1:2018/06/24(日) 21:06:24.93 ID:VqU6Tzk7.net

どこで間違えたんだろう

なにを間違えたんだろう

どうして何回も鞠莉が死ぬんだろう

私は一体何をしているんだろう

「誰か...助けて」


2:2018/06/24(日) 21:14:16.69 ID:VqU6Tzk7.net

「助けてあげるよ」

「!?...貴女は、それより...何処に?」

どこからともなく声がして、俯いていたその顔をあげたんだけれど、声の主がどうしても見えない。

「あぁ、ごめんね。今は見えないよね、...うん。松浦果南さん、よく聞いてくれる?」

「は、はい...」

「貴女が今、6月30日を何度も繰り返しているのはわかる?」

「...はい。」

「それは、黒澤のためよね?」

「そうです」

「彼女を助けたい...でも、助けられない。何度やっても黒澤は死を選ぶ」

「だから...私は」

「黒澤の為に死のうと?」

「他に何かありますか...?」

「貴女が死んだ未来で、黒澤は...」

「ダイヤは?」

「死を選ぶ。」


「なんで!!!」

「...さぁ、ね」


「そんな...それじゃあもう...」

「一つだけあるわ。黒澤を助ける方法は...」


3:2018/06/24(日) 21:18:48.55 ID:VqU6Tzk7.net

ダイヤを助けるためなら、私はなんでもできる。
ダイヤが、私の全てなんだ。

「...なん、ですか」
恐る恐る喉を震わせた。
怖いときに声が出ないってこういうことなんだ。

「人を...殺すこと」

全身の力が抜けるのを感じた。
でもやるしかない
そうでもしないと

ダイヤはもう笑ってはくれない
いや、私が人を殺したと知れば、笑わないかもしれない

ただの自己満足かもしれない
けれど、私は...

「やります。やりますよ!!!やっ、やるしかっ...ないですよね!」

「ありがとう松浦さん。私の名前は小宮。また会いましょう。」


5:2018/06/24(日) 21:26:52.79 ID:VqU6Tzk7.net

久しぶりの翌日がやって来た

ダイヤは...今日は死んでいない
今までだと、朝、学校から臨時休校の電話がかかってくる。

それが今日はない、ということは...

よかった。

「いってきまーす」

*

昨日何があったかなんて、誰にも言えやしない
だけど、あの二人はきっと気がついてしまうんだ
私の様子がおかしいことに。
ただでさえ昨日をなん十回と繰り返していて、疲れきっているのに

小宮...さん?とか言った人のせいだ。
でも、私を助けようとしてくれているんだろうか。

「ダイヤ、おはよう。鞠莉も。」

「おはようございます」

「グッモニーン果南。...なんでマリーはついでみたいになってるの?嫉妬ファイヤーだよ?」

「あはは、ごめんごめん。はーいハグ~」ギュッ

「朝からお元気ですわね二人ともゲホッゲホッ」

「...ダイヤ、風邪?」

「えぇ、まぁそんなところですわ」


6:2018/06/24(日) 21:31:11.80 ID:VqU6Tzk7.net

「早く治しなよー?もう少しでプール授業だしー!!楽しみ~」

「今日も体育なかったっけ」

「あったかも。長距離走じゃなかった?」

「うわっ最悪だ」

こんな会話をするのも久しぶりすぎて
今まではどう助け出すかばっかりでろくに授業もうけていなかったし

「...でしたら私今日の体育は見学させていただきますわ」

「うんそれがいいと思うよ」

「先生に伝えてきますわ」

「いってらっしゃーい」

「達者でねダイヤー!」

「鞠莉さんその日本語おかしくありませんか...?」

その時だった

「いやーそんなこ...ダイヤ?」

ダイヤが、いきなり倒れたのだ


7:2018/06/24(日) 21:40:33.54 ID:VqU6Tzk7.net

「ダイヤ!?」

「....ヒュー、ヒュー、ヒュー...」

上手く息が出来ていないし、顔が真っ青で、体が震えている

「先生!!せ、せんせいっ!!!だれか!!!」


「よ、呼んでくるっ!!!」

...そういうことか。

ダイヤは何かの病気だということか。



わからない。
頭がぐるぐる回って、上手く考えられない。
そんなことより、ダイヤは...


55:2018/06/25(月) 00:25:03.21 ID:5DY7buR4.net

ダイヤは大丈夫なのだろうか。

沼津の病院に救急車で搬送されたそうだ。
死の危険はないと伝えられたが、本当にそうなのだろうか。
もしここでダイヤが死んでしまったら昨日からもう一度やり直しだ。

しかし昨日に戻ってダイヤに何ができると言うのか
ダイヤの病気は昨日始まったという訳じゃないのに

もう黒魔術とかそういったものに頼るしかないのだろうか
それこそ人を殺めるものだけど...

「果南?」

鞠莉に呼ばれ我に帰った

「ん...?何?」


「難しい顔して...どうしたの、ってそれは違うわね。どうしたのかは大体想像できるけど...果南は、なんか隠してない?」


57:2018/06/25(月) 00:29:15.44 ID:5DY7buR4.net

「そんな、隠すだなんてしないよ」

「そう...マリーにも言えないことなの...ね。」

全て、その瞳に見透かされているようだった。
でもまさか...小宮さんのことまでは。
知られてる筈がない...よね。

「何かあったら言ってね。マリーも手伝うから」


人殺しを手伝うだなんて。そんなこと鞠莉にはさせられない
大切なものを傷つけたくないのに...

でも私が殺す人も
きっと誰かの大切な人なんだ...

罪悪感で押し潰されそうだ


58:2018/06/25(月) 00:36:36.56 ID:5DY7buR4.net

放課後

私と鞠莉はダイヤのいる病院へ急いだ
沼津の一番大きい 総合病院...のようなところだ

「すみません黒澤ダイヤは何処にいますか...!」

「あぁ...黒澤さんは今少し落ち着いて、B棟二階の207室ですよ」

「ありがとうございます!」

走ってるか走っていないかのギリギリの速さで私達はそこへ向かった
エレベーターを待っている時間が勿体なくて階段を全速力でのぼった

「あった...!ここだ!」

扉を開けると、いつものダイヤがそこにいた。
腕には点滴が繋がっていることと、真っ白な服というのを除けば。
難しそうな詩集に目を通していた。
ダイヤは私達に気がつくと、手招きした。

「すみません。わざわざわたの為にご足労いただいて。」

「......なんで」

「...はい?」

「なんでもっと早く言ってくれなかったの」


59:2018/06/25(月) 00:39:41.75 ID:5DY7buR4.net

一番最初に本音が漏れた
もっと早くわかっていたら、あれもできたこれもできた、と。
病気にかかりたくてかかった訳でもないダイヤを責めた。

「...すみません。落ち着いたら言うつもりだったんです。ですがまだ病名もわかったばかりで心の準備が出来ていなかったのです」

何も悪くないダイヤの口から謝罪の言葉を引き出した。
...私は最悪だ。


「病名...は?」


「病名は...」


60:2018/06/25(月) 00:54:23.15 ID:5DY7buR4.net

「すみません...やっぱり言わないでいていいですか?」

「そうだよね、言いたくないよね。ごめんダイヤ...」

「果南さんは悪くないのです。」


「ねぇダイヤ」

「...はい?」

「絶対に、自分の命を自分で終わらせちゃいけない」

「わかっていますわ」

「私は帰るね。鞠莉は?」

「すこーしダイヤとトークしてくわ」

「じゃ、ね。」

逃げるように帰った。
ダイヤの顔を見ているのが辛かった。
どこからともなく罪悪感が押し寄せて私を飲み込んでいく


61:2018/06/25(月) 01:04:36.17 ID:5DY7buR4.net

「ダイヤ」


「どうしましたか鞠莉さん」

「果南がなんか隠してるみたいなの」

「果南さんが?」

「考えてること全部口からダバダバ漏れてたのよねー」

「流石果南さん」

「その内容がね?人を殺さないと...ダイヤが...とかどうとか」


(まさか小宮?)

「そうなんですの~?」

「その顔...ダイヤも隠してる?」

「いえ、私は...」

「そう、てっきり何か知ってると思ったけど...何かあったら連絡するわね、また会いましょ、チャオ♪」


62:2018/06/25(月) 01:12:18.21 ID:5DY7buR4.net

まさか、小宮が果南さんのところへ行ってるとは思いもしませんでしたわね

ある日私の前に現れた、私にそっくりな人物、小宮有...なんとか?
まぁ名前は小宮さんでいいとして、小宮さんは私に、
「ダイヤの命は持ってあと3ヶ月。」と告げたのです。

私は悩みました...
あと3ヶ月で何が出来ようか、と。

もう出来るならば三人で何処かへ行きたい。
そんな悲しい想像をしていた私に、小宮さんは
「黒澤ダイヤを一番想う人が、人を殺す。そうすればダイヤは、人並みの寿命で生涯を終えられる」

といったのです。
てっきり私は母上かルビィだと思ったのですが、
...まさか果南さんのもとへ行っていたとは...

果南さんにそんなことをさせていいのでしょうか
私なんかのために果南さんの両手を汚させて
それでいいのでしょうか...

私は今、何をすべきでしょう


*
この話は、三年生組が一年の時、かつスクールアイドルを始めるちょっと前の話です


63:2018/06/25(月) 01:21:25.05 ID:5DY7buR4.net

その夜、小宮は現れた

「かーなーんちゃーん」

「小宮さん...相変わらずお姿はないんですね」

「ははは...許して」

「それで、どうしてまた?」

「それはね、果南ちゃんが人を殺す方法と、日時が決まったからだよ。」

部屋の真ん中に、紙切れがひらひらと落ちた

「...これ」


「それに全部書いてるよ」

「...明後日...夜...1時」

急に手が震えてくる。
この両手に人の命がかかっているというのが
...怖い

「果南ちゃん、怖いの?やめる?」

「やめっ、やめない!」

その日を何回やり直してもダイヤは生きれないのだから
いっそ誰かを殺してしまった方がいいのだ


64:2018/06/25(月) 01:27:52.25 ID:5DY7buR4.net

「そうだよね、やめないよね。逆にやめるって言われたら果南ちゃんが死んでたよ~」

「随分怖いことを...言うんですね」

「そんなことないよ。さぁ果南ちゃんはどうやって人を殺す?」


「どう、やって...?」

そうだ。軽い気持ちで引き受けたが、そこら辺の計画性が皆無だった。
包丁で刺せばいいのではとか、小学生でも思い付くような事しか思い浮かばない。

「内臓を差し出すとかはないんですよね?」

「無いね。」

「沈めます。海に...海に沈めて、ダイビングスーツ来て、海にもぐって、藻に絡ませて、岩の陰に隠します」

「見つかったら?」

「前日に戻って隠し場所を変えます」


「よし、じゃあそれでいこう。それじゃあ明後日に会いましょ。」

「はい、また。」


65:2018/06/25(月) 01:32:51.95 ID:5DY7buR4.net

「かーなーんっ!」

「うわっ!...鞠莉か。ビックリした...心臓に悪い~」

「ソーリー!」

いよいよ明日だ。朝起きて、走っているときもその事ばかり頭の中をぐるぐる回っていた
上手く行くのだろうか...自信がない
普通のことだけれど、人を殺した経験なんてないし、経験ある人も知り合いにいないから、何もわからない。

「また考え事してる?」


「夕飯何がいいかなと思って」

「なるほど~」

「あ!早くいかないと遅刻っ!!」

「オーマイガー!!!デンジャラス!」


66:2018/06/25(月) 01:42:11.51 ID:5DY7buR4.net

「えー今日は...黒澤さんは欠席ですね...」

「ダイヤ今日休みなんだね~」

「そりゃそうでしょ昨日倒れたのに」

「あっそっか」

「...鞠莉なんの本読んでるの?珍しいね、鞠莉が本読むなんて」


「あー...ダイヤに借されたのよねー...スクールアイドルの本なんだけど」

「あー、私も一回読んだそれ」


「ベリーキュートだとは想うけど、マリーはそういうのなぁー」


「逆に私の方が似合わないよ」

「えぇー?そうかな???」

「絶対そうだよ...てか今日も体育ない?」


「ある...」


67:2018/06/25(月) 01:47:00.22 ID:5DY7buR4.net

体育


走るのは好きだ
運動が好きって言うのもあるけど、走っているときは一人になれて
考え事が捗るから

実際今の私に必要なのは考える時間だと思う


人一人沈めて、それで私は平然と陸へ上がって
完治したダイヤと笑って過ごせるんだろうか

私も一緒に沈んでしまおうか

それは駄目だ
ダイヤに死ぬなと言ったのに

ダイヤに面倒事を押し付けるようにして死ねない
私は罪を背負ってちゃんと生きなきゃいけないんだ


69:2018/06/25(月) 06:10:16.76 ID:5DY7buR4.net

あっという間に放課後になって
タイムリミットが刻一刻と近づいているのをひしひしと感じていた

淡島の方へ向かう船に乗り込んで、海を見ていた

今はどうやってもネガティブな事しか考えられないのが癪だった
そうするといつも鞠莉が話しかけてくれるのだけれど、今日は忙しいと学校に残っているらしい
彼女に何か忙しくなるような要素があるかはおいといて、だ。

プルルルルルルルルル。

電話だ。

「はいもしもし」


「果南さん?私です。黒澤ダイヤです。」

「ダイヤ...どうしたの?」

「なんだか...果南さんの声を聞いていないと落ち着かなくて...すみませんね。」

「別に...いいよ。私も今ダイヤの声が聞きたかった」

「それはありがたいですね...少し、お話してもよろしいですか?」


70:2018/06/25(月) 06:17:04.78 ID:5DY7buR4.net

「別に...いいけど」


「小宮さん」


「!?」


「小宮さんを、知っているんですね」

「...うん」

「ということは、私の為に人を殺す事を考えていますね」

「うん」

「それならば...私は大切な友達に全てを押し付けるなんて真似はしたくないのです」

「どういうこと...?」

「私も、殺します」

衝撃的な発言だった
私の気持ちが揺らがないことを見抜いての言葉なのだろうけど、
ダイヤも犯罪に手を染めるだなんて____

「駄目と言われてもやりますわ。」

「ダイヤがそうなったら、誰だってその思いを変えられないんだから...駄目だね、わかったよ。」

「私、明日は学校に行きますわ」

「無理しないでね?」

「...こんなときに安静になんてしていられませんよ」

「言うと思った。電話切るね。バイバイ」

「...また明日。」


71:2018/06/25(月) 06:26:33.75 ID:5DY7buR4.net

たった今思い出しました

私は...

鞠莉さんが死を繰り返す世界にいたのです
でもそれは終わって
果南さんの、私が死ぬ世界と繋がって
鞠莉さんの、果南さんが死ぬ世界と繋がったのでした

...それをなぜ皆さんは忘れているのでしょう?
7月1日に、「諏訪」さんと「鈴木」さんという方が教えてくれましたのに

この世界は3つのパラレルワールドの様なものが合わさった世界で
私たち3人は不思議な力を持ってこの世界に来たのです

しかし、...私の記憶は6月30日より前に戻れない
ふんわりとした事なら思い出せるのです。学校に通っていた...とか

何が起きているのでしょう...

鞠莉さんに電話してみましょう

「もしもし、鞠莉さんですか?」

「シャイニー!...どうしたの?」

「鞠莉さんは、果南さんが何回も死ぬ、6月30日を体験したことはありますか?」

「ある!...あるよ、でもどうしてダイヤがそれを?」

「実は、私は鞠莉さんが何度も死ぬその日を過ごしたのです」

「と、言うことは果南は!」

「果南さんは、私が何度も____」

「どういうこと?なんのために私達は、そんな目に...」


73:2018/06/25(月) 07:44:52.36 ID:5DY7buR4.net

>>1の鞠莉はほんとはダイヤって書こうとしたんですけど間違えたので方向変えて書いてみました
なので結構ごちゃごちゃしてますすみません


77:2018/06/25(月) 20:30:10.32 ID:5DY7buR4.net

「私たちが、こんな目にあった訳...それは...」

「それは...?」

ダイヤが言葉を詰まらせた。

「なんなのでしょうね、私には...まだわかりませんわ...」

「そうよね。ダイヤが全てを知ってるわけないわよね」

「ですが、少し思うのです。私たちは記憶を消されているんじゃないでしょうか。
消されていないとしたら、消えてしまったのではないでしょうか?」

「それはあるかもしれないデース」

「首謀者は、誰なのでしょうね、誰がなんのために...」


79:2018/06/25(月) 20:39:31.81 ID:5DY7buR4.net

「私達、なんかしたっけ...?」

「身に覚えはありませんが...」

「してないのにこんな目合うんだったら...私達って...」

「鞠莉さん、今はやめましょう...」

「OK...」

「電話、切りますよ?」

「チャオ~」

私がすべきことはなんでしょうか
私ができることはなんでしょうか

私は...なんのために...

元は私のせいなんでしょうか
...何も思い出せませんわ...


80:2018/06/25(月) 20:46:52.85 ID:5DY7buR4.net

いよいよ今日だ...

今日の夜だ。

今日はダイヤも学校に来るし
楽しみと言うとなんだか違うような気もするけれど
楽しみというのが一番近い気がする

「おはようございます、果南さん」

後ろから声をかけられ一瞬身構えたが、あの声の持ち主が黒澤ダイヤ以外な訳がなかった。

「ダイヤ...おはよう」

「緊張されていますか?」

「まぁ、ね」

「そうですわよね。誰だってそんな経験しませんし」

「今私がどうしてこうなってるのかわかんなくなるよね」

「一体誰のせいでしょうね。でも世界を3つ合わせるなんて強大な力の持ち主...」

「そもそも魔力とかそういうのあるのかねぇ」


81:2018/06/25(月) 21:08:57.82 ID:5DY7buR4.net

「こんな状態になっている時点でどうでもよくなってきますわね」

「ううっ...確かにそうかも」

「まぁ、この話はここで終わりです。学生は勉学に励まねばなりませんよ!」

「うわぁ、でたよそのいつものダイヤ」

「私がこうでないと調子狂いますでしょ?」

「そうだね、激しく同意するよ」

「ダイヤーーーーー!!!」


後ろからものすごい足音(?)と彼女の声が聞こえてくる。


「おっ、おはようございますわ...お元気ですね」

「そりゃダイヤに会えたんだよー?元気にならない訳がないっ!でしょ?」

「...よくわかりませんが、元気に超したことはありませんね」


82:2018/06/25(月) 21:20:23.99 ID:5DY7buR4.net

放課後



四時を越えたところだ。
ダイヤと私は机を挟んで向かい合っていた

「ダイヤ...」

「果南さん...」


「私は、土の中に埋めた方がいいと思います」

「土の中って苦しくない?」

「それは水の中も同じなのでは...」

「あっ、そうか。そしたらなんでもいいわ。埋めよう」

「アバウトですわね...」

「まぁいいよ。いいんだ。誰か知らない人なんだからきっと。」

「...そうですか?」


83:2018/06/25(月) 21:30:34.33 ID:5DY7buR4.net

「それじゃ、行くからね」

「えぇ...」

人通りの少ない道を一人で歩く中年女性に目をつけた。
後ろから歩みより、背中を思い切り蹴飛ばした。
相手がバランスを崩したところで、果物ナイフを喉元に突きつけた


「...ご免なさいっ。」

ブルーシートで包んだその人を、ダイヤと二人で運び、ダイヤが掘った穴に放り投げた。

土を上から被せ、周りとの境目をなくし、靴痕を誤魔化して、その場を去った。



私達は今日、大きな罪を犯した。


85:2018/06/26(火) 00:24:21.15 ID:6ZDtG+g6.net

...やってしまった

ついにやってしまった。

手に残った肉を切る感覚は、これからも残り続けるだろうし
あの人の顔もしばらく忘れられる気がしない

ただひとつだけ何があっても変わらない
私が人を殺したと言う事実だけが

私を締め付けるんだ

「ダイヤ...」

夜中息苦しくて目が覚めた。そういえばダイヤの病気はどうなったんだろう。
治ったんだろうか。...それともまだ?

早く知りたい、会いたい。

早く知ることが罪を軽くしてくれるのでは...だなんて逃げてしまっている自分がいた


86:2018/06/26(火) 02:55:00.93 ID:6ZDtG+g6.net

「えーと、昨日の夜遅く、散歩中だった中年女性が行方不明になったそうです。気を付けて帰ってください。」

案外早く、翌日のHRで言われてしまった
自分達がやったと、それすらもばれてしまいそうで...

不安に押し潰されそうだ

けれど大丈夫
きっとばれない...
ばれるはずがないのだ。



*
「よーしっ、今日はこれで店じまい!」
ダイビングショップのシャッターをおろしたとき、後ろから

「すみません、少しお話うかがってもよろしいですか?」

一瞬息ができなくなった。
しかしここで怪しい態度をとってしまうと...

「はい。なんですか?」


92:2018/06/26(火) 19:24:35.72 ID:6ZDtG+g6.net

「昨日の夜、あなたはどこにましたか?」

「何処、って...家ですけど?」

「証人は?」

「いません...両親は出掛けていましたし...それがどうかしましたか?」

「いいえ、近隣住民の方にお話をお聞きしていただけです。ご協力ありがとうございました。」

「早く見つかるといいですね」

早く見つかってもらっては困る。
警察がここら辺をうろついているのも困る。
...どうしよう。あの果物ナイフは...
現場付近に証拠は残ってなかったっけ?
どうしようもない恐怖に襲われている


95:2018/06/26(火) 21:00:34.25 ID:6ZDtG+g6.net

「ダイヤ...?」

「...果南さんですか?」

「うん、私。ごめんね夜遅く」

「いいえ、大丈夫です。それより、さきほど警察の方が来ていましたが...」

「あぁ、こっちにも来てたよ。多分大丈夫だよ、適当に答えといた」

「それはよかったですわ...完全犯罪ではありませんから、いつバレてもおかしくありませんものね...変な行動は避けましょう」

「そうだね...凶器はどこに隠せばいいかな?」

「洗ったら血は落ちますか?」

「うん、落ちるよ...多分」

「でしたら洗って海にでも投げたらいいのではないですか?」

「うーん...そうだね、そうするかな...」


96:2018/06/26(火) 21:20:41.14 ID:6ZDtG+g6.net

洋服ダンスの一番下の段の奥の方で
タオルに包んで置いてある果物ナイフを、コンビニのレジ袋に入れて、
鞄の中に入れた。
明日の朝、すぐにこれをもって走りに行こう。
そして海に投げ捨てよう。それで全て終わる。

こんな忌々しい記憶を捨てて
また明日から新しい記憶で生きていくんだ

それでいい。

布団に入って寝ようとした時、枕元で声がした。
小宮さんだ。

「こんばんは。」

「こんばんは果南ちゃん。頑張ったねぇ、よしよし。私が実体化出来るくらいの力があればよしよし、出来るんだけど...」

「それより、小宮さんって何者ですか?」

「あぁ、私はね、果南ちゃんたちとは違う次元でいきる人間。パラレルワールドじゃないよ。私達の次元にも果南ちゃんたちはいるんだけど...説明難しいなぁ」

「難しいってことは伝わってきました...」

「そう?ならいいか。そうだ果南ちゃん。どうしてこんなことになったか知りたくない?」

「知りたいです...!」

「じゃあ、話そうか。」


97:2018/06/26(火) 21:31:17.43 ID:6ZDtG+g6.net

「違う次元から、そっちの世界に干渉できる人物がいたんだ。その人は好き放題さ。

でもそっちの次元の人はやり返せないよね。

そう、一方的に干渉して、こっちの次元をめちゃくちゃにしていたの。

怪奇現象とか言われるやつは、まぁだいたいそいつのせいね。

そいつは、愛を知らずに育ったんだ。だから、愛に溢れてるやつが憎かった。三人が標的になったんだ。

パラレルワールドがいくつかあったんだけど、その中の三つ、1つの世界に1人ずつ、死に役を作った。

死に役が死ななくなる方法は1つだけ、助け役が代わりに死ぬことだった。

でもそんなのはまずいよね。だから私達が止めに入った。名前は、小宮、諏訪、鈴木。

まずいと思ったそいつは、証拠隠滅をはかるため、三人の記憶を都合のいいように消して、3つの世界を繋げたの。

そして今こうなっているの。」

「その人の名前は...?」


「二人いるって噂があるけど、どうかはわからない...まぁ教えとくね。酒井と、花田。」

「酒井と、花田...」


99:2018/06/26(火) 21:40:24.75 ID:6ZDtG+g6.net

朝だ。



...今日で全部終わらせよう。

家を飛び出すと、真っ先に海へ向かった。
いつも通る道をショートカットする。

「...さよなら。」

ぼちゃん、と音をたててビニール袋は沖へ流れていく。

これでよかったんだ。

また1から始めよう。


*

「ダイヤ、スクールアイドルやってみない?」


「スクール...アイドル...やりたいですわ。」

「鞠莉にもきいてみよっか。」

*


「卒業、おめでとう!」

「よかったよね。優勝もできたし。」

「色々あったけどね~...」

「鞠莉が私の投げたノート拾いに、海に飛び込んだりとか、ね。」

「オーウ!懐かしいデース!!」

「...あら、何でしょう。パトカーの音が聞こえますわ。」

「ハァッ...ハァッ...ダイヤさん!!!」

「あら、千歌さん、どうなさいました?」

「林の中で白骨化した遺体が見つかったみたいです!」


~END~


100:2018/06/26(火) 21:42:53.31 ID:6ZDtG+g6.net

こんなグダグダしたのに付き合ってくれた皆さん、保守してくれた皆さん、ありがとうございました!!


あのあと三年生組はどうなったんでしょうか...(白目)

首謀者の名前は思い付かなかったので、憎い奴の名前にしてみました!

自作は気が向いたら書きます
次はダイかなorようかなにしたいと思っています