2007年09月26日

出典探し


コメントで、ご質問もいただいたので、気になる本について書きます。

この夏は、ひたすら、模試の出典探しの日々でした。

定石通り、新刊の単行本や新書、新たに文庫化された本など、あれこれと買い込みました。

夏の読書フェアで目立つところに置かれている本も入試で出題される可能性大です。

ただ、私たちは予想屋ではなく、あくまでも目的は良質な模試をつくることにあります。

入試に出そうであっても、過去にどこかの学校で出題された文章は、模試には使いません。
(そっくり模試で、平気で他校で既出の文章を使っている塾もありますが、それでは、受験生がどこかでその問題を解いた可能性が出てくるため、真に公平なテストとはいえないでしょう。)

そのため、「出そう」ではあるけれども模試の出典として対象外としたのが、
中沢けい「楽隊のうさぎ」「うさぎとトランペット」
伊集院静「駅までの道をおしえて」
瀬尾まいこ「卵の緒」
山本 純士 「十五メートルの通学路」
辻内 智貴 「信さん」
佐藤多佳子「サマータイム」
などでした。

また、入試でおなじみの作家で、いかにも出そうだけれど、出典としては不向きだったのが、
重松清「くちぶえ番長」
あさのあつこ「ランナー」
などです。

どの書店でも目立つところに並べられていた話題作もチェック対象です。

佐藤多佳子「一瞬の風になれ」は、内容的にはいいのですが、会話文の羅列が多く、ストレートに表現されているので作問しづらいところが難点でした。

「しゃべれども しゃべれども」も、小学生の男の子がいじめっ子たちを招いて落語を披露するくだりなど、とても良かったのですが、3000字前後という字数にうまくはまるカッティングが難しかったです。

長嶋有の「猛スピードで母は」も子供のことが描かれていますが、読みどころがシングルマザーである母のかっこよさにあったりするため、教材には不向きな印象でした。

新書は、文種的に担当外だったので、あまり買わなかったのですが、

左近司祥子「哲学のことば」(岩波ジュニア新書)

などは、池田晶子の文章よりずっとわかりやすく、お勉強の読書としてはいいかもしれません。

…で、これは! と思った本はというと、それは、テストとからむ可能性があるので、ここではナイショです。

模試や週例テストの出典に注目していただければと思います。

…それにしても、著作権の問題で、数々の名作が入試や教材から姿を消したことは、本当に残念なことだと思います。

作家の立場からすれば、自分の文章を勝手にいじられ、勝手に解釈されるわけですから、気分がよくないのは当然だと思いますが…。

重松清氏などは、自分の作品を扱った入試問題を見て、逆に自分の書きクセを発見できたりしておもしろいと、コメントされているようですが、こんなふうに考えてくれる作家の方々ばかりだとありがたいのにな、と思います。

毎年、ほんとうに難儀をするのが、物語の出典探しです。

私学の先生方も、許諾の得られない作家はなるべく避けるようにしていらっしゃるとのことなので、出典探しには苦労されているのではないかと思います。

作家が限られてくる分、我々が的中させる確率は高まったような気もしますが…。

本など読むひまはない、というのが6年生の実情だと思いますが、年々本文の字数は多くなる傾向にあります。

早く正確に読むにあたり、短い時間で集中的に読書する習慣は、プラスになるはずです。

忙しくても、一日10分だけ、5000〜6000字の文章を読む時間を取るとよいと思います。

 



この記事へのコメント
先生、始めまして。先生の著書からこちらにたどり着いた者です。
全部ではないですけど過去のものも読ませていただいて、いろいろと参考になりました。娘さんたちの様子がかわいらしいですね〜
私も四谷大塚に通っていた時代があります!(残念ながら中学受験は玉砕しましたが^^;)
うちの娘が次女さんと同じかな?四年で塾生活2年目を過ごしております。精神年齢が高めなので、すでに最近反抗期で、かつ体の変化もあるのか勉強にも身が入らず、困っております。やらせすぎたつもりはないのですが、四谷に比べ教材の量が多め、と言われている塾であることや試験によるクラス競争などにストレスを感じているようです。まだまだ先は長いのでかなり心配になってきました。難しい年頃の女の子について、お母様からご相談など受けた事がございましたら、何かの折にでも触れていただけたら幸いです。
これからも更新を楽しみにしています♪
Posted by sankaku at 2007年09月29日 23:22
こんにちは。
お忙しいところ、出典に関することを書いていただきありがとうございました!関西ではまた選び方も違ってくるのかな?と思いつつ、有難く読ませていただきました。

娘の志望校では今年、小川洋子著「ミーナの行進」が出題されました。
過去4年では重松清・堀江敏幸・辻仁成・ビートたけし・・・といった方々の著書から出題されています。

やはり一度読んだことのある文章が入試に出ると、本人の安心感がまず違うでしょうし(点数に結びつくとは限りませんが)、模試などで読んだことがある本が出題されると妙に自信が出るようです^^

これは!と思った本がわからないのはひじょーーーに残念ですが(笑)、娘は通学の電車の中でも黙々と本を読んでいるようですので、これからも読書は続けていきたいと思います。

ありがとうございました!
Posted by クローバー at 2007年10月01日 10:57