2007年05月06日

部首のはなし

うちの塾もこの1週間は、GWということで休業していました。
6日から、6年生の授業が始まります。

GWに入る前の天候不順に、私も長女もすっかりやられてしまい、私は喘息と慢性中耳炎、長女は慢性じんましんの症状が出て、せっせと薬を飲む日々でした。

それでも、ぴんぴんしている次女に付き合い、あれこれと出かけてしまい、この連休中に仕上げようと思っていた夏期講習の教材の執筆が、予定どおりに進まず、少々青ざめているところです。

さて、1週間前に次女の土曜参観に行きました。

部首の授業です。

先生がいくつかの部首と示し、お子さんたちにそれに該当する漢字を答えさせています。

「はい。そうですね。『問』はもんがまえですね」
「『酒』も、さんずいですね」

うーん。

よくあるまちがいです。でも、塾では、「まちがいやすい部首」として、特に注意をうながす字です。

というか、むしろ、部首の意味やおもしろさを伝えるために、私はあえてこの字をとりあげて部首の導入をするようにしています。

部首は単なる「見た目」「形」の似たもの同士をグループ分けするのが目的ではなく、「漢字の意味」を理解する助けとするために学ぶものです。

「問」は形声文字。

「門」は「モン」という音を表し、「口」が意味を表しているので、部首は「くち」。

「人に何かを問うときに、門と口のどちらを使う? いちいち門をかついで持って行くの?」とたずねると、お子さん達はきゃっきゃと笑います。「くちを使いまーす!」と答えます。

「そうだね。だから、門の部首は、『くち』なんだよ。じゃ、酒という字を見てみようか」

「さんずいみたいに思えるよね。でも、酉(ひよみのとり)が正解」

「酉は、お酒を入れるとっくりの形からできているんですって。だから、お酒とかお酒をつくるのに関係する字(発酵の酵、醸造の醸、など)は、ひよみのとりが部首になっているね」

学校で使っている副教材の漢字ドリルにもちゃんと形声文字の説明がのっています。

そして、「問」もその例として挙げられていました。

私が参観した授業では、結局、部首の持つ意味についての説明(植物に関係する字にはくさかんむりがついているね、等)は全くありませんでした。ここが部首の勉強のおもしろいところであると同時にツボでもあると、思うのですが…。

学習指導要領を見てみると、「文字に関する事項」というところに、「漢字のへん、つくりなどの構成についての知識をもつこと」とあります。解説には、「辞書を利用して調べる方法を理解すること」や「文字の組み立て方に注意して、文字の形を整えて書くこと」と関連づけて指導することが望ましい、と書かれていました。

私が教員だった頃に使用していた指導書(いわゆるトラの巻)にも、部首の形を認識させることを目的とした指導案が載っていたように記憶しています。

「意味」まで踏みこむ必要はない、という判断なのかもしれませんが、意味がわかっていたほうが、機械的に形を認識するよりも、ずっと有機的な知識として定着するように思うのですが…。

学校の先生方も、区や市の研究会に所属し、日々、教科内容や指導法の研究をされています。私のいた学校も、国語科を重点研究科目にしていたことがありましたが、こうした研究会で取りあげられるのは、ほとんどが「物語」や「表現」の指導法です。

いわゆる「言語事項」が研究対象になることはなく、専門的知識をもった先生がレクチャーしてくださることなども、全くありませんでした。

「言語事項」がテーマでは、見せ場のある「研究授業」をしにくいのも確かです。

でも、本が読めない、文が読めない…そのもとをたどれば、ことばの知識の貧しさが一因となっていることは明らかです。

「もんがまえ」だろうが「くち」だろうが、そんなものどっちだっていいじゃないか。要は、「問」の読み書きができればいいんだから。

それもそうです。でも、文字やことばへの興味を喚起することは、お子さんのことばに対するセンサーの感度をよくします。いいセンサーを持っているお子さんは、あらゆる機会を通じて、知らず知らずのうちにいろんな言葉や表現法を身につけます。

たかだ部首。されど、部首。

入試での出題頻度もさほど高くはありませんが、形の丸暗記ではなく、「おもしろいもの」として学習できれば、お子さんにとって貴重な財産になるのではないかと思います。



この記事へのコメント
長女は中2公立で高校受験、長男は小4で学力不足のため去年から通塾中です。中学受験の勉強に触れるのが初めてなので驚くこと多いです。先日も
「問」は門構えだと思ってましたし、空はウ冠だと思ってて長男に穴冠だと教えられました(^-^;)長男と同時進行で勉強中です。(中学受験勉強していない長女も知っていたのでショックでした)
Posted by ダイヤの☆ at 2007年05月06日 08:59
こんにちは
ご本、やっと読み終えました。
何も調べないでイメージだけで子どもを受験させようとしている主人にも読むように強制しました。(といっても学校関係者なのですが)
「君たちの好きなように・・・俺は公立でもいいと思っているんだ。
根本的にそこが相容れないんだよ。」
と、放棄されてしまいました。
2年生からの子どもの頑張りに対する言葉とは思えない物言いに
爆発・・・はせずに、『ムッと』オーラをギンギンに発射しました。
部首ですが、子どもに早速チェック。
くち は出来ていましたが、酒はふるとり と答えられてガックリ。
それにしても、学校の先生にもがっくりですね。うちも去年先生の大嘘オンパレードに悩まされましたが、子どもが後でこっそりと先生に教えていたようです。先生「あ〜もう、先生年だから間違えちゃうんだよね〜」
プロは年取ってもプロだと思いますが・・・・。
Posted by 吠える母 at 2007年05月07日 08:25
 娘はご存知の通りこういう分野は全然勉強が足らないので、苦労が多かったです。漢字は「意味(=部首)+音」でできてるから、同じ音読みの仲間があるほうは部首じゃない、と、教えましたが、「政救放はヘンの漢字で読むからボクづくりが部首。牧はボクって読むってことは逆にボクづくりではありえないのさ」「でも牛はボクって読めるんじゃないの?居場所をボクジョウって言うじゃない」←原因と結果が混乱してるぞ!
「視・観は両方見るって読むから部首じゃないよね」←訓読み(=意味)が同じなら部首!そもそも、ネ=示ってことを知らないから起きる間違い!
 さらに、「ありゃ、これは例外なんだよねー」と言う会意文字が次々出てくると、娘から疑いの目で見られ、困ったものでした。というわけで、塾の問題集は、形声文字の問題と、会意文字の問題を、分けていただけると嬉しかったかもしれません(^^;
Posted by あゆママ娘の父  at 2007年05月07日 12:49
ダイヤの☆さま

国語に限らず、中学受験の学習内容は高度ですし、深いですよね。社会のテキストなどは中学に進んでからも十分に使えると聞きます。
これだけのことを小学生のうちに学べるというのは、すごく幸せなことだし、受験生の親も、お子さんと一緒に「物知り」になれるという特典(?)がついてきますよね。私も他教科については知らないことだらけですが、テキストを読むのを楽しんでいます。
お子さんと手をとりあって、どうぞがんばってください(^o^)
Posted by ダメ母 at 2007年05月08日 09:52
吠える母さま

本をお読みいただいてありがとうごさいました。
「好きなようにやっていいよ」と言ってくれるなんて、いいお父様ですね(^^)
「息子が○○中学に入らなかったら、母親の責任だ。土下座させるからな!」などと言う暴君おとうさんも、世の中にはいらっしゃいます。
近頃は熱心なお父様が増えていますが、見守る立場に徹し、ときには緩衝材として活躍(?)するお父様も健在で、みなさんそれぞれにいい受験をされています。お母様としては大変なことも多いと思いますが、がんばってください(^o^)
…ところで、先生の誤りを後でこっそり言うなんて、気配りのある、優しいお子さんですね。しっかり心を育てていらっしゃる…さすがです!
Posted by ダメ母 at 2007年05月08日 10:30
あゆママ娘の父さま

なんだか状況が目に浮かぶようで、笑ってしまいました(^o^)
たしかに、会意文字はやっかいですね。
形声文字と会意文字に分けて…というご意見、取り入れさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
…ところで、先日はお嬢様の元気な顔を拝見できて、嬉しかったです。
すごく楽しそうで、元気いっぱいで、キラキラ輝いて見えました。後輩へのアドバイスもおもしろくて、在籍生たちも喜んでいました。
また来ていただけることを楽しみにお待ちしております…!

Posted by ダメ母 at 2007年05月08日 10:48
(長文になったので分けます)No.1


>本が読めない、文が読めない…そのもとをたどれば、ことばの知識の貧しさが一因となっていることは明らかです。


息子の塾の先生も同様のことをおっしゃっていました。
子供は知らない言葉は無意識のうちに飛ばし読みしてしまうのです。だから、文章題をしていても、そんな子供たちはまるで暗号の解読文を使って問題を解いているような状態なんですよ。そんな状態で、文章題で点を上げていくなんて出来ると思いますか?と… このお話がパッと頭によみがえり、つい書き込みしています。
そんな国語科の先生方に、漢字の成り立ちや、意味調べの面白さを伝えてもらい、今回の中学受験では本当にそれが彼の武器になりました。
(でも、ちょっと心配になって確認しましたが、当たり前のように正答してくれて、母としてはホッとしました)



Posted by りりか at 2007年05月08日 11:23
No.2
>文字やことばへの興味を喚起することは、お子さんのことばに対するセンサーの感度をよくします。
>いいセンサーを持っているお子さんは、あらゆる機会を通じて、知らず知らずのうちにいろんな
>言葉や表現法を身につけます。

>たかだ部首。されど、部首。

>形の丸暗記ではなく、「おもしろいもの」として学習できれば、お子さんにとって貴重な財産に
>なるのではないかと思います。


本当に々そうですね。今回の中学入試を通し、私も強く感じました。
幸い、息子はダメ母先生(なんて思っていませんよ〜)の様にとても良い国語の先生方に出会え、色々な可能性を導き出していただけました。でも、まだそんな面白さを伝えてもらえず国語が苦手と思い込んでいる子供たちが巷には溢れています。そんな子供たちがどうか良い先生にめぐり合い、才能を開花させてくれたらと思います。



Posted by りりか at 2007年05月08日 11:29
お返事有難うございます。
土下座・・・土下座ですか?
仰るとおり、物は考えようですね。
『いい受験』本当にその通りです。
先日、渋々に今年入学したママからメールが来まして、
「もう本当に、神様ありがとう!!ってくらい学校楽しいみたい。
今思うと、偏差値よりも、いかにその学校が合っているかって事だとおもうから、ピッタリくる学校選んであげてね。」
と書かれていました。
親の欲目、先入観にとらわれない学校選びをやり直すつもりです。

Posted by 吠える母 at 2007年05月09日 00:19
いつもこっそり拝読しておりました。部首、ショックです。つくりとかヘン、すべてが部首であり、意味が関係していることを初めて知りました。これでも媒体、文筆関係の仕事なのですが、全く不明を恥じております。
子供は低学年ですが、そろそろ部首を無視できない状況になりつつあります。いいタイミングで面白くよませていただきました。
Posted by アイスのコーン at 2007年05月09日 07:39