1.海外出張の寄附金認定

 海外子会社に親会社技術者等が出張するのは珍しくないですが、出張に関する費用負担が問題となります。

 海外子会社が負担すべき出張旅費や技術者費用を負担していなければ、その相当額について、親会社から子会社に対する寄附金となり、国外関連者に対する寄附金として全額が損金不算入となります。


2.寄附金認定の議論に備える

 日本親会社が海外子会社に役務提供を行っているか否かを確認することが必要です。

 この場合において、移転価格事務運営要領3-10(企業グループ内における役務提供の取扱い)*1を参考に、その出張(役務提供・技術指導)が、海外子会社のために行うのか、日本親会社のためなのか*2、線引きしてみるとよいでしょう。

 海外子会社のために行った役務提供であるからこそ、対価の有無(妥当性)や寄附金認定の問題になるからです。そのため、誰がどの立場で、何のために、といったことを整理しておくことが肝要です。次のような点から聞き取ることになろうかと思います。
  • 出張の目的、期間*3
  • 出張の結果、誰がどんな利益を得るか
  • 誰が要請したか
  • 日報等の確認
 これらを整理することで、出張費が日本親会社のためなのか、海外子会社のためなのかであったり、仮に調査があった場合でも、前もって前後関係や当事者の話が整理されていれば、矛盾せず説明できることにつながります。



*1 国税庁HP「移転価格事務運営要領 第3章」
*2 日本親会社のためとなれば、移転価格税制の論点からは外れることになります。
*3 万が一、出張が長期間に及ぶとなれば、日本親法人のPEという論点にもつながります。
  PE認定された場合には、日本親会社が現地国で申告することとなります。