国税庁より「平成29年分の国外財産調書の提出状況について」が公表されま
した。これによりますと、提出件数等は次のようになっております。なお、国
外財産調書とは、その年12月31日時点の価額の合計額が5,000万円を超える国
外財産を有する居住者が翌年3月15日までに税務署長へ提出しなければならな
い調書であり、国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項の記載が求め
られています。

1.総提出件数 9,551件
(内訳)
 東京局6,154件(64.4%)、大阪局1,331件(13.9%)、
 名古屋局699件(7.3%)、その他1,367件(14.3%)

2.総財産額 3兆6,662億円
(内訳)
 東京局2兆7,485億円(75.0%)、大阪局4,274億円(11.7%)、
 名古屋局1,906億円(5.2%)、その他2,996億円(8.2%)

3.財産の種類別総額
 有価証券1兆9,252億円(52.5%)、預貯金6,204億円(16.9%)、
 建物4,038億円(11.0%)、貸付金1,705億円(4.7%)、
 土地1,449億円(4.0%)、上記以外の財産4,014億円(10.9%)

 提出件数及び総財産額の半分超が東京局であり、日本の富裕層が首都圏に集
中しているのが分かります。また、財産の種類別総額では、有価証券などの金
融商品が半分超となっています。

 ちなみに、国税庁が2019年1月に公表した「「国際戦略トータルプラン」に
基づく取組状況」では、CRS情報の自動的情報交換(非居住者の金融口座情報
を自動的に外国税務当局と交換)や租税条約等に基づく情報交換(取引の実態、
配当や不動産所得等に関する情報を外国税務当局と交換)により、海外への資
産隠しや国際的租税回避に対応していくとされており、海外における金融商品
の補足はさらに進んでいくものと想定されます。

 また、国外財産調書には、適正な提出を確保するため次のようなインセンティ
ブ措置等が設けられており、特に加重措置には注意が必要です。

《1》加算税の軽減措置
 提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生
じたときであっても加算税を軽減(▲5%)
《2》加算税の加重措置
 調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得
税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)
《3》罰則の適用
 正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の
懲役または50万円以下の罰金

 なお、平成29事務年度における所得税及び相続税の実地調査の結果、特例措
置を適用した件数及び増差所得等金額は次のとおりです。1件当たり平均2,600
万円程度の増差所得等について加重措置が適用されており、富裕層が対象とな
るケースがほとんどだと思いますので税額への影響は少なくないものと考えら
れます。

《1》軽減措置168件(45億7,467万円)
《2》加重措置194件(51億1,095万円)

 海外の財産状況も日本の税務当局が把握できる時代となっておりますので、
調書の提出を失念すると不要な税金が発生してしまう可能性が高まります。
まもなく2018年分の提出期限(2019年3月15日)を迎えますので、提出義務の
ある方はご留意ください。