーん?」

ルビィ「あ、あーん! はふはふっ……ってつめたっ!!」

曜「贅沢言わないの」

ルビィ「ぜいたくじゃないよぉ! つめたいかれぇなんかたべたくないもんっ!」

曜「は?」

ルビィ「うゅ……できればあっためてほしいかなって……」

曜「なら自分であっためればいいじゃん」
ポンッ

ルビィ「ぴぎゃぁ!?」
ボチャン

善子「まったく……風邪ひいてるくせにはしゃぎすぎよ、ルビィ」

ルビィ「うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ!」

花丸「二人ともそれくらいにするずら」

ルビィ「ゆめまろちゃぁ…」

花丸「まるは花丸ずら」

ルビィ「うゅ?」


33:2018/06/18(月) 18:54:55.00 ID:rm8ofsn2.net

花丸「まるからはこれずら!」
ドーンッ

ルビィ「うゆ? おりがみ?」

花丸「本って知ってる? ルビィちゃん」

ルビィ「それくらいしってるよぉ!」

曜「さっきも思ったけど何冊あるの? これ」

花丸「10万3000冊ずら」

善子「禁書目録ね」

ルビィ「じゅうまん?」

花丸「ルビィちゃんは数はどこまで数えられるようになったずら?」

ルビィ「いちおく!」

花丸「ならわかるよね?」

ルビィ「うゅ……あ! いっぱい!」

花丸「そうずら。いっぱいあるずら」

ルビィ「わぁい!」

花丸「喜んでもらえてまるもうれしいずら」

花丸「さあ読んで」

ルビィ「うゆ?」

花丸「これ全部読んだらルビィちゃんでも多少は賢くなれる可能性が極少ながらあるずら」

ルビィ「るびぃもおねぃちゃみたいにかしこくなれるの!?」

花丸「知らんずら。でもこれはクソバカなルビィちゃんのためにまるが必死の思いで持ってきたから」

ルビィ「じゃあよんでみる!」


34:2018/06/18(月) 18:55:27.18 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「うゅ……うゅ……」
ウトウト

花丸「かぁーーつっ!!!!」
バチンッ

ルビィ「うきゅっ!?」

花丸「なに寝てるずら」

ルビィ「ねてないよっ! すごいねむたくなったからめをとじてうとうとしてただけだもん!」

花丸「それを寝てるというずら。しかもまだそれ目次だよね?」

ルビィ「だってぇ……じがいっぱいなんだもん」

花丸「そういうものずら」

曜「ルビィちゃんってすぐ言い訳するよね」

善子「自分が悪い時は素直に認めて謝りなさいよ」

花丸「どの口が言ってるずら。あと曜さんは悪影響を及ぼすだけだから極力話に入ってこないでもらいたいずら」

曜「いや、だって退屈だし。ていうかなんでこの家って海がないの?」

花丸「逆に海がある家を教えてほしいずら」

善子「曜の家はあるわよ? 海」

花丸「それは船ずら」

善子「同じようなものじゃないっ!」

曜「ようなじゃなくて同じだから」

花丸「これは深刻ずら……たぶんここにいるまる以外の偏差値をすべて足してもそこらへんの小学生にも劣ってるずら。絶対に」


35:2018/06/18(月) 18:55:48.80 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「えほんはないの? えなめるちゃぁ!」

花丸「絵本? そんなものはバカが読むものずら。それとまるはそこまでテカテカしてないよ?」

ルビィ「でもるびぃおえかきすきなんだぁ!」

花丸「聞いてないずら」

ルビィ「うゅ…」

花丸「ルビィちゃん」

ルビィ「うん!」

花丸「ルビィちゃんはこのままでいいの?」

ルビィ「うんっ!」

花丸「いや、うんじゃなくて…」

ルビィ「うゆ!」

花丸「……まるとルビィちゃんは親友だから、親友だからこそ正直に言うと」

花丸「ルビィちゃんは壊滅的なバカずら」

ルビィ「かいめちゅてき?」

花丸「おバカじゃなくてただのバカずら」

ルビィ「ばかじゃないもんっ!」

花丸「酔っぱらいが自らで酔ってないって言うのと同じでバカもそれを認めたがらない、その典型が今のルビィちゃん」

ルビィ「……??」

花丸「まる、そこまで難しいこと言ってないよね? とにかく」


ガリガリガリッッ…

バキバキッ…

ガッシャーーンッ!!!!


花丸「…隣の部屋がうるさいずら」

ルビィ「となりはおねぃちゃのへやのはずだけど」

花丸「そういえばさっきからあのクズコンビの姿が無いような…」


36:2018/06/18(月) 18:56:11.49 ID:rm8ofsn2.net

善子「ククク……忌々しいダイヤの部屋を魔空間に改造してやったわ!」

ルビィ「おねぃちゃのへやにへんなことしないでよ!」

曜「ダイヤさんの部屋にも海なかったよ」

花丸「どんなに工事しても海と空だけは作れないからね?」

善子「しょーもない家ねっ!」

花丸「いや、家の問題じゃなくて…」

曜「あーもう! むずむずするー! 私、こういう閉鎖的な家って苦手なんだよね」

花丸「なら出ていけばいいのに…」

曜「そうする! やっぱり私には海しかない! 行くよ、ルビィちゃん!」

ルビィ「へ?」

花丸「ルビィちゃんは風邪をひいてて」

善子「そんなものとっくに治ってるわよ! なんたってこのヨハネが魔力で回復してあげたんだから!」

花丸「それは善子ちゃんの妄想の話じゃ…」

ルビィ「いわれてみればげんきになってるかも!」

花丸「え?」

善子「ほら、言った通りでしょ?」

曜「じゃあ行くよ? ルビィちゃん」

ルビィ「で、でも、おねぃちゃがあんせいにしてなさいって…」

善子「安静ってあんた意味わかってるの?」

ルビィ「ううん!」

善子「なら教えてあげるわ。安静というのはこのヨハネに従えって意味なのよ!」

ルビィ「ぜったいちがうとおもう」

善子「うるさいわね! ルビィのくせに生意気よ!」


37:2018/06/18(月) 18:56:37.59 ID:rm8ofsn2.net

善子「ふふ、再び辿り着いてしまったわね……この魔海に!」

曜「やっぱり海は開放的で気持ちいいなぁー!」

ルビィ「うん! ふへっ……ふぇへっ……へっくち!」

花丸「ルビィちゃん、やっぱりまだ風邪が治ってないんじゃ」

曜「あはは、今のは風邪じゃなくてただの潮風だよ」

花丸「このどクズ……開放的なのは海だけにしてほしいずら」

曜「なにか言ったー?」

花丸「なんでもないずら」

ルビィ「ねぇ……こんなことしてていのかなぁ?」

花丸「よくないよ?」

曜「なにか心配事? ルビィちゃん」

善子「仕方無いわね。このヨハネが解決してあげるわ」

花丸「悩みの種はあんたら二人ずら」

ルビィ「やっぱりるびぃ、かしこくなりたいから……このままじゃだめなようなきがする……」

善子「なにかと思ったらそんなこと?」

ルビィ「ふぇ?」

善子「いい? ルビィ。そんな悩みなんか解決するまでもないわ!」

ルビィ「??」

善子「何故なら、ルビィ……あんたは何をやっても賢くなりようのないバカだからよっ!」

曜「というかまず賢くなる必要がないしね」

花丸「ルビィちゃんの味方をしてあげたいけど、善子ちゃんの指摘もあながち間違ってはいないずら…」


39:2018/06/18(月) 18:58:00.24 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「るびぃはばかじゃないよっ!」

曜「じゃあバカじゃなかったらなんなの?」

ルビィ「え……そ、それはっ……それは……」

善子「曜が地球一のクズならルビィは地球一のバカね」

ルビィ「るびぃいちばんなんだぁ!」

花丸「ルビィちゃんはバカだから貶されてることに喜んでるけど、善子ちゃんだけには言われたくないはずずら」

善子「なによっ! このヨハネはルビィの3倍以上もの偏差値を所持してるんだから!」

花丸「偏差値を所持って…」

花丸「というかルビィちゃんの偏差値ってたしか2とかだったよね?」

ルビィ「ごだよっ!」

花丸「そこは大した問題じゃないずら。ということは3倍といっても善子ちゃんもゴミクズみたいな偏差値だよね」

善子「わかってないわね、ずら丸。この世で最も重要視しなくてはならないのは偏差値よりも……魔力値!」

花丸「そんなの善子ちゃん含めて全員が無ずら」

曜「うん、私もそう思う。魔力って存在しないしね」

花丸「たまにまともなこと言うのやめてほしいずら…」

善子「まったく……偉そうに。ていうかずら丸こそ偏差値をちゃんと所持してるの?」

花丸「愚問ずら。愚問中の愚問ずら。誰に問うてるずら? このまるだよ?」


40:2018/06/18(月) 18:58:17.02 ID:rm8ofsn2.net

花丸「そこまで聞きたいのなら教えてあげないこともないずら」

曜「いやべつにあんまり興味ないから」

花丸「曜さん以外の二人に言ってるんだけど……そろそろ自重してほしいずら」

ルビィ「うぃなめるちゃぁのしりたい!」

善子「ま、まあ聞いてあげないこともないけど?」

花丸「仕方無いずらねぇ……まるの偏差値は」

善子「……っ」

花丸「なんと……!」

ルビィ「ごくり!」

花丸「聞いたらびっくりするずら」

善子「さっさと言いなさいよっ!」

曜「大したことなかったりして」

花丸「50ずら」

ルビィ「ごじゅうっ!?」

善子「なによそれっ! 3年生のダイヤよりも多いじゃないっ!」

曜「そう? あんなに自信たっぷりだから軽く三桁は超えてるのかと思ったけど」

花丸「曜さん、偏差値に三桁なんて存在しないずら」

曜「そうなの?」


41:2018/06/18(月) 18:58:36.18 ID:rm8ofsn2.net

果南「ふぃぃーー、今日も疲れたなぁー!」

ダイヤ「疲れた? 果南さん…」

果南「ん? なにー?」

ダイヤ「午後から教室に姿が無かったようですが、今までどこに?」

果南「うーん……プールかな。無性に泳ぎたくなっちゃって」

ダイヤ「プール!? 午後の授業をサボってプールでぷかぷかしていたと!?」

果南「いや、ぷかぷかはしてないけど。どっちかっていうと潜ってる方が多かったし」

ダイヤ「そういう問題ではありませんわっ!!」

ダイヤ「…果南さん、あなたおっしゃってましたわよね? 大学に行きたいと、勉強をがんばると」

果南「でも学校にはちゃんといたし」

ダイヤ「だからなんだと!? 学校にいたからなんだと!?」

果南「えっと、だから欠席したり早退したりせずに私なりに頑張って」

ダイヤ「頑張った結果がプールでぷかぷか!? みんなが受験に向けて必死になって机にかじりついているなか、果南さんは呑気にぷかぷか!?」

果南「いや、だからぷかぷかはしてないって……それに呑気にでもなくて、もっとこうストイックに」

ダイヤ「やかましいですわっ!!」

果南「もー、なにをそんなに怒ってるのー?」

ダイヤ「このバカ」

果南「そんなど直球に言われると私も傷つくっていうか」

ダイヤ「果南さんを傷付けるのがわたくしの役目な気がしてきましたわ……」

果南「そうかりかりしないでよ。ルビィちゃんが心配なのはわかるけどさ」

ダイヤ「ルビィのことよりあなたのことですわっ!!」

果南「ダイヤ……そんなに私のこと気にかけてくれてたんだ」


42:2018/06/18(月) 18:58:57.97 ID:rm8ofsn2.net

ダイヤ「はぁ……バカの果南さんに付き合っていられませんわ」

ダイヤ「さて、夕食まで勉強としゃれこむとしますか」

果南「うん、そうだね。私、干物持ってきたんだ。これなら勉強しながらでもつまみやすいかなって」

ダイヤ「結構ですわ」

ダイヤ「……というか、なんで家にまでついてきてますの!?」

果南「学校ではあまり集中できなかったから、ダイヤと一緒に頑張ろうと思ってね」

ダイヤ「集中するしない以前の問題ですが」

果南「まあまあ。とりあえず入ろうよ。おじゃましまーす」

ダイヤ「もしかしてわたくしは果南による妨害を受けているのでは……」



ダイヤ「まったく……お茶を淹れてきてさしあげますので、わたくしの部屋で」
ガラッ


『呪われし深海の覇者、リヴァイアサン────降臨』

『報告:このポイントにて、海は発見できなかったのであります!』

『作戦続行! 堕天! 堕天! 堕天! ひたすら堕天!』

『作戦は一時取り止め、帰還するのであります!』

『機関からの妨害というわけね』

『ギラン★』


ダイヤ「…………」

果南「うわ! なにこの部屋! 落書きだらけだし、とりあえずすごいことになってる!」

ダイヤ「……っ、……!!」

果南「ダイヤ、いくらストレスが溜まってるからってもうちょっと整理整頓を」

ダイヤ「わたくしのわけがありませんわぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」


43:2018/06/18(月) 18:59:21.14 ID:rm8ofsn2.net

ダイヤ「ルビィ!! これは一体っ」
ガラッ


シーン……


ダイヤ「…………は?」

果南「どうしたの? ダイヤ」

ダイヤ「ル、ルビィがいませんわっ!?」

果南「あー、今日は風邪で欠席してたんだっけ?」

果南「まあ遊びたい盛りだろうし、治って出掛けたんじゃないの?」

ダイヤ「…………許せませんわ」

果南「ま、まあまあ。そこまで怒ることじゃ」

ダイヤ「あのクズのお二方……っ」

果南「クズのお二方? もしかして曜と善子ちゃんのこと?」

ダイヤ「だからあれほど曜さんに関わるなと何度も何度も何度も何度も何度も何度もっ!!!!」

果南「うわぁ、殺しかねない勢いだね」

果南「ていうかルビィちゃんの部屋もすごいことになってる……カレーまみれに砂まみれ」

ダイヤ「……今日という今日は殺しますわ」

果南「え?」

ダイヤ「わたくしのこの手で殺害しますわ」

果南「ちょっとこわいよ? ダイヤ」

果南「こんなのいつもの悪ふざけじゃん」

ダイヤ「度を超しすぎていますわっ!!!!」


44:2018/06/18(月) 18:59:36.32 ID:rm8ofsn2.net

果南「ちょ、ちょっと! どこ行くの?ダイヤ」

ダイヤ「クズを消し去るに決まっているでしょうっ! この内浦に害をもたらすだけの存在を!」

果南「勉強は?」

ダイヤ「どうでもいいですわっ、そんなこと!」

果南「そんなことって…」

果南「ていうか曜たちがどこにいるかもわかんないんじゃ」

ダイヤ「どうせ海でしょうっ! クズの一つ覚えのように海! 海! 海! 海! 海! 海! 海!」

ダイヤ「もう海なんかこの際、地球上から消えてなくなってしまえばいいんですわっ! あははははははははははっ!!!!」

果南「それは私も困るんだけど」



果南「…というわけで、海に来てみたけど」

ダイヤ「黒澤家の威信をかけて、内浦に潜む害悪、クズ、ゴミ掃除を……!!」


シーン……ザザァー……


果南「……」

ダイヤ「……」

果南「……いないね」

ダイヤ「逃げましたわねっ!! ルビィはどこにいますの!?」

ダイヤ「け、警察に助力を」

果南「いくらなんでも大袈裟すぎるってそれは! 一旦落ち着こう? ダイヤ」


45:2018/06/18(月) 18:59:58.21 ID:rm8ofsn2.net

ダイヤ「……おかしいですわ」

果南「なにが?」

ダイヤ「そんなの決まっていますわ! この海に内浦のクズこと渡辺曜の姿がないことですわ!」

果南「いや、いくら曜だって24時間海にいるわけじゃ……まあほぼほぼいるけど」

ダイヤ「このタイミングで海から行方を眩ませた……まるでわたくしがここを訪れることを察知したように」

果南「察知したからじゃないのー?」

ダイヤ「いいえ、あのクズはそこまでの機転をきかせられる頭を持ち合わせていませんわっ!」

果南「そうかなぁ?」

ダイヤ「もちろん善子さんやルビィも同じ……」

果南「まあその二人はそうかもね」

ダイヤ「ということは、あの3人以外に誰か裏で糸を引く者が」

果南「糸を引く者って…」

ダイヤ「このわたくしと同等、いえそれ以上の偏差値を持つ者…」
ブツブツ

ダイヤ「それでいてルビィや善子さんとも近しい人物…」
ブツブツ

果南「おーい? ダイヤー?」

ダイヤ「いえ、それよりも最も最悪なパターンとしては何よりもあの存在……」

ダイヤ「曜さんや善子さんのクズっぷりが可愛く思えてくるほどの……世界を股にかけたグローバルクズの女が……」
ブツブツ

果南「ダイヤがおかしくなっちゃった」


47:2018/06/18(月) 19:01:06.14 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「へっくちっ! へっくちっ! へっくちっ! へっくちっ!」
シュイン

花丸「やっぱりまだ風邪が治ってないんじゃ…」

ルビィ「へいきだよ! たぶんおねぃちゃがるびぃのうわさしてるんじゃないかなぁ!」

花丸「噂どころで済んだらいいけど。もっとおそろしいことになってそうずらぁ…」

善子「なによっ、ずら丸! あそこにいたらダイヤが強襲してくるって言ったのはずら丸でしょ?」

花丸「それはそうだけど……だってまるはもう帰りたいのに帰してくれないから。まるまで巻き添えくらいたくないずら」

ルビィ「るびぃはもっとめるめるちゃぁとあそびたいなぁ!」

花丸「そう言ってくれるのはうれしいけど、それなら名前くらいまともに呼んでほしいずら」

善子「それにしてもよく曜が素直に海を離れる気になったわよね。クズなのに」

曜「そんなの決まっているのであります! ここは私にとっての第二の故郷なのであります!」

曜「ルビィちゃんの家みたいにからっからの場所なんかじゃなくてここには湿度があるからね!」

善子「湿度っていうかプールだけどね」

曜「そう! 広大な海を一望できるこの広い部屋! すぐそこのベランダには深度500mのプール!」

ルビィ「すごい!」

花丸「でも本当にいいずら? こんな曜さんを連れ込んだらどうせろくなことにならないずら」

鞠莉「オールオッケーだよ、花丸! 曜は私のことを慕ってくれる可愛い後輩でもあるしね!」

鞠莉「もし壊されてもまたパパに言ってリフォーームッすればいいだけだし☆」

曜「鞠莉ちゃんのそういう細かいところにとらわれないところリスペクトしてるよ」


49:2018/06/18(月) 19:02:12.57 ID:rm8ofsn2.net

善子「なら壁に魔方陣描いてもかまわないわよねっ!」

鞠莉「ノープロブレームッ♪」

善子「ホント!?」

鞠莉「リアリーだよ、善子!」

善子「なかなか話がわかるじゃない!」

曜「鞠莉ちゃんは基本的に否定的なことは言わないんだよね」

鞠莉「なんでもウェルカームッ☆ だってそうしなきゃ人生ノンハッピーだよ!」

善子「この鞠莉の爪の垢をダイヤにもトールサイズだ飲ませてやりたいわね!」

鞠莉「ダイヤは頭固すぎるんだよ!」

曜「そうだねー」

善子「わかるわ」


花丸「鞠莉さんはクズからしてみれば神のような存在ずら…」

ルビィ「くずがいっぱい!」

花丸「この部屋に満ちるクズ臭がとんでもないことになってそうずらぁ……」

ルビィ「でもたのしそう!」

花丸「ルビィちゃんはあんなのと遊んでないでまるとしっかり勉強するずら」

ルビィ「うんっ!」

鞠莉「ルビィー! 花丸ー! 二人も一緒にパーティー始めるわよー☆」

ルビィ「ぱーてぃい! るびぃもやるっ!」
シュイン

花丸「え…?」


50:2018/06/18(月) 19:02:27.73 ID:rm8ofsn2.net

鞠莉「イッツ、パーティースターティーングッ!☆」

曜、善子、鞠莉、ルビィ「「「「かんぱーい!」」」」

曜「かーらーのー?」

曜、善子、鞠莉「「「敬礼ゞ」」」
ルビィ「けいれい!」

善子「暗黒満ちたる魔界へ紡ぎし?」

曜、善子、鞠莉「「「堕天★」」」
ルビィ「だてん!」

鞠莉「エーンド?」

曜、善子、鞠莉「「「シャイニー☆」」」
ルビィ「しゃいにい!」


花丸「カオスずら……この世の混沌ずら……」


鞠莉「なーにやってるのー? 花丸ー! 一緒に盛り上がろうよー☆」

花丸「や、やめるずらっ……まるはそっちには行きたくないずらぁっ……!」

善子「ふふ、見苦しいわね。ずら丸」

花丸「ほら、ルビィちゃん! まると勉強して賢くなりたいんでしょ?」

ルビィ「うゆ?」

花丸「うゆ?じゃなくて!」

鞠莉「なーにー? ルビィはベリーストロングになりたいのー?」

ルビィ「うんっ!」

花丸「いや、うんじゃなく…」


52:2018/06/18(月) 19:03:01.07 ID:rm8ofsn2.net

鞠莉「だったらこのマリーがレッツスタディーしてあげる☆」

ルビィ「ほんと!?」

鞠莉「イエース☆」

花丸「やめておいた方がいいずら、絶対にやめておいた方がいいずら…」

曜「ていうか鞠莉ちゃんって勉強できたっけ?」

善子「頭すっからかんに見えるんだけど」

鞠莉「だいじょーぶだいじょーぶ! たぶんできるよー!」

花丸「たぶんじゃダメずらー!」

鞠莉「なーに? 花丸は私に文句があるっていうのー?」

曜「花丸ちゃん、鞠莉ちゃんは上級生だよ?」

善子「ゴッドに楯突くなんて許されないわよ!」

花丸「一瞬で懐柔されてる善子ちゃんのクズレベルも止まることを知らないずらぁ…」

花丸「というかそもそもっ! まるの偏差値は50もあるから、勉強を教えるのはまるが適任ずら!」

善子「50程度が何を言ってるのよ!」

花丸「15は引っ込んでるずら」

善子「な、なによぉっー!」

ルビィ「うゅ……けんかはやめようよぉ!」

曜「そういえば鞠莉ちゃんって偏差値どんくらいあるんだっけ?」

鞠莉「偏差値?」


53:2018/06/18(月) 19:03:42.14 ID:rm8ofsn2.net

花丸「クズのワールドチャンピオンが偏差値なんて上等な単語を知ってるわけがないずら」

鞠莉「ノンノン、そんくらい知ってるよー☆」

花丸「ずらっ!? 今日一の驚きずらっ!」

善子「ゴッドをナメないことねっ!」

ルビィ「しゅごい!」

花丸「いや、驚きはしたけど全然すごくはないずら…」

曜「でも意外だなぁ。私なんてまったく興味ないから調べようとしたこともなかったよ」

鞠莉「まだまだベイビーね、曜は」

花丸「それで、いくつずら…? まるより高いわけがないずら」

鞠莉「マリーの偏差値?」

花丸「そうずら」

善子「ゴッドの偏差値……気になるわ」

曜「そう?」

ルビィ「るびぃよりいっぱいなのかなぁ…」

鞠莉「マリーの偏差値、それは…」

花丸「……っ」

鞠莉「エキサイティーングッ☆」

花丸「……は?」

鞠莉(偏差値Exciting)「だーかーらー、マリーの偏差値はエキサイティングだよ☆」

善子(偏差値15)「さすがこのヨハネが認めたゴッドだわ!」

曜(偏差値不明)「たしかにそんな感じはあるよね」

ルビィ(偏差値5)「よくわかんないけどすごいっ!」

花丸(偏差値50)「い、意味がわからんずら……」


54:2018/06/18(月) 19:04:30.80 ID:rm8ofsn2.net

ルビィ「うゅ……た、ただい、ま」

ダイヤ「ルビィ」

ルビィ「ぴぎっ!?」

ダイヤ「今、何時だと思っていますの……?」

ルビィ「ご、ごめんなさいっ!」

ダイヤ「わたくしは今が何時かと聞いているのです」

ルビィ「ろ、ろくじ……」

ダイヤ「そう、朝の6時」

ルビィ「おねぃちゃもはやおきだね!」

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「ぴぎゃっ!?」

ダイヤ「言いなさい。今までどこで誰と何をしていたのか」

ルビィ「べんきょうしてたんだよ!」

ダイヤ「ほぅ……ルビィが? 勉強を?」

ルビィ「うそですっ! ぱーてぃいしてました!」

ダイヤ「…誰と?」

ルビィ「えっと、よしこちゃぁとヨーサンとめるめるちゃぁとまりちゃぁ! あ! でもめろめろちゃぁはとちゅうでかえっちゃったから」

ダイヤ「や、やはり鞠莉さんとまで……ということは場所は」

ルビィ「まりちゃぁのほてる!」

ダイヤ「最悪ですわ……クズが集結してしまいましたわ……最も恐れていた事態が」


55:2018/06/18(月) 19:05:09.07 ID:rm8ofsn2.net

ダイヤ「ルビィ」

ルビィ「はいっ!」

ダイヤ「わたくし、日頃から言い聞かせていましたわよね?」

ルビィ「なにを?」

ダイヤ「クズと関わり合いを持ってはならないということを!」

ルビィ「くずがいっぱいいたよ!」

ダイヤ「そう……これまではあの渡辺曜さえ注意しておけばよかったものの、今やクズが蔓延してしまい、善子さんや鞠莉さん……ああ鞠莉さんは元々超ド級のクズでしたわね」

ルビィ「うゆ? まりちゃぁっておねぃちゃのともだちじゃ」

ダイヤ「わたくしにバカの友達はいてもクズの友達はいませんわっ!!」

ルビィ「ばかとくずのちがいがよくわかんないよぉ…」

ダイヤ「…と、話を戻しますわ」

ルビィ「はい!」

ダイヤ「曜さんと遊ぶなというわたくしの忠告をどうして破ってしまったのか。どうしてルビィはあのクズの方々と連夜のパーティナイトに参加してしまったのか」

ルビィ「たのしそうだったから!」

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「ぴぎぃっ!?」

ダイヤ「曜さんはクズです」

ルビィ「うゅ?」

ダイヤ「復唱しなさい」

ルビィ「ヨーサンはくずです!」

ダイヤ「善子さんはクズです」

ルビィ「よしこちゃぁはくずです!」

ダイヤ「鞠莉さんはクズです」

ルビィ「まりちゃぁはくずです!」


56:2018/06/18(月) 19:05:50.13 ID:rm8ofsn2.net

ダイヤ「曜さんはクズです」

ルビィ「ヨーサンは……くず、です……」

ダイヤ「善子さんはクズです」

ルビィ「よしこちゃぁは……くず……うゅ……」
ウトウト

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「ふわぁ……もうねむいよぉ……さっきからおなじようなことをずっと」

ルビィ「もういちじかんもくずくずいってるきがする…」

ダイヤ「暗示ですわ」

ルビィ「あんじ……?」

ダイヤ「お守りのようなもの。クズから身を守るためには強い心が必要ですわ。ルビィに最も欠けているものですわ!」

ルビィ「……Zzz」

ダイヤ「善子さんを見てわかるように、クズは感染することは明らか」

ダイヤ「このままではルビィ、あなた自身もクズに」

ルビィ「うゅ……うゅ……Zzz……」

ダイヤ「ルビィっ!」

ルビィ「Zzz……」

ダイヤ「こ、このっ……駄目ですわ! ルビィが……わたくしの妹がクズのわけが……」

ダイヤ「そう、わたくしの妹がクズであってはならないのですわっ!」

ルビィ「ぅみゅぅ……Zzz……」

ダイヤ「ルビィ、そろそろ学校へ行く時間ですわよ」

ルビィ「うゅ…? きょうはねむたいからおやすみすりゅ…」

ダイヤ「いけませんっ!!」


57:2018/06/18(月) 19:06:34.91 ID:rm8ofsn2.net

一年教室


花丸「あ、ルビィちゃん。おは…」


ルビィ「うゅ……Zzz……」

ダイヤ「おはようございます。花丸さん」

花丸「ダ、ダイヤさん…」

ダイヤ「昨晩はパーティーを楽しんでいたようで」

花丸「ま、まるは途中で帰ったから…」

ダイヤ「なるほど。ルビィを置いて自分だけさっさと帰宅した、と」

花丸「いや、あの、その……ルビィちゃんも楽しんでて…」

ダイヤ「……」
ギロッ

花丸「ずらっ…!?」

花丸(最悪ずら……あのトリプルクズのせいでなんでまるが生徒会長に目をつけられなきゃならないずら……)

ダイヤ「今後一切、ルビィをあのクズの方々に近付けないように」

花丸「で、でもなによりルビィちゃん自身が流されやすいから…」

ダイヤ「いいですわね?」
ギロッ

花丸(目がマジずら)

花丸「はいずら…」

ダイヤ「ルビィのこと頼みましたわよ」

花丸「…はい」

ダイヤ「それと…」
キョロキョロ

ダイヤ「あのクズは登校してきていないようですわね」

花丸「善子ちゃんのこと、ずら?」

ダイヤ「一年生に他のクズがいるんですの?」

花丸「善子ちゃんだけずらっ!」

ダイヤ「もし登校してきたらすぐにわたくしに報せるように。わかりましたわね?」

花丸「はい」


58:2018/06/18(月) 19:07:07.77 ID:rm8ofsn2.net

花丸「ふぅ……殺されるかと思ったずら」

ルビィ「うゅ……Zzz……」

花丸「ルビィちゃん、起きるずら」

ルビィ「ぅにゅぅ……ねむいよぉ……」

花丸(たしかに……もし朝まであの連中と一緒にいたのならほとんど寝てないはずだから)

花丸(でも、ちゃんと授業うけさせないとたぶんまるがダイヤさんに叱られるずら…)

花丸「……理不尽ずら」


花丸「ほらルビィちゃん! 起ーきーるーずーらー!」

ルビィ「やだよぉ! るびぃねむたいもんっ!」

花丸「わがまま言っちゃダメずらぁー!」

ルビィ「もう! ひゅまもりちゃぁうるさいよぉっ!」
シュイン

花丸「あっ、こら! 逃げちゃダメずらっ!」


花丸「はぁ……はぁっ……どこ行きやがったずら……」

花丸(ていうかなんでまるがこんな朝から走り回らなくちゃならないずら……)



ルビィ「もぅ……おちおちねられないよぉ……」
トコトコ

ルビィ「ふあぁ……うゅ……」
トコトコ


59:2018/06/18(月) 19:07:44.02 ID:rm8ofsn2.net

ウィーン…


ルビィ「ふみゅぅ……」
トコトコ

ルビィ「うゅ…」
モゾッ

ルビィ「んぅ……うゅ……ふかふかべっど、きもちいぃ……Zzz……」


鞠莉「ワッツ? 誰が入ってきたかと思ったらルビィだったのね!」

善子「んぅ……うるさいわね……」

鞠莉「善子、グッモーニンッ☆」

善子「…あれ? ゴッドだけ? 曜は?」

鞠莉「曜なら、ほら! そこのプールで寝てるわ!」

善子「ホントに水が好きなのね……私ももう少し寝るわ……おやすみ」

鞠莉「グッナーイッ☆」


ルビィ「すやすや……Zzz……」

鞠莉「ちゃんと布団被って寝ないと風邪ひいちゃうわよ」

ルビィ「ぅゅ……ぉねぃ、ちゃ……Zzz…」

鞠莉「ふふ、ダイヤの夢を見ているのね」


鞠莉「……ダイヤ、か」

鞠莉「元気にしてるのかな。あのトンチンカンは」


60:2018/06/18(月) 19:08:17.96 ID:rm8ofsn2.net

花丸「ぜぇ……ぜぇ……疲れたずらぁ……もうだめ……」

花丸「学校中探し回ったけど、どこにもいないずら……」

花丸「……もしかしたら校外に……それしか考えられないずら……」


ダイヤ「花丸さん? ごきげんよう」


花丸「ずらっ!?」

ダイヤ「そんなに汗をかいて何をしていますの? 廊下を走ってはいけませんわ」

花丸「ダ、ダイヤさん…」

ダイヤ「おや? ルビィは一緒じゃありませんのね」

花丸「ルビィちゃんは…」

花丸(言えないずら……学校から逃亡したなんて言ったらまるの命が危ないずらぁ……!)

花丸「ル、ルビィちゃんは教室で勉強を頑張ってて…」

ダイヤ「あの勉強嫌いなルビィが……さすが花丸さんですわね」

花丸「ずらぁ…」

ダイヤ「ルビィに伝えておいていただけますか? 放課後、迎えにいくので授業が終わったら教室で待っているように、と」

花丸「しょ、承知したずら…」

花丸(放課後までになんとしてでもルビィちゃんを学校に連れ戻さないとぉ……!)


65:2018/06/18(月) 21:02:25.57 ID:rm8ofsn2.net

花丸「ルビィちゃん、家にも帰ってないし…」


花丸「海にもいないずら……」


花丸「…………だとすると、残るは」


花丸「…………あそこには行きたくないずらぁ……あそこはクズ巣窟……魔境ずらぁ……」

花丸「こんなか弱くて無力なまるが一人で乗り込んだとしても、ルビィちゃんを救出できる自信なんかないずら」

花丸「というか、まずルビィちゃん自身に救われようという意思があるのかが疑問ずら…」

果南「あれ? 花丸?」

花丸「果南さん!?」

果南「ここ、鞠莉のホテルの前だけど、こんなところで何してるの?」

花丸「果南さんっ、いいところに……」

花丸(いや、待つずら)

花丸(はたして果南さんは信用してもいいずら……? クズ要素もバカ要素も併せ持っている可能性もなきにしもあらず)

果南「学校は? たしか今って授業中じゃなかったっけ?」

花丸「その言葉をそっくりそのまま返してやりたいずら…」

果南「なにか言った?」

花丸「なーんにも言ってないずら」

花丸(迷っててもしかたないずら。放課後までにルビィちゃんを教室に連れ戻さないと……まるの人生はここでおしまいになりかねないずらぁ……)

花丸「あの、果南さん……実はお願いがあって」


ヒューーーーーーーーーーー


花丸「え?」


ザッバァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!


花丸「ずらっ!? 上空からなにか」

曜「ヨーソロー!!」

花丸「じょ、上空からクズが降ってきたずら!?」


66:2018/06/18(月) 21:12:03.78 ID:rm8ofsn2.net

曜「ぷはぁ! やっぱ地上86階からの高飛び込みはきもちいいーっ!」

曜「あ、果南ちゃん!」

果南「なんだ、曜か。相変わらずやってるね」

曜「えへへ、鞠莉ちゃんちに来たならこれやらないとね!」

果南「わかるわかる」

花丸「ちっともわからんずらっ!!」

花丸(86階から地上のプールに飛び込むなんて……クズの考えることは理解不能ずら)

果南「爽快だよね」

曜「うんうん!」

花丸(なんで果南さんはそんな平然としていられるずら? やっぱりこの人も)



地上86階


鞠莉「やっぱり曜の飛び込みはいつ見てもベリークールだね☆」

ルビィ「ヨーサンしゅごい!」

善子「曜……とんでもない子っ!」

鞠莉「さぁさぁお次は~♪」

ルビィ「うゆ?」

善子「…っ、ルビィ! 飛びなさい! ヨハネの命令よ!」

ルビィ「やだよぉ!」

善子「なんでよっ!」

ルビィ「だってこわいもんっ!」

善子「こわくないわよ! 曜だって飛んでたじゃない!」

ルビィ「ヨーサンはくずだから! よしこちゃぁもくずなんだからとべばいいじゃん!」

善子「なによっ! ルビィのくせに! ゴッドのとヨハネの命令に逆らうつもり!?」

鞠莉「だったら二人仲良くレッツフラーイっ!☆」
ポンッ

善子「へ?」

ルビィ「ぴぎっ!?」


67:2018/06/18(月) 21:21:37.26 ID:rm8ofsn2.net

ヒューーーーーーーーーーー


花丸「ま、またなにか…」


善子「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!! つ、翼はあああああっ!!??!! 堕天使の翼ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


ザッバァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!


花丸「…………」

果南「お、やってるやってる」

花丸(こ、これが、クズ々の戯び……)


善子「ぶはぁっ! ……い、生きてる? 私生きてるーー!! …………ククク、いくらゴッドであろうとこのヨハネに死を与えるなど所詮は不可能なのです」

善子「何故なら、この堕天使ヨハネは不老不死! ギラン★」

ルビィ「うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ!」

曜「あはは! ルビィちゃん泣くほど楽しんでる!」

果南「実際楽しいからね」

善子「情けないわよ、ルビィ! この程度で!」

花丸「善子ちゃん、短期間でレベル上がりすぎずら…」


68:2018/06/18(月) 21:30:27.14 ID:rm8ofsn2.net

善子「ていうかなんで果南までいるのよっ!」

果南「海に二人の姿が無かったからたぶんここかなって。久しぶりに鞠莉とも会いたかったし」

果南「学校にいるとダイヤが怒るんだよ。それで息苦しくてさー」

善子「わかるわ。あなたも苦労しているのね」

花丸「…はっ! クズのペースに巻き込まれて忘れてそうになってたずら! ダイヤさんっ、このままじゃまるがダイヤさんに」

果南「そういえば鞠莉は」

花丸「そんなものどうでもいいずら。まるはルビィちゃんをっ…」

ルビィ「うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ!」

花丸「だ、大丈夫ずら? ルビィちゃん……というかよく考えれば学校から逃げ出したルビィちゃんの自業自得じゃ」

ルビィ「うゅ! るびぃわるくないもんっ! ちょっとねむたかったからここでねてただけだもんっ!」

花丸「いやそれが一番おかしいずら……寝るなら保健室とか……じゃなくても普通は自分の家に」

ルビィ「もるもっとちゃんうるしゃいっ! きらい!」

花丸「ま、まるはルビィちゃんを心配して…」

花丸(まずいずら……ルビィちゃんがどんどんクズ化していってるずら……)


ウィーン…


鞠莉「かなーんっ! シャイニー☆」

果南「あ、鞠莉!」


69:2018/06/18(月) 21:44:43.48 ID:rm8ofsn2.net

鞠莉「ひっさしぶりに果南に会えてうれしいよー☆」

果南「あはは。相変わらず自由人やってるの? 鞠莉は」

鞠莉「イエース! 曜や善子やルビィと楽しくやってるよー!」

曜「果南ちゃんも一緒に遊ぼうよ!」

鞠莉「さずが曜、ナイスなアイディアでぇーすっ!」

果南「いいねぇ! あ、でも私偏差値いっぱい溜めないといけないんだよね」

鞠莉「オー? 偏差値?」

善子「だったらこのゴッドに土下座で頼めばいいわ! なんてったってゴッドの偏差値はExcitingなんだから!」

果南「偏差値がExciting?」

花丸「そんな偏差値はないずら」

果南「なんかすごそう! 昔っから鞠莉はただ者じゃないとは思ってたんだよね」

曜「だから偏差値なんていらないってー」

果南「そういうわけにもいかないよ。私だってもう3年生だから。曜だって来年になればわかるよ」

曜「絶対にわからない自信があるのであります!」

善子「そんなことよりもっと遊ぶわよ! せっかくの休日なんだから!」

花丸「ちがうずら」

鞠莉「じゃあクルージングでもする?」

曜、善子「「するっ!!」」

果南「あ、それなら私も行きたい!」

花丸「勝手に行ってろずら……さて、まるは」

ルビィ「るびぃもいく!」

花丸「…は?」


71:2018/06/18(月) 22:02:22.74 ID:rm8ofsn2.net

曜「全速前進ヨーソロー!!」

曜「すごいすごいっ! 鞠莉ちゃんのクルーザー速くて楽しいっ!」

曜「風が気持ちいいなぁー!」

善子「海の上だと更にテンション高いわね、曜は」

果南「曜は海が大好きだからね」

曜「うんうん! こうしてると日頃のストレスとか吹っ飛んじゃうのでありますっ!」

花丸「…曜さんにストレスなんかあるわけないずら」

曜「いやいやあるから! 私にもあるから!」

花丸「たとえば?」

曜「水に入れない時とか! ほらっ、寝てる時って水の中にいないから! やっぱり常時ふやけてないと乾燥で死にそうになったり」

花丸「訊いたまるがバカだったずら……」

花丸「……って! なんでまるはこの人たちとクルージングしてるずらぁ!?」

ルビィ「まかろにちゃぁもいっしょにあそぼぉよぉ!」

花丸「さっきは嫌いとか言ってきたくせに…」

ルビィ「うゆ?」

果南「ねぇ鞠莉! ちょっと操縦してみていい?」

鞠莉「もちろんオッケーだよ! 果南!」

果南「やったー!」

花丸「ま、待つずらぁ! ちゃんと免許持ってるずら!?」

果南「免許って?」

花丸「め、免許を知らない……?」

果南「いや、知ってるけど。ここ海上だよ?」

曜「地上の道路みたいに事故とか起こるわけないじゃん。だってこーーんなに海はひろいっ!」


73:2018/06/18(月) 22:14:41.81 ID:rm8ofsn2.net

花丸(もうこの人たちに何を言っても無駄ずら……)

花丸(今すぐルビィちゃんを連れ戻すのは諦めよう……幸い、放課後まで時間はあるからそのうちに…)

花丸「どうせそのうち飽きて陸に戻るずら……ひゃっ!?」
ピシャッ

花丸「つ、冷たいずらっ!」

善子「ぼけーっとしてたら、死ぬわよ? ずら丸」

花丸「いきなり水鉄砲撃ってくるなんて卑怯ずらっ!」

善子「戦闘は待ってくれないのよっ! 今の状況わかってるの!? 1年生チーム対2、3年生連合軍の死闘の真っ最中なのよ!」

花丸「だったらなんでまるを撃ったの?」

善子「う、うるさいわね! 流れ弾よ!」

ルビィ「えいっ! えいっ!」
ピシャッ ピシャッ

曜「ほっ! へへーん! ルビィちゃんのノロマー!」

ルビィ「なにおう! このこのっ!」
ピシャッ ピシャッ

ルビィ「ぜんぜんあたらないよぉ!」

善子「ふっ、ルビィ。あなたに曜の相手は荷が重いわ」

ルビィ「よしこちゃぁ!」

善子「このヨハネに身を委ねなさい」

ルビィ「うんっ!」


75:2018/06/18(月) 22:23:43.32 ID:rm8ofsn2.net

曜「善子ちゃんが相手でも変わんないよー! 海上での私は最強だから!」

善子「いい気になってるのも今のうちよ、曜」

善子「たしかにあなたは強い。ならばこのヨハネも真の力を解放しなくてはならないようね」

ルビィ「し、しんのちからっ!」

花丸「どうせいつもの妄言ずら」

善子「ククク、黙って見てなさい。ヨハネの魔術を…!」

ルビィ「まじゅつ!」

曜「そんなこといってなにも」

善子「甘いわね……海に愛されているのはあなたではなく、このヨハネよ! 曜、あなたは海に殺されるかのよっ!」

花丸「何をするつもりずら…」

善子「ルビィを生け贄に捧げ、深海の覇者リヴァイアサンを召喚ッッ!」
ポイッ

ルビィ「ぴぎゃぁっ!?」
ボチャンッ

花丸「ああ! ルビィちゃんがっ! 善子ちゃんいくらなんでもクズすぎるずらっ…!」

ルビィ「うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ!」
チャパチャパ

善子「恨みたければ好きなだけ恨みなさい……こうしなくては曜には勝てないのよっ!」


76:2018/06/18(月) 22:38:34.76 ID:rm8ofsn2.net

3時間後


ピシャッ……ピシャッ……


曜「あははっ!」

善子「やったわねっ!」

ルビィ「えいっ! てやっ!」

鞠莉「今よっ、果南!」

果南「まかせて鞠莉!」


花丸(いつまでやってるずら……)

花丸(そろそろ陸に戻らないとタイムリミットが……)


花丸「あ、あの……そろそろ…」

鞠莉「そろそろ? あーそうね! 遊びに夢中で忘れてたわ!」

善子「いやしいわね! ずら丸は!」

曜「あ、もうそんな時間かー」

花丸「うんうん」

曜「じゃあ行こっか、果南ちゃん」

花丸「うんう……え?」

果南「また勝負する?」

曜「今日こそは負けないから!」

果南「よーし! スタート!」
ザッパーンッ

曜「はっ!」
ザッパーンッ

花丸「……え? ふ、ふたりはなんで飛び込んだの?」

鞠莉「なにって食糧調達でしょ?」

花丸「え?」

善子「ずら丸がお腹すいたって言い出したんじゃない」

花丸「まるそんなこと言ってないずらぁーー!!」


77:2018/06/18(月) 23:51:55.24 ID:rm8ofsn2.net

果南「大漁大漁!っと」

曜「やっぱりまだ果南ちゃんには敵わないかー」

ルビィ「わぁ! おしゃかなしゃんがいっぱい!」

善子「アワビにサザエにウニにイクラ!」

鞠莉「新鮮なシーの宝石だらけだねッ☆」

花丸「あ、あり得ないずら……素潜りで……こんなに……」

花丸「百歩譲って魚はまだわかるずら……でもここってかなり沖の方だし、貝やウニなんてどうやって獲ってきたずら……」


鞠莉「ご飯炊けてるよー!」

曜「こっちも準備完了であります!」

善子「お腹ぺこぺこなんだから早く食べさせなさいよっ!」

ルビィ「うにしゃんかわいいなぁ!」
ツンツン

果南「はい、花丸の分」

花丸「あ、ありがとずら…」

曜「海の上で食べるふりかけご飯は格別だー!」

花丸「なぜふりかけご飯!?」

曜「だって魚ってまずいから。獲るのは楽しいけど食べるのはさすがにね…」

果南「そんなこと言ってるからいつまでたっても私に勝てないんだよー」

ルビィ「うゅ……おしゃかなしゃんいっぱいたべたらかしこくなれりゅんだよね……」

ルビィ「いっぱいたべるぞぉ!」


96:2018/06/19(火) 20:00:16.49 ID:xmWtfntr.net

曜「好き嫌い言ったら怒るからね? ルビィちゃん」

ルビィ「いわないもんっ! るびぃおしゃかなしゃんいっぱいたべれるもんっ!」

曜「その意気その意気。魚を食べればいくらルビィちゃんがバカでも偏差値なんて勝手に増えていくから」

ルビィ「うゅっ! がつがつっ…! がつがつっ!」

善子「それにしても美味しいわね。この海鮮丼」

花丸「獲りたては格別ずら~」

善子「ずら丸っ、あんたの分もヨハネによこしさない!」

花丸「これはまるのずらぁ!」

果南「こーら、善子。おかわりならいくらでもあるからさ」

鞠莉「そーよぉっ☆ もし材料が無くなったとしてもまた果南が獲ってきてくれるから!」

善子「全然わかってないわねっ! 果南はともかく、ゴッドまで!」

鞠莉「善子?」

果南「なんなのー?」

善子「いい? 他人が食べてるものの方が数段美味しそうに見えるのよ! そんなことも知らないの?」

果南「あー、よく言うよね。なんだっけ?」

曜「隣の柴犬は青い! でありますっ!」

果南「それそれ」

花丸「ちがうずら…」


97:2018/06/19(火) 20:13:28.50 ID:xmWtfntr.net

善子「というわけで……いただきっ!」

花丸「あっ! 返すずらぁ! このドクズ!」

善子「なによぉ! 大人しくヨハネに献上しなさいっ!」

果南「まったく、善子は」

鞠莉「1年生は元気がグッドだねぇ☆ ほらっ、ルビィだって」

ルビィ「がつがつっ…! がつがつっ…!」

花丸「おぉ……まさに修羅の食い様ずら」

善子「いやしいわね、ルビィは」

花丸「お前が言うなずら。ルビィちゃん、もっとよく噛んで食べないと……それにそんな急いで食べなくても」

ルビィ「がつがつっ……うゅ!? うゅゅゅ!? ゅががががががっ!!」

善子「いくら美味しいからって大袈裟よ、ルビィ」

鞠莉「オーバーリアクションだね! ルビィ!」

果南「まあこんなに喜んでくれたら深海7000mまで潜って獲ってきたカイがあるってものだよ」

花丸「い、いや、たぶんそうじゃなくて……ルビィちゃんは喉に」

鞠莉「アハハハハ!!!! さっすが果南! ハイパーファニーガールだね!!!!」

曜「あはは! 獲ってきた甲斐と貝をかけたんだよね今の!」

善子「ククク…………聞き逃していたわ。もう一回言いなさいっ!」

果南「獲ってきたカイが~」

鞠莉「アハハハハ!!!!」

善子「くくくく!!!!」

曜「果南ちゃんサイコー!!」

花丸「クズの笑いのツボはわからんずら……」


98:2018/06/19(火) 20:26:20.89 ID:xmWtfntr.net

花丸「…ってそんな場合じゃなくてっ!」

ルビィ「うゅっ…! ゅゅゅっ…!!!!」
モガモガ

善子「ルビィ、いくら果南がおかしいからって」

花丸「おかしいのは善子ちゃんの頭ずらっ!」

善子「なによっ! ちょっと偏差値がヨハネの倍近くあるからって!」

花丸「3倍以上あるずらっ!」

曜「どうしたの?」

花丸「曜さんっ、ルビィちゃんが喉に海鮮丼を詰まらせてっ! はやく水を!」

曜「水?」

花丸(しまったずらっ! なんでまるは曜さんなんかに助けを求めてっ)

曜「水ならそこにいっぱいあるよー!」
ポンッ

ルビィ「うぴゅぎぃぃぃ!?!!」
ボチャンッ

花丸「あぁ……今のは完全にまるの失態ずら……」

花丸(というか、クズの行動がだんだん読めるようなってきた自分が悲しいずら)


ルビィ「うわぁぁぁぁんっ! うわぁぁぁぁんっ!」

曜「ルビィちゃん、楽しいクルージング中に泣かないでよ。雰囲気大事にしてよ」

ルビィ「だって! ヨーサンがるびぃをぉ!」

曜「何言ってるの。私が助けてあげなかったら今頃窒息死してたんだよ?」

ルビィ「もっとふつうにっ! じゅぅすくれたらよかったのにっ!」

曜「は?」

ルビィ「うゅっ!」

花丸「ルビィちゃんっ! 曜さんに口答えしちゃだめずらぁ!」

ルビィ「なんでっ! ゆめまろちゃぁはヨーサンのなかまなのっ!? きらいっ!」

花丸「だんだんルビィちゃんに対して殺意が湧いてきたずら……」


99:2018/06/19(火) 20:49:11.03 ID:xmWtfntr.net

3時間後


果南「いやぁ、もう真っ暗だね」

善子「この呪われた魔海が闇に染まりし刻……世を脅威なる混沌がもたらされるでしょう。クックック……」

花丸「ずっと混沌してずらぁ…」

曜「夜の海に敬礼っ!」

ルビィ「うゆっ!」

鞠莉「それにしてもたーくさんっ、遊んだねー☆」

ルビィ「たのしかった!」

曜「あはは! でも夜はまだまだこれからなのでありますっ!」

ルビィ「おーるするんだもんねっ!」

善子「あなたもようやくわかってきたみたいね、ルビィ」

花丸(もうとっくに放課後……ダイヤさんとの約束は守れずじまい……明日怒られるんだろうなぁ……憂鬱ずら)


果南「もうすぐ陸に着くけど、この後の予定は?」

鞠莉「うーん、そうだねぇ…」

曜「私またあれやりたい! 86階からの高飛び込み!」

果南「ホント飽きないよね、曜は」

善子「も、もっと違うことにしないかしら……? ねぇ……」

鞠莉「まー、とりあえず! 飛び込むか飛び込まないかは後で決めるとして、一旦うちのホテルまで……ん?」

果南「どうしたの? 鞠莉」

曜「岸に誰かいるみたい」

ルビィ「うゅ…?」

花丸「あ、あれはっ…!」



ダイヤ「ようやく戻ってきたようですわねぇぇぇぇ!!!!」


107:2018/06/20(水) 17:28:09.12 ID:WXdrksXw.net

善子「な、なんでダイヤがいるのよ…?」

果南「出迎えとか?」

善子「あの顔見てみなさいよ。あれは……鬼だわ」

ルビィ「おにぃちぁ!」

果南「ダイヤが怒ってる? なんで? あ、もしかして、大漁旗を掲げてないからじゃ」

曜「私としたことがうっかりしていたのでありますっ!」

善子「そんなものあるの?」

曜「船といったら釣り! 釣りに行けば大漁! 大漁旗を用意してない船など存在しないのであります!」

花丸「クルーザーにあるわけないずら」

善子「ゴッドを甘く見すぎよっ、ずら丸!」

曜「そうそう。大漁旗ならここにちゃーんと」


ダイヤ「違いますわっ!!!! いいからそこから降りてきなさい!!!!」


善子「違ったみたいよ、曜」

曜「だったらなんで怒ってるの?」

果南「まあダイヤはいつも怒ってるから」

曜「平常運転ってことだね」


108:2018/06/20(水) 17:38:26.53 ID:WXdrksXw.net

鞠莉「ダイヤー! ハイパーひさしぶりデースねっ!」

果南「二人が顔を合わすのって3年ぶりくらいだっけ?」

ダイヤ「高校に入学してからですので正確には2年と8ヶ月ぶりになりますわ」

鞠莉「ロングロングタイムだったね……ダイヤ」


善子「どういうことよ? 同じ学校に通っておきながら3年ぶりって」

曜「鞠莉ちゃんは登校しないタイプだから」

善子「でも私、学校でゴッドに会ったことあるわよっ!」

果南「鞠莉は楽しいイベントにだけは参加してるからね」

善子「あ、そういうこと。さすがゴッドね」

果南「でもダイヤはそれが許せなかった」

善子「なんでよ!?」

果南「ダイヤは真面目だからね。だからそんな鞠莉と仲良くしているところを誰にも見せたくなった」

曜「避けられてたってこと」

善子「ひどいわっ! 横暴よっ!」

花丸「善子ちゃんはちょっと黙ってるずら」

善子「なんでよっ!」


鞠莉「ダイヤ」

ダイヤ「理事長でありながら不真面目な態度を正そうとしない鞠莉さんと話すことなどありませんわっ!」

鞠莉「……」

ダイヤ「さ、ルビィ。帰りますわよ。このようなクズ連中と関わらないようにと言いましたわよね?」

ルビィ「ぅ……うゅ……」


109:2018/06/20(水) 17:47:05.23 ID:WXdrksXw.net

ルビィ「うゅ…」

ダイヤ「ルビィ、わたくしの言うことが聞けませんの?」

ルビィ「おねぃちゃぁ! まだななじだよっ!」

ダイヤ「それが、なんですの?」

ルビィ「よるはまだまだこれからだって……ヨーサンいってたもんっ!」

曜「ルビィちゃん」

ルビィ「るびぃは……るびぃはっ! もっといっぱいあそびたいっ!」

花丸「ル、ルビィちゃん……」

ダイヤ「いけませんっ!」

ルビィ「やだぁっ! るびぃもみんなといっしょにおーるするんだもんっ!」

ダイヤ「こ、このっ!」
ヒュッ

ルビィ「ぴぎっ!?」
シュインッ

花丸「やめるずらぁーーっ!!」
パシッ

ダイヤ「……どうして止めますの? 花丸さん」

ダイヤ「あなたもこのクズたちの一派だと、そういうことですか?」

花丸「い、いや……その、まるは……」

善子「ずら丸! ダイヤなんかにビビってんじゃないわよっ!」

花丸「まるは……ただ……」

ダイヤ「……よーくわかりましたわ」

ダイヤ「鞠莉さん、果南さん、曜さん、善子さん……そして、花丸さん」

ダイヤ「あなた方が皆、ルビィに悪影響をもたらすだけのクズだということが!!」


111:2018/06/20(水) 18:00:54.66 ID:WXdrksXw.net

ダイヤ「ああ、なんということでしょう……」

ダイヤ「あなた方のようなクズとつるみだしてからというものっ、認めたくはありませんでしたが……ルビィもクズに染まりつつありますわっ!!」

ルビィ「るびぃが、くず?」

ダイヤ「そうですわっ! ルビィはクズですっ!」

ルビィ「うゅ…」

善子「ちょっ、いくらなんでも言い過ぎよっ!」

曜「ルビィちゃんがかわいそうだって!」

ダイヤ「ルビィがかわいそう? そう思うのなら金輪際ルビィと関わるのはやめていただけますか!?」

ダイヤ「ルビィはあなた方とは違いますわ。在学中に頑張って勉強して、偏差値を上げて、良い大学に入って、良い会社に就職して」

ダイヤ「そういった努力を重ねた先にある幸せを手にしてほしいと……わたくしはずっと望んでいますわっ!」

果南「だからってルビィちゃんの意思を無視するっていうのは」

善子「そうよっ! ルビィだって楽しんで」

ダイヤ「う・る・さ・い・ですわっ!!」

ダイヤ「ルビィ、クズの言うことに惑わされてはなりません。あなたはわたくしの言葉だけを信じていればいいのですわ」

ルビィ「う、うゆ?」

ダイヤ「さあ、はやく家に」

鞠莉「頑張ってスタディ? High偏差値? グッドな大学? グッドな会社?」

鞠莉「へそが茶になりそうだよ、ダイヤ」

ダイヤ「なんですって……?」

鞠莉「ダイヤはいちばん大切なことを知らないんだね」

ダイヤ「一番大切なこと……?」

鞠莉「そうだよ。どんなにグッドな大学も、どんなにグッドな会社も」

鞠莉「グッドな思い出には敵わないっ!!」


112:2018/06/20(水) 18:11:59.04 ID:WXdrksXw.net

鞠莉「グッドな思い出は、とてもグッドなんだよ。勉強なんかよりもずっと大切なもの……それだけを求めて、私は生きてきた」

鞠莉「どんなにクズと罵られようと、どんなに理事長失格と蔑まれようと……あんまり気にしなかった」

鞠莉「何故だかダイヤにはわかる?」

ダイヤ「鞠莉さんがクズだからでしょう?」

鞠莉「ノンノン。それはね…」

鞠莉「曜」

曜「ヨーソロー!」

鞠莉「善子」

善子「ギラン★」

鞠莉「果南」

果南「ハグしよ?」

鞠莉「花丸」

花丸「しかたないずらね……」

鞠莉「ルビィ」

ルビィ「はいっ!」

鞠莉「みんながいてくれたからだよ。こんなにも楽しいフレンズたちがいてくれるから」

鞠莉「私はせいいっぱいフルパワーでいまをエキサイトできるの!!☆」

ダイヤ「…………」

ダイヤ「……っ、だ、だからなんですの!?」

ダイヤ「友人が不要とは言いませんが、それなりの付き合い方というものがっ…」

鞠莉「ダイヤ」


113:2018/06/20(水) 18:26:02.93 ID:WXdrksXw.net

ダイヤ「わ、わたくしはっ…」

花丸「ダイヤさん……まるもね、ほんの少し前まではダイヤさんと同じ考えだったずら」

ダイヤ「わたくしの信頼を裏切ったということですわね?」

花丸「たしかに、曜さんを筆頭にとんでもないクズたちばかりずら……でもっ!」

花丸「気付いたら楽しくなっちゃってて……ルビィちゃんだって! ルビィちゃんのあんな楽しそうな顔見たら何が正しいのかわからなくなってきたずら……!」

ルビィ「まるちゃぁ!」

ダイヤ「で、ですがっ、ルビィは…」

善子「べつにバカでもクズでもいいじゃないっ! ルビィはルビィなのよっ! あんたのルビィじゃないわっ! 今じゃこのヨハネの下僕なのよっ!」

ダイヤ「キンキンうるさい声ですわね!」

善子「なによっ!」

果南「…5だっけ?」

ダイヤ「え?」

果南「ルビィちゃんの偏差値はたったの5。風が吹けば消えていくくらいの。でもね、それを千倍……ううん、十倍にしたら50だよ?」

ルビィ「まるちゃぁといっしょ!」

ダイヤ「だからそれを十倍にするのがどれだけ大変なことかっ」

果南「そうだね」

ダイヤ「え?」


114:2018/06/20(水) 18:34:53.02 ID:WXdrksXw.net

花丸「ルビィちゃん、ルビィちゃんの自分の気持ちをハッキリダイヤさんに伝えるずら!」

ルビィ「うゆ?」

花丸「うゆ?じゃなくて……素直な気持ちを、どう思ってるのか、ルビィちゃんはなにをしたいのか」

ルビィ「る、るびぃはっ……るびぃはっ……!」

ルビィ「みんなといっしょにもっといっぱいあそびたいっ!」

ダイヤ「駄目ですわ」

ルビィ「うゅ…?」

ダイヤ「友達が欲しいならわたくしがいますわ! 遊んでほしいなら遊んであげますわ! それで満足ですわよね!?」

ルビィ「うんっ!」

花丸「そこ頷いたらダメずら……」

ルビィ「あっ! じゃなくてっ! るびぃはみんなで! おねぃちゃぁとあそぶのもたのしいけど……やっぱりみんなのほうが」

ダイヤ「……っ、どうしてこのようなクズの方々と」

鞠莉「わかった。わかったよ、ダイヤ」

果南「うん、私にもわかるよ」

ダイヤ「何がですの…? ようやく諦めていただけたと」

鞠莉「イエース☆」

果南「ここでダイヤに何を言っても認めてくれそうにないから」

鞠莉「ホントにダイヤは頭でっかちなんだからっ!」

ダイヤ「な、なんでも構いませんが……ならこれで…」

鞠莉「だからダイヤも一緒にトゥギャザーしよう!☆」

ダイヤ「……は?」


115:2018/06/20(水) 18:44:40.48 ID:WXdrksXw.net

鞠莉「明日一緒に遊んで、それでも納得いかないようならルビィのことはキレイサッパリ諦めるよ!」

ダイヤ「わたくしが、あなた方と……?」

果南「頭ごなしに否定するだけじゃ、そこらへんのゴリラと同じだよ?」

ダイヤ「……」

ルビィ「るびぃもっ! おねぃちゃぁといっしょにあそびたいっ!」

ダイヤ「ルビィ……あなたまで……」


ダイヤ「…………」


ダイヤ「…………わかりましたわ」

善子「げっ!」

ダイヤ「ただしっ! そこの花丸さんと同じようにわたくしまで簡単に懐柔できると思わないことですわねっ!」

ルビィ「かいじゅうしゃん?」


鞠莉「イッツ・グレイトッ☆ 明日はフルパワーで遊ぶよー!」

曜「了解でありますっ! ヨーソロー!」

善子「仕方無いわね……ダイヤがそこまで言うのならこのヨハネが堕天の世界に誘ってあげてもいいわ」

果南「どこに行こう? ちゃんと計画立てなきゃだね」

花丸「どうせ海ずら」

ダイヤ「明日……明日1日だけですわよっ!」

ダイヤ「…って、明日は学校でしょう!? わたくしとしたことが忘れていましたわ」

鞠莉「明日は臨時休校にシマース☆」

ダイヤ「まったく……鞠莉さん、あなたという方は……」


123:2018/06/20(水) 22:27:34.79 ID:W1UUgEfe.net

翌朝


ルビィ「うゅ……うゅ……Zzz…」

ダイヤ「ルビィ。ルビィ。起きなさいな、ルビィ」

ルビィ「うゅ……? まだねむb「よぉ……きょb、はがっこうやbキみになったんbセし、いっぱいbヒるもんっ……=v

ャ_イヤ「どうしbト突然臨時休校bノなったのか、末Yれてしまったbナすの?」

ルビィ「そんなのしらないよぉ!」

ダイヤ「鞠莉さんたちと遊ぶためですわっ!!」

ルビィ「あ……そうだった!」

ダイヤ「まったく……ほら、顔を洗ってらっしゃい」

ルビィ「うんっ! ……うゅ……Zzz……」

ダイヤ「起きなさいっ!」




ルビィ「ふわあぁ……」
トコトコ

ダイヤ「朝食の支度は出来ていますわ。そこに座りなさい。食べますわよ」

ルビィ「うゅ」

ダイヤ「いただきます」

ルビィ「いたやひみゃすっ!」


ルビィ「うゆ? おねぃちゃぁ、あのはこなに?」

ダイヤ「あれはお弁当ですわ」

ルビィ「へ? あれぜんぶ?」

ダイヤ「そうですわよ。7人もいるのですから3時に起きてこしらえましたわ」


124:2018/06/20(水) 22:36:28.48 ID:W1UUgEfe.net

ダイヤ「鞠莉さんのことですから、どうせ金に物を言わせた高級料理でわたくしをいい気分にさせようと思っていますわ」

ダイヤ「ふふ、そうはいきませんわよ」

ダイヤ「鞠莉さんや皆さんの驚く顔が今から楽しみですわ」

ルビィ「おねぃちゃぁもたのしそう」

ダイヤ「べ、べつに全然楽しみではありませんわっ!」

ルビィ「そうなのかなぁ?」

ダイヤ「そうですわ。わたくしは仕方無く……今日一日だけと頼まれたので仕方無くですわ」

ダイヤ「……ですが」

ダイヤ「どのような事情でも、了承してしまった以上は本気で遊ぶ準備は万端にしなくてはなりませんわ!!」

ダイヤ「ルビィ、今日は遊んで遊んで遊びまくりますわよっ!」

ルビィ「うんっ!」


ダイヤ「さあ食べ終えたのなら、着替えてきなさい。早くしないと待ち合わせに遅れてしまいますわよ」

ルビィ「Zzz……」

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「ねむたいよぉ……もうちょっとねてても……Zzz…」

ダイヤ「起きなさいっ!!」

ルビィ「はぁい……ふわあぁぁ……」
シュインッ


126:2018/06/20(水) 22:43:29.82 ID:W1UUgEfe.net

花丸「…………」

花丸「どうせこんなことだろうと思ってたずら……」


ダイヤ「花丸さん、おはようございます」

花丸「あ、ダイヤさん」

ルビィ「うみゅ……Zzz……」

ダイヤ「ほらルビィ、しゃんとしなさい!」

ダイヤ「ルビィが駄々をこねるもので待ち合わせにギリギリになってしまい、申し訳ありません。花丸さん」

花丸「い、いえ……」

ダイヤ「皆さんもおはようござ…………って、…………はい?」


ザザァー……

シーン……


ダイヤ「…………」

ルビィ「うゅ……うゅ……Zzz…」

ダイヤ「…………皆さんは?」

花丸「ま、まるだけずら……」

ダイヤ「し、しかし待ち合わせの8時はもう…」

花丸「そもそもあの人たちが朝の8時に起きてるわけがないずら……昨晩からまるは確信してたずら……」

ダイヤ「ですが鞠莉さんは快く返事を…」

花丸「曜さんが言うには、鞠莉さんは否定はしないって」

ダイヤ「……だからとりあえず返事だけした、と」

花丸「た、たぶん……」

ダイヤ「……っ、く、くずですわぁぁぁぁ!!!! 開幕からっ……まだ顔を合わせていないうちからクズですわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


127:2018/06/20(水) 23:02:36.45 ID:W1UUgEfe.net

ルビィ「だからいったのに! まだねててもだいじょうぶって!」

花丸「まあ一応、ダイヤさんたちは来ると思ってまるは来てみたけど…」

ダイヤ「…………」

花丸「ていうかダイヤさん、その大荷物って……宇宙にでも行くつもりずら?」

ダイヤ「…………行きますわ」

花丸「へ?」

ルビィ「うちゅーに!?」

花丸「たしかに内浦と宇宙はちょっと語感が似てるずらけど」

ルビィ「うちゅぅらっ!」

ダイヤ「あのクズ一派のアジトにですわっ!!」

花丸「ああ、そういう…」

ダイヤ「どうせ鞠莉さんのホテルにいるんでしょう!?」

花丸「間違いないずら。昨夜はまたオールしてたみたいだし、たぶんそのまま」

ダイヤ「おぉーる!? 今日の朝8時にわたくしと待ち合わせをしているのにおぉーる!?」

ルビィ「るびぃもおーるしたかったなぁ!」

花丸「逆にあの連中がオールしてない日はないずら」

ダイヤ「叩き起こしにいきますわっ!!」

ダイヤ「そのふざけた態度をわたくしが正してさしあげますわぁ!!」

ダイヤ「そして86階から地上のプールに突き落としてやりますわぁ!! あはははははははっ!!」

花丸「ああ……くずの戯び……!」

ルビィ「ヨーサンはよろこんじゃうよね!」


128:2018/06/20(水) 23:26:48.48 ID:W1UUgEfe.net

ウィーン…


ダイヤ「黒澤ダイヤ参上ですわ!! さあ遊びにいきますわよっ!!」


善子「ひっ! き、来たわよっ!」

鞠莉「ダイヤ、まる、ルビィ、グッモーニーンッ☆」

曜「おはヨーソロー!」

果南「遅刻だよ、3人とも」


ダイヤ「遅刻なのはそっちの方でしょう!?」

花丸「起きてたことにビックリずら…」

ルビィ「おはよぉ!」

ダイヤ「まったく……そこに直りなさい。遊びにいく前に」

鞠莉「果南、曜、善子。逃げるよー!☆」

ダイヤ「そう、逃げ……って、え!?」

鞠莉「レッツ、エスケーイプッ☆」

ダイヤ「な、なにを言って……そっちには窓しか」

花丸「あっ…」


曜「ヨーソロー!」
ピョンッ

果南「先に行ってるね!」
ピョンッ


130:2018/06/20(水) 23:37:29.00 ID:W1UUgEfe.net

ダイヤ「は……? はいーー!?」

花丸「とんでもない連中ずら…」

ルビィ「くずがとんだ!」


鞠莉「ほーら、善子も!」

善子「ま、待ちなさいっ! 私はあの二人みたいに化け物じゃっ……まあ堕天使ではあるけど」

善子「ていうかっ、ゴッドはどうするのよ!?」

鞠莉「私? 私もちゃーんと飛ぶよ? このパラグライダーで☆」
バサッ

善子「な、なら私も! 私もそれに乗せなさいよっ!」

鞠莉「ノンノン。イッツ・ヒトリオンリーパラグライダー☆」
ポンッ

善子「ひっ! ぎゃぁぁぁぁあああああ!!!!」
ヒューンッ

鞠莉「シーユー♪」
バサッバサッ



ダイヤ「…………は?」

花丸「そして誰もいなくなったずら…」

ダイヤ「何故? 何故逃げますのぉ!? 意味がわかりませんわっ!!」

ルビィ「ど、どうするの!? おねぃちゃぁ!」

ダイヤ「そんなの決まってますわっ!!」


131:2018/06/20(水) 23:47:39.44 ID:W1UUgEfe.net

善子「けほっ、けほっ……生きてる!? 生きてるーー!!」

曜「たーのしー!!」

果南「もう一回やりたいね」

曜「やる? やっちゃう?」

鞠莉「ダメだよ? 戻ったらダイヤに捕まっちゃう!」

善子「ダイヤ……本当に追ってくるの?」

鞠莉「くるよ」

果南「間違いないね」

鞠莉、果南「「だってダイヤだし」」

曜「で、私たちは」

鞠莉「全力で逃げるっ!」

善子「ククク……この堕天使ヨハネから逃れられるとでも? ダイヤ、愚かな子っ!」

曜「いや、逃げるのこっちだから」

善子「同じことよっ!」

果南「楽しい一日になりそうだね」

鞠莉「普通に遊ぶのも悪くないけど、ここはエキサイティーングッに!」


鞠莉「さあダイヤ、私を追ってきなさい!!☆」


140:2018/06/21(木) 22:45:36.51 ID:Ryu7Q+48.net

ダイヤ「ルビィ、花丸さん! ぼやぼやしてないであの連中を追いますわよっ!」


花丸「…それにしても、意外だったずら」

ルビィ「うゅ?」

花丸「まるはてっきり、ダイヤさんが怒って帰っちゃうのかと思ってたから」

ルビィ「そんなことないよ!」

ルビィ「おねぃちゃぁはちゅうとはんぱはきらいだから。あそぶってきめたんだからなにがなんでもあそびたいんだよ」

花丸「ほぇ~」

ルビィ「たぶんかなんさんやまりさんもわかっててやったんじゃないかなぁ?」

花丸「はぇ~」


ダイヤ「なにをしていますの! 二人とも!」

ルビィ「おしゃべり!」

ダイヤ「私語は厳禁ですわ!」

ルビィ「うゅ?」

花丸「でも、ダイヤさん……鞠莉さんたちがどこに行ったか手掛かりがないずら」

花丸「内浦は広いずらぁ……沼津まで範囲を広げたら果てしないずらぁ……更に関東と考えると」

ダイヤ「手掛かりならありますわ!」

ルビィ「あるの?」

ダイヤ「鞠莉さんたちはクズです」

ルビィ「うんっ!」

花丸「それが、手掛かり……?」

ダイヤ「クズが真っ先に向かう所……それは、海ですわっ!!」


141:2018/06/21(木) 22:59:19.21 ID:Ryu7Q+48.net

果南「海ってやっぱりあれだよね」

曜「うんうん! あれなのであります!」

果南「ところで、どうして海はあれなのかな」

曜「それは海だからなのであります!」

果南「そっかぁ。海はあれだもんね」

曜「あれであります! あれあれあれー! ヨーソロー!」


善子「ちょっと! なにをさっきから二人だけでわけわかんないこと話してるのよ! ヨハネにもわかるように話しなさい!」

善子「まさか……これは邪悪なる何かがっ!」

果南「え? わかんない?」

曜「果南ちゃんと海は広いねーって話してたんだけど」

善子「だったら最初からそのまま言いなさいよっ!」


ダイヤ「見つけましたわぁぁぁぁーーーーっ!!!!」

ルビィ「くずがいっぱいあつまってゆ!」
シュインッ

花丸「まるはもうへろへろずらぁ…」


鞠莉「ここを突き止めるとは、さすがダイヤだね」

善子「どうするのよっ、ゴッド!」

鞠莉「そんなの当然、海へエスケーイプッ☆」


ダイヤ「させませんわっ!」
シュインッ


善子「速いっ…! このヨハネの邪眼じゃなかったら見逃していたわね」

曜「見えてても何もしなかったら意味ないけどね」

果南「どうするの? 鞠莉のクルーザーが」


ダイヤ「どうせこれに乗って逃亡を図ると……わたくしの読み通りでしたわ!」

ルビィ「すごい! おねぃちゃぁ!」

花丸「あのクズたちから先手を奪うとは、ダイヤさんはただ者ではないずら…」


142:2018/06/21(木) 23:08:34.73 ID:Ryu7Q+48.net

果南「まさか交通手段をジャックしてくるなんて…!」

善子「どうするの? べつの場所に逃げるとか」

曜「べつの海に? 瀬戸内海はちょっと遠い気がするけど」

善子「なんでそこまで海にこだわるのよっ!」

果南「ケンカを売られたからには買わないとだからね」

善子「ケンカって…」

果南「私たちから海を奪うなんて」

曜「本気で奪い返すしかないよね」

果南「もちろん」

善子「そ、そうだったわ! この魔海は曜から譲り受けたこのヨハネの所有物! ひとの領土で勝手なことしてんじゃないわよっ!」

鞠莉「だったらこっちも同じフィールドに立たないとだね!」

果南「曜、船は出せる?」

曜「準備オーケーなのでありますっ!」

鞠莉「さぁ乗り込むわよーっ☆」

善子「最終決戦の幕開けね」


143:2018/06/21(木) 23:28:49.87 ID:Ryu7Q+48.net

ルビィ「おねぃちゃぁ!」

花丸「あっちは曜さんの船で沖に逃げるつもりずら!」

ダイヤ「諦めの悪いクズ方ですわね。あんなボロ船がこのクルーザーから逃げられるわけが」

ルビィ「うゅ!?」

ダイヤ「な、なんですの!? あの速度は!?」


曜「風が気持ちいいなー! ヨーソロー!」

善子「よ、よくそんなところに立ってられるわねっ! ていうか速すぎよっ! どうなってるの!?」

果南「曜の船は改造されてるからね。海速3000kmは出るんじゃない?」

善子「海速がどのくらいかわからないけどヤバいってことは伝わったわ!」

曜「海速前進ヨーソロー!」

鞠莉「ブラジルまでひとっ走りデースッ☆」


ダイヤ「花丸さんっ、もっとスピードを上げてください!」

花丸「わ、わかったずら! といっても……ずら?」

花丸「さすが鞠莉さんのクルーザーだけあってなんか押すととんでもないことが起こりそうなボタンがいっぱいあるずら…」

ルビィ「うゆっ!」
ポチッ

花丸「ああっ! ルビィちゃんっ! そんな勝手に!」

ダイヤ「ぴぎゃっ!? は、花丸さんっ! そんないきなり!」
グラッ

ダイヤ「…ですが、かなりスピードが上がりましたわね。これなら追い付けそうですわ!」

花丸「よかった……たぶん一番安全なボタンだったずら……」


ポツポツ……


ルビィ「うゅ……? あめ……?」
シュインッ


144:2018/06/21(木) 23:43:58.62 ID:Ryu7Q+48.net

3年後


ダイヤ「まったく! あなたたちは! もっとしゃんとしなさい!」


善子「うぅっ……朝からそんな大声出さないでよ、ダイヤ……頭、痛い……」

ダイヤ「たった三日オールしたくらいでだらしがない! 酒は飲んでも飲まれるなですわ!」

果南「まあまあ、私たちもやっとお酒飲める歳になったんだし、はしゃいじゃうのもしかたないんじゃない?」

ダイヤ「それは、そうですが…」

ルビィ「うぷゅっ……おえぇぇっ!!!!」

花丸「ルビィちゃんっ、そんなところで吐いちゃだめずらっ!」

ルビィ「やだっ! るびぃよっぱりゃってなんかにゃいもんっ!」

善子「そ、そうよっ…! まだまだいけるわっ! おえぇぇっ!!!!」

ダイヤ「海の女が情けない……少しは曜さんを見倣ってはどうですの?」

曜「みんな見ててー! 今日は99階からの飛び込みに挑戦するよー!」
ヒューンッ

花丸「夜通しで泡盛をたらふく飲んでたのによくやるずら……あのクズ」

善子「曜……とんでもない子っ!!」

ダイヤ「ほらほら、皆さん。起き上がって曜さんを応援しますわよ!」

ダイヤ「どんな時でもいまを楽しむ心を忘れてしまっては」


ダイヤ「……天国の鞠莉さんに笑われてしまいますわ」



──Fin──