1.実はグローバル・ミニマム課税の対象かもしれない
グローバル・ミニマム課税は、年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,100億円)以上の多国籍企業グループが対象となります。
一見、「対象ではない」と判断されるかもしれませんが、実は対応しなければならない場合があります。例えば、①海外親会社がグローバル・ミニマム課税の対象である、②多額の税額控除により実効税率が低い、③今後海外展開が予定されている、などです。
グローバル・ミニマム課税というと、上場企業だけが対象と思われがちですが、上記①~③のような事象により、対象となる可能性があります。
2.今から始めるグローバル・ミニマム課税の初期対応
(1)対象となるかを判断
・多国籍企業グループに属しているか
・連結収入が7.5億ユーロを超えていないか
(2)所在地国ごとに実効税率を概算計算
・税額控除等により、実効税率が15%を下回っていないか
・通常の法人税計算とは異なるため、まずは簡易的に15%を超えるか否か確認
・まずは概算で、(法人税等±繰延税金費用)÷(税引前当期純利益+Aの足し戻し-Bの控除±Cの損益)
*概算を掴むことを優先し、まずは繰延税金費用(法人税等調整額)で計算することが簡便ですが実際には、5年超で解消する繰延税金負債の除外や、適用税率が15%を上回った場合に15%で再計算するなど、調整項目があります。
*税引前当期純利益の調整例
A.罰金や賄賂等
B.1年以上保有かつ持株比率10%以上の株式以外からの配当
C.1年以上保有かつ持株比率10%以上の株式以外の株式譲渡損益
(3)適格国内ミニマム課税を優先
・実効税率が15%未満であれば、差額課税される制度(影響額の試算)
・法人税とは別に申告/納付することが必要である
(4)海外子会社(親会社)との情報共有
・実効税率の共有
・国別報告書や固定資産/人件費など共有
(5)次年度に向けた準備
・税務情報を経営戦略(投資/資本政策/再編等)に生かす
・社内連携/外部支援を組み合わせて検討精度向上させる
3.情報申告制度
更に、納税の有無にかかわらず、「特定多国籍企業グループ等情報事項等」を税務当局に申告する必要があります。
多国籍企業グループに属する会社は、①会社名称やグループ構成、②特例や免除規定基準、③所在地国ごとの国別実効税率等を原則として、それぞれの所在地国で、税務当局に申告することが必要です。
*ただし、所在地国と最終親会社の所在地国間で、情報交換の税務当局合意があれば、各構成会社の申告義務は免除され、最終親会社のみがその所在地国に情報申告を行えばよいとされています。
4.終わりに
グローバル・ミニマム課税制度は難解で、実際に行うことは非常に難しいものがあります。しかし、例えば 1.①~③ のような事象は上場企業以外にも生じうるため、このリスクを放置しておくのは好ましくありません。
新しい年度が始まる前に、一度、対応が必要か否かの概況を確認してはいかがでしょうか。
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