税理士法人名南経営 国際部ブログ

国際税務やグローバルビジネスに関する情報をタイムリーに提供します!

2025年04月

 日越の人材交流が活発なこともあり、 ベトナムは日本企業の投資先として一定の認知度を獲得しており、近年では韓国、中国及び台湾等のベトナム投資が増加しています。ベトナム国外からの活発な投資により、ベトナム内需も比較的活発となっています。一方、直近の対ベトナム投資の環境は、米国の高関税率により不透明な状況となっています。本セミナーでは、ベトナムの経済の現状を指数等により理解したうえで、直近の投資・事業活動上の留意点の概要をご説明します。

◆カリキュラム
1)ベトナム経済の現状
2)投資対象となる事業分野と特徴
3)投資・進出上の留意点

◆講師
 税理士法人名南経営 国際部 盛田 信

◆開催要項
日 時  :2025年5月23日(金)  15:00~16:00
会 場  :Zoom機能を利用したオンラインセミナー
お勧めの方:ベトナム進出をお考えの企業様、海外進出企業様
     (同業の方のご参加はご遠慮ください)
受講料  :無料
定 員  :50社様

◆お申込フォーム

 2025年3月7日、ベトナム政府は決議第44/NQ-CP号により、以下の12の国の国民に対しビザ免除措置を適用することを決定しました。

 ドイツ連邦共和国、フランス共和国、イタリア共和国、スペイン王国、イギリス及び北アイルランド連合王国、ロシア連邦、日本、大韓民国、デンマーク王国、スウェーデン王国、ノルウェー王国、フィンランド共和国

 これにより、2025年3月15日から2028年3月14日までの3年間、これらの国の国民は入国日から 45 日間の滞在が許可されます。日本の国民にとっては、2023年8月15日から適用されていたビザ免除措置が3年間延長されることとなります。なお、入国条件は以下のとおりとなります。

  1. ベトナム入国の時点で旅券の有効期間が6か月以上であること
  2. 45日以内のベトナム出国のための航空券を保有していること
  3. ベトナムの法令の規定により入国禁止措置の対象となっていないこと

 上記入国条件の1.については失念することが多いと思われ、注意が必要です。また、入国条件2.についても、入国する際には帰国日が未定の場合であっても、45日以内に出国するための航空券の提示が必要となります。2.を満たしていない場合、実務上、ベトナムへ向かう空港において、航空会社より飛行機への搭乗を拒否されることもあります。搭乗日変更可能なベトナム出国のための航空券を用意するとよいかと思います。

 展示品や職業用具、商品見本を別の国に持ち出す際、カルネという通関書類を利用することで輸入税や消費税などが免税になる場合があります。今回はこの一時輸入制度について取り上げます。

 一般的に商品を日本から持ち出して他の国に持ち込む際は通関手続きを行う必要があり、場合によっては輸入税や消費税などが課税されます。ただし一時的に外国へ持ち出す場合に限り、カルネを利用することで通関書類の作成や保税支払いといった通関手続きを省くことができます。一時的に持ち出すという条件に当てはまらない場合、例えば日本へ持ち帰らないものや輸出時と形状や性質が変化するものはカルネを利用することはできません。展示会で紹介する商品を持ち出す、現地調査のための機材を持ち出すというような場合に利用することができます。

 カルネとはフランス語で手帳という意味を持つ単語ですが、ここでは一時輸出入する物品の通関に利用できる、免税のための通関書類のことを指します。カルネにはATAカルネとSCCカルネの2種類があり、ATAカルネは物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)に加盟する約80カ国で利用可能です。一方でSCCカルネは日本と台湾間の協定に基づいており、日本と台湾の2カ国間のみで利用可能です。

 利用時の注意点は2点あります。1点目はカルネの発給日から1年以内に物品を持ち帰る必要があることです。2点目に加盟国によっては展示品や職業用具、商品見本という3種類のうち一部の用途しか認めていないことがあるため相手国のカルネ使用状況を確認する必要があります。

 カルネの発給は一般社団法人日本商事仲裁協会が行っています。もし条件に当てはまる輸出入の機会がある場合はカルネ利用をご検討されてみてはいかがでしょうか。 

<参考リンク>
一般社団法人日本商事仲裁協会
「カルネとは?」
税関
「物品の一時輸入のための通関手帳(ATAカルネ)」

1.概要(東京地裁令和5年12月7日判決)

 内国法人Xは、タイの製造販売子会社Sへ部品の輸出販売を行っている。そのほか、XとSの間で、棚卸資産取引、無形資産取引、役務提供取引が行われていた。これらの取引につき、XがSから支払いを受けた対価の額が、独立企業間価格に満たないとして、移転価格税制に基づく更正処分等を受けたものです。本件のうち、比較可能性に関する判断を取り上げます。

2.比較可能性に関する判断

 裁判所は、TNMM(取引単位営業利益法)に準ずる方法と同等の方法の適用に際し、国外関連者と比較対象法人の差異につき、(1)売上高営業利益率の相違に重要な影響を与えないか、(2)当該差異が与える影響を取り除くために相当程度正確な調整が可能か、という2つの論点から比較可能性を検討しました。その結論として、下記のように説示しました。

(1)の売上営業利益率に対しては、双方の事業内容・保有する無形資産・リスクを比較し、売上高営業利益率の相違に重要な影響を与えるような差異であるということはできない。

(2) 差異調整の可否に対しては、双方の市場占有率・需要を比較し、売上高営業利益率の相違に重要な影響を与えるとし、市場の状況に関する差異が売上高営業利益率の相違に与える影響を取り除くための相当程度正確な調整は可能ではない。

3.まとめ

 移転価格税制の基本的な考え方は、独立企業間価格であり、価格に対しての比較可能性が求められます。本事案においては、市場占有率と需要の差が営業利益に重要な差異を与えるとし、TNMMの適用が違法と判断されました。

 比較可能性は、「取引実態の的確な事実認定とその経済的な分析評価が重要」※1 であります。しかし、厳密に比較すればするほど比較対象は絞られるうえ、比較対象法人の情報入手は、例えばホームページ等で公開されている情報に限られます ※2

 事例判決ながらも、独立企業間価格を算定するのに際し、最も適切な算定方法はどの算定方法であるか 、比較可能性があるか否か、といった最も適切な算定方法をより慎重に検討する必要性を示す一例となりました。


※1 田中俊久「移転価格課税における比較可能性の要件について」 (税大論叢71号、平成23年6月28日)333頁。
※2 別冊 移転価格税制の適用に当たっての参考事例集 (国税庁HP、https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/010601/pdf/bessatsu.pdf、11頁参照。最終確認2025年2月。)
※3 本判決を不服として、国側が東京高等裁判所に控訴しておりましたが、2024年12月に控訴棄却となっています。

↑このページのトップヘ