税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2019年01月

 2019年1月より、新たな個人所得税法がスタートしています。

 主な変更内容としては
・納税者の定義の変更
・年単位の納税方式の導入
・税率表の改定
・「総合所得」の導入
・6種類の追加控除項目(教育費・住宅賃料等)の制定
となります。今後は、何回かに分けて、取り上げていきたいと思います。

 今回は、第1回目として、具体的な内容に入る前に、今回の新法への対応が
「意外と」大変だと感じる点についてお伝えしたいと思います。

 それは
1.雇用契約の変更検討の必要性
2.税務局の申告システムの変化(厳格化)
という2つの点です。

1.雇用契約の変更検討の必要性
 課税所得から控除できる追加控除項目が設定されたことにより、個人の状況
ごとに、減税メリットが生じます。
 従来、中国の日系企業においては、従業員との労働契約において手取支給額
(実際に振り込まれる額)を決定し、その手取支給額にかかる個人所得税は会
社負担とする、手取契約を行っているケースが相当割合あります。
 しかし、この手取契約の場合は、追加控除項目を適用しても会社が負担する
個人所得税が減少するだけであるため、従業員が減税メリットを享受すること
はできません。
 従業員が減税メリットを享受するためには、手取契約から額面契約に変更し、
追加控除項目による減税メリットは手取支給額の増加という形にする以外にあ
りません。
 そのため、少なくとも、その変更について検討する必要があると考えます。

2.税務局の申告システムの変化
 ここ数年、税務局の申告システムが更新されていく中で、データ管理に重点
が置かれているという印象を受けています。個人所得税の申告においても例外
ではなく、給与金額のみならず、識別情報、中国滞在期間、国内給与・国外給
与の区分など、様々な情報の入力を求められ、その入力に基づき、税金が計算
されることになります。
 その結果、紙ベースでの申告は一切認められないという対応をされたり、当
局との相談・交渉も出来なくなりつつある、という印象です。
 一方で、システムも日々更新されているような状態で、税務当局の現場の人
員も情報が行き渡らず、新法の申告が実際にどのようになるのか、いまだ明確
になったとは言えない状況です。

 ぜひとも、中国に進出されている企業においては、情報が十分でないとはい
えど、上記を踏まえ、対応を検討いただければと思います。

 当社としても、少しでもその検討のお役に立てるように、今後も個人所得税
法の改定情報を継続して取り上げていきます。

 国税庁より「平成29事務年度 法人税等の調査実績の概要」が公表されまし
た。これによりますと、海外取引法人等に対する実地調査件数は前年比121.2%
の16,466件であり、このうち非違があったのは前年比134.9%の4,500件でした。

 1件あたりの申告漏れ所得金額も前年比127.9%の22,286千円となっており、
海外取引を行っている法人等に対する調査が積極的に実施されているというこ
とがはっきりと数字に表れています。

 また、海外取引等に対する源泉所得税等の実地調査の件数は前年比108.2%の
1,684件であり、調査による追徴本税額は前年比184.1%の7,828百万円でした。
源泉所得税に関する指摘も、法人税調査と同じく明らかに増加しています。海
外取引を行う法人についての税務リスク管理はより一層求められる状況となっ
ております。

 以前にもお伝えいたしました駐在員のベトナム社会保険について、詳細を
規定する政令が発行されました。今回は、その政令に規定されている加入対
象者についてお伝えいたします。 

1.加入対象となる者
以下の条件(1)及び(2)両方を満たす場合、強制社会保険の加入対象と
なります。
(1)ベトナム管轄機関により発行された労働許可書等を有する駐在員
(2)無期限労働契約又は1年以上の有期労働契約により就業する駐在員 

2.加入対象外となる者
以下の条件(1)又は(2)のいずれかを満たす場合、強制社会保険加入対
象になりません。
(1)企業内異動に赴任前の12カ月以上前に本社に採用され、現地法人の管
理者、CEO、専門家又は技術的な労働者として、本社から現地法人に一時的に
異動する企業内異動の駐在員
(2)定年退職年齢に達した駐在員(男性60歳以上、女性55歳以上)

 以上により、ほとんどの駐在員の方は、対象外となるのではないでしょう
か。なお、今回お伝えしたのは、いわゆる厚生年金及び労災に該当する保険
料であり、健康保険については、労働契約書がある駐在員の方は、加入義務
があるとされています。

  日本本社での海外子会社管理や現状把握についての相談が増えています。海外
進出企業は多様化しており、本社規模も様々です。そうした中で、海外子会社管
理へ投資できる経営資源(ヒト、モノ、カネ)は会社によって異なります。経営
資源が多い会社であれば資源を投入し、管理をしていますが、経営資源が比較的
少ない中小企業では管理に問題を抱えるケースが多くなっています。

 最も多い相談の1つが業績把握のズレです。海外子法人を管理できず、現状の
業績を把握できない、というものです。
 考えられる原因が2つあります。言語の問題と会計制度・申告制度の相違の問
題です。言語の問題は言わずとも知れた内容ですが、会計制度・納税制度の相違
はなかなか手をつけられないようです。その中身を紐解いてみると実際は「計算
方法が違うので、でてくる結果(業績)が違う」といったいたってシンプルな仕
組みになっていることがほとんどです。

 この問題を解決するためには、海外子会社の試算表・決算書が現地法制度上ど
のように構成されているかを把握することが重要です。海外子会社の試算表・決
算書の構成内容を把握することによって日本本社の試算表・決算書との違いを把
握できます。
 これが分かれば、どちらが歩み寄るのかを決めることになります。歩み寄るこ
と自体はそこまで難しくないことが多いです。(現状把握で問題が大きくなるこ
とはありますが)
 計算方法を合わせて、正確な業績把握をしていきましょう。

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