1:2019/01/24(木) 21:33:34.81 ID:A6gdfopN.net



春になると花園の山という山が人気を出す。

なんでも山頂に咲く一面の花が絶景だとか…


そんな山にある人達が……


2:2019/01/24(木) 21:34:10.69 ID:A6gdfopN.net

凛「真姫ちゃ~ん!かよち~ん!はやくはやく~!」

花陽「まってよ~りんちゃ~ん!」

真姫「はぁ…はぁ…まちなさいよ~!」

凛「すごいいい景色だよ~」

ガサガサッ!

真姫「…ん?」

花陽「真姫ちゃ~ん!どうしたの~?」

真姫「え、いや、べつに!」


3:2019/01/24(木) 21:34:58.26 ID:A6gdfopN.net

狐「…」

はぁ…また人間が私の山にやってきた…

また俺が化けて追い払ってやる!

真姫「…わぁ!」

凛「すごい綺麗だにゃ!」

花陽「すごいお花畑だね!凛ちゃん!」

真姫「…ほんとうね」


4:2019/01/24(木) 21:35:39.80 ID:A6gdfopN.net

ガサッ

狐「…」

よ~し、女が3人か!ここは幽霊に化けて…

狐「…」

幽霊に…化けて…

真姫「…綺麗」ボソッ

……綺麗な女だなぁ…///

…って違う違う!!

ここに人間はいれちゃダメなんだよ!


5:2019/01/24(木) 21:36:40.71 ID:A6gdfopN.net

狐「…///」

凛「…あれ?」

花陽「きつね…さん?」

狐「…!」

やばい!バレた!

真姫「あ、本当ね」


6:2019/01/24(木) 21:37:17.24 ID:A6gdfopN.net

凛「ほ~らおいで~!ワンワン!」

花陽「凛ちゃん…それは犬だよ…」

どんなことがあっても人間の所には行かないよ!

真姫「…ほら…おいで」

狐「…」トテトテ

あれ?なんで行ったんだ?

凛「真姫ちゃんすごいにゃ!」

花陽「慣れてるのかな?」

真姫「いや、動物なんて慣れてないわよ…」


7:2019/01/24(木) 21:39:39.72 ID:A6gdfopN.net

狐「…」スリスリ

真姫「…あら?」

花陽「このきつねさん真姫ちゃん大好きなんだね~」

別に好きなんかじゃないし…

凛「真姫ちゃんのお家で飼ったらどうにゃ?」

は?

真姫「いや!無理よ!」

うわー残念だなー

…いや、なに残念がってんだよ


8:2019/01/24(木) 21:40:26.58 ID:A6gdfopN.net

花陽「そうだよね…真姫ちゃんのお家はすごく大きいからどうかなって思ったけど…」

真姫 「マ…じゃなくてお母さんが動物嫌いだから…」

凛「それは残念だにゃ~……」

真姫「ご、ごめんね…じゃあね!」

タッタッタッタ…

狐「…」

行っちゃった…

ま、まぁ別に寂しくなんかないし!

大丈夫でしょ!


9:2019/01/24(木) 21:42:42.68 ID:A6gdfopN.net

夕暮れ…

狐「…」

…ったく、今日も人間どもがこの山に来たな

みんな山にゴミを捨てやがってよ…

ふざけるな!

真姫『…綺麗』

狐「…」

でも…今日はよかったな……

あいつ……家が大きいとか言ってたな

お姫様なのかな…


10:2019/01/24(木) 21:44:21.34 ID:A6gdfopN.net



…いやいやいや!!何考えてるんだよ!!

真姫『…ほら……おいで』

狐「…///」

…ダメだ。あいつの事が頭から離れない。

…もし

人間に化けたらあいつと恋が出来るのかな?


11:2019/01/24(木) 21:46:19.81 ID:A6gdfopN.net

狐「…」

ドロン!

狐「…よし、男の人間に化けたぞ…」

これであいつと恋ができる…




…でも男だと……接しにくいかな?


狐「…」

じゃあ…女の方がいいのかな?

参ったな…俺は男だよ…


12:2019/01/24(木) 21:49:30.72 ID:A6gdfopN.net

できるかな…

狐「…」

ドロン!

狐「女ってこんな感じ…だよな?」

狐「ちょっと池に行って見てこよう。」


池を見てみると…

狐「なんてこった…」


13:2019/01/24(木) 21:50:15.02 ID:A6gdfopN.net

そこにはとんでもない美人がいた。

狐だからかなのか黄金色の髪をして、

元々蒼かった瞳はそのままで、

透き通った白い肌をしていた…

狐「綺麗だな…あいつには劣るけど。」

よし!夜が明けたらあいつに会いに行こう!


……あ、裸だった。


14:2019/01/24(木) 21:53:07.73 ID:A6gdfopN.net

たしか……服というものを着るんだっけ。

そして…名前だ。

あぁ!もう!色々必要じゃん!

ドロン!

狐「…」

よし…あいつに聞いてみよう。


15:2019/01/24(木) 21:56:35.79 ID:A6gdfopN.net

………

……



狐「…」

おい、いるか?

猿「…」

どうしたのよ、いきなり。

サル、お前服とか持ってるか?

服?あぁ、盗んだやつね、持ってるわよ。

本当か、くれ。


16:2019/01/24(木) 21:57:03.75 ID:A6gdfopN.net

いやだ。

…は?なんでだよ。

いや、だって私のだし!

そこをなんとか!

いやよ!なんで渡す必要があるのよ!

えぇ…言わなきゃいけないの…

もちろんよ!

狐「…」

ドロン!

…はぁ!?狐あんた男よね!?

狐「そうだけど」

いや、なんで女に化けてるのよ!

狐「色々あるんだよ…」


17:2019/01/24(木) 21:57:28.59 ID:A6gdfopN.net

はぁ…なによそれ……

狐「頼む!服をくれ!」

わかったわ…好きなだけ持っていきなさい。

狐「ホントか!助かる!」

それよりもあんた!女言葉わかってるの?

狐「へ?」ガサガサ

女に化けたんだからそれなりの上品さが必要よ。

狐「うふふ…大丈夫よ!」

…まぁいいんじゃない?


18:2019/01/24(木) 22:05:11.78 ID:A6gdfopN.net

狐「…おい、これってなんだ?」ヒョイ

え、あぁこれはひらがなプレートって言うのよ。

なんか他の文字もあるらしいけど…この5文字しかなかったわ。

狐「へぇ…」

そうやってとった5文字は

「せ」「り」「あ」「や」「え」

狐「…よし」

なによ狐、よしって。

狐「狐?違うわ!」

…は?

狐「わたしはこう言う名前よ!」


19:2019/01/24(木) 22:05:51.72 ID:A6gdfopN.net

…は、はぁ?

そういって並べた文字は

あやせえり

狐「これなんて言うの?」

あやせえりよ…

絵里「あっそぉ~」

絵里「じゃあね♪」

え、ちょっと!山を降りるの!?

狐は「あやせえり」と名乗り、汚れた服を身にまとって人里へと向かった。


21:2019/01/24(木) 22:10:01.73 ID:A6gdfopN.net

絵里(なんかすごく平らだな…人里って)テクテク

のんきに歩いている狐

身だしなみなど気にしたことすらなかった狐

そして案の定変な噂が流れた

『変な金髪がいる』や

『汚れた女が音ノ木を歩いている』など

数えきれない噂が流れたらしい。


22:2019/01/24(木) 22:10:41.63 ID:A6gdfopN.net

当然だろう、

よれよれのTシャツにビリビリのズボン

春なのにビーチサンダル

当然変な目で見られる。

よく睨まれてるけど狐はそれをみて

絵里(え、耳とか尻尾とか出てないよ?)

気にしてなかった

いや、ポンコツだった。


23:2019/01/24(木) 22:11:42.76 ID:A6gdfopN.net

そんなことよりも狐はある悩みを抱えてた。

絵里(腹減った…)

山にはお金すら落ちてない

それよりまず狐はお金の存在をしらない。

買い方もわからない。

しかし運が良いのか悪いのか

狐は盗みをしてなかった。

真面目かな?

いいえ、ポンコツです。

なので狐はとてつもなく腹が減っている


25:2019/01/24(木) 22:12:07.73 ID:A6gdfopN.net

グワンッ!

狐に突如眠気が襲ってきた!


絵里(やばい…なんか眠くなってきた…!)

これは眠気なんかじゃない。

空腹によるめまいだ。

絵里(や、ば、い…)


26:2019/01/24(木) 22:13:42.95 ID:A6gdfopN.net

イッテキマース

ヴェェ!イエノマエデダレカガタオレテル!

チョット!ママ!キテ!



………

……



絵里「…」

真姫「なんで倒れてたのよ…」

真姫ママ「真姫ちゃん、その子大丈夫?」


27:2019/01/24(木) 22:14:20.16 ID:A6gdfopN.net

真姫「命に別状はないわ」

真姫ママ「そう…」

真姫ママ「あ、真姫ちゃん。」

真姫「ん?」

真姫ママ「またお見合い写真が届いたわ」

真姫「…はぁ…また?」

真姫ママ「確認しておいてね。じゃあね。」

ガチャ

真姫「はぁ…」

真姫(結婚なんて興味ないのに…)


28:2019/01/24(木) 22:15:33.26 ID:A6gdfopN.net

絵里「んぅ…あぁ」パチッ

真姫「…あ、起きた。」

絵里「!!?」ガバッ!

絵里(なんで…こいつがいるの!?)

絵里「こ、ここは…?」

真姫「私の家よ。」

絵里「なんで俺は貴女の家にいるの?」

真姫「え、あぁ貴女が私の家の前で倒れたからよ。」

真姫(…俺?)

絵里「…へ?」

絵里(これは…運がいいのか?)


29:2019/01/24(木) 22:16:40.21 ID:A6gdfopN.net

真姫「それよりもあなた…一体どうしたのよ?」

絵里「…へ?」

真姫「こんな汚れた服を着てうろうろしてたのよね…」

絵里「え、あぁうん。」

真姫「あなた…もしかして」ジーッ

絵里(やばい…バレた?)ダラダラ

真姫「親に捨てられたの!?」

絵里「へ?あ、うん…」

真姫「やっぱり!」

絵里(よかった~!バレてねぇ!)


30:2019/01/24(木) 22:17:19.09 ID:A6gdfopN.net

真姫「じゃあしばらく私の家で引き取るわ!」

絵里「…?」

真姫「ちょうど使用人が足りなかったのよ!」

絵里「…はい?」

真姫「ここに住みなさい!」

絵里「は、はい…?」

真姫「じゃあ着替え持ってくるから待ってて!」

真姫「あ、その前にお風呂入ってね!」

絵里「わ、分かりました…」


31:2019/01/24(木) 22:17:58.96 ID:A6gdfopN.net

お風呂

絵里(なにこれ…池?)

絵里(めっちゃ煙出てるけど…)チョイ

絵里「あっつ!」

絵里(水じゃない…!)

絵里(…チョイチョイ)

絵里(あ、なんか温かい。)ダラーン

ツルッ

絵里「あっ。」


32:2019/01/24(木) 22:18:25.41 ID:A6gdfopN.net

ジャポーン!!

絵里「うわっ!やばい!」バシャバシャ

ドロン!

狐「…」

あ、足ついてる…

…てか解除しちゃったよ!

そして…なんか気持ちいいな…

ドロン!

絵里「あ~さいこお~」

真姫(騒がしい人ね…)クスッ

真姫「着替えここ置いとくね~」

絵里「へ?あ、はい!」


33:2019/01/24(木) 22:19:07.06 ID:A6gdfopN.net

………

……



絵里「あ、ありがとう…」

真姫「ふふっ気にしなくていいのよ。」

絵里(それにしても変な服だな…)

狐が着ているのはいわゆるスーツだ。

黄金色の髪に青い瞳、そして黒のスーツ。

イケメンかな?

いいえ、ポンコツです。


34:2019/01/24(木) 22:25:58.32 ID:A6gdfopN.net

真姫「…ところで貴女…名前は?」

絵里「へ…?」

真姫「聞いてなかったから」

絵里「あ、えっと…」

真姫「私は西木野真姫よ。よろしくね!」

絵里「あ、あやせえり…」

真姫「漢字は…こうかしら?」サラサラ

『絢瀬絵里』

絵里「え?あ、うん…」

真姫「これからよろしくね!絵里!」

絵里「あ、うん…」

絵里(なにこれ?呪いの文字?)

こうして狐は愛する真姫と出会った。


36:2019/01/24(木) 22:30:04.01 ID:A6gdfopN.net

絢瀬絵里と名乗って1週間…

西木野家の使用人となって1週間…

狐はとても辛いと言っていた。

なんせ人間の生活なのだから。

最初は掃除も出来なかった。

なんせ狐なのだから。

真姫にすっごく怒られたりした。

でもその分笑ってた。

おかしな人ね、って言って笑った。

それが嬉しかった。

それで頑張れた。

でも…なれないものがいくつかあった。


37:2019/01/24(木) 22:30:51.66 ID:A6gdfopN.net

絵里「…ゴクリ」

絵里「…」オソルオソル

絵里「…」カチッ

ボッ!

絵里「!!!」

絵里「いやぁぁぁぁ!!!」

真姫「相変わらず火が苦手なのね…」ハァ…

料理だ。

料理は『火』というものを使うらしいが

それがめっちゃ怖い。

なんか熱いし。

なんせ狐なのだから。


38:2019/01/24(木) 22:40:29.74 ID:A6gdfopN.net

そして1番怖かったのが…

絵里「え、これを料理するの?」

真姫ママ「…?えぇ…そうよ?」

絵里「なに…それ?」

真姫ママ「ウサギのお肉だけど…」

絵里(!!?)

絵里「う…そ……」

絵里(あいつ…生きてるかな……?)

改めて人間は怖いと思った。

そんな狐だが、少しずつ学んでいる物がある。

それが…

絵里「これがこうで…」

文字だ。


41:2019/01/24(木) 22:46:52.16 ID:A6gdfopN.net

狐は文字を学んでいた。

というのも…真姫が勉強なさいって言ったからだ。

狐はしぶしぶやってみるとまぁ楽しい。

いつしか狐はひらがなを全部書けるようになった。

真姫(義務教育習ってたのかしら…?)


42:2019/01/24(木) 22:47:44.15 ID:A6gdfopN.net

季節は流れ秋

真姫「絵里~ちょっと来て~」

絵里「は~い何か用?」

真姫「これ片付けて~」

絵里「わかったわ!」

真姫「…ふふっ」ニコッ

狐は人間の生活に慣れてきた。

女言葉も使いこなせた。

『火』はまだ苦手だけど…

そして文字も頑張ってきた。

今はもう漢字もスラスラ書けるように


43:2019/01/24(木) 22:51:50.67 ID:A6gdfopN.net

そんなある日…

真姫「紅葉が…見たいわね。」

絵里「どうしたのよ?真姫?」

真姫「こんな時期になると紅葉が見たくなるのよ…」

絵里「へぇ…」

絵里「なにそれ?」

真姫「え?知らないの!?」

絵里「うん。」

真姫「はぁ…まぁ簡単に言うと紅くて綺麗な山よ。」

絵里「ふ~ん。」

真姫「どこかいい所ないかしらね…」

絵里「…」


44:2019/01/24(木) 22:52:24.63 ID:A6gdfopN.net

その夜

狐は故郷の山へ戻った。

戻るのは実に半年ぶりだろう…

狐「…」

やぁ…

猿「…」

他の狐「…」

…かえってきた!!

あんたどこいってたのよ!?

兄ちゃん死んだのかと思ったよ~

まぁ…ちょっと事情がね…

話なさい!

うぅ…


45:2019/01/24(木) 22:52:51.71 ID:A6gdfopN.net

狐は全てを話した

人間に恋をしたこと

人間の生活になれたこと

そのために山を離れたこと

狐「…」

ということだ。

猿「…」

なるほどね…

他の狐「…」

兄ちゃん…

あんた凄いわね!

ホントにすごいよ!!


46:2019/01/24(木) 22:53:24.01 ID:A6gdfopN.net

で?また戻るの?

え、うん。そうだよ。

あ、そうなんだ…

また帰って来るよ……

あ、そうだ。

どうしたのよ、狐

こうよーのいい場所ない?

こうよー?あぁ…紅葉ね。

この山もいいと思うけど?

あ、そう。

ありがとう…じゃ

あ、ちょっと!

たった一夜で狐は山を去っていった…


47:2019/01/24(木) 22:55:43.49 ID:A6gdfopN.net

好きという『魔力』はすさまじい。

好きという力は人も獣も狂はせる

好きだからという理由で山を去ったり

好きだからという理由で文字を学んだり

好きだからという理由で尽くしたいと思う。

皆様もそうでしょ?


48:2019/01/24(木) 22:59:32.44 ID:A6gdfopN.net

狐が帰って来たのは明け方だった…

絵里(…そ~っと)

真姫「どこ行ってたのよ!」

絵里「ひぃ!ま、真姫!」

真姫「心配したんだから…!」ウルウル…

絵里「ご、ごめん…」

真姫「…で?どこ行ってたの?」


49:2019/01/24(木) 23:00:29.72 ID:A6gdfopN.net

絵里「約束の人と…あってました…」

真姫「…」

絵里「…」ドキドキ

真姫「…どうせ。日がたったら私の事なんて忘れるでしょ?」

絵里(…え?)

真姫「だって私を放っておいてどっか行ってしまう人だから…」ウルウル

絵里「ち、違う!」

真姫「え?」

絵里「真姫は私の大切な人!」

絵里「大事な人!!」

真姫「絵里…ありがとう。」

絵里「真姫!紅葉行こう!」

真姫「えぇ…そうね!」

真姫「でも、今はダメよ。」

絵里「わかった!」

真姫「わかったら部屋の掃除でもしてて」

絵里「わかった!」

真姫(絵里…ありがとう!)


50:2019/01/24(木) 23:03:18.53 ID:A6gdfopN.net

月日は流れ…

絵里「真姫!紅葉!」

真姫「はいはいわかったわよ…」

真姫「それで…どこなの?」

絵里「ここよ!」

真姫「あ、ここって…」

真姫(花園の山だ…)

真姫(たしか春に凛に誘われて…)

真姫(あそこの花綺麗だったな…)

真姫(…変なきつねもいたわね)クスッ

絵里「はやく!はやく!」

真姫「はいはい。」


51:2019/01/24(木) 23:08:24.75 ID:A6gdfopN.net

山道…

真姫「はぁ…はぁ……!」

絵里「真姫はのろいわね~」

真姫「絵里が速いだけよ!」

ガサガサ…

真姫「…?」

絵里「真姫!はやく!」

真姫「わかったわよ!」


52:2019/01/24(木) 23:08:56.15 ID:A6gdfopN.net

猿「…」

ウサギ「…」

あれ…狐なの?

そうでしょ

いや!なによこの人間は!

だから狐だって

なんでそんな冷静なのよ!猿!

なんか…一周まわって冷静だわ。

…なるほどね~…ってなるか!?

でも大丈夫なのかしらね……

…は?


53:2019/01/24(木) 23:12:10.73 ID:A6gdfopN.net

山頂

絵里「ついた!」

真姫「はぁ…はぁ……!」

絵里「みてみて!」

真姫「はぁ…なによ!?」

真姫「…!」

そこには見渡す限りの紅色だった。

春に見たお花畑の場所とは違うけど…

それでも美しい…!

真姫「…綺麗。」ボソッ

絵里「…///」

なんか…俺まで赤い気がする…顔が


54:2019/01/24(木) 23:12:36.51 ID:A6gdfopN.net

ガサガサ…

絵里「…!」

猿「…」

ウサギ「…」

色っぽいわね~

なんか美しいよ~

絵里「うっさい!」

真姫「どうしたのよ…」

絵里「へ、なんでもないよ!」

真姫「へぇ…」


65:2019/01/24(木) 23:15:26.91 ID:A6gdfopN.net

絵里「…ねぇ真姫。」

真姫「ん?」

絵里「来てよかった?」

真姫「…もちろんよ!」

絵里「…!」

真姫「とっても綺麗なのを見せてくれてありがとう!」

絵里「…///」

絵里「真姫は私の大事な人!」

真姫「えぇ…私もよ!」ニコッ

絵里「…ほんとぉ!?」

真姫「えぇ…大切な」



真姫「『友達』よ!」


82:2019/01/24(木) 23:17:53.32 ID:A6gdfopN.net

絵里「…!」

とも…だち……


そうだった…なんで気がつかなかったんだ…


女同士じゃ恋は出来ないんだ…

あぁ……結局『友達』か…

はは…なんか……バカみたいだ…

絵里「真姫…帰りましょう…」スタスタ

真姫「…絵里?」


88:2019/01/24(木) 23:18:45.75 ID:A6gdfopN.net

帰宅

絵里の部屋


絵里「はぁ…」

俺は愚かだ…

こんな格好に化けてしまって…

女同士じゃ恋なんて出来ないのに…

そんなのわかってるのに…!

それより…まずなんで……


獣と人間が恋ができると思ったんだろう…


91:2019/01/24(木) 23:19:20.29 ID:A6gdfopN.net

絵里「…グスッ」ウルウル

絵里「真姫ぃ…」グスン

でも楽しかった。

真姫が私を拾ってくれたこと。

真姫が私を怒ったこと。

真姫が私と笑ってくれたこと。

真姫が私に文字を教えてくれたこと…

文字………そうだ!


96:2019/01/24(木) 23:19:59.90 ID:A6gdfopN.net

翌朝


真姫「絵里!遅いわよ!」ガチャッ!

真姫「…あれ?」

真姫「絵里ー?」

真姫「どこ行ったのよ…」

真姫「…ん?手紙?」ピラッ


102:2019/01/24(木) 23:20:42.92 ID:A6gdfopN.net

真姫へ

まずはあなたを化かしてごめんなさい

いきなりですが私はここを出ていきます

真姫といた日々は忘れません

真姫が拾ってくれたことも

真姫が怒ったことも

真姫が笑ったこともずっと忘れません。

そして真姫が教えてくれた文字で

真姫に別れを言えて嬉しいです

最後にあなたに言いたかったことがあります

私は女なのにあなたに恋をしてました

好きでした

ごめんなさい

さようなら

絢瀬絵里。


105:2019/01/24(木) 23:21:06.36 ID:A6gdfopN.net

真姫「…」

真姫「もう…なんなのよ…!」ボロボロ

真姫「謝る必要…ないのに…!」ボロボロ

真姫「…グスッ…ヒック」

真姫「私も楽しかったわよ…バカ!」ボロボロ

真姫「…グスッ……あれ?」

真姫「…動物の毛?」

真姫「それに化かすって…」

真姫「…」


109:2019/01/24(木) 23:21:39.53 ID:A6gdfopN.net

5年後…

真姫「ほら!早くしなさい!」

??「はぁ…はぁ…待ってよ~」

真姫「遅いわよ~」

??「はぁ…はぁ……!」

??「疲れた…!」

真姫「ほ~ら見なさい!」

??「…わぁ!」


113:2019/01/24(木) 23:22:04.06 ID:A6gdfopN.net

真姫「どう?綺麗でしょ?」

??「すごい!」

真姫「でっしょ~」

??「…でもなんでここへ?」

真姫「へ?いやぁ…ちょっと…」

??「あ、もしかしてあの手紙の人のことかな?」ニヤニヤ

真姫「ち、違うわよ!」

??「うそつけ!」

真姫「…はぁそうよ。」


117:2019/01/24(木) 23:22:39.67 ID:A6gdfopN.net

??「やっぱり~」

真姫「ここに来ると思い出すのよ…」

??「へぇ~」

??「それよりもあの手紙なんで見せてくれないのさ!」

真姫「あれは結婚したあなたにも見せたくはないわ」

??「ひどいな~」

??「っで?どんな人だっけ?」

真姫「…ふふっ」



真姫「変な狐よ…!」


哀れな狐のお話でした。


126:2019/01/24(木) 23:24:06.60 ID:A6gdfopN.net

終わりです。ありがとうございました。

センター試験にでた『玉水物語』です。
原作とは違う部分がございますが、とてもいい作品です!