税理士法人名南経営 国際部ブログ

国際税務やグローバルビジネスに関する情報をタイムリーに提供します!

 企業が海外進出をするにあたっていくつかの手順を踏む必要があります。
今回はこの手順について記載させていただきます。

 手順を大きく分けると「海外進出検討段階」、「海外進出準備段階」、
「生産・営業準備段階」の3段階になります。この3段階の中で、最初に行
う「海外進出検討」をさらに細分化すると以下の通りになります。

1.自社の経営理念・ビジョンの明確化と海外進出目的の明確化
2.進出のための情報収集(国内にて)
3.簡易計画書作成
4.現地調査
5.事業計画書作成
6.最終的な意思決定

大切なことは最初に行う「自社の経営理念・ビジョンの明確化と海外進出目
的の明確化」です。海外進出の目的が自社の理念・ビジョンに合っているの
かを確認します。

 下記の問いかけに明確な答えを持っている必要があります。
・なぜ海外なのか、国内ではダメなのか。
・なぜ今なのか、時期の検討はしたのか。
・海外進出のための体制はできているのか。人材はいるのか。

この部分が確定していない場合、2~6に一貫性がなくなり計画を作成して
も実現性が低くなります。

 昨今は規模の大小にかかわらず海外進出を検討する企業様が増加しており
ます。進出ありきになってしまい、海外進出が企業の手段でなく目的になっ
てしまっていないか確認が必要です。タイミングを逸しないためにスピード
も大切ですが、自社の理念・ビジョンの手段として必要な戦略なのかじっく
りご検討をされてはいかがでしょうか。

 資本金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある法人については、
下記の制度(いわゆる中小企業向け特例措置)の適用はありませんが、この取
り扱いは親会社が外国法人である場合も同様です。

(1)貸倒引当金の繰入れ
(2)欠損金等の控除限度額
(3)軽減税率
(4)特定同族会社の特別税率(留保金課税)
(5)貸倒引当金の法定繰入率の選択
(6)交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
(7)欠損金の繰戻しによる還付制度

 株主に異動があった際には特に注意が必要です。例えば日本法人の設立時に
は親会社の役員が一部個人出資しているなどの理由により完全支配関係ではな
かったものが、株式を親会社に譲渡して完全支配関係となるような場合が想定
されます。このような場合には上記特例が適用できなくなり、税額に大きな影
響を与えることになります。
 一方で、グループ法人税制については外国法人との間の取引については適用
対象外となりますので、この点にも留意が必要です。

  平成29年12月に、国税庁より「『国際戦略トータルプラン』に基づく具体的
な取組状況」が公表されています。

 「国際戦略トータルプラン」は平成28年10月に国税庁より公表されたものです。
これは、パナマ文書やBEPSプロジェクトの進展により、国際的な租税回避行為
に関して国民の関心が高まっていることから、国税庁が、国際課税上の問題に
対して積極的に対応していくことを明らかにしたものですが、今回公表された
資料では、国際戦略トータルプランから「国外送金等調書」「財産債務調書」
「租税条約に基づく情報交換制度」等を活用した調査事例が紹介されています。

  詳しくは公表の資料をご確認いただければと思いますが、興味深いのは、納
税者側から提出される情報のみではなく、納税者や金融機関から提供される情
報と、外国当局との情報交換制度に基づいて得られた情報を組み合わせて調査
対象としている事例がみられることです。
  例えば、外国当局との情報交換制度により、海外に預金口座を保有している
ことを把握したものの、国外送金等調書の提出がなかったという場合において、
調査を実施した事例等も公表されております。

  今後も、当局としては、こういった国際戦略トータルプランの取り組みに加え、
マイナンバー制度の実施等により、今まで以上に国境をまたいだ取引について
の課税を強化してくことと思われます。
 海外進出企業様はもちろん、海外に資産をお持ちの個人の方についても、
こういった資料を今一度ご確認いただければと思います。

<参考>
平成29年12月 「国際戦略トータルプラン」に基づく取組方針
http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/strategy/pdf/action_policy_201712.pdf
「国際戦略トータルプラン」に基づく具体的な取組状況
http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/strategy/pdf/action_report_201712.pdf
平成28年10月 「国際戦略トータルプラン -国際課税の取組の現状と今後の方向-」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kokusai_kazei/index.htm

↑このページのトップヘ