現地法人には総経理を選任しなければならない、
これは中国事業を行われている会社であれば、
皆知っていることと思います。
ただ、誰にしたらいいのか、ということはまだまだ
認知されていません。
もちろん、色んな判断材料があると思いますが、
今回は最低限注意すべきポイントをお伝えしたいと思います。
1、本社の代表者や出張者が兼任しているケース
特に中小企業の場合によく見られるケースです。
「現地に適任者がいない」という要因が大きいと思われます。
この場合、問題になるのは、総経理としての個人所得税の問題です。
中国の税務当局の認識の前提として、
「董事・監事といった役員は、非常勤・無報酬」であるのに対して
「総経理は常駐であり、相応の権利と義務を負う」という
ことがあることに注意が必要です。
この違いは、董事・監事は日本でいう役員・監査役であり、
役員という位置づけになるのに対して、総経理は従業員のトップであり、
現地の業務を取り仕切る存在という位置づけの違いに起因します。
この違いが、中国の個人所得税の申告において、実務上
董事・監事 ⇒ 中国で報酬が支給されていなければ、中国での申告不要
総経理 ⇒ 中国での報酬がなくとも、中国での申告必要
という違いとなります。
つまり、非常勤・無報酬が前提の董事・監事とは異なり、
常勤が前提の総経理の場合は、中国での報酬支給がなくとも、
日本で支給されている給与のうちに総経理報酬分が含まれている、
との解釈に基づき、申告を求められるケースがあります。
この場合、「国外で支給されている報酬」もしくは「同業他社で同水準の
企業で支給されている総経理報酬」での納税を求めてくる可能性が生じます。
滞在日数が極端に少ない場合であっても、上記対応を求められる
可能性があるので、注意が必要です。
2、外部から採用した人材を送るケース
中国事業の経験者を外部から招聘して総経理として任命するケースも
珍しくありません。
この場合は、税務上の問題というよりも、運営上の問題が生じる可能性が
あります。
というのも、日本の関連会社とは異なり、日々の運営状況にどうしても目が
届かなくなります。
その上で、本社サイドの意向を熟知した方とは異なり、その個人独自の運営
方針にて運営される場合があります。
上手くいかない場合に不正が生じるのはもちろんのこと、上手くいった場合でも、
正しい評価がなされず、総経理・日本本社ともに長続きしないケースが見受けられます。
外部採用である場合には、経験者だから、もしくはわからないから、という要因に
寄りかかることなく、本社としても密にコミュニケーションをとり、運営方針の
すり合わせを行う必要が生じることに留意が必要です。