昨今の渡航制限緩和により、日本親会社から海外子会社への出張頻度が増えているという話を耳にします。さまざまな目的の海外出張がありますが、海外子会社への出張は税務調査の対象となりやすく、追徴課税を受けた事例も増加しています。今回は海外出張費用の対価回収について取り上げたいと思います。
海外子会社のために親会社の人員を出張させた場合、その出張の対価を外国子会社から回収する必要があります。海外子会社が負担すべき費用を日本親会社が負担していると、税務調査にて対価の回収漏れや「国外関連者寄附金」として指摘される可能性があります。
具体的にどのような業務が対価回収の対象となるのかについては、移転価格事務運営要領3-10(企業グループ内における役務提供の取扱い)に記載があります。
<参考リンク>
国税庁HP「(別添) 移転価格事務運営要領 第3章 調査」
判断基準としては、有償性があるものとないもののうち、有償性があるものは回収が必要とされています。よって、第三者から同様のサービスを受けた場合、対価が発生するかどうかで考えることになります。
税務調査時には海外出張に関する資料の提出が求められます。調査に備え、事前に社内規定や書類整備が必要となってきます。具体的には、親子会社間で出張費管理基準を明確にする、出張旅費規程を作成する、出張報告書の提出をルール化することが挙げられます。また、出張にかかる最低限のコスト(人件費、旅費交通費、宿泊費、日当)だけでも回収することが望ましいです。
以上、海外出張の費用負担とその対策に関して紹介しました。
出張ルールが管理されているか、適宜見直しされているかなど、自社の状況をご確認いただければと思います。
コメント