若かりし美輪明宏「自分以外の人間と
お付き合いさせていただくときは、
たとえ血縁であろうと他人であろうと、
腹六分でつきあって、
親しき中にも礼儀ありで、
入ってならないところには
決して入りもしないし、入らせもしません。
それが対人関係のコツだと思っております。」

これは、美輪明宏氏が三島由紀夫氏と、
三島氏が自決する一週間前に交わした言葉。

血縁者も含めて
対人関係は「腹六分がコツ」というこの話、
私の人生哲学でもある。

『君子の交わり淡き水の如し』
『親しきなかにも礼儀あり』

しかし世の中には
これと正反対の言葉や行動があって、
「オレとお前の関係で、それは水臭いじゃないか」
「隠し事の一切ない、何でも話せる仲がいい」

三島由紀夫三島氏は美輪氏に、
「僕の大嫌いな人間は、
膝の上に上がってきたから
頭をなでてやったら、
いい気になって肩まで登ってくる。
放っておいたら今度は頭の上まで登って
顔まで舐めだす奴がいる。
僕はそういう奴は大嫌いだからね」
と語ったという。

「水臭い」だの
「隠しごとのない関係」
などと言いながら、
結局は三島氏が嫌うような
心の中に土足で踏み込む関係になっていく。

とは言っても、
「近しい間柄なのに腹六分とは寂しい限り」

こんなふうに考える人もいるだろう。
なぜなら残りの四分は自分だけの孤独な世界。
けれども、本来人間は孤立した存在、
孤独な世界の住人なのだと私は思う。

だからこそ、逆に言えば
六分まで見せ合える関係があるのなら、
それはとても幸せなこと。
そのパートナーは大切にすべきだ。
そして大切にしようと思うなら、
なおさら六分以上の踏み込みは厳禁。

腹六分で付き合える幸せ。

ハンフリー・ボガード カサブランカ自分の孤独を
60%も解消してくれるなら
それで十分。
あまり欲をかかない方がいい。
残り40%の孤独は、
人間が抱える、
変えることの出来ない宿命。
宿命を受け入れ、
孤独と親しくなるのも
心地よい。