税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2024年04月

 その年の12月31日において国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える財産を有する居住者は、国外財産調書を提出する必要がございます。国税庁は令和6年1月に「令和4年分の国外財産調書の提出状況について」を公表しました。今回公表された内容によると令和4年分については、総提出件数は12,494件、総財産額は5兆7222億円とのことでした。
 令和5年分からは提出期限など一部見直しが行われておりますのでこの機会に是非ご確認ください。

1.改正点
<提出期限>
 令和4年分まではその年の翌年3月15日までが提出期限でしたが、令和5年分からはその年の翌年6月30日までに延長されました。

<記載の簡略化>
 青色申告決算書又は収支内訳書の「減価償却費の計算」欄に記載された減価償却資産については、資産ごとに区分して記載することを省略することができるようになりました。なお、省略する場合は国外財産調書に総額で記載を行います。

2.注意点
<財産債務調書との関係>
 似ている制度として財産債務調書がございます。財産債務調書の提出が必要な方であっても、国外財産調書の対象者に該当する場合は国外財産調書の提出が必要になります。
 この場合、国外財産調書へ既に記載している内容は財産債務調書へは合計額を記載すればよいこととなっております。

<有価証券>
 個人の出資で海外に会社を設立した場合など外国法人の株式を所有している場合には国外財産に該当します。

<相続があった場合>
 年の途中で相続があった場合には、相続によって承継した財産以外の国外財産で提出の有無を判断することができます。
 こちらに記載いたしました注意点はあくまで一部になりますので、詳細は下記に添付いたしましたリンクより国外財産調書制度のFAQをご確認ください。

3.特例と罰則
 国外財産調書を提出期限内に提出が行われた場合、記載された国外財産に係る所得税又は相続税に対する申告漏れが生じたときは、その国外財産に関する申告漏れに係る部分の過少申告加算税や無申告加算税が5%軽減される措置か講じられております。
 一方で、国外財産調書を提出期限内に提出がされておらず、記載された国外財産に係る所得税又は相続税に対する申告漏れが生じたときは、過少申告加算税や無申告加算税が5%加算されることとなっております。

<参考リンク>
国税庁HP 
「国外財産調書制度に関するお知らせ」

 ベトナムの報道によれば、ベトナム財務省は個人、事業世帯について、付加価値税(VAT)の課税対象となる売上基準1億VND(約61万円)以上を年間3億VND(約183万円)以上に引き上げる提案を退けたようです。提案を退けたのは税収減への懸念などが主な理由のようです。課税対象となる売上基準1億VND(約61万円)は、日本の課税事業者となる課税売上高1,000万円に比べると随分と基準金額に差があるようです。引き上げを求める背景には現行法が施行された2014年以降、消費者物価指数(CPI)が大幅に上昇したことが挙げられています。一方、VATによる税収は政府歳入の20%を占めており重要な収入源となっています。

 ベトナム財務省はまた、海外向けのサービスに関するVATに課税するということを検討しているようです。検討段階なので詳細は不明ですが、サービスの輸出、IT等の企業の競争力に悪い影響が出る可能性があります。ご承知のとおり、日本からはITや設計を行う企業へ投資が行われています。仮に、これらのベトナムIT等企業の売上に10%のVATが課税されたら影響は大きいでしょう。日本の企業がこれらベトナムIT等企業からサービスを購入する場合、日本の売上にかかる消費税からベトナムIT企業からサービスを購入する時に支払うVATを控除できるわけではないので、日本の企業はベトナムIT等企業からサービスを購入する場合、単純に10%価格が高くなります。今後の改正同行について、詳細が分かりましたらこちらでお伝えしようかと思います。

 2023年12月29日に中国会社法の改正が決定し、2024年7月1日から施行されることとなりました。
 今回は資本金に関わる部分につき、説明させていただきます。


1.資本金の払い込み期限  47条
 前回2013年の会社法改正に続き、今回も再度変更となりました。前回の変更はそれまでの期限つき払込制(期限以内に全額資本金を払い込むことを要請)から、完全引受制(払込期限は任意であり、引き受けを確定させるのみ)へ変更されていますが、再度、期限つき払込制へ戻すこととなりました。
 なお、期限については、5年以内に払い込むことが要請されることとなります。
 2024年7月1日以降に設立される会社は当然この改正のとおりの取扱いとなりますが、一方で、2013年以降に設立した会社で、資本金がまだ全額振り込まれていない 会社については、対応が必要です。
 したがって、まだ全額払い込まれていない法人については、払込をする必要が早晩生じることとなります。
 当初と事業環境が異なり、全額の払込は不要だという法人については、登記情報の変更等の対応が求められることになるものと考えられます。

※上記を受け発表された意見稿(未確定)では下記のとおり規定されています。
2024年7月1日から2027年6月30日まで、3年間の過渡期を設定することとされ、『会社法』施行前に設立された有限責任会社の2027年7月1日からの余剰出資期限が5年未満である場合、出資期限を調整する必要はない。
『会社法』施行前に設立された有限責任会社が過渡期内に出資期限を調整していない場合、会社登記機関は法に基づいて90日以内に出資期限を調整することを要求することができ、出資期限は2027年7月1日から5年を超えてはならない。


2.持分割合に応じた減資  224条
 2013年以降、設立申請時に余裕をもって、資本金を設定していた会社において、上記払込期限が設けられた関係で、当面必要のない資本金については、減資を検討されるケースも出てくると思います。今回の会社法改正において、減資においては、持分割合に応じた
 減資が原則的取扱いになる旨が明記されていますのでご留意ください。例外的な取扱いとして、有限責任公司においては、「全出資者による別段の合意がある場合」については、保有割合に応じない減資も出来る余地は残されています。
 

3.剰余金及び資本金による欠損補填  214条 225条
 剰余金による欠損補填が認められることとなりました。その順番としては、剰余金のうち、任意積立金と法定積立金を活用し、それでも穴埋めしきれない場合には、資本金による欠損補填が認められることとなります。
 ただし、欠損補填を行った場合、任意積立金と法定積立金の累計額が資本金の50%に達するまでは、利益配当は認められておりませんので、ご留意ください。

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