税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2022年05月

 上海においては、3月中旬から、局所的な封鎖が始まり、3月28日から上海市を2分するロックダウンが始まり、原稿作成時点(5/19)では、ロックダウン全面解除とはなっておりません。
 ただし、現時点で5月中旬以降は順次解放、6月からは正常活動へという見通しはあり、その際に上海現地法人が留意すべき事項につき、今回は取り上げたいと思います。

1.資金繰り
 4・5月の売上がゼロという会社は珍しくありませんし、3月中旬からの局所的な封鎖の影響で、財務担当が出社できず、3月の売上発票も発行できていないケースもあるかもしれません。
 現地法人において、資金繰りに余裕があるケースは少なく、1か月分の売上回収が減少もしくは後倒しになることや、また、取引先が上海現地法人だとすると、連鎖反応から資金回収が滞る恐れもあり、資金繰りが厳しくなるケースがありますので、十分ご留意ください。

2.給与
 4・5月に支払うはずであった給与が支給できていないケースも多いです。
 出社できなければ支払い手続きが出来ないという場合はありますが、上海市賃金支払い条例には、遅延は1か月という規定がありますので、ご留意ください。
 また4月分の給与ですが、封鎖により、出社できない場合、1か月目は 正常賃金の支払いが必要となります。ただし、在宅勤務となっていない場合は有給を充てるという選択肢は可能ですので、ご検討ください。

3.物流
 ロックダウンの影響で、ドライバーが上海市を通過すると、高リスク地域を通過したとされ、隔離対象となることを回避し、配送をキャンセルするケースが増加し、上海市及びその近隣の江蘇省の各都市で、物流が停滞しております。
 5月に入り、過度な通行規制の緩和がなされ、少しずつ正常化へ向かっていますが、停滞していたものもあり、即座に正常に回るようになることは考えづらく、また、止まっていた物流を動かそうと配送依頼が殺到することが予想され、正常化までかなりの時間がかかることが予想されます。

 ベトナムへの渡航に関して規制が大幅に緩和されました。
5月15日、ベトナム当局は、海外からベトナムへの入国者について一連のコロナ対応が不要になることを発表しました。
(コロナ前の入国手続きと同様になります。)
なお、入国後10日間は健康観察期間となり、新型コロナウイルスの感染症状が出た場合には、医療機関への報告が必要となります。


5月15日時点でのベトナム入国までの手順は以下の通りとなります。
  • ベトナム法人で招聘状を申請(2-3週間程度)
  • 航空便・滞在先の手配
  • 招聘状発効後、在日本ベトナム大使館にてビザの取得(即日)

ベトナム入国後の手続きは以下の通りとなります。
  • 入国審査(ビザ・パスポートの検査)
  • 空港から滞在先へのタクシーでの移動が可能
  • 入国後10日間は自己健康観察期間


なお、14日以内の滞在であればビザ免除となります。
入国状況に関しては状況により変更される可能性が高いので、在越日本大使館および現地専門家に確認することをお勧めいたします。

 米国では富裕層を対象に金融所得課税の増税が検討されています。問題となっているのは、資産の未実現利益にも課税するという方針で、株式市場は動向を注視しているようです。日本でも金融所得課税の増税については、岸田政権発足後すぐに言及されており、その結果として株価を急落させたのは記憶に新しいところです。

 日本では金融所得については約20%の税率で課税されていますが、一方で例えば給与所得については、最高55%の税率で課税されています。現状の税制では富裕層になればなるほど金融資産による所得の割合が多くなり、実際に負担している税額が少なくなるという現象が生じるため、金持ち優遇になっていると財務省にて指摘されています。

 これを踏まえ令和4年度税制改正にて金融所得課税の増税が盛り込まれる可能性もありましたが、「一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮しつつ、諸外国の制度や市場への影響も踏まえ、総合的な検討を行う」に留まっております。

 ウクライナ情勢、終息しないコロナという今後の景気への悪影響が懸念される中、日本は金融所得課税の増税をしていくのかどうか、米国の動きも含めて注視したいところです。

 海外に進出されている企業様が、日本国内において気を付けなければならない点は多岐にわたります。
そこで税理士法人名南経営では、今回と次回(9月頃を予定)にわたって、特に租税条約、外国税額控除、外国子会社合算税制にスポットを当てて、勉強会を開催致します。
 今回は勉強会前編として、それぞれの国際税務に関する大枠を中心に解説致します。
実際に実務対応をしている弊社だからこそ、お話できる内容も多数ございますので、是非ご視聴ください!!

【カリキュラム】
1)それぞれの制度の意義及び内容
2)具体例を用いた実務対応

【講師】
 税理士法人名南経営 国際部 角田 悠

【開催要項】 
 日 時:2022年6月9日(木) 15:30~16:30    
 会 場:Microsoft Teamsライブイベント機能を利用したオンラインセミナー
 対象の方:海外進出企業様(同業の方のご参加はご遠慮ください)
 受講料:無料
 定 員:50社様

◆◇◆お申込方法及び詳細◆◇◆
・こちらの申込フォームからお申込みください。

※参加URLは、開催日の3営業日前【6月6日頃】に、お申込み時にご登録のメールアドレスへお送りします。
 尚、開催日前日のAM10:00時点で参加URLのメールが届かない場合、お手数ですが、登録フォームの問合せ先までご連絡ください。

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