税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2019年04月

 今回も前回までの流れで、個人所得税の改正を取り上げようとしていたので
すが、急遽変更し、増値税の税率変更について取り上げます。

 3月に行われた全人代で増値税の負担軽減について取り上げられ、全人代最
終日の15日に、4月1日から税率変更されるとの発表があり、20日付けで正式に
公告として発表されました。

 財政部・税務総局・税関総署、増値税改革の深化に関する関連政策の公告
2019年第39号によれば、概要は下記のとおりです。

・現在 16% ⇒ 4/1以降 13%
・現在 10% ⇒ 4/1以降  9%
 (輸出還付率についても、上記同様)
なお、6月30日までは、経過措置があることも明記されています。

 税率の変更は昨年もありましたが、昨年は1%の変更が今年は3%の変更とな
るため、今年はより影響が大きいといえます。取引を税込金額にて仕切ってい
るケースも多いので、4月以降の取引について、顧客とのすり合わせが必要です。

 さらに税率変更に加え、仕入増値税の控除拡大も合わせて明記され、旅行サー
ビス業では、本来仕入増値税の控除に必要な「専用発票」の取得に変え、電子
発票、運賃から控除できる仕入増値税を計算することを認めるなど、新たな取
組も明記されています。この仕入増値税の控除拡大については、企業のメリッ
トですが、一方で事務負担の増加もあるため、情報収集しきちんと対応できる
ようにしたいところです。

 国内に所在する土地を売却する際に生じる手数料等(国内において支払うも
のに限る。以下同じ。)については、国内において行われた役務の提供である
ため課税仕入れに該当し仕入税額控除の対象となります。ですが、土地の売却
は消費税法上非課税と規定されているため、当該土地の売却に係る手数料等に
ついては、仕入税額控除の計算において個別対応方式を選択した場合には「そ
の他の資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」として、控除対象仕入税額には
含まれません。

 一方で、国外に所在する土地を売却した場合については取り扱いが少々異な
ります。国外に所在する土地の売却に係る手数料等については「課税資産の譲
渡等にのみ要する課税仕入れ」として、個別対応方式を選択した場合にはその
全額が控除対象仕入税額に含まれることとなります。

 これは、消費税法に規定する非課税(消費税法第六条)の規定の書き出しが
「国内において行われる資産の譲渡等について~~」となっていることに起因
します。消費税法に規定する非課税とは「国内において行われた」取引に対し
て規定されており国外において行われた取引については規定されていないこと
となります。

 つまり、国外に所在する土地の譲渡に係る手数料等は課税仕入れとして仕入
税額控除の対象となり、当該国外に所在する土地の譲渡は非課税には該当しな
いため「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」として取り扱うことにな
ります。

 上記規定は土地に限定されたものではありません。取引の状況等を把握し、
その状況に沿って適用の是非を判断することとなります。

 進出を検討するための事前調査段階で気をつけていただきたいポイントにつ
いて記載させていただきます。

 1つ目は、事前に調べられる項目をピックアップしておくことです。各国の
基本要件データや業界特有データなど必要な項目をピックアップしてから事前
調査を行うことにより各国のデータ量のばらつきが減ります。これらについて
は事前に日本で調べられる項目も数多くあります。整理してから進めることが
ポイントです。また、現地のコンサルタント等に日本からアプローチすること
も重要です。いざ、現地に行って困らないために事前のピックアップをお願い
します。

 2つ目は、たまたまの出会いに視野を狭くしないことです。日本や進出予定
国でたまたま出会った日本語のできる進出予定国の方と共同で事業を行うケー
スや、その方の言うことをそのまま信じて進出をしたケースが数多くあります。
出会いを大切にすることは重要で成功例もありますが、それ以上に失敗例もた
くさんあります。ここで重要なことは騙すつもりで言ったのではなく、日本と
の常識や制度、考え方の違いによって結果失敗に終わった事例も多いというこ
とです。信用した相手であっても両国の違いを把握したうえで、進出を決めて
いただきたいと思います。

 最後の3つ目は仮説を立てることです。各国を調べていくなかで自社の進出
に適していそうな国が出てきます。そこでそのイメージにより仮説を立てます。
ここで重要なことはまだ1つに絞らず2つもしくは3つ残し優先順位を決めて
おきます。これは1国に絞ってしまい現地調査で仮説が外れた時に一からやり
直すことを防ぐためです。

 事前調査前のポイントを挙げさせていただきました。事前調査をした後、現
地に出張して調査となりますが、現地に行って確認しないとわからないことも
たくさんあります。現地調査を有意義なものにするためにも、事前調査をまず
はしっかり行うことをお勧めします。

 税務調査の際に、印紙税について指摘されることはよくありますが、海外子
会社との契約書についてはどのように考えるのでしょうか。実は、契約書の作
成が国外で行われる場合には、たとえその契約に基づく権利の行使が国内で行
われる場合や、その文書の保存が国内で行われる場合であっても、日本の印紙
税は課されません。

 つまり、重要なのは「契約書の作成の時」にその契約書がどこにあるのかと
いう点です。印紙税法では、契約書の作成の時を、一般的な共同作成文書につ
いては、契約当事者の署名または捺印が出そろった時をいうとされています。
したがって、海外子会社と契約書を取り交わす場合に、日本親会社が署名・捺
印して海外子会社へ契約書を郵送し、海外子会社が署名・捺印後に日本へ契約
書を返送してくるようなケースでは、双方の署名・捺印が出そろうのが海外で
あるため、印紙税は課されないことになります。

 ただし、税務調査での事実認定上のトラブルを避けるためには、根拠資料の
保存が重要です。契約書上に作成場所を記載することや、郵送した封書のコピ
ーおよび返信された封筒を保存しておくようにしましょう。

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