税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2019年03月

 前回、駐在員の社会保険の免除対象となる要件についてお伝えしたかと思い
ますが、今回は健康保険についてお話したいと思います。

 「社会保険」と言うと、大きな意味では健康保険も含まれる場合があります
が、前回お伝えした社会保険の免除要件に該当したとしても、健康保険は免除
されません。現状では、3カ月間以上の労働契約に基づき勤務する外国人は、
健康保険に加入する必要があります。この場合、駐在員の負担は対象給与の
1.5%、会社負担は3%となります。

 実務上、労働契約書が作成されている場合は、健康保険に加入されている駐
在員の方が多いようです。現地採用の方がこれに該当します。日本の本社から
出向されている方については、労働契約書を作成していない場合もあるため、
中には健康保険に加入されていない方もいらっしゃるようです。

 健康保険に加入しても、実際に使用する機会はほとんどないといっても良い
でしょう。ベトナムの医療水準は、昨今、外国人や富裕層向けの診療所等を中
心に上がっていますが、外国人や富裕層向けの診療は、健康保険の対象でない
ことがほとんどです。その他の病院や診療所は医療水準や言語の問題もあり、
駐在員にとって利用することは難しい状況です。従って、健康保険は駐在員に
とって掛け捨てということになります。多くの駐在員は、日本で損保などが取
り扱っている海外駐在員保険に加入し、必要があれば外国人向けの診療所へ行
き、海外駐在員保険より診察料や薬代を支払うことがほとんどという状況です。

 国税庁より「平成29年分の国外財産調書の提出状況について」が公表されま
した。これによりますと、提出件数等は次のようになっております。なお、国
外財産調書とは、その年12月31日時点の価額の合計額が5,000万円を超える国
外財産を有する居住者が翌年3月15日までに税務署長へ提出しなければならな
い調書であり、国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項の記載が求め
られています。

1.総提出件数 9,551件
(内訳)
 東京局6,154件(64.4%)、大阪局1,331件(13.9%)、
 名古屋局699件(7.3%)、その他1,367件(14.3%)

2.総財産額 3兆6,662億円
(内訳)
 東京局2兆7,485億円(75.0%)、大阪局4,274億円(11.7%)、
 名古屋局1,906億円(5.2%)、その他2,996億円(8.2%)

3.財産の種類別総額
 有価証券1兆9,252億円(52.5%)、預貯金6,204億円(16.9%)、
 建物4,038億円(11.0%)、貸付金1,705億円(4.7%)、
 土地1,449億円(4.0%)、上記以外の財産4,014億円(10.9%)

 提出件数及び総財産額の半分超が東京局であり、日本の富裕層が首都圏に集
中しているのが分かります。また、財産の種類別総額では、有価証券などの金
融商品が半分超となっています。

 ちなみに、国税庁が2019年1月に公表した「「国際戦略トータルプラン」に
基づく取組状況」では、CRS情報の自動的情報交換(非居住者の金融口座情報
を自動的に外国税務当局と交換)や租税条約等に基づく情報交換(取引の実態、
配当や不動産所得等に関する情報を外国税務当局と交換)により、海外への資
産隠しや国際的租税回避に対応していくとされており、海外における金融商品
の補足はさらに進んでいくものと想定されます。

 また、国外財産調書には、適正な提出を確保するため次のようなインセンティ
ブ措置等が設けられており、特に加重措置には注意が必要です。

《1》加算税の軽減措置
 提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生
じたときであっても加算税を軽減(▲5%)
《2》加算税の加重措置
 調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得
税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)
《3》罰則の適用
 正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の
懲役または50万円以下の罰金

 なお、平成29事務年度における所得税及び相続税の実地調査の結果、特例措
置を適用した件数及び増差所得等金額は次のとおりです。1件当たり平均2,600
万円程度の増差所得等について加重措置が適用されており、富裕層が対象とな
るケースがほとんどだと思いますので税額への影響は少なくないものと考えら
れます。

《1》軽減措置168件(45億7,467万円)
《2》加重措置194件(51億1,095万円)

 海外の財産状況も日本の税務当局が把握できる時代となっておりますので、
調書の提出を失念すると不要な税金が発生してしまう可能性が高まります。
まもなく2018年分の提出期限(2019年3月15日)を迎えますので、提出義務の
ある方はご留意ください。

本日は、新たな個人所得税法を取り上げます。

 

今回は、「税率表の変更」です。

 

左が旧法、右が新法となります。

 

変更点は、

  1. 月単位から年単位に変更された

  2. 税率320%が適用される課税所得の範囲拡大

2点となります。

 

  1. 月単位から年単位へ

新法においては、年単位で税率表を使用します。具体的には、1年を通じて同じ税率表を使用し、累計収入から累計控除を差し引いた累計課税所得に対して、税金計算を行ないます。したがって、1月は1ヶ月の収入しかありませんが、12月になれば、1年分の収入があるため、必然的に累計課税所得は増加し、結果として、適用税率が上昇する可能性があります。

 従来は月単位で税金計算を行っていたため、賞与の月を除けば、同じ税率が適用されていたことと比較すれば、1年を通じて税率が変わる可能性がある、というのは大きな変更といえます。

 

  1. 税率320%が適用される課税所得の範囲拡大

年単位である右の税率表を12等分すれば、月単位である右の税率表と比較可能です。

実際に比較すると、下記の通りです。

税率3%上限 旧法 1,500元 ⇒ 新法 3,000

税率10%上限 旧法 4,500元 ⇒ 新法 12,000

税率20%上限 旧法 9,000元 ⇒ 新法 25,000

となっているため、低中所得者層に向けた減税となることが見て取れます。ただし、累進課税であるため、高額所得者を除き、広く減税効果をもたらす変更であることは間違いありません。

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