今年ももうすぐ半年が経過しようとしており、そろそろ今年のふるさと納税を選択しようとされている方も多いのではないでしょうか。今回は、海外赴任者のふるさと納税について考えていきたいと思います。

ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄付額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限はあります。)。
控除を受けるためには、原則として確定申告を行う、もしくは確定申告の不要な給与所得者等の方で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合にはワンストップ特例制度を活用することができます。
次からは事例をもとに考えていきましょう。

ふるさと納税を行った翌年に海外赴任をした場合
Aさんは、勤めている会社から2024年5月に海外転勤の話を打診され、翌年4月1日から海外赴任することになりました。Aさんは2024年中に既にふるさと納税を行っています。
この場合、Aさんは2025年1月1日時点では居住者であるため、住民税の納税義務が発生します。そのため確定申告もしくはワンストップ特例制度を活用できる方ならワンストップ特例制度によって税金の控除を行うことが可能です。

ふるさと納税を行った年に海外赴任をした場合
Bさんは、勤めている会社から2024年3月に海外転勤の話を打診され、同年12月1から海外赴任することになりました。Bさんは2024年中に既にふるさと納税を行っています。
この場合、Bさんは2025年1月1日時点では非居住者であるため、住民税の納税義務が発生しません。
仮に、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であったとしてもワンストップ特例制度は適用できないことに注意が必要です。また、確定申告を行うことで所得税の還付を受けることができますが、所得税からの還付額(控除額)は、(ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×所得税率となっており、寄付された方の所得税率により還付金額が異なります。こちらの計算式にあるように、先ほどのふるさと納税を行った翌年に海外赴任をした場合 と違いこの事例ではふるさと納税の寄付金額から2,000円を引いた全額を税額控除できるわけではありません。
また、出国時までに納税管理人の選任を行わなかった場合には、確定申告期限は「出国時」までになりますので、納税管理人の選任もお忘れないようにお願いします。


 このように、ふるさと納税をされた年に海外赴任をされると通常の場合と異なりますので、海外赴任の可能性がある際はその時期が決定されてからふるさと納税をされるかの判断をされてもよいかもしれません。