税理士法人名南経営 国際部ブログ

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 1月末から2月にかけて、中国現地法人では年度監査を迎える企業が多くなります日本本社においても、中国子会社からの配当額の検討や社内報告、連結対応に向けて、監査結果を確認する時期となります。

 日本本社としては、監査報告書を「受領して終わり」とするのではなく、その後の対応を見据えた整理が必要となります。

① 年度監査で確認される内容の範囲
 監査報告書では、年度決算が一定の基準に基づいて作成されているかが確認されます。具体的には、作成された財務諸表を元に、決算数値に大きな問題がないかが確認されます。

 一方で、数値の増減理由や個別取引の背景、日本本社向けの説明を意識した補足情報までが監査報告書に記載されているとは限りません。

 これらの点については、別途、決算資料や現地からの説明を前提に整理する必要があります。

 監査報告書は、それだけで日本本社の判断が完結する資料ではなく、日本本社が判断するための資料の一つとして使われることが一般的です。

② 日本本社で整理しておきたい点
 監査報告書をより適切に理解するため、日本本社側では、あらかじめ次のような点を整理しておくことが有効です。
  • 前年と比べて大きく変動している残高や取引の有無
  • 一時的・例外的な会計処理が行われている項目の有無
  • 為替など、日本本社側での判断や説明に影響し得る一時的な要因の有無
 これらを事前に把握しておくことで、監査後の社内調整や説明をスムーズに進めやすくなります。

③ 配当検討にあたっての留意点
 中国子会社からの配当を検討する際には、当期の利益額だけでなく、過年度の累積損失や法定積立金の状況を含めて確認する必要があります。

 監査報告書上で当期利益が計上されていても、直ちに配当可能とは限らないケースがある点には留意が必要です。

 また、配当の可否や金額を検討するにあたっては、帳簿上の利益とは別に、配当実行後の資金繰りや現地法人の運営への影響もあわせて確認する必要があります。

 そのため、配当判断にあたっては、監査報告書に加え、今後の資金繰りの見通し等について、現地からの補足説明を前提に整理を行うことが必要となります。

1.実はグローバル・ミニマム課税の対象かもしれない
 グローバル・ミニマム課税は、年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,100億円)以上の多国籍企業グループが対象となります。

 一見、「対象ではない」と判断されるかもしれませんが、実は対応しなければならない場合があります。例えば、①海外親会社がグローバル・ミニマム課税の対象である、②多額の税額控除により実効税率が低い、③今後海外展開が予定されている、などです。

 グローバル・ミニマム課税というと、上場企業だけが対象と思われがちですが、上記①~③のような事象により、対象となる可能性があります。

2.今から始めるグローバル・ミニマム課税の初期対応
(1)対象となるかを判断
 ・多国籍企業グループに属しているか
 ・連結収入が7.5億ユーロを超えていないか

(2)所在地国ごとに実効税率を概算計算
 ・税額控除等により、実効税率が15%を下回っていないか
 ・通常の法人税計算とは異なるため、まずは簡易的に15%を超えるか否か確認
 ・まずは概算で、(法人税等±繰延税金費用)÷(税引前当期純利益+Aの足し戻し-Bの控除±Cの損益)

 *概算を掴むことを優先し、まずは繰延税金費用(法人税等調整額)で計算することが簡便ですが実際には、5年超で解消する繰延税金負債の除外や、適用税率が15%を上回った場合に15%で再計算するなど、調整項目があります。

 *税引前当期純利益の調整例
  A.罰金や賄賂等
  B.1年以上保有かつ持株比率10%以上の株式以外からの配当
  C.1年以上保有かつ持株比率10%以上の株式以外の株式譲渡損益

(3)適格国内ミニマム課税を優先
 ・実効税率が15%未満であれば、差額課税される制度(影響額の試算)
 ・法人税とは別に申告/納付することが必要である

(4)海外子会社(親会社)との情報共有
 ・実効税率の共有
 ・国別報告書や固定資産/人件費など共有

(5)次年度に向けた準備
 ・税務情報を経営戦略(投資/資本政策/再編等)に生かす
 ・社内連携/外部支援を組み合わせて検討精度向上させる

3.情報申告制度
 更に、納税の有無にかかわらず、「特定多国籍企業グループ等情報事項等」を税務当局に申告する必要があります。
 多国籍企業グループに属する会社は、①会社名称やグループ構成、②特例や免除規定基準、③所在地国ごとの国別実効税率等を原則として、それぞれの所在地国で、税務当局に申告することが必要です。

 *ただし、所在地国と最終親会社の所在地国間で、情報交換の税務当局合意があれば、各構成会社の申告義務は免除され、最終親会社のみがその所在地国に情報申告を行えばよいとされています。

4.終わりに
 グローバル・ミニマム課税制度は難解で、実際に行うことは非常に難しいものがあります。しかし、例えば  1.①~③ のような事象は上場企業以外にも生じうるため、このリスクを放置しておくのは好ましくありません。
 新しい年度が始まる前に、一度、対応が必要か否かの概況を確認してはいかがでしょうか。

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税理士法人名南経営 国際部 豊村崇史
 税理士法人名南経営へ入社。その後国際部へ配属し、主に中小企業の税務・会計に関する処理や経営などに関する相談を主業務とする。
中でも海外進出企業の税務顧問、会計監査を通じて、国際税務等の課題に対応している。

第2部講師
ビジネスエンジニアリング株式会社 
GLASIAOUS推進部 部長 中小企業診断士 鈴木將路
 複数の上場企業にて25年以上にわたり一貫してERPソフトウェアの新規事業開発、マーケティングに関与。 2014年よりビジネスエンジニアリングにて、GLASIAOUS事業の企画から立ち上げ、事業開発・推進を担当。 2021年より部門化。現在に至る。

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