2008年04月04日

言葉の「冷蔵庫」

この春、長女が学校の研修旅行でオーストラリアに行ってきました。
(生徒たちは「ラリ研」と呼んでいるそうです。)

オーストラリアの私学、何校かと提携していて、生徒たちはグループに分かれて、割り当てられた学校のご家庭にステイさせていただきます。

長女がお世話になったのは、メルボルン郊外の裕福なご家庭で、13歳のお姉ちゃんがバディとなって学校での世話をしてくれました。

かわいい弟さんと妹さんがいて、小さい子が好きな長女は、楽しい毎日を送ったようでした。

帰国が朝6時何分かに到着の便だったので、空港ではなく、京成線の上野駅まで迎えに行きました。

「日本は狭い!」とひとりごちながらも、元気に、少しいい子になって帰ってきたので、ほっとしました。

何しろ、向こうにいる間、全くメールも電話もよこさなかったので、どんな毎日を過ごしていたのかわからずじまいだったのですが、タクシーの中で話を聞きながら、すてきなファミリーに温かく迎えてもらえて、本当によかったと、感謝の気持ちででいっぱいになりました。

さて。

よせばいいのに、この感謝の気持ちを伝えたい一心で、国際電話をかけてみたのです。

学生の頃はそこそこ英語は話せたと思うし、長女が2歳のくらいのときには、わが家にアメリカ人(私がホームステイしたときのお父さんとお母さん)が滞在したりしていたので、まぁ大丈夫だろうとタカをくくっていたのですが、甘くありませんでした。

電話での会話の難しいこと! 言いたいことの1割も言えずに終わってしまいました。

それならメールだ!と、書き始めたものの、何しろ10年以上英語を使っていなかったので、さっぱり言葉が出てこないのです。

言葉のストックがないために、言いたいことが表現できないこのもどかしさ!

記述問題を前に往生する生徒さんの気持ちを味わい、深いため息をついてしまいました。

なんとか簡単なセンテンスを並べて送信しましたが、英語の文章をぜんぜん読んでいないのだから、書けるわけはない、と少し悲しくなりました。

この10年間で、私の冷蔵庫はすっからかんになってしまっていたというわけです。

…そして、同じことが国語の苦手なお子さんにいえるのです。

本が嫌い、読書はあまりしない、でも国語の成績をなんとかしたい。

いい問題集はないでしょうか。記述の個別指導をしてくれるところはないでしょうか。

冷蔵庫にほとんど食材はありませんが、おいしい料理を作るにはどうしたらいいでしょうか、いいお料理教室はありませんか、という質問と同じです。

ありあわせの材料でなんとか作れる料理もあるでしょうが、豊かな食材をそろえた料理人にかなうはずがありません。

お子さんが「貯める」部分については、外から見えないし、点数化できないので、どうしても後回しにしてしまいがちです。

本を読んで「貯める」よりも、ひらがなが書ける、漢字が書ける、計算ができるというような、表に出力する部分にばかり意識が向いてしまうのです。

お子さんの「言葉の冷蔵庫」にどれくらい上質な材料をストックできているでしょうか。

読書や大人との豊かな対話を軽視してきたために、冷蔵庫がスカスカのお子さんは、今からでも、とにかくできるだけ多くの言葉を入れていかないと、入試レベルの文章に歯が立たなくなります。

先日、6年生のクラスでお説教をしていたときの話。

「……そういうことは露骨にするべきじゃないよね」

「先生。ロコツってなんですか?」

「あからさまってことです」

「アカラサマってなんですか?」

茶化しているわけではなく、本当にわからなかったみたいです。

手遅れということはありません。

ひとつでも多くの「言葉」を文脈と一緒に蓄えること。今日から、今から実行してほしいところです。

 



この記事へのコメント
こんにちは。同じ二人の娘(中二と小4)の母として、先生の愛情溢れる
アドバイスの数々が大好きで、毎日少しずつ読み返しては我を振り返り反省している私です。
お嬢さん、とても素敵な経験をされたようですね。
さて語彙の「冷蔵庫」のお話、深く深く頷いてしまいました。
長女は国語で最後まで苦しみ、入試も国語が足を引っ張った気がしています。
次女には、親としての反省も踏まえ、朝の30分、読み聞かせをしています。
かれこれ1年が経ち、本当にあらゆる分野の本を読みました。
が、なかなか「自分から進んで本を読む」状態に持っていけなくて・・。
私とソファで肩を寄せ合って読むのが大好き♪なんだそうで、今はそれでも
良いのかな・・とも思っています。
今日は早速、娘達に「言葉の冷蔵庫」の話をしてあげようと思います。
いつも有益なお話、有難うございます。これからも楽しみにしております。
Posted by ミワ at 2008年04月06日 10:48