2016年10月に外国人就労許可制度の改正が発表されました。上海市などで2016年11月より先行開始
となり、2017年4月には全国展開が予定されています。今回はこちらを取り上げたいと思います。
制度改正の目的
外国人就労者に対する管理強化を目的としています。中国において、外国人就労者は増加する
一方で、明確な管理基準が無く、各地域ごとの対応となっていました。
また、経済発展に伴い、優秀な能力を有する外国人就労者を求めているという背景があります。
このため、全国で統一した明確な基準を策定するとともに、優秀な外国人を優遇する(それ以外の外国人は不要、というか排除)という制度になっています。具体的な管理方法
外国人就労者をA類・B類・C類の3種類に分類して管理を行います。
このうち、C類は臨時的な業務に就く人材を指しているため、残りの2つにつき、
説明していきます。
分類基準は2種類の基準があり、
1)非スコアリング基準
2)スコアリング基準 の2つ。
1)非スコアリング基準
A・B類の各分類に適合する条件に合致した人材か否か。
A類
定義中国経済や社会発展に必要な科学者、科学技術における先端人材、国際企業家
専門的な特殊人材などを指す。
認定条件
(1)国内人材誘致計画に選ばれた人材
(2)国際公認の専門的な成績の認定基準に符合する人材
(3)市場動向に符合する奨励類職場の必要な外国人材
(4)革新・創業人材
⇒ 多国籍企業の管理人材など、合致するのは相当高いハードル!B類
定義外国人来中就労指導目録に符合しており、中国経済や社会発展に必要な外国
専門人材を指す認定条件
(1)学士以上でかつ2年以上の実務経験のある外国専門人材
(2)国内(中国)の大学で修士以上の学位を得た外国人
(3)国外の100強大学で修士以上の学位を得た外国人
(4)外国語教育人材
(5)点数評価結果が60点以上である専門人材
⇒ 日本人駐在員が該当する可能性が高い。ただし、学歴に注意する。
2)スコアリング基準
A類 ・・・ 点数評価85点以上
B類 ・・・ 点数評価60点以上
点数評価の基準 ・・・ 年間給与基準、学歴、実務経験、年間勤務月数、中国語レベル、
就労地区、年齢、卒業大学、政府機関の追加評価
⇒ 年間給与基準(中国での申告ベース)、就業経験(日本での勤務歴含む)、学歴さえ
一定水準を満たせばクリアできる可能性が高い。
上記のとおり3種類の分類となっていますが、日本人駐在員が該当するとすれば、現実的にはB類に
該当するかどうかとなります。該当しないケースを考えるとすれば、高卒で日本での給与を申告し
ていないような場合は、点数評価が60点に届かない可能性が高くなります。
また、B類の年齢上限は60歳とされているため、従来まで、製造業を中心に行われてきた、定年後
の技術系人材を中国に送り、技術指導に当たらせる、という業務が難しくなる可能性が高い状況で
す。
さらに総経理クラスの駐在員の方は60歳を超えるケースも珍しくありませんが、上記のとおり、B類では60
歳というラインは明確になったため、今後、就労許可の更新ができるかどうか、留意が必要です。