日本における相続税の納税義務を負う者については、被相続人が国内に住所
を有しているか、相続人が国内に住所を有しているか、また日本国籍を有して
いるか、などにより区分され、その区分に応じて相続税が課税される財産の範
囲を定めています。この区分の判定について一昨年より変更がされております。
入国管理法の改正により新たな在留資格が創設され、日本で働く外国人の増加
が予想されます。改めて相続税の改正についても見ていきましょう。

◆居住無制限納税義務者について
相続や遺贈により財産を取得した者が、居住無制限納税義務者に該当する場合
には、その取得した財産が国内であろうと海外であろうと日本の相続税が課さ
れることとなります。以前は、財産を取得した者がその財産を取得した時点で
日本に住所を有していた場合、例外なく居住無制限納税義務者となっていまし
たが、一昨年よりこちらは次のような場合について変更されております。

・その財産を取得した者が一時居住者(注1)であり、かつ被相続人が一時居
 住被相続人(注2)又は非居住被相続人(注3)のいずれかに該当する場合
 には、居住無制限納税義務者から除外。

(注1)の一時居住者とは、「相続開始の時において在留資格を有する者で、
その相続の開始前15年以内において日本国内に住所を有していた期間の合計が
10年以下であるもの」とされています。

(注2)の一時居住被相続人とは、「相続開始の時において在留資格を有し、
かつ日本国内に住所を有していた被相続人であってその相続の開始前15年以内
において日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下であるもの」とさ
れています。

(注3)の非居住被相続人とは、「相続開始の時において日本国内に住所を有
していなかったその相続に係る被相続人であって、その相続の開始前10年以内
のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがあるもののうち、
そのいずれの時においても日本国籍を有していなかったもの、又はその相続の
開始前10年以内のいずれの時においても日本国内に住所を有していたことがな
いもの」とされています。

 改正前は、「出向などにより日本で働く外国人が、母国に居住する親を亡く
したことにより、その親の財産を相続」した場合に、日本の相続税法の規定上、
その親の母国にある財産に対して日本の相続税が課される法体系となっていま
したが、当改正によりその基準が緩和されることとなりました。

 また、「親が日本で働くため親と一緒に日本に居住していた子供が、その親
が日本で亡くなったことにより母国にあった財産を相続」した場合についても、
その母国にあった財産に対して日本の相続税が課されることとなっていました
が、こちらについてもその基準が緩和されることとなりました。

 上記2例については、「海外にある財産について日本の相続税が課税されな
い」こととなりますが、日本国内にある財産を取得した場合には引き続き日本
の相続税は課税されることとなります。相続があった時点における状況を整理
し、相続税の対象となる財産の範囲を整理いただくことが重要です。