移転価格税制に関連し、日本の親会社と外国子会社との間で、外国子会社に対して何らかのサポート(支援)を行った場合、寄附金と認定されるリスクがあります。

 問題になりやすいのは、海外子会社に何らかの支援を行った場合に、支援に対する対価の回収がない、または、対価の回収が不十分である場合です。その場合、海外子会社に対する寄附金とされるリスクがあります。また、支援した費用(出張費や労務費、技術指導の対価等)の負担割合に問題が見られる場合にも、同様のリスクが生じます。なお、税務上、この場合の「寄附」とは、実際の金銭に限らず資産や経済的な利益の贈与や無償供与をした場合を含みます。

 更に、その背後には、移転価格の問題としてとらえるのか、寄附金の問題としてとらえるのかという論点があります。移転価格(金額)の問題となれば、租税条約に基づき相互協議により経済的二重課税を回避できる可能性もありますが、寄附金として認定された場合、相互協議の対象にならず、二重課税となるリスクがあります。(全額損金不算入、かつ、社外流出となるため、取り返すことができません。)

 このリスクを減らすには、海外子会社に対してどのような取引が行われているのかを把握することが肝要です。また、対価があれば洗い出しできますが、対価がない場合も考えられますので、どのような支援や業務(例えば技術支援・出張等)を行っているのかを洗い出すことも重要となります。

 このような国際税務に関する疑問は、お気軽に税理士法人 名南経営の国際部にご相談いただければと思います。

<参考リンク>
国税庁HP
 「別冊 移転価格税制の適用にあたっての参考事例集」
 「No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算」