税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2018年05月

 実務上、送金等の問題で、日本の出張者の立替経費を「使用料」として中国
子会社に請求するケースがあります。

 このような場合、中国子会社は「使用料」から中国企業所得税を源泉徴収し
て日本の親会社に支払います。源泉徴収された中国企業所得税は日本の親会社
において外国税額控除及びみなし外国税額控除を受けることが、一般的です。

 しかし、このような役務の提供に係る中国企業所得税は、外国税額控除が認
められない旨の指摘があります。

 その業務内容にも拠りますが、出張者の立替経費は、一般的に日中租税条約
12条の使用料の定義になじまず、役務の提供対価に該当すると思われます。

 役務の提供については、 “PEがなければ課税なし” という日中租税条約の課
税原則に基づき、中国で課税されませんので、日本の親会社側でも外国税額控
除の問題が生じないはずです。

 中国(外国)に課税権がなく、課税されるべきでない所得に課税された中国
企業所得税(外国税額)は日本の外国税額控除の対象外だというのは、税務署
側の見解のようです。

 明確な除外条文がないうえ、実際に支払ったにも関らず、外国税額控除が認
められないことに違和感を覚えるかもしれませんが、外国税額控除制度の趣旨
からやむをえないと思います。

 支払った外国税額の損金算入は実務上可能のようですが、余計なトラブルが
ないように、このような国を跨る役務の提供業務について、予め国内外の課税
関係を検討することをお勧めします。

 外国からロイヤリティ等が送金される際、源泉所得税等が控除されます。そ
の税金はどうなるのでしょうか。

 日本では、国際間の二重課税を排除するために、外国税額控除という制度が
あります。外国税額は外国税額控除という形で、日本の法人税額から控除され
ることになります。
 外国税額控除は、まず外国での税引き前の金額を日本の所得として捉え、日
本の法人税を課した後、外国で納税された税額を日本の法人税額から控除する
というものです。
 ただし、外国で納税した税額すべてが控除できるわけではなく、一定の制限
が設けられています。

 控除限度額=法人税×国外所得/全世界所得

 これでわかるとおり、法人税が発生していない法人や日本で所得が発生して
いない法人では控除限度額は0となります。この場合、3年間の繰越が認められ
ています。しかしながら、3年連続で赤字の会社の場合は繰り越した3年分の外
国税額は控除されることなく切り捨てられることになります。
 そこで、外国税額控除ではなく、外国税額を損金算入することも認められて
います。赤字の場合、繰越欠損金は9年間は控除が可能となりますので、外国
税額控除と損金算入のどちらを選択したほうが有利となるかの検討が必要です。

 なお、現在では外国子会社からの配当の場合は、受取配当金の95%が非課税
となりましたので、上記の適用はなく、外国税額の全額が損金とはなりません。

 アジア新興国への進出を検討するための事前調査段階で気をつけていただき
たい4つのポイントについて記載させていただきます。

 1つ目は、たまたまの出会いに視野を狭くしないことです。日本や進出予定
国でたまたま出会った日本語のできる進出予定国の方と共同で事業を行うケー
スや、その方の言うことをそのまま信じて進出をしたケースが数多くあります。
出会いを大切にすることは重要で成功例もありますが、それ以上に失敗例もた
くさんあります。ここで重要なことは騙すつもり行ったのではなく、日本との
常識や制度、考え方の違いによって結果失敗に終わった事例も多いということ
です。信用した相手であっても両国の違いを把握したうえで、進出を決めてい
ただきたいと思います。

 2つ目は、候補国をフラットに調べることです。進出候補先を検討する時に
先入観のイメージで候補を絞るケースがあります。しかしながら実際に調べて
みたら先入観とは違ったというケースがよくあります。候補になりそうな国に
ついては公平かつ客観的に違いを把握することをお勧めします。その上で、視
察国を決定していただきたいと思います。

 3つ目は、事前に調べられる項目をピックアップしておくことです。各国の
基本要件データや業界特有データなど必要な項目をピックアップしてから事前
調査を行うことにより各国のデータ量のばらつきが減ります。これらについて
は事前に日本で調べられる項目も数多くあります。整理してから進めることが
ポイントです。

 最後の4つ目は仮説を立てることです。各国を調べていくなかで自社の進出
に適していそうな国が出てきます。そこでそのイメージにより仮説を立てます。
ここで重要なことはまだ1つに絞らず2つもしくは3つ残し優先順位を決めて
おきます。これは1国に絞ってしまい現地調査で仮説が外れた時に一からやり
直すことを防ぐためです。

 事前調査前のポイントを4つ上げさせていただきました。この後、現地調査
となりますが上記4つポイントを実施して現地調査をされると現地調査がより
有用なものになります。現地に行ってみないことも多くありますが、現地調査
を有意義なものにするためにも事前調査は重要になります。

 日本に一時帰国されたベトナム在住日本人の方々から、日本で電車移動する
のは少々不便との声をよくお聞きします。ベトナムではタクシーや社用車で
ドア・ツー・ドアに慣れすぎているからです。

 ベトナムのタクシーを運営企業で分類すると、国営、民間、個人があります。
国営ではSaigon Air TaxiやTaxi Saigontourist。民間ではMai Linh、Vinasun
Taxi(ホーチミン)やTaxi Group(ハノイ)が有名です。個人タクシーは組合
に入会して運行しますが、あまり管理されていないので、いわゆるボッタクリ
タクシーが多いようです。現在のタクシー料金は初乗りがおよそ1万2千VND
(約60円)で、その後1万5千VND(約75円)/kmと比較的に安めです。ホーチ
ミンの1区内の移動でしたら5万VND(約250円)あれば十分です。

 最近では、スマートフォンのGPS機能を利用したアプリでタクシーを呼べる、
UberやGrabTaxiのような新規参入企業が現れて、話題を呼んでいます。予約を
するとタクシーが必ず来ること、サービスを評価できること、クレジットカー
ド決済なので紙幣を用意する心配がないなど、とても便利です。ベトナム市場
は、世界でも中国に次ぐ2番目の速さで成長しているといわれています。Uber
の登録ドライバー数は2014年末の300人から1年余りで1万5000人近くまで急増
しています。

 民間のVinasun Taxiもスマートフォンアプリでもタクシーを呼べるようにな
っています。また、Mai Linhは、ソフトバンクの子会社ソフトバンクテレコム
・ベトナム及びベト・テクノロジー&ソフトウェア開発と共同で、タクシーで
無料Wi-Fiサービスの提供を開始しています。

 2020年の都市地下鉄の開通によって、タクシー社会が大変革するのを控え、
各社の顧客獲得の戦略に注目があつまります。

企業が海外進出をするにあたっていくつかの手順を踏む必要があります。今
回はこの手順についておさらいも意味合いも含めて記載させていただきます。

 手順を大きく分けると「海外進出検討段階」、「海外進出準備段階」、「生
産・営業準備段階」の3段階になります。この3段階の中で、最初に行う「海
外進出検討」をさらに細分化すると以下の通りになります。

(1)自社の経営理念・ビジョンの明確化と海外進出目的の明確化
(2)進出のための情報収集(国内にて)
(3)企画書作成
(4)現地調査
(5)事業計画書作成
(6)最終的な意思決定

 大切なことは最初に行う(1)の「自社の経営理念・ビジョンの明確化と海
外進出目的の明確化」です。海外進出の目的が自社の理念・ビジョンに合って
いるのかを確認します。

 下記の問いかけに明確な答えを持っている必要があります。

・なぜ海外なのか、国内ではダメなのか。
・なぜ今なのか、時期の検討はしたのか。
・海外進出のための体制はできているのか。

 この部分が確定していない場合、(2)~(6)に一貫性がなくなり計画を
作成しても実現性が低くなります。昨今は規模の大小にかかわらず海外進出を
検討する企業様が増加しており弊社でも多くのご相談を頂いております。しか
し、実際上記のような質問をさせていただいても明確なお答えをお持ちでない
ケースもございます。進出ありきになってしまい、海外進出が企業の手段でな
く目的になってしまっているケースです。

 タイミングを逸しないためにスピードも大切ですが、自社の理念・ビジョン
の手段として必要な戦略なのかじっくりご検討をされてはいかがでしょうか。

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