税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2022年12月

 もうすぐ令和5年度の税制改正大綱が公表されますが、各省庁からの税制改正要望によると令和5年度の税制改正では研究開発税制、電子帳簿、中小企業投資促進税制等、NISA制度、相続時精算課税など例年よりも多くの改正が見込まれています。その中で国際税務に関する主要な論点は、最低税率課税制度の導入に伴う外国子会社合算税制の簡素化、海外支店と海外子会社の税務上の取り扱いの同一化、国外転出時課税の利便性の向上などでしょうか。

 実務的に影響が大きいと思われる外国子会社合算税制の簡素化については2022年11月10日の記事「最低税率課税の導入と外国子会社合算税制の今後」にて解説をさせていただきましたので、今回はその他の論点について簡単に解説をさせていただきます。


1.海外支店と海外子会社の税務上の取り扱いの同一化 
 我が国の税制では、海外支店については「全世界所得課税」、海外子会社については「テリトリアル課税」を採用しており、税務上の取り扱いが大きく異なっています。そのため、海外支店で稼得した所得は日本で合算課税される一方、海外子会社で稼得した所得を配当で日本親会社に還流した場合には益金不算入とされます。また、両者では適用される税率にも差があり、海外支店形態での進出の妨げとならないよう両者の取り扱いの統一が望まれます。

2.国外転出時課税の利便性向上
 国外転出時課税については10月20日配信のメルマガにて概要のご説明をさせていただきましたが、納税猶予手続をする場合に非上場株式の場合には株券による担保の提供が必要であり、そのために株券発行会社への移行手続きをしなければならないなど、国外転出時課税がスタートアップ企業の海外進出の妨げになっているという指摘がありました。株券によらない担保提供を可能とするための措置が検討されています。

 11月となり、年末年始あるいは旧正月休暇での日本への一時帰国を検討されている駐在員の方も多いと思います。今回は、中国から日本入国時の手続きについて、取り上げたいと思います。

1.入国の際に必要な証明書
下記2つのいずれかの証明書が必要となります。

1)世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに掲載されているワクチンの接種証明書(3回)
→ 対象となるワクチンに中国製ワクチンも含まれています。下記HPにて御確認ください。
※なお、中国製ワクチンの証明書は、微信のミニプログラム「防疫健康码国际版」にて取得する必要があるので、ご注意ください。「健康码」等の表示は認められません。

2)出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書
→ 所定フォーマットによる証明書が必要です。中国語の所定フォーマットは下記HPにて御確認ください。https://www.mhlw.go.jp/content/000912363.pdf

2.日本入国時の検疫措置
有効なワクチン接種証明書 入国時の検疫措置
出国前検査証明書 質問票 到着時検査 入国後待機
あり 不要 必要 なし なし
なし 必要
※厚労省HPより
質問票への回答が必要です。

3.ファストトラック
ファストトラックを利用することで、上記質問票への回答を行い、入国時の手続きを簡略化することが可能です。入国日によって対応方法が異なります。
Visit Japan Webサービスを利用することになります。
  
 手続き方法については、上記HPを参照ください。いずれも、事前に申請することが可能であり、渡航前に手続きをしておくと安心です。

 新型コロナウィルス感染症への対応が世界的に和する中、日本国内での人手不足や市場縮小を懸念し海外進出を検討し始める会社が増えてきております。海外進出といっても形態は様々あり、リスクの程度も異なります。今回は海外に業務委託する場合の種類とリスクをお伝えいたします。

・商社を介した間接貿易
海外業者と1対1での貿易は品質、納期、債権管理等のリスクを伴います。両者の間に商社を介することにより自社のリスクを低減することが可能です。リスクは低く抑えられる一方、発注単価に関しては商社に依存します。

・現地企業との直接貿易
直接現地の業務委託先を開拓し契約する方法です。試作品や小ロットの発注により品質、納期等で信頼できる業者を見分ける必要があります。納期、品質等の責任の範囲を事前に契約書等で取り決める必要があります。材料支給業務委託の場合、支給した材料を転売したり、支給材料を使わず模倣品を使用したりするリスクがございます。

・駐在員事務所の設置
駐在員事務所は本格的な現地進出への準備段階として使われるのが一般的です。基本的に営業活動をできないことが多く、市場調査等の情報収集のみの拠点としておくことが可能です。拠点を設けて活動できるため、出張ベースでは対応できない調査が可能となります。また、経費に関しても事業内容に直結するものであれば基本的に日本側で損金算入が可能です。出資等はないため通常の経費以上のコストは発生せず、リスクを抑えることが可能です。

・法人の設立
海外に直接投資をし、事務所や工場を設け、従業員等を採用しながら現地への浸透を図ります。ある程度の出資金が必要になり、事業として黒字化するまでは資金繰りを本社で負担する必要がございます。法人を設立するため撤退時も手続きが必要となり、一部の国では撤退の手続きに数年期間を要する可能性がございます。

 以上、進出の種類とそのリスクに関してご説明いたしました。

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