2007年06月13日

細部の読み取り

毎日、毎日、書きたいことがたくさんあるのに、更新がままならず、もどかしい思いをしております。

ローペースながら、細々と記事を続けていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

さて、今、4年生は物語で悪戦苦闘しています。
優秀なお子さんであっても、選択肢や書き抜きで、はじき飛ばされているのです。

先日の週例テストで、こんな問題がありました。

気の強い姉が、弟をいじめていた相手を殴ってしまうという話で、「あんな弱い子(弟)はいじめられて当然だと思っていたのに、いじめた奴を目の前にしたら、怒りがこみあげてきた。」というような部分です。

傍線部「あんな弱い子はいじめられて当然だと思っていた」とありますが、このとき姉は弟のことをどのように思っていたのですか。最もふさわしいものを次から選び、記号で答えなさい。
ア かわいそう  イ 情けない  ウ かわいい

なんとアと答えたお子さんが大多数だったのです。
「いじめられて当然」という表現から、弱い弟をはがゆく、情けなく思っていることは当然読み取れるはずなのですが…。

こんな問題でやられるとは予想外だったので、私も考えこんでしまいました。

もしかして、我々の予想を超えた難しさがこの問題には潜んでいるのだろうかと思い、昨日、6年の女の子にちょっと聞いてみました。

「どうかな?  難しい?」
「ぜんぜん!」
「答えは?」
「イでーす!」
「そうだよね? なぜか4年生のほとんどがアと答えたんだよね」
「先生、それはさ。傍線部の後も一緒にしちゃったんだよ。傍線部だけで答えるってことがよくわかってなかったんだよ。ウチも4年のころ、よくそうやってまちがえた」

なるほど!

さすが、現役の受験生の意見にはリアリティーがあります。

傍線部の表現に絞り込んで考えるような、細部の読解の経験がまだまだ足りないということなのでしょう。

よく、国語の入試問題は、重箱の隅をつつくような問題が多く、感心できない、大意が把握できればいいのだ、というような批判が聞かれます。

確かに、些末な部分にだけとらわれた入試問題で、合否を判定することの是非は問われて当然だと思います。

でも、「重箱の隅をつつく」読み方の訓練は、大意をとらえるうえでも不可欠だと思います。

ピアノの発表会で、曲全体の流れがうまくまとまっていれば、細部のミスがあっても「いい演奏だった」という評価が得られます。

でも、練習の段階から、細部の正確な演奏をないがしろにしているのでは、全体の曲想もヘチマもあったものではありません。

細部の積み重ねが全体を構築していることは、音楽も文章も同じですから、トレーニングとしての細部の読み、精読には、早い段階から取り組むべきでしょう。

さて、今週のテキストに載っている、兄と妹がふたりきりで新幹線に乗って東京に行く、というお話。(内海隆一郎「二人だけで」『だれもが子供だったころ』所収)

前半のポイントは、妹を車内のトイレに連れて行くことが、兄にとってどれほどいやなことなのかを押さえることです。

「腰かけている大人の顔がすぐ間近なので、よけい威圧感がある。それが恭一にはいやでならなかった。」

「威圧感」の意味。
「それ」の指示内容の確認。
そして、「なぜ大人の顔がすぐ間近なのか」、その状況の説明。

たったこれだけの文でも、確認すべきことはいろいろあります。

三つ目の説明が大変でした。

「電車がゆれるから。」「通路がせまいから。」「大人達がこっちを見ているから。」

いろいろ意見は出ましたが、恭一の顔と大人の顔が近い理由として直結するものではありません。

教壇を降りて、机と机の間のせまい通路を通ってみせて、「私がここを通っても、顔は全然間近にないでしょ?」と問います。

「恭一は4年生だね。みんなと一緒。身長はどれくらいかしらね」

膝を曲げて、通路を通ってみせて、やっと気づいたお子さんと、まだけげんそうな顔をしているお子さんと…。

こんなことも説明しているとどんどん時間は経っていきます。
書いてあることを正確にチェックする作業はなかなか大変ですが、「書かれていること」にちゃんと反応できるようにお子さんを導いていくことは、国語学習のたいせつな要素のひとつだと思います。

全体のための細部を侮ることなかれ…です!



この記事へのコメント
最近こちらのHPを知りましたが、毎回興味深い内容&プロ講師様の文章が整った日本語でとても読みやすく過去の分まで一気読みしてしまいました。

週例テストの問題(気の強い姉と弟の話)、さっそく小2と小5の娘にやらせてみましたら、案の定2人とも元気良く「かわいそう!」と答えました。ガクッ!小2の次女はともかく、小5の長女は一応、前回のYT組み分けでは国語が偏差値69だったのですが(・・;)。しかも、私が何度説明しても、2人の娘は理解に苦しむようで、最後までモヤッとしていました。

そういえば、娘が最近はまっている読書は「パスワードシリーズ」っていう探偵物。図書館で借りまくって数十冊を読破しましたが、よく考えると、登場人物の心情理解・・には無縁の本ですね。

今日のお話で、読書は読む本を選ぶこと、読解には精読が重要なことに、はっとさせられました。あと1年半、国語の勉強、がんばります。
Posted by 2人の娘の母 at 2007年06月14日 17:41
2人の娘の母さま
 
探偵物であっても、数十冊読破するというのはすばらしいことです!
その読書経験は決して無駄にはなっていませんから、これからもお子さんの好きな本は、楽しみとして読ませてあげてください(^o^)
それとは別に「お勉強としての読書」をプラスする、という感覚でよいかと思います。
力がなければ偏差値69を取ることはできませんから、お嬢さんの実力は本物です。どうぞがんばってください(^^)
Posted by ダメ母 at 2007年06月15日 11:27
はじめまして。
この春上の子の中学入試を終え、ほっとする間もなく
小5の下の子の週例テストに追われている母です。
 
下の子は4年生のときは国語は得意だったのに、
5年生になって担当の先生が変わったからか
とたんに得点できなくなり、頭を抱えています。
 
上の子の勉強方法にとらわれているのが
いけないのかもしれません。下の子には
下の子にあった学習方法を探さないといけませんね。
 
もっと早くにこちらを知っていればよかったと
残念に思う反面、これから参考にさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
Posted by 梔子 at 2007年06月26日 08:40
Yに通う2人の娘の母です。今年、上は5年から(4年の2月)、下は今4年で6月から通い始めました。それぞれ性格が大きく違い、成績も同じくです。
国語でとても興味をもたせていただけることが多く、ただただ関心しています。お忙しいと思いますが、がんばって続けてください。
Posted by 悩む母 at 2007年07月04日 18:46
私自身は小学低学年の頃から、親に「本の虫」と言われるほど読書が好きでしたが、「必ず読んでおきたい名作」みたいなものには手が出ず、好みの本ばかり読んでいました。それでも国語(特に現代文)のテストだけは大学入試まで全国上位レベルでいられました。

自分の子に照らしてみるにつけ、現代の子供は
やりたいこと(ゲーム・携帯・ネット・テレビ・遅れをとらないファッションなど)や、
やらなければいけないこと(学校の総合学習的「考えて発表する」準備とか、受験勉強など)
が非常に多くあり、
インプット(読むことが好きになる>多読)の前に、アウトプットのテクニックを求められる場面が多すぎるのかも、、、と言う気もします。
専門家からみるといかがなものでしょうか?
Posted by むむ at 2007年08月01日 22:43