2012年11月25日

国税庁「租税条約に基づく情報交換事績について」

 22日に国税庁より「平成23年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」が公表されました。企業としても、課税庁側が海外取引についてどのような情報収集の仕組みを用いているかを知ることは重要です。いままで、税務調査で指摘されなかった事由についも、今後は情報交換により取引が把握され、否認につながる事も生じる可能性がありますので、海外取引の適正化に注意が必要です。

1.情報交換の実績について
 国税庁から外国税務当局への要請件数は1,006件となり、前年度(646件)から大幅に増加しました。地域別には、アジア・大洋州の国・地域向けの要請が668件となり、全体の約7割を占めています。
 逆に外国税務当局から国税庁への要請件数は299件となり、前年度(84件)の3倍超に増加しています。

2.情報交換の種類
(1)要請に基づく情報交換
 これは条約等締結相手国・地域の税務当局に必要な情報の収集・提供を要請するものです。

(2)自発的情報交換
 これは自国の納税者に対する調査等の際に入手した情報で、外国税務当局にとって有益と認められる情報を自発的に提供するものです。当年度では国税庁より354件の税務情報が提供されています。

(3)自動的情報交換
 これは法定調書等から把握した非居住者への支払等に関する情報を、支払国の税務当局から受領国の税務当局へ送付するものです。当年度では国税庁より約37万5千件の情報が提供されています。 

3.情報交換実施例
(1)タックスヘイブン国に設立された海外子会社の実態が不明であったので、タックスヘイブン国に対し当該海外子会社に関する登記情報、財務諸表等に関する情報提供を要請し、回答を受領した。

(2)海外法人との輸出入取引に係る債務残高が異常に高額であり、不審であったことから、海外法人における経理処理が分かる帳簿の写し、当該取引に係る契約書、インボイス等の証拠書類の写しについて情報提供を要請し、回答を受領した。

(3)国内法人が、海外取引先に対する支払の一部を、日本国内の銀行の海外取引先代表者名義の口座に送金しており、海外取引先における申告漏れが想定されたことから、この事実を取引先の所在地国・地域の外国税務当局に自発的に情報提供した。

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税理士 齋藤 忠志[http://www.saito777.com]
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kokusai555 at 13:37│Comments(1)TrackBack(0)国際税務 | 租税条約

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この記事へのコメント

1. Posted by ジバンシー バッグ   2013年04月25日 09:09
国際税務情報:国税庁「租税条約に基づく情報交換事績について」

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