税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2021年03月

2020年12月10日に与党から「令和3年度税制改正大綱」が公表され、国際課
税については、租税条約届出書の提出手続きの電子化が盛り込まれました。

 一部の届出書は対象外ですが、利子・配当・使用料など使用頻度の高い届出
書に適用される見込みです。

 日本からの利子・配当・使用料などの支払いを受ける非居住者等が租税条約
による源泉所得税の減免の適用を受ける場合には、租税条約届出書に外国税務
当局が発行する居住者証明書を添付する必要があります。
この届出書は日本の源泉徴収義務者を経由して税務署へ提出することになりま
す。

 しかし、コロナ禍においては、国際郵便の引受停止等によって、書面が受領
できずに租税条約届出書が提出できないケースが生じてしまいました。

 これを踏まえまして、令和3年度税制改正大綱では、一定の要件を満たす日
本の源泉徴収義務者に対しては、書面による提出に代えて、メールなどの電磁
的方法での提供が認められ、居住者証明書についてもスキャナなど一定の要件
を満たした電磁的記録による提供が可能となりました。

 また、日本の源泉徴収義務者も受領した届出書等を、電磁的な方法で税務署
へ提供できるように整備されていくようです。

 2019年に現行の個人所得税法が施行され、中国常駐者に対しては、
従来、月単位の税金計算方法だったのが、累計での税金計算方法に変わる等
大きな改正がありました。
 また、この改正の際に、2021年まで、従来の取扱い延長とされたのが
・年1回賞与の特例計算
・外国籍駐在員に対する住居手当等の免税取り扱い
となります。

今回は、上記のうち、年1回賞与の特例計算について、その概要と影響
について取り上げたいと思います。

・年1回賞与の特例計算
概要:年1回賞与については、給与の税金計算とは切り離して行うことが可能です。
   具体的には年1回の賞与に対して、12等分した金額をもって税率判定を行う
   ことが認められています。
   給与に適用される税率と12等分することで低減される、賞与に適用される
   税率との差によりメリットが生じるものとなります。

・適用が認められなくなる時期
賞与に対して、この特例計算が適用できるかどうかの判断は、支給時期となります。
そのため、2020年の勤務に対応する賞与を2021年1月以降に支給し、この特例計算を
適用している場合、「2021年まで」とされる、この特例計算の最後の適用となります。
 今後、特例計算の期限の再延長等、新たな規定が発表されなければ、2022年1月以降
に支給される賞与については、給与と合算して申告・納税計算を行うこととなります。
なお、21年1月に支給された賞与に対して特例計算を適用している場合において、2021年
12月に賞与を支給したとしても、年1回しか適用が認められないので、21年12月に支給
された賞与は給与に合算して申告することとなります。

・影響
仮に、年間手取り報酬50万元(日本円約800万円)、うち賞与10万元(日本円約160万円)
として、年1回賞与の特例計算を適用した場合、年間の税額において3.1万元(日本円約50
万円)ほどの節税メリットが生じます。
 22年以降の賞与について、この特例が適用できないとなれば、この節税メリットの分だ
けコストが増加することとなります。
 年間報酬の高い駐在員がいる場合、あるいは、駐在員の人員数が多い現地法人において
は、22年以降、コストアップ要因となりますので、ご留意ください。

 日本企業が海外の親会社等から資金を調達する場合、出資による資金調達か借
入による資金調達か意思決定を行います。出資による資金調達を行ったときは、
その対価として配当金を支払います。配当は剰余金の分配であり、その支払額
は日本企業の損金の額に算入されません。一方で、借入による資金調達を行っ
たときは、その対価として利子を支払います。利子は金銭消費貸借契約に基づ
き支払われるものであるため、その支払額は日本企業の損金の額に算入されま
す。

 本来出資によるべき子会社の資本部分を、過大な借入(過少資本)という形態
に代えることにより支払利息を多額計上すると課税所得が減少することになる
ため、その借入金に対する利子について制限を設けた規定をいわゆる「過少資
本税制」と呼称します。

 この規定は、日本法人が海外の親会社等から資金を借り入れ、利子を支払った
場合において、その海外親会社等に対する負債に係る平均負債残高が、その日
本法人の純資産にその海外子会社の持分を乗じて計算した金額の3倍相当額を超
えるときに適用されます。

 海外親会社からの出資等により設立された内国法人について過少資本税制が適
用される場合には、その海外親会社からの借入金に対する支払利息のうち、一
定の計算により算出された金額が損金不算入(加算・社外流出)となります。

 また逆のケースも考えられます。日本親法人が海外子会社に対して多額の貸付
を行い、その貸付金に対して利子を収受した場合、その海外子会社については
その海外子会社の所在する国や地域によって定められた過少資本税制に相当す
る規定により、海外子会社の支払利子について制限されることが想定されます
ので、十分にご注意ください。

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