税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2019年08月

 日中社会保障協定の発効が本年9月1日であり、各所で情報を入手されている
と思いますが、今回は期日も迫ってきたことであり、現時点でのまとめとして
取り上げたいと思います。

1.対象となる保険
 この協定の対象は「年金制度」のみを対象としているため、日本は「国民年
金」「厚生年金」、中国は「養老保険」が対象です。したがって、それ以外の
医療保険等の制度は依然、滞在国の法令基づき加入が必要です。

2.年金加入期間の通算
 他国との協定においては、「年金加入期間の通算」を認めるケースもありま
すが、日中社会保障協定が定めるのは、あくまでも保険料の二重負担の解消の
み、となります。

3.調整の内容
 派遣開始日から5年間は派遣元国の年金制度にのみ加入。5年を超える場合に
は、申請に基づき両国が同意した場合、5年を超えない期間において、延長が
可能。また、協定発効日において、すでに派遣されている場合、協定発効日を
起算として5年間加入免除されることとなります。

4.調整を受けるための手続き
 原則として、派遣前に日本の年金事務所において「適用証明書」の交付を受
け、中国の社会保険料徴収機関に提出することとなっています。

 日本年金機構 適用証明書 HP
https://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/sinseisho/tenpu.html

 4の適用証明書については、8月から受付開始、発効日9月1日以降発送開始
とされています。自動的に二重加入免除となる訳ではない点、ご留意ください。

 海外進出を検討している企業の方とお会いさせて頂く機会をたくさんいただ
いておりますが、最近の海外進出は目的に変化があります。

 かつては、「日本の取引先から要望を受けたために進出する」(顧客ニーズ)、
「安い人件費を活用するために進出する」(原価改善)、「現地で〇〇なニー
ズがあるので進出する」(市場開拓)、といった目的が多かったのですが、最
近はこれらに加えて「人材が不足しているや人材を活用したい」という課題を
解決することを目的として海外進出を検討する企業が増えています。

 海外進出は何かを達成するための手段になると考えますので、その目的のた
め手段として検討・選択することは正しいと思いますが、その手段(今回で言
う海外進出)が最適かという点を再度検討いただくとよいかと思います。海外
進出は成功している企業がたくさんある一方で、リスクも大きくあります。自
社の課題解決に何が最も有効か再度検討してみてはいかがでしょうか。

 ベトナムで操業する企業は、ローカル企業及び外資企業いずれの企業であっ
ても、工業団地、輸出加工区及び経済区において様々な税優遇を受けることが
できます。通常、工業団地で操業する企業は企業所得税について、いわゆる、
2免4減(2年間の免税、4年間の減税)をはじめ、様々な期間の企業所得税優遇
を受けることができます。

 上記に加え経済区において操業する企業の労働者は、外国人労働者も含め、
個人所得税の50%減税を受けることができました。これは、日系企業にとって
は大きなメリットでした。本社からベトナム子会社へ出向しベトナムに駐在
する日本人の個人所得税は、手取り保証をする場合、日本での就労時に比べ個
人所得税が100万円~200万円は高くなることが多いためです。ベトナム子会社
設立当初は、ベトナム子会社の利益も少ない場合が多く、この駐在者の個人所
得税の負担が目立ちます。個人所得税の50%減税は、インパクトがある優遇税
制でした。

 しかし、この経済区の個人所得税の優遇は、2018年7月9日をもってなくなっ
てしまいました(税務総局の2019年4月8日付オフィシャルレター1285/TCT-DNN
CN)。このような優遇税制は、外資を誘致するための制度と言っても良いかと
思います。ベトナムの経済が発展するに従い、このような優遇税制はなくなっ
ていくのかもしれません。

 入国管理法の改正により新たな在留資格が創設され、日本で働く外国人の増
加が予想されます。日本における相続税法についても、日本で働く外国人の増
加に対応するような改正が一昨年行われました。前回は「居住無制限納税義務
者」の改正ポイントについて記載致しましたので、今回は「非居住無制限納税
義務者」について見ていきましょう。

◆非居住無制限納税義務者について
 相続又は遺贈により財産を取得した者が、非居住無制限納税義務者に該当す
る場合には、その取得した財産が国内であろうと海外であろうと日本の相続税
が課されることとなります。一昨年の改正により、非居住無制限納税義務者に
該当するかどうかの判定が次のように変更されております。
「非居住無制限納税義務者」の名前の通り、日本に居住していない者に対して
日本の相続税を課税するものですが、日本国籍を有するか有しないか、により
その判断基準が異なることとなります。

(1)日本国籍を有する場合
 相続人がその相続開始前10年以内のいずれの時においても日本に住所を有し
たことがなく、かつ被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場
合には、非居住無制限納税義務者から除外。

(2)日本国籍を有しない場合
 被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合には、非居住無
制限納税義務者から除外。

 改正前は、親子ともに海外居住であるケースの日本の相続税について、海外
居住期間が相続開始の時点にて5年超経過していた場合には、国外財産について
は日本の相続税が課税されないこととなっていましたが、一昨年の改正により、
その期間が10年に延長されることとなりました。
 また日本で働く外国人が日本で亡くなった場合、母国に居住するその外国人
の家族に対して、母国の財産についても日本の相続税が課税される法体系でし
たが、そちらについても上記改正により判断基準が緩和されることとなりまし
た。

 どちらのケースにしても、日本にある財産を相続や遺贈により取得した場合
には、引き続き日本の相続税が課税されることとなります。相続があった時点
における状況を整理し、相続税の対象となる財産の範囲を整理することは、相
続税を考慮する上で重要なこととなります。

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