自動車関連部品メーカーのシンガポール子会社が外国子会社合算税制の対象
になるとして、追徴課税がなされた事件(以下、「本件」という。)について、
平成29年10月24日、最高裁は原審を破棄し、納税者側が逆転勝訴することとな
りました。

 本件は、外国子会社合算税制の適用除外要件の一つである事業基準について、
子会社の主たる事業が「地域統括事業」なのか「株式保有業」なのかが争われ
た事件です。「地域統括事業」であれば、事業基準を満たしますが、「株式保
有業」であれば、事業基準は満たしません。

 本件のポイントを1点挙げるとすると、「地域統括事業」が「株式保有業」の
一部であるかどうかです。本件では、子会社の収入のうち地域統括業務に関す
る売上が約85%を占めている一方、その所得金額においては、保有株式の受取
配当の占める割合が約90%と高い割合となっていました。

 原審では、これを形式的に捉え、地域統括業務から利益を得るのではなく、
保有する株式の配当によって得ているのであり、主たる事業は株式保有業であ
ると判示しました。

 最高裁はこれに対し、子会社がグループ会社を統括し管理するための業務と
して事業方針の策定や業務執行の管理、調整等を行うのは、当該会社の業務の
合理化、効率化等を通じてその収益性の向上を図ることを直接の目的とするも
のであるから、その結果として当該会社の配当額が増加したとしても、その業
務は株主権の行使や株式の運用に関連する業務等とは異なる独自の目的、内容、
機能等を有するものであり、株式保有業の一部ではないと判示しました。

 本件では、形式的な要素よりも経済的実体を重視した考え方が採用されてお
り、低税率国で子会社が合算課税の対象とならないためには、経済的実体をど
れだけ備えられるかがポイントとなるということが改めて示されています。一
方で平成29年改正では、受動的所得が多い事実上のキャッシュボックスに該当
する子会社は、合算課税の対象に含まれることになりましたので、今後は形式
的な要素についても注意が必要です。