税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2018年01月

 2018年1月から、ASEAN域内で完成車の輸入関税が撤廃されました。
これまでは、ASEAN域内からの完成車の輸入関税は30%であり、これが撤廃
されることで輸入車の大幅な値下がりが見込まれます。同時に、ベトナムの自動
車産業は一層厳しい競争を強いられることが予測されます。これに伴い、ベトナ
ム政府は国内自動車産業の保護に向けた動きを強めています。


 ベトナムの自動車メーカーは基本的に組み立て工場であり、多くの自動車部
品を国外からの輸入に依存しております。ベトナム商工省の自動車産業の現状
に関する報告書では、2016年時点で9人乗り以下の自動車の国産化比率は
7~10 %であり大半を輸入車に依存しております。


 ベトナム政府は、自動車部品の輸入関税引き下げによるコスト削減で、輸入
車との競争力向上を促す法案を提出しました。輸入関税引き下げの対象となる
のは、9人乗り以下の乗用車と積載量5トン以下のトラックに使用される自動
車部品となっており、財務省が提出した2つの引き下げ法案は下記の通りです。


1.163の部品について関税を撤廃する。部品全体の平均関税率を現行の
  15%から、乗用車で7%、トラックで1%とする。
2.関税率が3~50%のエンジンなど同国で製造されていない19の部品に
  ついて関税を撤廃する。部品全体の平均関税率は乗用車で10%、トラッ
  クで7.9%とする。
 
上記の法案は2018年1月から適用されています。
ベトナムの自動車産業の動向は多くの日系企業にも影響があり、今後も注視する
必要があります。

海外進出前に視察等を行いながら事業の採算などを検討し、計画書の作成を
行います。この事業が、順調に進んでいくかの重要なポイントとして、現地責
任者の選任があります。

選任時のポイントは以下の通りです。


・語学能力よりもビジネス能力を優先しているか。

・スピーディな意思決定が必要なため、本社が信頼できる人材を送り込んでいるか。

・心身共にタフさが求められるため、ストレス耐性があるか。


 最近の傾向として、日本本社で採用した現地出身者を教育し、現地で代表を
任せるケースや、現地在住の日本人を雇って代表を任せるケースが増えていま
す。こういったケースは現地で即戦力になり得るため有効な手段ではあります
が、中には日本人だから、日本語が話せるからといった理由だけで上記ポイン
トをないがしろにして、選任しているケースが見られます。そういったケース
では、現地の経営管理が非常に難しくなり、事業がうまく進まないことになり
かねません。


 加えて、不正等が発生する危険性が高くなります。特に中小企業の場合は現
地を任せる人材が不足しているケースが多く、現地代表者の選任でうまくいっ
ていないケースが見られます。十分に検討したうえで代表者を決定することを
お勧めします。

  先日、中国現地法人の現場調査を行い、そこで出てきた事項がいかにも中国
的な事柄が多く、ご紹介させていただきます。

・決裁ルールの未整備
費用の決裁ルールが整備されておらず、どのような支出なのか見積もり等の
検証材料もなく、妥当な支払いなのか判断できない。
決裁者が流用しようとすれば、歯止めが利かない状況。そもそも中国においては、
会社で必要なものは会社の経費という認識が強い。たとえば、家で仕事をする
こともあるから、という理由でパソコンを購入し、家で利用する、としてしまう。


・バラバラな給与制度
個々の採用の際に、都度特殊要因を設定している。
(例:携帯費用の全額負担or一部負担、住居費用の一部負担、出張手当の支給等)

本来的な給与の格差が見えにくく、賞与決定時期等に留意する必要がでてくる。
また原則的には毎月決まって支給されるものは個人所得税の課税対象であるが、
それも個別処理をすることによって漏れやすくなる。


・固定資産の処理ルール
計上に際しての目安となる金額はあるものの、それを超える資産も、費用処理
されている事例多発。処分に関しても、董事会での決定等の根拠もなく進められ
ている。
費用にしてしまうことで、利益操作が可能となってしまう。さらに他の費用と紛れる
ことで内容の把握が困難になる。処分については、廃棄として処理しながらも、
実は勝手に売却し、その金額を個人が入手してしまうことも多数。


・発票の取り扱い
発票が回収できない先への支払いが生じた場合、個人使用も含めた発票を集め
て処理を行う。
他の発票にて流用することで、本来の支出項目がわからなくなる。さらに個人使用
のものや偽造のものが含まれていれば、そもそも損金処理ができなくなってしまう。

上記は決して珍しい事例ではありません。本社の管理の目が届かない現地法
人においては、特定の個人の考え方で運営方法が決められてしまいます。

現地法人の運営方法について、確認をお勧めします。

今回は海外進出の形態についてお話させていただきます。

 一概に海外進出といっても現地で何を行いたいのか、行う必要があるのか、
によって進出形態が変わってきます。主な進出形態として「駐在員事務所」「
現地法人(独資)」「現地法人(合弁)」「支店」が考えられます。


 「駐在員事務所」は、原則、現地で営業を行わず、日本本社の一部として連
絡業務、情報収集、市場調査、販売代理店の支援を行う形態です。


 「現地法人(独資)」は自社の出資のみで現地に会社を設立する形態です。自
社の裁量で会社経営を行うことができますが、国や事業内容によっては企業の
設立ができないことがあります。


 「現地法人(合弁)」は進出先の企業等と共同出資を行って設立する形態です。
信頼できるパートナーを見つけることが必須条件になります。現地の企業・消
費者に販売を行う場合には、大きな力を発揮してくれることを期待できます。


 「支店」は日本と同一法人で営業活動が可能な進出形態です。同一法人のた
め支店の行為についても日本本社が全ての責任を負う必要があります。国・事
業によって設置が認められないケースがあります。


 進出の目的等に合わせて進出形態を決める必要があります。一度設立すると
やり直しが困難なケースもありますので、じっくり検討して慎重に進めることを
お勧めします。

ベトナム法人の法的代表者、会長(出資者の代表者)や社長はベトナムに常
駐しなければなりません。そして、ベトナム法人の法的代表者が30日以上ベ
トナムを不在とする場合には、その権利及び義務を書面にて他の者へ委任しな
ければなりません。法的代表者は、契約書などにサインをする権利を有する者
となります。

 ベトナムに進出される企業の中には、日本本社の社長がベトナム法人の社長
を兼任され、ベトナム法人の法的代表者となる事例も多く存在します。このよ
うな場合、ベトナム法人の法的代表者は、常にベトナムを不在にすることとな
ります。ベトナム法人の運営には、法的代表者の委任状が必要となります。

 一方、代表者といっても、駐在員事務所の所長には常駐義務はなく、不在時
にも書面にて権利及び義務を委任する必要はありません。

 代表者が不在時のベトナムにおける法人や駐在員事務所の運営は、委任状を
作成するなどして行うことができます。しかし、不在であるからといって、ベ
トナムにおける個人所得税の納税義務を免れることはできないという税務の問
題があります。

 通常、いわゆる183日ルールをクリアしていれば、ベトナムにおいて個人
所得税の納税義務はありません。ベトナムにおいて、この183日ルールの免
税適用を受けるには、ベトナム税務当局に書面申請してその適用を認めてもら
うことが必要となります。しかし、代表者がこの免税適用を受けることは、実
務上、困難となっています。後に税務調査などで指摘された場合、最大で納税
額の3倍の罰金が科されることとなります。
 ベトナム非居住の場合であっても、代表者のベトナム個人所得税納税にはご
注意ください。

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