子供のころは
死ぬことが怖くてしかたなかった。

死ぬ=自分が消える、永遠に。

この「永遠に」というところがポイントだ。

永遠に自分が消える、
何億光年、時が経とうが、
永遠に自分という意識は復活しない。

想像すると、恐ろしくて眠れなかった。

もっとも、
恐怖を感じる自分自身が
消えてなくなるのだから、
実際には死んでしまえば
その恐怖からは免れる。

事実、自分が生まれる前にも
世の中はずーーーーっと存在しており、
その時生まれていない自分は
何の不都合も感じることはなかった。

またその時に戻るだけなのだが。

で、年齢を重ねると、
子供のころはあれほど恐怖していた
永遠に自己が消えることに対して
さほど恐怖を感じなくなるから、
不思議である。

「そんなに永遠に消えることが
恐怖なら、何十年後か何百年後かに、
また復活させてやるから、
もう一度人生をやり直せばいい」

そんな有難いお言葉にも、
今は「いや、もう結構です」
と言いそうである。
たぶん、きっとそう言う。


こんなことを書いていると、
しょせん、死に直面していない
安穏として生きる人間の戯言だ、
そう受け取られるのだろう。

それも否定しない。
確かにそうなのかもしれない。


とは言え、
少しだけ偉そうな物言いを
許していただけるなら、
私は私で頑張って生きて、
「これだけ頑張ったから未練なし。
これで十分、ありがとうございます」

こんな感じで、
子供のころ慄いた死の恐怖を
静かに超えることができたら、
それで私は幸せなのだけれど。

私としては。

l201303100600