先日、上海にてお客様と話をしていた際に、現地法人の日本人駐在員の役割について、
話が及びました。
中堅・中小企業様の多くの駐在員の方は、営業もしくは技術の専門であることが大半です。
さらに1人きりの駐在員で他はローカルスタッフであることも珍しくありません。
そのような状況下において、当然、専門の分野での能力発揮することも求められていますが、
現地法人においては、それ以上に管理者としての役割を求められます。
唯一の管理者となっていることも多く、人事・業績管理・顧客対応・本社対応・資金繰り等
非常に広範な管理業務対応が求められます。
と、言葉にするのは簡単ですが、おそらくその大変さは経験された方しか
なかなかご理解いただけないのです。
個人的に、大変だと思うことは、「従業員との契約更改」と「クレーム対応」です。
従業員との契約更改は、多くの場合、1年ないし2年で従業員との賃金交渉を行います。
有能な従業員ほど、当然のことながら要求水準が高く、交渉は難しいものです。
仮に離職となれば、業務運営上、大きなダメージになることも多く、結果が妥結するまで
本当に落ち着かない日々となります。
(それでも突然の離職もありますが。。(苦笑))
また、駐在員の重要な仕事として、「クレーム対応」があります。(笑)
これも決して軽い仕事ではありません。
本来の業務(これがそもそも悪戦苦闘)を行いながら、不慣れな管理業務もこなしているというのが
多くの駐在員の姿ではないでしょうか?
ここで、表題の「現地化」ということを考えてみます。
以前より、中国事業をさらに進めるためには、「現地化」をすすめるべき、という考え方があります。
では、そもそも「現地化」とはどういうことなのでしょうか?
仮に「現地化」とは駐在員の業務をローカルスタッフに引き継ぎ、任せること、とします。
この場合、
1、駐在員が具体的にどのような管理業務をしているのか、正しく把握できているか
2、駐在員を帰任させた場合に、だれにどのような管理業務を与えるのか
3、その管理業務の進捗・内容をどのように把握するのか
上記3つの要素のどれが欠けても、現地法人が全く管理できない状態になるのは明らかです。
駐在員がいる場合は、本社の管理部門は、駐在員に聞けばおおよその状況は把握できた状態から、
各ローカルスタッフに聞くことで把握することになります。
そこには言葉の壁、考え方の違い等、まさに駐在員がぶつかっている壁に本社も直面することに
なるでしょう。
「現地化」とは、現地に任せればいい、という安易なものではありません。
すくなくとも「現地化」とは、本社が管理できる手法を確立した後で進めるべきものといえます。
「現地化」を検討されている場合、周到な準備が必要であり、それは駐在員だけでできることではなく、
本社の積極的な関与が必要不可欠です。