税理士法人名南経営 国際部ブログ

国際税務やグローバルビジネスに関する情報をタイムリーに提供します!

2020年07月

 ベトナムにおいて個人所得税の基礎控除額が増加し、減税措置が決定いたし
ました。

 2020年6月2日、国会の常任委員会は個人所得税に対する扶養控除額を調整す
る決定第954/2020/UBTVQH14号を発行しました。個人所得税計算上の基礎控除
額と扶養控除額が変更されます。

・納税者本人に対する基礎控除額は、11百万VND/月(132百万VND/年)に増額。
 現行は9百万VND/月(108百万VND/年)。
・各扶養者に対する控除額は 4.4百万VND/月に増額。現行は3.6百万VND/月。

 本決定は2020年7月1日から発効し、2020年度に適用されます。納税済みの
2020年1月から6月までの個人所得税は年度の確定申告時に調整します。従業員
給与に直接影響があるので、7月からの給与計算時に留意が必要となります。
詳細は現地専門家にご相談することをおすすめいたします。

 令和2年度税制改正にて、子会社から配当を受け取った後にその子会社株式
を譲渡することによって、過度な譲渡損が計上されることを防止する措置が導
入されました。この改正は令和2年4月1日以後開始事業年度から適用されま
すので、子会社から配当等を受ける際にはこの措置に該当するかどうかの検討
が必要となります。

 この措置の具体的な内容は次の通りです。法人が特定関係子法人から受ける
配当等の額が株式等の帳簿価額の10%相当額を超える場合に、その配当等の金
額のうち益金不算入相当額をその株式等の簿価から減額することとなります。
なお、特定関係子法人とは、配当決議日において特定支配関係(法人及びその
関連者が株式等の50%超を保有)を有する他の法人をいいます。

 この措置は外国子会社からの配当等だけではなく、日本子会社からの配当等
も対象となりますので注意が必要です。また、この措置には次のような適用除
外要件が設けられていますので、子会社から配当等を受ける場合は、この適用
除外要件に該当するかどうかの検討が必要となります。

(1)内国普通法人である特定関係子法人の設立日から特定支配関係発生日まで
  の間において、その発行済株式数等の90%以上を内国普通法人等又は居住
  者が有する場合
(2)イーロ≧ハの場合
イ:配当決議日の属する特定関係子法人の事業年度開始日における利益剰余金
  の額
ロ:当該開始日からその配当等を受ける日までの間に特定関係子法人の株主が
  受ける配当等の総額
ハ:特定支配関係発生日の属する特定関係子法人の事業年度開始日における利
  益剰余金の額に一定の調整を加えた金額
(3)特定支配関係発生日から配当等の額を受ける日までの期間が10年超
(4)配当等の合計額が2,000万円を超えない

 新型コロナウイルスの影響によって悪化した日本の資金繰りを改善するため
に、海外子会社から配当で日本へ資金を送るケースもあるかと思いますが、こ
の措置の適用有無についての検討を忘れないようご注意ください。

 中国における2020年1月後半の旧正月休暇期間で日本へ一時帰国した駐在員で、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、中国に帰国することなく、この
3月・4月で、帰任命令が出ている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 このような状況の中で、中国における個人所得税の申告において、「居住者
としての申告」から「非居住者としての申告」に変更する必要があるため、留
意が必要です。

 2019年より正式に施行された個人所得税法では、居住期間によって、税金計
算の方法が異なります。

 まず、居住期間の判断基準ですが、暦年(1月1日~12月31日)で中国滞在期
間が183日を超える場合「居住者」となり、超えない場合は「非居住者」となり
ます。

 例えば、3月末で帰任となった駐在員は、「居住者」として3月まで、中国で
毎月、個人所得税の申告をしており、帰任にともない、4月以降は中国では申告
を取りやめているとします。

 しかし、1月後半から日本へ帰国している場合、2020年における中国の居住期
間が、183日を超えることはないため、居住者ではなく、非居住者としての申告
が正しいこととなります。

 もともと2020年年初の段階で帰任が決定していたのであれば、当初から「非
居住者」として申告することは可能ですが、そのような対応をとっていない場
合、あるいは急遽帰任が決定する場合には、前年どおり「居住者」として申告
している可能性が高く、その場合には「非居住者」への申告に変更する必要が
生じます。

 税額計算方法は、居住者は「年間累計」で課税所得を計算し、年単位での税
率表を用いるのに対して、非居住者は「1ヶ月」で課税所得を計算し、月単位で
の税率表を用います。

 それぞれの計算方法の特徴として、
・居住者申告:累計計算のため、年の前半は税率が低く、年の後半は税率が高い。
・非居住者申告:月計算のため、給与金額が変更なければ、税率は変更なし。
というものがあります。

 結果、年の前半で居住者から非居住者へ申告を変更する場合、居住者申告と
比べ、非居住者申告は納税額が増え、追加納税が必要となる可能性が高いです。

 変更の手続きについては、財政部・税務総局公告2019年第35号に、「年度終
了の15日以内に、税務機関に報告し、非居住者として納付税額をあらためて計
算し申告し、税額を追納するものとする」と規定されています。

 したがって、2020年の場合であれば、2021年1月1日~15日までに申告する必
要があることとなります。帰任後であるため、必要性の認識が出来ず、手続き
が漏れやすいので留意が必要です。

↑このページのトップヘ