2017年04月29日

『ヒトラーに抵抗した人々』


 『ヒトラーに抵抗した人々』/對馬達雄/中公新書/2015

 ヒトラー独裁下のドイツで命の危険も顧みず、ユダヤ人の保護や政権の打倒を目指した人々の記録です。副題が「反ナチ市民の勇気とは何か」です。

 登場するのは、無名の学生・労働者から高級将校・聖職者まで様々な人々です。この人たちは、ほとんどの国民がヒトラーを熱狂的に支持する中で、自分の頭で考え、弱者や祖国への愛情から勇気ある行動に出たのです。ナチ党の監視や隣人の密告、後には連合軍の空爆という想像を絶する困難な状況下で彼らは密かに活動を続けます。そのうえヒトラー暗殺を企てた人たちは自分が倫理的に正しいのかどうかという葛藤にも苦しんでいたのです。

 ことが露見して、逮捕・拷問され、処刑された人も少なくありません。おまけに戦後になっても、彼らの名誉回復はなかなか進みませんでした。なぜなら、ヒトラーに逆らった彼らを裏切り者と見なす国民が非常に多かったからです。

 抵抗した人々の勇気や行動力にはどんな賞賛の言葉も及ばないでしょう。もちろん私などには少しもまねできません。一方、ヒトラーの大戦半ばまでの快進撃に喝采を送り、ユダヤ人虐殺を見て見ぬふりをしたドイツ国民が多くいたことにはため息の出る思いがしました。これはいつどこで繰り返されるか分かりません。

 感動的な話だけではなく、有識者たちが密会して練った戦後のドイツの国家構想も詳しく紹介されています。それを読むと一部今日のEUを連想させる内容となっていて、彼らの苦闘が実を結んだのかもしれないと、幾分気持ちが楽になりました。

 本書にはやや難しい内容も含まれますし、登場人物も多いですが、高校生なら十分読めると思います。残酷な描写や写真などはなく、そういうものが苦手な人でも大丈夫です。




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kokoro_no_fukei at 09:18コメント(0)トラックバック(0)  

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