税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2024年07月

 2023年12月29日に中国会社法の改正が決定し、2024年7月1日から施行されることとなりました。
 今回は董事等高級管理職における責任の負担増に関わる部分につき、説明させていただきます


1.董事、監事、総経理等、高級管理職の義務

180条
 董事、監事および高級管理職は、法人に対する忠実義務を負い、自らの利益と法人の利益との衝突を回避する措置を講じ、不当な利益を追求するためにその権限を行使してはならない。
 董事、監事、および高級管理職には法人に対する勤勉義務があり、職務を遂行する際には、法人の最大の利益のために管理者に通常期待される合理的な注意を払う必要がある。
 公司の支配株主または実際の支配者が公司の董事を務めていないが、実際に公司の業務を執行している場合には、前2項の規定が適用される。

 忠実、勤勉義務が明記された。業務執行の履歴が残っていないような名目上の董事は、その義務を履行していないと判断されるリスクがある。合弁の場合は、より注意する。


2.董事の清算業務にかかる責任

232条
 この法律第 229 条第 1 項第 1 号、第 2 号、第 4 号又は第 5 号の規定により公司が解散した場合には、清算するものとする。 董事は公司の清算義務者であり、解散事由発生日から15日以内に清算委員会を結成し、清算を行うものとする。
 清算委員会は、定款に別段の定めがある場合、または株主会で他の人物の選任が決定された場合を除き、董事で構成される。
 清算義務者が清算義務を履行できず、法人または債権者に損失を与えた場合には、賠償責任を負う。
    
→ 董事が清算義務者であること、及び清算が滞り、法人・債権者に損失を与えた場合に賠償責任を負うことが明記された。


3.配当・減資にかかる賠償責任

211条
 この法律に違反して株主に利益を分配した場合、規定に違反して分配された利益を公司に返還しなければならない。法人に損失が生じた場合、出資者、責任のある董事、監事、高級管理職は賠償責任を負う。
226条
 この法律の規定に違反して登録資本金が減少した場合、株主は受領した資金を返還し、出資額を原状回復しなければならない。法人に損失が生じた場合、出資者、責任ある董事、監事、高級管理職は賠償責任を負う。

 出資金の流出を認めないスタンスをとっており、手順を守らない配当・減資は賠償責任の発生する可能性があることに留意する。

 人口は需要や供給等の構成要素として経済成長を予測する上で重要指標となります。日本では2005年から人口減少が始まり、近年では毎年60万人以上のペースで人口減少しております。一方でベトナムをはじめとする東南アジアの国々は少子化の兆候があるものの引き続き人口増加となっております。今回は日本とベトナムの人口構成を比較しベトナムの可能性について記載します。

  • 総人口:日本は12千万人、ベトナムは10千万人となっており、ベトナムは日本の8割ほどの規模になります。
  • 生産年齢人口(15-64歳):日本は7.4千万人、ベトナムは6.6千万人となっており、ベトナムは日本の9割程度の規模となっております。日本では少子高齢化のため生産年齢人口は減少し続けており、ベトナムは年間80万人程の増加になっております。
  • 就業者数:日本は6.7千万人、ベトナムは5.3千万人となっており日本の8割ほどの規模となります。日本では働き方改革等により高齢者や女性の社会進出が進み増加傾向となっております。ベトナムは比較的高齢者が少なく若者が多いため増加傾向にあります。
  • 就業者余力:生産年齢人口から就業者数を引いた人数は日本では0.6千万人、ベトナムでは1.2千万人となっており、ベトナムは日本の倍近くとなっております。日本と比べ、ベトナムは人的資源の余力があるといえます。
  • 出生数:日本は72万人、ベトナムは130万人となっており、ベトナムは日本の1.8倍となっております。双方とも減少傾向ではありますが、日本は過去最低を更新し続けております。

 以上から日本は人口減少社会であるが就業者数は現状伸び続けている。一方で就業者の余力が少なくなっており、将来的な就業者の源泉である出生数も減少しています。ベトナムにおいては人口増加しており、就業者の余力も多く出生数も日本よりも多くなっております。人口構成から見ると、ベトナムを含む外国の就業者を活用せざる負えない状況にあるといえます。就業者の活用手段に関しては海外進出あるいは就業者の日本への受け入れ等がございます。詳細は専門家にご確認ください。

<参考リンク>
税理士法人名南経営国際部チャンネル
「ベトナムの人口構成」https://youtu.be/A5bPNHdFztM

 愛知県・公益財団法人あいち産業振興機構様主催の中国ビジネスセミナー「新局面の中国経済と進出日系企業の諸課」が開催されます。弊社近藤が講演2の講師を務めさせて頂きます。皆様、ふるってご参加下さい。

<セミナー概要>
日時
2024年8月8日(木)午後2時から午後4時まで(受付開始 午後1時30分)

会場
あいち国際ビジネス支援センター セミナールーム
(名古屋市中村区名駅四丁目4-38 愛知県産業労働センター(ウインクあいち)18階)

内容
講演1「経済指標から見る中国経済の現状と課題」
 講師:深圳喜希創新諮詢有限公司 董事総経理 岩井 貴嗣 氏
 
講演2「最近の相談事例と中国事業の撤退の際の留意事項」
 講師:上海納克名南企業管理諮詢有限公司 総経理 近藤 充 氏
(愛知県江蘇省サポートデスク 運営担当)

パネルディスカッション
「中国進出日系企業の新たな戦略 危機対応はいかに」
 パネリスト
 深圳喜希創新諮詢有限公司 董事総経理 岩井 貴嗣 氏 
 上海納克名南企業管理諮詢有限公司 総経理 近藤 充 氏
 モデレーター 
 公益財団法人あいち産業振興機構 新事業支援部国際ビジネスグループ 課長 稲熊 浩一 氏

申込先:愛知県 電子申請・届出システム

詳細
20240704-1
20240704-2

 皆さんは、海外との取引をする場合の消費税について、普段どのように意識をされておりますでしょうか。海外を通して取引する際の消費税の注意点をテーマごとにご紹介していこうと思います。第1回目となる今回は「輸入取引の概要」についてご紹介していきます。

誰が何に対して課税されるのか
 まず、輸入をする際の納税義務者は”外国貨物を保有地域から引き取る者”になります。ここで注意を頂きたいのは”事業者でなくても””対価を得て行われていなくても”課税の対象となる点です。私たち個人であっても海外で輸入をする際には課税がされますし、万が一無償で輸入をした際にも課税の対象になります。
 次に、実際に課税をされる外国貨物は、(1)外国から日本に到着した貨物で輸入が許可される前のもの(2)輸出の許可を受けた貨物をいいます。外国貨物の中には一部課税の対象にならないものがあり、品質表示ラベルや引っ越しをする際の荷物などは消費税が免除されております。また、課税価格の合計額が1万円以下の物品については関税が免除されており、関税が免除されるものについては消費税も免除されます。

外国貨物の課税標準
 外国貨物の課税標準はCIF価格に消費税以外の個別消費税の額および関税の額に相当する金額を加算した合計額になります。CIF価格はCost Insurance and Freightの略ですが、仕入書に記載された輸入貨物の取引価格、輸入港までの運賃及び保険料等の合計額のことを指し、日本に到着するまでにかかった価格を想像して頂ければと思います。

今回は輸入についての概要をご説明させて頂きました。輸入と一言で言っても論点は様々ありますので、次回はその中でも輸入時に気を付けて頂きたい論点をご紹介したいと思います。

<参考リンク>
国税庁
「No.6563 輸入取引」
税関
「1703 免税規定(関税定率法等)に係る消費税等適用一覧(カスタムスアンサー)」
「1006 課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について(カスタムスアンサー)」

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